年次要覧
第69号 2020年度 III. 研究活動

3. 研究部・センターの各研究室における研究

3. 研究部・センターの各研究室における研究

構造物の静的および動的破壊に関する研究

教授 中埜 良昭

津波漂流船舶の衝突に対する鉄筋コンクリート造建築物の安全性評価手法に関する研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,助教(名古屋大) 浅井 竜也,大学院学生(中埜研) 島崎 喬子
本研究では,津波避難ビルに影響を与える可能性の高い比較的大型の船舶を対象に,①津波波力作用下における津波漂流物の衝突によるRC造柱部材の局所損傷パターンを明らかにし,②柱の残存軸耐力に加えて梁等による軸力伝達効果を考慮しうる架構実験によりこれが建築物全体の崩壊危険性に与える影響を定量的に評価・分析することにより,③津波防災施設の設計や指定に要する荷重算定手法や架構の耐崩壊安全性評価手法ならびに関連する技術資料・データを具体的かつスピード感をもって提示すること,④これにより被災地の復旧・復興や南海トラフ地震による被害が危惧されている地域の津波災害の軽減に直接的に資すること,を目的としている.今年度は,1層1スパン×1スパンの3次元架構に対して船舶を模擬した鋼棒を衝突させることにより,その反発係数に代表される力学特性や,安全性検討フローの適用性検証を行った.

無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の構造性能に関する実験的研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治,大学院学生(中埜研) Adnan S.M. Naheed
途上国でみられる無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の破壊メカニズムと構造性能の検討を目的として,比較的知見が蓄積されているバングラデシュ国での事例を参考に,無補強組積造壁の有無をパラメータとした2層2スパンの骨組試験体を2体作製し加力実験を2018年度に行った.今年度は,無補強組積造壁付き試験体の挙動を再現でき,さまざまな破壊モードに適用可能なマクロモデルの開発を実施した.加えて,同種の架構の面外方向振動台実験を実施すべく,試験体の設計と地震波の検討を進めている.

都市の急激な高密度化に伴う災害脆弱性を克服する技術開発と都市政策への戦略的展開プロジェクト

教授 中埜 良昭,教授(東北大) 前田 匡樹,教授(大阪大) 真田 靖士,教授(東北大) 姥浦 道生,助教(中埜研) 松川 和人,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治
本プロジェクトは,バングラデシュ国首都ダッカにおいて,地震や重力などの自然外力に対する建物の強靭化のために同国の材料特性や施工技術を踏まえて新たな建物補強技術を開発するとともに,これを実装することにより,同市の災害レジリエンス向上を実現しようとするものである.本年度は,COVID-19の影響で現地渡航はかなわなかったが,現地と通信してのリモート実験,耐震診断マニュアルの執筆,それら成果の発表の場であるセミナーの企画等を実施した.

鉄筋腐食を生じた鉄筋コンクリート造部材の構造性能に関する研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,大学院学生(中埜研) 余 漢順,大学院学生(中埜研) 宋 榮訓
鉄筋腐食を生じた鉄筋コンクリート造部材の耐震性に代表される構造性能を適切に評価することを目的として,本年度は,あらかじめ鉄筋腐食し3Dスキャンにより断面積分布をしておいた鉄筋を用いて鉄筋コンクリート造柱を製作し,その軸力保持能力を実験的に検討した.また,次年度に予定している部材の変形能力評価実験に向けて,実験計画を進めた.

CFRP製ジェットエンジンファンブレードの開発

教授 吉川 暢宏,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹,大学院学生(吉川暢宏研) 阿部雅史
CFRP製ファンブレードの長期信頼性を確保するため,CFRP材料の疲労強度評価手法を開発している.樹脂と炭素繊維を区分するミクロスケールシミュレーションにより,樹脂の局所的応力上昇を的確に評価することで,疲労寿命が予測できることを示した.

ミクロスケール強度基準に基づく短繊維熱可塑性CFRP部材の強度評価

教授 吉川 暢宏,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹
短繊維熱可塑CFRP材料の強度評価手法を開発している.ランダムに配置された短炭素繊維の状況を把握するためX線CTにより撮像された画像から内部構造を構築するための画像処理技術を開発した.作成された内部構造の3次元モデルに基づく強度評価手法を樹脂の材料非線形強度モデルを導入して検討した.現実的なマクロ破壊モデルを構築するための統計的強度モデルを検討し,最弱リンクモデルではなく並列モデルで破壊強度が設定できることを確認した.

熱可塑複合材料の製造プロセスシミュレーターの研究開発

教授 吉川 暢宏,特任研究員(吉川(暢)研) 小笠原 朋隆,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹,特任講師 呉 奇
熱可塑炭素繊維強化複合材料の強度信頼性評価を,製造プロセス段階にまで立ち入って的確に評価するためのシミュレーションシステムを開発している.ミクロスケールでの炭素繊維と樹脂の複合システムとしての加工特性をシミュレーション可能なように,樹脂の温度依存非線形材料特性を直接的に導入した.マルチスケール展開によりマクロな加工特性を導出し,実部品の熱可塑プレス成形プロセス中に発生する不整を評価可能にした.

高圧水素用タイプ3繊維強化プラスチック製蓄圧器の疲労寿命評価法の開発

教授 吉川 暢宏,技術専門職員(吉川(暢)研) 針谷 耕太,特任研究員(吉川(暢)研) キム サンウォン,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹
水素社会を支える基盤インフラである水素スタンド用蓄圧器で活用されるタイプ3炭素繊維強化複合容器の最適設計のため,圧力サイクルに対する的確な寿命予測を行うための有限要素解析手法を開発している.フィラメントワィンディングされた炭素繊維強化プラスチックの積層構成を正確にモデル化するためのソフトウエアFrontCOMP_tankを開発した.詳細な有限要素解析によりアルミ合金ライナーの疲労強度予測の枠組みで寿命予測が可能であることを実証した.またCFRP材料の長期信頼性評価手法を検討している.

2次元物質による水素センシング

教授 福谷 克之,研究員(日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター) 寺澤 知潮,准教授(大阪大) Wilson Dino
グラフェンをはじめとする2次元原子層物質は水素貯蔵や水素センサーとしての応用が期待される.最近グラフェンには水素透過性があり,その際大きな同位体効果を示すことが示され,同位体分離への応用が期待されているが,その詳細な分離効率や透過機構は明らかではない.本研究では低速イオンビームを開発し,高品質2次元物質におけるプロトン透過能を実験的に明らかにすることを目指している.昨年度までに,半球型分析器にイオン源を組み込んだ超低速イオンビームを作製し,さらにイオンビーム輸送のレンズ系を整備することで高効率のビーム照射系を開発した.今年度は新たに磁場と電場を組み合わせたウインフィルターを組み込み,イオンビームの質量選別に成功した.これを用いて単層グラフェンでのプロトンビーム透過率の測定を行っている.

スピン偏極水素源の開発と応用

教授 福谷 克之,准教授(電機大) 小倉 正平,大学院学生(福谷研) 島崎 紘太,大学院学生(福谷研) 中津 裕貴,研究員(日本原子力研究開発機構) 植田 寛和
水素原子はスピン1/2を持つ電子と陽子からなる複合ボゾンであり,超微細相互作用により全スピン1と0の2つの状態が存在する.本研究では,スピン状態が偏極した水素ビームを作成し,スピンダイナミクス解明と散乱を利用した表面磁性プローブを開発することを目的として研究を進めている.これまでに,放電を利用した水素源,ビームチョッパーと検出用共鳴イオン化レーザーを開発し,ビームの飛行時間スペクトルの測定を行うとともに,6極磁石を用いてビーム収束を行った.今年度は,シュテルンゲルラッハ磁石を導入してスピン偏極度の測定を行い,速度によってシュテルンゲルラッハ磁石によるビームの分離分布が異なることを明らかにした.またこのビームを用いて,金属表面に吸着したトルエンの水素化反応を調べ,反応効率が温度に依存することを明らかにした.

ミュオンスピン回転緩和法による氷中水素イオン構造の解析

教授 福谷 克之,技術専門職員(福谷研) 河内 泰三,研究員(日本原子力研究開発機構) 伊藤 孝,研究員(日本原子力研究開発機構) 髭本 亘
氷中の水素イオンは,水素結合間に配置した構造を取るが,2つの酸素原子の中央に位置する場合と片側に偏った場合が考えられ,その詳細は環境に依存する.今回,アモルファス氷および結晶氷中の水素イオンの構造を調べるため,水素の同位体とみなせるミュオンを用いたスピン回転緩和法による実験を行い,そのスペクトルの解析を行った.ゼロ磁場でのスペクトルでは,数マイクロ秒でスピンが緩和する様子が見られ,これは水中のプロトンスピンとの双極子相互作用に起因する.複数スピンの時間発展を考慮してスピン緩和のシミュレーションを行い,実験結果からアモルファスと結晶とで水素イオンの構造が変化することを見出した.

水素の物理吸着とオルトーパラ転換・分離

教授 福谷 克之,研究員(日本原子力研究開発機構) 植田 寛和,助教(学習院大) 山川 紘一郎
水素分子には核スピン3重項のオルト水素と1重項のパラ水素が存在し,固体の表面でオルトーパラ転換が生じることが知られている.本研究ではその微視的な機構解明と新たなスピン計測法の開発を目指して研究を進めている.これまでに,水素分子の分子状化学吸着状態が生じるPd(210)表面で早いオルトーパラ転換が生じる可能性を示し,分子線と光脱離,共鳴イオン化法によるオルトーパラ比計測を組み合わせて,転換時間が~2秒であることを明らかにした.今年度は,試料温度を変化させた実験を行い,温度が上昇するにつれて転換が早くなることを見出した.温度依存性の結果を理論的に解析している.

遷移金属酸化物表面の電子状態・表面伝導

教授 福谷 克之,助教(福谷研) 小澤 孝拓,特任研究員(福谷研) 加藤 弘一,准教授(東京学芸大) 松本 益明,大学院学生(東京学芸大) 藤本 将秀,大学院学生(福谷研) 西谷 侑将,大学院学生(福谷研) 松澤 郁也,教授(大阪大) 田中 秀和
酸化物表面は光触媒や新規電子・磁気デバイスとして注目される.今年度は,高温での水素処理を利用して新たに黒化TiO2の作製に成功した.水素分圧依存性,水分圧依存性などを調べることで,黒化反応の詳細を明らかにした.さらに光電子分光を利用して電子状態を測定し,価電子帯上端が上方に状態密度を持つことを見出した.また新たにペロブスカイト型ニッケル酸化物の水素吸蔵に関する研究に着手した.厚さ100nmの薄膜を作製し,水素に曝露することで水素化を行った.その場で電気抵抗を測定する装置を開発し,水素化とともに抵抗が上昇し,金属絶縁体転移を引き起こすことを明らかにした.また核反応法を用いて,水素量を定量し,転移に必要な水素量を測定した.

金属表面への水素吸着・吸蔵と伝導特性,表面反応

教授 福谷 克之,大学院学生(福谷研) 小澤 孝拓,特任研究員(福谷研) 加藤 弘一,講師(筑波大) 関場 大一郎
金属には水素を自発的に解離吸着し,さらに吸蔵する金属があり,触媒活性や吸蔵金属として注目される.本研究では,水素吸着・吸蔵における表面効果と表面触媒反応,伝導特性に関する研究を行っている.本年度は,これまで開発してきたチャネリング核反応法を用いて,水素化Pdの測定を行った.核反応の1次イオンビームの入射角を2次元的に掃引し,その際の後方散乱と核反応強度の測定を行い,チャネリング核反応の2次元マップの測定に成功した.100軸で核反応信号強度がディップを示すことから,水素が8面体サイトを占有することを明らかにした.さらに水素イオンを照射した試料で同様の測定を行ったところ,ディップ幅が小さくなることが観測された.このことからイオン照射の際には水素が準安定なサイトを占有することが判明した.

ナノ・マイクロ流体ダイナミクスの研究

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗,大学院学生(酒井(啓)研) 横田 涼輔
近年,直径数μm程度の微小流体粒を用いた新たなデバイス作製技術の研究が盛んに行われている.この程度の微粒子では,表面エネルギーや表面粘弾性,あるいは流体内イオンによる静電相互作用により,そのダイナミクスがマクロな液滴とは極めて異なったものとなることが予想される.本研究では,これまで精密な測定が困難であった微小複雑流体粒子の静的構造や粒子運動を観測する新たな手法の開発を行っている.本年度は微小流体粒子のバルク液体への着弾挙動を直接観察し,液液界面現象の物理的解明に取り組んだ.

多自由度が競合する複雑流体における分子緩和現象の研究

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗,特任助教(酒井(啓)研) 平野 太一,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 細田 真妃子
流れ場に加えて濃度場や分子配向,温度勾配などの自由度が相互にカップルする複雑流体においては,各自由度の緩和過程が他の自由度からの影響を受けて特異なスペクトルを示す.この緩和スペクトルを精密に測定することにより,各自由度間の結合の起源を分子レベルで明らかにする試みを行っている.本年度は引き続き,異種液体微粒子の生成によりカプセル構造をもつ微粒子分散溶液と生体細胞分散溶液の粘弾性特性の比較をコントロールされた温度条件のもとで行うことで,疑似生体材料としての微粒子のレオロジー特性の検討を行った.

液体表・界面構造と動的分子物性

教授 酒井 啓司,特任助教(酒井(啓)研) 平野 太一,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 細田 真妃子,大学院学生(酒井(啓)研) 竹内 晴哉
液体表面や液液界面など異なる相が接する境界領域での,特異的な分子集合体の構造や現象に関する研究を行っており,ゲル表面における振動モードの顕微直接観察手法を利用した,表面張力及びずり弾性率を復元力として伝搬する複雑流体上の表面振動モードの定量的解析などの研究を行っている.本年度は当研究室で開発したEMSレオメータを用いて,微粒子分散系や液体混合系などのレオロジー測定や高分子系のレオロジー計測の検討を行った.

複雑流体表面の超高分解能マイクロスペクトロスコピー

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗,特任助教(酒井(啓)研) 平野 太一
液体表面の力学的物性,特に分子吸着に伴う表面エネルギーと表面粘弾性の動的変化を調べる新しい手法の開発を行っている.本年度は局所的な電場印加によって液体表面の変形を励起し,その応答から表面の力学物性を調べる電界ピンセット技術を応用した,空中を飛翔する微小液滴のレオロジー計測および液体表面・界面物性計測が可能な新たな材料評価技術を開発した.また,電解ピンセット技術による液体薄膜のレオロジー計測の新たな可能性を探るための技術開発に着手した.

ハイブリッド乱流モデルの研究

教授 半場 藤弘
高レイノルズ数の壁乱流のラージ・エディ・シミュレーション(LES)を行うには,格子点数の制約から滑りなし境界条件が困難なため壁面モデルが必要となる.レイノルズ平均モデルと組み合わせるハイブリッド計算が精度のよい壁面モデルとして期待される.本研究では,二つのモデルの統合をめざして,スケール空間のエネルギー密度を定義し輸送方程式を導出し,チャネル乱流でのエネルギー輸送とそれに伴う渦構造について調べた.

回転・熱対流乱流の解析とLESのモデリング

教授 半場 藤弘,助教(半場研) 横井 喜充,技術専門職員(半場研) 小山 省司,特任研究員(半場研) 稲垣 和寛,大学院学生(半場研) 堀江 真惟人
円管内の流れに旋回を加えると中心軸付近で主流分布が凹んだり逆流が生じる,また浮力の効果により乱流の乱れや主流が駆動されるなど,回転や浮力の効果を受けた乱流は興味深い性質を示す.本研究では乱流エクマン層や回転チャネル乱流のヘリシティーの生成と輸送を解析した.またヘリカルな一様等方乱流におけるヘリシティーのふるまいを統計理論を用いて理論的に解析した.さらに非等方サブグリッドスケールモデルの検証と考察を行った.

電磁流体乱流のダイナモ機構

教授 半場 藤弘,助教(半場研) 横井 喜充
地球や太陽などの天体で見られる磁場はダイナモ機構すなわち天体内部の電導性流体の運動によって駆動され維持されると考えられる.また磁力線がつなぎかわる現象である磁気リコネクションは,宇宙・天体・実験室のプラズマ現象で重要な役割を果たす.本研究では乱流の統計理論を用いて非圧縮性および圧縮性の電磁流体のクロスヘリシティーの乱流モデルを導き,太陽ダイナモ現象や乱流磁気リコネクションなどに適用した.また圧縮性電磁流体乱流の傾磁場効果や超新星爆発の輸送現象について考察した.

微小fcc結晶の塑性変形に関する転位弦張力モデルを通した理解

助教(枝川研) 上村 祥史,教授 枝川 圭一,名誉教授(東京理科大) 竹内 伸
近年,集束イオンビームによる微細加工を用いた微小な金属結晶の塑性変形研究が広く行われ,結晶サイズが小さくなると急激に変形応力が高くなることが実験的に示されている.本研究ではパイエルス応力の低い面心立方金属について,理論的なアプローチとして単純な転位弦の線張力モデルを用い,この現象を定量的に説明することに成功した.

ファンデルワールスヘテロ構造の作製と量子輸送現象

教授 町田 友樹
様々な二次元結晶のファンデルワールスヘテロ構造を作製して量子輸送現象を調べる.

フォノン流体力学に基づく熱伝導

准教授 野村 政宏,日本学術振興会特別研究員(野村研) Yangyu Guo,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(野村研) Xin Huang,教授 町田 友樹,特任講師 増渕 覚

二次元物質ファンデルワールスヘテロ構造における光電気物性の研究

助教(町田研) 張 奕勁

グラファイト上の2次元ヘリウムの研究

大学院学生(羽田野研) 杉本 健太朗,助教(東大) 簑口 友紀,教授 羽田野 直道
グラファイトの吸着サイト上に形成されるヘリウム原子の量子力学的な性質がグラファイトの慣性にもたらす効果の理論的な解明と,実験の指針の確立

弱測定の精密測定への応用に向けた理論解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子測定において有用な測定値を選別する手法である弱測定法が,測定精度の向上をもたらし得る機構を解析し,既存の実験のデータの分析・検証を通したその有用性の実証や,今後の幅広い応用へ向けた検討を行う.

強く駆動される磁性絶縁体における長距離相互作用の研究

大学院学生(羽田野研) 杉本 健太朗,主任研究員(理化学研究所創発物性科学研究センター) 柚木 清司,教授 羽田野 直道
電場などによって時間的に変調する交換相互作用の下での磁性絶縁体のダイナミクスの理論的な解明.

有向グラフクラスタリングの統計力学的解析とその実データへの応用

大学院学生(羽田野研) 越智 昌毅,教授 羽田野 直道
有向グラフのスペクトル法を用いたクラスタリングの性質を,キャビティ法などの統計力学的アプローチから解析し,実データのクラスター推定への応用を考えた.

相互作用が常に存在する系でのエンタングルメント 磁場センサ

大学院学生(羽田野研) 吉永 敦紀,教授 羽田野 直道
磁場を高感度に測定する磁場センサの新たなプロトコルを理論的に提案した.

結合量子調和振動子模型の非平衡熱力学エントロピー

大学院学生(羽田野研) 青木 隆明,契約職員(産業技術総合研究所) 箱嶋 秀昭,主任研究員(産業技術総合研究所) 松崎 雄一郎,教授 羽田野 直道
星形の結合量子調和振動子模型を対象にして,(1)全系の非平衡熱力学エントロピーの定義及び解析と(2)各調和振動子の温度の解析を行っている.

量子化・擬確率の随伴理論に基づく量子現象の解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉,教授 羽田野 直道
量子論における諸現象を,量子化・擬測定の双対構造に着目して解析する.とりわけ,不確定性関係を対象に分析を行う.

非エルミート量子力学

教授 羽田野 直道
「非エルミート量子力学」は,羽田野が1996年の論文で初めて使った言葉である.その論文で提案した模型はHatano-Nelson模型と呼ばれ,最も簡単で非自明な非エルミート量子模型として近年,特に興味を持たれている.非エルミート量子系を研究する動機は大きく3つに分けられる.まず,系全体が閉じた非エルミート系である場合を考えるもので,非エルミートの起源は問わない.次に,大きなエルミート系の一部としての非エルミート系で,開放量子系と呼ばれる.最後に,エルミート系をあえて非エルミート化することによって,エルミート系をよりよく知るというものである.虚数は現実には存在しない「想像上の数」であるが,複素数の有用性を疑う者はいない.それと同じ事を演算子のレベルで行うのが非エルミート量子力学である.非エルミート系の有用性,有効性を,より幅広い分野で明らかにする研究を進めている.

非平衡定常状態の分子動力学計算

大学院学生(羽田野研) 土居 謙介,教授 羽田野 直道
古典粒子系に異なる温度の熱浴を適用した分子動力学計算を行い,温度差のある非平衡定常状態を実現し,種々の物理量を計算した.

スペクトルシアリング干渉を用いた中赤外フェムト秒パルスの波形計測法の開発

教授 芦原 聡,大学院学生(芦原研) 岡崎 大樹,研究実習生(芦原研) Kugel Tobias
振動分光法に革新をもたらすキーデバイスの一つが赤外波長域のモード同期レーザーである.赤外モード同期レーザーによって分子を高感度に検出し,あるいは,分子反応を制御するためには,その電場波形を精密に評価する必要がある.本研究では,スペクトル領域のシアリング干渉を用いて赤外モード同期レーザーパルスの電場波形を計測するシステムを開発した.

赤外プラズモニクスを活用した電気化学反応の新規振動分光法の開発

助教(芦原研) 森近 一貴
近年の環境・エネルギー問題への関心の高まりとともに,電気化学反応などのエネルギー変換技術に関する研究の重要性が増している.これらの電気化学反応を深く理解するためには,電極界面における反応物・中間体・生成物の構造を分子レベルで理解することが必要不可欠である.赤外超短パルスレーザーを用いた非線形分光は,こうした分子レベルの知見を非破壊的かつその場で測定できる強力なツールであるが,本質的に測定感度に乏しく,その適用範囲は著しく制限されている.そこで本研究では,金属ナノ構造の表面プラズモン励起に伴う電場増強効果を利用した,電気化学反応を高感度に計測できる新規赤外非線形分光法の開発を目指す.

金ナノ構造からの電子放出を用いた光電場計測素子の開発

教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴,大学院学生(芦原研) 岡崎 大樹,大学院学生(芦原研) 新井 滉
通常,光検出器といえば光の時間平均的な強度を測るものであり,光の瞬時電場を計測できるものではない.これは,電波の場合と異なり,光の電場振動がペタヘルツという極めて高い周波数領域にあり,電気回路が追従できないためである.ところが,光電場が物質中のクーロン電場に匹敵するほど強くなると,物質中の電子が光の瞬時電場に追随して応答するようになる.本研究では,このような電子の瞬時応答を利用して,光の電場を直接的に計測する手法の開発を行った.

高次高調波発生を用いた結晶方位イメージング

教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴,大学院学生(芦原研) 高橋 知宏
超短パルスレーザーを固体結晶に照射すると,周波数が入射光の整数倍であるような高次高調波が発生する.近年の研究により,高次高調波の性質が,入射偏光と結晶方位に応じて敏感に変化することが明らかになってきた.我々は,この性質を利用することによって,固体結晶の結晶方位を全光学的に判別・イメージングする新手法の開発に取り組んだ.

Characterization of surface modification processes on hydrogen plasma-exposed tungsten

特任教授 ビルデ マーカス,博士研究員(Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Liang Gao,Staff Scientist (Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Armin Manhard,Group Leader (Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Wolfgang Jacob
In collaboration with the Max-Planck-Institute for Plasma Physics (IPP) in Garching, Germany, this project proposes an atomistic model for the origin of nanometer-thin, heavily-lattice deformed and strongly hydrogen-supersaturated layers (SSLs) that can form on material surfaces under irradiation by low-energy hydrogen isotope (HI = H, D) plasma. The formation of such a thin (~10-nm) surface layer containing a very large amount (~10 at. %) of trapped D (DSSL) was recently discovered on D plasma-exposed tungsten (W) surfaces. This surface modification phenomenon occurs at remarkably low D ion energies far below the kinetic energy threshold for the creation of stable Frenkel pairs (vacancies and interstitial atoms) in W and was entirely unexpected. As the primary defect generation mechanism, we propose here that the sub-threshold collisions of HI ions with W lattice atoms are responsible for a synergistic creation of HI-stabilized lattice defects, which can only occur under plasma irradiation conditions in the few-nm shallow implantation zone underneath the surface, which is rich in metastable solute HI atoms. These HI-stabilized primary defects agglomerate into larger defect structures in the SSL volume that are finally observable as morphology-distorted regions by scanning electron microscopy (SEM) and appear as prominent hydrogen-rich layers in hydrogen depth profiling by 15N nuclear reaction analysis (NRA). For details, see L. Gao et al., Acta Materialia 201 (2020) 55-62.

Development of nuclear reaction analysis for simultaneous quantification of 1H and 2D isotopes in surface layers with 15N ion beams

特任教授 ビルデ マーカス,准教授(東京学芸大) 松本 益明,博士研究員(Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Liang Gao,Staff Scientist (Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Armin Manhard,Group Leader (Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Wolfgang Jacob,Staff Scientists (Max-Planck-Institute of Plasma Physics (Garching, Germany)) Dr. Thomas Schwarz-Selinger
We routinely employ nuclear reaction analysis (NRA) via the resonant 1H(15N,alpha,gamma)12C reaction as a powerful method for quasi-nondestructive and nanometer-scale-resolved hydrogen (1H) depth profiling in the near-surface region of solids using MeV-15N ion beams. Since the 1H(15N,alpha,gamma)12C nuclear reaction detects only the 1H isotope, the versatility of the 15N NRA technique is limited in situations where the analyzed target contains the 2D (deuterium) isotope in addition to 1H. We therefore developed an upgrade for the NRA technique that enables the quantification of both the 1H and the 2D isotope content in materials simultaneously, using the same experimental setup and a single MeV-15N ion beam. This is achieved by registering the 6.1 and 7.1-MeV gamma-rays emitted from the 2D(15N,p)16N and 2D(15N,ngamma)16O nuclear reactions (which are both excited at the same time by the >6.4-MeV 15N ion beam) in addition to the 4.3-MeV gamma-radiation from 1H(15N,alpha,gamma)12C. The upgraded 15N NRA method allows measuring the 1H depth distribution with nanometer resolution (as before) while simultaneously determining the depth-integrated amount of 2D in the near-surface region of the target. In collaboration with the Max-Planck Institute for Plasma Physics (IPP) in Garching, Germany, we measured the cross-section of the 2D(15N,p)16N and 2D(15N,ngamma)16O nuclear reactions in the 15N energy regime from 3.3 to 7.0 MeV. This allows evaluating the depth-dependent sensitivity of the novel 2D-15N NRA technique in any given material through SRIM simulations. The sensitivity of 15N NRA for 2D at the target surface is thus found to be approximately 30% of that for 1H. The novel analytic technique is promising to investigate near-surface H/D exchange processes at H (or D) plasma-exposed modified material surfaces that are envisioned to promise application potential as novel functional and catalytic materials. The development is documented in: M. Wilde et al., Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. B 478 (2020) 56-61.

Diffusion and Thermal Stability of Hydrogen Impurities in Oxide Materials

特任教授 ビルデ マーカス,教授 福谷 克之,博士研究員(東大) 毛 偉
The reactive behavior of hydrogen at surfaces of metal oxides and its interaction with bulk defects in transition metal oxide materials (ZnO, TiO2 , CeO2) is investigated in several collaborations. Hydrogen (H) depth profiling via nuclear reaction analysis (NRA) in conjunction with thermal desorption spectroscopy (TDS) is employed to quantify the H coverage on oxide surfaces and to determine the H impurity concentration as well as its thermal stability and diffusion behavior in the bulk. A collaboration with Dr. Wei Mao (University of Tokyo, ) investigates the thermal stability and diffusion behavior of hydrogen impurities in CeO2 thin films prepared by pulsed laser deposition, which is of potential application interest as hydrogen permeation barrier coating to prevent hydrogen embrittlement.

Hydrogen-containing functional materials for electronic, photochromic, and photoelectric devices

特任教授 ビルデ マーカス,教授 福谷 克之, 東京工業大学 教授 一杉研究グループ, 名古屋大学 教授 宇佐美研究グループ
Prof. Taro Hitosugi and Dr. Ryota Shimizu of Tokyo Institute of Technology develop epitaxial growth fabrication techniques for metal hydride (EuH2, NbHx) and oxy-hydride (YOxHy) films for photoelectric and photochromic device applications. In collaboration with this project, we apply hydrogen depth profiling with nuclear reaction analysis (NRA) to reveal the quantitative composition (H content) of the epitaxial hydride films and its dependence on process parameters and illumination conditions. For results, see Y. Komatsu et al., Crystal Growth and Design 20 (2020) 5903. A further collaboration with Nagoya University (Prof. Noritaka Usami, Dr. K. Gotoh) develops fabrication processes for a-Si:H/c-Si heterojunction solar cells with optimized interfacial hydrogen passivation performance. Here, NRA hydrogen depth profiling is used to reveal subtle changes of the hydrogen distribution near the interface between the hydrogenated amorphous silicon (a-Si:H) layer and the crystalline silicon (c-Si) substrate in response to the fabrication process parameters. This investigation allows correlating the near-interfacial hydrogen concentration distributions with the electrical properties of these model photovoltaic devices. For results, see M. Semma et al., AIP Advances 10 (2020) 065008, S. Miyawaga et al., J. Vac. Sci. Technol. A 38 (2020) 022410 and Y. Nakagawa et al., J. Vac. Sci. Technol. A 38 (2020) 022415.

岩の風化と斜面災害に関する研究

准教授 清田 隆
極端な干ばつと豪雨の繰り返しが地盤の風化や斜面の安定性に及ぼす影響を,原位置試料を用いた改良型一面せん断試験により検討している.本試験機では,せん断クリープ状態において供試体の乾燥・湿潤および温度調節が可能である.

液状化地盤の強度変形特性に及ぼす土粒子構造の影響

准教授 清田 隆
砂地盤の液状化特性は密度や粒度特性だけでなく,その微視的構造の影響を受ける.これらの関係を総合的に理解することは,年代効果も考慮できる合理的な液状化予測手法の確立,液状化試験用の不撹乱試料の品質評価にもつながる.本研究では室内試験における微小せん断剛性率の計測を併用した三軸・中空ねじりせん断試験,および様々な現場調査により,この課題に取り組んでいる.

複雑流体物理学

准教授 古川 亮
複雑流体の動的問題について幅広く研究を行った.ガラス転移の物理機構の理論的な解明に向けた努力を主に展開しているが,今年度の主な成果として,以下を列記する.(i)シリカや水などの四面体ネットワーク形成液体では,粘性の異常な密度依存性が知られていたが,その機構は十分明かにされていなかった.この問題に対し,圧縮による構造変化が最々隣接間Si-O対の相互作用に変化を及ぼすことで,活性化エネルギーの減少をもたらすことを見出した.(ii)過冷却液体の非ニュートンレオロジーを定量的に記述する有効密度モデルに対し,その基礎づけを与える数値的証左を見出した.(iii)非ブラウニアン粒子分散系のシアシニング現象やモデル微生物系の粘性逓減についても,流体力学的シミュレーションにより,そのメカニズムを検討した.

LFT-D材料の強度予測法の開発

特任講師 呉 奇
短炭素繊維と熱可塑樹脂の混錬により成形されたLFT-D材料の強度について,樹脂と炭素繊維を区分するミクロスケールシミュレーションに基づいて,理想的に実現できる強度とそのばらつきを求める手法を開発した.成形プロセスにより炭素繊維の配向が定められるが,繊維配向方向に関しては並列モデルによる強度予測が有効であることを示した.

分極とひずみの結合をもつ結晶における強誘電性と反強誘電性の制御

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
強誘電性および反強誘電性とは,物質において電気分極の秩序が生じ,その秩序が外部電場により制御可能であるという性質を意味する.このような性質を示す物質はペロフスカイト型酸化物,有機結晶,高分子,液晶などで幅広く発見されており,特に力学物性・熱物性や磁気物性との結合による,大きな圧電特性,電気熱量効果や磁気抵抗効果は基礎・応用の両面から注目されている.そのような,構造相転移を利用した巨大応答に対して明確な物理的描像を与えるために,本研究では,単純な分子モデルを提案し,圧力や分子の形状を制御することで相転移を力学的に制御し,分極とひずみあるいは熱の結合した巨大応答を実現することを目的としている.これにより,物質の電気磁気的性質を力学的・熱的に制御するための一般的な方針を,物質の個性によらないかたちで提示することが可能になってきている.

液体ー液体相転移の流体力学

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
近年,実験・シミュレーションにより,水をはじめとしたいくつかの物質においては,純粋な物質の液体相は1つしか存在しないという従来の常識に反し,単成分液体に2つ以上の液体相が存在する可能性が示された.異なる液体相の間で起こる転移現象は「液体・液体相転移」と呼ばれる.液体の最も大きな特徴は,その流動性であり,我々はこの現象における流体力学の役割を理論・シミュレーションにより明らかにした.

粘弾性流体におけるシアバンディングのメカニズム解明

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
高分子系に代表される粘弾性流体は特異な力学特性を示し,中には流動化で自発的に不均一流動が生ずるレオロジー不安定性を有するものがある.とくにシアバンディングと呼ばれる現象では,均一なシア流動に対して,シア勾配の大きい領域と小さい領域とに自発的に分離する.我々はそのメカニズムを解明すべく,体積粘弾性緩和を取り入れた理論を構築し,流体力学シミュレーションによりシアバンディングが説明可能であることを示した.さらに分子動力学シミュレーションにより,本モデルの分子論的起源にも迫ることに成功した.

自己回転粒子の相分離

PhD. student (Indian Institute of Technology, Madras) Bhadra HRISHIKESH,客員共同研究員(東大) 田中 肇,特任講師 高江 恭平

荷電コロイドの流体力学における電荷の不均一性

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
コロイド粒子とは目では見えないほど小さく,しかし原子分子よりはるかに大きな大きさを持つ粒子の総称であり,相互作用が多彩であること,熱ゆらぎの影響を強く受けることなどから,多様な構造形成,ダイナミクスを示す.多くのコロイド粒子は,表面に電荷を持ち,水などの溶媒中に分散したイオンと相互作用することで複雑な挙動を示すが,そこでは,コロイド表面の電荷が不均一になることが重要であり,コロイドの凝集過程や,水と油の混合溶液における運動を支配している.そのような複雑なふるまいを,電荷の不均一性と流体力学の結合に着目して,統一的に理解することを目的としている.それにより,コロイド溶液のダイナミクスに普遍的な物理的描像を与えること,またコロイドを構成要素とした高次の構造形成に対する,指針を与えることが可能になると期待している.

AM(Additive Manufacturing)を用いた新しいものづくりの研究

教授 山中 俊治
近年,3Dプリンタの普及によって生産技術の現場は大きく変革しているが,その反面で,AMの効果を最大限活かしたコンテンツの発見にはまだ至っていない.本研究では,AMの製造技術を理解したうえで可能となるものづくりの方向性を示すことを目的としている.

AM技術を用いた義足のデザイン

教授 山中 俊治
現在,義肢装具士の手づくりで行われている義足のソケット製作のプロセスにAM技術を導入することで,美しい外観を持ち且つひとりひとりにフィットするソケットをデザインする.3次元計測による義肢装具士が行っているソケット製作のノウハウを定量化,積層造形技術の特性を活かした美しい外観と機械特性を両立するデザイン手法の開発を行う.

Bio-Likenessロボットの研究

教授 山中 俊治
本研究では人に生命感を想起させるロボットを制作する.一般的にロボットは産業用ロボットを除くと生体模倣を基軸とした設計が主であるが,特にそれらにおいては構造と外装の設計を分けて考えがちである.制御部品やモータは覆い隠される傾向にあるが,構造によるふるまいと外観は同時にデザインされるべきであると考えている.このようなデザイン・エンジニアリング手法を取り入れた設計は,ブラックボックス化を防ぐだけでなく,メンテナンス性の向上にもつながる.

アスリート用義足のデザイン

教授 山中 俊治
主に陸上競技用の義足の開発を行う.2008年から始まったプロジェクトの一環として,身体のラインに沿うデザインの機能的かつ美しい義足の開発を行っている.断端に合わせて作成するソケットは,従来義肢装具士の手作業で作られており,重量の最適化や外観のデザインは十分になされていなかった.本研究では,3次元計測とドライカーボンの製造技術を用い,軽く,強度に優れ且つ美しい義足を開発する.

航空機製造におけるものづくりに関する技術開発

教授 臼杵 年,教授 岡部 徹,教授 岡部 洋二,准教授 土屋 健介,特任教授 橋本 彰,特任講師 馬渡 正道,教授(東大) 柳本 潤
次世代の航空機製造技術に関して,複数のテーマを同時進行でその課題解決に取り組んでいる.

難削材切削加工の研究

教授 臼杵 年,特任助教(臼杵研) 萩野 将広
チタン合金,超耐熱合金等の難削材料の切削加工を中心に,加工法,切削現象,切削工具開発や切削油剤給油法等の研究を行っている.

ITS(高度道路交通システム)における自動車の運動制御に関する研究

教授 須田 義大

ITS(高度道路交通システム)に関する研究

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

ビークルにおけるマルチボディ・ダイナミクスに関する研究

教授 須田 義大

人間行動指標による公共交通システムの快適性評価

教授 須田 義大

新たな鉄道技術の開発と推進及び鉄道と自動車交通のインタラクティブなシステムに関する研究

教授 須田 義大,教授 中野 公彦

次世代モビリティ評価シミュレーションに関する研究

教授 須田 義大

超低速移動体の自律移動モビリテイ評価

教授 須田 義大

車両空間の最適利用に関する研究

教授 須田 義大

車載カメラによるカーブミラーの認識

教授 須田 義大,特任准教授 小野 晋太郎

車輪 ・ レール系の知能化に関する研究

教授 須田 義大

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

生殖細胞の力学的計測

教授 川勝 英樹
配偶子の力学的計測を行うために,力や水中の音に対して感度の高い検出方法を開発している.

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

CT画像からの3次元血管形状自動抽出手法,血管形状編集手法の開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,講師(東大) 保科 克行,大学院学生(大島研) 陳 琰
CTのスライス画像を重ねて3次元血管形状を構築する際には,近接血管がくっついて認識してしまうことがあるほか,CT解像度程度の細い血管が分岐することに起因する血管の突起など,セグメンテーション処理において医学的知見に基づいて手動で補正しなければならない.また,動脈瘤が出現する過程を考察するため,動脈瘤を除去した血管形状をセグメンテーション領域に対して手動で編集する必要がある.本研究ではそれらの作業を自動で行うことのできるアルゴリズムの開発を目指す.

Image-Based Simulationにおける脳血管形状の血行力学に与える影響の考察

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,リサーチフェロー(大島研) 高木 清,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹
重大な脳血管疾患であるくも膜下出血に対して,その主要因の脳動脈瘤の破裂に関連する手術ガイドライン作成が求められている.そこで,本研究では脳血管の血流を数値シミュレーションし,動脈瘤の発生,破裂のメカニズムの解明を目指している.シミュレーションに用いる3次元血管モデルについて,医用画像から血管抽出および,3次元構築の手法の問題点と解決法を検討する.さらに,モデルの中心線を抽出することにより形状をパラメータ化し,モデルをパラメトリックに変形して血管形状の血行力学に与える影響を考察する.

Willis動脈輪における血管形状のパラメータ化と形状分析

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰
血管内の壁面剪断応力(WSS)は,血管内皮細胞に直接作用を及ぼし,血管疾患の発生に関係する血行力的因子である.WSSは,血管形状に大きく影響される.本研究は,61例のMRA画像(Brain Vasculature database, BraVa)と9例のCT画像から抽出した脳部動脈血管スケルトンデータを対象とし,曲率とねじれ率からなる三次元形状パラメータを用いて血管形状の特徴を分析する.また,データ駆動型のアプローチにより,動脈瘤・狭窄症が起こりやすい脳主幹動脈形状の主成分分析を行う.

デジタルホログラフィック計測によるマイクロ混相流動現象の3次元計測

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
血液診断チップに代表されるマイクロ流体デバイスは,多くの利点から爆発的な普及が期待されているものの,デバイス内で起きている3次元的で複数の物理現象が重複した流れを定量的に計測する手法が確立されていないことが,実用化に向けた障害となっている.本研究では,対象の3次元情報を2次元のホログラム画像に記録できるデジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を用いて,これらマイクロスケールにおけるマルチフィジックス現象の定量的な計測を目指す.特に,本計測手法を用いて,マイクロ流体デバイスで頻繁に用いられるマイクロ液滴の生成・流動挙動計測を行う.

マイクロ3次元光造形法の開発

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
本研究では,赤血球のマイクロ挙動解明に向けたモデル実験に用いる,3次元特殊形状マイクロビーズの造形を念頭においた,マイクロ流路内に複雑な3次元形状の構造物を高速造形する手法の開発を目的とする.本手法で作成する赤血球モデルの混相流計測を行うとともに,本手法が持つ高速性,製作精度,生産性,造形できる形状および機能の自由度の高さといったアドバンテージを生かし,マイクロ流体デバイスの開発手法に強力な造形ツールとして提案する.

モデリング及び可視化機能のある統合的血流1D-0Dシミュレーションシステムの開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,大学院学生(大島研) 陳 琰
血流1D-0Dシミュレーションは,手術効果予測・評価のために行われる.全身動脈の血流状態を直感的に把握するには,シミュレーション計算に使われる患者固有医療画像データだけでなく,統計データも取り入れて,人体の全身循環網を3次元に構築し,可視化する必要性がある.本研究は,統計データに基づいて全身の主な動脈の3次元モデルを構築し,deformable modelの手法により患者固有形状モデルと連結させて,その上にシミュレーション結果を可視化する.また,仮想手術と想定する,システム上でインタラクティブに血管径を調整し,1D-0Dシミュレーションに使うインプットファイルを作成する機能もモジュールに取り入れる.

上顎骨の後上方移動術前後における鼻呼吸機能の流体解析

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 青柳 美咲
不正咬合や咀嚼機能の改善に顎顔面領域の外科治療が多く行われており,主として咬合関係や顔貌形態を基準に手術計画が作られる.しかし,術後に気道形態が変化することが指摘され,睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害が生じるおそれがある.上顎骨の移動が呼吸に与える影響は大きく機能的評価が必要であるが,上顎骨後上方移動に伴う鼻腔,咽頭部の変化に関する報告は認められない.そこで,医用画像から気道の3次元モデルを構築し,上顎骨後上方移動を伴う顎矯正手術が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすることを目的に解析を行っている.

下肢動脈の血管ステント挿入時の血流解析

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,大学院学生(大島研) Chen Wang
Unlike the straight model, the curved helix model will occur secondary flow performance at the curved part of the vessel, which will affect the local wall shear stress and oscillatory shear index distribution, to further investigate on how the shape of the curved helix would affect the flow performance inside the targeted artery, we try to design helix models with different combinations of curvature and torsion and simulate cases using Openfoam and compare the resutls to the reference straight model.

多波長共焦点マイクロPIVによるマイクロ混相流の可視化計測

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
近年,発展の目覚しいマイクロTASの分野においては,混合や分離,化学反応,運搬といった様々な機能を,微少流体の正確な操作により実現することを目的としている.主なアプリケーションとして,マイクロ液滴を用いたデッドボリュームの少なさによる混合や反応の高速化,生体細胞やDNAを内包しての運搬などが開発されている.これら主な機能を果たすのは液滴や固体粒子が混在する液液混相流もしくは固液混相流である.そのため,マイクロスケールにおける各相の相互作用の解明が重要である.本研究では本研究室で開発された共焦点マイクロPIVの技術を応用し,マイクロ混相流の計測が可能な2波長分離ユニットを組み込んだ.これにより,マイクロ液滴の内部および外部流動場の同時計測や,マイクロジャンクションにおけるwater in oil液滴生成機構の計測,マイクロビーズを含む固液混相流の計測を行なっている.

大動脈瘤への形状パラメータの影響

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 中島 嘉春
曲率・捩率を基本とした形状パラメータのWSSへの影響を調べることで動脈瘤形成部位の予測を目指す.

