年次要覧
第72号 2023年度 III. 研究活動

3. 研究部・センターの各研究室における研究

3. 研究部・センターの各研究室における研究

Decoding of reproduced images of complex-encoded holographic memory using convolutional neural networks

教授 志村 努,研究実習生(志村研) Jianying Hao,客員准教授 藤村 隆史,特任助教(志村研) 平山 颯紀,元助教(志村研) 田中 嘉人
Holographic memory has a higher storage capacity and data transfer rate than conventional bit-by-bit storage techniques due to its 2-dimensional recording and 3-dimensional volume storage. However, conventional holographic memory only uses amplitude to encode information and does not take advantage of the high capacity of holographic memory. With the progress of research, it has become possible to realize complex-encoded holographic memory using both amplitude and phase encoding. Introducing phase to encode information enables higher encoding efficiency and signal-to-noise ratio than traditional amplitude modulation. However, since the phase cannot be detected directly, it must be demodulated from the intensity image. A direct complex amplitude demodulation method from a near-field diffraction image based on deep learning is proposed. By propagating the reconstructed beam for a short distance, the intensity image containing diffraction features related to both amplitude and phase can be obtained. The inverse process from the near-field diffraction intensity image to the complex amplitude light field is divided into intensity-amplitude and intensity-phase inverse problems separately and represented by two convolutional neural networks (CNNs). After training the CNNs with the training dataset (intensity as input and amplitude/phase as outputs), both the amplitude and phase data pages can be retrieved directly from a single diffraction intensity image simultaneously. The verification of the experiment involving the demodulation of 16-level complex amplitude from a single diffraction image during the decoding process of holographic memory has been conducted.

シリコンメタサーフェスにおける第二高調波発生の研究

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 上田 康太郎,元助教(志村研) 田中 嘉人,客員准教授 藤村 隆史,特任助教(志村研) 平山 颯紀
シリコンは通常,その結晶構造の空間対称性のために二次非線形感受率がゼロとなり,したがってシリコン内部で二次非線形光学効果を起こすことはできない.しかしシリコンであっても,表面においては鉛直方向に空間反転対称性が破れ,表面に局在する二次非線形分極が誘起される.その分極による第二高調波発生(SHG)は表面SHGと呼ばれている.本研究では,この表面SHGを利用し,非線形光学材料を用いずシリコンだけでSHGを起こすことを目標にしている.そのために,本来非常に弱い表面SHGを増強する工夫が必要となり,そこでメタサーフェスを利用する.メタサーフェスはメタアトムと呼ばれる光の波長以下の構造を周期的に表面に配列したものである.メタサーフェスにおける表面SHGは配列された各メタアトム表面で発生し,いくつかのメリットがある.まず,微細な凹凸を表面に作るため表面積が増大し,表面でのみ発生する表面SHGも増加すると考えられる.また,メタアトムの構造と配列を設計できるため,表面SHGが増強されるメタサーフェスを人工的に作ることができる.最適な構造を見つけるため,表面SHGをシミュレーションして構造ごとの表面SHGのふるまいを調べている.

フォトポリマーフィルムを用いたホログラフィー応用デバイスの研究【柏地区利用研究課題】

教授 志村 努

メタサーフェスを記録媒体とする多次元光変調ホログラフィックメモリー

教授 志村 努,特任助教(志村研) 平山 颯紀,客員准教授 藤村 隆史,元助教(志村研) 田中 嘉人
表面型ホログラムを記録媒体として利用すると,情報の「高速読み出し・超長期保存・容易な複製」といった特徴をもつユニークな光メモリーが実現できる.サブ波長スケールで適切に微細加工された人工表面構造(メタサーフェス)は,光の位相・振幅・偏光などのさまざまな特性の空間変調が可能であることが知られており,この多次元的な光変調自由度を利用することで記録密度の向上が期待できる.本研究ではシステムの検討・設計理論の構築・メモリー特性の評価を目指して研究を行っており,現段階ではメタサーフェスの光変調特性を定量的に評価可能なシステムの構築を目指している.

構造物の静的および動的破壊に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 中埜 良昭

無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の構造性能に関する実験的研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治,大学院学生(中埜研) Adnan S.M. Naheed
途上国でみられる無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の破壊メカニズムと構造性能の検討を目的として,比較的知見が蓄積されているバングラデシュ国での事例を参考に,無補強組積造壁の有無をパラメータとした2層2スパンの骨組試験体を2体作製し加力実験を2018年度に行った.2019~2020年度には無補強組積造壁付き試験体の挙動を再現でき,さまざまな破壊モードに適用可能なマクロモデルの開発を実施してきた.2021~2023年度は,事前に与える面内加力による経験層間変形角をパラメータとした面外振動実験を計画・実施し,無補強組積造壁が面外転倒する現象の支配要因の分析を進めている.

Is値が著しく低い旧基準鉄骨造建築物の耐震性能の実力評価と耐震診断への展開

助教(中埜研) 松川 和人,教授 中埜 良昭,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治
旧基準で建設された建築物が地震に対してより脆弱であることは一般にも知られてきているが,なかでも民間の鉄骨造(S造)建築物について,学術的な検討はほとんど行われてきていない.こうした建築物を耐震診断すると,多くの場合,非常に低い数字が算定されるが,地震を受けて崩壊したという報告は少ない.本研究は,そうした「脆弱」と評価される旧基準S造建築物の「実力」を実験実測的に明らかにし,木造やRC造と同様,被害や実性能と対応する性能評価の実現を最終目標としている.2023年度には梁端隅肉溶接接合部の溶接サイズをパラメータとして柱梁接合部架構の加力実験を行い,耐震診断で一般に使われている強度式による評価結果の2倍以上の強度があることを確認した.

CFRP製ジェットエンジンファンブレードの開発

教授 吉川 暢宏,大学院学生(東大) 寺尾 望
CFRP製ファンブレードの長期信頼性を確保するためCFRP材料の疲労強度評価手法を開発している.樹脂と炭素繊維を区分するミクロスケールシミュレーションにより,樹脂の局所的応力上昇を的確に評価することで疲労寿命が予測できることを,積層CFRP試験片を用いた疲労試験により確認した.本年度は特に低サイクル疲労を支配する樹脂の材料モデルに関する検討を行った.

宇宙輸送機用低温液化燃料タンクの開発

教授 吉川 暢宏,特任研究員(吉川(暢)研) 小笠原 朋隆
CFRP製極低温液化燃料タンクの実用化のため,マイクロクラック発生メカニズムをミクロスケール有限要素解析により解明する.正確な樹脂物性を入力して極低温により発生する熱負荷を与えて,炭素繊維間の樹脂に発生する力学場を解析する.実験との照合によりシミュレーションの妥当性を検証する.

機械学習を利用した高圧水素容器の最適設計

教授 吉川 暢宏,特任教授 竹本 真一郎
設計変数が膨大な炭素繊維強化プラスチック製の高圧水素容器について,最適設計を効率よく探索するための機械学習の活用法を検討している.炭素繊維強化プラスチック層の積層構成や容器の形状を適切にパラメータ表記し,パラメータをランダムに変動させて機械学習用の有限要素モデルデータを生成する.メゾスケール有限要素解析と高精度化した軸対称モデル有限要素解析を用い,個々の容器設計パラメータと正確に予測した破裂圧力を蓄積した機械学習データにより,軽量最適設計を探索するアルゴリズムを開発した.

2次元物質の作製と水素機能

教授 福谷 克之,助教(福谷研) 小澤 孝拓,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 寺澤 知潮,(国研)日本原子力研究開発機構 鈴木 誠也,准教授(大阪大) Wilson Dino,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 保田 諭
グラフェンをはじめとする2次元原子層物質は水素貯蔵や水素センサーとしての応用が期待される.最近グラフェンには水素透過性があり,その際大きな同位体効果を示すことが示され,同位体分離への応用が期待されているが,その詳細な分離効率や透過機構は明らかではない.研究を進めるにあたって,今年度は装置の改良を行った.低速電子回折,熱脱離分光,赤外吸収分光を測定可能なように真空槽を新たに作成し動作確認を行った.昨年度から実験を開始したゲルマネンについて,水素吸着状態を低速電子回折,熱脱離分光,赤外吸収分光により調べた.水素吸着に伴う特徴的な脱離ピークを観測するとともに,吸着水素に起因する振動スペクトルの測定に成功した.これまでに開発してきた,高分解能質量選別超低速イオンビーム装置の真空系の改良を行い,超高真空環境でのビーム照射を実現した.

スピン偏極水素源の開発と応用

教授 福谷 克之,大学院学生(福谷研) 大橋 悠生,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 植田 寛和,助教(福谷研) 小澤 孝拓,准教授(大阪大) Wilson Dino
水素原子はスピン1/2を持つ電子と陽子からなる複合ボゾンであり,超微細相互作用により全スピン1と0の2つの状態が存在する.本研究では,スピン状態が偏極した水素ビームを作成し,スピンダイナミクス解明と散乱を利用した表面磁性プローブを開発することを目的として研究を進めている.磁性体であるニッケル表面への水素吸着におけるスピン依存性を解釈するため,第一原理電子状態計算により吸着ポテンシャルを求めた.スピン方向を固定すると異なるポテンシャル面が存在することが判明した.トポロジカル絶縁体であるBi2Se3薄膜の作製と水素吸着特性の評価を行った.Si(111)表面に作製したBi2Se3薄膜に室温および低温で水素曝露を行い熱脱離分光で調べたところ,高温と低温に2つの脱離ピークが生じることがわかった.それぞれ表面吸着と層間へのインターカレーションに相当すると考えられる.

ミュオンスピン回転緩和法による氷中水素イオン構造の解析

教授 福谷 克之,技術専門職員(福谷研) 河内 泰三,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 伊藤 孝,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 髭本 亘,(国研)日本原子力研究開発機構 志賀 基之
氷中の水素イオンは,水素結合間に配置した構造を取るが,2つの酸素原子の中央に位置する場合と片側に偏った場合が考えられ,その詳細は環境に依存する.昨年度までに,ミュオンスピン回転緩和法と核の量子効果を考慮した第一原理分子動力学計算を用いて,アモルファス氷と結晶氷中のミュオンの構造を明らかにした.今年度は核の量子効果を明確にするため,質量の異なるミュオンとプロトンについて,第一原理分子動力学計算によるシミュレーションを行い,ゼロ点振動およびトンネル効果の考察を行った.その結果,量子揺らぎの大きさは異なるものの,プロトンもミュオンと同様の構造を取り,核の量子効果は荷電欠陥の構造に影響しないことがわかった.

水素の物理吸着とオルト─パラ転換・分離

教授 福谷 克之,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 植田 寛和,(国研)日本原子力研究開発機構 山川 紘一郎
水素分子には核スピン3重項のオルト水素と1重項のパラ水素が存在し,固体の表面でオルト−パラ転換が生じることが知られている.水素の液化貯蔵には,オルト−パラ転換が不可欠なことから,転換の物理的機構解明と高効率転換触媒の開発が必要とされている.これまでに,転換速度測定の時間分解能を1s以下に向上させることに成功し,Pd(210)表面に化学吸着した水素分子のオルト−パラ転換速度を明らかにした.今年度は,脱離水素分子の角度依存性を詳細に計測可能な実験装置の設計を行った.特に分光のためのレーザー導入系,イオン検出系の設計を行った.

遷移金属酸化物表面の電子状態・表面伝導

教授 福谷 克之,助教(福谷研) 小澤 孝拓,大学院学生(福谷研) 松澤 郁也,大学院学生(福谷研) Muhammad Irfandi,特任研究員(福谷研) 加藤 弘一,教授(大阪大) 田中 秀和
金属酸化物は光触媒や新規電子・磁気デバイスとして注目される.ペロブスカイト型希土類ニッケル酸化物の水素吸蔵に伴う金属絶縁体転移を調べた.Pt触媒を用いた水素化では,表面平行方向の水素化領域空間分布が抵抗測定の結果に影響を与えることがわかったため,Pt触媒を用いない水素化方法を用いて実験を行った.核反応法を用いて水素の深さ分布を測定したところ,希土類金属の種類によって表面垂直方向に水素分布が不均一になる場合があることが判明した.深さ分布が均一な試料に対して抵抗の温度依存性を解析し,水素濃度との相関を求めた.昨年度から新たにルチル型TiO2(100)の水素イオンによる水素化に伴う電子状態と電気抵抗同時測定を行った.水素化に伴い形成されるギャップ中準位に2種類存在することを見出し,深い準位は伝導に寄与せず,加熱とともに浅い準位に変化することを見出した.

金属表面への水素吸着・吸蔵と伝導特性,表面反応

教授 福谷 克之,助教(福谷研) 小澤 孝拓,特任研究員(福谷研) Sudhansu Das,大学院学生(福谷研) 伊豆 駿佑,特任研究員(福谷研) 加藤 弘一,講師(筑波大) 関場 大一郎,研究員((国研)日本原子力研究開発機構) 植田 寛和
金属には水素を自発的に解離吸着し,さらに吸蔵する金属があり,触媒活性や吸蔵金属として注目される.本研究では,水素吸着・吸蔵における表面効果と表面触媒反応,伝導特性に関する研究を行っている.本年度は,超高真空中で清浄なバナジウム薄膜を作製し,この薄膜中に低エネルギー水素イオン照射で形成される準安定状態の緩和を抵抗測定と核反応法により観測した.低温で水素を照射したのち高温で保持すると,電気抵抗が時間とともに変化する様子が観測された.同様の試料について核反応法で水素の深さ分布を測定すると,低温では表面近傍に蓄積していた水素が,高温で薄膜全体に拡散することがわかった.抵抗変化速度の温度依存性から水素拡散のエネルギー障壁を導くことに成功した.一昨年度から着手したAg-Bi表面への水素吸着について,Bi薄膜表面での熱脱離分光測定を行い,水素吸着過程の考察を行った.

ナノ・マイクロ流体ダイナミクスの研究

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗
近年,直径数μm程度の微小流体粒を用いた新たなデバイス作製技術の研究が盛んに行われている.この程度の微粒子では,表面エネルギーや表面粘弾性,あるいは流体内イオンによる静電相互作用により,そのダイナミクスがマクロな液滴とは極めて異なったものとなることが予想される.本研究では,これまで精密な測定が困難であった微小複雑流体粒子の静的構造や粒子運動を観測する新たな手法の開発を行っている.本年度は引き続き微小粒子生成デバイスの開発に取り組むとともに,マイクロレオロジーの展開を見据え,固体基板上に着弾した微小液滴の振動挙動を高い空間・時間分解能で観察する手法の検討を行った.

多自由度が競合する複雑流体における分子緩和現象の研究

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 平野 太一,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 細田 真妃子
流れ場に加えて濃度場や分子配向,温度勾配などの自由度が相互にカップルする複雑流体においては,各自由度の緩和過程が他の自由度からの影響を受けて特異なスペクトルを示す.この緩和スペクトルを精密に測定することにより,各自由度間の結合の起源を分子レベルで明らかにする試みを行っている.本年度は,振動する固体基板上に付着した液滴の三次元振動モード解析によりミクロな液体のレオロジー計測を実現する手法の検討を行い,液滴表面の高速な分子ダイナミクスをとらえることに成功した.

液体表・界面構造と動的分子物性

教授 酒井 啓司,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 平野 太一,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 細田 真妃子
液体表面や液液界面など異なる相が接する境界領域での,特異的な分子集合体の構造や現象に関する研究を行っており,ゲル表面における振動モードの顕微直接観察手法を利用した,表面張力およびずり弾性率を復元力として伝搬する複雑流体上の表面振動モードの定量的解析などの研究を行っている.本年度は当研究室で開発したEMSレオメータのせん断速度域を広げるために新たなプローブおよび検出手法の検討などを行い,微粒子分散系や液体混合系などのレオロジー測定や高分子系のレオロジー計測を進めた.

複雑流体表面の超高分解能マイクロスペクトロスコピー

教授 酒井 啓司,助教(酒井(啓)研) 美谷 周二朗,リサーチフェロー(酒井(啓)研) 平野 太一
液体表面の力学的物性,特に分子吸着に伴う表面エネルギーと表面粘弾性の動的変化を調べる新しい手法の開発を行っている.本年度は,引き続き局所的な電場印加によって液体表面の変形を励起し,その応答から表面の力学物性を調べる電界ピンセット技術を応用した,空中を飛翔する微小液滴のレオロジー計測および液体表面・界面物性計測が可能な新たな材料評価技術の開発を進めるとともに,電解ピンセット技術による液体薄膜のレオロジー計測の新たな可能性を探るための技術開発を進めた.

乱流の非局所的な輸送拡散現象

教授 半場 藤弘
乱流モデルで良く用いられる渦粘性近似・渦拡散近似は,レイノルズ応力やスカラーフラックスがその場の平均量の勾配に比例するという局所近似を仮定している.しかし熱対流乱流など大規模な対流渦を含む流れ場では局所近似が良くないことが知られている.本研究では乱流の非局所性を解析し,その機構の解明とモデルの改良を行っている.まず一様等方乱流の数値計算を用いて非局所渦拡散率の分布を求め,統計理論の知見を元にそのモデル式を導出し検証した.さらにスケール空間のエネルギー密度を用いてモデル式を改良し,チャネル乱流の数値データを用いて非局所渦拡散率の非等方性や非一様性を考察した.

