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【報告】第9回海中海底工学フォーラム・ZERO 開催(開催日:2023/4/21)

4月21日(金)、第9回海中海底工学フォーラム・ZERO(https://seasat.iis.u-tokyo.ac.jp/UTforum/)が、本所コンベンションホールで開催された。本フォーラムは、理学と工学の水面下の接点を探るべく、年に2回、本所(春)と本学 大気海洋研究所(秋)にて、海中海底工学に関する最新の動向を取り上げて開催されている。

 本フォーラムでは、8件の講演が行われた。冒頭は、名古屋大学 道林 克禎 教授による「Pressure Drop航海記:日本人最深部潜航記録と超深海底研究の新展開」。世界最深部に潜航できるアメリカ民間企業の有人潜水艇に乗り組み、小笠原海溝最深部の地質・地形。生物観測を行い、60年ぶりに日本人最深部潜航記録を塗り替えた冒険譚に、聴衆は魅了された。続いて、海洋研究開発機構 渋谷 岳造 主任研究員による「生命の起源-海底熱水 液体/超臨界CO₂仮説」は、深海の最深部から生命の起源へと、時を遡る旅への誘いであった。その後、UAV(無人機 Unmanned Aerial Vehicle)の海底測地観測への応用、水中ドローンによるブルーカーボン量の計測、光ファイバセンシングによる海底地震観測、ROV(遠隔操縦式ロボット Remotely Operated Vehicle)の無索化に向けた浅海域での高速水中音響通信技術、AUV(自律型海中ロボット Autonomous Underwater Vehicle)の水中非接触充電に向けた水中での無線電力伝送技術、電波通信技術と、最先端の技術紹介が続いた。締めは、本所ソーントン ブレア准教授による「AUVがひとりでお使い:1000km、22日に渡る複数廃止石油サイトのマッピング調査」(本講演のみオンライン)。港から母船なしでAUVを発進させ、1日1回の容量が限定された衛星通信のみですべての観測ミッションをこなしきったAUVの一人旅。ロボットのパフォーマンスをモニターする通信データの管理、省エネのため最低限のセンサ稼働など、技術的示唆に富んだ刺激的な講演であった。締めは、幹事である本所 巻 俊宏 准教授による挨拶で閉会した。今回は、約120名の現地参加者に加えて、約230名がオンライン参加する盛大な会となった。また、講演者と参加者の意見交換の場である懇談会が3年ぶりに開催され、大いに盛り上がった。

次のフォーラムは、10月13日(金)、大気海洋研究所講堂で開催いたします。皆様のご参加をお待ちしています。                       

(海中観測実装工学研究センター 特任研究員 杉松 治美)

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左から、冒頭の挨拶を行う本学 道田 豊 教授(幹事)、閉会の挨拶を行う本所 巻 俊宏 准教授(幹事)

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左から、名古屋大学 道林教授による講演、海洋研究開発機構 渋谷主任研究員による講演

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左から、本所 ソーントン准教授による講演、会場との質疑応答

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