機械学習による代理モデルを用いた脳循環シミュレーションの不確かさ解析

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 尹 彰永
血流シミュレーションによる予測結果の信頼性を評価するには,医用計測データに基づいて設定したモデルパラメータの不確かさが,予測結果に及ぼす影響を定量化する必要がある.そのためには,不確かさ範囲内の異なる条件でシミュレーションを繰り返し,結果の統計量を得る必要があるが,計算規模が必然的に大きくなることから,医療現場での実施が難しいという問題点がある.そこで本研究では,深層学習を活用し,従来の血流シミュレーションと同等な予測を高速で行う代理モデルを作成した.これにより,不確かさ解析をデスクトップPCにて数分で実施可能とした.

粒子法による液滴の滴下挙動再現と定量的評価

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦,研究実習生(大島研) 夏目 拓也
脳動脈瘤の破裂によって引き起こされるクモ膜下出血への予防術式として,海外では液体を用いて瘤内を塞栓する液体塞栓術も用いられており,歪かつ巨大な脳動脈瘤に対応可能であることから今後は有力な術式と期待されている.しかしながら,液体塞栓術は塞栓材が瘤外へ流出して健常な血管も塞栓する危険性があるため,国内では未認可である.我々は,粒子法を用いて液体塞栓術への応用を目的とした塞栓材注入シミュレーションを開発し,物理実験と比較することで精度の検証を行ってきた.しかしながら,これまでのシミュレーションで形成された液滴は物理実験のような滴下の挙動を再現できていなかったため,物理実験との比較による定量的な精度検証はできていなかった.そこで,界面張力モデルとしてポテンシャルモデルを用いることで,シミュレーションでも液滴の滴下挙動を再現し,物理実験との比較により液滴挙動の定量的評価を行った.本手法の適用により,液滴の滴下挙動が再現でき,また,滴下時刻は若干異なるが形成過程は物理実験とほぼ一致していることを確認した.

脳循環の末梢血流を考慮した数理モデルの構築

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 祇園 真志
末梢部の流れを考慮した脳循環のモデルを構築することを目的とし,末梢部の側副血行の影響を調べた.

脳血管モデルが血行動態に与える影響の評価

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 大囿 勇也
医療計測データに基づく不確かさを含めた血流シミュレーションは,過灌流リスクを非侵襲的に評価することが可能であるが,医療現場での利用には多数の実症例で妥当性を検証することが必要である.本研究ではより多数の症例におけるシミュレーションを実施し,予測精度の検証と向上を図る.

腹部大動脈瘤におけるステントグラフトの3次元形状の経時変化の定量化

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,教授(東大) 高木 周,大学院学生(東大) 根元 洋光,講師(東大) 保科 克行
腹部大動脈瘤におけるステントグラフトを用いた血管内治療は,開腹手術に比べて患者への負担が小さいため広まっている.一方で,ステントグラフトのマイグレーションに起因した有害事象が発生しており,原因調査や対策が研究されている.本研究は,医用画像から得られたステントグラフトの中心線を抽出し,曲率や捩れ率等の形状パラメータとして定量化することで,ステントグラフトのマイグレーションによる有害事象の予兆を定量的に把握するための手法を開発する.医用画像から得られた中心線は画像ノイズを持つため,ペナルティ項付のスプラインフィッティング手法を適用することで,曲線の特徴を消さない平滑化を行う.

腹部大動脈瘤における薬剤内包ミセル挙動解析

教授 大島 まり,講師(東大) 保科 克行,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦,研究実習生(大島研) 夏目 拓也,大学院学生(東大) 福原 菜摘,大学院学生(大島研) 渕 将徳
腹部大動脈瘤に対する治療法として薬剤投与が有効であると考えられており,その臨床化に向けて薬剤ミセルの滞留メカニズムを明らかにする.

腹部大動脈瘤局所拡張速度に基づく形状予測診断手法の提案

教授 大島 まり,講師(東大) 保科 克行,研究員(大島研) 山本 創太,大学院学生(東大) 宮原 和洋,研究実習生(大島研) 岩切 拓海
腹部大動脈瘤局所拡張速度に基づく拡張形状の具体化による予測診断手法を開発し,直線的な腹部大動脈の一部が突出してできた典型的な動脈瘤形状及び高屈曲大動脈瘤に対する形状予測診断手法の適用性検証を行った.

色収差を利用した3次元マイクロ速度場計測法の開発

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦
本研究では,共焦点マイクロPIV(Particle Image Velocimetry:粒子画像流速測定法)の欠点であった3次元計測に向けて,クロマティック(色収差)レンズを利用した,3次元マイクロ速度場計測法の開発を行っている.本手法は面倒なキャリブレーション作業を必要とせず,シンプルな機器構成で実現できるアドバンテージがあり,従来の手法よりも高倍率・高解像な計測が可能である.本手法においては光学設計とともに高精度な画像処理技術と3次元速度算出アルゴリズムの開発が重要な要素である.

血管内皮細胞骨格の三次元画像再構築と骨格配向・密度の定量評価

教授 大島 まり,研究員(大島研) 山本 創太,技術専門職員(大島研) 大石 正道,研究実習生(大島研) 慶田 真弘
画像解析ソフトImageJによりアクチンフィラメントの画像の三次元再構築を行い,密度変化を測定した.また,繊維配向プログラムより骨格配向を測定し,壁面せん断応力の影響による配向の変化を考察した.

インスリン様成長因子1の電子状態の研究

大学院学生(佐藤(文)研) 佐々木光,教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
IGF-1のハイブリッド密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算を達成し,インスリンの結果と比較してIGF-1に特徴的な電子構造の特徴を見出した.

グルコースオキシダーゼの電子状態研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グルコースオキシダーゼ活性中心モデルの拡張系における全電子計算を実施した.活性中心周り以外のアミノ酸残基にグルコースオキシダーゼのカギとなるアミノ酸残基があることが推察された.このような方法を拡張し,量子化学計算によるタンパク質のデザイン研究を提案した.

密度汎関数法に基づく第3世代カノニカル分子軌道法の開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グリッドフリー法とコレスキー分解法を組み合わせて,スパコンで十分な性能を引き出すことができる第3世代法を開発した.今年度は特に転置の高速化を行った.

絶縁材料設計手法の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,助教(東大) 佐藤 正寛
MD法,電子移動計算,キネティックMC法などの各種シミュレーションを組み合わせて,絶縁材料の電荷輸送特性の電子状態解析を実施した.

Organ on a Chipに関する研究

教授 藤井 輝夫,助教(藤井研) 篠原 満利恵,准教授 池内 与志穂,教授(東大) 南学 正臣,准教授(東海大) 木村 啓志,研究実習生(藤井研) 土肥 浩太郎,研究実習生(藤井研) 近森 正智
マイクロ流体デバイス上に様々な臓器由来の細胞培養系を構築し,生体内に近いin vitro系を実現するとともに,臓器間の相互作用を考慮した薬効評価や毒性評価のための技術を確立する.

新型コロナウイルス迅速検出法の開発

教授 藤井 輝夫,国際研究員(藤井研) Anthony Genot,国際協力研究員(藤井研) Yannick Tauran,大学院学生(藤井研) Nicolas Lobato-Dauzier
新型コロナウイルス感染を制御するには,低コスト,迅速,簡単な検査法が必要不可欠である.本研究では,研究室固有技術であるDNA修飾ビーズを用いて,酵素を使わずに少ない操作のみで迅速な検出を行う方法を開発する.

生体分子ネットワークによる情報処理機能の実現に関する研究

教授 藤井 輝夫,リサーチフェロー(藤井研) Yannick Rondelez,国際研究員(藤井研) Anthony Genot,大学院学生(藤井研) 奥村 周,大学院学生(藤井研) Nicolas Lobato-Dauzier
マイクロ流体デバイス技術とDNA増幅技術を応用して,神経細胞ネットワークに見られるような情報処理機能を発現する生体分子ネットワークの構築を進めている.

血中循環腫瘍DNA検出法に関する研究

教授 藤井 輝夫,講師 金 秀炫,大学院学生(藤井研) Benediktus Nixon Hapsianto
血中に含まれる腫瘍由来のDNAを検出することができる手法の実現を目指して,DNA捕捉用ビーズ等に関わる検討を進めている.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性に課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験及び数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

准教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,特任助教(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,大学院学生(野村研) Eldar Sido
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) パク チョンホ,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究.

低品位炭中の水分と自然発火に関する研究

教授 白樫 了,元特任教授 小林 由則
石炭の埋蔵量の半分を占める低品位炭を有効利用するためには,水分の除去が必須であるが,乾燥した低品位炭は自然発火しやすくなることが知られている.本研究では,低品位炭の自然発火のし易さを簡易測定で予知することを目的として,低品位炭中の水分の状態と自然発火の関係を明らかにする.

医療検体試料の高品位保存に関する研究

教授 白樫 了,部長(神奈川県立がんセンター医療技術部) 古田 耕,助教(白樫研) 高野 清,教授(東京工業大) 櫻井 実,主任研究員(農業生物資源研究所) 黄川田 隆洋
血液や組織等の臨床検体に含まれるバイオマーカ,DNA,RNA等には,検体を取り出した個体特有の生物学的状態を反映した情報が,多く含まれている.この様な生体分子を劣化することなく保存することは,個別医療のための重要な情報を保存することに他ならない.本研究では,これら臨床検体を高品位且つ簡便に凍結や常温乾燥することで保存する手法の開発を行う.

小型熱輸送デバイスの熱輸送特性の解明と設計に関する研究(継続)

教授 白樫 了,技術職員(白樫研) 上村 光宏
パワーエレクトロニクスや集積回路では,3次元実装等による高集積化にともない,発熱密度の上昇や微小空間におけるホットスポットによる温度上昇が問題となりつつある.本研究では,マイクログルーブ・チャネル内の相変化を用いた高解像度・低加熱度のヒートシンクの熱輸送特性を実験・解析的に明らかにすることで,限定された微小空間の冷却や高熱流処理の設計指針を提供することを目指している.

液中に分散する粒子の広帯域誘電分光解析

教授 白樫 了,教授(芝浦工業大) 山田 純
液中に粒子を分散したスラリー状材料は,燃料電池の電極やセメント,パン生地等,様々な生産物の原料として用いられているが,その混練状態により最終製品の性質が影響をうけることが知られている.しかしながら,多くの場合,混練状態をin-situで適切に把握する手段がないことから,経験に依存している.本研究では,分散質と分散媒の誘電特性の違いを利用して,広帯域誘電分光とその後の解析により,分散系の混練状態をin-situで把握する計測法を開発する.

生体由来物質内の結合水の定量化に関する研究

教授 白樫 了,教授 平川 一彦,助教(平川研) 大塚 由紀子,助教(白樫研) 高野 清,教授 工藤 一秋
生体をはじめとする様々な材料内に存在する結合水は,誘電分光や赤外分光等により検出することができるが,それらの測定値の相互の関係は必ずしも明らかではない.また,定量化された値が材料の物性に及ぼす影響も明確ではない.本研究では,特に生体由来物質や生体保護物質を対象材料として,内部の結合水を定量測定する測定・解析手法を開発すると共に,実験データを通じて上記の点を明らかにする理論の構築を目的としている.

細胞内への高効率物質輸送に関する研究

教授 白樫 了,Associate Professor (Universitaet Wuerzburg) V. L. Soukhoroukov
耐凍性保護物質を大量に細胞内および魚卵,胚等に導入することで,種々の細胞を凍結乾燥して高品位で保存することが可能であることが知られている.しかしながら,このような保護物質を大量・高効率に細胞内に導入する確実・簡便な手法が存在しないことが実用化の障害となっている.本研究では,制御性の高い電場を用いたいくつかの細胞膜輸送促進法について研究している.

ITS技術の鉄道車両への展開

教授 中野 公彦

フィールドロボティクス技術を活用した走行実験

教授 中野 公彦

ロボットビークルに関する研究

教授 中野 公彦

自動運転技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

自動運転技術,運転支援技術に関するドライビングシミュレータ実験

教授 中野 公彦

自動運転技術,運転支援技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

電気自動車技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

チャープ超音波を用いた構造健全性診断システムに関する研究

教授 岡部 洋二,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,特任研究員(岡部(洋)研) 于 豊銘,大学院学生(岡部(洋)研) 譚 朗星
複合材料製パーソナルモビリティーの複雑形状部材に超音波送受信素子を組み込み,広帯域なチャープ超音波を送受信することで,衝撃損傷の発生を簡便に診断可能な構造ヘルスモニタリングシステムを構築する.

メタルデポジションによる大型成形治具の積層造形に関する研究

教授 岡部 洋二,特任研究員(岡部(洋)研) 線 延飛,大学院学生(岡部(洋)研) 馬田 啓佑,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,特任助教(東大) Sabrina Ahsan,特任研究員(農工大) 薄井 雅俊
航空機の大型複合材料構造部材を成形するための治具を,金属3Dプリンターによって高効率かつ低コストで製造する技術を構築する.

光ファイバ超音波センサを用いたレーザー超音波可視化法に関する研究

教授 岡部 洋二,特任研究員(岡部(洋)研) 于 豊銘,大学院学生(岡部(洋)研) 李 梓萱,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理
高温等の特殊環境下での超音波非破壊検査の実現を目的として,レーザー超音波可視化システムに耐環境性に優れた光ファイバ超音波センサを組み込む際の,最適な配置条件などを研究している.

機械学習を用いたAE波形信号分析による異方性材料中の損傷同定

教授 岡部 洋二,特任研究員(岡部(洋)研) 于 豊銘
異方性を有する複合材料等では,AE波の伝播速度が方向に強く依存するため,従来の損傷位置同定法の適用が難しい.そこで,AE波形信号を機械学習により解析することで,損傷発生位置を正確に同定する手法を構築する.

複合材におけるレーザー超音波励起挙動の数値シミュレーション

教授 岡部 洋二,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,大学院学生(岡部(洋)研) 張 澤平
レーザー超音波法による複合材料構造の高効率な非破壊検査を実現するため,積層板表面にレーザーを照射した場合の超音波の励起・伝搬挙動を,理論数値シミュレーションに基づいて明らかにする.

複合材料構造における超音波ガイド波の伝播挙動の数理モデリング

教授 岡部 洋二,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,特任研究員(岡部(洋)研) 于 豊銘
超音波ガイド波は薄板構造の損傷検出に有効であるが,複合材料の場合には,その伝播挙動は極めて複雑となる.そのため,積層材料中の分散挙動の理論的解明や,微視的損傷でのモード変換挙動の有限要素周波数解析による解明を試みている.さらには,CFRP補強パネルの衝撃損傷検出のための有限要素解析モデリングも構築している.

粒子シミュレーションによる左心室から大動脈への血流の可視化と圧力変化の検証

客員教授 向井 信彦
大動脈弁膜症の手術には機械弁による弁置換手術と生体弁の修復を行う弁形成術が存在する.機械弁による弁置換手術は比較的容易であるが,血栓防止のための薬を服用する必要がある.これに対して,弁形成術は血栓防止の薬を服用する必要はないが,高度の技量が要求される.そこで,大動脈弁の弁形成術に対する術前計画が可能なシミュレーションを目的として,大動脈弁の前後にある左心室から大動脈への血流の可視化と左心室及び大動脈における圧力の変化を検証できるシミュレーションを行っている.

脳動脈瘤液体塞栓シミュレーション

客員教授 向井 信彦
脳動脈瘤の手術にはクリップとコイルによる塞栓術があるが,両手術とも充填率の点からは不十分である.特に,肥大化した脳動脈瘤の有効化率は低い.そこで,液体を利用して脳動脈瘤を塞栓する術式が海外では認可されているものの,国内では未認可の状態である.また,人体実験が不可能であることから,物理実験とシミュレーションにより,液体塞栓術の有効性を確認する必要がある.このため,物理実験と同じ液滴の挙動を示すシミュレーションを行っている.

腹部大動脈瘤への創薬輸送シミュレーション

客員教授 向井 信彦
腹部大動脈瘤の肥大化を抑制するために薬剤を内包するミセルを投薬する方法がある.しかしながら,肥大化した腹部大動脈瘤の内膜は一部破壊されているために,ミセルが正しく目的の位置に輸送されるかどうかは不明である.そこで,粒子の集合としてミセルを構成し,揺らぎの影響を受けてミセルが障害物を避けながら,血漿粒子中を移動するシミュレーションを行っている.

CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「反射波を活用した油圧シリンダ鉛直配置式波力発電装置(平塚波力発電所)の海域実証」 (環境省事業)

特任教授 丸山 康樹,教授 林 昌奎
世界に先駆けて実用化のベースとなる新型波力発電装置「反射波を活用した油圧シリンダ鉛直配置式波力発電装置」を開発する.開発する波力発電装置は,日本初となる系統接続した久慈波力発電所の経験を活かし,大型で軽量な波受板を採用するもので,波高1.5m以上で45kW(発電端出力)(注),変換効率50%,設備利用率35%以上(参考:洋上風力目標30%)を設計目標とする.なお,発電装置の試作機は,1年間の海域実証試験を神奈川県平塚漁港にて実施し,終了後,撤去する(1年間の延長).

令和2年度脱炭素・資源循環「まち・暮らし創生」FS委託業務 ─浪江町請戸漁港における波力発電FS調査─ (環境省委託事業)

特任教授 丸山 康樹,教授 林 昌奎
福島県双葉郡浪江町の請戸漁港に,プレコマーシャル段階の波力発電装置(出力200kW/基)の設置を想定し,深浅測量,PTO概略設計,構造物概略設計,構造解析等を実施し,導入可能性に係る調査及び検討等を行う.

平塚市・東大生研連携協力協定

教授 林 昌奎,特任教授 丸山 康樹
この協定は,東京大学 生産技術研究所および平塚市の密接な連携と協力の下,海洋活用技術の研究開発を推進するとともに,新産業創出,人材育成等に寄与することを目的とする.

東京大学 海洋エネルギー共同研究(2017〜2020年度)

特任教授 丸山 康樹,教授 林 昌奎
全国14の企業と海洋エネルギー(波力発電)に関する共同研究を実施する.研究成果は,環境省委託事業に反映し,社会実装を目指す.

SMMiL-Eにおける科学ディレクション

特任教授 興津 輝
SMMiL-E(Seeding Microsystems in Medicine in Lille–European Japanese Technologies against Cancer–) は,フランスから受け入れた研究者と共に生産技術研究所で開発している最先端のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術とbioMEMS技術をフランスにて癌医療に応用することをミッションとしている.国際的かつ学際的共同研究であるSMMiL-Eにおいて,研究者間の情報伝達を促進し,研究活動が生産的・効率的に進むよう支援する.加えて,工学医学連携によるプロジェクト遂行のための,プロセスと論理の構築を研究する.

人間機械系における新しいシステム設計論の構築

特任教授 平岡 敏洋
人間機械系を設計するうえで,従来のシステム設計論では,メインタスク達成に要するユーザの物理的労力ならびに心理的労力をいかに減らすかという視点で,自動化を導入することが殆どであった.しかしながら,1) ユーザの技能低下,2) ユーザの対象系理解度の低下,3) システム異常時(故障時)の対応力低下,4) システムに対する過信増大,といった弊害も生じている.本研究では,メインタスク達成のために,あえてユーザに労力をかけさせるような設計にすることで,上述する弊害を軽減もしくは解消することを目指して,新しいシステム設計論の体系化を行っている.

無人移動サービス車両における乗客の車内転倒防止のための運動制御

特任教授 平岡 敏洋,特任助教(須田研) 霜野 慧亮,教授 須田 義大
車内における乗客の転倒は,加減速時に生じる慣性力の影響で発生する.床面と水平な方向に生じる慣性力を低減できれば,車内事故の軽減につながると期待される.加減速に合わせ意図的に車体を傾斜させることで慣性力の方向を床面方向に向けて水平方向の影響を減らせると考えられる.自動運転と合わせて注目される電気自動車では,前後輪にインホイールモータを内蔵するものもあり,前後輪の制駆動力を制御することでピッチ角を制御できる.この特徴を活かした先行研究では,車両運動の安定性向上を目的としたピッチ角抑制制御を行っている.それに対して本研究では,車内に立って乗車する乗客の転倒防止を目的として,車両が加減速する際に乗客に作用する慣性力の影響を打ち消すようなピッチ角制御を行う.

自動運転システム・運転支援システムのHMI設計

特任教授 平岡 敏洋
自動運転システムや運転支援システムにおけるよりよいヒューマン・マシン・インタフェースを実現するための基礎的検討として,ドライバの信頼状態がどのように醸成され,その信頼状態が運転行動に与える影響を分析した.さらに,ドライバの運転支援システムがステアリングホイールなどの操作端を介して操作を共有するHaptic Shared Control (HSC)について,直接型HSC (Direct HSC) と間接型HSC (Indirect HSC) の2種類があることを提案し,それぞれの長所と短所を整理した.

Coalition for Epidemic Preparedness Innovations ニパワクチン実用化プロジェクト

特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子,特任准教授 藤幸 知子,特任准教授 佐藤 宏樹,特任研究員(生産研) 森藤 可南子

新型コロナウイルスに対する新規遺伝子組換え生ワクチンの開発

特任教授 甲斐 知惠子
選定研究

(国研)日本医療研究開発機構 医療研究開発推進事業費補助金(革新的がん医療実用化研究事業) 遺伝子組換え麻疹ウイルスを用いた抗がんウイルス療法の臨床研究

特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子,特任准教授 藤幸 知子,特任准教授 佐藤 宏樹

CFRP用工具ベンチマーク

准教授 土屋 健介, 先進ものづくりシステム連携研究センター
CFRP用工具について,市場調査と過去の切削試験の知見に基づいて切削試験の評価基準を提案する.

ヘリカル切削における残留応力発生メカニズムに関する研究

准教授 土屋 健介
本研究の目的は,ヘリカル加工において残留応力が発生するメカニズムを解明することである.実験的および解析的な手法によって,加工中の抵抗,切削面の残留応力の変遷を明らかにし,工具と材料の界面,および材料内部の現象を解明する.この知見を用いて,工具形状や加工条件の最適化につなげる.

ロボットシーリング

准教授 土屋 健介,特任講師 馬渡 正道, 先進ものづくりシステム連携研究センター
航空機の製造現場において,シーリング作業は高度熟練技能者による手作業で行われている.これをロボットで自動化することを目指し,ハードウェア・ソフトウェアの研究開発を行う.

刃物先端の微細形状が切断性能に及ぼす影響に関する研究

准教授 土屋 健介
包丁やカッターなどの刃物の切断性能は,それを使った感覚から曖昧かつ主観的にしか評価されず,研磨手法や条件は最適化されていない.本研究では,刃物の研磨条件と刃先形状,刃先形状と切れ味の関係をそれぞれ明らかにし,切れ味を高めるために適した研磨条件を提案する.具体的には,様々な条件で研磨を行える研磨装置と,切れ味を定量的に評価できる切断装置を用いて,研磨条件と切れ味との関係を明らかにする.また,刃物が材料を切断するときには,刃物先端の微細な凹部に材料が入り込むことによって切断されるというメカニズムに基づき,刃物の稜線形状から有効に作用する稜線の長さを算出し,断面の先端径と合わせて刃物形状の評価指標を新たに提案し,切断性能との相関関係があることを示す.

工具材料の金属組織最適化によるラッピング工具表面制御

准教授 土屋 健介
ハードディスクドライブの磁気スライダ製造プロセスのラッピングプレート材料としてスズ合金が使用されているが,不安定性の問題があり,それがラッピング特性とプレート寿命に影響を与えることが実験的に観察されている.本研究の目的は,スズ合金ラッピングプレートの既存の不安定現象を金属組織の観点から明らかにし,安定したプレート表面を得る方法を見出すことである.ラッピングプレートの金属組織の状態を制御し,工具製作条件を最適化することでプレート表面を安定化させ,工具寿命向上,製品品質を改善する.

応力下における切削面の残留応力分布に関する研究

准教授 土屋 健介,大学院学生(土屋研) 平岡 翔太
本研究は,切削加⼯と同時に圧縮残留応⼒を付与することを⽬的としている.試験⽚に荷重を加え,引っ張り応⼒を加えた状態で切削を⾏い,x線残留応⼒測定装置によって切削⾯の測定を⾏った.実験後の試験⽚には圧縮残留応⼒が付与されていることが確認できた.圧縮残留応⼒が付与された要因について,熱的要因,機械的要因から考察した.

粗面ガラスをワンプロセスで鏡面研磨する固定砥粒二層構造工具の開発

准教授 土屋 健介
ガラス等の機械的研磨における1つの問題は,様々な径の砥粒によるスクラッチの発生である.これらの傷には潜傷が含まれるため,このような砥粒径のバラツキの影響を抑制する必要がある.本研究では,粗面ガラスをワンプロセスで鏡面研磨するために,変形可能な砥粒層を有する二層構造の固定砥粒研磨工具を提案する.

航空機製造技術の高度化

准教授 土屋 健介

高難易度部材加工プログラムのアルゴリズム提案

准教授 土屋 健介, 先進ものづくりシステム連携研究センター
航空機製造は,ローコストオペレーションとして工程自動化と労働人口減少への代替化技術が日本のモノづくり力として求められている.従来,エキスパートシステムなど熟練作業者の技能の取り込みや過去のデータベース化で最適切削条件等を見出すなどの取り組みがあるが実績を超えるような成果を得られず,製造現場では未だに最適化の切削条件の決定には熟練者の経験に頼っている.そのため切削難度判定に関する要素を抽出し,最適切削条件選定する手法の確立を目指す.

パッシブTHz近接場顕微技術の開拓

准教授 梶原 優介,特任助教(梶原研) 林 冠廷,大学院学生(梶原研) 佐久間 涼子,大学院学生(梶原研) 中島 瞳,大学院学生(梶原研) 章 昊,大学院学生(梶原研) 劉 嘉軒,修士学生(梶原研) 四宮 雅樹
テラヘルツ波(波長10 μm~1 mm)は,分子運動や格子振動など物質現象のモードがほとんど含まれる極めて重要なスペクトル領域である.本研究では試料自身の局所挙動にともなって僅かに生じるテラヘルツエバネッセント波を,外部から光を照射せずに「パッシブ」かつ「ナノスケール」で可視化する顕微鏡を開発している.使用する検出器は単一光子レベルの感度を持つCSIP(Charge Sensitive Infrared Phototransistor)であり,近接場光学系導入により空間分解能20 nm(検出波長: 14.5 μm)を達成している.最近では誘電体上の表面フォノン等の検出・解析や,グラフェン等の非平衡現象の観測,実デバイス上のエネルギー散逸観測などの応用展開のほか,極低温試料測定や近接場分光への拡張を進めている.

樹脂内部物性評価法の開拓

准教授 梶原 優介,研究実習生(梶原研) 高橋 理央,助教(梶原研) 木村 文信,リサーチフェロー(梶原研) 吉田 一朗
THz領域の偏光特性から,樹脂成形品内部の残留応力,結晶化度などの物性評価法を開発する.

表面微細構造を利用した金属/樹脂直接接合技術の開拓

准教授 梶原 優介,助教(梶原研) 木村 文信,大学院学生(梶原研) 趙 帥捷,大学院学生(梶原研) 竹内 暁人,大学院学生(梶原研) 陳 偉彦,大学院学生(梶原研) 常 昊,大学院学生(梶原研) 王 鑠涵,大学院学生(梶原研) 竹本 有輝
金属表面にマイ クロ微細構造を創製し,インサート射出成形を行うことによって強固な金属/樹脂接合について,表面処理や成形条件の最適化,および接合メカニズムの解明を進めている.現在は化学エッチングによって表面処理を行ったアルミニウムとPBTの直接接合に成功し,射出圧や保圧,アニール条件の最適化,および SEM,TEMによる断面観察を通した接合指導原理の解明を進めている.加えて,微細構造を応用したCFRPの接着技術に関する研究も行っている.

STEAM教育に向けたオンライン教材開発

准教授 川越 至桜,教授 北澤 大輔,教授 大島 まり,准教授 八木 俊介,准教授 ヘイチク パヴェル,准教授 杉浦 慎哉,准教授 酒井 雄也
オンライン学習が急速に普及し,ポストコロナでは教育のあり方も大きく変化すると予想される.今後は,オンライン学習を活用するとともに,教室や人がいる場の良さを生かした新しいオフライン教育が求められる.本研究では,オンライン学習を支援するためのデジタルコンテンツを開発するとともに,それらを活用したオフラインでの教育プログラムを開発する.その際,本所で行われている研究をSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, and Mathematics)という観点から整理することで,初等中等教育における「理数探究」や大学・大学院でのProject-Based Learningなどの基盤となる教育プログラムにもつなげていく予定である.

VR技術を活用した読書支援システムの研究開発

准教授 川越 至桜,大学院学生(川越研) 安川 隼
本研究では,子どもたちにとって興味・関心の高いVR(バーチャルリアリティー:仮想現実)を活用し,読書の楽しさを伝えるとともに,文字からイメージする過程を支援し,コミュニケーションできるシステムを開発する.読書体験を可視化させ,その体験をVR上で他の人と共有しコミュニケーションできるシステムとし,ワークショップにて実践する.そして,読書に対しての意識がどのように変容するかについて調査する.文字からイメージする過程を楽しんでもらい,読書の楽しさを知ってもらうことで,読書自体への興味関心を高め,主体的な読書につなげていくことを目指す.

ニュートリノ振動を考慮したニュートリノスペクトルの系統的研究

助教(国立天文台) 滝脇 知也,日本学術振興会特別研究員(国立天文台) 佐々木 宏和,准教授 川越 至桜,Assistant Professor (Virginia Polytechnic Institute and State University) 堀内 俊作,助教(東北大) 石徹白 晃治
重力崩壊型超新星爆発から放射されるニュートリノスペクトルの評価には,ニュートリノ振動を考慮することが不可欠である.本研究では,ニュートリノ振動を考慮したニュートリノスペクトルを系統的に明らかにすることを目的としている.

天文学を軸とした次世代育成とSTEAM教育

准教授 川越 至桜,特任専門員(自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター) 日下部 展彦
天文学は総合科学であるとともに観測機器の設計やデータの可視化など学際的な分野であり,STEAM教育の題材として適している.本研究では,都内の中高一貫校の天文部にて,STEAM教育を念頭においたプログラムを開発し実践した.その結果,生徒たちは天文学のみならず,望遠鏡やプラネタリウム本体,エアドームの設計・製作,データ解析および可視化等,様々な知識を深めることができた.従って,天文学を軸としたSTEAM教育を実践することができたと考えられる.

産業界との協働による新しいSTEAM教育活動・ワークショップの研究開発

准教授 川越 至桜,教授 大島 まり
産業界と協働したSTEAM教育として,東京大学生産技術研究所の次世代育成オフィスが中心となって実験教材を開発し,産学連携ワークショップを実施した.また,それを基に初等・中等教育で使用できる映像教材を開発した.その結果,実験教材を用いたワークショップは,科学技術や産業界への興味・関心を喚起し,理科や科学の学習に有効であった.また科学技術の社会的な役割や意義を理解する上でも有効だと考えられる.

がん微小環境模倣デバイスによるがん転移の統合的理解と転移抑制法の開発

准教授 松永 行子

微小血管モデルによる血管微小環境の時空間解析手法の構築

准教授 松永 行子,東京大学特別研究員(松永研) CACHEUX Jean

指先毛細血管情報による健康管理ツールの開発

准教授 松永 行子

毛細血管を起点としたバイオ工学アプローチによる新型コロナウイルス感染症対策研究

准教授 松永 行子

科学とデザインによる健康デザインに関する研究

准教授 松永 行子

食品吸収評価のための三次元腸管上皮モデルの構築

准教授 松永 行子

ガス化ケミカルルーピングのプロセス開発および反応メカニズムの解明

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Hafif DAFIQURROHMAN,大学院学生(アズィッズ研) 宮平 恭輔

ダイレクト個体ケミカルルーピングを利用したポリジェネレーションシステムにおけるシステム開発

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Zhuang Sun

三重周期極小曲面を利用した水素貯蔵合金の高性能化

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Luthfan Adhy LESAMA

廃棄物による高効率エネルギー生産

准教授 アズィッズ ムハンマッド

高効率水素製造・貯蔵・利用

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) 國原 一真

変形加工に関する研究

准教授 古島 剛

海洋センシングに関する連携研究

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

柔軟物の動的操り

准教授 山川 雄司
高速なビジョンとアクチュエータを用いて,柔軟物を動的かつ巧みに操り,様々なアプリケーションを創出することを目指している.

電磁力平衡式秤による高速高精度質量計測

准教授 山川 雄司
コンベア上を流れる搬送物の質量を高速高精度で計測するための手法提案,システム解析および制御を行っている.

高速センサネットワークシステムとその応用

准教授 山川 雄司
各種センサをネットワーク上に接続し,センサネットワークシステムを構築することにより実世界を高速かつ包括的に認識するシステム構築とその応用を目指している.

高速ビジョンのITS応用

准教授 山川 雄司,助教(山川研) 平野 正浩
高速ビジョンを移動体に設置し,高速画像処理を駆使することにより,高速画像センシング技術によるITS応用を目指す.

高速ロボットを用いた人間ロボット協調

准教授 山川 雄司
高速ロボットを用いて,人間とロボットとの協調をリアルタイムで実現することにより,従来の人間ロボット協調とは異なる次世代の人間ロボットインタラクションを目指している.

新規分析法を用いたモービリウイルス感染後のアセチル化ネットワークの包括的解析

特任准教授 佐藤 宏樹
モービリウイルス感染後の上皮系細胞について新規定量的アセチローム解析を行い,宿主蛋白の継時的なアセチル化変動の全体像を見ることに成功した.また,細胞のハウスキーピング遺伝子群の発現に関与する因子が,モービリウイルス感染後にアセチル修飾が変化することで分解を受け,広範にわたる発現低下を引き起こす一連の機序を明らかにした. さらに研究の過程でアセチル化修飾酵素の阻害剤の一つがモービリウイルスを含むRNAウイルスの増殖を抑制することを発見した.

海洋複合計測システムの実現に関する研究

特任准教授 福場 辰洋,教授 藤井 輝夫,特任助教(藤井研) 木下 晴之,国際研究員(藤井研) Nicolas Clement
海洋環境中において,生物地球化学的パラメタの複合計測とそれによる高度な海洋計測を実現するため,センサ・現場型分析装置の小型化・機能集積化を進めるとともに,市民参加型の海洋観測手法を模索する.

癌治療用組換え麻疹ウイルスによる細胞死誘導機構の解析

特任准教授 藤幸 知子

ドライブレコーダからの天候情報推定と急ブレーキ発生予測

教授(九州大) 川崎 洋,准教授(九州大) 峯 恒憲,特任准教授 小野 晋太郎

ドライブレコーダ画像等の解析による非日常事象の検出

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,教授(国立情報学研究所) 杉本 晃宏,国立情報学研究所 レ チュンギア

動画像・動距離画像の時空間解析と高精細化

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,名誉教授(東大) 池内 克史

実映像ドライビングシミュレータに関する研究

特任准教授 小野 晋太郎,教授(愛知県立大) 河中 治樹,教授(愛知県立大) 小栗 宏次

通信型ITSによる公共交通優先型スマートシティの構築

教授 須田 義大,准教授 鹿野島 秀行,特任准教授 小野 晋太郎,助教(林(昌)研) 平沢 隆之,リサーチフェロー(須田研) 杉町 敏之

並列セルソーターの開発に関する研究

講師 金 秀炫

単一細胞相互作用解析

講師 金 秀炫

高感度リキッドバイオプシーを可能とするバイオマイクロシステムの開発

講師 金 秀炫

半導体ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用の制御と応用

教授 平川 一彦,助教(平川研) 黒山 和幸,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
半導体量子ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用とその応用に関する研究を行っている.特にスプリットリング共振器と呼ばれるテラヘルツ電磁波に対する共振器に近接させた量子ポイントコンタクト構造や量子ホール状態にある電子の伝導を調べ,テラヘルツ電磁波をナノ構造が強く結合した系の新しい物理を探索している.

半導体量子構造を用いた固体冷却素子の開発

教授 平川 一彦,研究員(LIMMS) BESCOND MARC,東京大学特別研究員 SALHANI Chloe,大学院学生(平川研) 尾上 俊樹,大学院学生(平川研) 朱 翔宇,特任研究員((平川研)) 長井 奈緒美
現代のLSIに代表されるエレクトロニクスの進歩を大きく阻んでいるのが発熱による問題であり,冷却技術は将来のエレクトロニクスの発展の鍵を握る技術と言っても過言ではない.我々は半導体へテロ構造のバンドを適切に設計し,熱電子放出と共鳴トンネル効果を同時に制御して実現できるサーミオニッククーリング技術に注目している.本サーミオニッククーリングにおいては,トンネル障壁を介して量子井戸に低エネルギーの電子が共鳴的に注入され,量子井戸を出るときには低くて厚い障壁を高エネルギーの熱電子が熱的に越えていく過程を用いる素子であり,電流を流すにつれて量子井戸層が冷却されていくデバイスである. 本年度は,(1)素子の動作原理の理解と構造最適化のために,共鳴トンネル効果と熱電子放出効果を組み合わせた解析的な理論を構築し,実験で観測された素子を流れる電流の温度依存性などがよく説明できることがわかった.(2)非平衡グリーン関数法による数値計算により,構造パラメータと電子温度の関係に関する議論を行っている.(3)量子井戸を複数個直列に接合したより高効率な冷却素子構造を提案した.

赤外分光技術の開発と応用

教授 平川 一彦,助教(平川研) 大塚 由紀子,教授 白樫 了
フーリエ変換赤外分光光度計を用いて赤外分光を行うことにより,様々な物性研究を行っている.本年度は,グルテンフリーの食材として注目を集めている米ゲルおよび米粉について,水分子の赤外吸収スペクトルを調べることにより,水分子の水素結合が変化する過程の解明や,自由水・結合水の構造に関する重要な知見を得た.また,米ゲルの老化についても検討し,示差走査型熱量計(DSC)を用いて,老化のプロセスに関する詳細な検討を行うとともに,赤外分光を用いた新たな測定法を確立することを検討しているところである.

シリコン量子ビットの集積化に関する研究

教授 平本 俊郎,准教授 小林 正治,助手(平本研) 更屋 拓哉
CMOSによるバイナリーディジタル演算に代わるコンピューティング手法として量子計算が注目されている.本研究室では,量子計算に用いる量子ビットをシリコンで実現し,さらに多量子ビットを集積化する研究を行っている.大規模集積回路プロセス互換のプロセスを用いて集積化を実現する.

ナノスケールCMOSデバイスの特性ばらつきに関する研究

教授 平本 俊郎,准教授 小林 正治,助手(平本研) 更屋 拓哉,特任研究員(平本研) 水谷 朋子,特任研究員(平本研) 竹内 潔
MOSトランジスタが微細化されるとともに,ランダムな特性ばらつきの影響が無視できないほど大きくなってきている.その原因は主にチャネル中の不純物数の揺らぎであるが,ばらつき原因は定量的にはまだ明らかとなっていない.本研究では,ランダムな特性ばらつきの評価と,そのデバイス・回路特性への影響について検討している.

MaaS時代における安心・安全なモビリティ環境実現に向けた利用状況分析・コンテスト推定基盤

教授 瀬崎 薫,助教(瀬崎研) 西山 勇毅,特任助教(名古屋大) 青木 俊介,大学院学生(瀬崎研) 韓 増易,大学院学生(瀬崎研) Nguyen Hong Duc,大学院学生(瀬崎研) 小池 優太郎,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 彭 何林訳,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫

モバイル・ウェアラブルデバイスを用いたコンテキスト認識と人・集団の行動変容促進

助教(瀬崎研) 西山 勇毅,教授 瀬崎 薫,大学院学生(瀬崎研) 日隈 壮一郎,大学院学生(瀬崎研) 神村 潤,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 陳 美怡,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 幡井 皓介
最新のモバイル・ウェアラブルデバイスには複数のハード・ソフトウェアセンサが搭載されている.本研究では,それら複数センサデータの収集・分析基盤の開発と,機械学習等を用いた人・環境のコンテキスト認識技術の研究・開発を行う.さらに,人々のWell-Being実現に向けた,抽出コンテキストの人・集団への情報還元基盤に関する研究も行う.

ユーザ参加型センシングとセキュリティ

助教(瀬崎研) 西山 勇毅,教授 瀬崎 薫
スマートフォン等の高機能端末を多数の人間が常時携帯している中,従来のように専用の固定センサや,無線センサネットワークによって環境やコンテクストをセンシングするのではなく,これら携帯端末に具備されたセンサを用いて安価かつリアルタイムなセンシングを行う「ユーザ参加型センシング」が注目されている.本年度は,多数のスマートフォンが参加しているときに,センサの観測領域と品質を考慮しながら最適なノードを選択する手法や,センサデータのプライバシ保護手法などを研究した.

無線ネットワークの性能評価

教授 瀬崎 薫

Androidアプリケーションにおける静的解析を使用した暗号化API利用の特定

協力研究員(松浦研) 角田 大輔,教授 松浦 幹太
デジタル・フォレンジック調査において,携帯デバイスを調査対象とすることは必要不可欠な作業である.特にスマートフォンに関しては様々なデータが保存され,その中には有用なデータが含まれている.しかしながら,最近の傾向としてアプリケーションによりデータが暗号化される場合が少なくない.そのようなデータの暗号化は迅速な調査の障害となり,スマートフォン・フォレンジックにおける大きな課題の1 つである. 従来の研究の多くは特定の1 つのアプリに対する手動解析で暗号化処理の特定を行っているが,そのような作業はアプリ解析の知識や経験が必要な手間のかかる作業である.保存データを暗号化するアプリは数多く存在するが,その中でも多くのアプリが標準的な暗号化API を使用している.本研究では,既存のAndroid アプリの静的解析フレームワークを使用し,アプリにおいて標準的な暗号化API がどのように利用されているかを特定するツールの開発を行った.本ツールでは自動的にアプリを解析することが可能であり,暗号化処理の特定を容易に行うことができる.その結果,アプリによって暗号化されたデータの解析を迅速に行うことが可能となる.

Private Information Retrieval Scheme Supporting Multi-dimensional Range Queries

大学院学生(松浦研) 林田 淳一郎,主任研究員(産業技術総合研究所) ヤコブ C. N. シュルツ,研究グループ長(産業技術総合研究所) 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太
Private information retrieval (PIR) allows a client to retrieve data from a database without the database server learning what data is being retrieved. Most of the existing PIR schemes consider searching simple one-dimensional databases and the supported query types are often limited to index queries only, which retrieve a single element from the databases. However, most real-world applications require more complex databases and query types. In this paper, we build upon the notion of query indistinguishability by Hayata et al. (ESORICS2020), and formalize query indistinguishability for multi-dimensional range queries. We then give a construction of a secure multi-server scheme based on function secret sharing. This is the first instantiation of a PIR scheme supporting multi-dimensional range queries while being capable of hiding the type of query being made and, in the case of multi-dimensional range queries, the number of elements retrieved in each query, when considering a stream of queries.

スクリプト実行環境に対するテイント解析機能の自動付与手法

大学院学生(松浦研) 碓井 利宣,NTTセキュアプラットフォーム研究所 幾世 知範,NTTセキュアプラットフォーム研究所 川古谷 裕平,NTTセキュアプラットフォーム研究所 岩村 誠,NTTセキュアプラットフォーム研究所 三好 潤,教授 松浦 幹太
悪性スクリプトの挙動を詳細に解析するには,制御フローの解析のみならず,データフローの解析も求められる.このデータフローの解析には,テイント解析がよく利用されるが,既存のスクリプト向けのテイント解析手法はスクリプトエンジンごとに設計,実装する必要がある.この問題を解決するため,本研究では,バイナリ(機械語のプログラム)向けのテイント解析機能を,スクリプトにも適用可能にすることで,言語やエンジンに非依存でテイント解析機能を自動付与する手法を提案する.まず,バイナリのデータ型とスクリプトのデータ型の間に生じるセマンティックギャップがこの実現を妨げる問題だと実験的に示す.そして,こうした型のセマンティックギャップによって起こる伝播漏れを検出し,テイントの強制伝播によってそれを解消することで,テイント解析機能を実現する.PythonとVBScript のスクリプトエンジンに対して提案手法を適用し,テイント解析を実現できることを確認した.さらに,それを用いて悪性スクリプトを解析し,データフローを追跡可能になったことも確認した.