回転・旋回乱流の解析とLESのモデリング

教授 半場 藤弘,助教(半場研) 横井 喜充,技術専門職員(半場研) 小山 省司,大学院学生(半場研) 堀江 真惟人
円管内の流れに旋回を加えると中心軸付近で主流分布が凹んだり逆流が生じるなど,回転の効果を受けた乱流は興味深い性質を示す.乱流ヘリシティーはそのような回転乱流を特徴づける統計量の一つである.本研究では乱流エクマン層や回転チャネル乱流のヘリシティーの生成と輸送を解析した.特にエクマン層においてヘリシティー輸送方程式の拡散項について考察した.また回転チャネル乱流のLESと直接数値計算を行い,ヘリシティーの散逸率とスペクトル分布について解析した.

圧縮性乱流の解析とモデリング

教授 半場 藤弘,助教(半場研) 横井 喜充,大学院学生(半場研) 中村 元紀
流体の速度が音速と同程度になると圧縮性効果が重要となり,その効果を適切に取り入れて乱流モデルを拡張する必要がある.本研究では特にスカラー輸送が通常とは逆向きになる逆勾配拡散現象に着目し,乱流レイリー流れの直接数値計算を行った.エネルギーフラックスの逆勾配拡散現象を再現し,フラックスの輸送方程式を解析することで現象の物理機構を考察した.

電磁流体乱流のダイナモ機構とその応用

教授 半場 藤弘,助教(半場研) 横井 喜充,大学院学生(半場研) 楊 品衆
地球や太陽などの天体で見られる磁場はダイナモ機構すなわち天体内部の電導性流体の運動によって駆動され維持されると考えられる.また磁力線がつなぎかわる現象である磁気リコネクションは,宇宙・天体・実験室のプラズマ現象で重要な役割を果たす.本研究では乱流の統計理論を用いて非圧縮性および圧縮性の電磁流体のクロスヘリシティーの乱流モデルを導き,太陽ダイナモ現象や乱流磁気リコネクションなどに適用した.また圧縮性電磁流体乱流の傾磁場効果や超新星爆発の輸送現象について考察した.さらに電磁流体のチャネル乱流を計算してダイナモ効果を解析し検証した.

恒星対流層での乱流による質量・角運動量,エネルギー輸送と磁場生成機構の理論解析とその結果を用いたモデリング

助教(半場研) 横井 喜充
天体物理現象では,大きな密度変化,回転,磁場が普遍的に存在するため,その乱流の理論解析は複雑となる.非一様で非等方さらに局所平衡から大きくずれた強い圧縮性乱流を取り扱う理論を定式化し,乱流質量流束,乱流熱流束,乱流起電力などの乱流輸送の表式を導く.その理論結果を用いて,天体物理学乱流のモデルを構成し,銀河磁場,星形成,恒星対流層の乱流輸送現象に適用している.

重力崩壊型超新星爆発と原始中性子星の磁場形成を記述する自己無撞着な乱流モデルの構築

助教(半場研) 横井 喜充
重力崩壊型超新星爆発は大質量星の終末の姿である.その過程は,核反応,輻射,流体対流,衝撃波の消失と再生などさまざまな物理を含む.中でも乱流は実際に爆発が起きるために重要な役割を果たすが,その機構は十分に理解されていない.物理過程の理論とそれに基づく自己無撞着な乱流のモデル化を行うことで,超新星爆発が起きる条件や,その後の原始中性子星での磁場形成メカニズムを調べている.

二次元物質ファンデルワールスヘテロ構造における光電気物性の研究

助教(町田研) 張 奕勁

フォノン流体力学に基づく熱伝導

教授 野村 政宏,リサーチフェロー(野村研) Yangyu Guo,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,教授 町田 友樹,特任助教(野村研) コウ シン

弱測定の精密測定への応用に向けた理論解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子測定において有用な測定値を選別する手法としての弱測定法が,測定精度の向上をもたらし得る機構を解析し,既存の実験のデータの分析・検証を通したその有用性の実証や,今後の幅広い応用へ向けた検討を行う.

量子化・擬測定の双対理論に基づく局所実在性の研究

大学院学生(名古屋大) 野神 亮介,助教(羽田野研) 李 宰河
量子化・擬測定の双対構造に基づくことで,量子論と局所実在論の含意を体系的に分析し,とりわけそれらの統計的構造の特徴付けを幾何学的な観点から調査する.

量子化・擬測定の双対理論に基づく擬確率分布の特徴付け

学生(東大) 梅川 舜,助教(羽田野研) 李 宰河
量子化・擬測定の双対構造に基づくことで,量子系上の一般の擬確率分布の分類と特徴付けを行い,量子論の基礎の問題に対する擬確率分布の応用へ向けた基盤作りを目的とする.

量子論における不確定性原理の普遍的定式化

助教(羽田野研) 李 宰河
不確定性原理の普遍的な定式化を通して,量子論における不確定性の多彩な顕現様式を融合し,またこれに起因する各種の量子現象を解析することで,その包括的理解に資することを目的とする.

Maximum Power of Quantum Otto Engine

大学院学生(羽田野研) 高 静儀,教授 羽田野 直道
We put forward four schemes of coupled-qubit quantum Otto machine, a generalization of the single-qubit quantum Otto machine, based on work and heat transfer between an internal system consisting of a coupled pair of qubits and an external environment consisting of two heat baths and two work storages. The four schemes of our model are defined by the positions of attaching the heat baths, which play a key role in the power of the coupled-qubit engine. Firstly, for the single-qubit heat engine, we find a maximum-power relation, and the fact that its efficiency at the maximum power is equal to the Otto efficiency, which is greater than the Curzon-Ahlborn efficiency. Second, we compare the coupled-qubit engines to the single-qubit one from the point of view of achieving the maximum power based on the same energy-level change for work production, and find that the coupling between the two qubits can lead to greater powers but the system efficiency at the maximum power is lower than the single-qubit system's efficiency and the Curzon-Ahlborn efficiency.

Statistical Physics and Mathematical Physics

大学院学生(羽田野研) 童 心海
Bounds of correlation function and spectral perturbation in stochastic thermodynamics. Mathematical physics of the Gibbs state and KMS condition with locality. Thermodynamic bounds on local boson model. Interplay between quantum Lindbladian/non-Markovian dynamics and thermodynamics bounds.

ネットワークの頂点順序推定によるコミュニティ検出

大学院学生(羽田野研) 越智 昌毅,(国研)産業技術総合研究所 川本 達郎
複雑ネットワークにおいてコミュニティ構造の検出は重要な課題である.我々は,コミュニティ構造が隣接行列プロットを通して可視化されることに着目し,そのために不可欠な頂点順序推定を行う手法を提案した.Ordered random graph model という統計モデルを用いて最尤推定を行なった.

ホップフィールドモデルにおけるエントロピーの生成

大学院学生(羽田野研) 王 鑫,教授 羽田野 直道
連想記憶の生成過程に伴うエントロピー生成を確率熱力学で理解しようとしている.

羽田野ネルソン型非エルミート系における量子伝導の研究

特任研究員(羽田野研) 井村 健一郎,教授(広島大) 高根 美武
羽田野ネルソン型非エルミート量子1次元系にエルミートなリード線をつなげた系の散乱問題を検討した.非エルミート部分では通常の確率密度の保存則が成り立たない.確率密度の流れを適切に定義すると,非エルミート版確率密度の保存則が成り立つことを示した.

量子アクティブ粒子:古典極限と多体系への拡張

大学院学生(羽田野研) 山岸 愛
非ユニタリ量子ウォークを用いて定義された量子アクティブ粒子 (Yamagishi et al., 2023) の数値的古典極限を調べた.また,その量子アクティブ粒子のモデルを多体系に拡張する第一歩として,近藤模型のような相互作用をする二体量子ウォークを提案した.

量子系に対する温度勾配の導入方法の構築

大学院学生(羽田野研) 牧口 乃大,助教(東京理科大) 豆田 和也
温度勾配の効果を重力場の効果と近似し,曲がった時空の場の理論を用いて量子系への温度勾配導入方法を構築する.

開放量子系のパスの可逆性と不可逆性の研究

大学院学生(羽田野研) 石崎 未来,助教(羽田野研) 李 宰河
開放量子系のダイナミクスの可逆性と不可逆性を,注目系の各初期状態から始まるパスの交わりの観点から研究する.

開放量子系の作用素解析

大学院学生(羽田野研) 尚 程,教授 羽田野 直道

開放量子系の有効リウビリアンを用いたGKSL方程式の導出

大学院学生(羽田野研) 金川 隼人,教授 羽田野 直道
開放量子系の解析に有用な射影演算子を新たに定義して,開放量子系の時間発展を有効リウビリアンの方法で解析した.その結果,開放量子系の時間発展をGKSL方程式で記述されるマルコフ的時間発展とそれ以外の非マルコフ的時間発展を司る部分に分割することができた.この結果は多くの場合マルコフ的領域に留まっていた開放量子系の研究を,非マルコフ的領域にまで系統的に拡張する際に有力な方法となることが期待される.

非エルミート系における量子もつれのダイナミクス

PD(東大) 折戸 隆寛,特任研究員(羽田野研) 井村 健一郎
非エルミート量子力学系では固有状態の性質が通常のエルミート系の場合と大きく異なることが盛んに議論されているが,波束のダイナミクスもまたエルミート系の場合と定性的に異なる.羽田野ネルソン模型の清浄極限では量子干渉が抑えられて古典的な拡散現象が見られ,不純物強度の増加と共に量子干渉が回復する.本研究では,多体効果も取り入れて,量子もつれのダイナミクスを調べた.

非エルミート重い電子系超伝導体の例外点の物理

日本学術振興会PD(羽田野研) 平良 敬乃
重い電子系に現れる非エルミートな有効模型に特有の例外点付近での超伝導状態の変化を明らかにする.

量子乱数の真性の検証

三菱電機 鶴丸 豊広,特任准教授(大阪大) 市川 翼,講師(高エネルギー加速器研究機構) 田窪 洋介,講師(東大) 佐々木 寿彦,助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子暗号理論をはじめとした現代量子技術の基本的な前提とされる量子乱数の真性について,量子乱数と古典的な疑似乱数との弁別可能性を各種の乱数性の尺度から論じ,その基礎付けを検証する.

量子系におけるエントロピー生成とスペクトル摂動の関係の分析

大学院学生(羽田野研) 童 心海,助教(羽田野研) 李 宰河
量子系におけるエントロピー生成とスペクトル摂動との関係を分析し,古典系における結果との比較を通じて,量子系の特質に対する知見を深める.

量子論における Schrödinger の不確定性関係と Böttcher-Wenzel 不等式の拡張

学部学生(芝浦工業大) 真弓 愛菜,助教(羽田野研) 李 宰河,教授(芝浦工業大) 木村 元
量子論における Schrödinger 不等式と Böttcher-Wenzel 不等式の拡張を提唱し,とりわけ量子ゆらぎの不確定性関係における物理量の非可換性の意義の一層の明確化を図る.

赤外パルスを用いた気相分子の振動回転励起に関する研究

教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴,大学院学生(芦原研) 津坂 裕己
赤外超短パルスレーザーを用いた分子振動励起により化学結合の選択的な切断・生成が可能になると期待されている.これまで,気相分子に対して解離反応を制御した例が報告されているが,複数分子の関わる会合反応などに適用するためには分子の回転運動を制御することが重要となる.本研究では,赤外ポンプ・プローブ分光法による気相分子の振動・回転励起ダイナミクスの観測に取り組んでいる.本年度は,気相分子の第11振動励起状態への励起と高振動励起状態における回転波束の生成を理論・実験の両面から実証した.

赤外プラズモニクスを活用した電気化学反応の新規振動分光法の開発

教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴,大学院学生(芦原研) 万 秋明
電気化学反応は,環境・エネルギー問題を解決するための有望なエネルギー変換技術の一つである.そのメカニズムを解明するためには,電極表面における分子の構造を理解することが不可欠である.赤外分光法は,分子の構造を非破壊的かつその場で測定できる強力なツールであるが,本質的に測定感度に乏しいという欠点がある.そこで本研究では,金属ナノ構造の表面プラズモン励起に伴う電場増強効果を利用した,電気化学反応を高感度に計測できる新規赤外分光法の開発に取り組んでいる.本年度は,赤外共鳴ナノスリット構造を作用電極とした電気化学セルを作製し,電気化学反応前後における電極表面分子の高感度赤外分光計測を実現した.

赤外モード同期レーザーを活用した微量分子検知手法の創出

教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴,大学院学生(芦原研) 宋 文清,大学院学生(芦原研) 藤原 心
赤外波長域は「分子の指紋領域」と呼ばれるように,分子振動の共鳴線が多数存在する.そのため,吸収・散乱計測により,分子構造解析,化学種の同定・定量分析が可能となる(振動分光法).本研究では,指向性・広帯域性・短パルス性をあわせもつ赤外モード同期レーザーを活用した新しい振動分光法の創出に取り組んでいる.吸収および分散に由来する信号が光源の輝度に比例して増大するバックグラウンドフリー分光法を開発し,気相分子の高感度検知を実現した.さらに,分子の吸収スペクトルとの相関を利用することで更なる高感度化が可能であることを示した.

赤外モード同期固体レーザーの開発とその周波数下方変換

教授 芦原 聡,特任研究員(芦原研) 卜 祥宝,特任研究員(芦原研) 張 哲元,大学院学生(芦原研) 洲鎌 英行,大学院学生(芦原研) 村田 拡輝,大学院学生(芦原研) 曾 可嘉,大学院学生(芦原研) 佐藤 葵
振動分光法に革新をもたらすキーデバイスの一つが,赤外波長域の広帯域コヒーレント光源である.本研究では,赤外波長 2 ミクロン帯で広帯域な蛍光スペクトルを示すクロム添加硫化亜鉛結晶を利得媒質とするモード同期レーザーの開発,特に高出力化に取り組んだ.また,このモードレーザーを礎に「分子の指紋領域」と呼ばれる長波長の中赤外フェムト秒パルス発生に取り組んだ.具体的には,誘導ラマン散乱,光パラメトリック発振,差周波発生などの非線形光学効果を活用するシステムを開発した.

円偏光照射によるナノスケール空間の電場分布制御

東京大学特別研究員(芦原研) 伊知地 直樹,教授 芦原 聡,助教(芦原研) 森近 一貴
ナノメートルスケールの金属微小構造に対してレーザーを照射した際に構造近傍に生じる増強電場は,化学反応の促進や微量物質検出などに有用である.本研究では,正方形構造に対して円偏光レーザーを照射した際に生じる空間的にねじれた増強電場の制御を試みた.電磁場の位相分布解析により,これまで存在が報告されていたものの原因が明らかになっていなかったねじれた電場分布が金属ナノ構造の持つ複数の共振モードに起因して生じる現象であることを明らかにした.金属構造の有する固有振動数と励起波長を適切に選択することで,所望する空間分布を有した増強電場を選択的に励起できることが確認された.

デバイス信頼性評価のための拡張型原子間ポテンシャルの開発

教授 梅野 宜崇
デバイス材料の信頼性評価のための高精度な原子モデリング手法の確立を目的として,電子状態の影響などを考慮し環境非依存性に優れた拡張型原子間ポテンシャルの開発に取り組んでいる.

ポリマー変形および破壊のマルチスケールモデリング

教授 梅野 宜崇
ポリマーの変形・破壊に及ぼす分子構造の影響を明らかにするための粗視化分子動力学モデリング,粘弾性体に特徴的な破壊挙動の解明のための有限要素モデリング法の研究を行っている.

固体結晶の理想強度に関する第一原理および原子モデル解析

教授 梅野 宜崇
材料強度の本質に迫るため,原子間結合の特性が支配する固体結晶の理想強度(理論強度)について密度汎関数理論第一原理計算および原子モデル解析(分子動力学法)による評価を行っている.

材料の原子レベル構造不安定性の研究

教授 梅野 宜崇
特にナノレベルにおける構造不安定現象を本質的に理解することを目的として,原子レベル構造不安定モード解析法を提唱し,様々なナノ構造体の変形・破壊現象の解明に取り組んでいる.

深層学習によるマルチフィジックス原子モデリング法の開発

教授 梅野 宜崇
深層学習を応用した,原子構造の変化による電子状態変化を高速に求めるためのシミュレーション法の開発を行っている.

反応分子動力学法による化学機械研磨シミュレーション

助教(梅野研) 久保 淳

樹脂・フィラー複合材料の強度特性評価の分子動力学法解析

助教(梅野研) 久保 淳

雨による急速かつ長時間にわたる地すべりの早期警報技術の開発(Project RRLL)【柏地区利用研究課題】

教授 清田 隆

Material point methodを用いた地震時の斜面崩壊解析

助教(清田研) 栗間 淳,教授(UC, Berkeley) 曽我 健一
近年大変位解析が行えることで注目を集めているMaterial point methodを用いて,地震時に発生する斜面崩壊を高い精度で解析が行える手法の開発を行っている.UC, Berkeleyのグループが開発しているオープンソースコードを共同開発し,手法を実装している.

可視型リングせん断試験機を用いた液状化発生メカニズムの解明

助教(清田研) 栗間 淳
液状化は,地盤内部の水圧上昇によって生じると考えられている.しかし,水圧が上昇するメカニズムはわかっていない.液状化の発生およびその被害の推定には,水圧の上昇と消散のメカニズムを明らかにする必要がある.本研究では水圧変動と粒子挙動の関係を可視型リングせん断試験機によって明らかにする.水圧変動時の粒子の挙動を動画解析によって把握し,それらの関係を明らかにし,液状化発生のメカニズムの解明を目指す.

