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野村 政宏 准教授が日本学術振興会賞を受賞

 本所 マイクロナノ学際研究センターの野村 政宏 准教授が第16回日本学術振興会賞を受賞し、2月18日(火)に日本学士院(東京・台東区)にて授賞式が挙行されました。

 同賞は平成16年度に創設され、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を見い出し、顕彰することで研究意欲を高め、研究の発展を支援することにより我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルに発展させることを目的としています。令和元年度は45歳未満の若手研究者451名の候補者の中から24名が受賞しました。授賞式には秋篠宮皇嗣同妃両殿下が臨席され、殿下は「今後もさらに充実した研究を進められ、世界的に活躍されることを願っております」とお言葉を述べられました。

 授賞対象となった研究課題は「フォノニックナノ構造を用いた熱流制御とその環境発電応用」です。野村准教授はフォトンとフォノンの類似性を切り口とし、光学を手本とした固体中の高度な熱伝導制御によって、伝熱工学に新しい概念と技術を創出しました。ナノ構造を用いて、熱の波動性に基づく干渉を用いた熱伝導制御に成功し、また、本来方向性なく拡散する熱をナノスケールで顕在化する弾道性を利用することで、指向性を持った熱流および集熱が可能になることを提案、実証しました。

 超スマート社会を支える熱電環境発電への期待から、固体材料における熱伝導の制御技術に大きな注目が寄せられ、「フォノンエンジニアリング」と呼ばれる新たな研究分野が急速な発展を遂げております。野村准教授の業績は、波動光学と幾何光学における諸概念をフォノンエンジニアリング分野に導入し、革新的な熱流制御技術を創出した点において重要なマイルストーンと位置づけられており、当該分野で世界を牽引する研究者として更なる活躍が期待されます。

(情報・エレクトロニクス系部門 教授 平川 一彦)

〇野村 政宏 准教授のコメント:
 大変栄誉ある賞を賜り光栄に存じます。一緒に研究を行ってきて下さった研究室メンバーや共同研究者、ご指導ご支援下さった研究者、本学関係者の皆様のお陰であり、心から感謝申し上げます。若手教員の独自性を尊重し、先輩教員が若手教員をそれとなく育てる環境のお陰でのびのびと研究を行うことができております。このような研究環境を築き、文化を醸成して下さった本所および構成員の皆様に感謝致します。本受賞を励みとし、研究活動を楽しみながら、より一層深い学術研究と社会に貢献する応用研究ができるよう努めて参ります。

〇野村研究室ウェブサイト
http://www.nlab.iis.u-tokyo.ac.jp/

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