最新の研究
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コロイドやたんぱく質の新しいゲル化様式
コロイドやたんぱく質の新しいゲル化様式

コロイド分散系やたんぱく質溶液の相分離に伴うゲル化は、粒子間の引力により縮もうとする力の下で形成されると考えられてきた。今回、田中 肇 教授(研究当時、現:名誉教授/シニア協力員)、鶴沢英世 博士研究員、大学院工学系研究科 物理工学専攻の荒井 俊人 講師の研究グループは、従来知られていたゲル化の様式に加え、希薄コロイド分散系において、力学的な力に強く影響されない新しいゲル化の様式を発見した。ゲル化の様式に2種類の基本様式が存在すること、さらには、そのどちらが選択されるかが「力学的に安定な構造ができるまでの時間」と「全系にわたって粒子が繋がったネットワーク構造ができる(パーコレーション)までの時間」の大小関係だけで決まっていることを明らかにした点に新規性がある。この成果は、コロイド分散系のみならず、生体の細胞内で起きる相分離に伴うゲル化現象の理解、さらには、どのような時にゲルが形成され、どのような時にゲル化を伴わない液体としての相分離が起きるかについて基礎的な知見を与えてくれる。化学、食品、化粧品分野などにおけるゲル化の制御、生体内でのたんぱく質のゲル化の理解に大きく貢献すると期待される。