ブロックチェーンの安全性を強化し環境負荷を低減する検証証明技術

教授 松浦 幹太,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗
ブロックチェーンのネットワークでは,追記する取引情報の正しさを検証する同じ作業を,多くのノードが様々なフェーズで繰り返し実施する.検証を省略することによって利益を得る確率が高まるため,ノードが検証を省略するインセンティブが生じる.省略を許さない制約を加えると,全体として極めて環境負荷が高くなり,ビットコイン型の実装では欧州の中規模国1国に相当する電力消費にまでなるという試算もあるほどである.本研究では,各取引情報を少なくとも一つのノードが必ず検証し,しかも他のノードが低消費電力でその事実を確認できるメカニズムを提案している.これにより,ブロックチェーンの安全性強化と環境負荷低減を両立することができる.現在,コンセプト確認レベルの実装に成功し,次の段階の評価を準備している.

ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性モデル

大学院学生(松浦研) 宮前 剛,教授 松浦 幹太
本研究では,ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性に関する評価指標の意味と関係を整理した.特に,関連付け困難性 (unlinkability) の評価指標としての汎用性を示した.次に,暗号資産の関連付け困難性をフェアに評価するために,暗号資産の特徴に基づいて四つの関連付け攻撃モデルおよびそれぞれの攻撃モデルに対応する安全性を定義した.最後に,代表的な匿名暗号資産に対して本稿で定義した関連付け攻撃安全性評価を行い,それらの匿名暗号資産の匿名性を比較評価し,いくつかの知見を導出した.

内部のバイトコード実行を悪用したスマートコントラクトへの攻撃の早期検知

大学院学生(松浦研) 宮里 俊太郎,教授 松浦 幹太
ブロックチェーン上でコントラクトと呼ばれるプログラムを動かすシステムであるスマートコントラクトに対する攻撃として,コントラクトの脆弱性を利用した,Reentrancy 攻撃やTransaction Ordering Dependence 攻撃が現在報告されている.既存研究では,コントラクトの脆弱性を検知する技術が盛んに開発されているが,攻撃に利用されるコントラクトやトランザクションを悪性として検知する研究は少数である.現状の攻撃検知技術の問題点として,検知出来る攻撃の種類がReentrancy 攻撃だけである事と,トランザクション全てを実行時に監視する事によるオーバーヘッドが挙げられる.本研究では,攻撃の別種であるTransaction Ordering Dependence 攻撃も考慮し,Reentrancy 攻撃に関しては,トランザクションのごく一部である,コントラクトを定義するトランザクションのみを静的解析する手法を提案し,それら2 点の改善を図る.

動的に不正署名を生成するデバイスを追跡可能な集約署名

大学院学生(松浦研) 石井 龍,産業技術総合研究所 照屋 唯紀,産業技術総合研究所 坂井 祐介,産業技術総合研究所 松田 隆宏,産業技術総合研究所 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太,産業技術総合研究所/横浜国立大 松本 勉
集約署名は,複数の署名を1 つの署名に集約でき,全体署名長および署名検証時間の短縮という効率性を持つため,センサーネットワークなど多数のユーザやデバイスが署名を送信するシステムでの活用が期待されている.しかし,不正署名を1 つでも含んで集約すると集約署名は不正となり,検証者はどのユーザやデバイスが不正署名を生成したかを特定できない.さらに,上記のセンサーネットワーク等の応用では,多数のデバイスが定期的にデータと署名を送信し,かつ(故障などにより) 不正署名を生成するデバイスが時々刻々と変わることが自然に想定される.本研究では,そのような状況を捉えた追跡可能集約署名のモデルを導入し,その機能的要件と安全性要件の定義を行う.さらに,通常の集約署名とDynamic Traitor Tracing を用いた一般的構成を提案する.

暗号解析技術に基づくブロックチェーンの柔軟なコンセンサスプロトコルとその現実的な応用

特任教授 ミハエルビッチ ミオドゥラグ,教授 松浦 幹太
Bitcoinなどのブロックチェーンを用いた暗号通貨では,送金記録をとりまとめる作業の信頼性にシステム参加者が合意するコンセンサスプロトコルが,安全性と効率性能の主要な決定要因である.本研究では,コンセンサスプロトコルに従来のハッシュ関数解析ではなく暗号解析を活用することによって,革新的な運用の柔軟性を導入する.しかも,マイニングプール(送金記録とりまとめ作業に異なるステークホルダーが協業して取り組み,不確実性を下げる仕組み)を前提とした現実的な応用でその利点を実証する.

昆虫の嗅覚神経系を模倣するシリコン神経ネットワーク

助教(河野研) 名波 拓哉
ショウジョウバエの嗅覚神経系の構造を再現し機能を実現する電子回路システムの研究を行い,field-programmable gate arrayによる実装を行った.

GaN FET向けデジタルゲートドライバICの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
GaN FETは小型・高効率な電力変換回路を実現するのに適したパワーデバイスであるが,高速スイッチング動作によって生じる電圧・電流のオーバーシュートおよびリンギングが信頼性低下とEMI問題を引き起こす.これらを解決するため,GaN FETに適した高速動作が可能なデジタルゲートドライバICを開発し,スイッチング損失と電圧・電流オーバーシュートを抑制する.

ゲート電圧波形の機械学習を用いたパワーデバイスの劣化推定

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスのゲート電圧波形から機械学習を用いて,パワーデバイス故障の一要因であるボンディングワイヤ剥がれを検出する手法を提案する.従来のボンディングワイヤ剥がれ検出手法と比較して検出回路に絶縁の必要がなく,ゲート電圧波形から抽出される2つのパラメータに対し線形回帰アルゴリズムを適用することによって,負荷電流変動と温度変動にロバストなボンディングワイヤ剥がれ検出手法を構築する.

パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を解決するデジタルゲート駆動技術

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を確立し,パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を簡単・迅速・低コストに解決することを目指す.伝導性EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を提案する.また,放射性EMIに対処するために,デジタルゲートドライバICの設計・試作・評価を行う.

パワートランジスタ(IGBT)駆動用の波形制御プログラマブルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクスとLSIの異分野連携により,パワートランジスタ(IGBT)のゲート駆動電流をデジタルインターフェースで変えられるプログラマブルゲートドライバICを開発した.AIを使った自動最適制御によって,スイッチング時の損失低減とノイズ低減を両立するとともに,動作条件に応じた最適化手法の更なる高度化に取り組んでいる.

ワイヤレス給電を活用した大容量キャパシタの新しい用途開拓に関する研究

助教(高宮研) 畑 勝裕
各種モバイル機器やEV等のモビリティなどはこれまで電池利用が一般的であったが,ワイヤレス給電技術の普及によって高頻度給電が可能となれば,電池に変わって大容量キャパシタを利用できるアプリケーションが数多く存在すると考えられる.そのため,大容量キャパシタとワイヤレス給電の融合に基づく新たな電源設計技術を確立し,大容量キャパシタの新たな用途開拓とシステム構築に向けた研究開発に取り組む.

並列接続されたパワーデバイスの電流均一化を実現するデジタルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクス機器において,パワーデバイスの定格を超える大電流を扱う場合,複数のデバイスを並列接続して大電流に対処する.この場合,パワーデバイスの素子ばらつきによって,あるデバイスに電流が集中して信頼性が劣化する恐れがあり,電流を均一化する技術が必要である.本研究では,ゲート波形を制御可能なデジタルゲートドライバICを活用したパワーデバイスの電流均一化技術を提案する.

小型・高効率を実現するハイブリッドDC-DCコンバータの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
従来の電源回路における効率と体積のトレードオフを克服するハイブリッドDC-DCコンバータの研究開発に取り組んでいる.特に,高入力電圧および高降圧比のアプリケーションに着目し,新しい回路トポロジーの提案と回路設計技術の開発に取り組んでいる.

直列接続されたパワーデバイスの過電圧破壊を回避する制御手法

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスの損失低減方法として,1つの高耐圧デバイスを複数の低耐圧デバイスの直列接続に置き換える手法があるが,パワーデバイスの直列接続における最大の課題はターンオフ時における電圧分担のアンバランスによるパワーデバイスの過電圧破壊である.本研究では低耐圧デバイスの直列接続を低コストに実現するため,常時フィードバック制御が不要な制御手法を提案する.

複数の送信コイルの電流振幅と位相を自動的に検出・調整する無線給電IC

教授 高宮 真
位置ずれに強い無線給電システムを実現するため,各送信コイルと受信コイル間の結合係数に基づいて複数の送信コイルが発生させる磁場を適応的に加算させるAdaptive Magnetic Field Adder (AMFA) ICを開発する.4つのパワーアンプと共用の結合係数センサを統合したAMFA ICによって,従来は給電できなかったコイル位置でも高効率な電力伝送を実現する.

非接触給電等によるエネルギー・モビリティ統合システムの研究開発

助教(高宮研) 畑 勝裕,教授(東北大) 鈴木 高宏
自動運転技術やデマンド型交通などを利用した公共交通サービスではカバーできない過疎地域の移動課題を解決するため,次世代モビリティと給電インフラの協調によるエネルギー・モビリティ統合システムを開発する.

高エネルギー効率のピクセル近傍2次元CNNアクセラレータ

教授 高宮 真
画像認識を高エネルギー効率で行うことを目的として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズムの本来の特徴である注目ピクセルの近傍に対してのみ畳み込み演算を行う点を利用し,ピクセル近傍に集積されたデジタル回路を用いて外部メモリへのデータ書き込みなしでCNN演算を2次元的に実現する.

poimo (POrtable and Inflatable MObility)

学術支援専門職員(東大) 佐藤 宏樹,特任研究員(東大) Seong Young Ah,大学院学生(東大) 辻村 和正,助教(東大) 鳴海 紘也,大学院学生(東大) 林 寛将,大学院学生(東大) 笹谷 拓也,助教(高宮研) 畑 勝裕,准教授(大阪府立大) 中川 智皓,mercari R4D 山村 亮介,Takram 緒方 壽人,講師(東大) 新山 龍馬,准教授(東大) 筧 康明,教授(東大) 川原 圭博
やわらかく安全,軽く変形可能なため持ち運べる,というインフレータブルの特性を活かしたモビリティ.MaaSや自動運転のような,移動革命のトレンドを踏まえた新しい技術とそのプロダクト創出を目指す.

ワイヤレス電力伝送可能なMLIと共振回路部最適化の研究

大学院学生(東大) 陳 名洋,助教(高宮研) 畑 勝裕,准教授(東京理科大) 居村 岳広,准教授(東大) 藤本 博志,教授(東大) 堀 洋一,JAXA 嶋田 修平,JAXA 川崎 治
高低温環境下に晒される宇宙探査機等の高断熱化を実現するため,太陽電池を電力源としたワイヤレス電力伝送システムを開発し,宇宙探査機等の質量低減を目指す.ワイヤレス電力伝送可能なMLIと共振回路部,インバータを含めた周波数最適化を検討し,本システムの成立性を確認する.

走行中ワイヤレス給電のコイル埋設についての研究

准教授(東京理科大) 居村岳広,教授(東大) 堀 洋一,准教授(東大) 藤本 博志,助教(高宮研) 畑 勝裕,東亜道路工業(株) 阿部 長門
走行中充電における道路側コイルの電気的特性と機械的強度向上させた上で,アスファルトへの埋込み技術確立を目的とする.電気的特性(効率・電力など)と機械的特性(耐久性など)を従来コイルと比較し,経年劣化の評価を行い,埋込み深さの最適化,低コストコイル等の可能性を示す.

電動パーソナルモビリティのシェアリング事業に向けた無線充電システムの導入とインセンティブスキームに関する検討

大学院学生(東大) 林 寛将,大学院学生(東大) 笹谷 拓也,助教(高宮研) 畑 勝裕,mercari R4D 山村 亮介,教授(東大) 川原 圭博
電動パーソナルモビリティは公共交通機関へのファースト/ラスト・ワンマイルをシームレスに接続することができる交通手段として期待されるが,電池を使用することによって屋外での充電や電池の交換が必要となり,利便性や安全性が低下するといった問題が生じている.無線充電技術はこれらの問題を解決すると期待されているが,シェアリング事業特有の利用パターンを考慮するとシステム設計や導入戦略に必要な入力電力や電池容量などの指標は未知数である.本研究ではこれらの指標を調べるためにシミュレーションモデルを構築し,電池容量の削減・利便性の向上・事業者の負担軽減などの無線充電の導入によって与えられる効用を定量的に評価する.

ダイヤモンド微小共振器技術の開発

教授 岩本 敏,助手(東大) 石田 悟己,主任研究員(産業技術総合研究所) 加藤 宙光,研究チーム長(産業技術総合研究所) 牧野 俊晴,教授(横浜国立大) 小坂 英男
近年,ダイヤモンド中の色中心を用いた量子センサや量子メモリなどの量子情報デバイスが高い関心を集めている.しかし,これら素子の効率は必ずしも十分ではなく,ダイヤモンド色中心と光子の相互作用を増強することによる高効率化の実現が大いに期待されている. 我々の研究室では,これまでにシリコンや化合物半導体を用いて培ってきたフォトニック結晶技術をダイヤモンドに展開し,量子デバイスの高効率化に資するダイヤモンドフォトニック結晶ナノ共振器の基盤技術開発を進めている.ダイヤモンド微小共振器構造の設計のほか,それを実現するためのダイヤモンド微細加工技術の開発にも取り組んでいる.

タイム・メモリー・データのトレードオフに基づくブロックチェーンの合意形成プロトコル

特任教授 ミハエルビッチ ミオドゥラグ
A problem of developing the consensus protocols in public blockchain systems which spend a combination of energy and space resources is addressed. A technique is proposed that provides a flexibility for selection of the energy and space resources which should be employed by a player participating in the consensus procedure. The technique originates from the cryptographic time-memory-data trade-off approaches for cryptanalysis. The proposed technique avoids the limitations of Proof-of-Work (PoW) and Proof-of-Memory (PoM) which require spending of only energy and space, respectively. Also, it provides a flexibility for adjusting the resources spending to the system budget. The proposed consensus technique is based on a puzzle where the problem of inverting one-way function is solved employing a dedicated Time-Memory-Data Trade-Off (TMD-TO) paradigm. The algorithms of the consensus protocol are proposed which employ certain unconstrained and constrained TMD-TO based inversions. Security of the proposed technique is considered based on the probability that the honest pool of nodes generate a longer extension of the blockchain before its update, and a condition on the employed parameters in order to achieve desired security has been derived. Implementation of the proposed technique in Go language and its inclusion as an alternative consensus option in Ethereum platform are shown. Implementation complexity and performance of the proposed consensus protocol are discussed and compared with the ones when PoW and PoM are employed.

3次元デジタル化とロボティクス

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) 佐藤 啓宏,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
カメラやLiDARを用いて実世界を3次元デジタル化する移動体計測システムを開発している.ローバーやドローンの位置姿勢をセンサデータから推定し,推定された位置姿勢をもとにLiDARデータを再配置することによって対象の3次元点群を得ることが可能となる.このような計測システムだけでなく遠隔作業を目的としたヒューマノイドロボットの仮想空間操作インタフェースや,SLAMデバイスを用いたロボットナビゲーション技術,学習ベースの自動3次元計測ロボットなどの開発も進めている.

サイバー考古学

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川涼一
文化財などの3次元デジタルデータを解析し,考古学,美術史学,建築学といった異分野との融合によって新たな知見を得る学際研究を推進している.これまでにアンコール遺跡群尊顔の解析,アウグストゥス像の分類や,クフ王の太陽の船の仮想復元など,デジタルデータの特性を生かした解析手法の開発を行ってきた.また3Dプリンタによる出力モデルを用いた風洞実験や,レプリカの生成など様々な形で学術的,社会的な貢献を目指している.

複合現実感モビリティシステムの開発

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
車両を利用した複数ユーザが同時体験可能な複合現実感(MR)システムを開発している.近年,文化財のモデル化,表示,解析などを目的としたe-Heritage分野の研究が盛んに行われている.その中でもMR技術は,失われた文化財を仮想的に復元展示する手法として注目されつつある.この復元展示で対象となる遺跡は屋外であることが多く,光源環境の変化などから様々な技術的課題が残されている.またこれまでのMRシステムは個人で利用するものが主であり,さらに広範囲を移動できないといった問題があった.そこで我々は,車両を利用して遺跡内を移動しながら複数ユーザが同時に体験可能な復元展示MRシステムを開発している.

定量免疫学

准教授 小林 徹也
免疫は未知で多様な外敵を認識・学習し,速やかに外敵を排除する生体防御システムである.免疫による外敵の認識・学習において,T細胞・B細胞をはじめとした免疫細胞の多様性(レパートリー)とその変化が重要な役割を果たす.本研究では,免疫細胞集団の集団ダイナミクスモデルと,ハイスループットシーケンシングに基づく免疫レパートリー解析を統合し,我々の免疫状態がどのように維持され,また動的に制御されているか,その原理の理解に取り組んでいる.

定量発生学

准教授 小林 徹也
着床前胚の形成は,1つの受精卵が多能性細胞を含む複数の状態の細胞に分化・脱分化をする哺乳類胚発生の最も単純な第一ステップである.複雑な多細胞構造が動的にまた空間的に形成される原理を理解するためには,発生の系譜を追跡し再構成することが不可欠である.本研究では,長期胚培養,定量的3Dタイムラプスイメージング,画像からの細胞核の自動同定,核の自動追跡アルゴリズム,発生系譜の統計解析技法,そして胚発生の力学モデルなどの技術開発に取り組んでいる.これらの手法は発生の理解のみならず,胚の状態を定量化し,その培養条件を最適化する応用にも貢献すると期待される.

定量細胞生物学

准教授 小林 徹也
大腸菌,酵母,細胞性粘菌,培養細胞などの単細胞生物は,生命システムにおける定量的な法則を見出すためのよいモデルシステムである.本プロジェクトでは,様々な実験研究者と協力することで,多様な定量データに様々な数理・データ解析手法を組み合わせ,新たな法則の発見に取り組んでいる.特に我々は,1細胞レベルでの振る舞いと細胞ごとの確率性・多様性の結果として,どのように細胞集団の挙動や機能が実現しているか?に着目して研究を進めている.

生体情報処理の数理理論

准教授 小林 徹也
生体システムは個体から細胞まで積極的に環境の情報を取得・処理し,運動・状態変化などの応答を決定する.しかし,ミクロな細胞を構成する化学反応は極めて確率的でノイジーである.ノイジーな化学反応を用いてどのように細胞は情報を扱い,そして情報をどう活用しているのか.その原理は明らかではない.本研究では,情報理論や情報熱力学をベースとして,動的に変化する環境の認識や探索に関する数理理論の構築を行っている.またそれを定量的な計測と組み合わせて,生体情報処理を情報の観点から理解することを探求する.

確率生体現象の数理と熱力学

准教授 小林 徹也
細胞はすべての多細胞生物の構成要素であり,また化学反応はすべての細胞の構成要素である.細胞という微小環境に閉じ込められた,少数だが多種の反応群は極めて確率性の高い挙動を示す.本研究では,確率論に基づく数理理論の構築と,定量データを用いた理論の検証を通して,このような現象をどのように記述したら良いのか? 分子の少数性は現象の定性的な振る舞いにどのような影響を持つのか? 少数分子からなる平衡・非平衡系に成り立つ熱力学的法則は何か? といった問題を数理的な立場から解決することを目指す.

進化と適応の統一理論

准教授 小林 徹也
生体システムは確率的に変動する環境に柔軟に適応する能力を有する.自然選択に基づくダーウィン進化は,環境適応の基本メカニズムの一つであり,生体は集団内に遺伝型・表現型の多様性を生成することで,未知の環境変動へのリスクを分散し,生存確率や適応度を高める.一方で,生体システムは環境を積極的に感知・予測し,事前に適応的な状態を選択することのできる脳の様な器官を発達させてきた.この2つの適応機構はどのように関連しているのか? 本研究では,ダーウィン的自然選択と予測的情報処理に共通する情報論的変分構造を用いて,この2つの適応機構を理論的に統合し,生物の適応に関わる統一理論の構築とその応用に取り組んでいる.

HfO2系材料における強誘電性発現のメカニズムの解明

准教授 小林 正治,教授 平本 俊郎
CMOSプロセスと整合性が高く,10nm以下でも強誘電性を有する,強誘電体HfO2が次世代のメモリ材料として大きな注目を集めている.ドーパントを含むHfO2をアニール処理することで,中心対称性の破れた直方晶が形成され,これが強誘電性をもたらしているという実験報告はある.一方,理論的に熱過程で強誘電体相が形成されるメカニズムは十分に明らかになっていない.本研究ではSiをドープしたHfO2においてアモルファス相から強誘電体相へ相転移するプロセスを熱過程に沿って系統的に第一原理計算によって明らかにした.HfO2はドーパントと界面エネルギーの効果により,正方晶のエネルギーが斜方晶よりも安定になる.さらに各層のエントロピーをフォノンバンドの計算結果から直接求め,ドープされたHfO2の各結晶相のグレインサイズと温度に対する自由エネルギーを計算した結果,高温において正方晶の核形成が行われることがわかった.さらに低温に戻す過程で正方晶は準安定状態に移り,運動学的な遷移エネルギーの低い強誘電体相へ相転移することを第一分子動力学法を用いて直接観測することに成功した.

IGZOトランジスタとRRAMの三次元集積技術による三次元ニューラルネットワークの実証

准教授 小林 正治,教授 平本 俊郎
AI特にニューラルネットワークのアルゴリズムでは,学習と推論のために膨大なデータが必要であり,従来のコンピューティングではCPUとメモリとの間のデータ伝送が性能のボトルネックになることが課題となっている.この課題を解決する技術として,演算とメモリを一体化させ,メモリアレイで演算まで行うインメモリコンピューティングが注目を集めている.しかし,ニューラルネットワークの認識精度を上げるにはメモリアレイの規模を大きくする必要があり,今後配線での遅延や消費エネルギーが問題となる.本研究ではCMOSプロセスの配線層に形成可能なIGZOトランジスタとRRAMを多層にモノリシック集積したチップを開発した.多層プロセスでもデバイス特性の劣化は見られず高い信頼性を維持することを確認した.またバイナリニューラルネットワークで基本演算要素となるXOR演算をIGZOトランジスタとRRAMによるメモリセルのペアで動作実証した.

負性容量トランジスタのデバイス物理に関する研究

准教授 小林 正治,教授 平本 俊郎
強誘電体HfO2をゲート絶縁膜とする負性容量トランジスタは,サブスレショルド係数が60を切ることで超低電圧動作が期待される次世代トランジスタ技術である.しかし,サブスレショルド係数が60を切るメカニズムや負性容量トランジスタに特有の現象を説明できる包括的な物理メカニズムは未解明であった.本年度の研究では,本研究室が提唱してきた強誘電体のダイナミクスに基づく過渡的な負性容量の物理モデルをベースとして,さらに界面や膜中における電荷トラップと固定電荷の影響も含めた包括的なモデリングを行い,より現実に即したデバイス物理の解明に貢献できるようになった.

Emission dynamics of III-nitride quantum dots

准教授 ホームズ マーク
We are investigating the carrier dynamic time scales in III-nitride quantum dots (InGaN). We have measured spectral diffusion time scales in InGaN QDs of several 100s of nanoseconds, and identified a possible excitation bottleneck. This final goal (10 year time span) of this research is to realize indistinguishable photons from III-nitrides. This research is mainly funded by the Takuetsu Leading Initiative for Excellent Young Researchers of MEXT[卓越研究員事業].

Enhancing the photon extraction efficiencies of III-nitride QDs

准教授 ホームズ マーク
We are investigating ways to enhance the extraction efficiencies of III-N QDs. in this year we performed calculations and fabricated bullseye structures to enhance photon extraction efficiencies from III=nitride quantum dots. This research has been funded by a Kakenhi Wakate Kenkyu project from April 2019.

Investigating the light extraction efficiency of microLEDs

准教授 ホームズ マーク
In this project we are starting to investigate methods to increase the efficiency of up and coming microLED structures. At the current stage the work is simulation-based.

Modeling spectral diffusion in GaN QDs

准教授 ホームズ マーク
We have been using quantum mechanics simulation software to model the spectral diffusion mechanism in GaN QDs. The goal of this research is to find insights into this process, as it will be a major obstacle to overcome for indistinguishable photon generation.

三次元Shave-off二次イオン質量分析法の開発

教授 尾張 眞則,特任研究員(尾張研) 陳 孫維
二次イオン質量分析(SIMS)法は,深さ方向分析が可能な高感度固体表面分析法である.本研究ではGa 収束イオンビーム(Ga-FIB)をSIMS 装置の一次ビームに採用し,0.1 ミクロン以下の高い面方向分解能を実現した.またマルチチャンネル並列検出システムの開発により,迅速で正確なSIMS 分析を可能とした.さらにshave-off 分析なる独自の微粒子定量分析法や,Ga-FIB の加工機能を利用した新しい三次元分析法ならびに高精度shave-off 深さ方向分析法を確立した.現在は,三次元分析の高速化に関する検討・装置化を行っている.

三次元アトムプローブ・電界イオン顕微鏡による固体表面化学反応の原子レベル解析

教授 尾張 眞則,特任研究員(尾張研) 陳 孫維,大学院学生(尾張研) 荒木 滉也
針状金属試料の先端部について,元素を区別した上で原子配列を三次元で可視化することのできる三次元アトムプローブは,究極の原子レベル分析手法として汎用化への期待がされている.本研究では,金属表面で起こる触媒反応を原子レベルで観察することを目指し,電界イオン顕微鏡による表面観察とアトムプローブによる質量分析を併用することにより,反応が起こる場を特定したうえでその表面構造を明らかにする方法を追求している.

含フッ素溶媒を用いる細胞培養

教授 畑中 研一,助教(畑中研) 粕谷 マリアカルメリタ
フッ素を多く含む溶媒(フルオラス溶媒)中における細胞培養を行っている.また,フルオラス溶媒のゲルを用いた新規細胞培養系を開発している.

PSD法によるⅢ族窒化物の成長

教授 藤岡 洋,助教(藤岡研) 上野 耕平
パルスプラズマを励起源として用いて結晶成長を行うことによって高品質Ⅲ族窒素化物薄膜を低温かつ高いスループットで成長させる.この手法により,従来手法では実現できなかった金属上半導体単結晶の高速成膜を実現する.

フレキシブルマイクロLEDの開発

教授 藤岡 洋,助教(藤岡研) 上野 耕平
大面積金属基板上へ半導体単結晶を成長させ受発光素子や電子素子などのエレクトロニクス素子を作製する.その後,作製した素子をポリマーへ転写することによって透明かつ柔軟,大面積のフレキシブルデバイスを作製する.

励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)機構に基づくストークスシフトの大きな発光を示す有機固体物質の開発

助教(藤岡研) 務台 俊樹

外部刺激応答性発光を示す有機固体物質の創成

助教(藤岡研) 務台 俊樹

結晶多形依存性を示す有機固体発光特性の量子化学計算による解析

助教(藤岡研) 務台 俊樹,教授(長崎大) 重光 保博

キラルな無機化合物の合成と物性評価 ガラスを前駆体とした無機化合物の合成

助教(井上(博)研) 木崎 和郎
ある種の結晶性無機化合物はその対称性を反映して,キラルな構造をもつ.このキラルな無機化合物の結晶構造と,発光や磁性などの物性との構造物性相関を明らかにする.

アズレン誘導体の特異な反応性と物性を利用した機能材料の開発

教授 工藤 一秋,修士研究員(工藤研) Yu Jin
アズレンは炭化水素でありながら,青い色をもつ,分子内で分極しているという特異な物性を示し,また,5員環部のベンジルカチオンを極めて強く安定化するという特性がある.これらを利用して,チオールをもつ生体分子の特異的検出法の開発ならびに環状5両体であるcalix[5]azuleneの合成と超分子的な挙動の調査を行った.

ペプチド有機触媒の開発

教授 工藤 一秋,大学院学生(工藤研) 溜渕 賢也,大学院学生(工藤研) 劉 謙
ペプチド触媒は,酵素,有機低分子化合物に次ぐ第三の分子触媒として,独自の機能が期待される.これに関してペプチド触媒ならではといえる反応の探索を行った.

生合成反応を模倣した生理活性分子の合成

教授 工藤 一秋,修士研究員(工藤研) Yu Jin,大学院学生(工藤研) 頼近 光昭
生体内でアセチルCoAとマロニルCoAから得られる二次代謝物であるポリケチドには多様な分子骨格,生理活性をもつものが存在する.それらは生体内では共通のシンプルな反応の積み重ねによって作られている.そのしくみを模倣することで,多様な化合物を生み出す人工の反応システムの開発へとつなげることを目指す.

プラズモン共鳴の応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 陳 芊如,大学院学生(立間研) 付 小歓,大学院学生(立間研) 松下 匠
局在表面プラズモン共鳴による光応答増強や,光学材料,色材,スマートウィンドウ,センサ等への応用を図る.

プラズモン誘起電荷分離の応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 下村 孔輝,大学院学生(立間研) 東條 太朗,大学院学生(立間研) 本間 徹,大学院学生(立間研) 井澤 哲舜,大学院学生(立間研) 中根 佑真
金属ナノ粒子と半導体の界面において,プラズモン共鳴に基づいて電荷分離が誘起される.この現象の光電変換,光触媒,フォトクロミズム,バイオセンサ,ナノファブリケーション等への応用に関する研究を行う.

プラズモン誘起電荷分離の機構解明

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 青木 千佳,大学院学生(立間研) 川井 朱理,大学院学生(立間研) キム カンソク
金属ナノ粒子と半導体の界面において,プラズモン共鳴に基づいて電荷分離が誘起される.この現象の機構を解明する.

光機能ナノ材料の開発

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳
発光デバイス用量子ドット,抗菌・抗ウイルス性光触媒などの開発を行う.

⾦属カルシウムの新製造法の開発に関する基礎研究

助教(岡部(徹)研) 大内 隆成
金属カルシウムは,希土類金属(レアアース)やチタンなどレアメタルの製錬・精錬プロセス,およびリサイクルプロセスにおいて重要な役割を果たしている.本研究では「高純度金属カルシウムの高効率・低環境負荷・低コスト製造」を可能とする技術の開発を行っている.

チタン合金の新規リサイクルプロセスの開発

助教(岡部(徹)研) 大内 隆成,教授 岡部 徹,大学院学生(岡部(徹)研) 飯塚 昭博,大学院学生(岡部(徹)研) 赤石 謙太
Ti製品の製造過程で多量に発生するスクラップは主に鉄と酸素に汚染されている.鉄はスクラップ管理や表面洗浄により除去可能であるが,TiやTi合金のスクラップからスポンジTi(バージン材料)と同程度の酸素濃度(500 mass ppm O以下)まで酸素を効率的に取り除く実用プロセスは存在しない.本研究では,希土類金属のオキシハライドの生成反応をTi合金スクラップの脱酸に応用することで,Ti合金スクラップをスポンジTiより低酸素濃度化してリサイクルする技術を開発している.希土類金属のオキシハライド生成反応,およびTi合金中に含まれるO,Fe,Al,Vなどの元素の脱酸反応中の挙動を解明することで,500 mass ppm O以下の低酸素濃度のTi合金を製造可能なプロセスの実現を目標としている.

溶融塩電解を⽤いる⾰新的貴⾦属回収プロセスの開発

助教(岡部(徹)研) 大内 隆成,教授 岡部 徹,大学院学生(岡部(徹)研) Wu Shuang
溶融塩電解技術を用いて,ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),白金(Pt)といった白金族金属(Platinum group metals, PGMs)を含むスクラップの高効率リサイクルを可能とする,新規プロセスを開発する.

クロロフィル集合体の磁気光学分光

教授 石井 和之

セシウム吸収材を担持させた素材の開発とその製品化

教授 石井 和之

ソフトクリスタルの光機能に関する研究

教授 石井 和之

ビタミンCバイオイメージング用蛍光プローブの開発

教授 石井 和之

ホモキラリティの起源に関する研究

教授 石井 和之

ポルフィリン・フタロシアニンの光機能化に関する研究

教授 石井 和之

ロータリーエバポレーターを用いた不斉合成法の開発

教授 石井 和之

光機能性錯体とナノファイバーの複合化研究

教授 石井 和之

光線力学的癌治療を志向した光増感剤の研究

教授 石井 和之

分子性光触媒の研究

教授 石井 和之

分子性結晶の準安定状態に関する研究

教授 石井 和之

刺激応答性クロミック材料の開発

教授 石井 和之

金属錯体の分光測定研究

教授 石井 和之

Cuゼオライトによる窒素酸化物除去触媒作用とゼオライト構造因子の解明

教授 小倉 賢
銅(Cu)をイオン交換担持したゼオライト触媒は,特異的な窒素酸化物除去触媒作用を示す.NO直接分解,アンモニア(NH3)を還元剤とした選択的還元反応(SCR)にともに高活性・高選択性・高耐久性を示すことを明らかにするとともに,ゼオライト構造が特別な役割をもち,活性を強く支配していることを見出した.この構造因子を明らかにすることを目的としている.

シリカおよび炭素骨格への部分窒素導入と新たな機能を賦活した塩基触媒の創製

教授 小倉 賢
これまで当研究室で培ってきたシリカの部分窒化をゼオライト,メソポーラスシリカ,アモルファス炭素へ展開する.これら多孔質物質のローカル構造に依存した新しいタイプの塩基性窒素塩基触媒性能を追究する.

メソポーラスゼオライトのメソ細孔に閉じ込められた相変化物質PCMsの融解挙動の解析と断熱吸着システムの構築

教授 小倉 賢
均質ナノ空間内に閉じ込めた相変化物質Phase-Change Material(PCM)の熱融解および凝固の挙動を把握し,熱マネジメント応用へと展開する基礎研究.

メタンの非酸化カップリングに有効なゼオライト触媒の調製

教授 小倉 賢
メタンの非酸化カップリングに有効な金属置換ゼオライト触媒を調製することを目的とする.

二酸化炭素からの有価物合成:炭化水素燃料への転換に資する触媒に関する研究

教授 小倉 賢
内燃機関から排出される二酸化炭素を原料に転換し,有価物を得る資源循環プロジェクトの一環.環境負荷のないプロセスで製造されたグリーン水素を利用し,MTOやFTにより燃料に資する高級炭化水素合成を目指す.

定常状態同位体過渡速度解析法によるゼオライト上でのメタノール─オレフィン反応解析

教授 小倉 賢
メタノールから低級オレフィンを合成するメタノール−オレフィン(MTO)反応は,プロピレンなど有効な成分の選択性および収率を向上させるなど時代のニーズに合わせた脱石油化学プロセスとして期待されている.それを触媒するゼオライト上での反応機構解明を,定常状態同位体過渡速度解析法(SSITKA)を用いて検討している.

燃焼排ガス中の一酸化窒素NOの選択吸着材の調製とアンモニアへの転換触媒システム開拓

教授 小倉 賢
燃焼排ガスに含まれる一酸化窒素NOを吸着阻害性物質共存下において選択的に吸着・濃縮する.この濃縮NO種を還元剤を用いてアンモニアへと転換する触媒システムの構築・設計研究.PdゼオライトおよびZIF,ZIF由来炭素系多孔質材が有効であることを見出し,そのNO吸着特性を評価することを目的とする.

酸型ゼオライトによるETP(Ethylene-to-Propylene)反応

教授 小倉 賢
エチレンからプロピレンを製造するゼオライトベースの酸触媒特性を検討し,高機能触媒を調製することを目的とする.

銅ゼオライトを用いたメタンによる窒素酸化物の選択的還元

教授 小倉 賢
CuゼオライトのdeNOx特性を包括的に理解するためのメタン還元剤利用と,メタン活性化メカニズムの解明を目的としている.

ガラス・液体の原子分解能構造解析

教授 溝口 照康
STEM-EELSを用いたガラスおよび液体の原子分解能計測

先端計測インフォマティクス

教授 溝口 照康
計測される画像およびスペクトルを,データ駆動型手法により解析

内殻電子励起分光スペクトル(ELNES/XANES)の第一原理計算

教授 溝口 照康
一粒子計算法(DFT-LDA/GGA),二粒子計算法(BSE),および多電子計算法(CI)を用いた内殻電子励起分光スペクトル(ELNES/XANES)の理論計算

半導体,エネルギー材料および機能性セラミックス中格子欠陥における構造機能相関

教授 溝口 照康

格子欠陥のマテリアルズインフォマティクス

教授 溝口 照康

分子間振動の粗視化理論に基づく分子結晶の構造安定性予測

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 中嶋 紘大,大学院学生(北條研) 王 越,大学院学生(北條研) 岡村 彰太
超分子複合体や分子結晶における分子間振動モードを分子間力の剛性定数に帰納する理論を構築するとともに,それを分子結晶の多形構造安定性評価へと応用する研究を行う.

分子集積体における電子状態の効率的計算法の開発とその応用

教授 北條 博彦,主任研究員(長崎県工業技術センター) 重光 保博,大学院学生(北條研) 許 明戈
階層的QM/MM法,周期境界条件をもちいたDFT法などの計算法をもちいて,分子集積体中の着目分子の電子状態を効率的に計算するとともに,固相中で示される分子物性を合理的に説明できるモデルの構築を試みる.

刺激応答性エラストマーの開発をめざした超分子ポリマーの分子設計と合成

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 曽 鋭羽,大学院学生(北條研) 中山 健太郎,大学院学生(北條研) 真子 泰典
特異的なエネルギーポテンシャルを有する分子パーツをポリマー中に組み込むことにより,応力応答性色調変化などの機能をもつ弾性体材料を開発する.

有機結晶の光・熱応答特性に関する速度論的および構造化学的研究

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 楊 雨,研究実習生(北條研) 鯉渕 領
光および熱に応答して電子状態変化する有機結晶を対象として,その応答特性を速度論的に記述する実験的手法を開発・改良するとともに,得られたパラメータ群と結晶構造との関連付けを試みる.

多数の金属種の配列の精密制御と機能発現

准教授 砂田 祐輔
多数の金属種を平面状や立方体状など構造を精密に規定しながら配列し,それらの特異な化学的・物理的機能を開拓する.

遷移金属と典型元素の協働作用を活用した高機能性クラスター開発

准教授 砂田 祐輔
遷移金属化合物において,典型元素化合物を配位子として導入することで,通常では実現困難な様々な触媒機能を付与できるなど,特異な機能を発現できることを最近当研究室では見出している.本研究では,多数の遷移金属と典型元素から構成されるクラスターを開発し,元素間協働作用に基づく特異な反応性や新規物性の発現を指向した研究を行う.

高機能性ベースメタル触媒開発

准教授 砂田 祐輔
有機化合物の合成・変換における多くの場合において,貴金属化合物が触媒として用いられている.近年,貴金属の枯渇や価格の高騰から,貴金属を用いない触媒の開発が望まれており,当研究室では,鉄などの安価なベースメタル触媒の開発を行っている.

薄膜の脱濡れ現象による自己組織化機能性ナノ材料の創製

助教(八木研) 神子 公男
特異な形状や良質な結晶構造(配向性)を有することで,光学特性や磁気特性といった機能性の向上が期待されるナノ材料を,脱濡れ(熱凝集)現象を用いた自己組織化により作製する.本研究において,目的とする機能層と基板との間に,シード層と呼ばれる薄膜層を挿入することで自己組織化やエピタキシャル成長を促進させ,余分な蝕刻工程等を必要としない,ボトムアップ型のナノ材料創製技術の確立を目指す.

分子認識能を賦与した有機薄膜トランジスタ型化学センサの創製

准教授 南 豪
有機薄膜トランジスタは,軽量性,柔軟性,低環境負荷,大面積デバイス化が可能などの特徴を有していることから,センサデバイス開発において魅力的なプラットフォームである.しかし,センサとしての応用研究は萌芽段階にあり,とりわけ分子認識化学的視点からの研究展開はこれまでにおこなわれていない.そこで本研究では,有機合成化学に立脚して合目的に創製した分子認識材料を有機薄膜トランジスタに組み込むことにより,新たな化学センサデバイスの提案を目指している.

超分子センサアレイによるハイスループット分析手法の開発

准教授 南 豪
ホスト−ゲスト化学に基づいて開発される分子センサは,比較的高い選択性を有する一方で,多成分を迅速かつ同時に検出することは得意ではない.本研究では,あえて標的化学種に対して“低選択性”を有する分子センサ群を“可能な限り簡易に”合成し,これをマイクロアレイ上に並べて,体液などに含まれる多成分をハイスループットに分析する手法を開発する.低選択性分子センサ群のアレイ化により得られる種々の信号応答について,統計学・機械学習に基づくケモメトリックスを用いて解析をおこない,複数種の同時定性・半定量・定量分析を試みている.

窒化物半導体/超伝導体集積エレクトロニクス

特任准教授 小林 篤

非晶質基板上への高移動度窒化インジウム成長

特任准教授 小林 篤

非耐熱性酸化物上窒化物エレクトロニクス

特任准教授 小林 篤

トポロジカル絶縁体のバルク絶縁性向上

講師 徳本 有紀
トポロジカル絶縁体の特殊な表面状態に起因する表面伝導,量子振動を検出するためには,バルクの絶縁性を向上させることが不可欠である.今後表面および転位物性を評価することを念頭に置き,Pb系カルゴゲナイドトポロジカル絶縁体を対象とし,組成の緻密な調整により絶縁性を向上させることに取り組んでいる.

ナノ摩擦力顕微鏡によるポリジアセチレンメカノクロミズムの解明

講師 杉原 加織
メカノクロミックポリマー,ポリジアセチレンがどのような力をかけると発光するのかという「力と発光の相関」をナノスケールで定量的に解明する.

強力な抗菌薬開発に向けた抗菌ペプチド・コオペラティブ効果の原理解明

講師 杉原 加織
抗菌ペプチド・ コオペラティブ効果という異種のペプチドを混ぜることで発現する新しい生体分子機能の原理解明.

BIM による建築生産イノベーションに関する特別研究会RC-90

教授 野城 智也,特任講師 森下 有,特任研究員(生産技術研究所) 村井一
従前より,BIM(Building Information Modeling)を導入することによって,建築設計を含む建築生産プロセスを変革する期待が高まっている.特に,従来の人の暗黙知に付随して蓄積されてきた異業種間相互調整プロセスから,建物の情報のみならず,建築生産に必要な当事者間調整情報(設計情報・生産情報)を統合的にマネジメントしていくプロセスに変革していく期待は高い. しかしながら,我が国における現況として,設計のBIM,生産のBIM,運用のBIMと言われるように,建築生産プロセス間の連携と相互調整において未だに多くの課題があり,BIMを利活用するメリットを最大限に活かしきれていない状況である.すなわち,当事者間において,「つなぐ」ことを目的とした,異業種間相互調整プロセスを支援する仕組みを欠いている状況である.初年度の本特別研究会でも「繋がらない」原因となる課題を抽出した.課題を解いていくための手がかり,特に建築生産におけるそれぞれの立場を超えて「つなぐ」ための仕組みについて検討する.

IoT特別研究委員会

教授 野城 智也,特任教授 荻本 和彦
生産技術研究所のCOMMAハウス等を活用したテストベッドでの付加価値アプリケーション創出トライアルや,増分コストの極小化策,「IoT由来の脅威」への対処方策などの知見を共有して,IoT社会の早期実現に向けたこれら諸課題の解決方法を検討・発信する.さらに,それらを構成するソフトウェアや,全体機能の維持・運用・情報の取り扱いに関する課題等についても幅広く研究し,これを必要とする事業者に広く便益を提供する中間組織の在り方を取りまとめることとする.

サステナブル建築実現のための物理ーサイバー空間のアーキテクチャに関する研究

教授 野城 智也
サステナブル建築を実現するために,デジタル化されたテクノロジーを活用していくための可能性が高まり,端緒となる実践も種々展開されている. しかし,現実を見ると,それぞれの技術の繋がりが円滑ではなく,折角の可能性が制約されてしまっている. 野城研究室では,サステナブル建築を実現するための「さまざまなデジタル技術を繋げていくための仕組み」を考究している.具体的には,下記の研究に取り組んでいる 1 様々なベンダーが製造供給した機器を,滑らかに接続するためのIoT連携基盤(IoT-Hub)の開発・普及をはかる. 2 建築・都市各所に配置した,加速度センサー,二酸化炭素センサーからのData Aggregation によるサステナブルな建築のファシリティマネジメント手法の開発 3 上記手法の大学キャンパスへの適用 4 BIMなどの建築デジタル・モデルをもとにした構工法計画手法

デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動の実践

教授 野城 智也
価値創造デザイン推進基盤が関与するDesign Academyや,渋谷QWS,大手町3×3 Lab Future,有楽町SAAIなどの異分野交流空間への参加を通じて,デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動を種々展開する.

