海底ケーブル地震観測網DONETの温度計で100km 以上にわたって同期する海洋波を検出
南海トラフの海底ケーブル地震観測網DONETは緊急地震速報や津波の予測に用いられています。この海底地震計には、別途、地震計に付随する形で温度計が設置されており、海底付近の温度を計測しています。#東大生研 横田裕輔 准教授、同大学 井上智裕 特別研究員/日本学術振興会 特別研究員(研究当時)と防災科学技術研究所 久保田達矢 主任研究員の共同研究チームは、長期間の海底温度データを調査したところ、南海トラフに沿って、100km以上の領域にわたって同期して変動する海洋波を初めて検出しました。海洋学的には“沿岸捕捉波(Coastal Trapped Wave; CTW)”の可能性があり、海底地震観測網が新たな海洋学的な観測の可能性を示した珍しい観測事例です。温度変化は非常に小さく、海底圧力計などでは検知できないレベルの現象であり、南海トラフの地震観測やスロースリップの観測には影響を与えない規模の信号です。将来、より高精度のスロースリップ検出などが実施される場合にはノイズとなる可能性があります。