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【報告】「大学人のスタートアップ講座 vol.3」を開催 (開催日:2025/3/28)

 3月28日(金)、本所主催「大学人のスタートアップ講座 vol.3」がオンラインで開催されました。本講座は、研究成果をスタートアップという手段で社会実装する意義や課題をテーマに、2022年度より実施している国際・産学連携室のシリーズ企画です。

 当日は、本所 年吉 洋 所長による開会挨拶で始まり、3名による講演が行われました。

 最初に、株式会社オキサイド 古川 保典 代表取締役会長より、国研発ベンチャーの創業から上場に至るまでの歩みについてご講演いただきました。その中で、「自分たちにしかできないことに挑み、世界に必要とされる存在になる」「研究者が社会を変える主語になれる」といった言葉を通じて、研究者が専門性を活かしながら社会課題の解決に主体的に関与することについての示唆がありました。また、海外での研究経験による視野の広がりや、国研に在籍しながらの起業といった、キャリアの選択肢に関する具体的な経験も共有されました。

 次に、SAKIYA株式会社 技術顧問・共同創業者である本所 山口 大翔 助教より、自身のスタートアップ立ち上げと研究活動の両立に関するご経験が紹介されました。アカデミア発の先進技術がいかに社会のニーズと結びつき、価値を生み出すか、「研究はシーズ、スタートアップはニーズから始まる」との考えに基づく視点が示されました。また、創業初期のチームづくり、事業化に向けた試行錯誤など、研究者が社会と接点を持ちながら挑戦を進める実践的な過程が共有されました。

 最後に、本学 産学協創推進本部スタートアップ推進部 菅原 武人 ディレクターより、大学におけるスタートアップ支援の制度的・実務的な側面について講演がありました。研究者が起業を検討する際に直面しやすい課題として、利益相反への配慮、知的財産の取扱い、学内リソースの活用、教職員の兼業・兼職に関する制度などが紹介され、学内の支援体制や具体的な相談先の情報が共有されました。制度や規定を活用することで研究の可能性を広げるという視点が提示され、起業に向けた実践的な知見が示されました。

 当日の司会は、本所 国際・産学連携室 大石 岳史 室員・准教授が務め、質疑応答では同室 合田 和生 次長・教授も進行に加わり、研究・技術・制度それぞれの立場から多角的な議論が展開されました。本講座は、アカデミアにいる研究者がスタートアップを通じて社会とつながるための現場の声に直接触れ、実践的な気づきを得られる貴重な機会となりました。

 ご講演いただいた古川代表取締役会長、山口助教、菅原ディレクターに、心より御礼申し上げます。

(国際・産学連携室 高度学術員 入江 由里子)

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左から、開会挨拶をする年吉所長、講演を行う古川代表取締役会長と山口助教

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左から、講演を行う菅原ディレクター、司会を行う大石准教授、質疑応答での進行を行う合田教授

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