光・精密技術に立脚した新しい価値の創出と社会実装

客員教授 菅谷 綾子
多様化する社会課題に対して,技術を複合的に組み合わせて新たな価値を創出し,社会実装していくことが求められている.そこで,東京大学生産技術研究所の持つ幅広い知見をもとに,産業界が培ってきた光利用技術および精密技術と他分野の技術との融合を推進し,将来的に社会が求める価値を産学連携で模索する.光・精密技術に立脚しつつ中長期的な未来の価値につながる研究テーマを創出する.このため,光・精密技術領域の最新の学術トピックについて話題提供・意見交換を行う研究会を2023年度は4回(6/13, 9/26, 12/19, 2/27)開催した.

産業で用いられる光学の教育

客員教授 菅谷 綾子
近年大きくなりつつある大学の光科学研究と産業界の最先端光学技術との乖離を埋めるため,産業に直結する光学の教育を行って次代の光学産業を担うリーダーとなり得る人材を育成することを目的としている.具体的な活動は以下の通りである.先端レーザー科学教育研究コンソーシアムCORALに参加,大学院学生に「光学産業における光学技術」の題目で講義1回(5/29)とレンズ設計実習「レンズ設計・基礎から実践まで」を2回(5/31, 6/1)実施,10月~1月に光工学特論の大学院講義を駒場Ⅱで開講.また,駒場リサーチキャンパス公開では6月10日(土)に小・中学生向け理科教室「光を感じて写真をとってみよう!」を開催した.

複雑流体物理学

准教授 古川 亮
複雑流体・ソフトマターの様々な動的問題について,主に数値シミュレーションを使用したアプローチを展開している: (i) ガラス転移の物理機構及びその周辺の課題に対する理論的な解明に向けた努力を主に展開しているが,今年度の主な研究内容は,以下の2点である:(シリカガラスの緩和ダイナミクスの理解)シリカガラスは実用ガラスの最も基本をなすガラス物質であり,「strong」ガラスに分類される.その緩和ダイナミクスはアレニウス的であり,非アレニウス的な緩和ダイナミクスを示す「fragile」ガラスと比較して,十分に理解されていると考えられてきた.しかし,その理解は現状でも定性的な議論の範疇を出るものではなく,実際にどのようにダイナミクスに支配されているのかは自明ではない.この問題については,フランス国立土木学校のアナエル・ルメートル博士と共に研究を行っており,シリカガラス・液体において緩和に主体的に関与する欠陥を同定するアルゴリズムの開発を行っている.今後,さらに研究を進め,シリカガラスの構造緩和との関係を明らかにする.(Stokes-Einstein則の破れ)また,"fragile"ガラス系で顕在化するStokes-Einstein則の破れについても,研究を進めている.従来は,過冷却度が十分に高くなく,ノーマルな液体領域と過冷却液体領域のクロスオーバー付近の検討にとどまっていたが,今回GPUシミュレーションによる高速化,大規模化を行い,かなり深い過冷却領域まで十分なデータを確保した.これにより,従来,曖昧にしか描かれていなかった動的不均一性との関係が明確となった.(ii)濃厚なブラウン,非ブラウン粒子懸濁液における近接場の流体力学的相互作用の効果について検討を行った:長距離の流体力学的相互作用は濃厚な粒子懸濁液系では遮蔽されることが期待されるが,一方で近接場の流体力学的相互作用の効果はこれまで十分に検討されてこなかった.今年度は,シアシニング現象が観測される非ブラウン懸濁液において,近接場効果を検討し,粘性の剪断率依存性などを量的に支配しうることを報告した.さらにこれに加え,ブラウン粒子(コロイド粒子)懸濁液の緩和過程における近接場効果の検討を行った.特に濃厚コロイド懸濁液の緩和過程においては,流体の有無により局所的な変位相関に質的な変化が見られるが,この変化はダイナミクスに著しい影響を与えることを見出した.観測された変位相関のパターンと一般的なガラス液体のスローダイナミクスとの関連についても調査を行っている.(iii)微生物が分散した液体(アクティブサスペンション)が示す異常なレオロジー現象に関して,流体力学的相互作用が果たす役割について検討を行った:大腸菌のようなpusher型の泳動メカニズムを持つ微生物が分散したアクティブサスペンションにおけるマイクロレオロジー研究を直接流体シミュレーションにより行った.流体力学的相互作用を考慮しない場合,サスペンションに浸した試験粒子が感じる抵抗は溶媒粘性で規定される抵抗を上回る.一方,流体力学的相互作用を考慮する場合,(微生物の密度や配向が試験粒子の前後で非対称性になることに起因して)非対称な流体力学的相互作用が作用し,試験粒子に対する強い駆動力として作用する.その結果,抵抗係数が顕著に減少しうることが明らかとなった.また,クラミドモナスのようなpuller型の微生物を模した微生物を分散させたアクティブサスペンションにおけるマクロレオロジー研究も展開した.以前に行ったpusher型モデル微生物のマクロレオロジーでは,異常な粘性の減少が観測されたが,puller型に対しては,著しい粘性の増加が観測された.これは両者の泳動メカニズムの違いに起因して,異常レオロジー現象を支配する粒子配向メカニズムが異なるためである.

原子分解能その場機械試験による酸化物結晶の変形・破壊挙動解析

准教授 栃木 栄太

建物の包括的耐震性能評価体系の構築に関する研究

准教授 浅井 竜也
建物の包括的耐震性能評価,すなわち,建物が倒壊にいたるまでの構造挙動,設備や天井等の非構造物の被害,地盤−建物間の相互作用,などを考慮した評価の体系について,実験,解析,被害調査に基づき構築を目指す.社会実装に向けてBIMとも連携させる.

キラル分子からなる結晶の半スキルミオン動力学

特任講師 高江 恭平
らせん状や渦巻き状など鏡像と重ならない複数の構造を示す「トポロジカル材料」の相転移を制御するモデルを新たに提案し,半スキルミオンが混み合った環境下では,拡散が抑えられるにも関わらず,半スキルミオン同士の合体・分裂により緩和が起こることを明らかにした.高密度スキルミオンの輸送制御への応用が期待される.

ソフトポーラスクリスタルにおける弾性不均一

特任講師 高江 恭平
金属有機構造体に代表される柔らかな多孔性結晶−ソフトポーラスクリスタル−においては,多孔質に吸着される分子の分布が非対称であるために,格子のひずみや硬さに分布(弾性不均一)が生ずること,さらには,超格子形成が起こることを,統計力学モデルにより示した.

ハイエントロピー合金のソフトニング

特任講師 高江 恭平,教授(東京都立大) 栗田 玲,准教授(東京都立大) 水口 佳一
ハイエントロピー合金は,多種(5種以上)の原子が混ざりあった結晶のことであり,その力学特性が注目されている.我々は,分子動力学シミュレーションにより,フレンケル欠陥の励起が起こることを見出した.

ITS(高度道路交通システム)における自動車の運動制御に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

ITS(高度道路交通システム)に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

「柏の葉地区における自動運転バス実証実験運行事業」に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

ビークルにおけるマルチボディ・ダイナミクスに関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

モビリティ・イノベーション連携に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

人間行動指標による公共交通システムの快適性評価【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

小型モビリティの自動運転システムにおけるHMIおよび車両・インフラ側のセンサーフュージョンに関する基礎検証【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

新たな鉄道技術の開発と推進及び鉄道と自動車交通のインタラクティブなシステムに関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大,教授 中野 公彦

次世代モビリティ評価シミュレーションに関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実証プロジェクト(METI)【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大,教授 中野 公彦,教授 大口 敬

超低速移動体の自立移動モビリティ評価【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

車両空間の最適利用に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

車輪 ・ レール系の知能化に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 須田 義大

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

受精プロセスの力学計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
受精には化学的機序と,力学的機序があるが,本研究は後者を高感度多自由度力計測機構を用いて実現している.光学顕微鏡,流路,ピペット,力計測機構を組み合わせている.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林 光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

生体シュリーレン顕微法

教授 川勝 英樹
濃度差のある溶液中での走流性,化走流等を可視化するためにシュリーレン顕微鏡で,配偶子の観察に適したものを実現している.

生殖細胞の力学的計測

教授 川勝 英樹
配偶子の力学的計測を行うために,力や水中の音に対して感度の高い検出方法を開発している.

空調パイプを用いた除湿・湿度制御に関する研究

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林 光
空調に広く用いられているパイプやダクトを湿度制御のために用いる研究

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

CT画像からの3次元血管形状自動抽出手法,血管形状編集手法の開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,講師(東大) 保科 克行,大学院学生(大島研) 陳 琰
CTのスライス画像を重ねて3次元血管形状を構築する際には,近接血管がくっついて認識してしまうことがあるほか,CT解像度程度の細い血管が分岐することに起因する血管の突起など,セグメンテーション処理において医学的知見に基づいて手動で補正しなければならない.また,動脈瘤が出現する過程を考察するため,動脈瘤を除去した血管形状をセグメンテーション領域に対して手動で編集する必要がある.本研究ではそれらの作業を自動で行うことのできるアルゴリズムの開発を目指す.

Image-Based Simulationにおける脳血管形状の血行力学に与える影響の考察

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,リサーチフェロー(大島研) 高木 清,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹
重大な脳血管疾患であるクモ膜下出血に対して,その主要因の脳動脈瘤の破裂に関連する手術ガイドライン作成が求められている.そこで,本研究では脳血管の血流を数値シミュレーションし,動脈瘤の発生,破裂のメカニズムの解明を目指している.シミュレーションに用いる3次元血管モデルについて,医用画像から血管抽出および,3次元構築の手法の問題点と解決法を検討する.さらに,モデルの中心線を抽出することにより形状をパラメータ化し,モデルをパラメトリックに変形して血管形状の血行力学に与える影響を考察する.

Willis動脈輪における血管形状のパラメータ化と形状分析

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰
血管内の壁面せん断応力(WSS)は,血管内皮細胞に直接作用を及ぼし,血管疾患の発生に関係する血行力的因子である.WSSは,血管形状に大きく影響される.本研究は,61例のMRA画像(Brain Vasculature database, BraVa)と9例のCT画像から抽出した脳部動脈血管スケルトンデータを対象とし,曲率とねじれ率からなる3次元形状パラメータを用いて血管形状の特徴を分析する.また,データ駆動型のアプローチにより,動脈瘤・狭窄症が起こりやすい脳主幹動脈形状の主成分分析を行う.

「総合的な探究の時間」に向けた探究学習デザインメソッドの開発

教授 大島 まり,准教授 川越 至桜,学術専門職員(次世代育成オフィス) 上田 史恵,学術専門職員(次世代育成オフィス) 志水 正敏,大学院学生(大島研) 山田 瑞季
高校「総合的な探究の時間」における探究学習において,生徒自ら取り組む課題を設定するためのワークショップを軸にした教材開発を目指すもの.

上顎骨の後上方移動術前後における鼻呼吸機能の流体解析

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 青柳 美咲
不正咬合や咀嚼機能の改善に顎顔面領域の外科治療が多く行われており,主として咬合関係や顔貌形態を基準に手術計画が作られる.しかし,術後に気道形態が変化することが指摘され,睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害が生じるおそれがある.上顎骨の移動が呼吸に与える影響は大きく機能的評価が必要であるが,上顎骨後上方移動に伴う鼻腔,咽頭部の変化に関する報告は認められない.そこで,医用画像から気道の3次元モデルを構築し,上顎骨後上方移動を伴う顎矯正手術が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすることを目的に解析を行っている.

機械学習による脳過灌流リスク予測に向けた医用画像における不確かさの定量評価

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 亀田 俊太郎
医療計測データに基づく不確かさを含めた血流シミュレーションは,過灌流リスクを非侵襲的に評価することが可能であるが,不確かさの設定方法が解析実行者で異なる場合,結果に差異が生じてしまう.本研究では血管領域分割に関するガイドラインを策定し,解析におけるパラメータの不確かさを定量化することで,不確かさ解析の実行者に依らない再現性の評価を行う.

深層学習を用いたMRA画像におけるウィリス動脈輪の中心線の自動抽出

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,大学院学生(大島研) 趙 子萱
This research explores the use of 3D Convolutional Neural Networks (CNNs) in automating the extraction of the Circle of Willis centerline from Magnetic Resonance Angiography (MRA) images. It develops three models: MRA-Centerline Model, MRA-Standard Centerline Model, and MRA-Standard Displacement Model, each aims at enhancing precision and reliability in MRA images analysis. These models are evaluated based on their learning progression, generalization capabilities, and predictive accuracy, using techniques such as loss curves, deformation histograms, and error boxplots.

腹部大動脈瘤におけるステントグラフトの3次元形状の経時変化の定量化

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,教授(東大) 高木 周,大学院学生(東大) 根元 洋光,講師(東大) 保科 克行
腹部大動脈瘤におけるステントグラフトを用いた血管内治療は,開腹手術に比べて患者への負担が小さいため広まっている.一方で,ステントグラフトのマイグレーションに起因した有害事象が発生しており,原因調査や対策が研究されている.本研究は,医用画像から得られたステントグラフトの中心線を抽出し,曲率や捩れ率等の形状パラメータとして定量化することで,ステントグラフトのマイグレーションによる有害事象の予兆を定量的に把握するための手法を開発する.医用画像から得られた中心線は画像ノイズを持つため,ペナルティ項付のスプラインフィッティング手法を適用することで,曲線の特徴を消さない平滑化を行う.

血流解析のための血管中心線を用いた血管モデル変形手法の開発

教授 大島 まり,(株)カイ 小林 匡治,大学院学生(大島研) 今井 直哉
動脈瘤や動脈硬化などの循環器系疾患は自覚症状はないが深刻な病気につながる.そのため予防や発症の予測がきわめて重要である.これらの疾患は壁面せん断応力(WSS)によって発症することがわかっている.WSSは血管形状に大きく影響を受けるため,血管形状とWSSの関係を解明することが必要である.しかし従来の研究では模擬的な形状や,実形状でも数十例のケーススタディを用いた研究にとどまっている.これは何百,何千例もの血流解析のための血管解析モデルの作成が困難であることが一つの要因である.また異なる形状の各解析結果間でのWSSの定量的評価が困難であることも一因である.そこで本研究では,解析モデル作成の時間を大幅に短縮し,かつ解析モデル間での表面位置対応を明確にすることでWSSの定量的評価を可能にする,血管中心線を用いた血管モデルの変形手法の開発を目的とする.

ProteinDF/QCLObotの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算エンジンであるProteinDFの研究開発を実装,毎年度性能をアップデートしている.今年度はAnderson法を中心にSCF計算の二次収束法を再整備した.任意のフラグメントが定義でき,フレキシブルな計算分子構造拡張シナリオが利用できる自動計算プログラムQCLO法を中心に,関連する様々なツールを搭載したQCLObotを引き続き整備した.また,エネルギー密度解析の主成分解析法を開発した.

SARS-CoV-2タンパク質の電子状態解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
SARS-CoV-2ウイルスの感染は,ACE2にスパイクタンパク質が結合することで始まる.そのため,スパイクタンパク質の阻害剤はCOVID-19の治療薬やウイルス検出剤の候補となりうる.本研究では,ACE2タンパク質のスパイクタンパク質に隣接する領域において正準分子軌道(CMO)計算を行った.60個のアミノ酸残基からなるACE2の計算モデルでCMO計算に基づき,正確な静電ポテンシャルを得ることができた.

がん抑制因子p53の転写活性化ドメイン由来ペプチドとMDM2タンパク質複合体の電子構造解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
がん抑制タンパク質p53は細胞ストレスに応じて活性化され下流遺伝子の転写を促しがんを抑制する役割を有する.MDM2は通常p53に結合し不要な細胞死を防いでいるが,がん細胞においては過剰発現しp53の働きを妨げることがある.そこでp53とMDM2の結合を阻害しp53を活性化することでがんを抑制する薬剤の研究開発が行われている.本研究ではMDM2に結合する部位のp53由来ペプチドを変異させた阻害剤に着目し,正準分子軌道計算によりMDM2との複合体の電子構造を解析した.その結果,複合体形成に伴う電荷の再配置や,変異ペプチドでは主にクーロン相互作用エネルギーで損得が生じていることを発見した.

アミロイド線維を形成する異常型およびその正常型ヒトプリオンの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
プリオン病は致命的な神経変性疾患であり,正常型プリオンタンパク質がミスフォールディングした異常型プリオンタンパク質の凝集体によって引き起こされる.1次構造が同じであるプリオンタンパク質において,正常型が異常型に構造変化する原因は未だ不明である.本研究では,ヒト正常型プリオンタンパク質と異常型プリオンタンパク質の正準分子軌道計算を行った.正常型と異常型の電子構造は大きく変わっており,単体では正常型が安定して存在することを確認した.異常型プリオンの電子状態計算結果から層形成の相互作用エネルギーを見積もった結果,異常型プリオンは安定して層構造を形成することが明らかとなり,アミロイド線維化が進行しやすくなることが示唆された.

