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岡部 徹 教授が東レ科学技術賞を受賞

 本所 教授、所長の 岡部 徹 先生が、第62回(令和3年度)東レ科学技術賞を受賞されました。賞状の贈呈は、3月14日(月)に開催予定の(公財)東レ科学振興会の設立60周年記念式典において行われる予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期され、3月31日(木)に贈呈式のみが開催されました。
 岡部 先生は、35年以上にわたって一貫して、チタンをはじめとするレアメタルの精錬やリサイクルに関する研究に取り組んでこられました。この度は、「レアメタルの環境調和型リサイクル技術の開発」に関する先駆的な研究業績が認められ、本賞が授与されました。
 岡部 先生の数々のご研究は、国内だけに留まらず海外でも高く評価されています。特に、有害物を一切発生させずにレアメタルを分離抽出する環境調和型のリサイクル技術の開発は、資源循環やCO2発生量削減、環境保護という観点から、今後、ますます重要性が高まると考えられます。
 所長業務などの学内運営で多忙を極める中、3月には、ご専門の関係学会やシンポジウムにて5回も講演を行い、レアメタルに関する多数の取材に応じるなど、学者としても八面六臂のご活躍をされています。レアメタルとそのリサイクルの重要性は、今後も一層高まりますので、先生のご研究のさらなる発展を期待しております。

(物質・環境系部門 助教 上村 源)

岡部 徹 教授のコメント

 レアメタルとは、産出量が少ない、あるいは製造が困難な金属の総称です。皆様になじみがあるのは、チタンや白金、あるいは、ネオジムなどのレアアース(希土類金属)などでしょうか。最近は、ロシアから大半が産出されているパラジウムという貴金属レアメタルの供給不安が増大し、大きな話題となっております。
 私は、学生の頃から一貫して、チタンやレアアースなどのレアメタルの製錬やリサイクルに関するプロセス技術の研究に取り組んできました。大学4年生の時にチタンの製錬に関する研究に巡り逢いましたが、思い起こせば、研究をスタートしてからの最初の10年は、「チタン?レアメタル?何それ?研究する意味あるの?」と多くの人から言われました。当時から私自身のレアメタルに対する考え方や研究への取り組みは何も変わっていないのですが、15年ほど前からはレアメタルに対する世の中の考え方が大きく変わり、今では一般の人からも「意義のある重要な研究をしていますね。レアメタルのリサイクルは重要ですね。先生はかなり前からパラジウムのリサイクルの研究もしているのですね!」と励まされるようになりました。
 私が長年、一貫してレアメタルのプロセス技術に関する基礎研究を続けることができたのは、素晴らしい恩師、同僚、共同研究者、先輩、後輩、友人、協力者に恵まれ、家族に支えられた結果です。皆様方に心から感謝申し上げます。これからも、Never Give-up, Challenge! の精神で、レアメタル研究を通じて、社会に少しでも貢献できるよう精進いたします。
 今回の東レ科学技術賞受賞を励みに、これからもなお一層努力を重ねる覚悟を新たにしておりますので、今後とも変わらぬご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。


東レ科学技術賞受賞者挨拶を行う岡部 徹 教授


東レ科学技術賞を贈呈する日覺 昭廣 会長(賞状、金メダルおよび賞金が授与された)


東レ科学技術賞贈呈式の様子(手前は、2001年にノーベル化学賞を受賞された野依 良治 先生(評議員))

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