2025.06.05 プレスリリース 【記者発表】固体表面上の氷の形成を操る“水”の構造の秘密を解明――氷の形成は基板表面付近の水の秩序構造で決まる―― #東大生研 着霜制御サイエンス社会連携研究部門(研究当時)/同大学 先端科学技術研究センター 極小デバイス理工学分野 田中 肇 シニアプログラムアドバイザー(特任研究員)兼同大学名誉教授と同大学 生産技術研究所 着霜制御サイエンス社会連携研究部門 サン ガン特任研究員(研究当時)の研究グループは、氷の核形成が氷と表面の「親和性」よりも、表面近くの水分子の秩序(低次元構造)により決まることを明らかにしました。分子シミュレーションを用いて、2層の水が順番に秩序化し、氷が成長する“階層的結晶化メカニズム”を解明しました。本成果は、気候変動予測(雲中の氷形成)や凍結制御材料(防氷コーティング・医療用保存技術など)の開発に貢献することが期待されます。
2025.05.23 プレスリリース 【記者発表】培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ―― #東大生研 竹内 昌治 特任教授(本務:同大学大学院情報理工学系研究科 教授)と、同大学大学院工学系研究科 古橋 麻衣 大学院生らによる研究グループは、培養筋肉細胞と3次元筋組織の熟成によって、肉の味の鍵となる遊離アミノ酸(FAAs)が顕著に増加することを明らかにしました。分化によって一度減少したFAAsは、熟成によって再び増加することが確認されました。さらに熟成後の培養肉は市販の牛肉よりも高いFAAs含有量を持つことが示されました。培地中のFAAs濃度を変化させることで、細胞内FAAsも変化することが確認され、培養条件によって培養肉の味(甘味、うま味、苦味)を制御できる可能性が示されました。
2025.05.22 プレスリリース 【記者発表】がん-微小血管チップでがん転移過程の一部を可視化――分子標的薬の開発や薬剤スクリーニングへの応用に期待―― #東大生研 の池田 行徳 大学院生(研究当時)、近藤 誠 助教、松永 行子 教授らのグループは、がん細胞の集団を配置した手のひらサイズの血管チップ(がん-微小血管チップ)を用いて、これらの細胞を生きたまま経時的に顕微鏡観察することで、がん細胞が血管に浸潤しCTCクラスターを形成するまでの一連のプロセスを可視化しました。本研究で構築したチップは、血管内浸潤およびCTCクラスターの形成を標的としたがん転移を抑える治療開発に活用できる可能性があります。
2025.05.20 プレスリリース 【記者発表】ウィルスと同サイズの微粒子を捕捉――ナノファイバー製フィルターと分子性ナノシートの複合化―― #東大生研 の石井 和之 教授、株式会社ナフィアスの渡邊 圭 代表取締役、青山学院大学 理工学部の長谷川 美貴 教授らの研究グループは、数百ナノメートルの孔を持ったナノファイバー製フィルターと、数ナノメートルの孔を持った分子性ナノシートを重ね、ウィルスと同サイズの微粒子を直接捕捉することに成功しました。水溶液と有機相の界面における反応を速やかに行うことにより、数センチメートル四方の分子性ナノシートを作製し、スタンプ法を用いてナノファイバー製フィルターと複合化することに成功しました。本成果により、圧力の損失なくウィルス級の微粒子を除くフィルター開発が進むことが期待されます。
2025.05.16 トピックス 【記事公開】デジタル空間の膨大なデータから、世界の今と未来を可視化する インターネットに繋がった個人やセンサーから発信される情報はデジタル空間にあふれており、その時々の世界について様々なことを教えてくれます。それらは現実社会を映し出す鏡のようなものであり、その膨大なデジタルデータには、社会の出来事を分析・可視化したり、未来を予測したりを可能にする手がかりが含まれています。そうした考えに基づいて、デジタル空間に日々蓄えられるデータを活用する方法を研究しているのが、 #東大生研 の豊田 正史 教授です。教授はこれまで、SNS上のデータなどから、新型コロナウィルスの陽性者数や各種イベントの来場者数などを推定したり、データ分析の結果を可視化したりする方法を提案してきました。そのような推定はいかにして可能になるのか。各種データを可視化することはどのように社会に活かせるのか。豊田 教授に聞きました。
2025.05.14 トピックス 【記事公開】希少な貴金属に頼らない触媒開発で、エネルギー問題の解決を目指す――「最少量の貴金属」と「貴金属フリー」の触媒を開発する―― 化学反応を効率よく進行させる「触媒」は、医農薬の原料やプラスチック製品を開発する際をはじめ、様々な場面で必須のものです。ただし、その多くに、高価で希少な貴金属が含まれているため、より安定的な供給の可能性を高めるべく、今より少ない貴金属の使用で作動する触媒の開発および、貴金属に代わる代替資源で触媒を作る道が模索されてきました。そうした中、 #東大生研 の砂田 祐輔 教授は、従来の触媒に比べて極めて少ない貴金属で作動する「最少量の貴金属」の触媒と、貴金属を一切使わない「貴金属フリー」の触媒を開発し、注目を集めています。最近では、後者の貴金属フリーの触媒技術によって、水素を貯蔵・運搬する方法の構築を目指しています。これまで誰も作ることがなかったこれらの触媒はどのようにできたのか、そしてそれは未来をどう変えていく可能性があるのか。砂田 教授に聞きました。
2025.05.14 トピックス 【報告】生研海外拠点RNUS(Regional Network Office for Urban Safety)タイでRNUSセミナー開催(開催日:2024/11/29) 本所のタイ王国拠点であるアジア工科大学院AITのRNUSオフィスが、One Health, One Worldをテーマに、第3回RNUSセミナーをハイブリッドで開催した。