正準分子軌道法によるIGF-1受容体に結合したインスリン及びアナログの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 鄭 浩 傑
インスリンアナログは,血糖コントロールの改善を図るために開発されたが,インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)への親和性が高いため,潜在的な発ガン性に関する懸念が指摘されている.アナログに導入された変異の発ガン性に対する影響は不明であり,アナログの使用に伴うガンのリスクを確定または除外することは難しい.本研究では,正準分子軌道法により,インスリンアナログの単体構造とIGF-1RのL1ドメインとの複合体構造の計算を行った.その結果,変異した残基がインスリンの電子構造を大きく変化させ,L1ドメインのAspL38との相互作用によって親和性が変化する可能性が示唆された.IGF-1RのL1ドメインとの相互作用に重要な役割を果たす残基が同定され,アナログの設計に役立つ情報が提供された.

量子コンピュータによる化学反応シミュレータの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII: https://qii.jp/)に参画し,量子コンピュータによる量子化学計算について日立製作所と共同研究を実施している.本研究では,量子・古典ハイブリッドとは異なるフル量子コンピューティングアルゴリズムとそのプログラムを研究開発した.

平塚市・東大生研連携協力

教授 林 昌奎
この協定は,東京大学 生産技術研究所および平塚市の密接な連携と協力の下,海洋活用技術の研究開発を推進するとともに,新産業創出,人材育成等に寄与することを目的とする.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性といった課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験および数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

レーザー焼結の低温造形における,逐次凝固が寸法変化に与える影響に関する調査

教授 新野 俊樹
各層の造形ごとに凝固が生じるレーザー焼結の低温造形において,逐次凝固が造形される部品の変形や寸法誤差にあたえる影響に関する研究を行った.

レーザ焼結における樹脂の分解の機序に関する研究

教授 新野 俊樹
レーザー焼結の高速化をめざし,レーザーパワーの最大値を決定する樹脂の分解の機序に関する研究を行った.

染色した材料粉の近赤外光によるレーザー焼結に関する研究

教授 新野 俊樹
近赤外光レーザーを使用したレーザー焼結において,吸光剤をパウダーブレンドと染色による違いを評価する研究を行った.

溶解性マイクロニードル式低侵襲経皮ワクチンデリバリーパッチの新規開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏
生体分解性マイクロニードルのパッチ型無痛ドラッグデリバリーシステムの実用化を目指す.近年の薬剤学・高分子材料工学・マイクロ加工技術のさらなる進歩に伴い,美容分野において既に実用化しているヒアルロン酸やコラーゲンなどのマイクロニードルパッチに関して,新たなマイクロモールド製造技術を開発し,より安価・迅速・安定的な加工プロセスで高機能性パッチの大量生産が実現できるシステムを開発する.一方,インスリンや経皮ワクチンパッチ,ペプチド・タンパク性医薬品を含む難吸収性薬物の経皮パッチ等の開発と臨床実験を進めて,近い将来,医療の現場で既存の注射製剤や経皮吸収製剤と並ぶような,マイクロニードルを用いた革新的ドラッグデリバリーシステムの実現を図る.

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究を進めている.

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

バイオ薬剤の常温乾燥保存法の開発

教授 白樫 了,助教(白樫研) 松浦 弘明
リポソーム薬剤やタンパク質を主成分とするバイオ薬剤の多くは,液状あるいは凍結状態で流通しており,長期間の高品位保存ができない場合が多い.本研究では,これらの薬剤を常温で品質を維持したまま保存するための保護物質の選定・調合,乾燥手法の開発を目的とする.

医療検体試料の高品位保存に関する研究

教授 白樫 了,DIRECTOR-AT-LARGE - Indo-Pacific. Rim (ISBER) 古田 耕
血液や組織等の臨床検体に含まれるバイオマーカ,DNA, RNA等には,検体を取り出した個体特有の生物学的状態を反映した情報が,多く含まれている.この様な生体分子の劣化を抑制して保存することは,個別医療で重要な生理状態の情報を保存することに他ならない.本研究では,これら臨床検体を高品位且つ簡便に凍結や常温乾燥することで保存する手法の開発を行う.

広帯域誘電分光によるパン生地粘弾性特性の予測

教授 白樫 了,准教授(埼玉大) 上野 茂明
パン生地の粘弾性は,製品の品質を左右することが知られているが,現状では経験的に製造条件・評価を行っている.本研究では,含水量と混錬時間が異なるパン生地の粘弾性特性を,広帯域誘電分光スペクトルの緩和時間解析より簡便に予測する手法の開発を目指す.

水分子ダイナミクス測定と分子計算によるタンパク質劣化と最適保護物質特性の予測

教授 白樫 了,助教(白樫研) 松浦 弘明
ワクチンやタンパク質薬剤の多くは,液体であり薬効のある分子が水溶液中に存在している.この様な液体中の薬剤は,劣化が進みやすいため,保護物質を添加して有効期間を延ばしているが,その選択は経験的であり,保護物質分子の性質・構造から薬剤の劣化速度を予測し,適切にスクリーニング・設計する指針がない.本研究では,劣化の鍵とみられるタンパク質薬剤の溶媒である保護物質水溶液中の水の分子回転緩和時間を誘電分光により測定し,タンパク質薬剤の失活速度を予測する手法を開発する.さらに,保護物質分子周囲の水分子の回転緩和時間を左右する保護物質分子に由来する素現象を,分子動力学法により計算されるタンパク質や保護物質等の溶質分子周辺の分子運動を解析することにより見出し,保護物質の構造と水分子の回転緩和時間の相関を調べる.

生体由来物質内の結合水の定量化に関する研究

教授 白樫 了,教授 平川 一彦,教授 工藤 一秋,助教(白樫研) 松浦 弘明
生体をはじめとする様々な材料内に存在する結合水は,誘電分光や赤外分光等により検出することができるが,それらの測定値の相互の関係は必ずしも明らかではない.また,定量化された値が材料の物性に及ぼす影響も明確ではない.本研究では,特に生体由来物質や生体保護物質を対象材料として,内部の結合水を定量測定する測定・解析手法を開発すると共に,実験データを通じて上記の点を明らかにする理論の構築を目的としている.

ITS技術の鉄道車両への展開【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

フィールドロボティクス技術を活用した走行実験【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

ロボットビークルに関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

自動運転技術に関する車両走行実験【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

自動運転技術,運転支援技術に関するドライビングシミュレータ実験【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

電気自動車技術に関する車両走行実験【柏地区利用研究課題】

教授 中野 公彦

カーボンナノチューブ複合材料ひずみセンサの開発

教授 岡部 洋二,特任助教(岡部(洋)研) 于 豊銘,大学院学生(岡部(洋)研) 宋 毅恒
カーボンナノチューブ複合材料の,ひずみが加わると電気抵抗が変化する特性を利用して,構造物への組み込みに適したひずみセンサや振動センサを開発する.

損傷形態の判別のためのAE計測法とデータ解析法

教授 岡部 洋二,特任助教(岡部(洋)研) 于 豊銘,大学院学生(岡部(洋)研) CHEN Weikun,大学院学生(岡部(洋)研) 李 典京
構造材料に発生するAE波形を正確に計測するための遠隔AE計測システムの開発と,そのAE計測データから損傷形態を判別可能にするためのデータ解析法を構築する.

超音波ガイド波による複合材料構造の損傷モニタリング

教授 岡部 洋二,助教(岡部(洋)研) 齋藤 理,特任助教(岡部(洋)研) 于 豊銘,大学院学生(岡部(洋)研) 譚 朗星,大学院学生(岡部(洋)研) 董 澤宇,大学院学生(岡部(洋)研) LAN Zifeng,大学院学生(岡部(洋)研) CHEN Weikun
複合材料およびハニカムサンドイッチ構造に対して超音波ガイド波を伝播させ,その伝播挙動の変化や散乱波,非線形ガイド波,局所欠陥共振などの現象を利用することで,剥離や亀裂等の微視的な内部損傷の発生をモニタリングあるいは非破壊検査する手法の構築を試みている.

高温用光ファイバ超音波センサの研究開発

教授 岡部 洋二,特任助教(岡部(洋)研) 于 豊銘,特任研究員(岡部(洋)研) 李 梓萱,大学院学生(岡部(洋)研) 徐 傳恒
800度レベルの高温環境でも超音波受信およびAE計測を可能にするため,高耐熱性の被覆を有する再生PSFBG光ファイバ超音波センサを開発する.

パッシブTHz近接場顕微技術の開拓

教授 梶原 優介,大学院学生(梶原研) 杉村 怜哉,大学院学生(梶原研) 湯 紀洲,大学院学生(梶原研) 周 文韜
テラヘルツ波(波長10 μm~1 mm)は,分子運動や格子振動など物質現象のモードがほとんど含まれる極めて重要なスペクトル領域である.本研究では試料自身の局所挙動にともなって僅かに生じるテラヘルツエバネッセント波を,外部から光を照射せずに「パッシブ」かつ「ナノスケール」で可視化する顕微鏡を開発している.使用する検出器は単一光子レベルの感度を持つCSIP(Charge Sensitive Infrared Phototransistor)であり,近接場光学系導入により空間分解能20 nm(検出波長: 14.5 μm)を達成している.最近では誘電体上の表面フォノン等の検出・解析や,グラフェン等の非平衡現象の観測,実デバイス上のエネルギー散逸観測などの応用展開のほか,極低温試料測定や近接場分光への拡張を進めている.

樹脂内部物性評価法の開拓

教授 梶原 優介,助教(梶原研) 木村 文信,リサーチフェロー(梶原研) 吉田 一朗,特任研究員(梶原研) 陳 偉彦
プラスチック成形品の非破壊的な内部残留応力評価法として,テラヘルツ(THz) 偏光に対する高分子配向の応答を利用する方法の妥当性を検証している.THz 偏光依存性と残留応力に起因する寸法変化との間に相関関係があることが示されたため,差周波THz光源を導入した偏光特性評価光学系を構築し,本計測法の確立を推し進めている.

表面微細構造を利用した金属/樹脂直接接合技術の開拓

教授 梶原 優介,助教(梶原研) 木村 文信,大学院学生(梶原研) 陳 偉彦,大学院学生(梶原研) 王 鑠涵,大学院学生(梶原研) 大房 徹也,大学院学生(梶原研) 任 家興,大学院学生(梶原研) 崔 鈡祺,民間等共同研究員(梶原研) 石岡 英悟
金属表面にマイクロ微細構造を創製し,インサート射出成形を行うことによって強固な金属/樹脂接合について,表面処理や成形条件の最適化,および接合メカニズムの解明を進めている.現在は化学エッチングによって表面処理を行ったアルミニウムとPBTの直接接合に成功し,射出圧や保圧,アニール条件の最適化,および SEM, TEMによる断面観察を通した接合指導原理の解明を進めている.加えて,微細構造を応用したCFRPの接着技術に関する研究も行っている.

マルチセンシング機構解明のためのマイクロ流体デバイス開発

教授 松永 行子

三次元微小血管モデル作成技術を基盤とした,ポリクローナル転移時におけるがん血管内外浸潤動態の解明

教授 松永 行子,大学院学生(松永研) 池田 行徳

指先毛細血管情報による健康管理ツールの開発

教授 松永 行子

科学とデザインによる健康デザインに関する研究

教授 松永 行子

3次元微小血管モデルを用いたがん細胞の血管内侵入の分子機構の解明と治療への応用

東京大学特別研究員(松永研) 高橋 和樹,教授 松永 行子

10nmの分解能を有する接触式工具長測定器の開発

准教授 土屋 健介
精密切削加工の精度を従来より1桁向上させるために,0.1µmの分解能を有する接触式工具長測定器を開発する.測定器はシーソー構造とエア圧によって接触子を微小な力で工具に接触させる.これにより,微小な工具を破損したり,回転する工具で接触子が摩耗したりせずに,工具長を測定することができる.この接触式工具長測定具の有用性を検証し,事業化可能性調査を実施する.

CFRPに対するPCD工具の切削特性に関する研究

准教授 土屋 健介

CFRP用切削工具の評価技術および切削現象メカニズムの研究

准教授 土屋 健介

CFRP用工具ベンチマーク

准教授 土屋 健介
CFRP用工具について,市場調査と過去の切削試験の知見に基づいて切削試験の評価基準を提案する.

CMG(Chemo-Mechanical Grinding)砥石における反応機構の解明

准教授 土屋 健介
従来不明だった砥粒と被削材での化学的反応機構を明らかにすることで,様々な次世代半導体材料に応じた最適な砥粒(金属酸化物等)の選定を,総当たり的な実験ではなく理論的に行うことができるようにする.

安定した印刷の実現に向けた印刷ツールの最適化

准教授 土屋 健介

工具材料の金属組織最適化によるラッピング工具表面制御

准教授 土屋 健介
ハードディスクドライブの磁気スライダ製造プロセスのラッピングプレート材料としてスズ合金が使用されているが,不安定性の問題があり,それがラッピング特性とプレート寿命に影響を与えることが実験的に観察されている.本研究の目的は,スズ合金ラッピングプレートの既存の不安定現象を金属組織の観点から明らかにし,安定したプレート表面を得る方法を見出すことである.ラッピングプレートの金属組織の状態を制御し,工具製作条件を最適化することでプレート表面を安定化させ,工具寿命向上,製品品質を改善する.

樹脂材料の鏡面切削加工

准教授 土屋 健介
樹脂材料の機械加工において,工具と材料の接点で生じる加工現象に着目し,工具・工作機械・加工条件を最適化することによって高効率かつ高精度な加工を実現する.

樹脂材料の高速精密機械加工技術の開発【柏地区利用研究課題】

准教授 土屋 健介

物理的作用による加工技術表現方法の標準化およびAI運用ガイドラインの検討

准教授 土屋 健介

研磨研削工程の加工点精密観察および制御

准教授 土屋 健介
ガラスと砥粒の界面で生じる加工現象の素過程を,力学的・化学的観点から解明する.そのために,顕微鏡観察下で,単一砥粒で材料を加工し,その時の微小な加工力および加工前後での砥粒・材料の変化を計測する.

破壊現象のコントロールによる切断加工性能向上の研究開発

准教授 土屋 健介
樹脂材料の切断現象のメカニズムを明らかにし,射出成形金型のサブマリンゲートの切断性能を向上させる.そのために,シミュレーションと実際の切断現象との比較検証により,切断結果の予測手法を確立したのち,実際の金型に結果を応用し,サブマリンゲートの設計指針を提案する.

走査型電子顕微鏡下における単一砥粒の加工試験・分析の一貫システムの構築

准教授 土屋 健介
本研究の目的は,機械化学研削加工において,微視的な機械的・化学的現象を理解するために,単粒加工試験と分析とを電子顕微鏡観察下で行う一貫システムを構築することである.固定砥粒による機械化学研磨加工は,次世代半導体材料の加工技術であると同時に,持続可能な開発目標(SDG's)の一部として注目されているが,その加工メカニズムに不明点があり実用化に至っていない.本研究では,多軸の微小力センサを有するマイクロマニピュレータを用いることで,数μm~サブμmの砥粒一粒に注目して,加工点,荷重,加工速度を自由に設定し,様々な条件の加工試験を可能にする.また,加工試験自体を電子顕微鏡観察下で行うことで,砥粒・加工物・切屑について,加工中の挙動と,形状や成分の分析をその場で観察・分析することができる.これらによって,単一砥粒による機械化学研削加工を詳細に解明し,各種条件最適化によって加工性能を向上させる.

難削材加工における超高圧クーラントに関する研究

准教授 土屋 健介

STEAM教育に向けたオンライン教材開発

准教授 川越 至桜,教授 北澤 大輔,教授 大島 まり,准教授 八木 俊介,准教授 ヘイチク パヴェル,准教授 杉浦 慎哉,准教授 酒井 雄也
オンライン学習が急速に普及し,ポストコロナでは教育のあり方も大きく変化すると予想される.今後は,オンライン学習を活用するとともに,教室や人がいる場の良さを生かした新しいオフライン教育が求められる.本研究では,オンライン学習を支援するためのデジタルコンテンツを開発するとともに,それらを活用したオフラインでの教育プログラムを開発する.その際,本所で行われている研究をSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, and Mathematics)という観点から整理することで,初等中等教育における「理数探究」や大学・大学院でのProject-Based Learningなどの基盤となる教育プログラムにもつなげていく予定である.

天文学を軸とした次世代育成とSTEAM教育

准教授 川越 至桜,特任専門員(自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター) 日下部 展彦
天文学は総合科学であるとともに観測機器の設計やデータの可視化など学際的な分野であり,STEAM教育の題材として適している.本研究では,都内の中高一貫校の天文部にて,STEAM教育を念頭においたプログラムを開発し実践した.その結果,生徒たちは天文学のみならず,望遠鏡やプラネタリウム本体,エアドームの設計・製作,データ解析および可視化等,様々な知識を深めることができた.従って,天文学を軸としたSTEAM教育を実践することができたと考えられる.

産業界との協働による新しいSTEAM教育活動・ワークショップの研究開発

准教授 川越 至桜,教授 大島 まり
産業界と協働したSTEAM教育として,東京大学生産技術研究所の次世代育成オフィスが中心となって実験教材を開発し,産学連携ワークショップを実施した.また,それを基に初等・中等教育で使用できる映像教材を開発した.その結果,実験教材を用いたワークショップは,科学技術や産業界への興味・関心を喚起し,理科や科学の学習に有効であった.また科学技術の社会的な役割や意義を理解する上でも有効だと考えられる.