トレージャー・ハンティングによるライフスタイルを賦活するデザイン・エンジニアリングの展開

教授 野城 智也,教授 ペニントン マイルス,准教授 戸矢 理衣奈
生産技術研究所に眠る様々な技術的シーズをトレージャー・ハンティング活動により掘り起こして,多様化された社会においてライフスタイルを賦活させていくモノ・コトのプロトタイプを開発していく.

浮遊微粒子吸着・浄化材料の住宅等への応用利用に関する研究

特任准教授 馬郡 文平,教授 野城 智也
PM2.5等の浮遊粉塵を吸着し,清掃再利用できる塗料を活用した空気清浄で,かつ居住空間の空気清浄性能に関する評価手法はないため,既往の性能評価との組み合わせ,もしくは新たに性能評価手法を検討する.新築・既築の壁紙他へ塗布,フィルタリングなどの住宅等で総合的な空気清浄効果を見込める応用技術等の提案を行い,応用開発研究を実施する.

物理空間・サイバー空間の協調運用のための共通空間記述基盤の構築

教授 野城 智也,客員教授 豊田 啓介
建築・都市空間内で,人,ロボットを含む人工物が,物理空間・サイバー空間を連携的に利活用しつつ,協調的に活動していくために,様々な技術者,組織が専門分野や業種を超えて共通に利用できる,空間記述基盤を構築することを目指す.

シェルターのイノベーションに関する研究

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 大塚 陽汰
日本における避難所とは一般に学校体育館などの施設を示す場合が多いが,これらは鉄骨バラック建築に近い.一方,地下シェルターは様々な非常時に人命保護としての優れた点が多い.現在,多くの人が集まる場所には地下街を含む地下施設が発達しているが,これらはシェルターとして機能するようには全く考えられていない.本研究では,極限的な災害時にも利用できる地下シェルターの理想的な形態と,都心に存在する地下施設をシェルターとして利用するために改修するロードマップ等に関して研究を行っている.近年は地下施設の浸水について調査するために,ポンド法やMPS法を用いたシミュレーションの研究を行っている.

テンセグリティ構造物の応力測定システム

教授 川口 健一

人体耐性と建築物の安全性に関わる研究

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治
建築空間の安全性は,最終的には構造躯体の損傷ではなく,人体の耐性によって決まる.本研究では天井材の落下が人間の頭部に与える損傷と人体耐性の間の関係に関する研究に始まり,様々な人体耐性を用いて建築空間の安全性を検証,評価する方法について研究を行っている.

地震による構造物の破壊機構解析(共同研究)

教授 川口 健一

天井等の非構造材の落下事故防止に関わる研究

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,大学院学生(川口(健)研) 幸田 雄太
天井等,建築内部空間の高所に設置した非構造材は,様々な理由で落下し内部空間の安全性を著しく損なう.本研究では,軽量な天井材の利用や落下防止ネット,重量天井の落下を防止する方法や被害を軽減する方法,さらにはAIを用いた天井の安全性判定プログラムの開発などを行っている.

宇宙構造物及び可動式,展開型構造物に関する研究

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,学部学生(東京都市大) 千葉 博史
宇宙展開構造物や開閉式屋根,展開型パーソナルシェルターや可動式構造物など,3次元的な部材配置により高度な機能を実現する構造に関する研究を行っている.東京都市大学の宇宙システム研究室とは継続的に宇宙展開構造物に関する情報交換と研究交流を行っている.

実大テンセグリティ構造物の応力測定システム

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,大学院学生(川口(健)研) 路 越,大学院学生(川口(健)研) 梅田 直哉
2017年に完成した柏の葉キャンパスにあるWhiteRhinoIIの応力状態の継続的モニタリングを行っている.また数値解析などによりテンセグリティ構造が最適構造となるための条件の探索などを行っている.

建築構造物の力学特性に関する研究

教授 川口 健一

新しい軽量空間構造物の開発及び歴史的な空間構造物の調査

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 李 陽洋,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治
構造部材の三次元的な配置を利用した新しい軽量空間構造システムの開発提案を継続的に行っている.また,日本における初期の鉄骨ドームや鉄筋コンクリートシェルなどの空間構造に関する調査,デジタルアーカイブ化などの研究も行っている.

植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成 ~植物構造オプト~

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,大学院学生(川口(健)研) 有本 清香,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
植物生理学者との協働,共同研究を通して,生きた植物を建築構造に応用する,あるいは生きた植物の最適化戦略から学んだ原理を応用する,ことを目指す挑戦的研究.

生きた植物の建築への利用に関する実験的研究

教授 川口 健一

アジアモンスーン地域の水文環境の変動と水資源への影響

教授 沖 大幹,特任教授 沖 一雄,特任准教授 木口 雅司,教授 芳村 圭,シニア協力員(芳村研) 小池 雅洋,特任准教授(東大) 生駒 栄司,教授(東北大) 風間 聡,准教授(東北大) 有働 恵子,教授(東北大) 本間 香貴,准教授(北海道大) 山田 朋人,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,准教授(茨城大) 吉田 貢士,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,准教授(富山県立大) 手計太一,教授(東京大学農学部) 蔵治光一郎,准教授(名古屋大) 白川 博章,准教授(名古屋大) 中村 晉一郎,助教(岐阜大) 乃田 啓吾,准教授(福島大) 牧 雅康
アジアモンスーン域に位置するインドシナ半島,特にタイでは,近年数十年に一回の極端な洪水と渇水を経験した.タイの主要河川であるチャオプラヤ河における治水はこれまで先人たちが大変苦労してきた.この地域での季節予報の精度向上,大気陸面間での水・エネルギー交換の解明による水循環変動の解明,地表面過程のモデル開発といった,観測及び数値計算を駆使した研究を推進している.さらに気候変動の緩和策と適応策に関する研究も新たに開始した.また,タイの現業機関(天然資源環境省,王立灌漑局,気象局等)や研究機関(カセサート大学 等)と,これらの研究開発や社会実装を協働して実施し,協力関係の強化も進めている.

全球規模での水の消費および移動(Virtual Water/Water Footprint)の実態とWater Footprintの国際標準化に伴う評価手法開発に関する研究

教授 沖 大幹,受託研究員(沖(大)研) 矢野 伸二郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太
穀物生産や畜産,工業製品の生産には水資源が大量に消費される.各製品の貿易に伴う移動を仮想的な水の貿易と捉えると,間接的に他国の水資源を消費していることと同じである.この実態を全球規模で解明するため,多様な統計データや統合水資源モデルを用いて,農作物をはじめとする製品の生産にかかる間接水消費量(Virtual Water: 輸入国で製造した場合の仮想的な水消費)および直接水消費量(Water Footprint: 実際に製造に要した水消費量)を計算した.また,全球で均質な環境負荷となる炭素排出とは違い,水は地域に遍在する資源であり,用途毎に必要な水質基準も異なるため,水消費の環境負荷は量のみで議論することができない.水消費の環境負荷指標の国際標準化(ISO WaterFootprint)を受け,ライフサイクルアセスメント(LCA)に沿って評価できる環境負荷定量化手法の開発を進めている.

次世代陸域水文モデルの開発

教授 沖 大幹,特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大,教授 芳村 圭,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,室長(気象研究所) 仲江川 敏之,特任研究員(芳村研) 大沼 友貴彦
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルの開発を行っている.陸域の水・エネルギー収支と水循環とを大陸規模・日単位のスケールで精度良く推計でき,大気・海洋・生物圏などからなる地球システムモデルとも結合可能な陸域水循環の物理的側面に関する高精度で高計算効率の陸域水文シミュレーションを実施する.また,超高解像度の水文地理データや水利用データの整備,一貫性の長期気象外力データの整備を行い,全球1km 解像度での高解像度陸域水循環シミュレーションや全大陸50km 解像度での250 年分の長期アンサンブルシミュレーションの実現を目指している.

気候政策とSDGsの同時達成における水熱質循環のシナジーとトレードオフ

教授 沖 大幹,特任准教授 木口 雅司
本サブテーマでは,以下の4つを目標とする.1) 全球水温モデルHEAT-LINKを湖沼と結合した水熱動態モデルを開発し,温暖化に伴う水温変化を推計する.2) 水温予測および全球窒素循環モデルTNCMから食糧に関するSDG2の達成可能性の評価を行う.3) 同プロジェクト内の農環研チームが開発した施肥による窒素投入量などの情報を用いて,質と量の双方から生活用水の評価を行い,安全な水供給(SDG6)の達成評価を行う.4) 水温や水質に関する気候政策とSDGのシナジーとトレードオフの解析を行い,シナジーを多くしトレードオフを可能な限り小さくするような方策の検討を行う.

温暖化による水資源への影響評価・温暖化による水関連影響評価

教授 沖 大幹,特任准教授 木口 雅司
2015年に開催されたCOP21で合意したパリ協定では,これまで議論されてきた世界共通の長期目標としての「2℃目標」だけでなく,「1.5℃」への言及がなされた.こうした世界の潮流の中,温暖化による水資源の影響評価(水ストレス)だけでなく,洪水の影響評価(氾濫面積,浸水深)を実施してきたが,政策決定者の利活用に耐え得る精度,あるいは被害面積等だけでなくそれに伴う経済被害の評価が求められており,本研究室ではその社会的要請にこたえる研究を推進して いる.

社会開発や経済援助が幸福度向上に及ぼす影響の定量化に関する研究

教授 沖 大幹,助教(岐阜大) 乃田 啓吾,准教授(福島県立医科大) 村上 道夫,協力研究員(沖(大)研) 福田 紫瑞紀
国連ミレニアム開発目標やSDGsで掲げられた各ターゲットの達成が,発展途上国の主観的幸福度(生活満足度)の向上にどれほど寄与するのかを明らかにした.この結果をもとに構築される生活満足度推定モデルを用いて,異なる分野における開発成果を生活満足度という1つの指標で評価すると同時に,今後どのような開発目標を設定するのが最も効率的かを地域別で検討している.

非常時地下水利用システムの開発・社会実装

特任准教授 木口 雅司,教授 沖 大幹,特任教授 沖 一雄,特任准教授 金 炯俊,教授(芝浦工業大) 平林 由希子,業務執行役兼企画グループ長((公財)リバーフロント研究所) 柏木 才助,グループ長((公財)リバーフロント研究所) 森 吉尚
大規模な災害や渇水の既往事例をもとに,政府及び自治体が被災地における水需要と表流水・地下水全体の水供給を含めた水源の確保状況をリアルタイムで把握し,利用可能な地下水の量と場所を特定することができるよう,本システムが備えるべき機能を平常時と被災直後の複数ケースのシナリオ設定及び解析により具体化する.シナリオ設定にあたり,危機的渇水を含む過去長期間の気象外力データと今後数十年に温暖化による影響を受けると予想される気象データ(複数シナリオ)を作成する.この検討結果をもとに,本システムを設計・構築・試行・改良し,社会実装に向けた評価を行う.

ひび割れ自己治癒コンクリートの実環境暴露試験に関する研究

教授 岸 利治

コンクリート中への水分浸透に関する研究

助教(岸研) 鎌田 知久

セメント硬化体空隙の三次元構造情報に関する研究

助教(岸研) 鎌田 知久

中性化と水の浸透の複合作用を考慮した鉄筋コンクリート構造物の変状予測モデルに関する研究

助教(岸研) 鎌田 知久

上空風観測技術に関する研究

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
上空風速鉛直分布を計測し,風速鉛直勾配から地表面摩擦の影響を評価する.

再生可能エネルギー熱利用システム技術開発

教授 大岡 龍三

大規模展示場における空調制御・最適化システムの開発

教授 大岡 龍三
負荷変動の大きい大規模展示場において,複数の熱源を最適に運転制御し,省エネ・コストの効果予測可能なシステムを開発する.

学習的探索手法を応用した建築・都市エネルギーシステム最適化手法の開発

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
エネルギーの需給バランス制御と省エネルギー・コスト削減の同時達成を目的とした,1)実建物の計測データ収集,需要・発電量予測に関する既存技術の調査・比較,2)単体建物におけるエネルギーシステムの詳細な最適化計算の手法確立,3)街区モデルへの拡張,4)1及び3による不確実性を考慮した最適化シミュレーション手法の開発及びデータ解析による定量的な評価,これら4つを軸とする包括的な最適建築・都市エネルギーマネジメントシステムの方法論を開発している.

屋外ミスト機器における暑さ評価手法の研究

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
屋外かつミスト噴霧環境下において,屋外ミスト機器が人体に及ぼす人体熱収支モデルを組み込んだ暑さ評価指標を構築し,実証実験による効果評価を行う.

都市環境防災のための高解像度気象情報予測プラットフォームの構築

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
健康・安全かつ環境負荷の小さい都市空間の形成を目的として,マクロな気象情報をダウンサイズする手法の開発,あるいはミクロ解析の結果からマクロな解析モデルの予測精度の向上を図り,大気汚染や雲形成などを含めたマルチスケール・マルチフィジックスな高解像度気象情報予測プラットフォームの構築を行う.

高層建築物による風環境の変化に関する解析

教授 大岡 龍三
高層建築物周辺に形成される高風速域の定量的評価を行い,風洞実験により実在市街地に建つ高層建築物周辺の風速分布を解析する.

高温排気ガスの大気拡散予測手法の開発

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
建築設備排気等の高温低密度ガスの大気拡散状態の数値予測手法を検討する.

ネットワーク交通シミュレーション技術の高度化

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓
ネットワーク交通シミュレーションの開発,周辺技術検討,さらに高度化に継続的に取り組んでいる.交差点周辺,都市レベル,日本全国レベルの様々な空間範囲やシミュレーション記述の粒度の異なるシミュレーションをシームレスに接続するハイブリッドシミュレーション,リアルタイムにセンサやプローブデータと連動させるナウキャストシミュレーション,首都圏3環状道路を対象とした交通施策評価シミュレーションなどを開発している.併せて首都圏3環状道路の効率的な利用を促すための交通マネジメント方策の評価について検討を進めるため,交通需要等の変動特性に関する基礎的な分析を行うとともに,オリ・パラ等の大規模イベント開催時におけるマネジメント施策に関するケーススタディを進めている.

交通性能照査型道路計画設計

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓
道路の計画・設計段階で,目標とする交通性能を設定し,この性能を実現するかどうかを逐次照査しながら計画・設計を進める手法を提案し,これを実務で適用する方策を実務技術者と一緒に検討し,交通工学研究会におけるweb上で公開したガイドラインの更新に向けた検討を進めるとともに,道路の交通容量に関する最新データを整理したマニュアルの編纂を行っている.

平面交差部における交通信号制御に関する研究

教授 大口 敬,特任講師 伊藤 昌毅,助教(大口研) 鳥海 梓,シニア協力員(大口研) 新倉 聡,大学院学生(大口研) カシモフ フィズリ,大学院学生(大口研) 白畑 健
交通安全上も円滑上も最も重要な平面交差点における交通信号制御について,多角的な研究を推進している.損失時間の実証評価手法の開発,単路部歩行者横断施設による歩行者・車両双方に最適な横断施設運用,左折車と直進車による混用車線によるランダム性の影響評価,信号灯器設置位置による運転挙動への影響分析,さらに最新のセンシング技術および通信技術を用いた自律分散型信号システムの開発などに取組んでいる.

自動運転導入に向けた社会的要件および道路交通運用条件に関する研究

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,大学院学生(大口研) カラ ジャヤ・バルシニ,教授(清華大) 李 萌
自動運転技術を社会導入する際に生じる様々なステークホルダー間の利害関係を体系的に整理し,交通空白地におけるモビリティ確保といった社会課題の解決に資する自動運転サービスの実現に対する阻害要因の特定と解決シナリオの提示を目的に研究を行っている.また,自動運転導入初期段階を想定して,高速道路上に自動運転専用車線を設けることの実現可能性について,道路構造要件や交通条件の観点から検討を行っている.

街路の計画・設計・交通運用とウォーカビリティの評価に関する研究

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,大学院学生(大口研) 笠原 光将,学部学生(大口研) 新美 創生
都市内街路における歩行者の歩きやすさや歩きたくなるかどうか(ウォーカビリティ)に影響を及ぼす要因の整理とその評価に取り組んでいる.具体的には,街路において発生する自動車の沿道駐停車に伴う歩行者と車両の交錯が歩車双方の円滑性や快適性に及ぼす影響の定量化や,駅周辺部における街路構造と歩行者の歩きやすさに関する実態調査などを行っている.

高速道路における交通混雑現象と渋滞対策技術に関する研究

教授 大口 敬,大学院学生(大口研) アブドゥラエバ エルナラ,准教授(筑波大) 和田 健太郎
日本の高速道路で最大の渋滞要因の単路部ボトルネック発生メカニズムについて運転挙動の観点から多角的に取り組むと共に,その対策技術開発に取り組んでいる.具体的には,高速道路サグ部における追従挙動分析とモデル化,これによる渋滞後捌け交通量の低下要因の解明や,高速道路におけるもう一つの主要渋滞要因である合流部における合流車と本線走行車の相互作用を考慮した意思決定モデルの構築を進めている.

高頻度鉄道システムの簡略化モデリング

教授 大口 敬,大学院学生(大口研) 張 嘉華,准教授(筑波大) 和田 健太郎
首都圏における高頻度鉄道システムは,膨大な通勤需要への対応を可能とする一方,「慢性的な列車遅延」という副作用を引き起こしている.本研究では,この問題の全体像を簡便かつ的確に捉えるために,乗客の時間集中(出発時刻選択)という需要側の要素と,駅・線路上における列車混雑・遅延という供給側の要素の相互作用を考慮したミニマルな(解析的な取り扱いが可能な)鉄道システムモデルの開発に取り組んでいる.また,このモデルを用いて,システム全体の効率性と安定性とのトレードオフ関係についての一般的知見を導くこと,その知見に基づく需給両面の交通マネジメント戦略を提案することを目的としている.

道路交通安全に係る技術・制度・文化における国際比較研究

助教(大口研) 鳥海 梓,教授(名古屋大) 中村 英樹,准教授(立命館大) 塩見 康博
世界各国におけるインフラや車両の整備水準,交通安全教育と文化,各種制度と取締り等が,交通安全意識や交通事故死亡率に及ぼす影響を多角的に検証することを目的としている.10か国を対象にアンケート調査や道路交通行政・学識者へのヒアリング,統計データ等の収集を行い比較分析を行っている.

木質構造物の崩壊挙動に関する研究

教授 腰原 幹雄

地域分析の手法に関する研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 裕大,准教授 本間 健太郎,助教(今井研) 新井 崇俊
地域空間の構造を数理的に把握するための手法論について継続して研究している.本年度は,最小費用流モデルに基づいて,容量空間ネットワークモデルを構築し,感染症対策時の理想的な歩行者フローの配分を求めた.都市における人同士の接触を感染症のリスクとして,直接の接触だけでなく,第三者との間接的な接触も含めた接触確率を算出し,時空間的な精細な分析を行った.自動運転車・手動自動車・歩行者の相互作用を考慮した道路ネットワークを構築し,その効果検証を行った.

数理モデルを応用した建築設計手法に関する研究

助教(今井研) 新井 崇俊
数理モデルを応用した空間設計手法に関する研究を行っている.本年度は,空間のビジビリティ分布及び障害対移動距離分布からコンバージョンの可能性を導くデジタルプラットフォームの基盤について研究した.

数理的アプローチによる設計手法に関する実践的研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 裕大,准教授 本間 健太郎,助教(今井研) 新井 崇俊
空間設計の下敷きになる数理解析手法の研究および,開発した手法に基づく空間設計の実践を継続して行っている.本年度は,一つは日本の現代住宅作品を対象として仕事場とプライベート空間や外部との関係性を,もう一つは病院の部門・諸室間の関係性を定量的に分析した.

空間システムの計画手法の研究と建築設計

教授 今井 公太郎,教授 加藤 孝明,特任研究員(今井研) 国枝 歓
新しい空間のシステムを効果的に計画するための手法を考案・研究している.本年度は,防災施設と観光施設の融合した新たな建築タイプとして,伊豆市において地域の防災計画の主幹をなす津波避難複合施設の基本設計を行っている.

空間解析モデル開発と地域分析

助教(今井研) 新井 崇俊
都市・建築空間の解析モデル開発及び適用に関する研究を行っている.本年度は,容量空間ネットワークを用いた理想的な歩行者フロー配分問題に関する研究,及びシェアリングエコノミーに着目した配送システムに関する研究を行った.

大空間の音響特性に関する研究

教授 坂本 慎一

環境騒音の予測・評価に関する研究

教授 坂本 慎一,助教(坂本研) 米村 美紀,特任助教(坂本研) 李 孝珍,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai
環境騒音の伝搬予測法および対策法に関する研究を継続的に進めている.今年度は,道路交通騒音予測計算法に関して,日本音響学会の技術セミナーや駒場リサーチキャンパス公開等の場において,この予測計算法の周知・啓蒙活動を行った.また,自動車走行騒音の音源特性および伝搬特性に関する実験的検討,数値解析による検討を行った.

純音性騒音の評価に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
風力発電施設から発せられる騒音や,ヒートポンプ給湯器から発せられる騒音は,機械の回転に起因する純音性の成分が多く含まれ,苦情の原因となっている可能性がある.実験室における聴感評価実験を用いて,純音性騒音の不快感を調べる研究を行っている.本年は,昨年度の基礎的な検討に引き続き,定常騒音に単一周波数の純音が含まれる騒音を対象としてその「わずらわしさ」に関する主観評価実験を詳細に行った.騒音のわずらわしさ評価では,騒音を聞く状況設定が問題となる.そこで,日中および就寝時を想定し,数段階のレベルの騒音に曝された状況に対する主観評価実験を行った.得られた主観評価値と,純音成分の強さに関する指標との対応性について検討を行うとともに,環境騒音の評価に役立てるため,A特性音圧レベル,Zwickerのラウドネスレベル,Moore-Glasbergのラウドネスレベルの3種類のラウドネス評価指標による評価結果と主観評価値との対応,わずらわしさの増分に相当する騒音指標のペナルティ値に関する検討を行った.低い周波数領域の純音性成分については「振動感」が指摘されることがある.そこで,この「振動感」に関する主観評価実験の再分析を行った.

音場の数値解析に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 沈 颁泉,大学院学生(坂本研) 福田 大輝
各種空間における音響・振動現象を対象とした数値解析手法の開発を目的として,有限要素法,境界要素法,差分法等に関する研究を進めている.本年度は,都市環境騒音の評価において活用が期待される環境騒音マップに関連し,都市間幹線道路および都市内主要道路周辺地域を対象に広域の騒音伝搬計算を実施し,実測調査結果等との比較によって騒音マップ作成の可能性に関する検討を行った.また,教会建築の室内音響解析を行うための音場モデリングを進め,実測結果の整理を行った.

音場シミュレーション手法の開発と応用に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
室内音場における聴感印象の評価,各種環境騒音の評価等を目的とした3次元音場シミュレーションシステムの開発および応用に関して研究を行っている.今年度は,聴覚と視覚の相互作用に関する評価実験を行った.無響室内の3次元音場再生システムに視覚刺激呈示用のドームスクリーンを組み合わせた評価実験システムを用い,道路交通騒音,鉄道騒音,航空機騒音,船舶航行音,風力発電施設から発せられる騒音の主観評価に音源の可視性が及ぼす影響を定量的に評価する実験を行った.

音響計測法に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai,大学院学生(坂本研) 大久保 滉平
室内外の音響伝搬特性,室間遮音特性,音響材料音反射・吸音特性を精度よく計測する手法,屋外騒音の効率的測定方法について研究を行っている.今年度は,環境騒音や純音性騒音の評価に資する計測システムとして,音の大きさ感を表すラウドネスレベルや,純音可聴度Tonal Audibilityを国際規格ISOに従って簡易に計測するシステムを開発した.道路交通騒音の測定評価に関する研究として,自動車の走行騒音パワーレベルの測定の自動化に関する研究を昨年度に引き続き行った.ビデオによる映像データとマイクロホンによる音響データを組み合わせ,映像データから通過時刻と走行速度を自動検出し,対応した音データから音響パワーレベルを算出するシステムを構築した.

水同位体情報を用いた気候と水循環に関する研究

教授 芳村 圭
水の中の水素安定同位体比或いは酸素安定同位体比を地球システムモデルに組み込むことによって,複雑な地球水循環過程における水の動きを詳細に追跡し,気候システムとの関連について研究している.同時に,質量分析計・分光分析計や人工衛星を用いて地球上様々な場所での雨や地表水,水蒸気等の同位体比を観測している.

水循環モニタリングシステムToday's Earthの構築とその検証

助教(沖(大)研) 日比野 研志,教授 沖 大幹,教授 芳村 圭,准教授 山崎 大,特任准教授 金 炯俊
東大とJAXAの共同研究として,陸域水循環モニタリングシステムToday's Earth(TE)の開発とその検証を行っている.TEには全球版のTE globalと,日本域のみだが高解像度のTE Japanの2つのプロダクトがある.TE globalは長期のデータを持ち,過去の水文イベント(洪水や干ばつ)のデータベースとしての役割を果たす.TE Japanはそれに加えてほぼリアルタイムのデータを提供することで,洪水予測にも役立つことが期待されている.また,JAXAの協力により衛星データを利用することで精度の向上を目指している.

デジタルスマートシティイニシアティブ

教授 野城 智也,特任教授 関本 義秀,教授 腰原 幹雄
近年のビッグデータ,オープンデータ,AI等,多くの情報関係の技術が加速して進む中で,世界最先端の都市管理に関する様々な情報技術を磨きつつも,各地域が特定の主体等に依存し過ぎないデータ管理技術や,草の根の人的ネットワークの構築等,自律したスマートシティの技術基盤の涵養を行っていく事も重要である.そうした活動をより体系的に行っていくために,防災,交通,建物,インフラ構造物,地域経済等,都市運営の各分野を見据えつつ,都市情報基盤のグランドデザイン・コンセプトを描き,そのためのデータやソフトウェア等から構成されるデジタルシティを構築し,社会実証を行っていく.

ドローンや車両などの移動物体のモニタリングに関する研究

助教(関本研) 樫山 武浩

人々の流動を計測し,行動モデルと組合せて全体流動を推定するデータ同化技術の開発

特任教授 関本 義秀
多様な観測方法に基づく性質の異なる移動データを,均質なデータとして整理すると共に,特に災害を中心とする平常時とは異なる人の流動について,行動モデルを適用させ推定する人流データ同化技術の開発を行なう.

商業,交通,観光,災害等のコンテクストにおける人々の流動の生態の解明

特任教授 関本 義秀
人々の流動を様々な分野に適用するために,災害時のみならず観光行動や交通モードの推定によるモビリティ分析を行なう.

国や地域のサステナブルな情報流通を支える基盤技術の開発

特任教授 関本 義秀
官民が保有するさまざまな社会基盤情報をワンストップで入手できるようなオープンなプラットフォームを開発するとともに,データを利用した視覚化・地図アプリなどの機能を提供し,データのショーケース化を図る.

国内外の地域の課題をデータと結びつけることによる実証研究的アプローチの開発

特任教授 関本 義秀
国内の社会基盤情報の整備を進めるとともに,国外においても簡易で継続的なデータ収集手法を構築し,データの質を評価するとともに,交通渋滞の解決や都市計画等の基礎データとしての活用を目指す.

都市ダイナミクスの再生に関する研究

助教(関本研) 樫山 武浩
都市部における人々のモビリティデータの作成と災害時の行動予測を行う.

人を健康にする建築のあり方

准教授 川添 善行

建築の時間論

准教授 川添 善行

日本近代都市の中小神社と地域社会に関する研究

特任助教(川添研) 小南 弘季

漁業集落における共同体と空間形成プロセスの関連性に着目した集落更新モデルの構築

助教(川添研) 青木 佳子

然形学の体系

准教授 川添 善行

データ同化を用いた洪水予測シミュレーションの精度向上

准教授 山崎 大
従来の広域洪水予測シミュレーションでは,気象予測のみを外力としており,その誤差が洪水予測の精度に大きく影響していた.本研究では,衛星観測等による地表水の現状を河川モデルに同化することで,短期〜中期の洪水予測の大幅な精度向上を目指す.

衛星ビッグデータを用いた地球環境変動の解析とモニタリング

准教授 山崎 大,特任教授 沖 一雄
数ペタバイトにおよぶ長期間・高解像度の衛星観測データを用いて,地球規模での水域分布図の構築や,河川水温の長期トレンド検出など,大規模データ解析にもとづく地球環境変動の新たな知見を創出する.

通信型ITSによる公共交通優先型スマートシティの構築

教授 須田 義大,准教授 鹿野島 秀行,特任准教授 小野 晋太郎,助教(林(昌)研) 平沢 隆之,リサーチフェロー(須田研) 杉町 敏之

鉄道ネットワーク上のバリアフリールートの最適化に関する研究

准教授 本間 健太郎,准教授(東京都市大学・環境学部) 丹羽 由佳理,講師(東京大学・空間情報科学研究センター) 日下部 貴彦,大学院学生(本間研) 新井 祐子
「出発地から目的地までのシームレスな移動を可能にする統合的なバリアフリールート」を計画するための方法を開発している.具体的には,A.個人の移動行動を把握し,それに基づき B.広域ネットワーク上の移動流シミュレータを作り,それを用いて C.バリアフリールートを全体最適化するための提言を行う.今年度は課題Aとして,パネル調査を行い,交通弱者程度や移動目的と移動量の量的関係,移動にまつわる心理と行動の相関,新型コロナウイルス感染症流行にともなう移動行動の変容度合いを明らかにした.また課題Bとして,広域鉄道網歩行空間ネットワークモデルを整備し,各種のネットワーク分析を行った.

コンクリートの完全なリサイクル

准教授 酒井 雄也
粉砕および圧縮成形によりコンクリートがれきを再生することで,副産物が発生せず,新たな材料の投入を必要としないリサイクルを試みている.

植物性コンクリート(生分解性コンクリート)の開発

准教授 酒井 雄也
CO2排出などの環境負荷の大きいセメントの代わりに,植物を用いて砂や砂利を接着したコンクリートの開発を進めている.

気体や液状水のコンクリートへの侵入挙動の評価

准教授 酒井 雄也
水銀圧入法により得られるコンクリート空隙構造といった実測値や,水セメント比や養生条件といった作製条件から,コンクリート中の気体や液状水移動を予測する手法を提案している.

水銀を使用しない空隙構造の評価手法の開発

准教授 酒井 雄也
コンクリートの空隙構造は一般に水銀圧入法で評価されるが,水銀の規制が厳しくなりつつあることから,ナノ粒子などを用いて空隙径を評価する手法を開発している.

超微破壊でのコンクリート構造物検査

准教授 酒井 雄也
直径1mm程度の削孔で得られる削孔粉と孔を用いることで,コンクリートへの損傷を飛躍的に抑えつつ,コンクリートの物性や劣化進行を評価する手法を開発している.

空気汚染物質の発生源同定手法の開発

准教授 菊本 英紀

哲学対話を基にした倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)抽出手法の開発

准教授 松山 桃世
新技術が社会実装される際には,技術的課題以外にもさまざまな課題が生じうる.人々が技術の普及と暮らしの変化を受け入れるには,事前に人々が対話を重ね,生じうる論点を提示し,専門家がそれらに対処することが望ましい.本研究では,公共交通の自動運転化をトピックスに,日本科学未来館と連携し,問いを重ねて対象の理解を深める「哲学対話」の手法を基に,論点抽出手法の開発を進めている.

生研道具箱カードゲーム:工学的思考の疑似体験と総合知の醸成

准教授 松山 桃世
本所の設立70周年記念事業の一環として開発した「生研道具箱カードゲーム」をさらにブラッシュアップし,パッケージ化およびウェブ化した.複数の試行会およびワークショップを経て,人々が先進技術を自分ごとと捉え,技術で課題解決方法を自ら考えるという「工学思考の疑似体験」を提供すると同時に,参加者どうしの対話により課題をさまざまな視点からとらえて解決方法を探る「総合知の醸成」のきっかけとなる可能性が見えてきた.

オマーンの伝統的集落の保全に関する研究

准教授 林 憲吾,准教授(総合地球環境学研究所) 近藤 康久,教授 腰原 幹雄

東南アジアの近現代建築に関する研究

准教授 林 憲吾,教授(東京理科大) 山名 善之,教授(国立シンガポール大) Johannes Widodo

東大寺図書館調査研究

准教授 林 憲吾

生研遺産

准教授 林 憲吾
生産技術研究所が残した建物・施設・技術の記録・アーカイブ化

百年カンポンに関する研究

准教授 林 憲吾,講師(インドネシア大) Evawani Ellisa

近現代建築と折り紙建築

准教授 林 憲吾

長屋門ステイ

准教授 林 憲吾
宮城県栗原市に現存する長屋門の保全再生プロジェクト

「第6回価値創造デザインフォーラム Design-Led Education ─デザインが先導する教育─ 」パネリスト

准教授 戸矢 理衣奈

フォーラム「音楽の可能性」コーディネート及び司会

准教授 戸矢 理衣奈
2月20日(土)に「文化をめぐる人文と工学の研究グループ」の企画によるオンラインフォーラム「音楽の可能性」を開催した.本所とSHIBUYA QWS(渋谷キューズ) INNOVATION協議会の主催,および東京大学,東京大学 未来社会協創推進本部(FSI)の共催を頂き,SHIBUYA QWSスクランブルホールより配信した.7300名を超える視聴者を得た. 「音」「音楽」に関連して,領域を横断する形でトップ研究者が集う機会はこれまでも稀であった.今回,西洋音楽史の岡田 暁生 京都大学人文科学研究所 教授「文と理の触媒としての芸術」,数理工学の合原 一幸 本学特別教授・名誉教授「非線形科学からみる“音”」,医学の宮崎 徹 本学大学院医学系研究科 教授「音楽と科学:絶対的真理の探究とその表現」が集結され,文化と工学の新たな可能性を探索する画期的な機会となった.本企画のコーディネートおよび司会を担当した.

文化×工学研究会の実施(計8回)

准教授 戸矢 理衣奈
文化や歴史,さらに芸術をはじめとした感覚・感性に関連する領域の最前線でご活躍されている研究者,実務家,アーティストの方々を講師に迎え,本質的に工学と関連するテーマについてご講演を頂くとともにディスカッションを行っている.東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)修了生有志主宰,生産技術研究所の協力のもとで実施しており,全学の教職員とEMP修了生を対象としている.これにより文理融合と社会連携を同時に推進しており,有機的なネットワークの構築を図っている.将来的には領域を超えた共同研究や文系も含めた社会連携の促進を想定している. ※2020年度の開催実績 横山 禎徳(社会システムズアーキテクト・元マッキンゼー東京支社長) 「コロナウィルスと共に生活するための社会システムをデザインする」 山本 修 (ユニゾン・キャピタル株式会社パートナー) 「社会的共通資本と工学:Jean-Claude Trichetの要請に応える」 岡田 暁生(京都大学人文科学研究所教授) 「クラシック音楽とは何なのか?」(全3回) 松本 理恵(経済産業省 商務情報政策局)  「イスラエル:軍・産・学・官が生み出すイノベーションの秘密」 コメント:池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター教授) 渡辺 安虎 (東京大学大学院経済学研究科教授・東京大学エコノミックコンサルティング取締役) 「ミクロ経済学と東大のコンサル会社」 小林 康夫(東京大学名誉教授)/ 稲賀 繁美(国際日本文化研究センター教授)/ 中島 隆博(東京大学東洋文化研究所教授) 「人文系からの提言」

東大EMPゼミにおける発表「「文理実」の視点で捉える「文理融合」の挑戦─三つの課題と実務家の参加による展開可能性について」

准教授 戸矢 理衣奈
東大EMP修了生およびEMP教員を対象にしたセミナーにて,生研で推進している文理融合および社会連携の活動を中心に発表および議論を行った.

生研イベント「潜入!工学研究最前線 ~ 東大 生研が描く「もしかする未来」工学研究最前線」文系・理系対話におけるパネリスト

准教授 戸矢 理衣奈

豊島ライフスタイル寄付研究部門におけるトレジャーハンティングとプロトタイプ制作(第4-5期)

准教授 戸矢 理衣奈
豊島ライフスタイル寄付研究部門の第4-5期として,近未来ライフスタイル分析として豊島株式会社社員の方々と協働するワークショップ等を実施するとともに,価値創造デザイン推進基盤との連携により生産技術研究所研究室へのシーズの探求(「トレジャーハンティング」)に基づくプロトタイプ制作を行った.八木研究室,北澤研究室,竹内渉研究室との協働を行った.

インド亜大陸北東部からインドシナ半島における降水システムの長期変動に関する研究

特任准教授 木口 雅司,助教(九州大) 江口 菜穂,講師(高知大) 村田 文絵,連携教授(京都大) 林 泰一
本研究対象とするインド亜大陸東北部とインドシナ半島は,インドモンスーンの下流にあたり,かつ準2週間周期変動やBSISOなどの季節内変動の始点にあたる.またこの地域は特異な地形による地形性の降水システムが顕著にみられる地域で,長期的な気候変動による循環場の変化がこの地域の降水システムをどう変化させているか,またその影響が高緯度側の気象場や気候場にどのような影響をもたらしているのか明らかにしたい.一方で,熱帯域の長期変動であるインドダイポールやENSOの影響も強く受けているので,熱帯域の経年変化との関連も調査する.

北海道弟子屈町におけるサステナブルビレッジの調査,企画,実施

特任准教授 馬郡 文平
北海道弟子屈町におけるサステナブルビレッジの計画立案のための調査研究,自然エネルギー利用計画に関する研究

廃油利用及び資源再生高温ガス化炉の研究開発

特任准教授 馬郡 文平
廃油と産業廃棄物を再エネルギー化するための高温ガス化炉に関する研究開発

産業で用いられる光学の教育

特任教授 菅谷 綾子
近年大きくなりつつある大学の光科学研究と産業界の最先端光学技術との乖離を埋めるため,産業に直結する光学の教育を行って次代の光学産業を担うリーダーとなり得る人材を育成することを目的としている.具体的な活動は以下の通りである.先端レーザー科学教育研究コンソーシアムCORALに参加,大学院生に「光学産業における光学技術」の題目でオンライン講義1回(7/20)を実施.9月~1月に光工学特論の大学院講義をオンラインと対面を交えて駒場Ⅱで開講.例年行われているCORALのレンズ設計実習「レンズ設計・基礎から実践まで」,駒場リサーチキャンパス公開における小・中学生向け理科教室「光を感じて写真をとってみよう!」は新型コロナウイルス感染拡大のため中止となった.

デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動の実践

教授 野城 智也
価値創造デザイン推進基盤が関与するDesign Academyや,渋谷QWS,大手町3×3 Lab Future,有楽町SAAIなどの異分野交流空間への参加を通じて,デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動を種々展開する.

トレージャー・ハンティングによるライフスタイルを賦活するデザイン・エンジニアリングの展開

教授 野城 智也,教授 ペニントン マイルス,准教授 戸矢 理衣奈
生産技術研究所に眠る様々な技術的シーズをトレージャー・ハンティング活動により掘り起こして,多様化された社会においてライフスタイルを賦活させていくモノ・コトのプロトタイプを開発していく.

文化×工学研究会の実施(計8回)

准教授 戸矢 理衣奈
文化や歴史,さらに芸術をはじめとした感覚・感性に関連する領域の最前線でご活躍されている研究者,実務家,アーティストの方々を講師に迎え,本質的に工学と関連するテーマについてご講演を頂くとともにディスカッションを行っている.東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)修了生有志主宰,生産技術研究所の協力のもとで実施しており,全学の教職員とEMP修了生を対象としている.これにより文理融合と社会連携を同時に推進しており,有機的なネットワークの構築を図っている.将来的には領域を超えた共同研究や文系も含めた社会連携の促進を想定している. ※2020年度の開催実績 横山 禎徳(社会システムズアーキテクト・元マッキンゼー東京支社長) 「コロナウィルスと共に生活するための社会システムをデザインする」 山本 修 (ユニゾン・キャピタル株式会社パートナー) 「社会的共通資本と工学:Jean-Claude Trichetの要請に応える」 岡田 暁生(京都大学人文科学研究所教授) 「クラシック音楽とは何なのか?」(全3回) 松本 理恵(経済産業省 商務情報政策局)  「イスラエル:軍・産・学・官が生み出すイノベーションの秘密」 コメント:池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター教授) 渡辺 安虎 (東京大学大学院経済学研究科教授・東京大学エコノミックコンサルティング取締役) 「ミクロ経済学と東大のコンサル会社」 小林 康夫(東京大学名誉教授)/ 稲賀 繁美(国際日本文化研究センター教授)/ 中島 隆博(東京大学東洋文化研究所教授) 「人文系からの提言」

豊島ライフスタイル寄付研究部門におけるトレジャーハンティングとプロトタイプ制作(第4-5期)

准教授 戸矢 理衣奈
豊島ライフスタイル寄付研究部門の第4-5期として,近未来ライフスタイル分析として豊島株式会社社員の方々と協働するワークショップ等を実施するとともに,価値創造デザイン推進基盤との連携により生産技術研究所研究室へのシーズの探求(「トレジャーハンティング」)に基づくプロトタイプ制作を行った.八木研究室,北澤研究室,竹内渉研究室との協働を行った.

車載カメラによるカーブミラーの認識

教授 須田 義大,特任准教授 小野 晋太郎

人間機械系における新しいシステム設計論の構築

特任教授 平岡 敏洋
人間機械系を設計するうえで,従来のシステム設計論では,メインタスク達成に要するユーザの物理的労力ならびに心理的労力をいかに減らすかという視点で,自動化を導入することが殆どであった.しかしながら,1) ユーザの技能低下,2) ユーザの対象系理解度の低下,3) システム異常時(故障時)の対応力低下,4) システムに対する過信増大,といった弊害も生じている.本研究では,メインタスク達成のために,あえてユーザに労力をかけさせるような設計にすることで,上述する弊害を軽減もしくは解消することを目指して,新しいシステム設計論の体系化を行っている.

無人移動サービス車両における乗客の車内転倒防止のための運動制御

特任教授 平岡 敏洋,特任助教(須田研) 霜野 慧亮,教授 須田 義大
車内における乗客の転倒は,加減速時に生じる慣性力の影響で発生する.床面と水平な方向に生じる慣性力を低減できれば,車内事故の軽減につながると期待される.加減速に合わせ意図的に車体を傾斜させることで慣性力の方向を床面方向に向けて水平方向の影響を減らせると考えられる.自動運転と合わせて注目される電気自動車では,前後輪にインホイールモータを内蔵するものもあり,前後輪の制駆動力を制御することでピッチ角を制御できる.この特徴を活かした先行研究では,車両運動の安定性向上を目的としたピッチ角抑制制御を行っている.それに対して本研究では,車内に立って乗車する乗客の転倒防止を目的として,車両が加減速する際に乗客に作用する慣性力の影響を打ち消すようなピッチ角制御を行う.

自動運転システム・運転支援システムのHMI設計

特任教授 平岡 敏洋
自動運転システムや運転支援システムにおけるよりよいヒューマン・マシン・インタフェースを実現するための基礎的検討として,ドライバの信頼状態がどのように醸成され,その信頼状態が運転行動に与える影響を分析した.さらに,ドライバの運転支援システムがステアリングホイールなどの操作端を介して操作を共有するHaptic Shared Control (HSC)について,直接型HSC (Direct HSC) と間接型HSC (Indirect HSC) の2種類があることを提案し,それぞれの長所と短所を整理した.

ドライブレコーダからの天候情報推定と急ブレーキ発生予測

教授(九州大) 川崎 洋,准教授(九州大) 峯 恒憲,特任准教授 小野 晋太郎

ドライブレコーダ画像等の解析による非日常事象の検出

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,教授(国立情報学研究所) 杉本 晃宏,国立情報学研究所 レ チュンギア

動画像・動距離画像の時空間解析と高精細化

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,名誉教授(東大) 池内 克史

実映像ドライビングシミュレータに関する研究

特任准教授 小野 晋太郎,教授(愛知県立大) 河中 治樹,教授(愛知県立大) 小栗 宏次

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) パク チョンホ,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究.

未来ロボット基盤技術

特任教授 森 三樹,教授 新野 俊樹,教授 坂本 慎一,准教授 大石 岳史
マルチマテリアルAM(Additive Manufacturing)のロボットへの適用研究では,AM技術とMID(Molded Interconnect Device)技術の融合により,複雑な立体配線を有する機能部品の提供を目指し研究を進めている. 種々の音環境がロボットに及ぼす影響の評価・解析では,環境音下におけるロボットの了解度試験と3次元音場データ測定システムの開発を目指し研究を進めている. 自律移動ロボット・ヒューマノイドロボット操作インタフェースの研究では,移動型ロボットによる高精度・高密度環境3次元デジタル化として,コンピュータビジョンによる自律移動ロボット支援とロボットプログラミングインタフェースの開発を目指し研究を進めている.

