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【報告】ライブ中継!最新技術で漁師町の未来をどう変える? ~サイエンスアゴラ2020にてライブ配信~

2020年11月15日から22日にかけて、科学技術振興機構(JST)主催の科学コミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ2020」がオンラインで開催され、本所広報室は「ライブ中継!最新技術で漁師町の未来をどう変える?」というタイトルでライブ配信にて参加しました。

大学や研究機関、学協会などによる100を超えるライブ配信・オンデマンド企画が並び、全企画合わせて約3万6000回の視聴を記録しました。今回のサイエンスアゴラのテーマは「Life」で、「私たちの生命や生活、人としてのありかたと、科学技術の接点についての考えを深める」ことが目的に設定されていました。そこで、本所広報室では「地方の暮らしの力強さと課題を体感し、最先端の技術と多様な背景を持つ参加者の総合知とを組み合わせて、解決方法を探る」ことを企画の軸に据えました。

イベント前半では、和歌山県にある川添研究室加太分室地域ラボに駐在している青木 佳子 助教、中本 有美 派遣連携研究員から、加太に暮らす漁師の加美 誠 氏、幸前 禎泰 氏、料理人であり加太観光協会長である稲野 雅則 氏を交え、軽快なトークで加太の暮らしや環境が紹介されました。これまで進められてきた地域研究の成果に加え、海・山と共存した人々の生活風景を撮影した動画や、クイズが組み合わさった、変化に富む内容となりました。参加者からは「加太の魚や海藻の最大の魅力は」など質問も相次ぎました。

後半では、本所の研究トピックスを組み合わせて、課題を解決するアイデアを競う「生研道具箱カードゲーム」を行いました。「加太の魚がとれなくなってきた」というピンチに対して、参加者からは、「『生体の高品位保存』で、釣った魚から卵だけとって海に戻す」、漁師の「海がきれいになりすぎて魚が減っている」というコメントに応えて「魚の餌になりそうなものを『自律型海中ロボット』でまいて、いい具合に海を汚す」などの意見がありました。「『分子センサー』で魚のストレスチェック」というアイデアに対しては、漁師から「釣ってから時間がたつとストレスで魚がやせ細る。魚に与えるストレスをいかになくすかは、加太が誇る鯛の一本釣りでも重要」と共感が寄せられました。

登壇者もゲームに参加したところ、「『自律型海中ロボット』で漁礁の海洋ゴミを回収する」「『空間構造』と『炭素繊維強化プラスチック』で波に強い船を作る」「大量に魚がとれた場合に『浮沈式いけす』でしばらくいかしておく」「『光触媒』で魚の感染症を防ぐ」など、現場で直面する具体的な課題が浮き彫りになりました。
最終的なYouTube動画の視聴者数は433名(12月1日現在)にのぼり、本所の認知度向上にも、加太を含む地方の魅力と課題についての興味喚起にも、効果があったのではと考えています。

アーカイブ動画はサイエンスアゴラのYouTubeチャンネルで視聴いただけます。ライブ配信を見逃した方はもちろん、もう一度視聴したい方もぜひご覧ください。


企画・実施にあたっては、青木助教と中本派遣連携研究員に並々ならぬご協力を頂きました。立ち並ぶイベントの中で異彩を放つ内容になったのは、加太の皆さまのもつ「人としてのありかた」の魅力のおかげと感じました。心から皆さまに感謝申し上げます。


(広報室 准教授 松山 桃世)

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