天文学を題材とする課題把握・俯瞰能力向上の為のVRを活用した教育プログラム開発

准教授 川越 至桜,大学院学生(川越研) 福島 広大
社会や経済が急速に変化する現在,地球環境や人間社会において世界が一丸となって取り組むべき規模の課題が山積している.これらの解決には,私達一人一人が自分事として課題を捉え認識し,また様々な情報の俯瞰を通して課題把握する事が重要である. 本研究では地球環境や人間社会に対する俯瞰能力および課題把握能力の向上を目的とした教育プログラムの開発を目指す.その上で,巨視的規模までを包括的・学際的に扱う学問である天文学を題材とし,広い視点から社会を俯瞰するとともに,VR(仮想現実)による没入感を活用し,地球規模の諸課題を自分事として認識し把握できる教育プログラムを開発する.また本教育コンテンツ活用を通し,俯瞰能力および課題把握能力の向上を検証する上で,その評価基準および方法の開発も行う.

探究型学習における教育データ分析と「総合的な探究の時間」の評価方法の開発

准教授 川越 至桜,大学院学生(川越研) 中澤 紀香
平成30年に告示された新学習指導要領では,高等学校の「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変更され,教科等横断的な学習を往還し,社会で生きて働く資質・能力を育成することが目指されている.また,生徒の学習状況の評価方法として「信頼される評価の方法であること」「多面的な評価の方法であること」「学習状況の過程を評価する方法であること」の三つが重要とされている.しかし,具体的な評価方法については明示されていないことから,どのように評価を行うのかが教育現場では課題となっている. 一方,文部科学省によりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けた一部の高等学校等では,理数系の課題研究が実施されている.SSH事業は20年以上にわたり実施されており,各SSH校での取り組みは研究開発実施報告書という形で報告され,探究活動やそれらの評価に関するノウハウが蓄積されている. 本研究では,SSH各校で実施されてきた評価方法の分析から,理数系を題材とした探究型学習における評価基準や評価方法を整理する.そして,理数系に限らない「総合的な探究の時間」に応用するための課題を明らかにするとともに,その評価方法を開発する.

緊張感緩和を目的とした自己鏡映像との対話システムの開発とその検証

准教授 川越 至桜,大学院学生(川越研) 小野 秀悟
自己対話は,自己の目標の実現に向けて客観的に自己を見つめる手法の一つであり,教育場面で日常的にセルフケアを行えることで期待されている.また,自らの言葉で自分自身に教示を与えることにより,自己の行動や情動を変容させる自己教示法(内言)がある.内言については,スポーツパフォーマンスに与える影響が調べられており,不快感情が軽減される可能性が示唆されている.一方,自己対話や内言は他人が存在しないため,意識的にかつ日常的に行いにくいと考えられる.そこで本研究では,自己鏡映像に着目し,脳内にいる自己の存在を視覚・聴覚的に具現化し,自己対話における内言を人工的に模倣するシステムを開発する.開発したシステムについては被験者実験を行い,不快感情の一つである緊張感の緩和に効果があるかどうかを,スピーチ課題と質問紙調査により検証する.そして,心の中で行われる通常の自己対話(自然発生的な内言)と比較し,内言を人工的に模倣したものであっても,緊張感の緩和に効果があるかどうかを明らかにする.

ケミカルルーピングによる高効率水素製造・CO2分離の性能向上

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Zhuang SUN,大学院学生(アズィッズ研) Chen Xiangxiang,国際研究員(アズィッズ研) Po-Chih KUO,大学院学生(アズィッズ研) Hafif DAFIQURROHMAN

デジタルツインによる水素・アンモニア燃焼の予測

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Rahmat WALUYO,大学院学生(アズィッズ研) 大平 和季

三重周期最小表面構造による水素貯蔵の高効率化

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Luthfan Adhy LESMANA

水素・アンモニアによるエネルギーシステムの構築および経済性検討

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Du WEN,大学院学生(アズィッズ研) Jinyue CUI

水素燃料電池・電解セル向けのマイクロ多孔質材料の開発

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Jaeyeon KIM

鉄レドックスフロー電池の性能向上

准教授 アズィッズ ムハンマッド,大学院学生(アズィッズ研) Jeremiah BELVA

変形加工学に関する研究【柏地区利用研究課題】

准教授 古島 剛

海洋センシング

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

海洋センシングに関する連携研究【柏地区利用研究課題】

准教授 ソーントン ブレア

柔軟物の動的操り

准教授 山川 雄司
高速なビジョンとアクチュエータを用いて,柔軟物を動的かつ巧みに操り,様々なアプリケーションを創出することを目指している.

高速センサネットワークシステムとその応用

准教授 山川 雄司,特任助教(山川研) 金 賢梧
各種センサをネットワーク上に接続し,センサネットワークシステムを構築することにより実世界を高速かつ包括的に認識するシステム構築とその応用を目指している.

高速ロボットを用いた人間ロボット協調

准教授 山川 雄司
高速ロボットを用いて,人間とロボットとの協調をリアルタイムで実現することにより,従来の人間ロボット協調とは異なる次世代の人間ロボットインタラクションを目指している.

アフォーダンスを用いたインタラクションに関する研究

助教(山川研) 平野 正浩,准教授 山川 雄司

インフラ協調型レベル4自動運転のためのビジョンシステム

助教(山川研) 平野 正浩,准教授 山川 雄司

カームヘルスケアに向けたセンシング技術の研究

助教(山川研) 平野 正浩,准教授 山川 雄司

空間認識能力の向上にむけた深層学習理論の研究

助教(山川研) 平野 正浩,准教授 山川 雄司

高速ビジョンのITS応用

准教授 山川 雄司,助教(山川研) 平野 正浩
高速ビジョンを移動体に設置し,高速画像処理を駆使することにより,高速画像センシング技術によるITS応用を目指す.

海洋複合計測システムの実現に関する研究

特任准教授 福場 辰洋,講師 金 秀炫
海洋環境中において,生物地球化学的パラメタの複合計測とそれによる高度な海洋計測を実現するため,センサ・現場型分析装置の小型化・機能集積化を進める.環境DNAに関連した装置に関する研究を行う.

2Dフローサイトメトリーの開発と臨床応用

講師 金 秀炫

高感度リキッドバイオプシーを可能とするバイオマイクロシステムの開発

講師 金 秀炫

半導体ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用の制御と応用

教授 平川 一彦,助教(平川研) 黒山 和幸,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
半導体量子ナノ構造とテラヘルツ電磁波の相互作用とその応用に関する研究を行っている.特にスプリットリング共振器と呼ばれるテラヘルツ電磁波に対する共振器に近接させた量子ポイントコンタクト構造や量子ドットの電気伝導特性を調べ,テラヘルツ電磁波とナノ構造とが強く結合した系において発現する新しい物理を探索している.

半導体量子構造を用いたテラヘルツ光源・検出器の開発

教授 平川 一彦,民間等共同研究員(平川研) 高橋 和宏,大学院学生(平川研) 牛 天野,准教授(東京農工大) 張 亜,大学院学生(平川研) 早見 智乃介,大学院学生(平川研) 前田 凪,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
半導体量子構造を用いて,これまで未開拓であったテラヘルツ領域で動作する新規光源,検出器の開拓を行っている.本年度は,MEMSを用いたボロメータについて,(1)p型ヘテロ構造を用いることにより,MEMS共振信号をピエゾ抵抗効果により読み出すことができた.さらにバッファートランジスタを用いなくても,mVオーダーのrf信号を得ることができた.(2)大振幅非線形駆動時に梁内部で起こるモード間結合効果について実験と考察を行い,モード間結合が起きるとモードの振動線幅が大きく減少することを見出すとともに,非線形光学効果における4光波混合のようにパラメトリックな効果が観測されるなど,成果が挙がった.(3)半導体超格子中の伝導特性を調べ,電子散乱時間に関する知見を得た.

半導体量子構造を用いた固体冷却素子の開発

教授 平川 一彦,研究員(LIMMS) BESCOND Marc,大学院学生(平川研) 朱 翔宇,大学院学生(エックス・マルセイユ大) ETESSE Gueric,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
現代のLSIに代表されるエレクトロニクスの進歩を大きく阻んでいるのが発熱による問題であり,冷却技術は将来のエレクトロニクスの発展の鍵を握る技術と言っても過言ではない.我々は半導体へテロ構造のバンドを適切に設計し,熱電子放出と共鳴トンネル効果を同時に制御して実現できるサーミオニッククーリング技術に注目している.本サーミオニッククーリングにおいては,トンネル障壁を介して量子井戸に低エネルギーの電子が共鳴的に注入され,量子井戸を出るときには低くて厚い障壁を高エネルギーの熱電子が熱的に越えていく過程を用いる素子であり,電流を流すにつれて量子井戸層が冷却されていくデバイスである. 本年度は,高効率な冷却を目指して,量子井戸を複数個直列に接合した冷却素子構造を提案し,量子井戸内の電子温度を評価した.その結果,室温において80 K程度の電子温度の低下が観測されるとともに,光学フォノンのエネルギーに関連して,電子温度がバイアス電圧の掃引に対して振動的に変化することがわかった.

単一原子レベルの超微細加工プロセスと単一分子トランジスタ

教授 平川 一彦,協力研究員(平川研) 杜 少卿,大学院学生(平川研) 田 玥,教授(東北大) 平山 祥郎,助教(東北大) 橋本 克之,教授(京都大) 村田 靖次郎,助教(京都大) 橋川 祥史
我々は,原子レベルでの金属超微細電極の加工プロセスおよびそれを用いて作製した単一分子トランジスタの伝導の研究を行っている.本年度は,(1)単一水分子を内包したフラーレン分子の伝導特性の実験を行い,フラーレン分子に内包された水分子の回転モード励起の観測を行った.その結果,C60分子の中では水分子がオルソとパラ状態間を揺らいでいることが明らかになった.また,オルソ・パラの揺らぎプロセスも同定しつつある.(2)また,強磁場下での伝導も評価したところ,B < 2Tで分子のコンダクタンスがヒステリシスを示すことを見出した.(3)通電断線における臨界電圧の振る舞いから,1個の伝導電子から1個の原子へのエネルギー移動が原子を移動させる主な原因であることを見出し,その理論を構築した.

シリコン量子ビットの集積化に関する研究

教授 平本 俊郎,准教授 小林 正治,助手(平本研) 更屋 拓哉
CMOSによるバイナリーディジタル演算に代わるコンピューティング手法として量子計算が注目されている.本研究室では,量子計算に用いる量子ビットをシリコンで実現し,さらに多量子ビットを集積化する研究を行っている.大規模集積回路プロセス互換のプロセスを用いて集積化を実現する.

ナノスケールCMOSデバイスの特性ばらつきに関する研究

教授 平本 俊郎,准教授 小林 正治,助手(平本研) 更屋 拓哉
MOSトランジスタが微細化されるとともに,ランダムな特性ばらつきの影響が無視できないほど大きくなってきている.その原因は主にチャネル中の不純物数の揺らぎであるが,ばらつき原因は定量的にはまだ明らかとなっていない.本研究では,ランダムな特性ばらつきの評価と,そのデバイス・回路特性への影響について検討している.

MaaS時代における安心・安全なモビリティ環境実現に向けた利用状況分析・コンテキスト推定基盤

教授 瀬崎 薫,講師(東大) 西山 勇毅,助教(瀬崎研) 田谷 昭仁,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫,大学院学生(瀬崎研) 彭 何林訳,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 徐 立強,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 松野 有弥,大学院学生(瀬崎研) 大塚 理恵子,大学院学生(瀬崎研) 細沼 恵里,大学院学生(瀬崎研) 諸 震,大学院学生(瀬崎研) 荘 昊昱,大学院学生(瀬崎研) 石岡 陸,大学院学生(瀬崎研) 小野寺 文香,大学院学生(瀬崎研) 馮 愚桐,大学院学生(瀬崎研) 楊 闖,大学院学生(瀬崎研) 徐 小航,大学院学生(瀬崎研) 厚見 昴,大学院学生(瀬崎研) 顧 修聞,大学院学生(瀬崎研) 王 振博,大学院学生(瀬崎研) 伊藤 愛香,大学院学生(瀬崎研) 幸 童,大学院学生(瀬崎研) 高 天
MaaSにおいてはサービスの利用者属性,目的地のような従来用いられてきた利用状況に加え,利用者の身体状況など高度のコンテキストを考慮した最適化が求められている.本研究ではセンサを利用し,高度のコンテキストを推定する手法を開発すると共にその応用手法についても包括的に検討を行った.

無線センサネットワークにおける分散機械学習とセマンティック通信

教授 瀬崎 薫,助教(瀬崎研) 田谷 昭仁,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 細沼 恵里

モバイル・ウェアラブルデバイスを用いたコンテキスト認識と人・集団の行動変容促進

講師(東大) 西山 勇毅,教授 瀬崎 薫,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 徐 立強,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫,大学院学生(瀬崎研) 小野寺 文香,大学院学生(瀬崎研) 荘 昊昱,大学院学生(瀬崎研) 諸 震,大学院学生(瀬崎研) 厚見 昴,大学院学生(瀬崎研) 王 振博,大学院学生(瀬崎研) 伊藤 愛香,大学院学生(瀬崎研) 顧 修聞
最新のモバイル・ウェアラブルデバイスには複数のハード・ソフトウェアセンサが搭載されている.本研究では,それら複数センサデータの収集・分析基盤の開発と,機械学習等を用いた人・環境のコンテキスト認識技術の研究・開発を行う.さらに,人々のWell-Being実現に向けた,抽出コンテキストの人・集団への情報還元基盤に関する研究も行う.

Ego4D First-Person Video Collection Project

教授 佐藤 洋一,助教(佐藤(洋)研) 古田 諒佑,大学院学生(佐藤(洋)研) 八木 拓真,特任研究員(佐藤(洋)研) Yifei Huang,大学院学生(佐藤(洋)研) 西保 匠,大学院学生(佐藤(洋)研) Zecheng Yu,大学院学生(佐藤(洋)研) 舘野 将寿
ウェアラブルカメラにより得られる一人称視点映像を用いた人物行動のセンシング・理解技術はFirst-Person VisionやEgocentric Visionと呼ばれ,コンピュータビジョンの分野において近年注目を集めている.本プロジェクトは,First-Person Visionの研究開発に広く資することを目指し,Meta AI Labを幹事機関として世界各国の13大学が連携して大規模な一人称視点映像データセットの構築に取り組むものである.

一人称視点映像を対象とした few-shot アクティビティ認識

教授 佐藤 洋一,准教授 菅野 裕介,助教(佐藤(洋)研) 古田 諒佑,研究員(NTT人間情報研究所) 高木 基宏,大学院学生(佐藤(洋)研) 佐藤 禎哉
アクティビティ認識では,データ収集の難しさやアノテーションコストの問題を解決するために few-shot 学習モデルが研究されている.我々は,特に一人称視点映像を対象とした新たな few-shot アクティビティ認識手法の研究開発を目指す.

MEMS技術の超小型原子時計応用

教授 年吉 洋,特任研究員(東大) MENON Vivek Anand,共同研究員(年吉研) 肖 熠,santec Holdings(株) 諌本 圭史
MEMS技術により波長可変レーザーを用いて超小型の原子時計を構築する.総務省「令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募」に対して国立研究開発法人情報通信研究機構,東京工業大学,サンテック株式会社との連名で提案し採択された研究開発課題「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」のうち,本研究室において「原子時計主要構成部品の小型化の研究開発」を実施する.

DAGに基づく分散タイムスタンプ方式に関する研究

NTT社会情報研究所 大橋 盛徳,NTT社会情報研究所 張 一凡,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗,教授 松浦 幹太
データ活用のニーズの高まりに伴い,データの存在証明は金融取引の台帳管理と同様に重要となっている.昨今存在証明に使われることが多くなったブロックチェーンは,仮想通貨を起点とした技術であり,コンセンサスなどのセキュリティ対策や台帳の保存に多くの計算資源が必要である.ブロックチェーンを活用した存在証明の利用者は,これらのリソースに対して手数料を支払い利用する.しかしながら,データ操作ごとに手数料を支払い,存在証明を取得することは現実的ではない.そこで,我々はDirected Acyclic Graphs(DAG) と呼ばれる2次元のグラフ構造の台帳を利用した分散タイムスタンプ手法を考案した.本手法は,ブロックチェーンのような統一的な状態生成を廃し,ネイティブトークンを用いたインセンティブではなく自身のデータの存在証明確保自体をモチベーションとして,ユーザ自身が提供する計算資源で動作することを目指している.

LWE問題に基づく耐量子計算機暗号の高速化技術に関する研究

大学院学生(松浦研) 廣澤 佑亮,教授 松浦 幹太
量子計算機が実用化されると,現在利用されている公開鍵暗号の安全性が崩れ,耐量子計算機暗号と呼ばれている暗号技術へ移行する必要がある.中でも,LWE(Learning With Errors)問題という問題の困難性に基づいた暗号が有力視されているが,多項式乗算が処理のボトルネックとなることが知られている.実際,この処理を愚直に行うと,多項式の次数nに対してnの二乗のオーダーの計算量を要する.この多項式乗算を高速化する技法としてNTT(Number Theoretic Transform)という変換が知られている.本研究では,NTTで用いられる剰余パラメータの値に着目し,その値に応じて計算領域を効率的に利用することによるさらなる高速化手法を提案し,その検証を行っている.

