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沖 大幹 教授が2024年ストックホルム水大賞を受賞

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(写真左から)岡部 徹 生産技術研究所 所長、齋藤 延人 理事・副学長、沖 大幹 大学院工学系研究科 教授、加藤 康浩 大学院工学系研究科 研究科長、福士 謙介 未来ビジョン研究センター センター長

 本学大学院工学系研究科の沖 大幹 先生が、「水のノーベル賞」とも呼ばれる「ストックホルム水大賞(Stockholm Water Prize)」の2024年の受賞者に選ばれました。

 「ストックホルム水大賞」は世界で最も権威のある水関連の賞であり、ノーベル賞の選考を行っているスウェーデン王立科学アカデミーの協力によりストックホルム国際水研究所(SIWI)が決定し、スウェーデン国王カール16世グスタフ国王より授与されます。発表は国連が定めた世界水の日(3月22日)に行われました。今後、8月のストックホルム世界水週間の一環として王室による授賞式が行われ、王室晩餐会はノーベル賞と同じくストックホルム市庁舎にて開催されます。

 SIWIの発表では、沖先生が、水文学、気候変動、持続可能性の結びつき(nexus)に関する理解を大きく前進させたことをまず挙げており、続けて地球規模の水収支、世界における仮想水の流れ、再生可能な水資源の空間分布・時間変動に関する研究への卓越した貢献が評価されたとあります。

 沖先生は、1989年から2021年まで本所に勤務され、長きに渡るご活躍(沖先生が2021年に国際水文学賞Doogeメダルを受賞された際の記事参照:https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/3599/が、上記の授賞理由にぎゅっと濃縮されています。なかでも僭越ながら私がSIWIの授賞理由で感銘を受けたのが、沖先生の初期の研究成果物として有名な、世界の主要河川のデジタルマップTRIP (Total Runoff Integrating Pathways)がとても高く評価されていることです。TRIPは、世界の河川を8方向の線分の集合としてつなぎ合わせたものなのですが、まさに気候システムにおける河川の役割の本質を見抜いてデザインされたものでした。こうした意外にも単純なモデリングで地球規模の水循環を表すことができ、さらには気候システムを通じて社会の持続可能性にも大きく関与していることを学部講義でお話いただき、当時アメフト漬けだった私は衝撃を受けて、大学院では沖研究室の門を叩こうと決心したことを思い起こしています。

 改めて、このたびの沖先生のストックホルム水大賞の受賞を心よりお慶び申し上げます。先生のご健勝と益々のご活躍を祈念致します。

(人間・社会系部門 教授 芳村 圭)

沖 大幹 教授のコメント

沖先生トピックス用.jpg 漠然と憧れるばかりであったストックホルム水大賞の栄誉に浴すにあたり、長年お世話になった生研には感謝の気持ちでいっぱいです。特に、当初は何の役に立つかもわからず、ただ好奇心に突き動かされてグローバルな水循環の研究していた際、ものづくりの生研でこんな研究をしていて良いのだろうか、とさすがに不安になっていたところ「基礎をやっていてもいずれ役に立つ日が来る」と励ましてくださった恩師である虫明 功臣 先生には心から感謝の気持ちをお伝えします。
 知恵と工夫を重ね全力で研究者を支えてくださる事務には大変お世話になりましたし、今は総長になった藤井 輝夫 先生や型破りな所長をされたと伝え聞く岡部 徹 先生とはまだ准教授だった20年以上前から折に触れて意見と杯を交わす機会があり、今の研究ならびにマネジメントの両面で大変ためになっています。また、わざわざ生研の我々のグループを志望してくれる学生、院生の皆さんはモティベーションも高く、芳村 圭 先生や山崎 大 先生を筆頭に何人もが国内外で有望な研究者として活躍されているのは本当に頼もしい限りです。
 お世話になったすべての皆様方と喜びを分かちあわせてください。

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