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沼田 宗純 講師が倉敷市の災害対策本部に協力

平成30年7月12日(木)、東京大学 生産技術研究所の沼田 宗純 講師は、平成30年7月豪雨で大きな被害を受けた倉敷市の災害対策本部を訪れ、機能改善のために具体的な助言をしました。
当時、災害対策本部は、住民からの相次ぐ問い合わせにほとんど答えられていない状況でした。現場からの情報の収集と整理、本部内での共有や優先順位の決定が効率的に行われていなかったためです。

レイアウト変更前
防災対策本部の様子:レイアウト変更前

そこで沼田講師は、現場からの報告書の形式の統一や報告の定例化、ホワイトボードへの情報の書き出し、現場担当の各部長や行政からの応援職員、問い合わせ対応者などが一堂に会する場の設置などを提案しました。

レイアウト変更後
防災対策本部の様子:レイアウト変更後

「災害時に置かれる対策本部では、災害の種類によらず、曖昧な情報が飛び交う中で、大量の仕事量を、短時間で処理する必要があります。まず大切なのは対策本部内での情報の共有、そして何をいつまでにどこまでやるかという目標の明確化、最後に仕事の分担です」と沼田講師は語ります。倉敷市では、現場の担当者とともに、対策本部のレイアウトを変更して情報が全員にいきわたるようにし、開発した防災プロセスマップに沿って業務を洗い出し、担当部署を割り振りました

防災プロセスマップ
防災プロセスマップ

沼田講師はこれまでにも平成28年の熊本地震での熊本県、平成29年に大雨の被害にあった福岡県朝倉市、平成30年の大阪北部地震での高槻市と茨木市、平成30年7月豪雨での岡山市など、被災地の災害対策本部を訪れ、機能改善に尽くしてきました。どの地方自治体でも、防災のマニュアルはあっても、災害時に機能するか検証して改善することはほとんどなされていなかったと言います。
「何よりも、被災者を救う立場にいる人々が、災害時の模擬体験をとおして考え、行動してみることが大切です。体験をとおして災害対策のプロセスが頭に入れば、実際の災害時にも初動を早めることができます」。
東京大学 生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センターと情報学環 総合防災情報研究センターとで立ち上げた「災害対策トレーニングセンター」は、まさにこの模擬体験を提供する場です。行政、企業、公的機関などあらゆる組織の防災担当者が対象です。数日間かけて実際の災害時の対処のプロセスを体験しながら、参加者同士で対話をし、考えを深めていきます。
「今後は、災害対応のプロセスを国内外に普及するとともに、災害対策トレーニングセンターでの人材育成を強化していきたいと思います」。

(参考)災害対策トレーニングセンターURL:http://tdmtc.tokyo/

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