Tor Hidden Serviceに対するTraffic Confirmation攻撃のためのオーバーレイ通信システム

助教授(警察大学校) 島田 要,教授 松浦 幹太
Tor Hidden Serviceは,匿名通信システムTorを使用したいわゆるダークネットの一部である.具体的には,Torネットワーク上でサーバのIPアドレスを秘匿しながら,そのサーバをホストとするサービスが提供される.一般に,Torやその応用システムで匿名性を低下させる攻撃の種類の一つとして,ある特徴を持つ通信(信号)が攻撃者の観測点で検出されたことを確認することによって通信経路を特定する攻撃(Traffic confirmation攻撃)がある.本研究では,Tor Hidden Serviceに対するTraffic confirmation攻撃において信号の発信者を確認可能とする技術を提案し,同攻撃の強度を高めることに成功した.さらに,最新のTor運用方針を踏まえた適用可能性について,分析を行った.

ブロックチェーンの安全性を強化し環境負荷を低減する検証証明技術

教授 松浦 幹太,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗
ブロックチェーンのネットワークでは,追記する取引情報の正しさを検証する同じ作業を,多くのノードが様々なフェーズで繰り返し実施する.検証を省略することによって利益を得る確率が高まるため,ノードが検証を省略するインセンティブが生じる.省略を許さない制約を加えると,全体として極めて環境負荷が高くなり,ビットコイン型の実装では欧州の中規模国1国に相当する電力消費にまでなるという試算もあるほどである.本研究では,各取引情報を少なくとも一つのノードが必ず検証し,しかも他のノードが低消費電力でその事実を確認できるメカニズムを提案している.これにより,ブロックチェーンの安全性強化と環境負荷低減を両立することができる.これまでに,実験的評価では,隔離されたノードでの有効性検証に成功し,副作用が無視できることを明らかにした.また,理論的評価では,とくに電子署名の安全性強化に関する新たな知見を得た.

動的に不正署名を生成するデバイスを追跡可能な集約署名とその応用

大学院学生(松浦研) 石井 龍,(国研)産業技術総合研究所 照屋 唯紀,(国研)産業技術総合研究所 坂井 祐介,(国研)産業技術総合研究所 松田 隆宏,大学院学生(松浦研) 林 リウヤ,教授 松浦 幹太,(国研)産業技術総合研究所/横浜国立大 松本 勉
集約署名は,複数の署名を1 つの署名に集約でき,全体署名長および署名検証時間の短縮という効率性を持つため,センサーネットワークなど多数のユーザやデバイスが署名を送信するシステムでの活用が期待されている.しかし,不正署名を1 つでも含んで集約すると集約署名は不正となり,検証者はどのユーザやデバイスが不正署名を生成したかを特定できない.さらに,上記のセンサーネットワーク等の応用では,多数のデバイスが定期的にデータと署名を送信し,かつ(故障などにより) 不正署名を生成するデバイスが時々刻々と変わることが自然に想定される.本研究では,そのような状況を捉えた追跡可能集約署名のモデルを導入し,その機能的要件と安全性要件の定義を行った.さらに,通常の集約署名とDynamic Traitor Tracing を用いた一般的構成を提案した.また,実応用のパフォーマンス評価を実験的に行い,既知の攻撃者が存在する環境の典型的なIOTシステムで活用するための条件を明らかにした.

悪性なスマート契約の分類とその検知技術に関する研究

大学院学生(松浦研) 五十嵐 太一,教授 松浦 幹太
ブロックチェーンシステムの中で実行されるコンピュータプログラムであるスマート契約は,暗号資産に関する取引を行う際に重要な役割を担うだけでなく,ブロックチェーンの応用を広げる際の安全性維持に大きな影響を与える技術となっている.だからこそ,スマート契約は,しばしば不正なユーザによる攻撃の対象となり,犯罪に利用される事例が発生している.本研究では,攻撃や犯罪に利用される悪性なスマート契約を体系的に分析した.そして,従来知られていた二種類ではなく,新たに詐欺行為を含む三種類に分類すれば攻撃の検知や対策技術の評価に有益であることを示した.その分類に基づき,スマート契約をネットワークに取り込んで実行する前に不正を検知する技術を開発した.

更新可能暗号と公開鍵系の暗号要素技術の関係について

大学院学生(松浦研) 谷下 友一,大学院学生(松浦研) 林 リウヤ,(国研)産業技術総合研究所 松田 隆宏,教授 松浦 幹太
更新可能暗号(UE)は,第三者に平文を秘匿しながら暗号文の更新を委託できる共通鍵系の暗号技術である.Alamatiら(CRYPTO 2019)は,UEから公開鍵暗号を構成できることを示した.Alamatiらの結果により,UE を構成するためには,少なくとも公開鍵暗号を構成するために必要な仮定と同等以上の仮定が必要となることが明らかとなった.本研究では,UEを実現するために必要な仮定に関して更なる知見を得るために,UEと他の暗号要素技術の関係を調べ,次の2つの構成可能性に関する含意関係を新たに明らかにした.(1)暗号化処理によって生成された暗号文と更新トークンがOblivious Samplability(OS)と呼ばれる自然な性質を満たすUEから2ラウンドの紛失通信が構成可能である.(2)暗号文更新処理によって生成された暗号文がOSを満たすUEから3ラウンドの紛失通信が構成可能である.

脳マイクロサーキットモデルの構築と回路実装

教授 河野 崇,助教(河野研) 名波 拓哉
神経細胞・シナプスレベルでの脳回路モデルを構築するとともにシリコン神経ネットワーク技術を用いて実装することにより,脳神経回路の動作原理を構築による解析アプローチで解明するためのプラットフォーム構築を目指す.

超低電力シリコン神経ネットワークの開発

教授 河野 崇,准教授 小林 正治,大学院学生(河野研) Ashish Gautam
超低電力アナログCMOS回路とFeFETとを組み合わせることにより,脳に匹敵する超低電力アナログニューロモルフィックハードウェア基盤を構築する.

ゲートドライバICによるパワーデバイスの過電流検出

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスの動作状態を監視する手法として,従来は温度センサを用いた接合温度測定や電流センサを用いた負荷電流測定などが行われるが,これらのセンサを使った手法はコストやサイズが増大してしまう.本研究では,ゲートドライバの出力電圧からパワーデバイスの動作状態を推定する手法を提案し,ゲートドライバICに集積可能にすることでコストやサイズの低減を実現する.

ゲート電圧波形の機械学習を用いたパワーデバイスの劣化推定

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスのゲート電圧波形から機械学習を用いて,パワーデバイス故障の一要因であるボンディングワイヤ剥がれを検出する手法を提案する.従来のボンディングワイヤ剥がれ検出手法と比較して検出回路に絶縁の必要がなく,ゲート電圧波形から抽出されるパラメータを用いて,負荷電流変動と温度変動にロバストなボンディングワイヤ剥がれ検出手法を構築する.

パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を解決するデジタルゲート駆動技術

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を確立し,パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を簡単・迅速・低コストに解決することを目指す.EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術の提案およびデジタルゲートドライバICの設計・試作・評価を行う.

パワートランジスタ駆動用の波形制御プログラマブルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクスとLSIの異分野連携により,パワートランジスタのゲート駆動電流をデジタルインターフェースで変えられるプログラマブルゲートドライバICを開発した.AIを使った自動最適制御によって,スイッチング時の損失低減とノイズ低減を両立するとともに,動作条件に応じた最適化手法の更なる高度化に取り組んでいる.

パワー半導体を省エネに操る自動波形変化ゲート駆動ICの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワー半導体のゲート端子を駆動する電流波形を自動で制御するため,ゲート駆動回路・センサ回路・制御回路をまとめて1チップ化し,省スペースかつ低コストで誰でも使うことができるゲートドライバICを開発する.従来のゲート駆動ICチップと置き換えるだけで,パワー半導体のスイッチング損失を低減でき,パワーエレクトロニクス機器が大量普及した社会の脱炭素化に貢献する.

小型・高効率を実現するハイブリッドDC-DCコンバータの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
従来の電源回路における効率と体積のトレードオフを克服するハイブリッドDC-DCコンバータの研究開発に取り組んでいる.特に,高入力電圧および高降圧比のアプリケーションに着目し,新しい回路トポロジーの提案と回路設計技術の開発に取り組んでいる.

絶縁型ハイブリッドDC-DCコンバータに関する研究開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
効率と体積のトレードオフを克服できる非絶縁型ハイブリッドDC-DCコンバータの回路トポロジーを参考にして,絶縁型DC-DCコンバータの同期整流回路に応用するための回路設計技術と新しい回路トポロジーの提案に向けた研究開発に取り組んでいる.

高エネルギー効率のピクセル近傍2次元CNNアクセラレータ

教授 高宮 真
画像認識を高エネルギー効率で行うことを目的として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズムの本来の特徴である注目ピクセルの近傍に対してのみ畳み込み演算を行う点を利用し,ピクセル近傍に集積されたデジタル回路を用いて外部メモリへのデータ書き込みなしでCNN演算を2次元的に実現する.

高耐圧IGBT向けデジタルゲートドライバの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
デジタルゲート駆動技術を高耐圧IGBTに利用するため,ゲート駆動の大電流化を実現するデジタルゲートドライバの開発・実証を行う.

ワイヤレス給電を活用した大容量キャパシタの新しい用途開拓に関する研究

助教(高宮研) 畑 勝裕
各種モバイル機器やEV等のモビリティなどはこれまで電池利用が一般的であったが,ワイヤレス給電技術の普及によって高頻度給電が可能となれば,電池に変わって大容量キャパシタを利用できるアプリケーションが数多く存在すると考えられる.そのため,大容量キャパシタとワイヤレス給電の融合に基づく新たな電源設計技術を確立し,大容量キャパシタの新たな用途開拓とシステム構築に向けた研究開発に取り組む.

非接触給電等によるエネルギー・モビリティ統合システムの研究開発

助教(高宮研) 畑 勝裕
自動運転技術やデマンド型交通などを利用した公共交通サービスではカバーできない過疎地域の移動課題を解決するため,次世代モビリティと給電インフラの協調によるエネルギー・モビリティ統合システムを開発する.

非接触給電舗装の実用化に関する研究

准教授(東京理科大) 居村 岳広,教授(東京理科大) 堀 洋一,教授(東大) 藤本 博志,助教(高宮研) 畑 勝裕,東亜道路工業(株) 阿部 長門
走行中充電における道路側コイルの電気的特性と機械的強度向上させた上で,アスファルトへの埋込み技術確立を目的とする.電気的特性(効率・電力など)と機械的特性(耐久性など)を従来コイルと比較し,経年劣化の評価を行い,埋込み深さの最適化,低コストコイル等の可能性を示す.

ダイヤモンド微小共振器技術の開発

教授 岩本 敏,助手(東大) 石田 悟己,主任研究員((国研)産業技術総合研究所) 加藤 宙光,研究チーム長((国研)産業技術総合研究所) 牧野 俊晴,教授(横浜国立大) 小坂 英男
近年,ダイヤモンド中の色中心を用いた量子センサや量子メモリなどの量子情報デバイスが高い関心を集めている.しかし,これら素子の効率は必ずしも十分ではなく,ダイヤモンド色中心と光子の相互作用を増強することによる高効率化の実現が大いに期待されている. 我々の研究室では,これまでにシリコンや化合物半導体を用いて培ってきたフォトニック結晶技術をダイヤモンドに展開し,量子デバイスの高効率化に資するダイヤモンドフォトニック結晶ナノ共振器の基盤技術開発を進めている.ダイヤモンド微小共振器構造の設計のほか,それを実現するためのダイヤモンド微細加工技術の開発にも取り組んでいる.

トポロジカルフォトニクス

教授 岩本 敏,准教授(慶應義塾大) 太田 泰友,准教授(京都工芸繊維大) 高橋 駿,教授(関西学院大) 若林 克法,教授(筑波大) 初貝 安弘,教授(横浜国立大) 馬場 俊彦,准教授(東北大) 小澤 知己,部門長(電磁材料研究所) 小林 伸聖,主任研究員(電磁材料研究所) 池田 賢司
物性物理学の分野で発展してきたバンドトポロジーの概念を,光の制御に適用することで,新たな現象の発現やそれを活かしたデバイスの実現を目指すトポロジカルフォトニクスの研究を進めている.我々の研究室では,特に集積フォトニクスへの展開を視野に,フォトニックナノ構造を基礎に研究を展開している.バレーフォトニック結晶と呼ばれる構造を用いて急峻な曲げがあっても高効率に伝搬する光導波路や,トポロジーの概念を用いて設計したナノ共振器レーザなどを実現するとともに,トポロジカルフォトニック結晶を用いたスローライトデバイスの提案などの成果を挙げている.また,3次元フォトニック結晶を用いたトポロジカルフォトニクスや,新たな磁気光学材料を用いた一方向性導波路,周波数次元も活用した人工次元トポロジカルフォトニクスに関する研究なども進めている.これらの内容の一部について,筑波大学,関西学院大学,京都工芸繊維大学,横浜国立大学,東北大学,電磁材料研究所との共同研究を進めている.

バンドトポロジー制御による弾性波制御

教授 岩本 敏,教授(筑波大) 初貝 安弘
バンドトポロジーの制御による波動制御は,光だけでなく音波や弾性波,機械振動などにも利用できる.我々の研究室では,バンドトポロジーの概念を活用して固体中を伝搬する弾性波の制御とその応用を目指した研究を進めており,完全フォトニックバンドギャップを有する一次元フォトニック結晶で弾性波のトポロジカル局在状態の実現に初めて成功している.最近では,GHz帯弾性波のオンチップ生成と制御が可能なバレーフォトニック結晶の設計を進めるとともに,その実現を目指し研究を進めている.

フォトニックナノ構造における光のスピン軌道相互作用とその応用

教授 岩本 敏,准教授(慶應義塾大) 太田 泰友
強い光閉じ込めが生じる細線導波路やフォトニック結晶導波路,ナノ共振器などでは,光のスピン軌道相互作用と呼ばれる現象が生じ,局所的な光の偏光状態と光の進行方向や回転方向との相関が生まれる.この効果を用いた光渦やフルポアンカレビームなどのトポロジカル光波を生成するオンチップデバイスや,物質との相互作用も活用した一方向性発光デバイスなどの研究を進めている.

電界制御型量子ドット─フォトニック結晶ナノ共振器融合技術の開発

教授 岩本 敏,教授(大阪大) 大岩 顕,研究員(ルール大ボーフム) Arrne Ludwig,教授(ルール大ボーフム) Andreas D. Wieck,特任研究員(岩本研) Sangmin Ji
電子スピン状態と光子の偏光状態は一対一に対応するため,スピンの持つ量子状態と光子の偏光状態の相互変換は,量子情報の転写・転送を可能にする技術として実現が期待されている技術である.電界制御型量子ドットは電子のスピン状態の高度な制御が可能であり,固体量子ビットを実現し得る系の一つである.本研究では,大阪大学との共同研究により,フォトニック結晶ナノ共振器を用いて電界制御型量子ドットと光の相互作用を増強することで,光子からスピンへの高効率変換を実現することを目指している.これまでに電界制御型量子ドットを導入できるフォトニック結晶共振器を初めて実現するとともに,共振器モードに起因する吸収増強効果の実証に成功している.量子状態の転写に必要な縮退型共振器の検討なども進めている.

高品質フォトニックナノ構造の作製技術開発とその応用

教授 岩本 敏,准教授(慶應義塾大) 太田 泰友
フォトニック結晶を中心とするフォトニックナノ構造の作製技術の深化を図るとともに,それを活用した固体共振器量子電気力学の基礎研究や,ナノ共振器レーザや量子光学デバイスへの応用を目指した研究を進めている.特にGaAs系フォトニック結晶ナノ共振器の高Q値化を目指した技術開発を進めており.世界最高品質の量子ドット−フォトニック結晶ナノ共振器強結合系の実現,時間分解発光測定による真空ラビ振動の観測などの成果を挙げている.その他転写プリント法を用いた量子ドット単一光子源のシリコンフォトニクス光回路等への集積化など,集積量子フォトニクスへの展開を目指した研究も推進している.

3 omega法による超精密熱伝導率測定系の構築

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

GHz帯音響波制御のためのフォノニック結晶ナノ構造の設計と評価

教授 野村 政宏,日本学術振興会 外国人特別研究員 Michele Diego,特任助教(野村研) キム ビョンギ

SiGe熱電変換デバイス開発

教授 野村 政宏,教授(東京都市大) 澤野 憲太郎,大学院学生(野村研) 小池 壮太,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
社会に広く普及する実用的な熱電変換デバイスの実現には,低環境負荷で高効率な熱電変換材料の開発が不可欠である.本研究では,バルク材料でも高い熱電性能を示すSiGeを用いてウェハ型熱電変換デバイス開発を進める.

