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原島 文雄 名誉教授が文化功労者に選出

 本学名誉教授の原島文雄先生が、令和2年度(2020年度)の文化功労者に選出されました。原島先生は本所において、人の持つ柔軟な適応能力を人工機械が獲得するための基礎理論を構築し、実際に自動機械で実証することによりロボットが社会に受容される道を拓く顕著な研究業績をあげて、メカトロニクス分野の発展に多大な貢献をされております。

 我が国におけるオートメーションの導入は昭和40年代に遡りますが、当時の順序機械は硬直的で適応性を欠き、生産技術としてはまだまだ実用的ではありませんでした。そのころ原島先生は人の多様な動作を数学的に表現する手法を見出して、双対変数と呼ばれる一組の変数を制御することで、機械の柔軟な動作発現を実証しました。また、パワーエレクトロニクスと制御工学・機械工学等の学術を融合し、ノーバート・ウィーナー(Norbert Wiener)の提唱した人工頭脳学・サイバネティクスを人工機械・メカトロニクスとして具現化することで、我が国の産業の高度自動化に大きく貢献されました。

 原島先生は平成4年(1992年)4月から平成7年(1995年)3月まで、所長として本所の発展に御尽力されております。原島先生が所長当時、生研ではマイクロメカトロニクス分野における日仏国際共同研究組織LIMMS(Laboratory for Integrated Micro Mechatronic Systems)の立ち上げ時期にありました。原島先生からはLIMMSの基盤固めと方向付けに関して大きくご支援を頂いており、我々LIMMSメンバーにとってはフランス国立科学研究センターのカウンターパートである部門長ジャン-ジャック・ガニュパン(Jean-Jacques Gagnepain)氏とともに創設の父とも言うべき存在です。

 東京大学を退官後には、原島先生は平成10年(1998年)4月から平成14年(2002年)3月まで東京都立科学技術大学学長、平成16年(2004年)4月から平成20年(2008年)3月まで東京電機大学学長、平成21年(2009年)4月から平成27年(2015年)3月まで首都大学東京学長などの数々の要職を歴任されております。またこの間に、フランス共和国教育功労章オフィシエ(平成16年/2004年)、日本ロボット学会功労賞(平成21年/2009年)、瑞宝重光章(平成27年/2015年)などの多くの賞を受賞されております。

 このたびの原島先生のご顕彰を心よりお慶び申し上げるとともに、先生のご健康とますますのご活躍を祈念いたします。

(情報・エレクトロニクス系部門 教授 年吉 洋)

原島文雄名誉教授のコメント

 大学院から始まって引退するまで50年余、皆さまのお励ましをいただきながら研究を続けてきました。毎年の研究成果はわずかでも「塵も積もれば山となる」とでもいうのでしょうか、あるいは「馬齢を重ねても何かの役に立つ」ということもあるのでしょう。皆様方との永年のお付き合いがもっとも大きな励ましになったことは間違いありません。

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