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【報告】第11回海中海底工学フォーラム・ZERO開催(開催日:2024/4/26)

 4月26日(金)、第11回海中海底工学フォーラム・ZERO(https://seasat.iis.u-tokyo.ac.jp/UTforum/)が、本所コンベンションホールで開催された。本フォーラムは、理学と工学の水面下の接点を探るべく、年に2回、本所(春)と本学 大気海洋研究所(秋)にて、海中海底工学に関する最新の動向を取り上げて開催されている。今回は、108名(前年は85名)の現地参加者に加えて、192名(前年は133名)がオンライン参加した。コロナがほぼ収束し、現地参加者が戻るとともに、オンライン会議が定着してきたと思われる。

 今回から、ユネスコ政府間海洋学委員会IOC(Intergovernmental Oceanographic Commission)議長に選出されてフォーラム幹事を辞退された大気海洋研究所 道田 豊 特任教授に代わり、同所 山口 飛鳥 准教授が新幹事として、本所 巻 俊宏 准教授(幹事)とともにフォーラムを盛り上げていくことになった。

 巻幹事による開会の挨拶の後、8件の講演が行われた。東京工業大学 関根 康人 教授による「地球"外"海洋の発見、探査、そして生命生存可能性」は、生命を育む星は地球以外にもあるのか、という問いかけから、我々は孤独か、我々はどこから来てどこへ行くのか、それを知るために海洋と宇宙の連携で取り組むとき、へと導かれた。壮大な宇宙ロマンを透徹した化学分析によって語り尽くした一時であった。また、大気海洋研究所 上坂 怜生 特任研究員による「荒波と暴風の中で飛び立つアホウドリ~局所的な環境条件が海鳥に与える影響~」は、アホウドリに装着したデータロガーの記録から、海上風や波高がアホウドリの飛び立ちに与える影響を分析したものである。アホウドリの飛び立ちには、波が高い方が良い、という結果には、多くの聴衆がどよめいた。なお、気になるロガーの回収は、鳥が営巣地にある自分の巣に帰還する習性を利用して、巣において取り付け・回収を行うため、他の動物に比べて「比較的楽です」との事。これらの講演の他にも、港湾空港技術研究所 吉江 宗生 特別研究主幹による能登半島地震による港湾被災調査の概要とその復旧に向けた数多くの困難への挑戦、6000m級AUVによるレアアース泥探査への挑戦と現場での苦労、イギリスのベンチャー企業による海底や構造物などの高精度リアルタイム3Dマッピング技術の紹介など多彩な話題が次々に提供され、息をつく間もないほど充実した一時を過ごした後、山口新幹事による閉会の挨拶で締めくくった。

 次のフォーラムは、2024年10月11日(金)、大気海洋研究所2階講堂で開催いたします。巻および山口幹事ともども、皆様のご参加をお待ちしています。

 (海中観測実装工学研究センター 特任研究員 杉松 治美)

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左から、開会の挨拶を行う巻准教授(幹事)、閉会の挨拶を行う山口准教授(新幹事)

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左から、関根教授、上坂特任研究員、吉江特別研究主幹による講演

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