SiNおよびSiC薄膜における表面フォノンポラリトンによる熱伝導

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) ウ ユンフィ

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

グラフェンによる誘電体薄膜の光学応答制御

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,教授 平川 一彦,特任助教(野村研) ウ ユンフィ,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda

グラフェンを用いたプラズモンによる高速熱伝導

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda

サーモリフレクタンス法による温度イメージング系の開発

教授 野村 政宏,特任助教(野村研) キム ビョンギ

ナノギャップ熱伝導に関する研究

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) 立川 冴子,国際研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda
物体表面からの熱放射はプランクの法則に従うが,異なる二物体表面が近接すると,プランクの法則を遥かに超える熱伝導が生じる.本研究では,ナノ・マイクロ構造形成技術により,高い熱絶縁性を持ったマイクロ構造中にナノギャップを挟んで向かい合う二平面を形成し,ギャップ幅を変えながら熱輸送の変化を観測する.

ナノスケール熱伝導の物理

教授 野村 政宏,教授(東大) 塩見 淳一郎,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人

ハーフホイスラー合金薄膜を用いた超高性能熱電デバイス開発

教授 野村 政宏,グループ長((国研)物質・材料研究機構) 森 孝雄,大学院学生(野村研) 小池 壮太,特任助教(野村研) 柳澤 亮人

フォノニクスによる熱伝導制御

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン
本研究では,周期が数百ナノメートルのシリコンフォノニック結晶ナノ構造を用いて,コヒーレントなフォノン伝導制御による熱伝導制御を目指し,理論・実験の両面から研究を進めている.エアブリッジ状のフォノニック結晶ナノ構造およびナノワイヤー構造を作製し,熱フォノンの波動性に基づいた熱伝導制御に成功している.

フォノニック結晶中の熱フォノン輸送シミュレーションに関する研究

教授 野村 政宏,特任准教授 アヌフリエフ ロマン
フォノンの平均自由行程よりも短い周期のフォノニック結晶中では,弾道的輸送特性およびバンドフォールディング効果により,バルクとは大きく異なるフォノン輸送が起こる.本研究では,モンテ・カルロ法によるフォノン輸送シミュレーションおよび有限要素法を用いた線形弾性論によるフォノンバンド解析を行い,フォノニック結晶中の熱輸送シミュレーションを行う.

フォノンのコヒーレンスを含む熱輸送理論

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) Zhongwei Zhang,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノンの消滅生成過程に関するシミュレーション

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) Zhongwei Zhang,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノン流体力学に基づく熱伝導

教授 野村 政宏,リサーチフェロー(野村研) Yangyu Guo,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,教授 町田 友樹,特任助教(野村研) コウ シン

半導体薄膜における熱フォノン平均自由行程測定

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン

平面型熱電変換デバイスの開発

教授 野村 政宏,教授(フライブルク大) Oliver Paul,グループ長((国研)物質・材料研究機構) 森 孝雄,大学院学生(野村研) 小池 壮太,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
社会に広く普及する実用的な熱電変換デバイスの実現には,低環境負荷で高効率な熱電変換材料の開発が不可欠である.本研究では,シリコンにナノ加工を行うことで,材料の電気伝導率を保ちつつ,熱伝導率を低減することで性能を飛躍的に高めることを目指している.本研究は,フライブルク大学(ドイツ)と共同で研究を進めており,マイクロマシン技術に基づいたオンチップ熱電変換能測定技術を用いて,様々な材料や構造の熱電特性の測定を進めている.

数学的構造を用いた炭素系材料における熱伝導制御

教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Xin Wu,特任助教(野村研) コウ シン,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

熱放射スペクトル制御による放射冷却構造開発

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任助教(野村研) ウ ユンフィ

量子中継応用にむけたダイヤモンドオプトメカニクス系のシミュレーション

教授 野村 政宏,教授(横浜国立大) 小坂 英男,教授 岩本 敏,特任助教(野村研) キム ビョンギ

非平衡グリーン関数法を用いた熱伝導率シミュレーション

教授 野村 政宏,リサーチフェロー(野村研) Yangyu Guo,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

定量免疫学

教授 小林 徹也
免疫は未知で多様な外敵を認識・学習し,速やかに外敵を排除する生体防御システムである.免疫による外敵の認識・学習において,T細胞・B細胞をはじめとした免疫細胞の多様性(レパートリー)とその変化が重要な役割を果たす.本研究では,免疫細胞集団の集団ダイナミクスモデルと,ハイスループットシーケンシングに基づく免疫レパートリー解析を統合し,我々の免疫状態がどのように維持され,また動的に制御されているか,その原理の理解に取り組んでいる.

定量発生学

教授 小林 徹也
着床前胚の形成は,1つの受精卵が多能性細胞を含む複数の状態の細胞に分化・脱分化をする哺乳類胚発生の最も単純な第一ステップである.複雑な多細胞構造が動的にまた空間的に形成される原理を理解するためには,発生の系譜を追跡し再構成することが不可欠である.本研究では,長期胚培養,定量的3Dタイムラプスイメージング,画像からの細胞核の自動同定,核の自動追跡アルゴリズム,発生系譜の統計解析技法,そして胚発生の力学モデルなどの技術開発に取り組んでいる.これらの手法は発生の理解のみならず,胚の状態を定量化し,その培養条件を最適化する応用にも貢献すると期待される.

定量細胞生物学

教授 小林 徹也
大腸菌,酵母,細胞性粘菌,培養細胞などの単細胞生物は,生命システムにおける定量的な法則を見出すためのよいモデルシステムである.本プロジェクトでは,様々な実験研究者と協力することで,多様な定量データに様々な数理・データ解析手法を組み合わせ,新たな法則の発見に取り組んでいる.特に我々は,1細胞レベルでの振る舞いと細胞ごとの確率性・多様性の結果として,どのように細胞集団の挙動や機能が実現しているか?に着目して研究を進めている.

生体情報処理の数理理論

教授 小林 徹也
生体システムは個体から細胞まで積極的に環境の情報を取得・処理し,運動・状態変化などの応答を決定する.しかし,ミクロな細胞を構成する化学反応は極めて確率的でノイジーである.ノイジーな化学反応を用いてどのように細胞は情報を扱い,そして情報をどう活用しているのか.その原理は明らかではない.本研究では,情報理論や情報熱力学をベースとして,動的に変化する環境の認識や探索に関する数理理論の構築を行っている.またそれを定量的な計測と組み合わせて,生体情報処理を情報の観点から理解することを探求する.

確率生体現象の数理と熱力学

教授 小林 徹也
細胞はすべての多細胞生物の構成要素であり,また化学反応はすべての細胞の構成要素である.細胞という微小環境に閉じ込められた,少数だが多種の反応群は極めて確率性の高い挙動を示す.本研究では,確率論に基づく数理理論の構築と,定量データを用いた理論の検証を通して,このような現象をどのように記述したら良いのか?分子の少数性は現象の定性的な振る舞いにどのような影響を持つのか?少数分子からなる平衡・非平衡系に成り立つ熱力学的法則は何か?といった問題を数理的な立場から解決することを目指す.

進化と適応の統一理論

教授 小林 徹也
生体システムは確率的に変動する環境に柔軟に適応する能力を有する.自然選択に基づくダーウィン進化は,環境適応の基本メカニズムの一つであり,生体は集団内に遺伝型・表現型の多様性を生成することで,未知の環境変動へのリスクを分散し,生存確率や適応度を高める.一方で,生体システムは環境を積極的に感知・予測し,事前に適応的な状態を選択することのできる脳の様な器官を発達させてきた.この2つの適応機構はどのように関連しているのか?本研究では,ダーウィン的自然選択と予測的情報処理に共通する情報論的変分構造を用いて,この2つの適応機構を理論的に統合し,生物の適応に関わる統一理論の構築とその応用に取り組んでいる.

半導体量子構造における電子スピンの光操作ならびに超高精度(10-18)周波数を有する光のファイバー伝送技術

客員教授 寒川 哲臣
本研究では,半導体ナノワイヤや量子井戸構造における光・電界・表面弾性波による電子スピンの操作・輸送現象の解明を進めている.並行して,超高精度(10-18)周波数を有するレーザ光による遠隔地間での量子操作を行うための光伝送制御に取り組んでいる.

地球環境デジタル基盤の構築とその高度化

准教授 根本 利弘,教授(東大) 生駒 栄司,准教授(東大) 安川 雅紀,特任助教(東大) 山本 昭夫,特任研究員(東大) 松村 浩道,特任研究員(東大) 服部 純子,特任研究員(東大) 平川 晶子,特任研究員(東大) 西川 史恵,特別教授(東大) 喜連川 優
地球環境分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を更に推進するとともに,国,地方自治体,企業等の意思決定に貢献する,気候変動対策や防災・減災対策等を中心とした地球環境全体のデータプラットフォームとしての土台を築く.

Bio-Sensing platform for neuro-cardiac axis investigation

准教授 ティクシエ 三田 アニエス,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,教授(The University of Bordeaux) Timothee Levi,特任准教授(東大) 藤生 克仁,准教授 池内 与志穂,教授 年吉 洋,博士(The University of Bordeaux) Pierre-Marie Faure
In the body, heart and brain interact continuously through various electrical and biomolecule signals to maintain heart homeostasis. But how equilibrium is maintained when a disequilibrium occurs, and how disruption happens in the case of disease, like heart stroke, it is still not well understood. If we can understand it, it will be possible to intervene artificially and reestablish homeostasis. For investigation, it is essential to study the neuro-cardiac axis outside of the body in in-vitro. In this research, a bio-sensing platform is developed to investigate the interactions between heart cells and neurons. This platform contains an array of a multitude of sensors for electrophysiology and bio-chemical sensing, and electrodes for stimulation and artificial control of the activity. In addition, neuromorphic devices providing sensing and biomimetic stimulation of heart cells or neurons, are also created to control the biological system, through the bio-sensing platform, in a close-loop, as it happens in the body. The technology for the bio-sensing platform is based on thin-film-transistor technology, and for the neuromorphic device on FPGA circuits.

Bio-sensing array platform for pancreatic Beta-cell investigation

准教授 ティクシエ 三田 アニエス,教授 年吉 洋,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,博士(東大) Dongchen Zhu,教授(東大) 酒井 康行,准教授(近畿大) 小森 喜久夫,助教(東大) Mathieu Danoy
Diabetes is a chronic disease which can provoke blindness, heart attack, stroke and so on when not treated. It occurs when the pancreas does not use well enough or produces enough insulin hormone to regulate the concentration of glucose in blood. It is the Beta-cells which can be found in the islets of Langerhans that secrete insulin: a deficiency in the functioning of Beta-cells perturbs glucose homeostasis and can provoke diabetes. To elucidate the pathophysiology of islet-related diseases, a bio-sensing platform able to study islets at the level of Beta-cell have to be developed. The bio-sensing platform is made of an array of sensors to sense the electrophysiology activity of a Beta-cell culture during stimulation with glucose. Insulin sensor will be integrated too on the platform to monitor insulin secretion. Various experimental conditions are tested to reproduce disease in an in-vitro environment. The bio-sensing platform is based on thin-film-transistor technology thanks to which a large array with multiple sensors can be fabricated.

3次元デジタル化とロボティクス

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) 佐藤 啓宏,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
カメラやLiDARを用いて実世界を3次元デジタル化する移動体計測システムを開発している.ローバーやドローンの位置姿勢をセンサデータから推定し,推定された位置姿勢をもとにLiDARデータを再配置することによって対象の3次元点群を得ることが可能となる.このような計測システムだけでなく遠隔作業を目的としたヒューマノイドロボットの仮想空間操作インタフェースや,SLAMデバイスを用いたロボットナビゲーション技術,学習ベースの自動3次元計測ロボットなどの開発も進めている.

サイバー考古学

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
文化財などの3次元デジタルデータを解析し,考古学,美術史学,建築学といった異分野との融合によって新たな知見を得る学際研究を推進している.これまでにアンコール遺跡群尊顔の解析,アウグストゥス像の分類や,クフ王の太陽の船の仮想復元など,デジタルデータの特性を生かした解析手法の開発を行ってきた.また3Dプリンタによる出力モデルを用いた風洞実験や,レプリカの生成など様々な形で学術的,社会的な貢献を目指している.

複合現実感モビリティシステムの開発

准教授 大石 岳史,助教(大石研) 影澤 政隆,特任助教(大石研) 岡本 泰英,特任助教(大石研) メナンドロ ローハス,特任研究員(大石研) 石川 涼一
車両を利用した複数ユーザが同時体験可能な複合現実感(MR)システムを開発している.近年,文化財のモデル化,表示,解析などを目的としたe-Heritage分野の研究が盛んに行われている.その中でもMR技術は,失われた文化財を仮想的に復元展示する手法として注目されつつある.この復元展示で対象となる遺跡は屋外であることが多く,光源環境の変化などから様々な技術的課題が残されている.またこれまでのMRシステムは個人で利用するものが主であり,さらに広範囲を移動できないといった問題があった.そこで我々は,車両を利用して遺跡内を移動しながら複数ユーザが同時に体験可能な復元展示MRシステムを開発している.

レセプト情報・特定健診等情報データベースを利用した医療需要の把握・整理・予測分析および超高速レセプトビッグデータ解析基盤の整備

准教授 合田 和生,協力研究員(合田研) 佐藤 淳平,特任研究員(合田研) 服部 純子,特任研究員(合田研) 賀好 昭仁,特任研究員(合田研) 山田 浩之
これまで構築してきた高速レセプト・ビッグデータ解析基盤を更に発展させることにより,医療の需要・供給,質,コストが国・地域・医療機関レベルで即座に解析・可視化できる技術を開発する.

動的対故障性を備えたデータベースシステムの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登
問合せ実行時に一部のハードウェアに於いて故障が生じた場合に,それまでの実行結果と新たな実行計画に基づき,当該問合せ実行を継続することを可能とする動的対故障性を備えたデータベースシステムを実現する.

非順序型実行原理に基づく高速データベースエンジンの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登,特任研究員(合田研) 川道 亮治,特任研究員(合田研) 小沢 健史

革新的なデータプラットフォーム技術に関する研究【柏地区利用研究課題】

准教授 合田 和生

高エネルギー効率型データベースエンジンの研究開発

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登

高機能ストレージシステムの研究

准教授 合田 和生
ストレージシステムに於いて従来の入出力処理に留まらない高水準のデータ管理機能を実行するためのソフトウェア構成法とその有効性を明らかにする.

健康・医療情報等ビッグデータのための解析基盤の開発と当該基盤を用いた調査分析

准教授 合田 和生
多種多様な医療ビッグデータを集約し解析可能とするデータプラットフォームを開発する.

Faster-than-Nyquist信号処理技術

准教授 杉浦 慎哉
ナイキスト基準で表されるシンボルインターバルの限界を超える高速信号伝送技術であるFaster-than-Nyquist (FTN) 伝送について取り組んでいる.特に,受信機でのシンボル間干渉を許容することにより,周波数帯域を増加させることなく,シンボルレートを向上させることを特徴とする.これまで開発を進めてきたFTN伝送技術を海中音響通信に応用することで,海中音響通信特有の課題である二重選択性の影響を低減できることを明らかにした.また,提案方式のシステムパラメータの設計手法を示した.

一般化ミリ波フェージングチャネルにおけるワイヤレス通信秘匿性能の解析

特任助教(杉浦研) チン ヴィエット フック,准教授 杉浦 慎哉
ワイヤレス通信の分野では利用しやすい周波数帯域が枯渇していることから,より高い周波数の有効活用が望まれている.本研究では,ミリ波帯の物理層セキュリティシナリオについて性能解析手法を提案した.特に,基地局が盗聴者の存在下でユーザーと通信するケースを考え,秘匿性能の解析フレームワークを開発した.一般化されたミリ波チャネル(fluctuating two-ray: FTR)フェージング分布を活用し,正確な近似閉形式を導出した.そこから得られた性能上限についてモンテカルロシミュレーションによって妥当性を検証した.

知的反射板制御アルゴリズムの開発

准教授 杉浦 慎哉
ミリ波やテラヘルツ波などによるワイヤレス通信では広帯域が利用可能である一方,電波の距離減衰や直進性が高く障害物による遮蔽に弱いため,見通し外通信に不向きであるという欠点がある.反射波の特性を柔軟に制御可能な知的反射板によりこの欠点を克服することが期待されている.本研究では,アップリンクシナリオに有効とされる広帯域シングルキャリア通信において知的反射板パラメータ最適化について検討を行い,伝搬路インパルス応答の時間局所性に着目した軽量制御手法を提案した.

高効率な無線物理層グループ鍵共有方式の開発

特任助教(杉浦研) 小島 駿,准教授 杉浦 慎哉
IoT 技術の著しい発展に伴い,グループ端末間通信におけるセキュリティの重要性が増している.無線伝搬路を情報源とする物理層秘密鍵生成(SKG: secret key generation)は,軽量かつ高い安全性を有する.しかしながら,従来のSKGは2つの端末間のみの鍵共有がベースであり,グループ端末全体で鍵を共有する場合,計算量の増加と潜在的な情報漏洩の課題が存在する.そこで,非直交多元接続方式(NOMA: non-orthogonal multiple access)を用いた安全かつ効率的なグループ鍵共有手法を提案した.提案法の有効性をグループ鍵誤り率の観点から定量的に明らかにした.

HfO2系強誘電体の成膜プロセスおよび信頼性に関する研究

准教授 小林 正治,教授 平本 俊郎,助手(平本研) 更屋 拓哉
本研究では,HfO2系強誘電体を形成する際に重要な結晶化アニールプロセスにおいて,従来のハロゲンランプによるRapid thermal annealから,波長選択性の高いLEDアニールを採用することで,キャパシタの吸収スペクトルと一致した光源によってエネルギー効率の高い強誘電体キャパシタの形成技術を実現した.また強誘電体キャパシタの強誘電特性および信頼性劣化現象を電気特性を測定しながら非破壊で光電スペクトルによる物性評価を同時に行うことができるオペランドレーザーPEEM法による評価手法を東大物性研と共同で構築し,絶縁破壊現象とキャパシタ上の光電スペクトルの変化の対応を明らかにすることに成功した.

