野村 政宏 教授が日本伝熱学会抜山記念国際賞を受賞
本所の野村 政宏 教授が、第8回抜山記念国際賞を受賞しました。
| 氏名 | 野村 政宏 |
| 所属・役職 | 東京大学 生産技術研究所 教授 |
| 本賞について | 抜山記念国際賞は、世界中の伝熱学分野において、顕著な功績を上げた50歳未満の優れた研究者を対象に、2年に1度授与される国際的な賞です。 表彰式は、1951年から4年ごとに開催されているInternational Heat Transfer Conferenceにおいて行われ、 今回は2026年8月にブラジル・リオデジャネイロで開催されました。受賞対象となった研究内容は、授賞式に続いて行われた1時間のAward Lectureにおいて紹介されました。 |
| 業績について | 野村教授は、量子エレクトロニクスから熱工学へと大胆に研究の軸を移し、 フォノンエンジニアリングの世界的第一人者として、ナノ・マイクロスケール熱輸送の新たな学理を確立しました。 また、学際融合研究を強みとして、「フォトニクスからフォノニクスへ」という独自の研究コンセプトのもと、 固体熱輸送現象の探求と革新的な熱制御技術開発、半導体冷却や熱電発電など応用技術の発展にも大きく貢献しています。 これらの研究成果は、学術的・国際的影響力は極めて顕著であり、野村教授は抜山記念国際賞にふさわしい研究者として評価されました。 |
| 研究内容 | フォトニクス、エレクトロニクス、流体力学、数学といった多様な分野の知見を伝熱工学に融合させる学際的研究を行ってきました。 従来、フーリエ則に従う拡散的現象として制御が困難とされてきた固体熱伝導に、 他分野の輸送現象や構造に着想を得て新たな熱輸送現象の発現や熱制御技術をもたらしています。 例えば、シリコン薄膜にフォノニック結晶ナノ構造を形成し、熱を波動として制御する技術を実証したほか、 幾何光学の概念を導入した「Ray Phononics」により熱に指向性を持たせる制御を世界に先駆けて提案・実証しました。 さらに、表面フォノンポラリトンを利用した超高速熱輸送や超プランク熱放射の実現、 フォノンの流体力学的性質を利用してグラファイトの熱伝導率を倍増させたほか、 流体用に開発されたテスラバルブを世界で初めて熱整流に概念を拡張し、Nature誌に掲載されるなどの成果を挙げています。 これらの基礎科学の成果は、先端半導体の低消費電力化や環境熱発電技術など、 AI産業の発展を支援するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向けた幅広い応用展開が期待されています。 |

左から、授賞式の様子、左から小原 拓 選考委員長、野村教授
抜山記念国際賞のアワードレクチャー
授賞式の会場風景
野村 政宏 教授
○受賞コメント:研究室を主宰してから16年、研究室メンバーと一生懸命に取り組んできた研究が評価され、とても嬉しく思っております。受賞につながる研究活動を支えて下さった本所、共同研究者およびスタッフの皆様、現在および過去の研究室メンバー、お世話になった全ての方々に心から感謝致します。