環境騒音の予測・評価に関する研究

教授 坂本 慎一,助教(坂本研) 米村 美紀,特任助教(坂本研) 李 孝珍,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai
環境騒音の伝搬予測法および対策法に関する研究を継続的に進めている.今年度は,道路交通騒音予測計算法に関して,日本音響学会の技術セミナーや駒場リサーチキャンパス公開等の場において,この予測計算法の周知・啓蒙活動を行った.また,自動車走行騒音の音源特性および伝搬特性に関する実験的検討,数値解析による検討を行った.

純音性騒音の評価に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
風力発電施設から発せられる騒音や,ヒートポンプ給湯器から発せられる騒音は,機械の回転に起因する純音性の成分が多く含まれ,苦情の原因となっている可能性がある.実験室における聴感評価実験を用いて,純音性騒音の不快感を調べる研究を行っている.本年は,昨年度の基礎的な検討に引き続き,定常騒音に単一周波数の純音が含まれる騒音を対象としてその「わずらわしさ」に関する主観評価実験を詳細に行った.騒音のわずらわしさ評価では,騒音を聞く状況設定が問題となる.そこで,日中および就寝時を想定し,数段階のレベルの騒音に曝された状況に対する主観評価実験を行った.得られた主観評価値と,純音成分の強さに関する指標との対応性について検討を行うとともに,環境騒音の評価に役立てるため,A特性音圧レベル,Zwickerのラウドネスレベル,Moore-Glasbergのラウドネスレベルの3種類のラウドネス評価指標による評価結果と主観評価値との対応,わずらわしさの増分に相当する騒音指標のペナルティ値に関する検討を行った.低い周波数領域の純音性成分については「振動感」が指摘されることがある.そこで,この「振動感」に関する主観評価実験の再分析を行った.

音場シミュレーション手法の開発と応用に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
室内音場における聴感印象の評価,各種環境騒音の評価等を目的とした3次元音場シミュレーションシステムの開発および応用に関して研究を行っている.今年度は,聴覚と視覚の相互作用に関する評価実験を行った.無響室内の3次元音場再生システムに視覚刺激呈示用のドームスクリーンを組み合わせた評価実験システムを用い,道路交通騒音,鉄道騒音,航空機騒音,船舶航行音,風力発電施設から発せられる騒音の主観評価に音源の可視性が及ぼす影響を定量的に評価する実験を行った.

音響計測法に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai,大学院学生(坂本研) 大久保 滉平
室内外の音響伝搬特性,室間遮音特性,音響材料音反射・吸音特性を精度よく計測する手法,屋外騒音の効率的測定方法について研究を行っている.今年度は,環境騒音や純音性騒音の評価に資する計測システムとして,音の大きさ感を表すラウドネスレベルや,純音可聴度Tonal Audibilityを国際規格ISOに従って簡易に計測するシステムを開発した.道路交通騒音の測定評価に関する研究として,自動車の走行騒音パワーレベルの測定の自動化に関する研究を昨年度に引き続き行った.ビデオによる映像データとマイクロホンによる音響データを組み合わせ,映像データから通過時刻と走行速度を自動検出し,対応した音データから音響パワーレベルを算出するシステムを構築した.

3次元デジタル化とロボティクス

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) 佐藤 啓宏,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
カメラやLiDARを用いて実世界を3次元デジタル化する移動体計測システムを開発している.ローバーやドローンの位置姿勢をセンサデータから推定し,推定された位置姿勢をもとにLiDARデータを再配置することによって対象の3次元点群を得ることが可能となる.このような計測システムだけでなく遠隔作業を目的としたヒューマノイドロボットの仮想空間操作インタフェースや,SLAMデバイスを用いたロボットナビゲーション技術,学習ベースの自動3次元計測ロボットなどの開発も進めている.

超低電力シリコン神経ネットワークの開発

教授 河野 崇,准教授 小林 正治,大学院学生(東京大学工学系研究科電気系工学専攻) Ashish Gautam
超低電力アナログCMOS回路とFeFETとを組み合わせることにより,脳に匹敵する超低電力アナログニューロモルフィックハードウェア基盤を構築する.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性に課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験及び数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

スマートエネルギーネットワーク研究会RC-65

特任教授 岩船 由美子
低炭素社会の実現に向けて,従来型の大容量集中発電と再生可能エネルギー等の分散型電源,さらには蓄電池や電気自動車などの需要端の電力貯蔵機能との共存を可能とし,供給と需要の双方向通信による負荷の平準化や省エネルギーを実現する新しいエネルギーシステムの構築が求められている.また,これまで所与のものとされてきた需要を見直し,エネルギーサービスの質を維持しつつも,エネルギー消費量を抑制していく方策について取り組みが進められている.欧米では「スマートグリッド」,「インテリジェントグリッド」等の電力供給ネットワークや,「デマンドレスポンス(需要反応)」などの考え方が提案され,再生可能エネルギーの導入,送配電網の柔軟性・信頼性を向上するための諸技術およびそれらの技術基準の検討が始まっている.本研究会では,「エネルギーマネジメント」,「再生可能エネルギー」,「スマートメータ」,「デマンドレスポンス(需要反応)」,「電力貯蔵機能」,「スマートグリッド」,「熱電供給」,「電気自動車」,「IT活用」などをキーワードに,新しいエネルギーシステムを考えるための活動を進め,欧米における先進事例や国内外の研究状況に関する情報を共有し,我が国における新しいエネルギー供給システムの在り方について議論を深めて検討する.

デマンドレスポンスに関する研究

特任教授 岩船 由美子
持続可能な社会システム構築のためには,再生可能エネルギーの活用,さらなるエネルギー効率向上が重要である.再生可能エネルギーの中で大きな導入量が期待される太陽光発電と風力発電は,その発電出力が天候や時間によって出力が変動するため,これらの電源の導入割合の増加に伴い,電力システム全体の需給調整力をより一層確保する必要がある.需給調整力の一つが需要家サイドのデマンドレスポンス(DR)である.本研究室では,DRを評価するためのツールを構築し,系統全体への影響評価,需要家サイドの経済性評価を行っている.

消費者受容性を考慮した住宅エネルギー管理システム

特任教授 岩船 由美子
不安定な発電出力特性を有する再生可能エネルギーの大量導入を実現させるためには,電力システムにおけるエネルギー需給調整力を確保することが必要である.そのために,消費者の快適性・利便性を維持しつつ必要に応じて電力需要を調整できる機能を持つ住宅エネルギー管理システム(HEMS)の開発を目指す.また,HEMS普及促進のために,社会に受け入れられる仕組み・制度に関する検討や付加価値を高めるための研究も行う.

高齢世帯のエネルギー利用に関する研究

特任教授 岩船 由美子
我が国の高齢化率は2005年に世界最高水準となり,今後も高水準を維持していくことが見込まれている.近年の高齢世帯は,単身もしくは夫婦のみ世帯がほとんどで,世帯規模小さい,住宅は古く大きい,在宅率高い,家電が古く多い等,エネルギー多消費傾向が確認されている.増加を続ける高齢世帯の省エネは重要であるが,加齢に伴う身体の衰えや疾病などを抱える高齢者に,省エネのための我慢や努力を期待することは難しく,QOL高く快適かつ安全な生活が優先する.高齢世帯のエネルギー利用についてスマートメータデータなどを継続的に収集し実態把握を行うとともに,その対策について検討を行う.

未来志向射出成形技術

准教授 梶原 優介,特任講師 龍野 道宏,助教(梶原研) 木村 文信,特任研究員(梶原研) 加藤 秀昭,特任研究員(梶原研) 佐藤 滉
主要なプラスチック成形加工技術の射出成形は,広範な成形工業界を擁し国民生活および産業界の発展を下支えしている.近年では,炭素長繊維等の難成形性・難制御性の材料が出現し,超臨界流体応用微細転写・発泡成形,型内異材成形・接合・組み立て等が求められ,複雑化する成形現象の解明が追い付かず材料特性を十分に引き出せなくなっている.本部門では,技術的にも学問的にも未開拓なこれら領域に道筋をつけ,来るべき射出成形技術を先導することを目指し研究を進めている.

サステナブル建築実現のための物理ーサイバー空間のアーキテクチャに関する研究

教授 野城 智也
サステナブル建築を実現するために,デジタル化されたテクノロジーを活用していくための可能性が高まり,端緒となる実践も種々展開されている. しかし,現実を見ると,それぞれの技術の繋がりが円滑ではなく,折角の可能性が制約されてしまっている. 野城研究室では,サステナブル建築を実現するための「さまざまなデジタル技術を繋げていくための仕組み」を考究している.具体的には,下記の研究に取り組んでいる 1 様々なベンダーが製造供給した機器を,滑らかに接続するためのIoT連携基盤(IoT-Hub)の開発・普及をはかる. 2 建築・都市各所に配置した,加速度センサー,二酸化炭素センサーからのData Aggregation によるサステナブルな建築のファシリティマネジメント手法の開発 3 上記手法の大学キャンパスへの適用 4 BIMなどの建築デジタル・モデルをもとにした構工法計画手法

デジタルスマートシティイニシアティブ

教授 野城 智也,特任教授 関本 義秀,教授 腰原 幹雄
近年のビッグデータ,オープンデータ,AI等,多くの情報関係の技術が加速して進む中で,世界最先端の都市管理に関する様々な情報技術を磨きつつも,各地域が特定の主体等に依存し過ぎないデータ管理技術や,草の根の人的ネットワークの構築等,自律したスマートシティの技術基盤の涵養を行っていく事も重要である.そうした活動をより体系的に行っていくために,防災,交通,建物,インフラ構造物,地域経済等,都市運営の各分野を見据えつつ,都市情報基盤のグランドデザイン・コンセプトを描き,そのためのデータやソフトウェア等から構成されるデジタルシティを構築し,社会実証を行っていく.

サステナブル建築実現のための物理ーサイバー空間のアーキテクチャに関する研究

教授 野城 智也
サステナブル建築を実現するために,デジタル化されたテクノロジーを活用していくための可能性が高まり,端緒となる実践も種々展開されている. しかし,現実を見ると,それぞれの技術の繋がりが円滑ではなく,折角の可能性が制約されてしまっている. 野城研究室では,サステナブル建築を実現するための「さまざまなデジタル技術を繋げていくための仕組み」を考究している.具体的には,下記の研究に取り組んでいる 1 様々なベンダーが製造供給した機器を,滑らかに接続するためのIoT連携基盤(IoT-Hub)の開発・普及をはかる. 2 建築・都市各所に配置した,加速度センサー,二酸化炭素センサーからのData Aggregation によるサステナブルな建築のファシリティマネジメント手法の開発 3 上記手法の大学キャンパスへの適用 4 BIMなどの建築デジタル・モデルをもとにした構工法計画手法

物理空間・サイバー空間の協調運用のための共通空間記述基盤の構築

教授 野城 智也,客員教授 豊田 啓介
建築・都市空間内で,人,ロボットを含む人工物が,物理空間・サイバー空間を連携的に利活用しつつ,協調的に活動していくために,様々な技術者,組織が専門分野や業種を超えて共通に利用できる,空間記述基盤を構築することを目指す.

着霜制御サイエンス─ 霜のつかない表面を設計する物理的指針

特任教授 ビルデ マーカス,教授 福谷 克之,特任講師 高江 恭平
水蒸気が氷となって凝結する着霜現象は,工学的・社会的に極めて重要な現象である.例えば,透明なガラスの光学的な透過度の低下を招く,熱交換機の熱効率の著しい低下をもたらす,コンクリートにダメージを与える,航空機の安定な飛行を困難にするなど,着霜は様々な深刻な問題を引き起こすことが知られている.しかしながら,着霜現象に対する物理的な理解は十分とは言えず,これまで着霜の阻害のための明確な物理的指針は存在していない. そこで,本社会連携研究部門では,この状況を打破すべく,理論・シミュレーション・実験を融合することにより,ミクロからマクロにわたる新たな階層的な視点から,着霜という非平衡現象の物理的な機構に迫ることで,この現象の基礎的な解明をはかるとともに,上記のような深刻な社会的問題の解決のための基本的な物理的指針を確立することを目指す.

分極とひずみの結合をもつ結晶における強誘電性と反強誘電性の制御

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
強誘電性および反強誘電性とは,物質において電気分極の秩序が生じ,その秩序が外部電場により制御可能であるという性質を意味する.このような性質を示す物質はペロフスカイト型酸化物,有機結晶,高分子,液晶などで幅広く発見されており,特に力学物性・熱物性や磁気物性との結合による,大きな圧電特性,電気熱量効果や磁気抵抗効果は基礎・応用の両面から注目されている.そのような,構造相転移を利用した巨大応答に対して明確な物理的描像を与えるために,本研究では,単純な分子モデルを提案し,圧力や分子の形状を制御することで相転移を力学的に制御し,分極とひずみあるいは熱の結合した巨大応答を実現することを目的としている.これにより,物質の電気磁気的性質を力学的・熱的に制御するための一般的な方針を,物質の個性によらないかたちで提示することが可能になってきている.

着霜制御の物理的指針を得るための理論・数値シミュレーション

特任講師 高江 恭平

粘弾性流体におけるシアバンディングのメカニズム解明

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
高分子系に代表される粘弾性流体は特異な力学特性を示し,中には流動化で自発的に不均一流動が生ずるレオロジー不安定性を有するものがある.とくにシアバンディングと呼ばれる現象では,均一なシア流動に対して,シア勾配の大きい領域と小さい領域とに自発的に分離する.我々はそのメカニズムを解明すべく,体積粘弾性緩和を取り入れた理論を構築し,流体力学シミュレーションによりシアバンディングが説明可能であることを示した.さらに分子動力学シミュレーションにより,本モデルの分子論的起源にも迫ることに成功した.

自己回転粒子の相分離

PhD. student (Indian Institute of Technology, Madras) Bhadra HRISHIKESH,客員共同研究員(東大) 田中 肇,特任講師 高江 恭平

荷電コロイドの流体力学における電荷の不均一性

特任講師 高江 恭平,客員共同研究員(東大) 田中 肇
コロイド粒子とは目では見えないほど小さく,しかし原子分子よりはるかに大きな大きさを持つ粒子の総称であり,相互作用が多彩であること,熱ゆらぎの影響を強く受けることなどから,多様な構造形成,ダイナミクスを示す.多くのコロイド粒子は,表面に電荷を持ち,水などの溶媒中に分散したイオンと相互作用することで複雑な挙動を示すが,そこでは,コロイド表面の電荷が不均一になることが重要であり,コロイドの凝集過程や,水と油の混合溶液における運動を支配している.そのような複雑なふるまいを,電荷の不均一性と流体力学の結合に着目して,統一的に理解することを目的としている.それにより,コロイド溶液のダイナミクスに普遍的な物理的描像を与えること,またコロイドを構成要素とした高次の構造形成に対する,指針を与えることが可能になると期待している.

潮流・海流発電普及に向けた環境影響評価手法の検討

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,大学院学生(北澤研) 古市 大剛
潮流・海流発電のタービンブレードが海中に設置され,回転すると,海生動物が衝突するリスクがある.縮尺比1/100のタービンブレード模型を用いて,明暗条件などの環境条件と魚のタービンブレードへの衝突との関係を水槽実験により調べた.

炭電極を用いた汚水の電気化学的処理技術の開発

教授 北澤 大輔,シニア協力員(北澤研) 岡本 強一
汚水処理技術の一つとして,電気分解が注目されている.電気分解では,一般に金属製の電極が用いられるが,使用中にイオン化し,水生生物に影響を及ぼす可能性があるため,当研究室では炭電極を用いた電気分解による汚水処理技術の開発を行っている.電気分解実験を実施して,研究成果を取り纏めた.

琵琶湖全循環の環境リスクファイナンス

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,教授(立教大) 久保 英也,准教授(滋賀大) 菊池 健太郎,准教授(滋賀県立大) 吉山 浩平,特任研究員(北澤研) 周 金鑫
気候変動に伴い,琵琶湖では全循環の欠損が懸念されている.将来の気象シナリオに基づいて,琵琶湖での全循環欠損のリスクの予測技術を向上するために,流れ場・生態系結合数値シミュレーションを改良した.

複合養殖による養殖場の環境保全に関する研究

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,大学院学生(北澤研) 周 金鑫,大学院学生(北澤研) 遠藤 和真,特任研究員(北澤研) 董 書闖,准教授(上海海洋大) 張 俊波,特任准教授(東北大) 藤井 豊展
本研究では,養殖種の排泄物を他の生物に吸収させる複合養殖によって,養殖場の環境を保全する方法を検討する.物質循環の数値シミュレーション技術を開発し,東北大学で取得しているモニタリングデータによって検証を行った.また,複合養殖に用いる囲い網の性能を把握するためのシミュレーション技術を構築した.

高速艇の衝撃緩和に関する研究

教授 北澤 大輔,助教(大阪府立大) 韓 佳琳,代表(OPD研究所) 前田 輝夫,大学院学生(北澤研) 馮 璇達,特任研究員(北澤研) 李 僑
高速艇のポーポイジングなどに伴う衝撃を緩和するための制御システムを構築し,陸上実験によって制御システムの妥当性を検証した.また,対応する数値シミュレーションモデルを構築した.

魚眼カメラを用いた観測システムの開発と魚画像解析

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 李 僑,シニア協力員(北澤研) 水上 洋一,シニア協力員(北澤研) 徐 光磊,助教(北澤研) 吉田 毅郎
魚眼カメラを用いた観測システムを開発するとともに,得られた画像から魚の数や種類を調べるシステムを開発している.海洋再生可能エネルギー設備周辺で観測できる可搬式モニタリングシステムの開発を行い,平塚新港周辺で実海域実験を行った.また,マグロ養殖生簀を対象として,マグロ個体を識別する機械学習法を改善し,マグロ個体数のカウント精度を向上した.

航空機用ものづくりの研究

教授 臼杵 年

航空機製造におけるものづくりに関する技術開発

教授 臼杵 年,教授 岡部 徹,教授 岡部 洋二,准教授 土屋 健介,特任教授 橋本 彰,特任講師 馬渡 正道,教授(東大) 柳本 潤
次世代の航空機製造技術に関して,複数のテーマを同時進行でその課題解決に取り組んでいる.

難削材切削加工の研究

教授 臼杵 年,特任助教(臼杵研) 萩野 将広
チタン合金,超耐熱合金等の難削材料の切削加工を中心に,加工法,切削現象,切削工具開発や切削油剤給油法等の研究を行っている.

グラファイト上の2次元ヘリウムの研究

大学院学生(羽田野研) 杉本 健太朗,助教(東大) 簑口 友紀,教授 羽田野 直道
グラファイトの吸着サイト上に形成されるヘリウム原子の量子力学的な性質がグラファイトの慣性にもたらす効果の理論的な解明と,実験の指針の確立

弱測定の精密測定への応用に向けた理論解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子測定において有用な測定値を選別する手法である弱測定法が,測定精度の向上をもたらし得る機構を解析し,既存の実験のデータの分析・検証を通したその有用性の実証や,今後の幅広い応用へ向けた検討を行う.

強く駆動される磁性絶縁体における長距離相互作用の研究

大学院学生(羽田野研) 杉本 健太朗,主任研究員(理化学研究所創発物性科学研究センター) 柚木 清司,教授 羽田野 直道
電場などによって時間的に変調する交換相互作用の下での磁性絶縁体のダイナミクスの理論的な解明.

有向グラフクラスタリングの統計力学的解析とその実データへの応用

大学院学生(羽田野研) 越智 昌毅,教授 羽田野 直道
有向グラフのスペクトル法を用いたクラスタリングの性質を,キャビティ法などの統計力学的アプローチから解析し,実データのクラスター推定への応用を考えた.

相互作用が常に存在する系でのエンタングルメント 磁場センサ

大学院学生(羽田野研) 吉永 敦紀,教授 羽田野 直道
磁場を高感度に測定する磁場センサの新たなプロトコルを理論的に提案した.

結合量子調和振動子模型の非平衡熱力学エントロピー

大学院学生(羽田野研) 青木 隆明,契約職員(産業技術総合研究所) 箱嶋 秀昭,主任研究員(産業技術総合研究所) 松崎 雄一郎,教授 羽田野 直道
星形の結合量子調和振動子模型を対象にして,(1)全系の非平衡熱力学エントロピーの定義及び解析と(2)各調和振動子の温度の解析を行っている.

量子化・擬確率の随伴理論に基づく量子現象の解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉,教授 羽田野 直道
量子論における諸現象を,量子化・擬測定の双対構造に着目して解析する.とりわけ,不確定性関係を対象に分析を行う.

量子熱・統計物理学の理論的・数値的研究

教授 羽田野 直道

非エルミート量子力学

教授 羽田野 直道
「非エルミート量子力学」は,羽田野が1996年の論文で初めて使った言葉である.その論文で提案した模型はHatano-Nelson模型と呼ばれ,最も簡単で非自明な非エルミート量子模型として近年,特に興味を持たれている.非エルミート量子系を研究する動機は大きく3つに分けられる.まず,系全体が閉じた非エルミート系である場合を考えるもので,非エルミートの起源は問わない.次に,大きなエルミート系の一部としての非エルミート系で,開放量子系と呼ばれる.最後に,エルミート系をあえて非エルミート化することによって,エルミート系をよりよく知るというものである.虚数は現実には存在しない「想像上の数」であるが,複素数の有用性を疑う者はいない.それと同じ事を演算子のレベルで行うのが非エルミート量子力学である.非エルミート系の有用性,有効性を,より幅広い分野で明らかにする研究を進めている.

非平衡定常状態の分子動力学計算

大学院学生(羽田野研) 土居 謙介,教授 羽田野 直道
古典粒子系に異なる温度の熱浴を適用した分子動力学計算を行い,温度差のある非平衡定常状態を実現し,種々の物理量を計算した.

次世代陸域水文モデルの開発

教授 沖 大幹,特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大,教授 芳村 圭,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,室長(気象研究所) 仲江川 敏之,特任研究員(芳村研) 大沼 友貴彦
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルの開発を行っている.陸域の水・エネルギー収支と水循環とを大陸規模・日単位のスケールで精度良く推計でき,大気・海洋・生物圏などからなる地球システムモデルとも結合可能な陸域水循環の物理的側面に関する高精度で高計算効率の陸域水文シミュレーションを実施する.また,超高解像度の水文地理データや水利用データの整備,一貫性の長期気象外力データの整備を行い,全球1km 解像度での高解像度陸域水循環シミュレーションや全大陸50km 解像度での250 年分の長期アンサンブルシミュレーションの実現を目指している.

水同位体情報を用いた気候と水循環に関する研究

教授 芳村 圭
水の中の水素安定同位体比或いは酸素安定同位体比を地球システムモデルに組み込むことによって,複雑な地球水循環過程における水の動きを詳細に追跡し,気候システムとの関連について研究している.同時に,質量分析計・分光分析計や人工衛星を用いて地球上様々な場所での雨や地表水,水蒸気等の同位体比を観測している.

3Dプリンタ等の次世代技術を用いたローコスト住宅のプロトタイピング

教授 今井 公太郎,特任助教(今井研) 久保田 愛,特任研究員(今井研) 大井 鉄也,特任研究員(今井研) 伊東 優,特任研究員(今井研) 国枝 歓,大学院学生(今井研) 山口 大翔,大学院学生(今井研) 菅野 成一
近年普及が目覚しい 3D プリント(付加製造技術)と建築デザインの融合による新たな可能性を探求している.具体的には 3D プリンタを用いて仕口(ジョイント)を製作し,大部分の工程をセルフビルド可能な住宅のプロトタイピングを行う.今年度は実物大のモックアップの制作を行い,建造実験を行った.

再生可能エネルギー熱利用システム技術開発

教授 大岡 龍三

平面交差部における交通信号制御に関する研究

教授 大口 敬,特任講師 伊藤 昌毅,助教(大口研) 鳥海 梓,シニア協力員(大口研) 新倉 聡,大学院学生(大口研) カシモフ フィズリ,大学院学生(大口研) 白畑 健
交通安全上も円滑上も最も重要な平面交差点における交通信号制御について,多角的な研究を推進している.損失時間の実証評価手法の開発,単路部歩行者横断施設による歩行者・車両双方に最適な横断施設運用,左折車と直進車による混用車線によるランダム性の影響評価,信号灯器設置位置による運転挙動への影響分析,さらに最新のセンシング技術および通信技術を用いた自律分散型信号システムの開発などに取組んでいる.

電子ビーム溶解法を用いた貴金属およびレアメタルの高効率回収法の開発

教授 岡部 徹

プロペラファンから発生する空力騒音の計測

教授 加藤 千幸

テンセグリティ構造物の応力測定システム

教授 川口 健一

地震による構造物の破壊機構解析(共同研究)

教授 川口 健一

実大テンセグリティ構造物の応力測定システム

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,大学院学生(川口(健)研) 路 越,大学院学生(川口(健)研) 梅田 直哉
2017年に完成した柏の葉キャンパスにあるWhiteRhinoIIの応力状態の継続的モニタリングを行っている.また数値解析などによりテンセグリティ構造が最適構造となるための条件の探索などを行っている.

建築構造物の力学特性に関する研究

教授 川口 健一

植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成 ~植物構造オプト~

教授 川口 健一,特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門員(川口(健)研) 大矢 俊治,大学院学生(川口(健)研) 有本 清香,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
植物生理学者との協働,共同研究を通して,生きた植物を建築構造に応用する,あるいは生きた植物の最適化戦略から学んだ原理を応用する,ことを目指す挑戦的研究.

生きた植物の建築への利用に関する実験的研究

教授 川口 健一

空気汚染物質の発生源同定手法の開発

准教授 菊本 英紀

ひび割れ自己治癒コンクリートの実環境暴露試験に関する研究

教授 岸 利治

分散型地球環境情報ベース

教授 喜連川 優,准教授 根本 利弘
地球環境情報を蓄積する巨大データベースを駒場と柏の2地点で分散管理するパイロットシステムを構築し,次世代情報アーキテクチャに関する研究を行う.

木質構造物の崩壊挙動に関する研究

教授 腰原 幹雄

大空間の音響特性に関する研究

教授 坂本 慎一

フォトポリマーフィルムを用いたホログラフィー応用デバイスの研究

教授 志村 努,技術専門職員(志村研) 鎌田 久美子,(株)エガリム 堀米 秀嘉,(株)エガリム 加瀬澤 寿宏,岡本硝子(株) 田淵 泰志,岡本硝子(株) 奈良 俊孝
フォトポリマーを記録媒体として用いた光デバイスの研究を行っている.窓ガラスに貼り付けて太陽光を導光するタイプの太陽光発電,平面貼り付け型のホログラム再生用照明光学系,ホログラムを用いた導光型偏光ビームスプリッターなどの研究を行っている.

インスリン様成長因子1の電子状態の研究

大学院学生(佐藤(文)研) 佐々木光,教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
IGF-1のハイブリッド密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算を達成し,インスリンの結果と比較してIGF-1に特徴的な電子構造の特徴を見出した.

グルコースオキシダーゼの電子状態研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グルコースオキシダーゼ活性中心モデルの拡張系における全電子計算を実施した.活性中心周り以外のアミノ酸残基にグルコースオキシダーゼのカギとなるアミノ酸残基があることが推察された.このような方法を拡張し,量子化学計算によるタンパク質のデザイン研究を提案した.

密度汎関数法に基づく第3世代カノニカル分子軌道法の開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グリッドフリー法とコレスキー分解法を組み合わせて,スパコンで十分な性能を引き出すことができる第3世代法を開発した.今年度は特に転置の高速化を行った.

絶縁材料設計手法の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,助教(東大) 佐藤 正寛
MD法,電子移動計算,キネティックMC法などの各種シミュレーションを組み合わせて,絶縁材料の電荷輸送特性の電子状態解析を実施した.

ITS(高度道路交通システム)における自動車の運動制御に関する研究

教授 須田 義大

ITS(高度道路交通システム)に関する研究

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

ビークルにおけるマルチボディ・ダイナミクスに関する研究

教授 須田 義大

人間行動指標による公共交通システムの快適性評価

教授 須田 義大

新たな鉄道技術の開発と推進及び鉄道と自動車交通のインタラクティブなシステムに関する研究

教授 須田 義大,教授 中野 公彦

次世代モビリティ評価シミュレーションに関する研究

教授 須田 義大

超低速移動体の自律移動モビリテイ評価

教授 須田 義大

車両空間の最適利用に関する研究

教授 須田 義大

車輪 ・ レール系の知能化に関する研究

教授 須田 義大

ITS技術の鉄道車両への展開

教授 中野 公彦

フィールドロボティクス技術を活用した走行実験

教授 中野 公彦

ロボットビークルに関する研究

教授 中野 公彦

自動運転技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

自動運転技術,運転支援技術に関するドライビングシミュレータ実験

教授 中野 公彦

自動運転技術,運転支援技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

電気自動車技術に関する車両走行実験

教授 中野 公彦

無線ネットワークの性能評価

教授 瀬崎 薫

海洋センシングに関する連携研究

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

航空機製造技術の高度化

准教授 土屋 健介

構造物の静的および動的破壊に関する研究

教授 中埜 良昭

津波漂流船舶の衝突に対する鉄筋コンクリート造建築物の安全性評価手法に関する研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,助教(名古屋大) 浅井 竜也,大学院学生(中埜研) 島崎 喬子
本研究では,津波避難ビルに影響を与える可能性の高い比較的大型の船舶を対象に,①津波波力作用下における津波漂流物の衝突によるRC造柱部材の局所損傷パターンを明らかにし,②柱の残存軸耐力に加えて梁等による軸力伝達効果を考慮しうる架構実験によりこれが建築物全体の崩壊危険性に与える影響を定量的に評価・分析することにより,③津波防災施設の設計や指定に要する荷重算定手法や架構の耐崩壊安全性評価手法ならびに関連する技術資料・データを具体的かつスピード感をもって提示すること,④これにより被災地の復旧・復興や南海トラフ地震による被害が危惧されている地域の津波災害の軽減に直接的に資すること,を目的としている.今年度は,1層1スパン×1スパンの3次元架構に対して船舶を模擬した鋼棒を衝突させることにより,その反発係数に代表される力学特性や,安全性検討フローの適用性検証を行った.

無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の構造性能に関する実験的研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治,大学院学生(中埜研) Adnan S.M. Naheed
途上国でみられる無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の破壊メカニズムと構造性能の検討を目的として,比較的知見が蓄積されているバングラデシュ国での事例を参考に,無補強組積造壁の有無をパラメータとした2層2スパンの骨組試験体を2体作製し加力実験を2018年度に行った.今年度は,無補強組積造壁付き試験体の挙動を再現でき,さまざまな破壊モードに適用可能なマクロモデルの開発を実施した.加えて,同種の架構の面外方向振動台実験を実施すべく,試験体の設計と地震波の検討を進めている.

鉄筋腐食を生じた鉄筋コンクリート造部材の構造性能に関する研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,大学院学生(中埜研) 余 漢順,大学院学生(中埜研) 宋 榮訓
鉄筋腐食を生じた鉄筋コンクリート造部材の耐震性に代表される構造性能を適切に評価することを目的として,本年度は,あらかじめ鉄筋腐食し3Dスキャンにより断面積分布をしておいた鉄筋を用いて鉄筋コンクリート造柱を製作し,その軸力保持能力を実験的に検討した.また,次年度に予定している部材の変形能力評価実験に向けて,実験計画を進めた.

変形加工に関する研究

准教授 古島 剛

建築・都市計画におけるデザインとエンジニアリングの融合

准教授 本間 健太郎

自律システムの連携による海中観測手法

准教授 巻 俊宏
AUV(自律型海中ロボット)と海底ステーション,AUV同士など,複数の自律プラットフォームの連携により新たな海中海底探査用システムを提案する.試作海底ステーション,3台のホバリング型AUV(Tri-Dog 1, Tri-TON, Tri-TON 2)等のテストベッドを用いて,水槽試験,海域試験等により研究開発を進めている.

地震動と地盤ひずみの観測

教授 目黒 公郎

組積造構造物の地震被害に関する研究

教授 目黒 公郎

海底測位・測量センサーの性能評価に関する研究

講師 横田 裕輔,海上保安庁海洋情報部 住吉 昌直,海上保安大学校 倉本 和興
海底測量・海底検知・海底資源探査など,現代の海底観測においてマルチビーム測深技術は不可欠なものである.しかしながらマルチビーム測深器には,音響発振部の特性や返信シグナルの解析技術など,複数の領域において不確定性が存在する.これまでの目的精度において問題にならなかった誤差も,AUVによる高密観測・水路における連続観測・高度な学術応用に向けては大きな課題となっている.このような課題を改善するための技術開発・基準構築に向けた研究活動を実施している.

マイクロ波レーダを用いた海面観測に関する研究

教授 林 昌奎
マイクロ波パルスドップラーレーダを用いる海面観測システムの開発を行っている.海面から散乱するマイクロ波は,海面付近水粒子の運動特性によって周波数が変化し,海面から散乱するマイクロ波の強度には使用するアンテナの特性が含まれる.その特性を解析することで,海洋波浪の進行方向,波高,周期及び位相,海上風の風速と風向,海面高さの情報を得ることができる.相模湾平塚沖での海面観測を行っている.

再生可能エネルギー開発に関する研究

教授 林 昌奎,特任教授 丸山 康樹
波力及び潮流のエネルギーを利用する発電システムの開発を行っている.宮城県・松島湾の浦戸諸島において垂直軸型の潮流発電装置のプロトタイプ(5kW)を,岩手県久慈市において振り子式の波力発電装置のプロトタイプ(43kW)を,神奈川県平塚市において高効率波力発電装置(45kW)を開発し,海域実証試験(試験送電)を実施している.

大型浮体構造物の挙動に関する研究

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
波浪に起因する浮体式海洋構造物の動揺,弾性変形,波漂流力などを,海洋波浪レーダによるリアルタイム波浪観測技術とエアクッションを用いた浮力制御技術により,制御する方法について研究を行っている.

水槽設備を利用した研究開発

教授 林 昌奎,教授 北澤 大輔,准教授 巻 俊宏,講師 横田 裕輔
海洋工学水槽及び風路付き造波回流水槽において,海洋環境計測,海洋空間利用,海洋再生可能エネルギー開発,海底資源開発などに必要な要素技術の開発に関連する実験・観測を行っている.

流れ中で回転する水中線状構造物の挙動に関する研究

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
海洋掘削用ドリルパイプは比較的単純な構造物であるにもかかわらず,作用する流体外力,構造自体の応答特性も一般に非線形である.また,海流など流れを有する海域で作業するドリルパイプには,回転による振動に流れによる振動が加わり,より複雑な応答を示す.これらの問題は,対象となる水深が深くなりパイプが長大になるに従い,強度が相対的に低下したり,水深ごとの流れの流速が変化したりすると,強度設計,安全性確保の観点からより重要になる.

鉄鋼冶金インフォマティクスに関する研究

教授 井上 純哉

AM(Additive Manufacturing)を用いた新しいものづくりの研究

教授 山中 俊治
近年,3Dプリンタの普及によって生産技術の現場は大きく変革しているが,その反面で,AMの効果を最大限活かしたコンテンツの発見にはまだ至っていない.本研究では,AMの製造技術を理解したうえで可能となるものづくりの方向性を示すことを目的としている.

AM技術を用いた義足のデザイン

教授 山中 俊治
現在,義肢装具士の手づくりで行われている義足のソケット製作のプロセスにAM技術を導入することで,美しい外観を持ち且つひとりひとりにフィットするソケットをデザインする.3次元計測による義肢装具士が行っているソケット製作のノウハウを定量化,積層造形技術の特性を活かした美しい外観と機械特性を両立するデザイン手法の開発を行う.

Bio-Likenessロボットの研究

教授 山中 俊治
本研究では人に生命感を想起させるロボットを制作する.一般的にロボットは産業用ロボットを除くと生体模倣を基軸とした設計が主であるが,特にそれらにおいては構造と外装の設計を分けて考えがちである.制御部品やモータは覆い隠される傾向にあるが,構造によるふるまいと外観は同時にデザインされるべきであると考えている.このようなデザイン・エンジニアリング手法を取り入れた設計は,ブラックボックス化を防ぐだけでなく,メンテナンス性の向上にもつながる.

アスリート用義足のデザイン

教授 山中 俊治
主に陸上競技用の義足の開発を行う.2008年から始まったプロジェクトの一環として,身体のラインに沿うデザインの機能的かつ美しい義足の開発を行っている.断端に合わせて作成するソケットは,従来義肢装具士の手作業で作られており,重量の最適化や外観のデザインは十分になされていなかった.本研究では,3次元計測とドライカーボンの製造技術を用い,軽く,強度に優れ且つ美しい義足を開発する.

3Dプリンタ等の次世代技術を用いたローコスト住宅のプロトタイピング

教授 今井 公太郎,特任助教(今井研) 久保田 愛,特任研究員(今井研) 大井 鉄也,特任研究員(今井研) 伊東 優,特任研究員(今井研) 国枝 歓,大学院学生(今井研) 山口 大翔,大学院学生(今井研) 菅野 成一
近年普及が目覚しい 3D プリント(付加製造技術)と建築デザインの融合による新たな可能性を探求している.具体的には 3D プリンタを用いて仕口(ジョイント)を製作し,大部分の工程をセルフビルド可能な住宅のプロトタイピングを行う.今年度は実物大のモックアップの制作を行い,建造実験を行った.

イノベーションのための空間に関する実践的研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 健太郎,特任研究員 伊東優,特任研究員(今井研) 国枝 歓
新たなアイデアを生み出し新たな価値を創造するための空間はどうあるべきかを構想する研究である.今年度は新しい公衆トイレの新たな可能性について実践的に研究しプロトタイプをデザインしている.

空間システムの計画手法の研究と建築設計

教授 今井 公太郎,教授 加藤 孝明,特任研究員(今井研) 国枝 歓
新しい空間のシステムを効果的に計画するための手法を考案・研究している.本年度は,防災施設と観光施設の融合した新たな建築タイプとして,伊豆市において地域の防災計画の主幹をなす津波避難複合施設の基本設計を行っている.

海洋プラスチックごみ問題に対する科学的知見充実化プロジェクト

教授 ペニントン マイルス,教授(東京大学大気海洋研究所) 道田 豊
東京大学大気海洋研究所 道田 豊教授が代表者で日本財団助成金で行っている”海洋プラスチックごみ問題に対する科学的知見充実化プロジェクト”に共同研究者として2019年3月1日より参加.

デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動の実践

教授 野城 智也
価値創造デザイン推進基盤が関与するDesign Academyや,渋谷QWS,大手町3×3 Lab Future,有楽町SAAIなどの異分野交流空間への参加を通じて,デザイン思考を基盤にしたオープン・イノベーション活動を種々展開する.

建築・都市計画におけるデザインとエンジニアリングの融合

准教授 本間 健太郎

二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)の開発と表面空乏層容量の可変周波数計測への応用

教授 髙橋 琢二,教授(大阪市立大) 重川 直輝,大学院学生(髙橋研) 福澤 亮太
可変周波数での表面空乏層容量計測を実現するための二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)を提案し,MOS構造やp-n接合,CIGS系化合物半導体材料系等での容量計測を通じて,同手法の有効性に関する実証実験を進めた.

二重バイアス変調を利用した新しい走査トンネル分光法の開発

教授 髙橋 琢二,技術専門職員(髙橋研) 島田 祐二
走査トンネル顕微鏡によるトンネル分光計測において問題となるいくつかの不安定要素を効果的に取り除き,安定した計測を可能とする手法として,二重バイアス変調を用いた微分コンダクタンス分光法を新しく提案するとともに,自己形成InAs量子ドットに対する分光測定を行って,その有効性を確認している.

原子間力顕微鏡(AFM)を用いた光熱分光法の開発と太陽電池材料評価への応用

教授 髙橋 琢二,教授(立命館大) 峯元 高志,大学院学生(髙橋研) 山田 綾果,出光興産 加藤 拓也
原子間力顕微鏡(AFM)による光熱分光計測手法として,断続光励起時の試料熱膨張量を正確に検出できる二重サンプリング法を開発し,その実装実験を行っている.また,同手法を,多結晶SiやCIGS化合物半導体などの太陽電池材料に適用し,結晶粒界などにおける非発光再結合特性の解明に取り組んでいる.

間欠バイアス印加法を用いたケルビンプローブフォース顕微鏡による時間分解表面電位計測手法の開発

教授 髙橋 琢二,大学院学生(髙橋研) 石橋 亮太
間欠バイアス印加法を用いたケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)によって表面電位の時間分解計測を実現する手法を提案し,その実験系を構築するとともに基本性能を実証するための実験を進めた.

静電引力検出モードAFMによる太陽電池材料系の局所的特性の評価

教授 髙橋 琢二,教授(立命館大) 峯元 高志,大学院学生(髙橋研) 福澤 亮太
導電性カンチレバーを用いた静電引力検出モードAFMにより,CIGS系化合物半導体太陽電池材料系での表面電位分布の観測や表面空乏層容量の計測を行い,太陽電池特性劣化の要因となりうる不純物・欠陥準位の影響や,各種材料系に存在する結晶粒や粒界との関連性を明らかにすることを目指している.

エネルギーハーベスト用MEMSデバイス

教授 年吉 洋,教授(静岡大) 橋口 原,共同研究員(鷺宮製作所) 三屋 裕幸,大学院学生(年吉研) 佐野 智華子,主任研究員(電力中央研究所) 小野 新平
MEMS微細加工や高機能エレクトレットを利用した次世代エネルギーハーベスト(環境発電)用デバイスを研究している.

側壁電極モールドを用いたナノインプリントリソグラフィーの研究

教授 年吉 洋,東芝(株) 李 永芳
10nm級のプローブリソグラフィの実現を目指し,側壁に薄膜電極をつけたモールドを開発した.電極のエッジに対応するナノパターンを局所的な陽極酸化反応でシリコン基板上に描画できることを示した.

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

生殖細胞の力学的計測

教授 川勝 英樹
配偶子の力学的計測を行うために,力や水中の音に対して感度の高い検出方法を開発している.

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

溶解性マイクロニードル式低侵襲経皮ワクチンデリバリーパッチの新規開発

教授 金 範埈,技術職員(金(範)研) 高間 信行,助教(金(範)研) パク チョンホ
生体分解性マイクロニードルのパッチ型無痛ドラッグデリバリーシステムの実用化を目指す.近年の薬剤学・高分子材料工学・マイクロ加工技術のさらなる進歩に伴い,美容分野において既に実用化しているヒアルロン酸やコラーゲンなどのマイクロニードルパッチに関して,新たなマイクロモールド製造技術を開発し,より安価・迅速・安定的な加工プロセスで高機能性パッチの大量生産が実現できるシステムを開発する.一方,インスリンや経皮ワクチンパッチ,ペプチド・タンパク性医薬品を含む難吸収性薬物の経皮パッチ等の開発と臨床実験を進めて,近い将来,医療の現場で既存の注射製剤や経皮吸収製剤と並ぶような,マイクロニードルを用いた革新的ドラッグデリバリーシステムの実現を図る.

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) パク チョンホ,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究.

GaN FET向けデジタルゲートドライバICの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
GaN FETは小型・高効率な電力変換回路を実現するのに適したパワーデバイスであるが,高速スイッチング動作によって生じる電圧・電流のオーバーシュートおよびリンギングが信頼性低下とEMI問題を引き起こす.これらを解決するため,GaN FETに適した高速動作が可能なデジタルゲートドライバICを開発し,スイッチング損失と電圧・電流オーバーシュートを抑制する.

ゲート電圧波形の機械学習を用いたパワーデバイスの劣化推定

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスのゲート電圧波形から機械学習を用いて,パワーデバイス故障の一要因であるボンディングワイヤ剥がれを検出する手法を提案する.従来のボンディングワイヤ剥がれ検出手法と比較して検出回路に絶縁の必要がなく,ゲート電圧波形から抽出される2つのパラメータに対し線形回帰アルゴリズムを適用することによって,負荷電流変動と温度変動にロバストなボンディングワイヤ剥がれ検出手法を構築する.

パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を解決するデジタルゲート駆動技術

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を確立し,パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を簡単・迅速・低コストに解決することを目指す.伝導性EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を提案する.また,放射性EMIに対処するために,デジタルゲートドライバICの設計・試作・評価を行う.

パワートランジスタ(IGBT)駆動用の波形制御プログラマブルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクスとLSIの異分野連携により,パワートランジスタ(IGBT)のゲート駆動電流をデジタルインターフェースで変えられるプログラマブルゲートドライバICを開発した.AIを使った自動最適制御によって,スイッチング時の損失低減とノイズ低減を両立するとともに,動作条件に応じた最適化手法の更なる高度化に取り組んでいる.

並列接続されたパワーデバイスの電流均一化を実現するデジタルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクス機器において,パワーデバイスの定格を超える大電流を扱う場合,複数のデバイスを並列接続して大電流に対処する.この場合,パワーデバイスの素子ばらつきによって,あるデバイスに電流が集中して信頼性が劣化する恐れがあり,電流を均一化する技術が必要である.本研究では,ゲート波形を制御可能なデジタルゲートドライバICを活用したパワーデバイスの電流均一化技術を提案する.

小型・高効率を実現するハイブリッドDC-DCコンバータの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
従来の電源回路における効率と体積のトレードオフを克服するハイブリッドDC-DCコンバータの研究開発に取り組んでいる.特に,高入力電圧および高降圧比のアプリケーションに着目し,新しい回路トポロジーの提案と回路設計技術の開発に取り組んでいる.

直列接続されたパワーデバイスの過電圧破壊を回避する制御手法

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスの損失低減方法として,1つの高耐圧デバイスを複数の低耐圧デバイスの直列接続に置き換える手法があるが,パワーデバイスの直列接続における最大の課題はターンオフ時における電圧分担のアンバランスによるパワーデバイスの過電圧破壊である.本研究では低耐圧デバイスの直列接続を低コストに実現するため,常時フィードバック制御が不要な制御手法を提案する.

複数の送信コイルの電流振幅と位相を自動的に検出・調整する無線給電IC

教授 高宮 真
位置ずれに強い無線給電システムを実現するため,各送信コイルと受信コイル間の結合係数に基づいて複数の送信コイルが発生させる磁場を適応的に加算させるAdaptive Magnetic Field Adder (AMFA) ICを開発する.4つのパワーアンプと共用の結合係数センサを統合したAMFA ICによって,従来は給電できなかったコイル位置でも高効率な電力伝送を実現する.

高エネルギー効率のピクセル近傍2次元CNNアクセラレータ

教授 高宮 真
画像認識を高エネルギー効率で行うことを目的として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズムの本来の特徴である注目ピクセルの近傍に対してのみ畳み込み演算を行う点を利用し,ピクセル近傍に集積されたデジタル回路を用いて外部メモリへのデータ書き込みなしでCNN演算を2次元的に実現する.

Thin-Film Transistor Array Platform for On-chip In-vitro Neuro-cardiac System Study

准教授 ティクシェ アニエス,博士(東大) Anne-Claire Eiler,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,准教授(The University of Bordeaux) Timothee Levi,特任准教授(東大) 藤生 克仁,准教授 池内 与志穂,教授 年吉 洋,教授 河野 崇
Thin-Film-Transistor technology allows to fabricate substrates with a surface covered with a large and dense array of microelectrode used as sensors. TFT platforms based on this technology are developed for electrophysiology sensing of on-chip in-vitro neuro-cardiac system. Key communication between heart cells, and large-scale cardiovascular and nervous systems is expected to be elucidated in the aim of disease investigation, treatment development and modeling. TFT platforms integrated with FPGA biomimetic device is also under development for further control and analyses of the data.

Thin-Film-Transistor sensor array platform for pancreas cells investigation

准教授 ティクシェ アニエス,教授 年吉 洋,博士(東大) Anne-Claire Eiler,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,博士(東大) Dongchen Zhu,教授(東大) 酒井 康行,准教授(近畿大) 小森 喜久夫,助教(東大) Mathieu Danoy
Thin-Film-Transistor technology allows to fabricate substrates with a the surface covered with a large and dense array of microelectrode used as sensors. In this project these sensors are used for electrophysiology as well as electrochemical sensing of heart cells cultured on the device. The development of this platform offers unique access to versatile lab-on-a-chip devices that integrate many measurement techniques on one chip for the study of cell cultures, tissues, and organoids. In addition, due to its unique features, TFT platform can provide more understanding of the key communication between heart cells, and large-scale cardiovascular and nervous systems, in the aim of disease further investigation, treatment development and modeling. TFT platforms integrated with FPGA biomimetic device is under development for further control and analyses of the data.

3 omega法による超精密熱伝導率測定系の構築

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

Si/SiO2超格子における熱伝導

准教授 野村 政宏,特任助教(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 立川 冴子, Sergei Gluchko,日立製作所 川村 友人, Laurent Jalabert

SiGe熱電変換デバイス開発

准教授 野村 政宏,教授(東京都市大) 澤野 憲太郎,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,大学院学生(野村研) 小池壮太
社会に広く普及する実用的な熱電変換デバイスの実現には,低環境負荷で高効率な熱電変換材料の開発が不可欠である.本研究では,バルク材料でも高い熱電性能を示すSiGeを用いてウェハ型熱電変換デバイス開発を進める.

SiNおよびSiC薄膜における表面フォノンポラリトンによる熱伝導

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(CNRS) Yunhui Wu,特別研究員(野村研) Roman Anufriev

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

准教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,特任助教(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,大学院学生(野村研) Eldar Sido
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

ダイヤモンドフォノニック結晶ナノ共振器の設計

准教授 野村 政宏,教授(横浜国立大) 小坂 英男

ナノギャップ熱伝導に関する研究

准教授 野村 政宏,大学院学生(野村研) 立川 冴子,国際協力研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,国際協力研究員 Jose Ordonez
物体表面からの熱放射はプランクの法則に従うが,異なる二物体表面が近接すると,プランクの法則を遥かに超える熱伝導が生じる.本研究では,ナノ・マイクロ構造形成技術により,高い熱絶縁性を持ったマイクロ構造中にナノギャップを挟んで向かい合う二平面を形成し,ギャップ幅を変えながら熱輸送の変化を観測する.

ナノスケール熱伝導の物理

准教授 野村 政宏,准教授(東大) 塩見 淳一郎,特別研究員(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノニクスによる熱伝導制御

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,特別研究員(野村研) Roman Anufriev
本研究では,周期が数百ナノメートルのシリコンフォノニック結晶ナノ構造を用いて,コヒーレントなフォノン伝導制御による熱伝導制御を目指し,理論・実験の両面から研究を進めている.エアブリッジ状のフォノニック結晶ナノ構造およびナノワイヤー構造を作製し,熱フォノンの波動性に基づいた熱伝導制御に成功している.

フォノニック結晶中の熱フォノン輸送シミュレーションに関する研究

准教授 野村 政宏,特別研究員(野村研) Roman Anufriev
フォノンの平均自由行程よりも短い周期のフォノニック結晶中では,弾道的輸送特性およびバンドフォールディング効果により,バルクとは大きく異なるフォノン輸送が起こる.本研究では,モンテ・カルロ法によるフォノン輸送シミュレーションおよび有限要素法を用いた線形弾性論によるフォノンバンド解析を行い,フォノニック結晶中の熱輸送シミュレーションを行う.

フォノンの消滅生成過程に関するシミュレーション

准教授 野村 政宏,大学院学生(野村研) Zhongwei Zhang,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノン流体力学に基づく熱伝導

准教授 野村 政宏,日本学術振興会特別研究員(野村研) Yangyu Guo,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(野村研) Xin Huang,教授 町田 友樹,特任講師 増渕 覚

半導体薄膜における熱フォノン平均自由行程測定

准教授 野村 政宏,特任助教(野村研) Roman Anufriev,研究員(CNRS) Jose Ordonez,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

平面型熱電変換デバイスの開発

准教授 野村 政宏,教授(フライブルク大) Oliver Paul,グループ長(物質・材料研究機構) 森 孝雄,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,大学院学生(野村研) 小池 壮太
社会に広く普及する実用的な熱電変換デバイスの実現には,低環境負荷で高効率な熱電変換材料の開発が不可欠である.本研究では,シリコンにナノ加工を行うことで,材料の電気伝導率を保ちつつ,熱伝導率を低減することで性能を飛躍的に高めることを目指している.本研究は,フライブルク大学(ドイツ)と共同で研究を進めており,マイクロマシン技術に基づいたオンチップ熱電変換能測定技術を用いて,様々な材料や構造の熱電特性の測定を進めている.

有機材料を用いた高熱伝導率ファイバーの開発

准教授 野村 政宏, 竹澤 由高,特任研究員(野村研) 渡辺 宜朗

機械振動子の自己同期による熱コンダクタンス制御

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(野村研) Zhongwei Zhang,教授(Tongji University) Jie Chen

熱放射スペクトル制御による放射冷却構造開発

准教授 野村 政宏,特任研究員(野村研) Yunhui Wu,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

異方性熱伝導特性を有するハースライナーの設計

准教授 野村 政宏,特任研究員(野村研) 渡辺 宜朗

非平衡グリーン関数法を用いた熱伝導率シミュレーション

准教授 野村 政宏,特任研究員(野村研) Yangyu Guo,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

チタンスクラップの新規リサイクルプロセスの開発

教授 岡部 徹,助教(岡部(徹)研) 大内 隆成,国際協力研究員(岡部(徹)研) 孔 令鑫,大学院学生(岡部(徹)研) 赤石 謙太
チタンは,軽量かつ高強度を示し,また,高い耐腐食性を持つ金属材料であり,航空機や化学プラントなどに利用される高機能材料である.本研究では,溶融塩中での電気化学的手法を用いた脱酸プロセス,および反応媒体塩を利用したチタンスクラップの高速塩化リサイクルプロセスに関する基礎研究を行っている.

チタン製品の革新的高効率製造技術の開発

教授 岡部 徹,助教(岡部(徹)研) 大内 隆成,大学院学生(岡部(徹)研) 飯塚 昭博
最先端のチタンの脱酸技術である“極低酸素ポテンシャル(極低pO2)制御技術”をチタン粉末の焼結法に応用し,安価なチタン粉末から高品質なチタン製品を効率良く製造する革新的な手法を開発する.

物理選別を利用した貴金属の高効率回収法の開発

教授 岡部 徹,助教(岡部(徹)研) 大内 隆成,リサーチフェロー(岡部(徹)研) 谷ノ内 勇樹,大学院学生(岡部(徹)研) Er Li,大学院学生(岡部(徹)研) Sukho Kang
貴金属(金,銀,白金族金属)は,経済的価値の高い金属であるが,鉱石の品位が非常に低い.したがって,触媒や電子機器などの各種スクラップから貴金属をリサイクルすることが重要であるが,現時点ではスクラップから貴金属を濃縮する効率の良いプロセスが開発されていない.本研究では,無電解めっきなどの表面処理と磁力選別などの物理選別を組み合わせ,貴金属を低コストかつ高効率で濃縮する新規プロセスの開発を行っている.

貴金属の新規高効率溶解法の開発

教授 岡部 徹,助教(岡部(徹)研) 大内 隆成
自動車排ガスの世界的な規制強化により白金族金属を含む排ガス触媒の需要が急増している.白金族金属を含む貴金属は,原料となる鉱石の品位が非常に低いため,金属生産には大きなコストがかかるだけでなく,地球環境に多大な負荷を与える.したがって,触媒などのスクラップから高い収率で貴金属を回収することは重要な課題であるが,現時点では効率の良いプロセスは開発されていない.本研究室では,合金化処理と塩化処理を組み合わせることにより,強力な酸化剤を含まない溶液を用いて貴金属を溶解・回収する環境調和型の新プロセスを開発している.

酸化チタンの直接還元法による金属チタン新規製造技術の開発

教授 岡部 徹,助教(岡部(徹)研) 大内 隆成
チタンは,軽量かつ高強度を示し,また,高い耐腐食性を持つ金属材料である.さらに,チタンは地殻存在率が全元素中9位と資源的には無尽蔵である.しかしながら,従来のチタン製造プロセスは非効率で高コストであるため,金属チタンは高価格である.そのため,チタンの利用は航空機や化学プラントなど高付加価値の特殊な用途に限られる.本研究では,鉱石の主成分である酸化チタンをそのまま原料として,金属熱還元および電気化学還元プロセスを用いて金属チタンを直接製造する,高効率の金属チタン製造プロセスに関する研究を行っている.

電子ビーム溶解法を用いた貴金属およびレアメタルの高効率回収法の開発

教授 岡部 徹

エントロピー駆動型水素結合による高分子材料の強靭化機構の解明

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) Xia Jun,大学院学生(吉江研) 石坂 祥吾
共有結合よりも弱い可逆的な動的結合により,高分子材料を強靭化することができる.我々は最近,柔軟かつ三次元的な構造をもつ水素結合性基が,材料の靭性および自己修復性などの動的性質を向上させることを見出し,これをエントロピー駆動型水素結合と名付けた.本研究では,このエントロピー駆動型水素結合の特性を調査し,材料の靭性などの特性向上のメカニズムの解明を目指す.計算化学と実材料の物性測定により,エントロピー駆動型水素結合の普遍性および高分子鎖のダイナミクスに及ぼす効果を明らかにした.

ポリマー中の動的結合の配置に基づく溶液のレオロジー特性制御

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎
液体の粘度などのレオロジー特性を制御することは産業上極めて重要である.本研究では,温度に応答して解離・結合する動的結合ユニットをポリマー鎖中に精密配置することで,溶液中でのポリマーの集合状態を通じてレオロジー特性を制御する手法を確立する.これまで,水素結合を形成するユニットを組み込んだポリマーを合成し,その溶液中でのミクロな集合構造とマクロな粘度に相関があることを見出している.

マルチロック型生分解性ポリマーの開発

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) Olivier Doat
海洋プラスチック問題等のポリマー材料に関わる環境問題の解決のために,使用時には分解せず優れた力学特性を発揮し,かつ廃棄後には迅速に分解するポリマー材料が求められている.本研究では,刺激応答性の動的結合を利用して,複数の外部刺激が重なったときにのみ迅速に生分解するマルチロック型生分解性ポリマーの開発を目指している.

動的結合の制御配置による高分子材料の強靭化

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 石坂 祥吾
可逆的な動的結合を高分子鎖中に組み込むことで,硬さと伸びしろを両立した強靱な高分子材料が得られる.本研究では,我々が最近発見したエントロピー駆動型水素結合性基を高分子鎖中に制御配置することで,高靭性な材料の創製を目指す.水素結合性基の数・配置により,硬軟様々な高靭性材料が得られることを見出した.水素結合性基の配置と相分離構造,巨視的な力学特性の相関解明に取り組んでいる.

架橋によるパターン化ポリマーブラシの形状制御

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎
パターン化された基板表面を起点として高分子鎖を成長させたパターン化ポリマーブラシは,表面物性の動的制御など様々な応用が期待されている.本研究では,高分子鎖を架橋することによりパターン化ポリマーブラシの形状制御を目指す.架橋により,パターン化ポリマーブラシの端部の段差がより鋭くなることが分かっている.

構造制御されたボトルブラシ型高分子網目の合成および物性

助教(吉江研) 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子
高分子鎖に多数の高分子鎖が修飾されたボトルブラシ型高分子が近年その特異な構造・物性から注目を集めている.本研究では,構造がよく制御されたボトルブラシ高分子網目を合成する手法の確立,およびそれを用いた構造−物性相関の解明を目指している.制御重合と重合後修飾を駆使して,構造制御されたボトルブラシ高分子網目の合成に初めて成功した.

構造均一な高分子網目を用いた動的結合と高分子材料の力学特性の相関解明

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) Huang Xin
共有結合よりも弱く可逆な動的結合は高分子材料の力学特性を向上させるが,動的結合の分子特性と材料の巨視的な力学特性の相関の全貌は明らかになっていない.本研究では,我々が最近開発した構造均一な高分子網目を基盤として,動的結合が力学特性に及ぼす影響の定量的評価によるメカニズム解明を目指している.異なる構造の水素結合性基の熱力学的・速度論的な振る舞いによる巨視的な力学特性変化を明らかにした.

溶媒による高分子結晶化の巨視的制御

助教(吉江研) 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子
高分子は結晶化すると分子鎖が特定の結晶軸方向に整列した異方性の高い結晶構造を形成するが,結晶化制御が困難なためその規則性を活かした応用はほとんどない.本研究では,固体基板上に固定した高分子鎖を溶媒中で結晶化させることにより,高分子結晶の配向・モルフォロジーの巨視的な制御を目指した.高分子と適当な親和性のある貧溶媒を選択することで,通常の結晶化では見られない規則的なモルフォロジーが生成することを見出した.X線回折測定により調べた結晶配向から,結晶化メカニズムを明らかにした.

生体を模倣した折りたたみ構造の導入によるポリマーの力学特性強化

助教(吉江研) 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子,大学院学生(吉江研) 兼村 夏姫
産業上重要な材料である架橋ポリマーでは,一般に高い弾性率と大きな破断伸びがトレードオフの関係にあるため,それらを両立するためには工夫が必要である.一方,自然界には筋肉などこれらを両立した素材が多い.特に,生物の骨格筋に含まれるチチンというタンパク質は,分子の「局所的な折りたたみ」により高い靭性を発揮する.そこで本研究では,この局所的な折りたたみ構造を単純化した「分子内架橋による折りたたみ」を提案し,様々な架橋ポリマーの機械特性を強化する普遍的な方法を確立する.

真珠層模倣クレイ/ポリマーナノハイブリッドの高靭性化

教授 吉江 尚子,助教(吉江研) 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 江本 敦
貝殻の内側に形成される真珠層は,板状の無機微粒子と少量の有機高分子からなる無機/有機ナノハイブリッドである.本研究では,複数の無機クレイ微粒子と合成ポリマーを組み合わせた真珠層模倣ナノハイブリッドにおいて,剛性としなやかさを両立させる方法の確立を目指している.正・負にそれぞれ帯電した2種の無機クレイ微粒子を用いることで剛性が向上し,柔軟なポリマーをさらにハイブリッド化させることで伸びしろが増加することを見出し,靭性を向上させるための設計指針を確立した.

高分子ゲルの形成過程における構造・ダイナミクス変化の解明

助教(吉江研) 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子,助教(物性研究所) Li Xiang
ゲルは一般に高分子鎖間をランダムに架橋したものであり,固有の不均一性を有しているとされてきた.本研究では,均一な架橋が起こるようなモデル系を用いて,ゲル化過程における構造およびダイナミクスの変化を各種散乱法により解析した.ゲル化前の初期状態に応じて,架橋後に不均一性が生じること,及びその不均一性のサイズなどを,散乱法により詳細に明らかにした.

ガラス表面への階層性ナノ多孔層の形成とその特性

教授 井上 博之,助手(井上(博)研) 渡辺 康裕,助教(井上(博)研) 木崎 和郎
ガラス表面に酸性あるいは塩基性溶液による処理によって,階層性のナノ構造を持った多孔質層を形成できることが見出された.その表面は,超親水性や低反射率などの優れた特性を示す.様々な組成のガラスで,この表面構造の形成条件を探索するとともに,その形成機構を調べることを目的としている.

無容器浮遊法によるガラスの合成と物性

教授 井上 博之,助手(井上(博)研) 渡辺 康裕,助教(井上(博)研) 木崎 和郎
無容器浮遊法で達成される大過冷却液体状態から,熱力学的に非平衡なガラスを室温まで保持することができる.無容器浮遊法のひとつであるガス浮遊炉を用いて既存の方法では得られない物質の創出,物性の発現を目指している.

トポロジカル絶縁体中転位を利用した新規高性能熱電変換材料の開発

教授 枝川 圭一
近年,エネルギー問題解決のため,高性能熱電変換材料の開発に対する社会的要請は,益々強くなってきている.ここ数年来「トポロジカル絶縁体」とよばれる新しいタイプの物質が物性物理分野で大きな注目を集めている.これはバルク内部では絶縁体であるのに対し,表面が極めて高い伝導度の金属状態となるものである.最近,このような金属状態は表面だけではなく内部の転位に沿っても生じ得ることが理論的に示された.これを使えば熱電変換材料の性能指数(ZT値)を飛躍的に上げることができる可能性がある.本研究は,この理論を世界で初めて実験的に検証し,従来材料の性能をはるかに上回る性能指数ZT=4の熱電変換材料を実現することを目的としている.

準結晶の成長機構

教授 枝川 圭一
結晶とは異なる特異な秩序構造をもった「準結晶」は1984年に発見された.現在までにこの新物質に関する多くの研究がなされてきたが,未解決の重要問題として成長の問題がある.つまり原子が凝集して準結晶秩序を形成するメカニズムが未だによくわかっていない.我々は,実験・計算の両面から準結晶の微視的成長機構を解明することをめざしている.本年度は計算機シミュレーションにより準結晶がフェイゾン欠陥を修正しながら成長していく機構を見出した.

準結晶の特異な高温比熱

教授 枝川 圭一
結晶とは異なる特異な秩序構造をもった「準結晶」の比熱が高温域において通常の物質が従うデュロン=プティ則に従わないことが実験的に示されている.この事実が準結晶の高次元性を反映したものであるか否かについては議論が分かれている.我々は,実験・計算の両面から準結晶の特異な高温比熱の起源を解明することをめざしている.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性に課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験及び数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

1573K における FeOx-SiO2二元系の液相線に及ぼすMgOとAl2O3の影響

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 長田 健志

1723K におけるAl2O3-CaO-SiO2系スラグと溶銅間の白金の分配に及ぼすZrO2の影響

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 戸塚 虹介

Nd2O3-Na2B4O7-Al2O3-SiO2系状態図に基づいたネオジム磁石含有 EV ローターのリサイクル

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 和田 浩樹

PbO-Na2O-SiO2系スラグと貴鉛間の微量元素の分配挙動

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 石川 航平

石灰化機構の解明を目的としたリン脂質加水分解の量子化学計算による解析

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 栗原 令奈

量子化学計算による Si 結晶表面の CO2還元反応に対する触媒作用の評価

客員教授 山口 勉功,大学院学生(早稲田大) 井上 岳紀

SiCの溶液成長界面のリアルタイム観察

准教授 吉川 健,助教(東北大) 川西 咲子
高品質SiC結晶の育成へ向け,高温下で合金溶液から成長するSiCの成長界面のリアルタイム観察を行い,界面でのナノオーダーの結晶ステップの動的挙動を観測し,各種欠陥の挙動との相関性を調査する.

SiC溶液成長溶媒の最適化研究

准教授 吉川 健,大学院学生(吉川(健)研) 青木 秀人
高品質SiC結晶の高速溶液成長に用いる溶媒組成の最適化のため,熱力学的検討ならびに界面平滑性評価検討を実施する.

ナノ粒子応用SiCの高速液相エピタキシー

准教授 吉川 健,大学院学生(吉川(健)研) 樫村 知之
ナノ粒子の有するGibbs-Thomson効果を応用し,ナノ粒子分散溶媒からSiCのエピタキシャル層の高速成膜を検討する.

溶融含浸法によるSiC/SiCの製造プロセスに関する研究

准教授 吉川 健,特任研究員(吉川(健)研) 江阪 久雄
軽量・高温動作用構造材料として注目を集めるSiC繊維強化SiC基複合材料の,反応性溶融シリコン含浸による製造法について,その場観察と有限要素法解析により,高効率プロセス開発を行う.

マグネシウム蓄電池用正極活物質の開発

准教授 八木 俊介
マグネシウム蓄電池用正極活物質としてスピネル型酸化物に注目し研究を行った.スピネル型酸化物の構成元素によって,電解液の酸化分解反応に対する触媒活性が大きく異なることを発見した.特にFeイオンを含有するスピネル型酸化物の表面では,電解液の酸化分解が起こりにくいことを明らかにし,活物質のサイクル特性改善に成功した.

電気化学水晶振動子マイクロバランス法を用いたリチウムイオン電池中の不純物挙動の解析

准教授 八木 俊介
短絡等を引き起こすリチウムイオン電池中の金属不純物が,充放電時にどのように酸化還元され,また電池性能に影響を及ぼすかについて,電気化学水晶振動子マイクロバランス法を用いて検討を行った.

高活性な酸素の電気化学反応触媒の開発

准教授 八木 俊介
酸素の電気化学反応を促進する触媒として,金属,酸化物,硫化物,炭素との複合材料など幅広く検討を行った.さらに応用研究として,亜鉛空気電池の試作・評価やグルコース燃料電池の検討も行った.

地震動と地盤ひずみの観測

教授 目黒 公郎

地震災害環境のユニバーサルシミュレータの開発

教授 目黒 公郎
本研究の目的は「自分の日常生活を軸として」,地震発生時から,時間の経過に伴って,自分の周辺に起こる出来事を具体的にイメージできる能力を身につけるためのツールの開発と環境の整備である.最終的には,地震までの時間が与えられた場合に,何をどうすれば被害の最小化が図られるかが個人ベースで認識される.地震災害に関係する物理現象から社会現象にいたるまでの一連の現象をコンピュータシミュレーションすることをめざしている.前者の物理現象編は,AEMやDEMなどの構造数値解析手法と避難シミュレーションを中心的なツールとして,後半の社会現象編は,災害イマジネーションツール(目黒メソッド)や次世代型防災マニュアルを主なツールとしている.

循環型備蓄の可能性の研究

教授 目黒 公郎
起こるのかどうかもわからない,起こるとしてもそれがいつになるかもわからない災害に対して,食料などを備蓄することは難しい.そこで日常生活用に備えているものを循環させて利活用することで,効果的に災害時に必要になるものを確保する方法を研究している.

新しい手法による建物の制振法の研究

教授 目黒 公郎,准教授 沼田宗純,博士研究員 Sadeghzadeh Nazari Mehrdad
振動外力を受ける構造物の動的応答を増幅させないために様々な制振システムが開発されている.しかし,対象建物が固有周期が長周期である場合,長周期の制振デバイスは振り子式にしろ同調マスダンパー型にしろ,サイズが大きくなるとともに,システムが複雑で高額になる.そこで,私たちはこれまでのシステムとは全く異なる新しいメカニズムの制振システムの開発を行っている.

既存不適格構造物の耐震改修を推進させる制度/システムの研究

教授 目黒 公郎
我が国の地震防災上の最重要課題は,膨大な数の既存不適格構造物の耐震補強(改修)対策が一向に進展していないことである.既存不適格建物とは,最新の耐震基準で設計/建設されていない耐震性に劣る建物であり,これらが地震発生時に甚大な被害を受け,多くの人的・物的被害を生じさせるとともに,その後の様々な2次的,間接的な被害の本質的な原因になる.このような重要課題が解決されない大きな理由は,震補強法としての技術的な問題と言うよりは,市民の耐震改修の重要性の認識度の低さと,耐震補強を進めるインセンティブを持ってもらう仕組みがないことによる.本研究は,行政と市民の両者の視点から見て耐震補強をすることが有利な制度,実効性の高い制度を提案するものである.

構造物の地震時崩壊過程のシミュレーション解析

教授 目黒 公郎,博士研究員 Gadagamma Chaitanya Krishna
平成7年1月17日の兵庫県南部地震は,地震工学の先進国と言えども構造物の崩壊によって多数の犠牲者が発生しうることを明らかにした.本研究は地震による人的被害を軽減するために,地震時の構造物の破壊挙動を忠実に(時間的・空間的な広がりを考慮して)再現するシミュレーション手法の研究を進めている.すなわち,破壊前の状態から徐々に破壊が進行し,やがて完全に崩壊してしまうまでの過程を統一的に解析できる手法を開発し,様々な媒質や構造物の破壊解析を行っている.そして解析結果と実際の地震被害の比較による被害発生の原因究明と,コンピュータアニメーションによる地震被害の再現を試みている.

災害報道の研究

教授 目黒 公郎,准教授 沼田宗純
平時から災害発生時,復旧・復興過程までの災害対応の循環体系の中で,災害による影響の最小化に貢献する報道のあり方を研究している.テレビや新聞などのメディアが,過去の災害をどのように報道したのかを分析するとともに,災害現象を先取りし,被害を軽減する行動を誘導する災害報道に関して研究を進めている.

災害情報プラットフォームの研究

教授 目黒 公郎, 井上 雅志
適切な災害対応には複数の組織や機関,部署間の連携した活動が不可欠であり,そのポイントは情報の共有である.これを実現するシステムとして,防災情報共有プラットフォームの研究を進めている.限られた資源の効果的な利用と,異なる組織間での緊密な連携を実現するために,大規模地震災害時における広域医療搬送活動や,複数の自治体の防災活動などを対象として,組織間の情報共有と応援体制の連携に関する現状分析と防災情報共有プラットフォームのあるべき姿,その貢献についても分析している.

組積造構造物の地震被害に関する研究

教授 目黒 公郎

組積造構造物の経済性を考慮した効果的補強手法の開発

教授 目黒 公郎,大学院学生(目黒研) Silpa Chowdary,大学院学生(目黒研) Kishor Timsina,特任助教(目黒研) 山本 憲二郎, Shashwot Paudel, Zamzam Multazam
世界の地震被害による犠牲者の多くは,耐震性の低い組積造構造物の崩壊によって生じている.本研究の目的は,耐震性の低い既存の組積造構造物を,それぞれの地域が持つ技術と材料を用いて,しかも安く耐震化できる手法を開発することである.防災の問題では,「先進国の材料と技術を使って補強すれば大丈夫」と言ったところで何ら問題解決にはならないためだ.一つの目的は,上記のような工法や補強法を講じた構造物とそうでない構造物の地震時の被害の差を分かりやすく示すシミュレータの開発であり,建物の耐震化の重要性を一般の人々に分かりやすく理解してもらうための環境を整備するためのものである.

自治体の災害レジリエンス評価と防災対策へのインセンティブ提供システムの研究

教授 目黒 公郎,特任助教(目黒研) 山本 憲二郎
少子高齢人口減少や財政的な制約の中で,今後の防災対策においては「公助」の割合の減少が予想される.このような状況の改善のために,行政の努力が災害の有無にかかわらず,平時から報われる仕組みや制度を研究するものである.具体的には,自助と共助の担い手である個人と法人による防災対策に,行政がインセンティブを積極的に与えられる環境整備を目指す研究である.

途上国の地震危険度評価手法の開発

教授 目黒 公郎
世界の地震被害による犠牲者の多くは,途上国に集中している.この大きな原因の1つに,政府や中央省庁の高官達をはじめとして,多くの人々が地域の地震危険度を十分に把握していないことが挙げられる.この研究は,そのような問題を解決するために,簡便な方法で対象地域の地震危険度,予想される被害状況,経済的なインパクトなどを評価する手法を構築するものである.イランやトルコ,ミャンマーやバングラデシュなどを対象として,研究を進めている.

途上国の建物を対象とした地震被害関数の開発に関する研究

教授 目黒 公郎,大学院学生(目黒研) Khin Myat Kyaw
途上国の建物の多くは,工学的な専門性を有していない地元の人々が,過去の経験に基づいて,現地で調達可能な材料を用いて建設するものである.このような構造物をノン・エンジニアード建物と呼ぶが,耐震基準に従って設計・施工された構造物(エンジニアード建物)に比べて耐震性の評価が難しい.このような途上国のノン・エンジニアード建物を対象として,地震に対しての脆弱性の評価と被害関数の開発に関する研究を行っている.

途上国の非補強組積造建物の耐震補強法を推進するための技術的・制度的システムの開発

教授 目黒 公郎,大学院学生(目黒研) Silpa Chowdary,大学院学生(目黒研) Kishor Timsina, Shashwot Paudel, Zamzam Multazam,特任助教(目黒研) 山本 憲二郎
途上国を中心として,世界の地震で亡くなっている犠牲者の多くは,石やレンガなどを積み上げてつくる組積造建物の崩壊による.これらの建物は,耐震基準の良し悪しやその有無とは無関係に,工学的な知識のない現地の人々が現地で入手できる安い材料で建設するもので,ノンエジニアード構造物と呼ばれる.この脆弱な組積造のノンエジニアード構造物の耐震性を向上させない限り,世界的な視点からの地震被害の軽減は実現しない.本研究は,この種の建物の耐震性能を,ローカル・アべイラビリティ,ローカル・アプリカビリティ,ローカル・アクセプタビリティをキーワードとして,向上させる技術的・制度的アプローチの研究である.

防災ビジネスの創造と育成に関する研究

教授 目黒 公郎,特任助教(目黒研) 山本 憲二郎
防災における「自助・共助・公助」の中で,従来は行政が公的な資金を用いて主導する「公助」が大きな割合を占めてきた.しかし,現在の少子高齢人口減少や財政的な制約を考えると,今後は「公助」の割合は減少する.その不足分は「自助と共助」で補う必要があるが,これを実現する上でのキーワードは,防災の「コストからバリュー」と「フェーズフリー」である.従来は行政も民間も防災対策を「コスト」とみなしていた.コスト型の防災は,継続性が難しく,対策の効果は災害発生時にのみ発現すると考えられてきた.しかしバリュー型の防災対策は継続性が担保され,災害の有無に関わらず常に対策を実施した組織や地域い価値(バリュー)をもたらす.一方フェーズフリーは,発生の有無や時期が不確定な災害に対する対策にお金をかけることは難しいことから,災害時と平時のようにフェーズを分けるのではなく,日常の生活の質を向上させる商品やサービスがそのまま災害時にも有効に活用できるようにしようという考え方である.これらはいずれも,自助や共助の担い手である個人や法人の「良心」に訴えかける防災がもはや限界で,防災対策の自主的な推進を後押しする仕組みとしての「防災ビジネス」の必要性に基づいている.

レジリエンスに関する理論研究

教授 加藤 孝明
レジリエンスの概念は多様な概念定義が散見されており,必ずしも確立されているとは言えない.数理的なアプローチを含め,レジリエンスの概念を説明する理論を行う.

共助を育む理論・手法に関する研究

教授 加藤 孝明
防災に不可欠である自助・共助・公助のうち,共助に着目し,共助を育むための理論研究,手法開発,支援技術の開発を行う.地区防災計画の計画論,策定プロセスの標準化,成立条件の解明,共助の状態の評価理論,加えて支援技術の開発を行う.

市街地における災害現象の解明

教授 加藤 孝明
市街地に自然の外力が加えられたときに生じる物理現象・社会現象を解明する.特に市街地ストックと災害現象との関係に焦点をあてる.地震火災,水害等の幅広いハザードを対象とする.ただし地震時の市街地火災については独自性が高い.

復興準備の概念の確立と手法の構築

教授 加藤 孝明
次の災害復興に向けて,適切かつ円滑な復興に向けた準備が不可欠である.現在の防災計画に欠けている要素である.復興準備の概念はかねてより提唱し,根付いたところである.具体の準備情報を開発し,社会に根付かせる実践研究を行う.複数の自治体と協働し,有用性の検証と改良を行う.

防災を含めた地域づくりに関する研究

教授 加藤 孝明
防災だけに着目するのではなく,防災を含む総合的なアプローチによる地域づくりを志向する.「防災【も】まちづくり」を提唱・.防災×観光,防災×地域の持続性等,各地域の最重要課題に着目し,実践を通して総合的な地域づくりのモデルを構築する.

防災対策の高度化に関する研究

教授 加藤 孝明
行政の防災対策,防災計画の高度化を図る.地域防災計画論の新たな計画論の構築,民間施設の活用による資源の確保等,従来手法の改善ではなく,創発的な視点を重視する.また水害避難シミュレーション等,行政向けの計画支援技術の開発を行う.

行政機関における危機管理のあり方

客員教授 伊藤 哲朗

インフラ構造物の維持管理に関する研究

准教授 長井 宏平
損傷した実構造物の損傷検知や補修補強,橋梁群としてのマネージメントなどについて,構造力学的な視点や,AI等の技術活用,データベース分析を通した将来予測基づく維持管理計画の策定,人口減少等の社会情勢を考慮したインフラ重要度評価など,多角的に取り組んでいる.

インフラ維持管理技術と制度の国内外への展開

准教授 長井 宏平
インフラ維持管理技術や制度を国内外に社会実装をする活動で,海外の損傷橋梁などの性能評価や,維持管理技術者育成も実施している.

鉄筋コンクリートの力学特性に関する研究

准教授 長井 宏平
鉄筋コンクリート構造物の耐力や疲労寿命,損傷部材の補修補強,付着定着など,主に構造特性の観点からの研究を実施している.

鉄筋コンクリートの微細構造解析

准教授 長井 宏平
三次元微細構造解析プログラムを独自に開発し,構造力学特性や腐食による損傷,コンクリートの体積変化によるひび割れの発生や進展のシミュレーションを実施している.

交通・物流・交流・防災拠点としての道の駅の性能照査と多目的最適配置に関する研究開発

准教授 本間 裕大,教授 大口 敬,准教授 鹿野島 秀行,助教(大口研) 鳥海 梓
本研究では,道の駅が備えるべき拠点の機能を,広域交通・物流ネットワーク,地域交流および災害時の物資備蓄・輸送デポ・活動拠点の側面から,それぞれの機能が有効に発揮されるための施設および配置条件を明らかにするとともに,それらの機能がどれだけ有効に発揮されうるかを定量化する手法を提案する.

代替経路の乖離性に着目した交通ネットワークの定量的評価

准教授 本間 裕大
台風被害や大震災などの自然災害は,人命を危険にさらすだけでなく交通網を寸断してしまう.主要経路が通行不可になった際,避難経路や物品補充ルートの確保の観点から,代替経路の確保は最優先すべき課題であると考えられる.代替経路に関する研究には,山崎らの代替経路の確保に関するものなどが行われているが,経路の地理的関係に着目した研究は数少ない.代替経路が地理的に離れているほど,災害への耐性が優れていることは明らかであろう. これらの背景を踏まえ,本研究では経路間の乖離性を評価することによって,ネットワークの頑健性を評価することを目的とする.k shortest path algorithmを用い,面積・重複距離の2 指標から,経路間の乖離性を定量化する.結果として,現状における危険地域を交通の面から明らかにし,道路整備計画に用いることで,災害に強いまちづくりの実現へと寄与することが期待される.

川越市北部市街地交通円滑化方策の検討

准教授 本間 裕大
川越市一番街周辺交通対策について,歩行者天国や一方通行を含む複数の交通対策案を比較検討している.その対策案が周辺交通に与える影響(交通流の変化や主要交差点の渋滞状況等)をデータ分析し妥当性等を検証するため,交通シミュレーションを作成した.

巡回移動型サービスにおける最適オペレーション手法の構築に関する研究

准教授 本間 裕大
LPガス容器の配送などの巡回移動型サービスにおける巡回方法は,未だに人の経験と勘を頼りにしている部分が多く,効率化の余地が多く残されている.そこで,数理最適化の手法を用いることで,配送コストの削減並びに業務負荷の軽減を目指した.

数理最適化に基づく建築空間設計の支援に関するシステム開発

准教授 本間 裕大
建築空間設計では,多様な人と利用目的が空間上で複雑に絡み合うゆえに,人手による再帰的な検討が日常的に生じており,迅速な設計の妨げとなっている.本研究では,数理最適化手法の一つである混合整数計画法を活用し,建築空間設計の定量的評価とその最適化を支援するシステム開発を目指す.

災害頑健性を考慮したヤンゴン市道路網の数理的評価

准教授 本間 裕大,教授 目黒 公郎
本研究では,ミャンマー国ヤンゴン市における道路ネットワークを,災害頑健性という観点から定量的に評価することを試みた.具体的には,災害に伴って同時多発する面的障害の発生や,路上駐車車両を想定し詳細なヤンゴン市道路ネットワークデータに基づく数理的評価を行った.本研究内容はSATREPSプロジェクト「ミャンマーの災害対応力強化システムと産学官連携プラットフォームの構築」に関する成果の一部である.

経路情報データを活用した空間移動嗜好の逆推定

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 羽佐田 紘之
空間移動嗜好の把握は,実際の移動経路情報を活用して実現する.空間移動嗜好として,人々の実際の移動を決定づける合成コストと,それを共有する主集団やそれ以外それぞれの移動特性を把握する.経路情報データから空間各所のリンクコストを逆推定する数理最適化モデルを構築し,構築したモデルを利用して,共通のコストを有さない経路情報データを検出する手法を提案する.

自動運転車を含む移動主体の相互作用を考慮した道路ネットワークの最適化

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 向井 歩
本研究は,交差点や通りにおける移動主体同士の相互作用を考慮した上で,自動運転車・手動自動車・歩行者がスムーズかつ安全に移動できる道路ネットワークを設計することを目的とする.

複数主体を前提とした建築保存における文化的価値の交換スキームに関する数理的研究

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 井澤 佳織
本研究では,歴史建築物の保存を過去と現在とで生じる「時を超えた価値交換」と捉える.建築保存の観点から,「金銭的に測れる価値観と測れない価値観」という両側面の乖離とその交換可能性を追求する.

超⾼層建築物の⽇影が街区の⽇照環境に与える複合的影響

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 渡部 宇子
本研究では,超⾼層建築物と周辺建築物との複合⽇影に着⽬し,超⾼層建築物による⽇影が街区の⽇照環境に与える影響を定量的に⽰す.具体的には,超⾼層建築物による⽇影の影響を,⽇影時間そのものの増加だけでなく,周辺建築物による⽇影との重複時間の増加という側⾯からも分析することによって,都市部における⽇照環境の特徴を明らかにする.本研究では街区における複合⽇影の影響を,時間と重複の2要素に分解し,(i)⽇影時間が増加する地域,(ii)影の重複が増加する地域,それぞれの時空間的特徴を明らかにする.詳細な⽇影シミュレーションを通して,周辺建築物が密集する地域においては,むしろ影の重複が助⻑され,結果として,重複時間のほうが増加傾向にあることを明らかにし,両指標が互いに補完的関係にあることを⽰した.既存の等時間⽇影図では到達しえない知⾒であり,今後,街区の採光性をより精緻に分析するための応⽤可能性を秘めている.

電気自動車における将来充電方式の経済合理性に関する研究

准教授 本間 裕大
低炭素社会の実現に向け,代替燃料車の社会的普及が求められている.電気自動車は,その有力な候補となるが,一方で連続航行距離など現状では課題も多い.そこで,本研究では,従来とは異なる将来充電方式を前提としたとき,どの程度の経済合理性が担保されるか,数理的検討を行う.

エネルギーの地産地消ポテンシャルの面的分析

准教授 沼田 宗純,大学院学生(沼田研) 永作 俊

東日本大震災被災漁業地区の変化の分析と持続可能な漁業地域への展望

准教授 沼田 宗純,大学院学生(沼田研) 山本 奏音

災害廃棄物輸送の改善を目的としたAgent-Based Modellingの実装

准教授 沼田 宗純,大学院学生(沼田研) 黒畑 寿来

空撮画像を用いた自然災害後の建物被害の検出と被害情報の共有手法の構築

准教授 沼田 宗純,大学院学生(沼田研) 谷口 幸弥

橋梁の地震時モニタリング技術に関する研究

准教授 水谷 司

解析学的信号処理によるトンネル等のうき・剥離の高精度・高速検出の研究開発

准教授 水谷 司
新道路技術会議(CART)プロジェクトの一環で実施している研究テーマ.代表東大石田哲也教授

CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「反射波を活用した油圧シリンダ鉛直配置式波力発電装置(平塚波力発電所)の海域実証」 (環境省事業)

特任教授 丸山 康樹,教授 林 昌奎
世界に先駆けて実用化のベースとなる新型波力発電装置「反射波を活用した油圧シリンダ鉛直配置式波力発電装置」を開発する.開発する波力発電装置は,日本初となる系統接続した久慈波力発電所の経験を活かし,大型で軽量な波受板を採用するもので,波高1.5m以上で45kW(発電端出力)(注),変換効率50%,設備利用率35%以上(参考:洋上風力目標30%)を設計目標とする.なお,発電装置の試作機は,1年間の海域実証試験を神奈川県平塚漁港にて実施し,終了後,撤去する(1年間の延長).

マイクロ波レーダを用いた海面観測に関する研究

教授 林 昌奎
マイクロ波パルスドップラーレーダを用いる海面観測システムの開発を行っている.海面から散乱するマイクロ波は,海面付近水粒子の運動特性によって周波数が変化し,海面から散乱するマイクロ波の強度には使用するアンテナの特性が含まれる.その特性を解析することで,海洋波浪の進行方向,波高,周期及び位相,海上風の風速と風向,海面高さの情報を得ることができる.相模湾平塚沖での海面観測を行っている.

