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岡部 徹 教授、竹田 修 リサーチフェロー、大内 隆成 助教、芳村 圭 教授、山崎 大 准教授が文部科学大臣表彰を受賞

下記の通り本所の5名の教員が令和3年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました。令和3年4月14日(水)に開催された表彰式においては、科学技術賞 研究部門受賞者を代表して、岡部 徹 教授が文部科学大臣から表彰状を代表受領し、さらに、令和3年度の表彰者(全受賞者)を代表して謝辞を述べました。

<科学技術賞 研究部門>
氏名所属・役職業績名
岡部 徹東京大学 生産技術研究所 所長、教授レアメタルの環境調和型リサイクル技術の開発に関する研究
竹田 修東京大学 生産技術研究所 リサーチフェロー/東北大学 工学研究科 准教授
大内 隆成東京大学 生産技術研究所 助教
<科学技術賞 科学技術振興部門>
氏名所属・役職業績名
芳村 圭宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門 地球観測研究センター 主任研究開発員/東京大学 生産技術研究所 教授衛星データ融合陸域水循環システム開発と防災利用への貢献
山本 晃輔宇宙航空研究開発機構 研究開発員
可知 美佐子宇宙航空研究開発機構 研究領域主幹
沖 理子宇宙航空研究開発機構 研究領域上席
山崎 大東京大学 生産技術研究所 准教授

受賞内容と本所の受賞者および受賞コメントは以下の通りです。

<科学技術賞 研究部門>
岡部 徹 教授、竹田 修 リサーチフェロー、大内 隆成 助教
レアメタルの環境調和型リサイクル技術の開発に関する研究

左から 大内 助教、岡部 教授、竹田 リサーチフェロー

○研究内容:
 高度情報化社会の発展に伴い、多種多様の高性能電子機器が必要となり、今後、レアメタルの需要は世界的に急増する。一方で、経済合理性の観点から、大部分のレアメタルはリサイクルされずに廃棄されている。また、既存のリサイクルプロセスでは、有害な廃液・排ガスなどの発生により、環境がかえって破壊されるケースが多い。
 本研究では、レアアース(希土類元素: REMs)やチタン(Ti)などの分離・精製が難しいレアメタルを、スクラップ中から有害な廃液を一切発生させずに抽出・分離する環境調和型の新しいレアメタルリサイクル技術を考案・開発した。また、スクラップからの再生品の方が、鉱石からの一次生産品よりも純度が高くなる新技術をベースとする「アップグレード・リサイクル」という新規概念を提唱し開発した。
 本研究により、今後大幅に発生量が増大する電子機器、輸送機器など多種多様のスクラップの中から、レアメタルを効率良く、かつ有害物を発生させずに抽出・分離することが可能となると期待される。
 本成果は、今後の先端技術の発展、人類の生活水準の向上に不可欠であるレアメタルの持続的な供給並びに、レアメタル製錬・リサイクルプロセスにおける環境負荷の低減、ひいては、持続可能な社会の構築に寄与することが期待される。

○受賞コメント:
 このたび、私どもが取り組んできました、レアメタルの環境調和型リサイクル技術の開発に関する研究に対して、このような栄誉ある賞を受賞することができ大変光栄に存じます。スクラップの中から、レアメタルをリサイクルする技術開発は、かつては、だれも見向きもしないマイナーな研究分野でした。しかし、今では、電動車やスマートホンなどが普及し、レアメタルを多量に消費する社会になったため、注目を集めるようになりました。今後、技術発展と持続可能性の両立への要請から、さらに、この研究分野の重要性が高まると考えられます。一連の研究活動を支えてくださいました関係者の方々に、この場を借りて心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、これからもチタンをはじめとするレアメタルのリサイクルの研究を推進して世界をリードし、同時に、若手人材を育成する活動を多角的に展開していきたいと考えています。

<科学技術賞 科学技術振興部門>
芳村 圭 教授、山崎 大 准教授
衛星データ融合陸域水循環システム開発と防災利用への貢献

左から 芳村 教授、山崎 准教授

○研究内容:
 洪水や渇水による被害の軽減は、国内外において極めて重要かつ喫緊の課題であり、その解決のためにはリアルタイムでの陸域水循環の精度の良いモニタリング及び予測が必要である。
 本活動では、上記の目的に資するため、衛星観測及びデータ解析技術と数値シミュレーション技術を融合し、土壌水分量や河川流量など、陸上の水循環に関わる物理量をリアルタイムで推計・予測するシステム「Today's Earth」を構築し、定常的に運用している。
 本活動により、国が実施する衛星等による災害時観測計画を最適化するための災害発生場所事前推定システムで洪水発生可能性等の予測情報が提供・活用されているほか、保険会社や鉄道会社での浸水リスク評価や、メディアにおける防災情報配信など民間での利用検討が進んだことで、洪水発生相当の危険度情報の発表方法についての法制度の在り方に関する議論が促進される等、水災害による被害軽減のための防災利用に寄与している。

○受賞コメント:
 このたびは、栄誉ある賞を賜り大変光栄に存じます。受賞に至りましたのは、共同受賞者である宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山本 晃輔 氏、可知 美佐子 氏、沖 理子 氏、生研の山崎 大 氏はもちろん、ともに研究活動を重ねて参りました生研・JAXA等の関係者のみなさん、学内外関係者の多大なるご支援・ご協力のおかげであり、心より感謝申し上げます。今回の栄誉を励みに、今後もなお一層の研鑽を重ね、日本及び世界の水循環の理解と水災害の軽減に向け、研究活動に精進して参りたいと存じます。


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※2022年4月22日:受賞者を修正しました。

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