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小林 敏雄 名誉教授が令和4年秋叙勲 瑞宝中綬章を受章

 本学 名誉教授の小林 敏雄 先生が令和4年秋の叙勲 瑞宝中綬章を受章されました。小林先生は長年にわたり、流体予測工学を専門分野として計測および数値シミュレーションの2つの側面から、自然界における流れや工学・工業上の流れのメカニズムの解明を進められてきました。また、開発した計測および数値シミュレーション手法を積極的に産業応用に展開し、多岐にわたり研究・教育の発展および産学連携の推進に貢献されました。

 特に、コンピュータの黎明期より数値シミュレーションの有用性に着目し、コンピュータを利用しての流体解析の研究開発の必要性を唱え、大規模な科学技術数値シミュレーションに関する研究を総合的に展開されました。これらの功績は、2002年に文部科学省新世紀重点研究創生プラン文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウエアの開発」として認められ、本所の革新的シミュレーション研究センターの礎を築かれました。計測分野においても、粒子画像をコンピュータにて画像処理する新しい流体計測手法Particle Image Velocimetry(PIV)を開発されました。これらの研究業績は国内外から高い評価を得ており、数々の賞を受賞されております。

 学協会の活動にもグローバルに貢献されており、一般社団法人 日本機械学会 会長、公益社団法人 自動車技術会 副会長、自動車技術の国際学会組織であるFISITA (The International Federation of Automotive Engineering Societies)副会長、およびEVAAP(Electric Vehicle Association of Asia Pacific)の会長を歴任し、国際協調を進められました。

 本学を退職後、一般財団法人 日本自動車研究所の所長、アイシン精機株式会社(現 株式会社アイシン)の取締役に就任され、我が国の自動車産業における研究の発展に貢献されました。また、一般財団法人 生産技術研究奨励会 理事長を務めていらっしゃいます。

 このたびの小林先生の叙勲を心よりお慶び申し上げます。先生のご健勝と益々のご活躍を祈念致します。

(機械・生体系部門 教授 大島 まり)

小林敏雄名誉教授のコメント

webトリミング.pngこのたび叙勲の栄誉を賜りました。良き師、同僚、仲間、スタッフ、後輩に恵まれ、ひたすら、坂の上の雲を目指して良い時代を過ごしてきたというのが今の心境です。学生時代から退職するまで42年間を東京大学にお世話になりました。その大部分を生産技術研究所で"乱流"の研究に携わりました。特に21世紀初頭のモノづくりのIT化を目指す"戦略的基盤ソフトウエアの開発"の立ち上げは、まさしく大きな時の運、場の運、人の運に恵まれたと思っています。IT化は予想以上に速く進み、社会生活が追いつかない感じもします。IT化で失ったものも既に現代の課題として顕在化しつつあります。後輩の皆さんの大いなる力を期待しています。

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