再生可能エネルギー開発に関する研究

教授 林 昌奎,特任教授 丸山 康樹
波力及び潮流のエネルギーを利用する発電システムの開発を行っている.宮城県・松島湾の浦戸諸島において垂直軸型の潮流発電装置のプロトタイプ(5kW)を,岩手県久慈市において振り子式の波力発電装置のプロトタイプ(43kW)を,神奈川県平塚市において高効率波力発電装置(45kW)を開発し,海域実証試験(試験送電)を実施している.

大型浮体構造物の挙動に関する研究

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
波浪に起因する浮体式海洋構造物の動揺,弾性変形,波漂流力などを,海洋波浪レーダによるリアルタイム波浪観測技術とエアクッションを用いた浮力制御技術により,制御する方法について研究を行っている.

東京大学 海洋エネルギー共同研究(2017〜2020年度)

特任教授 丸山 康樹,教授 林 昌奎
全国14の企業と海洋エネルギー(波力発電)に関する共同研究を実施する.研究成果は,環境省委託事業に反映し,社会実装を目指す.

水槽設備を利用した研究開発

教授 林 昌奎,教授 北澤 大輔,准教授 巻 俊宏,講師 横田 裕輔
海洋工学水槽及び風路付き造波回流水槽において,海洋環境計測,海洋空間利用,海洋再生可能エネルギー開発,海底資源開発などに必要な要素技術の開発に関連する実験・観測を行っている.

流れ中で回転する水中線状構造物の挙動に関する研究

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
海洋掘削用ドリルパイプは比較的単純な構造物であるにもかかわらず,作用する流体外力,構造自体の応答特性も一般に非線形である.また,海流など流れを有する海域で作業するドリルパイプには,回転による振動に流れによる振動が加わり,より複雑な応答を示す.これらの問題は,対象となる水深が深くなりパイプが長大になるに従い,強度が相対的に低下したり,水深ごとの流れの流速が変化したりすると,強度設計,安全性確保の観点からより重要になる.

潮流・海流発電普及に向けた環境影響評価手法の検討

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,大学院学生(北澤研) 古市 大剛
潮流・海流発電のタービンブレードが海中に設置され,回転すると,海生動物が衝突するリスクがある.縮尺比1/100のタービンブレード模型を用いて,明暗条件などの環境条件と魚のタービンブレードへの衝突との関係を水槽実験により調べた.

炭電極を用いた汚水の電気化学的処理技術の開発

教授 北澤 大輔,シニア協力員(北澤研) 岡本 強一
汚水処理技術の一つとして,電気分解が注目されている.電気分解では,一般に金属製の電極が用いられるが,使用中にイオン化し,水生生物に影響を及ぼす可能性があるため,当研究室では炭電極を用いた電気分解による汚水処理技術の開発を行っている.電気分解実験を実施して,研究成果を取り纏めた.

琵琶湖全循環の環境リスクファイナンス

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,教授(立教大) 久保 英也,准教授(滋賀大) 菊池 健太郎,准教授(滋賀県立大) 吉山 浩平,特任研究員(北澤研) 周 金鑫
気候変動に伴い,琵琶湖では全循環の欠損が懸念されている.将来の気象シナリオに基づいて,琵琶湖での全循環欠損のリスクの予測技術を向上するために,流れ場・生態系結合数値シミュレーションを改良した.

複合養殖による養殖場の環境保全に関する研究

教授 北澤 大輔,助教(北澤研) 吉田 毅郎,大学院学生(北澤研) 周 金鑫,大学院学生(北澤研) 遠藤 和真,特任研究員(北澤研) 董 書闖,准教授(上海海洋大) 張 俊波,特任准教授(東北大) 藤井 豊展
本研究では,養殖種の排泄物を他の生物に吸収させる複合養殖によって,養殖場の環境を保全する方法を検討する.物質循環の数値シミュレーション技術を開発し,東北大学で取得しているモニタリングデータによって検証を行った.また,複合養殖に用いる囲い網の性能を把握するためのシミュレーション技術を構築した.

高速艇の衝撃緩和に関する研究

教授 北澤 大輔,助教(大阪府立大) 韓 佳琳,代表(OPD研究所) 前田 輝夫,大学院学生(北澤研) 馮 璇達,特任研究員(北澤研) 李 僑
高速艇のポーポイジングなどに伴う衝撃を緩和するための制御システムを構築し,陸上実験によって制御システムの妥当性を検証した.また,対応する数値シミュレーションモデルを構築した.

魚眼カメラを用いた観測システムの開発と魚画像解析

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 李 僑,シニア協力員(北澤研) 水上 洋一,シニア協力員(北澤研) 徐 光磊,助教(北澤研) 吉田 毅郎
魚眼カメラを用いた観測システムを開発するとともに,得られた画像から魚の数や種類を調べるシステムを開発している.海洋再生可能エネルギー設備周辺で観測できる可搬式モニタリングシステムの開発を行い,平塚新港周辺で実海域実験を行った.また,マグロ養殖生簀を対象として,マグロ個体を識別する機械学習法を改善し,マグロ個体数のカウント精度を向上した.

リアルタイム海底観測に関する研究

客員教授 川口 勝義
地震・津波観測監視システム(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis; DONET)に展開された水圧計の高精度校正手法の開発,DONET1号機,2号機システムと海底下孔内観測システムの運用及び機能向上を中心とした研究を継続するとともに,当該技術の商用展開に係る技術検討,海底光ファイバセンシングに係る技術検討を実施している.また,海中観測実装工学研究センター主催のワークショップ:海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望(http://seasat.iis.u-tokyo.ac.jp/WS20201204/index.html)を開催している.

海中ロボットを用いた国際コンペティションへの挑戦

客員教授 川口 勝義
米国のXPRIZE財団が主催する,海中ロボットを用いた海底地形マッピングの能力を競う競技会を,生研の持つAUVを用いた海洋観測技術のプレセンスを示す絶好の機会ととらえ,本大会への参加の検討と日本国内の若手研究者を結集した枠組みの構築を実施し,総合準優勝という結果を残した (https://www.facebook.com/teamkuroshiojapan/).また,本取り組みで得られた新たな知見をもとに,海中ロボットを用いた完全無人観測に関する検証を行った.

AUVによる海中遊泳生物の探知追跡手法

准教授 巻 俊宏
ウミガメのような遊泳生物について調査を進めるため,ソーナーと機械学習によって全自動で探知,追跡するためのアルゴリズムを開発する.

自律システムの連携による海中観測手法

准教授 巻 俊宏
AUV(自律型海中ロボット)と海底ステーション,AUV同士など,複数の自律プラットフォームの連携により新たな海中海底探査用システムを提案する.試作海底ステーション,3台のホバリング型AUV(Tri-Dog 1, Tri-TON, Tri-TON 2)等のテストベッドを用いて,水槽試験,海域試験等により研究開発を進めている.

海洋センシングに関する連携研究

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

GNSS-A観測技術に関する研究

講師 横田 裕輔,火山調査官(海上保安庁海洋情報部) 石川 直史,海上保安庁海洋情報部 渡邉 俊一,海上保安庁海洋情報部 中村 優斗
海底の精密測距技術であるGNSS-Aは,地震学・地質学的な重要性のみならず,将来の巨大地震像の理解による津波災害,強震動災害などの地震に関する複合災害に対する防災工学の基礎的な情報を構築する.このため,政府の地震調査研究推進本部等の調査観測技術の研究推進課題として近年,重要性が高まっている.この技術によって得られる測地学的情報の地震防災工学的利活用,海洋学等への多角的応用,技術の高度化などに関する研究を推進している.具体的には海洋学的な情報を把握する解析技術の開発や,準リアルタイムGNSS観測技術の開発,ゆっくりすべり現象の検知と現象の解釈を実施しており,将来的な基盤観測網構築に向けた基礎技術開発を進めている.

SLR観測システムの開発

講師 横田 裕輔,一橋大 大坪 俊通,国立天文台 荒木 博志
海陸地球表面上の位置決定のための測地基準系の構築においてSLR観測は不可欠なものである.この観測技術を代表とするグローバル測地学に関連する観測技術の研究を行っている.

UAVによる海面プラットフォームの研究

講師 横田 裕輔
高速かつ安価な海洋情報取得においてUAVは新時代を担いうる海面プラットフォームである.この応用範囲と実用化についての研究を行っている.

地球科学データのオープンデータシステム

講師 横田 裕輔,教授(一橋大) 大坪 俊通
測地学・地震学・地質学などの固体地球物理学的情報は災害科学に強く関連するため公共性が高く,広く異なる学術分野の研究者が容易にデータにアクセスする環境が必要である.また地球物理学的データは,長期に多くの人員と予算を割いて観測し,成果を管理する必要があるため,観測業務と技術開発・成果に関する研究について,貢献を適切に評価し,安定したシステムを構築する必要がある.このようなオープンデータシステムは医学・薬学・社会学・物理学分野では進展してきており,防災工学・地球科学分野におけるデータシステムの早急な構築を推進している.現在,国際機関等との協力のもと測地学分野の多岐にわたるデータ管理手法の研究を実施している.

海底測位・測量センサーの性能評価に関する研究

講師 横田 裕輔,海上保安庁海洋情報部 住吉 昌直,海上保安大学校 倉本 和興
海底測量・海底検知・海底資源探査など,現代の海底観測においてマルチビーム測深技術は不可欠なものである.しかしながらマルチビーム測深器には,音響発振部の特性や返信シグナルの解析技術など,複数の領域において不確定性が存在する.これまでの目的精度において問題にならなかった誤差も,AUVによる高密観測・水路における連続観測・高度な学術応用に向けては大きな課題となっている.このような課題を改善するための技術開発・基準構築に向けた研究活動を実施している.

1次元型表面ホログラフィックメモリーの研究

教授 志村 努,助教(志村研) 田中 嘉人,大学院学生(志村研) 古山 昴樹,大学院学生(志村研) 平山 颯紀,大学院学生(志村研) 新原 寛太,准教授(宇都宮大) 藤村 隆史
ホログラフィックメモリーでは,通常は厚い記録媒体を用いる体積型ホログラムを用いるが,これはBragg回折を用いているため,温度変化による膨張収縮に弱い,ディスクへの一括書き込みができないなどの欠点を持っている.これに対し表面型ホログラフィックメモリーは,Raman-Nath回折であるため,ホログラムの膨張収縮があっても読み書きが可能であり,また射出成型やナノインプリントなどによるディスクの一括複製が可能である.われわれは1次元ホログラムをディスク表面に記録し,やはり1次元の像を再生することにより,多チャンネルの時系列信号の同時再生を行い,データ転送レートをこれまでの光ディスクに比べ大きく向上することを狙ったシステムの基本原理の解明を行っている.

Giant dissymmetry factor of twisted metal nanorods due to strong plasmon coupling

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 呉 安安,助教(志村研) 田中 嘉人
The chiroptical response of most natural chiral material is generally very weak, which limits its further studies and applications. Chiral plasmonic structures have lately received great attention for the large chiroptical response due to the strong interaction with light. The conventional approach for enhancing the chiroptical response mainly focuses on the shape design of the chiral structure. Here, the chiroptical response at the plasmon-coupling-induced hybridized mode is investigated. It is found that a dimer of twisted gold nanorods with a small gap size exhibits a strong chiroptical response owing to the plasmon coupling between the two nanorods. The dissymmetry factor reaches values up to ~1.03 in the experiment even for the simple structure. Furthermore, the chiroptical response as well as the plasmon coupling strength can be controlled by tuning the gap size and twisted angle of the nanorods. Our approach based on the plasmon coupling points out a new direction for the study of chiroptical response, and it will aid in the design of chiral plasmonic structures for metamaterial applications.

ナノ構造に働く新奇光圧の研究

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 福原 竜馬,助教(志村研) 田中 嘉人
表面プラズモン共鳴は,ナノ構造と光の間に従来にない相互作用を生じさせ,その特性がナノ構造の形状に強く依存している.本研究は,表面プラズモンを介してナノ構造に働く従来にない光の力を発見し,解析することを目的としている.これまでに,V字ナノ構造に新奇な横向きの光トルクが生じることを発見し,その物理を明らかにした.また,実験的な検証のための新奇光圧測定システムの開発も進めており,金ナノ構造に働く光圧及び光トルクの3次元的観測に成功した.

ナノ粒子に働く光圧の精密測定に向けた捕捉ポテンシャル制御法の開発

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 元 志喜,助教(志村研) 田中 嘉人
長さの異なる二つの金属ナノロッドペアは,局在プラズモン共鳴による各ロッドからの散乱光の位相差によって,入射光に垂直な面内で指向性の高い側方光散乱を生じる. この一方向側方散乱の反跳によりナノロッドペアに働く面内光圧に着目した,光駆動アクチュエータの設計に向けて,ナノ構造に働く光圧特性を単一レベルで定量的かつ正確に評価することが不可欠になる. ところが,既存のポテンシャル解析法による光圧計測法では,単一ナノ構造に働く光圧を評価するのに十分な力検出感度を得ることが困難であった. そこで我々は,力検出感度の向上におけるボトルネックを解消するため,アクティブフィードバックによるポテンシャル制御法を新たに提案し,微弱力計測システムの開発を進めている.

フォトポリマーフィルムを用いたホログラフィー応用デバイスの研究

教授 志村 努,技術専門職員(志村研) 鎌田 久美子,(株)エガリム 堀米 秀嘉,(株)エガリム 加瀬澤 寿宏,岡本硝子(株) 田淵 泰志,岡本硝子(株) 奈良 俊孝
フォトポリマーを記録媒体として用いた光デバイスの研究を行っている.窓ガラスに貼り付けて太陽光を導光するタイプの太陽光発電,平面貼り付け型のホログラム再生用照明光学系,ホログラムを用いた導光型偏光ビームスプリッターなどの研究を行っている.

プラズモニックナノ構造からの第二高調波放射制御

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 木村 友哉,助教(志村研) 田中 嘉人
プラズモニックナノ構造による波長変換は,光の回折限界を超えたナノ領域で発生する新奇な非線形光学効果として注目されている.特に第二高調波発生は,線形過程とは全く異なる興味深い放射特性を持つが,ナノ構造表面の粗さに敏感に依存するためその制御は困難だとされてきた.我々は,二次非線形分極とプラズモンモードが空間的に結合可能なナノ構造を用いることで第二高調波の放射パターンが制御可能であることを見出し,この結合プロセスが存在することの実験的な検証を行った.また第二高調波制御の実例として,放射方向を一方向に制限する構造やベクトルビームを生じる構造,さらに円偏光を生じるナノ構造を数値シミュレーションにより設計し,それらの実験的な観測に成功した.

位相,振幅,偏光変調可能な二位相メタサーフェス

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 新原 寛太,准教授(宇都宮大) 藤村 隆史,助教(志村研) 田中 嘉人
メタサーフェスとは,波長より小さい散乱体が基板表面に並べられた構造である.散乱体のサイズや並べ方を工夫することで様々な光学特性を得られる.本研究では二位相ホログラムのアイディアを取り入れた二位相メタサーフェスにより,位相・振幅・偏光を独立に変調可能なメタサーフェスの作成方法を確立することを目指している.現在までに,周期境界条件のもと,二位相メタサーフェスによって任意の位相・振幅・偏光変調の組合せを得られることが示されている.今後は,実験による実証と周期境界条件ではないより一般的な条件での,多重散乱の効果を取り入れたモデルによって,二位相メタサーフェスの特性を調べる予定である.

室温大気中における高速カシミール力計測システムの開発

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 紫垣 政信,助教(志村研) 田中 嘉人
1948年にCasimirが存在を予言したカシミール力は,平行に置かれた2枚の導体板間に引力が働く現象として知られている.これまで真空環境下では,高速・高感度でドリフトの影響を受けにくいPLL(Phase Locked Loop)を用いた周波数シフト方式によるカシミール力計測例が多数報告されている.一方,大気中では,空気の流体的なふるまいに起因した流体力学的相互作用力がカシミール力測定のノイズとなるため,PLLを用いた周波数シフト方式ではなく,2つの導体板の振動の位相差からカシミール力と流体力学的相互作用力を分離し計測する方法が用いられてきた.この位相差計測法を用いた高精度な力計測にはロックインアンプの信号積算時間を長くすることが必要不可欠なため,PLLを用いた方式に比べドリフトの影響が大きい.しかし大気中では,空気を介した熱の授受によって真空中よりもドリフトが発生しやすいため,高速なカシミール力計測法の開発が強く望まれている.そこで本研究では,大気中でもドリフトの影響を受けにくいカシミール力計測を実現するため,力変化に対する応答が高速なPLLと,流体力学的相互作用力の低減にむけて導体球のサイズを最適化した球カンチレバーを組み合わせたカシミール力計測システムを開発した.

表面型相関シフト多重ホログラフィックメモリー

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 平山 颯紀,准教授(宇都宮大) 藤村 隆史,助教(志村研) 田中 嘉人
表面の微細加工で作製される位相型ホログラムをホログラフィックメモリーに応用することで,従来の光書き込み型の課題点であった一括多重記録を可能とし,高データ転送レートかつ量産可能な新しい光メモリーの実現が期待できる.しかし,表面型ホログラムはラマン=ナス回折に起因するノイズの影響により,従来の体積ホログラムを用いる場合と比較して記録・再生特性が大きく異なる.本研究はこの表面型ホログラムを用いた相関シフト多重ホログラフィックメモリーにおける記録再生特性の解明を目的としている.現在までに信号光と読出光のパターンを工夫することによって,表面型特有のノイズの影響が抑制され,多重度が向上することが確認されている.今後は多重ホログラムによる時系列信号を想定した再生信号の解析を行う予定である.

半導体ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用の制御と応用

教授 平川 一彦,助教(平川研) 黒山 和幸,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
半導体量子ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用とその応用に関する研究を行っている.特にスプリットリング共振器と呼ばれるテラヘルツ電磁波に対する共振器に近接させた量子ポイントコンタクト構造や量子ホール状態にある電子の伝導を調べ,テラヘルツ電磁波をナノ構造が強く結合した系の新しい物理を探索している.

半導体量子構造を用いたテラヘルツ光源・検出器の開発

教授 平川 一彦,大学院学生(平川研) 邱 博奇,大学院学生(平川研) 牛 天野,東京農工大(准教授) 張 亜,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美,室長(情報通信研究機構) 関根 徳彦,研究員(情報通信研究機構) 諸橋 功,情報通信研究機構 赤羽 浩一
半導体量子構造を用いて,これまで未開拓であったテラヘルツ領域で動作する新規光源,検出器の開拓を行っている.本年度は,MEMSを用いたボロメータについて,(1)梁構造の初期曲がりによる感度劣化の抑制や歪みを用いた感度増大効果のために,梁の内部歪みや梁表面の構造の最適化を進めている.特に梁の座屈の臨界応力を印加することにより,感度を15倍も増大できることを見出した.(2)GaAsヘテロMEMSヘテロ構造を高抵抗Si基板に貼り合わせることにより,感度が消失する周波数帯の除去が可能となった.(3)p型ヘテロ構造を用いることにより,MEMS共振信号をピエゾ抵抗効果により読み出すことができた.さらにバッファートランジスタを用いなくても,mVオーダーのrf信号を得ることができた.(4)大振幅非線形駆動時に梁内部で起こるモード間結合効果について実験と数値計算から考察を行った,などの成果が挙がった.

半導体量子構造を用いた固体冷却素子の開発

教授 平川 一彦,研究員(LIMMS) BESCOND MARC,東京大学特別研究員 SALHANI Chloe,大学院学生(平川研) 尾上 俊樹,大学院学生(平川研) 朱 翔宇,特任研究員((平川研)) 長井 奈緒美
現代のLSIに代表されるエレクトロニクスの進歩を大きく阻んでいるのが発熱による問題であり,冷却技術は将来のエレクトロニクスの発展の鍵を握る技術と言っても過言ではない.我々は半導体へテロ構造のバンドを適切に設計し,熱電子放出と共鳴トンネル効果を同時に制御して実現できるサーミオニッククーリング技術に注目している.本サーミオニッククーリングにおいては,トンネル障壁を介して量子井戸に低エネルギーの電子が共鳴的に注入され,量子井戸を出るときには低くて厚い障壁を高エネルギーの熱電子が熱的に越えていく過程を用いる素子であり,電流を流すにつれて量子井戸層が冷却されていくデバイスである. 本年度は,(1)素子の動作原理の理解と構造最適化のために,共鳴トンネル効果と熱電子放出効果を組み合わせた解析的な理論を構築し,実験で観測された素子を流れる電流の温度依存性などがよく説明できることがわかった.(2)非平衡グリーン関数法による数値計算により,構造パラメータと電子温度の関係に関する議論を行っている.(3)量子井戸を複数個直列に接合したより高効率な冷却素子構造を提案した.

単一原子レベルの超微細加工プロセスと単一分子トランジスタ

教授 平川 一彦,特任助教(平川研) 杜 少卿,大学院学生((平川研)) 田 玥
我々は,原子レベルでの金属超微細電極の加工プロセスおよびそれを用いて作製した単一分子トランジスタの伝導の研究を行っている.本年度は,(1)単一水分子を内包したフラーレン分子の伝導特性とテラヘルツ分光の実験に着手し,フラーレン分子に内包された水分子の回転モード・振動モードの観測を行った.その結果,C60分子の中では水分子がオルソとパラ状態間を揺らいでいることが明らかになった.また,強磁場下での伝導も評価したところ,B = 2T付近で急激な特性変化があることがわかった.(2)金とニッケルで通電断線法によりナノギャップ電極を形成する初期過程において,通電断線に臨界電圧の振る舞いに大きな差があることがわかった.

プラズモン共鳴の応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 陳 芊如,大学院学生(立間研) 付 小歓,大学院学生(立間研) 松下 匠
局在表面プラズモン共鳴による光応答増強や,光学材料,色材,スマートウィンドウ,センサ等への応用を図る.

プラズモン誘起電荷分離の応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 下村 孔輝,大学院学生(立間研) 東條 太朗,大学院学生(立間研) 本間 徹,大学院学生(立間研) 井澤 哲舜,大学院学生(立間研) 中根 佑真
金属ナノ粒子と半導体の界面において,プラズモン共鳴に基づいて電荷分離が誘起される.この現象の光電変換,光触媒,フォトクロミズム,バイオセンサ,ナノファブリケーション等への応用に関する研究を行う.

プラズモン誘起電荷分離の機構解明

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任助教(立間研) 石田 拓也,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 青木 千佳,大学院学生(立間研) 川井 朱理,大学院学生(立間研) キム カンソク
金属ナノ粒子と半導体の界面において,プラズモン共鳴に基づいて電荷分離が誘起される.この現象の機構を解明する.

光機能ナノ材料の開発

教授 立間 徹,助教(立間研) 西 弘泰,特任研究員(立間研) イ スンヒョク,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳
発光デバイス用量子ドット,抗菌・抗ウイルス性光触媒などの開発を行う.

クロロフィル集合体の磁気光学分光

教授 石井 和之

ソフトクリスタルの光機能に関する研究

教授 石井 和之

ビタミンCバイオイメージング用蛍光プローブの開発

教授 石井 和之

ホモキラリティの起源に関する研究

教授 石井 和之

ロータリーエバポレーターを用いた不斉合成法の開発

教授 石井 和之

光機能性錯体とナノファイバーの複合化研究

教授 石井 和之

光線力学的癌治療を志向した光増感剤の研究

教授 石井 和之

分子性光触媒の研究

教授 石井 和之

分子性結晶の準安定状態に関する研究

教授 石井 和之

刺激応答性クロミック材料の開発

教授 石井 和之

金属錯体の分光測定研究

教授 石井 和之

トポロジカルフォトニクス

教授 岩本 敏,特任准教授(東大) 太田 泰友,助教(京都工芸繊維大) 高橋 駿,教授(関西学院大) 若林 克法,教授(筑波大) 初貝 安弘,特任教授(東大) 荒川 泰彦,教授(横浜国立大) 馬場 俊彦,准教授(東北大) 小澤 知己,部門長(電磁材料研究所) 小林 伸聖,主任研究員(電磁材料研究所) 池田 賢司
物性物理学の分野で発展してきたバンドトポロジーの概念を,光の制御に適用することで,新たな現象の発現やそれを活かしたデバイスの実現を目指すトポロジカルフォトニクスの研究を進めている.我々の研究室では,特に集積フォトニクスへの展開を視野に,フォトニックナノ構造を基礎に研究を展開している.バレーフォトニック結晶と呼ばれる構造を用いて急峻な曲げがあっても高効率に伝搬する光導波路や,トポロジーの概念を用いて設計したナノ共振器レーザなどを実現するとともに,トポロジカルフォトニック結晶を用いたスローライトデバイスの提案などの成果をあげている.また,3次元フォトニック結晶を用いたトポロジカルフォトニクスや,新たな磁気光学材料を用いた一方向性導波路,周波数次元も活用した人工次元トポロジカルフォトニクスに関する研究なども進めている.これらの内容の一部について,筑波大学,関西学院大学,京都工芸繊維大学,横浜国立大学,東北大学,電磁材料研究所との共同研究を進めている.

バンドトポロジー制御による弾性波制御

教授 岩本 敏,教授(筑波大) 初貝 安弘
バンドトポロジーの制御による波動制御は,光だけでなく音波や弾性波,機械振動などにも利用できる.我々の研究室では,バンドトポロジーの概念を活用して固体中を伝搬する弾性波の制御とその応用を目指した研究を進めており,完全フォトニックバンドギャップを有する一次元フォトニック結晶で弾性波のトポロジカル局在状態の実現に初めて成功している.最近では,GHz帯弾性波のオンチップ生成と制御が可能なバレーフォトニック結晶の設計を進めるとともに,その実現を目指し研究を進めている.

フォトニックナノ構造における光のスピン軌道相互作用とその応用

教授 岩本 敏,特任准教授(東大) 太田 泰友,特任教授(東大) 荒川 泰彦
強い光閉じ込めが生じる細線導波路やフォトニック結晶導波路,ナノ共振器などでは,光のスピン軌道相互作用と呼ばれる現象が生じ,局所的な光の偏光状態と光の進行方向や回転方向との相関が生まれる.この効果を用いた光渦やフルポアンカレビームなどのトポロジカル光波を生成するオンチップデバイスや,物質との相互作用も活用した一方向性発光デバイスなどの研究を進めている.

電界制御型量子ドット─フォトニック結晶ナノ共振器融合技術の開発

教授 岩本 敏,助教(電気通信大) 田尻 武義,教授(大阪大) 大岩 顕,特任准教授(東大) 太田 泰友,特任教授(東大) 荒川 泰彦,研究員(ルール大ボーフム) Arrne Ludwig,教授(ルール大ボーフム) Andreas D. Wieck
電子スピン状態と光子の偏光状態は一対一に対応するため,スピンの持つ量子状態と光子の偏光状態の相互変換は,量子情報の転写・転送を可能にする技術として実現が期待されている技術である.電界制御型量子ドットは電子のスピン状態の高度な制御が可能であり,固体量子ビットを実現し得る系の一つである.本研究では,大阪大学との共同研究により,フォトニック結晶ナノ共振器を用いて電界制御型量子ドットと光の相互作用を増強することで,光子からスピンへの高効率変換を実現することを目指している.これまでに電界制御型量子ドットを導入できるフォトニック結晶共振器を初めて実現するとともに,共振器モードに起因する吸収増強効果の実証に成功している.量子状態の転写に必要な縮退型共振器の検討なども進めている.

高品質フォトニックナノ構造の作製技術開発とその応用

特任教授(東大) 荒川 泰彦,特任准教授(東大) 太田 泰友,教授 岩本 敏
フォトニック結晶を中心とするフォトニックナノ構造の作製技術の深化を図るとともに,それを活用した固体共振器量子電気力学の基礎研究や,ナノ共振器レーザや量子光学デバイスへの応用を目指した研究を進めている.特にGaAs系フォトニック結晶ナノ共振器の高Q値化を目指した技術開発を進めており.世界最高品質の量子ドット−フォトニック結晶ナノ共振器強結合系の実現,時間分解発光測定による真空ラビ振動の観測などの成果を挙げている.その他転写プリント法を用いた量子ドット単一光子源のシリコンフォトニクス光回路等への集積化など,集積量子フォトニクスへの展開を目指した研究も推進している.

半導体ナノワイヤの構造制御および電子スピンの長距離輸送

客員教授 寒川 哲臣
本研究では,VLS法による半導体ナノワイヤーの形状・組成・界面の精密制御ならびに発光波長の制御を行っている.また量子井戸構造における電子スピンの輸送現象に着目し,特にスピン軌道相互作用に起因する有効磁場の効果の解明を進めている.

Ego4D First-Person Video Collection Project

教授 佐藤 洋一,准教授 菅野 裕介,修士研究員(佐藤(洋)研) 西保 匠,大学院学生(佐藤(洋)研) 八木 拓真,大学院学生(佐藤(洋)研) Yifei Huang,大学院学生(佐藤(洋)研) Zhenqiang Li
ウェアラブルカメラにより得られる一人称視点映像を用いた人物行動のセンシング・理解技術はFirst-Person VisionやEgocentric Visionと呼ばれ,コンピュータビジョンの分野において近年注目を集めている.本プロジェクトは,First-Person Visionの研究開発に広く資することを目指し,Facebook AIを幹事機関として世界各国の11大学が連携して大規模な一人称視点映像データセットの構築に取り組むものである.

Webマイニングに関する研究

教授 喜連川 優,教授 豊田 正史,准教授 吉永 直樹,大学院学生(豊田研) 金 洪善,大学院学生(喜連川研) 佐藤 翔悦,大学院学生(豊田研) 赤崎 智,大学院学生(吉永研) 根石 将人,大学院学生(吉永研) 佐久間 仁,大学院学生(豊田研) 張 翔,大学院学生(豊田研) 清水 洸希,大学院学生(豊田研) 塚田 涼太郎,大学院学生(吉永研) 大前 拓巳,大学院学生(豊田研) 久光 祥平,大学院学生(豊田研) 廖 芸謀
Web情報は大規模かつ多様な情報源であり,ネットワーク分析,自然言語処理を用いた多様なアプリケーションのための解析手法の研究開発を行っている.本研究では,ソーシャルネットワークサービス等のWebメディアにおける情報伝搬分析,新固有表現抽出,対話分析,ソーシャルネットワークにおけるA/Bテスト手法など,様々なWebメディア解析手法を提案した.

レセプト情報・特定健診等情報データベースを利用した医療需要の把握・整理・予測分析および超高速レセプトビックデータ解析基盤の整備

教授 喜連川 優,准教授 合田 和生,特任研究員(喜連川研) 佐藤 淳平,特任研究員(喜連川研) 服部 純子,特任研究員(喜連川研) 賀好 昭仁,特任研究員(喜連川研) 山田 浩之
これまで構築してきた高速レセプト・ビッグデータ解析基盤を更に発展させることにより,医療の需要・供給,質,コストが国・地域・医療機関レベルで即座に解析・可視化できる技術を開発する.

健康・医療情報等ビッグデータのための解析基盤の開発と当該基盤を用いた調査分析

教授 喜連川 優,准教授 合田 和生
多種多様な医療ビッグデータを集約し解析可能とするデータプラットフォームを開発する.

分散型地球環境情報ベース

教授 喜連川 優,准教授 根本 利弘
地球環境情報を蓄積する巨大データベースを駒場と柏の2地点で分散管理するパイロットシステムを構築し,次世代情報アーキテクチャに関する研究を行う.

地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム(地球環境情報プラット フォームの構築)

教授 喜連川 優,准教授 根本 利弘,特任准教授(喜連川研) 生駒栄司,特任助教(喜連川研) 安川雅紀,特任助教(喜連川研) 山本昭夫,特任研究員(喜連川研) 松村浩道,特任研究員(喜連川研) 服部純子,特任研究員(喜連川研) 平川 晶子,特任研究員 西川史恵
超大容量かつ多種多様な地球観測・予測情報等のデータをアーカイブし提供しているデータ統合・解析システム(DIAS)の運用および高度化を進め,気候変動適応・緩和等の社会課題の解決に貢献するアプリケーションをユーザに広く公開していくとともに,ユーザが自発的にDIASを利用したアプリケーションを開発可能なプラットフォームを構築することを目的とする.

実社会ビッグデータ利活用のためのデータ統合・解析技術の研究開発

教授 喜連川 優,教授 豊田 正史,准教授 吉永 直樹,准教授 合田 和生,特任助教(喜連川研) 商 海川,大学院学生(豊田研) 金 洪善,大学院学生(喜連川研) 佐藤 翔悦,大学院学生(豊田研) 塚田 涼太郎,大学院学生(喜連川研) 磯川 弘基,大学院学生(豊田研) 石田 展雅
実社会ビッグデータの様々な利活用を図るべく,実社会から生成されるリアルタイムデータを含む異種データを連携利用するための共通的なデータ統合・解析技術として,インタラクティブな大規模情報の可視化技術と大容量データ格納手法を高度に連携させたデータ格納・可視化技術の研究開発を実施する.

(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 IoT推進のための横断技術開発プロジェクト 先進IoTサービスを実現する革新的超省エネルギー型ビッグデータ基盤の研究開発

教授 喜連川 優,准教授 合田 和生,特任助教(喜連川研) 早水 悠登,特任研究員(喜連川研) 山岸 正,特任研究員(喜連川研) 川道 亮治,特任研究員(喜連川研) 小沢 健史
独自の実行原理に基づく超省エネルギー型データベースエンジンを開発する.

Androidアプリケーションにおける静的解析を使用した暗号化API利用の特定

協力研究員(松浦研) 角田 大輔,教授 松浦 幹太
デジタル・フォレンジック調査において,携帯デバイスを調査対象とすることは必要不可欠な作業である.特にスマートフォンに関しては様々なデータが保存され,その中には有用なデータが含まれている.しかしながら,最近の傾向としてアプリケーションによりデータが暗号化される場合が少なくない.そのようなデータの暗号化は迅速な調査の障害となり,スマートフォン・フォレンジックにおける大きな課題の1 つである. 従来の研究の多くは特定の1 つのアプリに対する手動解析で暗号化処理の特定を行っているが,そのような作業はアプリ解析の知識や経験が必要な手間のかかる作業である.保存データを暗号化するアプリは数多く存在するが,その中でも多くのアプリが標準的な暗号化API を使用している.本研究では,既存のAndroid アプリの静的解析フレームワークを使用し,アプリにおいて標準的な暗号化API がどのように利用されているかを特定するツールの開発を行った.本ツールでは自動的にアプリを解析することが可能であり,暗号化処理の特定を容易に行うことができる.その結果,アプリによって暗号化されたデータの解析を迅速に行うことが可能となる.

Private Information Retrieval Scheme Supporting Multi-dimensional Range Queries

大学院学生(松浦研) 林田 淳一郎,主任研究員(産業技術総合研究所) ヤコブ C. N. シュルツ,研究グループ長(産業技術総合研究所) 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太
Private information retrieval (PIR) allows a client to retrieve data from a database without the database server learning what data is being retrieved. Most of the existing PIR schemes consider searching simple one-dimensional databases and the supported query types are often limited to index queries only, which retrieve a single element from the databases. However, most real-world applications require more complex databases and query types. In this paper, we build upon the notion of query indistinguishability by Hayata et al. (ESORICS2020), and formalize query indistinguishability for multi-dimensional range queries. We then give a construction of a secure multi-server scheme based on function secret sharing. This is the first instantiation of a PIR scheme supporting multi-dimensional range queries while being capable of hiding the type of query being made and, in the case of multi-dimensional range queries, the number of elements retrieved in each query, when considering a stream of queries.

スクリプト実行環境に対するテイント解析機能の自動付与手法

大学院学生(松浦研) 碓井 利宣,NTTセキュアプラットフォーム研究所 幾世 知範,NTTセキュアプラットフォーム研究所 川古谷 裕平,NTTセキュアプラットフォーム研究所 岩村 誠,NTTセキュアプラットフォーム研究所 三好 潤,教授 松浦 幹太
悪性スクリプトの挙動を詳細に解析するには,制御フローの解析のみならず,データフローの解析も求められる.このデータフローの解析には,テイント解析がよく利用されるが,既存のスクリプト向けのテイント解析手法はスクリプトエンジンごとに設計,実装する必要がある.この問題を解決するため,本研究では,バイナリ(機械語のプログラム)向けのテイント解析機能を,スクリプトにも適用可能にすることで,言語やエンジンに非依存でテイント解析機能を自動付与する手法を提案する.まず,バイナリのデータ型とスクリプトのデータ型の間に生じるセマンティックギャップがこの実現を妨げる問題だと実験的に示す.そして,こうした型のセマンティックギャップによって起こる伝播漏れを検出し,テイントの強制伝播によってそれを解消することで,テイント解析機能を実現する.PythonとVBScript のスクリプトエンジンに対して提案手法を適用し,テイント解析を実現できることを確認した.さらに,それを用いて悪性スクリプトを解析し,データフローを追跡可能になったことも確認した.

ブロックチェーンの安全性を強化し環境負荷を低減する検証証明技術

教授 松浦 幹太,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗
ブロックチェーンのネットワークでは,追記する取引情報の正しさを検証する同じ作業を,多くのノードが様々なフェーズで繰り返し実施する.検証を省略することによって利益を得る確率が高まるため,ノードが検証を省略するインセンティブが生じる.省略を許さない制約を加えると,全体として極めて環境負荷が高くなり,ビットコイン型の実装では欧州の中規模国1国に相当する電力消費にまでなるという試算もあるほどである.本研究では,各取引情報を少なくとも一つのノードが必ず検証し,しかも他のノードが低消費電力でその事実を確認できるメカニズムを提案している.これにより,ブロックチェーンの安全性強化と環境負荷低減を両立することができる.現在,コンセプト確認レベルの実装に成功し,次の段階の評価を準備している.

ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性モデル

大学院学生(松浦研) 宮前 剛,教授 松浦 幹太
本研究では,ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性に関する評価指標の意味と関係を整理した.特に,関連付け困難性 (unlinkability) の評価指標としての汎用性を示した.次に,暗号資産の関連付け困難性をフェアに評価するために,暗号資産の特徴に基づいて四つの関連付け攻撃モデルおよびそれぞれの攻撃モデルに対応する安全性を定義した.最後に,代表的な匿名暗号資産に対して本稿で定義した関連付け攻撃安全性評価を行い,それらの匿名暗号資産の匿名性を比較評価し,いくつかの知見を導出した.

内部のバイトコード実行を悪用したスマートコントラクトへの攻撃の早期検知

大学院学生(松浦研) 宮里 俊太郎,教授 松浦 幹太
ブロックチェーン上でコントラクトと呼ばれるプログラムを動かすシステムであるスマートコントラクトに対する攻撃として,コントラクトの脆弱性を利用した,Reentrancy 攻撃やTransaction Ordering Dependence 攻撃が現在報告されている.既存研究では,コントラクトの脆弱性を検知する技術が盛んに開発されているが,攻撃に利用されるコントラクトやトランザクションを悪性として検知する研究は少数である.現状の攻撃検知技術の問題点として,検知出来る攻撃の種類がReentrancy 攻撃だけである事と,トランザクション全てを実行時に監視する事によるオーバーヘッドが挙げられる.本研究では,攻撃の別種であるTransaction Ordering Dependence 攻撃も考慮し,Reentrancy 攻撃に関しては,トランザクションのごく一部である,コントラクトを定義するトランザクションのみを静的解析する手法を提案し,それら2 点の改善を図る.

動的に不正署名を生成するデバイスを追跡可能な集約署名

大学院学生(松浦研) 石井 龍,産業技術総合研究所 照屋 唯紀,産業技術総合研究所 坂井 祐介,産業技術総合研究所 松田 隆宏,産業技術総合研究所 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太,産業技術総合研究所/横浜国立大 松本 勉
集約署名は,複数の署名を1 つの署名に集約でき,全体署名長および署名検証時間の短縮という効率性を持つため,センサーネットワークなど多数のユーザやデバイスが署名を送信するシステムでの活用が期待されている.しかし,不正署名を1 つでも含んで集約すると集約署名は不正となり,検証者はどのユーザやデバイスが不正署名を生成したかを特定できない.さらに,上記のセンサーネットワーク等の応用では,多数のデバイスが定期的にデータと署名を送信し,かつ(故障などにより) 不正署名を生成するデバイスが時々刻々と変わることが自然に想定される.本研究では,そのような状況を捉えた追跡可能集約署名のモデルを導入し,その機能的要件と安全性要件の定義を行う.さらに,通常の集約署名とDynamic Traitor Tracing を用いた一般的構成を提案する.

MaaS時代における安心・安全なモビリティ環境実現に向けた利用状況分析・コンテスト推定基盤

教授 瀬崎 薫,助教(瀬崎研) 西山 勇毅,特任助教(名古屋大) 青木 俊介,大学院学生(瀬崎研) 韓 増易,大学院学生(瀬崎研) Nguyen Hong Duc,大学院学生(瀬崎研) 小池 優太郎,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 彭 何林訳,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫

ユーザ参加型センシングとセキュリティ

助教(瀬崎研) 西山 勇毅,教授 瀬崎 薫
スマートフォン等の高機能端末を多数の人間が常時携帯している中,従来のように専用の固定センサや,無線センサネットワークによって環境やコンテクストをセンシングするのではなく,これら携帯端末に具備されたセンサを用いて安価かつリアルタイムなセンシングを行う「ユーザ参加型センシング」が注目されている.本年度は,多数のスマートフォンが参加しているときに,センサの観測領域と品質を考慮しながら最適なノードを選択する手法や,センサデータのプライバシ保護手法などを研究した.

ポジショニングとナビゲーション

准教授 上條 俊介,大学院学生(上條研) 石 暁瑛,特任研究員(上條研) エッサン ジャワンマーディ
GNSSのNLOSやマルチパスの問題を解決することで,いわゆるurban canyonにおけるポジショニング精度の改善に関する研究を行っている.また,スマートフォンのジャイロ,磁気センサとの融合により,さらなる精度改善が可能となる.GNSSの精度向上は,カーナビにも応用可能で,自動運転におけるレーンポジショニングにとって重要な要素技術となる.Solving the NLOS and multiple paths problem, positioning accuracy in urban canyon can be drastically improved. Fusion of the information from gyro and magnetic sensors in smart phone can improve the positioning accuracy more. Our GNSS technology is applicable to car navigation systems, and it would be a key technology of lane positioning for autonomous driving.

ロケーションサービスとマーケティングの研究

准教授 上條 俊介,大学院学生(上條研) Hettiarachchi Dulmini,大学院学生(上條研) 劉 雪倫,大学院学生(上條研) 于 涵,大学院学生(上條研) 石 暁瑛
スマートフォンを活用してロケーションに応じた情報を提供するサービスの研究を行っている.また,ロケーションサービスのユーザー行動履歴,操作履歴,SNSを活用することでユーザーの関心を推定するための技術の研究を行っている. The system provides information based on the location which is obtained from smartphone. Also the system analyses the history of user location and manipulation of the smartphone to detect user's interests and intentions.

深層学習を活用した複合的研究

准教授 上條 俊介,大学院学生(上條研) 陳 杜煜,大学院学生(上條研) 劉 雪倫,大学院学生(上條研) Withanawasam Jayani,大学院学生(上條研) 林 逸琦,大学院学生(上條研) 盧 倩雯,特任研究員(上條研) エッサン ジャワンマーディ
深層学習を用いて,スポーツ映像理解や漫画画像変換,シーン理解のための認知フレームワークの研究を行っている.また深層学習の自動ネットワーク生成の研究を行っている. Some researches related to Deep Learning are performed such as sport movie understanding, comic drawing transformation, and cognitive framework for scene understanding.Also, a research on DL network synthesis is performed.

自動運転に関する統合的研究

准教授 上條 俊介,大学院学生(上條研) 遠藤 勇樹,大学院学生(上條研) 塩塚 大気,大学院学生(上條研) 井澤 泰輝,大学院学生(上條研) 王 之霖,大学院学生(上條研) 刘 海洋,大学院学生(上條研) トーマス マキネン,大学院学生(上條研) Withanawasam Jayani,特任研究員(上條研) エッサン ジャワンマーディ
レベル3からレベル5を目指して,物体認識,シーン理解,自車位置推定,デジタル地図の研究を統合的におこなっている. Researches are performed tightly coupled and inregrated way among the topics of object detection, scene understanding, self-localization, and High Definition Digital Map toward level3-5 automation.

ストレージデバイスの信頼性モデルの構築に関する研究

准教授 合田 和生
磁気ディスクドライブをはじめとするストレージデバイスの信頼性モデルを構築する.

