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【報告】第6回海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望ワークショップ開催(開催日:2023/12/8)

 2023年12月8日(金)、第6回海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望ワークショップ(https://seasat.iis.u-tokyo.ac.jp/CableWS/WS20231208/index.html)が、本所An棟コンベンションホールにて開催された。本ワークショップは、本所 海中観測実装工学研究センター主催にて、2018年から毎年1回開催されている。今回は、海底観測研究の未来を語る基調講演1件、および海底観測網に用いられる光ファイバーケーブルそのものを連続長距離観測用センサとして用いる光ケーブルセンシングに関する要素技術、リアルタイムかつ長期的に取られたデータから得られた科学的成果、これら新たな知見の社会実装などに関する様々な講演7件が行われ、参加者162名(現地参加70名、オンライン参加92名)が活発な議論を行った。

 冒頭の香川大学 四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 金田 義行 特任教授による基調講演「海底観測研究の未来」では、今後の海洋科学の推進における、光ケーブルおよび各種観測センサから成る海底観測網によるモニタリング研究のみならず、AUVや水中ドローンによる海中モニタリング、長期孔内計測システムを加えた海底地殻内モニタリングによる総合的なモニタリングの重要性について語られた。続く講演では、長期孔内計測システムの開発および計測事例、光ケーブルセンシングの地震観測など地球科学への応用例などが紹介された。また、電力中央研究所の中村 武史 主任研究員の講演「東北沖における海底観測点データの解析によるシロナガスクジラの鳴音の時空間分布」では、東北沖に設置された海底地震津波観測網(S-net)の地震波形データからナガスクジラの波形を特定してシグナルを検出し、連続長期観測のメリットを活かして、シグナルの移動トレンドから、季節/年毎のナガスクジラの分布の変化について解明した事例が紹介され、海底観測網による海洋科学モニタリングの応用の幅広さが示された。

 ワークショップ後には、久しぶりに盛大な意見交換会が催された。参加者からは、今後も継続した開催を希望する声が多数寄せられており、次回開催が待たれる。

 (海中観測実装工学研究センター 特任研究員 杉松 治美)

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左から、本所 川口 勝義 ワークショップ実行委員長・客員教授による開会挨拶、中村主任研究員による講演

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左から、金田特任教授による基調講演、質疑応答(中:金田特任教授、右:川口客員教授)

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