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コロイドゲルはどのようにして弾性を獲得するか
コロイドゲルはどのようにして弾性を獲得するか

田中 肇 教授らの研究グループは、共焦点顕微鏡を用いて、コロイド粒子すべての位置を補捉しながらコロイドゲルの形成過程を3次元的に観察することに成功するとともに、その微視的構造、力学的特性の時間変化を測定することにより、ゲル化に伴う弾性の発現の起源を明らかにすることに成功した。コロイドやタンパク質の凝集に伴うゲル化とそれに伴う弾性の出現は、例えばプリンが固まるといった、日常的な現象であるにもかかわらず、その物理的な理解は大きく遅れていた。今回、「コロイド粒子が、少々の外力では簡単に変形しない力学的に安定なネットワーク構造を形成することで、弾性の出現がもたらされる」ことを明らかにした点に新規性がある。この成果は、コロイド分散系を中心とするソフト・バイオマターのゲル化現象に伴う弾性の発現について、新たな基礎的知見をもたらしたという意味で、その応用も含め大きな波及効果が期待される。