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【報告】令和4年度 退職記念講演会(開催日:2023/1/5、3/3、3/24)

 2023年3月をもって本所を退職される3名の先生方の退職教員記念講演会ならびに展覧会が開催されました。新型コロナウイルスによる制限が緩和された今年は、コロナ以前のように対面で盛大に実施することができました。

 2023年1月5日(木)には、機械・生体系部門の山中 俊治 教授によって、山中研究室最終展示「未来の原画」展のギャラリーツアーが行われました。デザイナーとして様々な製品をデザインしながら、新しい価値や体験を提案する実験的なものづくり(プロトタイピング)を行ってきた山中先生。2013年に本所に着任してからは、先端技術がもたらす未来をプロトタイピングによって描き、展示を通じて広く社会に共有する活動を行ってきました。本所S棟での展示を中心に海外巡回展、本所70周年記念展示など多数の展示を企画・実施してきた山中先生は、集大成として、最終講義の代わりに最終展示を企画されました。ツアーでは、大学教員になった2008年から現在までの研究成果や卒業生達の活動に至る充実の展示が山中先生によって紹介されました。

 3月3日(金)には、「依怙地者が持続可能性と向き合ってきて」と題して人間・社会系部門の野城 智也 教授による講演が行われました。いち早く、そして、一途にサステナブル建築を探究されてこられた半生を、建築の短寿命の問題から、最後は「距離の経済」の提唱まで、濃密に語ってくださいました。持続可能性の肝を学べる貴重なお話に、私自身、学生の気分になって熱心にメモを書き留めました。第22代の生研所長を務め、部門を横断するプロジェクトを数々立ち上げてきた野城先生ですから、会場の顔ぶれも多彩でした。講演を締めるにあたり、ときに声を詰まらせながら恩師の方々に感謝を述べる姿に、同じように慕われる野城先生のお人柄が表れていて、大変素敵な最終講義でした。

 3月24日(金)には、「難削材の加工を進めてきて」と題して機械・生体系部門の臼杵 年 教授による講演が行われました。先生は、長年に渡り切削加工の領域について、材料、工具、加工方法と多様な方向から研究に取り組んでこられました。また、所内の先進ものづくりシステム連携研究センターのセンター長として、航空機製造技術高度化の産官学連携研究にご尽力されました。講演会では、それらの研究成果の一端をご紹介頂きましたが、知的好奇心に溢れ、自由な発想で研究に取り組まれてきたことが窺い知れました。

 今年度は、山中先生が最終展示を選択されたこともあり、やはり最終講義とは多種多様な研究者人生が映し出された格別な講義なのだという思いを強くしました。名残惜しくもあり、だけど私たちの背中を力強く押してくれる、そんな言葉が沢山詰まった講義なのだと。3名の先生方には、これまでの本所へのご貢献を感謝するとともに、今後も心身のご健康にお気を付け頂き、益々のご活躍を願う次第です。

(機械・生体系部門 特任助教 村松 充、
人間・社会系部門 准教授 林 憲吾、
機械・生体系部門 准教授 土屋 健介)

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左から、山中教授、野城教授、臼杵教授

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