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実効的なカーボンニュートラルを目指したCCR研究会を設立

国立大学法人東京大学生産技術研究所小林由則研究室、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 創エネルギー研究部門、日立造船株式会社、日揮株式会社、株式会社エックス都市研究所等は、このほど、産業界から排出されるCO2と、再生可能エネルギーを利用し生産される水素を組み合わせた代替エネルギーを提供することにより、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルを目的としたCCR(Carbon Capture & Reuse)研究会を設立しました。

気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で定められた産業革命以前からの世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えるという目標を達成するためには、化石燃料に大きく依存したエネルギー供給体制から、再生可能エネルギー等の非化石燃料エネルギーに軸足を置いたエネルギー供給体制の確立が急務となっています。現時点においても2℃未満の目標を達成するためには、現状よりも2倍の速度でCO2を削減する必要があります。本目標の先送りは、次世代におけるCO2削減に対する負担の加速度的増大を意味することから、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルは喫緊の課題であります。

一方、エネルギー消費全体において電気エネルギーの消費が40%、熱エネルギーの消費が60%であることを鑑みると、熱エネルギーを発生させる燃料が今後も必要であります。風力、太陽光に代表される再生可能エネルギーは、現在の技術では大部分は電気エネルギーの形でしか得られないことから、再生可能エネルギーを用いて燃料を製造する方法を確立することができれば、画期的な技術となります。

本研究会は、このような二つの命題に答えるため、①技術の確立および②社会的意義の周知、③モデルプロセスの検討、④社会実装を促進するプラットフォームの構築を行い、再生可能エネルギーを用いた代替エネルギーを提供することが必要であると考えています。
具体的には、以下の取組を実施します。

1.回収したCO2と再生可能エネルギーから電気分解を経て製造される水素とを反応させて、メタン等の燃料を製造して、熱エネルギーに役立てる技術の確立と社会的意義の周知
2.再生可能エネルギーの供給変動の平準化と、それにより生じる余剰電力を燃料の形で保存する技術の確立と社会的意義の周知
3.各産業におけるCO2の経済的な分離・回収方法、再生可能エネルギーと燃料製造プロセスの合理的な運用方法、分散型モデル、集中型モデルの検討等、再生可能エネルギーの多様性に応じたプロセスの検討
4.社会実装を促進するプラットフォームの構築

本研究会は、産業界から排出されるカーボンをキャリアとして再生可能エネルギー由来の水素と組み合わせた代替エネルギーを提供することで、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルの対策を提案するとともに、2050年に向けた新たなエネルギー供給システムの構築に寄与すること目指します。

化石燃料使用削減に実効的なカーボンニュートラルの対策イメージ

化石燃料使用削減に実効的なカーボンニュートラルの対策イメージ

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