動的対故障性を備えたデータベースシステムの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,教授 喜連川 優,特任助教(喜連川研) 早水 悠登
問合せ実行時に一部のハードウェアに於いて故障が生じた場合に,それまでの実行結果と新たな実行計画に基づき,当該問合せ実行を継続することを可能とする動的対故障性を備えたデータベースシステムを実現する.

非順序型実行原理に基づく高速データベースエンジンの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(喜連川研) 早水 悠登,特任研究員(喜連川研) 川道 亮治,特任研究員(喜連川研) 小沢健史,教授 喜連川 優

高機能ストレージシステムの研究

准教授 合田 和生
ストレージシステムに於いて従来の入出力処理に留まらない高水準のデータ管理機能を実行するためのソフトウェア構成法とその有効性を明らかにする.

自然言語処理による,ことばを介した情報の高度利活用

准教授 吉永 直樹,教授 喜連川 優,教授 豊田 正史,大学院学生(喜連川研) 佐藤 翔悦,大学院学生(豊田研) 赤崎 智,大学院学生(吉永研) 根石 将人,大学院学生(吉永研) 佐久間 仁,大学院学生(豊田研) 大葉 大輔,大学院学生(豊田研) 土屋 潤一郎,大学院学生(吉永研) 蔦 侑磨,大学院学生(吉永研) 左 天池,大学院学生(吉永研) 王 子晗,大学院学生(豊田研) 詹 浩森,大学院学生(豊田研) 馬 唯焜,大学院学生(吉永研) 袁 月皓,研究実習生(吉永研) 中村 夏子,大学院学生(吉永研) 中村 朝陽,大学院学生(吉永研) 姚 望
ソーシャルメディアとスマートフォンの普及により,誰もがいつでもどこでも情報を発信し共有する時代が訪れている.人々が発信する情報には,これまで記録・公開されることが少なかった個人的な体験や,直接観測することが難しい個人の内面の表出(意見)が含まれ,社会把握や世論分析等への利活用が期待されている.しかしことばで書かれた情報は構造化されておらず,同じ意味内容を記述するのに多様な表現が可能であることから,多くの価値ある情報はテキスト中に「隠れた」状態にある.そこで本研究室では,テキストの内容を理解するための基礎技術や,書かれた情報を実世界と紐付けて構造化する方法論を研究し,その成果を元に文字通り「社会の動きを読む」システムの構築を進めている.

ユーザに開かれたAI設計のためのインタラクティブ機械学習

准教授 菅野 裕介
ユーザが実際に必要とする認識タスクは多種多様であり,事前に学習した認識モデルを適用するだけでは不十分な場合が多い.ユーザ自身が自らの認識タスクを定義・学習し,ユーザに適応したモデルを利用できるようなアプリケーション設計は重要な課題となる.本研究ではこのようなユーザ参加型インタラクティブ機械学習のためのGUI・可視化手法設計,およびアルゴリズム開発を行う.さらに,非専門家向けのワークショップ等の機会を通して,AI技術や機械学習応用研究そのものをより開かれたものにすることを目指す.

未知の環境に適応するためのアピアランスベース視線推定モデル学習

准教授 菅野 裕介
機械学習アプローチに基づくアピアランスベース視線手法には,特殊なデバイスを利用する従来手法とは異なり,通常のカメラ画像のみを用いた推定が可能になるという大きな利点がある.本研究では,学習データに含まれない未知の頭部姿勢に対応するための学習手法やデータ生成手法,ドメイン適応手法の開発を通して,多様な環境下で頑健に動作する視線推定モデル学習手法の確立を目指す.

プロペラファンから発生する空力騒音の計測

教授 加藤 千幸

CFRP製ジェットエンジンファンブレードの開発

教授 吉川 暢宏,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹,大学院学生(吉川暢宏研) 阿部雅史
CFRP製ファンブレードの長期信頼性を確保するため,CFRP材料の疲労強度評価手法を開発している.樹脂と炭素繊維を区分するミクロスケールシミュレーションにより,樹脂の局所的応力上昇を的確に評価することで,疲労寿命が予測できることを示した.

ミクロスケール強度基準に基づく短繊維熱可塑性CFRP部材の強度評価

教授 吉川 暢宏,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹
短繊維熱可塑CFRP材料の強度評価手法を開発している.ランダムに配置された短炭素繊維の状況を把握するためX線CTにより撮像された画像から内部構造を構築するための画像処理技術を開発した.作成された内部構造の3次元モデルに基づく強度評価手法を樹脂の材料非線形強度モデルを導入して検討した.現実的なマクロ破壊モデルを構築するための統計的強度モデルを検討し,最弱リンクモデルではなく並列モデルで破壊強度が設定できることを確認した.

熱可塑複合材料の製造プロセスシミュレーターの研究開発

教授 吉川 暢宏,特任研究員(吉川(暢)研) 小笠原 朋隆,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹,特任講師 呉 奇
熱可塑炭素繊維強化複合材料の強度信頼性評価を,製造プロセス段階にまで立ち入って的確に評価するためのシミュレーションシステムを開発している.ミクロスケールでの炭素繊維と樹脂の複合システムとしての加工特性をシミュレーション可能なように,樹脂の温度依存非線形材料特性を直接的に導入した.マルチスケール展開によりマクロな加工特性を導出し,実部品の熱可塑プレス成形プロセス中に発生する不整を評価可能にした.

高圧水素用タイプ3繊維強化プラスチック製蓄圧器の疲労寿命評価法の開発

教授 吉川 暢宏,技術専門職員(吉川(暢)研) 針谷 耕太,特任研究員(吉川(暢)研) キム サンウォン,助教(吉川(暢)研) 森田 直樹
水素社会を支える基盤インフラである水素スタンド用蓄圧器で活用されるタイプ3炭素繊維強化複合容器の最適設計のため,圧力サイクルに対する的確な寿命予測を行うための有限要素解析手法を開発している.フィラメントワィンディングされた炭素繊維強化プラスチックの積層構成を正確にモデル化するためのソフトウエアFrontCOMP_tankを開発した.詳細な有限要素解析によりアルミ合金ライナーの疲労強度予測の枠組みで寿命予測が可能であることを実証した.またCFRP材料の長期信頼性評価手法を検討している.

インスリン様成長因子1の電子状態の研究

大学院学生(佐藤(文)研) 佐々木光,教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
IGF-1のハイブリッド密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算を達成し,インスリンの結果と比較してIGF-1に特徴的な電子構造の特徴を見出した.

グルコースオキシダーゼの電子状態研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グルコースオキシダーゼ活性中心モデルの拡張系における全電子計算を実施した.活性中心周り以外のアミノ酸残基にグルコースオキシダーゼのカギとなるアミノ酸残基があることが推察された.このような方法を拡張し,量子化学計算によるタンパク質のデザイン研究を提案した.

密度汎関数法に基づく第3世代カノニカル分子軌道法の開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
グリッドフリー法とコレスキー分解法を組み合わせて,スパコンで十分な性能を引き出すことができる第3世代法を開発した.今年度は特に転置の高速化を行った.

絶縁材料設計手法の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,助教(東大) 佐藤 正寛
MD法,電子移動計算,キネティックMC法などの各種シミュレーションを組み合わせて,絶縁材料の電荷輸送特性の電子状態解析を実施した.

CT画像からの3次元血管形状自動抽出手法,血管形状編集手法の開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,講師(東大) 保科 克行,大学院学生(大島研) 陳 琰
CTのスライス画像を重ねて3次元血管形状を構築する際には,近接血管がくっついて認識してしまうことがあるほか,CT解像度程度の細い血管が分岐することに起因する血管の突起など,セグメンテーション処理において医学的知見に基づいて手動で補正しなければならない.また,動脈瘤が出現する過程を考察するため,動脈瘤を除去した血管形状をセグメンテーション領域に対して手動で編集する必要がある.本研究ではそれらの作業を自動で行うことのできるアルゴリズムの開発を目指す.

Image-Based Simulationにおける脳血管形状の血行力学に与える影響の考察

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,リサーチフェロー(大島研) 高木 清,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹
重大な脳血管疾患であるくも膜下出血に対して,その主要因の脳動脈瘤の破裂に関連する手術ガイドライン作成が求められている.そこで,本研究では脳血管の血流を数値シミュレーションし,動脈瘤の発生,破裂のメカニズムの解明を目指している.シミュレーションに用いる3次元血管モデルについて,医用画像から血管抽出および,3次元構築の手法の問題点と解決法を検討する.さらに,モデルの中心線を抽出することにより形状をパラメータ化し,モデルをパラメトリックに変形して血管形状の血行力学に与える影響を考察する.

Willis動脈輪における血管形状のパラメータ化と形状分析

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰
血管内の壁面剪断応力(WSS)は,血管内皮細胞に直接作用を及ぼし,血管疾患の発生に関係する血行力的因子である.WSSは,血管形状に大きく影響される.本研究は,61例のMRA画像(Brain Vasculature database, BraVa)と9例のCT画像から抽出した脳部動脈血管スケルトンデータを対象とし,曲率とねじれ率からなる三次元形状パラメータを用いて血管形状の特徴を分析する.また,データ駆動型のアプローチにより,動脈瘤・狭窄症が起こりやすい脳主幹動脈形状の主成分分析を行う.

デジタルホログラフィック計測によるマイクロ混相流動現象の3次元計測

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
血液診断チップに代表されるマイクロ流体デバイスは,多くの利点から爆発的な普及が期待されているものの,デバイス内で起きている3次元的で複数の物理現象が重複した流れを定量的に計測する手法が確立されていないことが,実用化に向けた障害となっている.本研究では,対象の3次元情報を2次元のホログラム画像に記録できるデジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を用いて,これらマイクロスケールにおけるマルチフィジックス現象の定量的な計測を目指す.特に,本計測手法を用いて,マイクロ流体デバイスで頻繁に用いられるマイクロ液滴の生成・流動挙動計測を行う.

マイクロ3次元光造形法の開発

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
本研究では,赤血球のマイクロ挙動解明に向けたモデル実験に用いる,3次元特殊形状マイクロビーズの造形を念頭においた,マイクロ流路内に複雑な3次元形状の構造物を高速造形する手法の開発を目的とする.本手法で作成する赤血球モデルの混相流計測を行うとともに,本手法が持つ高速性,製作精度,生産性,造形できる形状および機能の自由度の高さといったアドバンテージを生かし,マイクロ流体デバイスの開発手法に強力な造形ツールとして提案する.

モデリング及び可視化機能のある統合的血流1D-0Dシミュレーションシステムの開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,大学院学生(大島研) 陳 琰
血流1D-0Dシミュレーションは,手術効果予測・評価のために行われる.全身動脈の血流状態を直感的に把握するには,シミュレーション計算に使われる患者固有医療画像データだけでなく,統計データも取り入れて,人体の全身循環網を3次元に構築し,可視化する必要性がある.本研究は,統計データに基づいて全身の主な動脈の3次元モデルを構築し,deformable modelの手法により患者固有形状モデルと連結させて,その上にシミュレーション結果を可視化する.また,仮想手術と想定する,システム上でインタラクティブに血管径を調整し,1D-0Dシミュレーションに使うインプットファイルを作成する機能もモジュールに取り入れる.

上顎骨の後上方移動術前後における鼻呼吸機能の流体解析

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 青柳 美咲
不正咬合や咀嚼機能の改善に顎顔面領域の外科治療が多く行われており,主として咬合関係や顔貌形態を基準に手術計画が作られる.しかし,術後に気道形態が変化することが指摘され,睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害が生じるおそれがある.上顎骨の移動が呼吸に与える影響は大きく機能的評価が必要であるが,上顎骨後上方移動に伴う鼻腔,咽頭部の変化に関する報告は認められない.そこで,医用画像から気道の3次元モデルを構築し,上顎骨後上方移動を伴う顎矯正手術が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすることを目的に解析を行っている.

下肢動脈の血管ステント挿入時の血流解析

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,大学院学生(大島研) Chen Wang
Unlike the straight model, the curved helix model will occur secondary flow performance at the curved part of the vessel, which will affect the local wall shear stress and oscillatory shear index distribution, to further investigate on how the shape of the curved helix would affect the flow performance inside the targeted artery, we try to design helix models with different combinations of curvature and torsion and simulate cases using Openfoam and compare the resutls to the reference straight model.

多波長共焦点マイクロPIVによるマイクロ混相流の可視化計測

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道
近年,発展の目覚しいマイクロTASの分野においては,混合や分離,化学反応,運搬といった様々な機能を,微少流体の正確な操作により実現することを目的としている.主なアプリケーションとして,マイクロ液滴を用いたデッドボリュームの少なさによる混合や反応の高速化,生体細胞やDNAを内包しての運搬などが開発されている.これら主な機能を果たすのは液滴や固体粒子が混在する液液混相流もしくは固液混相流である.そのため,マイクロスケールにおける各相の相互作用の解明が重要である.本研究では本研究室で開発された共焦点マイクロPIVの技術を応用し,マイクロ混相流の計測が可能な2波長分離ユニットを組み込んだ.これにより,マイクロ液滴の内部および外部流動場の同時計測や,マイクロジャンクションにおけるwater in oil液滴生成機構の計測,マイクロビーズを含む固液混相流の計測を行なっている.

大動脈瘤への形状パラメータの影響

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 中島 嘉春
曲率・捩率を基本とした形状パラメータのWSSへの影響を調べることで動脈瘤形成部位の予測を目指す.

機械学習による代理モデルを用いた脳循環シミュレーションの不確かさ解析

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 尹 彰永
血流シミュレーションによる予測結果の信頼性を評価するには,医用計測データに基づいて設定したモデルパラメータの不確かさが,予測結果に及ぼす影響を定量化する必要がある.そのためには,不確かさ範囲内の異なる条件でシミュレーションを繰り返し,結果の統計量を得る必要があるが,計算規模が必然的に大きくなることから,医療現場での実施が難しいという問題点がある.そこで本研究では,深層学習を活用し,従来の血流シミュレーションと同等な予測を高速で行う代理モデルを作成した.これにより,不確かさ解析をデスクトップPCにて数分で実施可能とした.

粒子法による液滴の滴下挙動再現と定量的評価

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦,研究実習生(大島研) 夏目 拓也
脳動脈瘤の破裂によって引き起こされるクモ膜下出血への予防術式として,海外では液体を用いて瘤内を塞栓する液体塞栓術も用いられており,歪かつ巨大な脳動脈瘤に対応可能であることから今後は有力な術式と期待されている.しかしながら,液体塞栓術は塞栓材が瘤外へ流出して健常な血管も塞栓する危険性があるため,国内では未認可である.我々は,粒子法を用いて液体塞栓術への応用を目的とした塞栓材注入シミュレーションを開発し,物理実験と比較することで精度の検証を行ってきた.しかしながら,これまでのシミュレーションで形成された液滴は物理実験のような滴下の挙動を再現できていなかったため,物理実験との比較による定量的な精度検証はできていなかった.そこで,界面張力モデルとしてポテンシャルモデルを用いることで,シミュレーションでも液滴の滴下挙動を再現し,物理実験との比較により液滴挙動の定量的評価を行った.本手法の適用により,液滴の滴下挙動が再現でき,また,滴下時刻は若干異なるが形成過程は物理実験とほぼ一致していることを確認した.

脳循環の末梢血流を考慮した数理モデルの構築

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 祇園 真志
末梢部の流れを考慮した脳循環のモデルを構築することを目的とし,末梢部の側副血行の影響を調べた.

脳血管モデルが血行動態に与える影響の評価

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 大囿 勇也
医療計測データに基づく不確かさを含めた血流シミュレーションは,過灌流リスクを非侵襲的に評価することが可能であるが,医療現場での利用には多数の実症例で妥当性を検証することが必要である.本研究ではより多数の症例におけるシミュレーションを実施し,予測精度の検証と向上を図る.

腹部大動脈瘤におけるステントグラフトの3次元形状の経時変化の定量化

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,教授(東大) 高木 周,大学院学生(東大) 根元 洋光,講師(東大) 保科 克行
腹部大動脈瘤におけるステントグラフトを用いた血管内治療は,開腹手術に比べて患者への負担が小さいため広まっている.一方で,ステントグラフトのマイグレーションに起因した有害事象が発生しており,原因調査や対策が研究されている.本研究は,医用画像から得られたステントグラフトの中心線を抽出し,曲率や捩れ率等の形状パラメータとして定量化することで,ステントグラフトのマイグレーションによる有害事象の予兆を定量的に把握するための手法を開発する.医用画像から得られた中心線は画像ノイズを持つため,ペナルティ項付のスプラインフィッティング手法を適用することで,曲線の特徴を消さない平滑化を行う.

腹部大動脈瘤における薬剤内包ミセル挙動解析

教授 大島 まり,講師(東大) 保科 克行,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦,研究実習生(大島研) 夏目 拓也,大学院学生(東大) 福原 菜摘,大学院学生(大島研) 渕 将徳
腹部大動脈瘤に対する治療法として薬剤投与が有効であると考えられており,その臨床化に向けて薬剤ミセルの滞留メカニズムを明らかにする.

腹部大動脈瘤局所拡張速度に基づく形状予測診断手法の提案

教授 大島 まり,講師(東大) 保科 克行,研究員(大島研) 山本 創太,大学院学生(東大) 宮原 和洋,研究実習生(大島研) 岩切 拓海
腹部大動脈瘤局所拡張速度に基づく拡張形状の具体化による予測診断手法を開発し,直線的な腹部大動脈の一部が突出してできた典型的な動脈瘤形状及び高屈曲大動脈瘤に対する形状予測診断手法の適用性検証を行った.

色収差を利用した3次元マイクロ速度場計測法の開発

教授 大島 まり,技術専門職員(大島研) 大石 正道,リサーチフェロー(大島研) 向井 信彦
本研究では,共焦点マイクロPIV(Particle Image Velocimetry:粒子画像流速測定法)の欠点であった3次元計測に向けて,クロマティック(色収差)レンズを利用した,3次元マイクロ速度場計測法の開発を行っている.本手法は面倒なキャリブレーション作業を必要とせず,シンプルな機器構成で実現できるアドバンテージがあり,従来の手法よりも高倍率・高解像な計測が可能である.本手法においては光学設計とともに高精度な画像処理技術と3次元速度算出アルゴリズムの開発が重要な要素である.

血管内皮細胞骨格の三次元画像再構築と骨格配向・密度の定量評価

教授 大島 まり,研究員(大島研) 山本 創太,技術専門職員(大島研) 大石 正道,研究実習生(大島研) 慶田 真弘
画像解析ソフトImageJによりアクチンフィラメントの画像の三次元再構築を行い,密度変化を測定した.また,繊維配向プログラムより骨格配向を測定し,壁面せん断応力の影響による配向の変化を考察した.

大規模計算機工学

客員教授 小野 謙二
大規模な計算機資源を利用して多数のシミュレーションを行い,それらの複数の計算結果から有用な設計情報をえるキャパシティコンピューティングにおいて,ロバスト設計,最適化,不確かさの定量化などに関する研究を行っている.

デバイス信頼性評価のための拡張型原子間ポテンシャルの開発

准教授 梅野 宜崇
デバイス材料の信頼性評価のための高精度な原子モデリング手法の確立を目的として,電子状態の影響などを考慮し環境非依存性に優れた拡張型原子間ポテンシャルの開発に取り組んでいる.

ポリマー変形および破壊のマルチスケールモデリング

准教授 梅野 宜崇
ポリマーの変形・破壊に及ぼす分子構造の影響を明らかにするための粗視化分子動力学モデリング,粘弾性体に特徴的な破壊挙動の解明のための有限要素モデリング法の研究を行っている.

固体結晶の理想強度に関する第一原理および原子モデル解析

准教授 梅野 宜崇
材料強度の本質に迫るため,原子間結合の特性が支配する固体結晶の理想強度(理論強度)について密度汎関数理論第一原理計算および原子モデル解析(分子動力学法)による評価を行っている.

材料の原子レベル構造不安定性の研究

准教授 梅野 宜崇
特にナノレベルにおける構造不安定現象を本質的に理解することを目的として,原子レベル構造不安定モード解析法を提唱し,様々なナノ構造体の変形・破壊現象の解明に取り組んでいる.

深層学習によるマルチフィジックス原子モデリング法の開発

准教授 梅野 宜崇
深層学習を応用した,原子構造の変化による電子状態変化を高速に求めるためのシミュレーション法の開発を行っている.

がん治療を目的としたナノメディシンの最適設計に関する研究

准教授 長谷川 洋介

乱流輸送現象の最適制御に関する研究

准教授 長谷川 洋介

塗布乾燥プロセスの予測と制御に関する研究

准教授 長谷川 洋介

毛細血管網のリモデリングと血行力学因子の関係性に関する研究

准教授 長谷川 洋介

熱流体システムにおける形状最適化に関する研究

准教授 長谷川 洋介

限られた観測データに基づく熱流動場の最尤推定

准教授 長谷川 洋介

ネットワーク交通シミュレーション技術の高度化

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓
ネットワーク交通シミュレーションの開発,周辺技術検討,さらに高度化に継続的に取り組んでいる.交差点周辺,都市レベル,日本全国レベルの様々な空間範囲やシミュレーション記述の粒度の異なるシミュレーションをシームレスに接続するハイブリッドシミュレーション,リアルタイムにセンサやプローブデータと連動させるナウキャストシミュレーション,首都圏3環状道路を対象とした交通施策評価シミュレーションなどを開発している.併せて首都圏3環状道路の効率的な利用を促すための交通マネジメント方策の評価について検討を進めるため,交通需要等の変動特性に関する基礎的な分析を行うとともに,オリ・パラ等の大規模イベント開催時におけるマネジメント施策に関するケーススタディを進めている.

交通性能照査型道路計画設計

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓
道路の計画・設計段階で,目標とする交通性能を設定し,この性能を実現するかどうかを逐次照査しながら計画・設計を進める手法を提案し,これを実務で適用する方策を実務技術者と一緒に検討し,交通工学研究会におけるweb上で公開したガイドラインの更新に向けた検討を進めるとともに,道路の交通容量に関する最新データを整理したマニュアルの編纂を行っている.

自動運転導入に向けた社会的要件および道路交通運用条件に関する研究

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,大学院学生(大口研) カラ ジャヤ・バルシニ,教授(清華大) 李 萌
自動運転技術を社会導入する際に生じる様々なステークホルダー間の利害関係を体系的に整理し,交通空白地におけるモビリティ確保といった社会課題の解決に資する自動運転サービスの実現に対する阻害要因の特定と解決シナリオの提示を目的に研究を行っている.また,自動運転導入初期段階を想定して,高速道路上に自動運転専用車線を設けることの実現可能性について,道路構造要件や交通条件の観点から検討を行っている.

高速道路における交通混雑現象と渋滞対策技術に関する研究

教授 大口 敬,大学院学生(大口研) アブドゥラエバ エルナラ,准教授(筑波大) 和田 健太郎
日本の高速道路で最大の渋滞要因の単路部ボトルネック発生メカニズムについて運転挙動の観点から多角的に取り組むと共に,その対策技術開発に取り組んでいる.具体的には,高速道路サグ部における追従挙動分析とモデル化,これによる渋滞後捌け交通量の低下要因の解明や,高速道路におけるもう一つの主要渋滞要因である合流部における合流車と本線走行車の相互作用を考慮した意思決定モデルの構築を進めている.

高頻度鉄道システムの簡略化モデリング

教授 大口 敬,大学院学生(大口研) 張 嘉華,准教授(筑波大) 和田 健太郎
首都圏における高頻度鉄道システムは,膨大な通勤需要への対応を可能とする一方,「慢性的な列車遅延」という副作用を引き起こしている.本研究では,この問題の全体像を簡便かつ的確に捉えるために,乗客の時間集中(出発時刻選択)という需要側の要素と,駅・線路上における列車混雑・遅延という供給側の要素の相互作用を考慮したミニマルな(解析的な取り扱いが可能な)鉄道システムモデルの開発に取り組んでいる.また,このモデルを用いて,システム全体の効率性と安定性とのトレードオフ関係についての一般的知見を導くこと,その知見に基づく需給両面の交通マネジメント戦略を提案することを目的としている.

車載カメラによるカーブミラーの認識

教授 須田 義大,特任准教授 小野 晋太郎

環境騒音の予測・評価に関する研究

教授 坂本 慎一,助教(坂本研) 米村 美紀,特任助教(坂本研) 李 孝珍,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai
環境騒音の伝搬予測法および対策法に関する研究を継続的に進めている.今年度は,道路交通騒音予測計算法に関して,日本音響学会の技術セミナーや駒場リサーチキャンパス公開等の場において,この予測計算法の周知・啓蒙活動を行った.また,自動車走行騒音の音源特性および伝搬特性に関する実験的検討,数値解析による検討を行った.

純音性騒音の評価に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
風力発電施設から発せられる騒音や,ヒートポンプ給湯器から発せられる騒音は,機械の回転に起因する純音性の成分が多く含まれ,苦情の原因となっている可能性がある.実験室における聴感評価実験を用いて,純音性騒音の不快感を調べる研究を行っている.本年は,昨年度の基礎的な検討に引き続き,定常騒音に単一周波数の純音が含まれる騒音を対象としてその「わずらわしさ」に関する主観評価実験を詳細に行った.騒音のわずらわしさ評価では,騒音を聞く状況設定が問題となる.そこで,日中および就寝時を想定し,数段階のレベルの騒音に曝された状況に対する主観評価実験を行った.得られた主観評価値と,純音成分の強さに関する指標との対応性について検討を行うとともに,環境騒音の評価に役立てるため,A特性音圧レベル,Zwickerのラウドネスレベル,Moore-Glasbergのラウドネスレベルの3種類のラウドネス評価指標による評価結果と主観評価値との対応,わずらわしさの増分に相当する騒音指標のペナルティ値に関する検討を行った.低い周波数領域の純音性成分については「振動感」が指摘されることがある.そこで,この「振動感」に関する主観評価実験の再分析を行った.

音場の数値解析に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 沈 颁泉,大学院学生(坂本研) 福田 大輝
各種空間における音響・振動現象を対象とした数値解析手法の開発を目的として,有限要素法,境界要素法,差分法等に関する研究を進めている.本年度は,都市環境騒音の評価において活用が期待される環境騒音マップに関連し,都市間幹線道路および都市内主要道路周辺地域を対象に広域の騒音伝搬計算を実施し,実測調査結果等との比較によって騒音マップ作成の可能性に関する検討を行った.また,教会建築の室内音響解析を行うための音場モデリングを進め,実測結果の整理を行った.

音場シミュレーション手法の開発と応用に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) 池田 拓海
室内音場における聴感印象の評価,各種環境騒音の評価等を目的とした3次元音場シミュレーションシステムの開発および応用に関して研究を行っている.今年度は,聴覚と視覚の相互作用に関する評価実験を行った.無響室内の3次元音場再生システムに視覚刺激呈示用のドームスクリーンを組み合わせた評価実験システムを用い,道路交通騒音,鉄道騒音,航空機騒音,船舶航行音,風力発電施設から発せられる騒音の主観評価に音源の可視性が及ぼす影響を定量的に評価する実験を行った.

音響計測法に関する研究

教授 坂本 慎一,特任助教(坂本研) 李 孝珍,助教(坂本研) 米村 美紀,大学院学生(坂本研) Marjorie Takai,大学院学生(坂本研) 大久保 滉平
室内外の音響伝搬特性,室間遮音特性,音響材料音反射・吸音特性を精度よく計測する手法,屋外騒音の効率的測定方法について研究を行っている.今年度は,環境騒音や純音性騒音の評価に資する計測システムとして,音の大きさ感を表すラウドネスレベルや,純音可聴度Tonal Audibilityを国際規格ISOに従って簡易に計測するシステムを開発した.道路交通騒音の測定評価に関する研究として,自動車の走行騒音パワーレベルの測定の自動化に関する研究を昨年度に引き続き行った.ビデオによる映像データとマイクロホンによる音響データを組み合わせ,映像データから通過時刻と走行速度を自動検出し,対応した音データから音響パワーレベルを算出するシステムを構築した.

ITS(高度道路交通システム)に関する研究

客員教授 天野 肇
協調型自動運転システムの社会影響評価と受容性醸成

ドライブレコーダからの天候情報推定と急ブレーキ発生予測

教授(九州大) 川崎 洋,准教授(九州大) 峯 恒憲,特任准教授 小野 晋太郎

ドライブレコーダ画像等の解析による非日常事象の検出

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,教授(国立情報学研究所) 杉本 晃宏,国立情報学研究所 レ チュンギア

動画像・動距離画像の時空間解析と高精細化

特任准教授 小野 晋太郎,教授(九州大) 川崎 洋,名誉教授(東大) 池内 克史

実映像ドライビングシミュレータに関する研究

特任准教授 小野 晋太郎,教授(愛知県立大) 河中 治樹,教授(愛知県立大) 小栗 宏次

通信型ITSによる公共交通優先型スマートシティの構築

教授 須田 義大,准教授 鹿野島 秀行,特任准教授 小野 晋太郎,助教(林(昌)研) 平沢 隆之,リサーチフェロー(須田研) 杉町 敏之

メタルデポジションによる大型成形治具の積層造形に関する研究

教授 岡部 洋二,特任研究員(岡部(洋)研) 線 延飛,大学院学生(岡部(洋)研) 馬田 啓佑,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,特任助教(東大) Sabrina Ahsan,特任研究員(農工大) 薄井 雅俊
航空機の大型複合材料構造部材を成形するための治具を,金属3Dプリンターによって高効率かつ低コストで製造する技術を構築する.

CFRP用工具ベンチマーク

准教授 土屋 健介, 先進ものづくりシステム連携研究センター
CFRP用工具について,市場調査と過去の切削試験の知見に基づいて切削試験の評価基準を提案する.

ロボットシーリング

准教授 土屋 健介,特任講師 馬渡 正道, 先進ものづくりシステム連携研究センター
航空機の製造現場において,シーリング作業は高度熟練技能者による手作業で行われている.これをロボットで自動化することを目指し,ハードウェア・ソフトウェアの研究開発を行う.

高難易度部材加工プログラムのアルゴリズム提案

准教授 土屋 健介, 先進ものづくりシステム連携研究センター
航空機製造は,ローコストオペレーションとして工程自動化と労働人口減少への代替化技術が日本のモノづくり力として求められている.従来,エキスパートシステムなど熟練作業者の技能の取り込みや過去のデータベース化で最適切削条件等を見出すなどの取り組みがあるが実績を超えるような成果を得られず,製造現場では未だに最適化の切削条件の決定には熟練者の経験に頼っている.そのため切削難度判定に関する要素を抽出し,最適切削条件選定する手法の確立を目指す.

Androidアプリケーションにおける静的解析を使用した暗号化API利用の特定

協力研究員(松浦研) 角田 大輔,教授 松浦 幹太
デジタル・フォレンジック調査において,携帯デバイスを調査対象とすることは必要不可欠な作業である.特にスマートフォンに関しては様々なデータが保存され,その中には有用なデータが含まれている.しかしながら,最近の傾向としてアプリケーションによりデータが暗号化される場合が少なくない.そのようなデータの暗号化は迅速な調査の障害となり,スマートフォン・フォレンジックにおける大きな課題の1 つである. 従来の研究の多くは特定の1 つのアプリに対する手動解析で暗号化処理の特定を行っているが,そのような作業はアプリ解析の知識や経験が必要な手間のかかる作業である.保存データを暗号化するアプリは数多く存在するが,その中でも多くのアプリが標準的な暗号化API を使用している.本研究では,既存のAndroid アプリの静的解析フレームワークを使用し,アプリにおいて標準的な暗号化API がどのように利用されているかを特定するツールの開発を行った.本ツールでは自動的にアプリを解析することが可能であり,暗号化処理の特定を容易に行うことができる.その結果,アプリによって暗号化されたデータの解析を迅速に行うことが可能となる.

Private Information Retrieval Scheme Supporting Multi-dimensional Range Queries

大学院学生(松浦研) 林田 淳一郎,主任研究員(産業技術総合研究所) ヤコブ C. N. シュルツ,研究グループ長(産業技術総合研究所) 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太
Private information retrieval (PIR) allows a client to retrieve data from a database without the database server learning what data is being retrieved. Most of the existing PIR schemes consider searching simple one-dimensional databases and the supported query types are often limited to index queries only, which retrieve a single element from the databases. However, most real-world applications require more complex databases and query types. In this paper, we build upon the notion of query indistinguishability by Hayata et al. (ESORICS2020), and formalize query indistinguishability for multi-dimensional range queries. We then give a construction of a secure multi-server scheme based on function secret sharing. This is the first instantiation of a PIR scheme supporting multi-dimensional range queries while being capable of hiding the type of query being made and, in the case of multi-dimensional range queries, the number of elements retrieved in each query, when considering a stream of queries.

スクリプト実行環境に対するテイント解析機能の自動付与手法

大学院学生(松浦研) 碓井 利宣,NTTセキュアプラットフォーム研究所 幾世 知範,NTTセキュアプラットフォーム研究所 川古谷 裕平,NTTセキュアプラットフォーム研究所 岩村 誠,NTTセキュアプラットフォーム研究所 三好 潤,教授 松浦 幹太
悪性スクリプトの挙動を詳細に解析するには,制御フローの解析のみならず,データフローの解析も求められる.このデータフローの解析には,テイント解析がよく利用されるが,既存のスクリプト向けのテイント解析手法はスクリプトエンジンごとに設計,実装する必要がある.この問題を解決するため,本研究では,バイナリ(機械語のプログラム)向けのテイント解析機能を,スクリプトにも適用可能にすることで,言語やエンジンに非依存でテイント解析機能を自動付与する手法を提案する.まず,バイナリのデータ型とスクリプトのデータ型の間に生じるセマンティックギャップがこの実現を妨げる問題だと実験的に示す.そして,こうした型のセマンティックギャップによって起こる伝播漏れを検出し,テイントの強制伝播によってそれを解消することで,テイント解析機能を実現する.PythonとVBScript のスクリプトエンジンに対して提案手法を適用し,テイント解析を実現できることを確認した.さらに,それを用いて悪性スクリプトを解析し,データフローを追跡可能になったことも確認した.

ブロックチェーンの安全性を強化し環境負荷を低減する検証証明技術

教授 松浦 幹太,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗
ブロックチェーンのネットワークでは,追記する取引情報の正しさを検証する同じ作業を,多くのノードが様々なフェーズで繰り返し実施する.検証を省略することによって利益を得る確率が高まるため,ノードが検証を省略するインセンティブが生じる.省略を許さない制約を加えると,全体として極めて環境負荷が高くなり,ビットコイン型の実装では欧州の中規模国1国に相当する電力消費にまでなるという試算もあるほどである.本研究では,各取引情報を少なくとも一つのノードが必ず検証し,しかも他のノードが低消費電力でその事実を確認できるメカニズムを提案している.これにより,ブロックチェーンの安全性強化と環境負荷低減を両立することができる.現在,コンセプト確認レベルの実装に成功し,次の段階の評価を準備している.

ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性モデル

大学院学生(松浦研) 宮前 剛,教授 松浦 幹太
本研究では,ブロックチェーンを応用した暗号資産の匿名性に関する評価指標の意味と関係を整理した.特に,関連付け困難性 (unlinkability) の評価指標としての汎用性を示した.次に,暗号資産の関連付け困難性をフェアに評価するために,暗号資産の特徴に基づいて四つの関連付け攻撃モデルおよびそれぞれの攻撃モデルに対応する安全性を定義した.最後に,代表的な匿名暗号資産に対して本稿で定義した関連付け攻撃安全性評価を行い,それらの匿名暗号資産の匿名性を比較評価し,いくつかの知見を導出した.

内部のバイトコード実行を悪用したスマートコントラクトへの攻撃の早期検知

大学院学生(松浦研) 宮里 俊太郎,教授 松浦 幹太
ブロックチェーン上でコントラクトと呼ばれるプログラムを動かすシステムであるスマートコントラクトに対する攻撃として,コントラクトの脆弱性を利用した,Reentrancy 攻撃やTransaction Ordering Dependence 攻撃が現在報告されている.既存研究では,コントラクトの脆弱性を検知する技術が盛んに開発されているが,攻撃に利用されるコントラクトやトランザクションを悪性として検知する研究は少数である.現状の攻撃検知技術の問題点として,検知出来る攻撃の種類がReentrancy 攻撃だけである事と,トランザクション全てを実行時に監視する事によるオーバーヘッドが挙げられる.本研究では,攻撃の別種であるTransaction Ordering Dependence 攻撃も考慮し,Reentrancy 攻撃に関しては,トランザクションのごく一部である,コントラクトを定義するトランザクションのみを静的解析する手法を提案し,それら2 点の改善を図る.

動的に不正署名を生成するデバイスを追跡可能な集約署名

大学院学生(松浦研) 石井 龍,産業技術総合研究所 照屋 唯紀,産業技術総合研究所 坂井 祐介,産業技術総合研究所 松田 隆宏,産業技術総合研究所 花岡 悟一郎,教授 松浦 幹太,産業技術総合研究所/横浜国立大 松本 勉
集約署名は,複数の署名を1 つの署名に集約でき,全体署名長および署名検証時間の短縮という効率性を持つため,センサーネットワークなど多数のユーザやデバイスが署名を送信するシステムでの活用が期待されている.しかし,不正署名を1 つでも含んで集約すると集約署名は不正となり,検証者はどのユーザやデバイスが不正署名を生成したかを特定できない.さらに,上記のセンサーネットワーク等の応用では,多数のデバイスが定期的にデータと署名を送信し,かつ(故障などにより) 不正署名を生成するデバイスが時々刻々と変わることが自然に想定される.本研究では,そのような状況を捉えた追跡可能集約署名のモデルを導入し,その機能的要件と安全性要件の定義を行う.さらに,通常の集約署名とDynamic Traitor Tracing を用いた一般的構成を提案する.

半導体量子構造を用いた固体冷却素子の開発

教授 平川 一彦,研究員(LIMMS) BESCOND MARC,東京大学特別研究員 SALHANI Chloe,大学院学生(平川研) 尾上 俊樹,大学院学生(平川研) 朱 翔宇,特任研究員((平川研)) 長井 奈緒美
現代のLSIに代表されるエレクトロニクスの進歩を大きく阻んでいるのが発熱による問題であり,冷却技術は将来のエレクトロニクスの発展の鍵を握る技術と言っても過言ではない.我々は半導体へテロ構造のバンドを適切に設計し,熱電子放出と共鳴トンネル効果を同時に制御して実現できるサーミオニッククーリング技術に注目している.本サーミオニッククーリングにおいては,トンネル障壁を介して量子井戸に低エネルギーの電子が共鳴的に注入され,量子井戸を出るときには低くて厚い障壁を高エネルギーの熱電子が熱的に越えていく過程を用いる素子であり,電流を流すにつれて量子井戸層が冷却されていくデバイスである. 本年度は,(1)素子の動作原理の理解と構造最適化のために,共鳴トンネル効果と熱電子放出効果を組み合わせた解析的な理論を構築し,実験で観測された素子を流れる電流の温度依存性などがよく説明できることがわかった.(2)非平衡グリーン関数法による数値計算により,構造パラメータと電子温度の関係に関する議論を行っている.(3)量子井戸を複数個直列に接合したより高効率な冷却素子構造を提案した.

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

新型コロナウイルス迅速検出法の開発

教授 藤井 輝夫,国際研究員(藤井研) Anthony Genot,国際協力研究員(藤井研) Yannick Tauran,大学院学生(藤井研) Nicolas Lobato-Dauzier
新型コロナウイルス感染を制御するには,低コスト,迅速,簡単な検査法が必要不可欠である.本研究では,研究室固有技術であるDNA修飾ビーズを用いて,酵素を使わずに少ない操作のみで迅速な検出を行う方法を開発する.

海洋複合計測システムの実現に関する研究

特任准教授 福場 辰洋,教授 藤井 輝夫,特任助教(藤井研) 木下 晴之,国際研究員(藤井研) Nicolas Clement
海洋環境中において,生物地球化学的パラメタの複合計測とそれによる高度な海洋計測を実現するため,センサ・現場型分析装置の小型化・機能集積化を進めるとともに,市民参加型の海洋観測手法を模索する.

生体分子ネットワークによる情報処理機能の実現に関する研究

教授 藤井 輝夫,リサーチフェロー(藤井研) Yannick Rondelez,国際研究員(藤井研) Anthony Genot,大学院学生(藤井研) 奥村 周,大学院学生(藤井研) Nicolas Lobato-Dauzier
マイクロ流体デバイス技術とDNA増幅技術を応用して,神経細胞ネットワークに見られるような情報処理機能を発現する生体分子ネットワークの構築を進めている.

二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)の開発と表面空乏層容量の可変周波数計測への応用

教授 髙橋 琢二,教授(大阪市立大) 重川 直輝,大学院学生(髙橋研) 福澤 亮太
可変周波数での表面空乏層容量計測を実現するための二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)を提案し,MOS構造やp-n接合,CIGS系化合物半導体材料系等での容量計測を通じて,同手法の有効性に関する実証実験を進めた.

原子間力顕微鏡(AFM)を用いた光熱分光法の開発と太陽電池材料評価への応用

教授 髙橋 琢二,教授(立命館大) 峯元 高志,大学院学生(髙橋研) 山田 綾果,出光興産 加藤 拓也
原子間力顕微鏡(AFM)による光熱分光計測手法として,断続光励起時の試料熱膨張量を正確に検出できる二重サンプリング法を開発し,その実装実験を行っている.また,同手法を,多結晶SiやCIGS化合物半導体などの太陽電池材料に適用し,結晶粒界などにおける非発光再結合特性の解明に取り組んでいる.

間欠バイアス印加法を用いたケルビンプローブフォース顕微鏡による時間分解表面電位計測手法の開発

教授 髙橋 琢二,大学院学生(髙橋研) 石橋 亮太
間欠バイアス印加法を用いたケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)によって表面電位の時間分解計測を実現する手法を提案し,その実験系を構築するとともに基本性能を実証するための実験を進めた.

静電引力検出モードAFMによる太陽電池材料系の局所的特性の評価

教授 髙橋 琢二,教授(立命館大) 峯元 高志,大学院学生(髙橋研) 福澤 亮太
導電性カンチレバーを用いた静電引力検出モードAFMにより,CIGS系化合物半導体太陽電池材料系での表面電位分布の観測や表面空乏層容量の計測を行い,太陽電池特性劣化の要因となりうる不純物・欠陥準位の影響や,各種材料系に存在する結晶粒や粒界との関連性を明らかにすることを目指している.

3 omega法による超精密熱伝導率測定系の構築

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

Si/SiO2超格子における熱伝導

准教授 野村 政宏,特任助教(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 立川 冴子, Sergei Gluchko,日立製作所 川村 友人, Laurent Jalabert

SiNおよびSiC薄膜における表面フォノンポラリトンによる熱伝導

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(CNRS) Yunhui Wu,特別研究員(野村研) Roman Anufriev

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

准教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,特任助教(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,大学院学生(野村研) Eldar Sido
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

ナノスケール熱伝導の物理

准教授 野村 政宏,准教授(東大) 塩見 淳一郎,特別研究員(野村研) Roman Anufriev,大学院学生(野村研) 柳澤 亮人,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノニクスによる熱伝導制御

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,特別研究員(野村研) Roman Anufriev
本研究では,周期が数百ナノメートルのシリコンフォノニック結晶ナノ構造を用いて,コヒーレントなフォノン伝導制御による熱伝導制御を目指し,理論・実験の両面から研究を進めている.エアブリッジ状のフォノニック結晶ナノ構造およびナノワイヤー構造を作製し,熱フォノンの波動性に基づいた熱伝導制御に成功している.

フォノンの消滅生成過程に関するシミュレーション

准教授 野村 政宏,大学院学生(野村研) Zhongwei Zhang,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

半導体薄膜における熱フォノン平均自由行程測定

准教授 野村 政宏,特任助教(野村研) Roman Anufriev,研究員(CNRS) Jose Ordonez,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

機械振動子の自己同期による熱コンダクタンス制御

准教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz,大学院学生(野村研) Zhongwei Zhang,教授(Tongji University) Jie Chen

熱放射スペクトル制御による放射冷却構造開発

准教授 野村 政宏,特任研究員(野村研) Yunhui Wu,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz

非平衡グリーン関数法を用いた熱伝導率シミュレーション

准教授 野村 政宏,特任研究員(野村研) Yangyu Guo,国際協力研究員(野村研) Sebastian Volz