東京大学 大学院情報理工学系研究科の堀口 修平 博士課程(研究当時)(現:金沢大学ナノ生命科学研究所特任研究員)と、 #東大生研 兼 生物普遍性連携研究機構 小林徹也教授による研究グループは、細胞内分子群や動物個体群、感染症など、生体集団の示す不確実で予測が困難なふるまいを効果的にコントロールするための新たな理論を開発し、分子モーターの最適な輸送制御則や、集団多様性を維持する最適戦略、そして、感染症の抑制方法などを導きました。情報理論に基づく制御コストを活用することで、従来の制御理論で扱いが困難であった生体集団の動態制御を可能にする理論を構築し、特に急激に変化する制御が難しい集団では、集団の状態に依存して「いつ制御すべきか、いつ待つべきか」を自発的に切り替えるスイッチング戦略が効果的であることを明らかにしました。本研究は、感染症流行の制御、がんの進行抑制、生物多様性の保全など、生命と健康に関わるさまざまな生体集団制御問題に対して、共通かつ汎用的な制御理論の枠組みを提供するものであり、複雑生体系の理解と制御の高度化に貢献することが期待されます。