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第14回 ESIシンポジウム 「2050年のエネルギーと社会:俯瞰的視点」

 今回報告するシンポジウムは、2021年4月より第II期3年間を開始したエネルギーシステムインテグレーション産学連携研究部門(ESI)の通算14回目(うちコロナ禍でのオンライン形式6回)のシンポジウムであり、またESIとエネルギー資源学会「2050年に向けた日本のエネルギー需給」研究委員の共同主催の「2050年の経済と社会」の第4回目シンポジウムである。オンラインで開催し、約300名の参加があった。
http://www.esisyab.iis.u-tokyo.ac.jp/html/symposium.html

 本シンポジウムでは、これまでの「2050年の経済と社会」でのテーマ、2020年12月の「方向性」、2021年2月の「選択肢の深掘り」、5月の「何が難しいのか」に続き、これまでの深掘り、課題抽出をもとに再度視野を広げて一般化を試みることを目指し、「俯瞰的視点」をテーマとした。6人の講演者により、脱炭素シナリオの多様性、脱炭素のシナリオ負の排出技術、経済成長とエネルギー生産性、脱炭素困難部門の対策、アルミニウムを題材とした材料選択と資源循環、エネルギー需要側技術・社会変化の展望と国際モデル比較プロジェクトについての講演が行われた。パネルディスカッションでは、6人の講演者に、ESIの竹内 知哉 特任准教授および前3回の「2050のエネルギーと社会」のシンポジウムの登壇者が加わり、個別の技術・対策ではなく、より広い視野に立った二酸化炭素排出削減の可能性についての議論が行われた。冒頭の「振り返り」から、カーボンニュートラルの条件となる二酸化炭素の残存排出量と吸収源のバランス、需要側の行動変容の制約強化と実効性、産業プロセスの大幅改変の可能性、スクラップの循環と製品輸出、エネルギー供給側への議論の偏り、選択肢の確保、数理的な思考やアプローチ、コンピュータサイエンスといった、講演内容をベースとした突っ込んだ意見の交換があった。その後、論点1の俯瞰的視点による影響と効果、論点2の目指す姿においても、個別の分野に対し経済やコミュニケーション、総合的理解、すべての基礎となるデータ活用が、不確実性の高い二酸化炭素排出削減の長期の取り組みに重要であることが議論された。

 今回のシンポジウムでは、ESIがII期で深めているモデルとデータを活用した多様な企業の技術やビジネスの開発の戦略や計画の解析・評価の重要性が再確認されたと言うことができる。「2050年のエネルギーと社会」シンポジウムは、主催する研究委員会の活動の中締めとして、来春開催の企画を進めている。

(エネルギーシステムインテグレーション産学連携研究部門 特任教授 荻本 和彦)

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