ニュース
ニュース
トピックス
藤森 照信 名誉教授が文化功労者に選出

 このたび、本学 名誉教授の藤森照信先生が、建築の歴史研究と設計の双方の多大な功績により、令和8年(2026年度)の文化功労者に選出されました。

 藤森先生は、本学大学院で建築史を学ばれ、1979年に博士号を取得、1982年に本所の講師に着任されました。1985年に助教授、1998年には教授と昇任され、2010年の退職後は本学名誉教授の称号を付与されています。工学院大学で教鞭をとられたのち、2016年から東京都江戸東京博物館の館長の任に就いておられます。

 建築史家と建築家、その双方で卓越した業績を残された方は実はほとんどおりません。1943年に文化勲章を授与された本学の伊東 忠太 名誉教授が思い付く限りで、藤森先生は、建築界のその難題を半世紀以上ぶりに軽やかに突破されました。

 建築史家としては、日本の近代の建築と都市の歴史を総合的に解明されました。博士研究を基にした『明治の東京計画』では、膨大な一次史料を読み解き、近代東京の都市計画史を実証的かつ生き生きと描き出されました。それと並行して、1974年には本所 村松 貞次郎 研究室の後輩 堀 勇良 氏と「建築探偵団」を結成し、街に埋もれた近代建築を発見し、魅力ある文体でその歴史を伝えてこられました。その文章は建築界のみならず一般の人びとにまで届き、西洋館への関心を高めるきっかけとなりました。1993年には、それまでの研究の集大成となる『日本の近代建築(上・下)』を出版され、これら一連の研究により1998年に日本建築学会賞(論文)を受賞されておられます。

 一方、1991年に長野県茅野市の《神長官守矢史料館》の設計で建築家としてデビューを果たされると、「科学技術を自然素材で包む」という独自の発想のもと、木、土、石、植物を自在に用いたユニークな建築を次々と発表されました。どこにもないのに、どこか懐かしさを感じさせる藤森建築は多くの人びとを魅了し、2019年には《ラ コリーナ近江八幡 草屋根》で日本芸術院賞を受賞されておられます。

 先生の薫陶を受け、研究と設計の双方に対する独自のまなざしに間近で触れてきた者として、今年の日本建築学会大賞に続く、このたびの文化功労者としてのご顕彰をひときわうれしく思います。心よりお慶び申し上げるとともに、先生のご健康と今後ますますのご活躍をお祈りいたします。

 (人間・社会系部門 准教授 林 憲吾)

藤森 照信 名誉教授のコメント

藤森照信名誉教授_web掲載.png 大学院生時代から定年退職までのおよそ40年間を生研で過ごせたことは大きな幸でした。自分でテーマを決め、自分で研究を進めるという自由がこれほど認められている研究組織は他にそう無いと思います。これを保証していたのは、今も続いているでしょうが、生研独自の教官評価方法に違いありません。
 建築という領分は工学の中ではやや異色で、工学系に加え人文系や美術系の要素もあり、それら無しには良い建築は生まれません。その面でも生研の持つ自由な気風は素晴らしかった、と今こう書きながら思い出しております。

月別アーカイブ