三次元集積メモリデバイス応用に向けた原子層堆積法による酸化物半導体の形成とデバイス実証に向けた研究

准教授 小林 正治,教授 平本 俊郎,助手(平本研) 更屋 拓哉
半導体の微細化が鈍化する中,さらなる高集積化と高機能化のためには,配線層へのアクティブデバイスの形成が必要であり,酸化物半導体は低温でトランジスタを形成可能であり注目を集めている.従来酸化物半導体はスパッタ法による平面への成膜が主流であったが,半導体の三次元集積化に向けては三次元構造への均一な成膜が重要となる.本研究では,酸化物半導体トランジスタの微細化に必要なナノシート酸化物半導体の原子層堆積法による成膜プロセスを確立し,デバイス設計で重要となる,移動度・閾値電圧・バイアスストレス信頼性の間のトレードオフ関係を明らかにした.また従来のシングルゲート構造からダブルゲート構造にすることで,高移動度,ノーマリーオフ動作・高信頼性を同時に実現することに成功した.

ユーザに開かれたAI設計のためのインタラクティブ機械学習

准教授 菅野 裕介
ユーザが実際に必要とする認識タスクは多種多様であり,事前に学習した認識モデルを適用するだけでは不十分な場合が多い.ユーザ自身が自らの認識タスクを定義・学習し,ユーザに適応したモデルを利用できるようなアプリケーション設計は重要な課題となる.本研究ではこのようなユーザ参加型インタラクティブ機械学習のためのGUI・可視化手法設計,およびアルゴリズム開発を行う.さらに,非専門家向けのワークショップ等の機会を通して,AI技術や機械学習応用研究そのものをより開かれたものにすることを目指す.

市民参加型人工知能研究のためのゲーム化データ収集システム開発

准教授 菅野 裕介,教授 ペニントン マイルス
近年の機械学習・人工知能研究において,多様な訓練データの獲得はモデルの性能や評価の本質に関わる重要な課題になっている.しかしながら,研究コミュニティ外の様々な人々からデータを収集し,より社会にひらかれた人工知能開発を行うのは容易な課題ではない.本研究ではアピアランスベース視線推定を例に取りながら,非専門家である一般の参加者が楽しみながら訓練データの収集に参加し,機械学習・視線推定技術の基礎的なコンセプトに触れる機会を創出するためのゲーム化システムの設計に取り組む.

未知の環境に適応するためのアピアランスベース視線推定モデル学習

准教授 菅野 裕介
機械学習アプローチに基づくアピアランスベース視線手法には,特殊なデバイスを利用する従来手法とは異なり,通常のカメラ画像のみを用いた推定が可能になるという大きな利点がある.本研究では,学習データに含まれない未知の頭部姿勢に対応するための学習手法やデータ生成手法,ドメイン適応手法の開発を通して,多様な環境下で頑健に動作する視線推定モデル学習手法の確立を目指す.

伸縮性半導体デバイス

准教授 松久 直司,教授 髙橋 琢二

伸縮性導電性高分子材料の開発

准教授 松久 直司,助教(東京工業大) 芦沢 実,大学院学生(東大) 志村 宗彦

皮膚と一体化する生体電極

准教授 松久 直司,准教授(慶應義塾大) 加藤 健郎,准教授(慶應義塾大) 高橋 英俊

皮膚に一体化するディスプレイデバイス

准教授 松久 直司,助教(東京工業大) 芦沢 実,大学院学生(東大) 志村 宗彦

超柔軟マルチモーダルセンサ

准教授 松久 直司

高伸縮性導電性高分子ゲル

准教授 松久 直司,PhD student(ケンブリッジ大) Stephen O'Neill,教授(ケンブリッジ大) George Malliaras,教授(ケンブリッジ大) Oren A. Scherman,助教(東京工業大) 芦沢 実

PSD法によるⅢ族窒化物の成長

教授 藤岡 洋,助教(藤岡研) 上野 耕平
パルスプラズマを励起源として用いて結晶成長を行うことによって高品質Ⅲ族窒素化物薄膜を低温かつ高いスループットで成長させる.この手法により,従来手法では実現できなかった金属上半導体単結晶の高速成膜を実現する.

フレキシブルマイクロLEDの開発

教授 藤岡 洋,助教(藤岡研) 上野 耕平
大面積金属基板上へ半導体単結晶を成長させ受発光素子や電子素子などのエレクトロニクス素子を作製する.その後,作製した素子をポリマーへ転写することによって透明かつ柔軟,大面積のフレキシブルデバイスを作製する.

ガラスの原子配列の解析

教授 井上 博之
ガラス中の原子配列は,そのガラス形成能や物性と深くかかわっている.分子動力学法を始めとする計算機シミュレーションを用いて,ガラス中の原子配列を探るとともに,その物性との関係を解析する.

ガラス表面への階層性ナノ多孔層の形成とその特性

教授 井上 博之
ガラス表面に酸性あるいは塩基性溶液による処理によって,階層性のナノ構造を持った多孔質層を形成できることが見出された.その表面は,超親水性や低反射率などの優れた特性を示す.様々な組成のガラスで,この表面構造の形成条件を探索するとともに,その形成機構を調べることを目的としている.

無容器浮遊法によるガラスの合成と物性

教授 井上 博之
無容器浮遊法で達成される大過冷却液体状態から,熱力学的に非平衡なガラスを室温まで保持することができる.無容器浮遊法のひとつであるガス浮遊炉を用いて既存の方法では得られない物質の創出,物性の発現を目指している.

ペプチド有機触媒の開発

教授 工藤 一秋,大学院学生(工藤研) 劉 謙,大学院学生(工藤研) Tian Jiaqi,大学院学生(工藤研) 山田 征吾,大学院学生(工藤研) 李 東潤
ペプチド触媒は,酵素,有機低分子化合物に次ぐ第三の分子触媒として,独自の機能が期待される.これに関してペプチド触媒ならではといえる反応の探索を行った.

生合成反応を模倣した生理活性分子の合成

教授 工藤 一秋,大学院学生(工藤研) Shi Yihao,大学院学生(工藤研) Lu Yu
生体内でアセチルCoAとマロニルCoAから得られる二次代謝物であるポリケチドには多様な分子骨格,生理活性をもつものが存在する.それらは生体内では共通のシンプルな反応の積み重ねによって作られている.そのしくみを模倣することで,多様な化合物を生み出す人工の反応システムの開発へとつなげることを目指す.

ナノフォトニクスに基づくナノ加工とその応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 石田 拓也,特任助教(立間研) イ スンヒョク,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳,民間等共同研究員(立間研) 小川 弘隆,大学院学生(立間研) 大場 友貴,大学院学生(立間研) 堀内 元稀
Mie共鳴やSPR干渉などを利用したナノ加工を行い,光機能材料やデバイスへの応用を図る.

プラズモン誘起電荷分離の機構解明と応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 石田 拓也,特任助教(立間研) イ スンヒョク,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳,大学院学生(立間研) 奥村 有紗,大学院学生(立間研) 秋山 倫輝,大学院学生(立間研) 亀岡 ゆり,大学院学生(立間研) 黒木 秀起,大学院学生(立間研) 高橋 輝
金属ナノ粒子と半導体などの界面において,プラズモン共鳴に基づいて電荷分離が誘起される.この現象の機構を解明するとともに,キラル材料などへの応用を図る.

光機能ナノ材料の開発

教授 立間 徹,特任助教(立間研) イ スンヒョク,技術専門職員(立間研) 黒岩 善徳,東大研究員(立間研) 長川 遥輝,大学院学生(立間研) 秋山 倫輝,大学院学生(立間研) 松井 隆
発光デバイス用量子ドット,抗菌・抗ウイルス性光触媒,水素生成光触媒などの開発を行う.

磁気光学ナノ材料の開発と応用

教授 立間 徹,助教(立間研) 石田 拓也,特任助教(立間研) イ スンヒョク,大学院学生(立間研) 澤田 直樹,大学院学生(立間研) 小林 主尚,大学院学生(立間研) 張 晨
磁気光学効果を示すナノ材料を開発し,磁気光学材料やデバイスへの応用を図る.

エラストマーの網目構造の不均一性が力学物性に及ぼす効果の解明

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 佐々木 怜南
最近,従来のエラストマー(ゴム)材料において不均一であった高分子網目を均一化することで,特異的な力学物性を示すエラストマーを開発した.本研究では,この均一架橋エラストマーを基盤として,エラストマーにおける網目構造の不均一性と力学物性の相関の解明を目指す.

エントロピー駆動型水素結合による高分子材料の強靭化機構の解明

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 田島 怜奈
共有結合よりも弱い可逆的な動的結合により,高分子材料を強靭化することができる.我々は最近,柔軟かつ三次元的な構造をもつエントロピー駆動型水素結合により,材料の強度と自己修復性などの動的性質の両立を可能にすることを見出している.本研究では,エントロピー駆動型水素結合の特徴を明らかにするため,従来のエンタルピー駆動型水素結合とエントロピー駆動型水素結合を直接比較する検討を行っている.エントロピー駆動型水素結合が速い疲労回復性など動的な力学機能の向上に寄与する可能性を見出している.

動的可逆結合を利用したスチレンブタジエンゴムの高性能化

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) Zhengyuan Liu,大学院学生(吉江研) 張 彦豪
様々な用途に広く用いられるゴム材料の高性能化は常に求められている.特に,強度や耐疲労性などの力学特性の強化は,構造材料として用いられるゴム材料において最も重要な課題である.可逆な動的結合を導入することにより,ゴム材料の様々な物性が向上することは知られているが,詳細なメカニズムは未解明である.本研究では,代表的な合成ゴムであるスチレンブタジエンゴムに動的結合を導入し,その粘弾性特性・力学特性を調べることで,ゴム中での動的結合の動作原理の解明を目指している.特に,粘弾性特性・力学強度・疲労回復性などの巨視的な物性と,動的結合の形成確率や寿命などの微視的な性質の相関に焦点を当てている.

動的結合の制御配置による高分子材料の強靭化

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) Xiangyuan Guo
可逆的な動的結合を高分子鎖中に組み込むことで,硬さと伸びしろを両立した強靱な高分子材料が得られる.本研究では,金属−配位子相互作用の高分子鎖中の配置を精密に制御することで,配置制御による強靭化戦略の一般化を目指した.配位子の配置および金属イオンの量・種類により力学特性の制御が可能であること,および配位子の配置を偏らせることで均一配置の場合よりも強靭化されることを見出した.

新規エントロピー駆動型水素結合性基の開発および高靭性高分子材料への応用

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,特任助教(吉江研) 張 典,大学院学生(吉江研) 石川 優樹
我々が最近見出したエントロピー駆動型水素結合の概念の普遍性の実証および汎用性の向上を目指して,新規エントロピー駆動型水素結合性基の探索および高靭性ポリマーへの応用を検討している.既存のジエン系ポリマーにエントロピー駆動型水素結合性基を導入し,強靭化することに成功している.

構造均一な高分子網目を用いた動的結合と高分子材料の力学特性の相関解明

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 川崎 和将,大学院学生(吉江研) Zhengyuan Liu
共有結合よりも弱く可逆な動的結合は高分子材料の力学特性を向上させるが,動的結合の分子特性と材料の巨視的な力学特性の相関の全貌は明らかになっていない.本研究では,我々が最近開発した構造均一な高分子網目を基盤として,種々の動的結合が力学特性に及ぼす効果の統一的な理解を目指す.動的結合の種類によって,粘弾性緩和挙動が異なることを明らかにした.

海洋生分解性ゴム材料の開発

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,大学院学生(吉江研) 熊野 舜
自然環境中,特に海洋中で分解する高分子材料として,これまで主に硬質なプラスチック材料が注目され重点的に研究されてきた一方で,軟質なゴム材料については研究が大幅に遅れている.本研究では,加水分解性の動的結合を架橋点として用いることで,海洋中で生分解される架橋ゴムの開発に取り組んでいる.動的結合架橋により,架橋ゴムの優れた弾性と,実海水中での優れた生分解性を兼ね備えた材料の開発に成功している.

疎水的な動的結合による高分子材料の海洋生分解挙動制御

教授 吉江 尚子,講師 中川 慎太郎,特任助教(吉江研) 張 典,大学院学生(吉江研) Olivier Doat,大学院学生(吉江研) 栗山 将伸
海洋プラスチック問題等の高分子材料に関わる環境問題の解決のために,使用時には分解せず優れた力学特性を発揮し,かつ自然環境中に廃棄された後には迅速に分解するポリマー材料が求められている.本研究では,加水分解性かつ疎水性の動的結合を生分解しやすいポリマーに導入することで,使用時の力学特性を確保しつつ,海洋中に放出された後の生分解速度を遅延・制御することに成功している.

キラル物質の分光学的性質に関する研究

教授 石井 和之

クロロフィル集合体の磁気光学分光

教授 石井 和之

セシウム吸収材を担持させた素材の開発とその製品化

教授 石井 和之

ソフトクリスタルの光機能に関する研究

教授 石井 和之

ビタミンCバイオイメージング用蛍光プローブの開発

教授 石井 和之

ホモキラリティの起源に関する研究

教授 石井 和之

ポルフィリン・フタロシアニンの光機能化に関する研究

教授 石井 和之

二酸化炭素の電気化学的及び光化学的還元に関する研究

教授 石井 和之

光機能性錯体とナノファイバーの複合化研究

教授 石井 和之

光線力学的癌治療を志向した光増感剤の研究

教授 石井 和之

分子性光触媒の研究

教授 石井 和之

分子性結晶の準安定状態に関する研究

教授 石井 和之

刺激応答性クロミック材料の開発

教授 石井 和之

金属錯体の分光測定研究

教授 石井 和之

ガラス・液体の原子分解能構造解析

教授 溝口 照康
STEM-EELSを用いたガラスおよび液体の原子分解能計測

先端計測インフォマティクス

教授 溝口 照康
計測される画像およびスペクトルを,データ駆動型手法により解析

内殻電子励起分光スペクトル(ELNES/XANES)の第一原理計算

教授 溝口 照康
一粒子計算法(DFT-LDA/GGA),二粒子計算法(BSE),および多電子計算法(CI)を用いた内殻電子励起分光スペクトル(ELNES/XANES)の理論計算

半導体,エネルギー材料および機能性セラミックス中格子欠陥における構造機能相関

教授 溝口 照康

格子欠陥のマテリアルズインフォマティクス

教授 溝口 照康

分子間振動の粗視化理論に基づく分子結晶の構造安定性予測

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 王 越,大学院学生(北條研) 菊岡 龍太郎
超分子複合体や分子結晶における分子間振動モードを分子間力の剛性定数に帰納する理論を構築するとともに,それを分子結晶の多形構造安定性評価へと応用する研究を行う.

分子集積体における電子状態の効率的計算法の開発とその応用

教授 北條 博彦,主任研究員(長崎県工業技術センター) 重光 保博,大学院学生(北條研) 許 明戈,大学院学生(北條研) 鯉渕 領
階層的QM/MM法,周期境界条件をもちいたDFT法などの計算法をもちいて,分子集積体中の着目分子の電子状態を効率的に計算するとともに,固相中で示される分子物性を合理的に説明できるモデルの構築を試みる.

刺激応答性金属錯体の合成と構造化学的研究

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 黄 召昊,大学院学生(北條研) 影山 泰一
光・熱・電位・イオン添加などの外界刺激によって構造や電子状態が変化する金属錯体を合成し,刺激に伴う物性の変化を出力信号として取り出すことのできる系を構築する.

有機結晶の光・熱応答特性に関する速度論的および構造化学的研究

教授 北條 博彦,大学院学生(北條研) 鯉渕 領,大学院学生(北條研) 大政 孝一郎,研究実習生(北條研) 宮里 俊次
光および熱に応答して電子状態が変化する有機結晶を対象として,その応答特性を速度論的に記述する実験的手法を開発・改良するとともに,得られたパラメータ群と結晶構造との関連付けを試みる.

先端技術を社会実装するための知財保護/知的財産をもとにした産学連携/知的財産をコアにした協創の場のデザイン/協創の場における知的財産保護/知財の視点をもった研究者・技術者の育成

教授 菅野 智子
データを活用した材料開発など,最先端の研究や新しい技術開発における発明創出のプロセスを検証し,またデータを含めた知財の保護の在り方を考察する.また多数主体が関わる研究開発における知財の保護の在り方,産学連携の在り方を考察する.

多数の金属種の配列の精密制御と機能発現

教授 砂田 祐輔
多数の金属種を平面状や立方体状など構造を精密に規定しながら配列し,それらの特異な化学的・物理的機能を開拓する.

発光性金属クラスター材料の開発

教授 砂田 祐輔
複数の金属種を精緻に配列することで可視光吸収および発光特性を有する材料開発を行う.

省エネルギーで作動する安全性の高い化学的水素貯蔵・運搬法の開発

教授 砂田 祐輔
安全・低毒性な水素キャリアの開発,および高活性触媒の開発により,省エネルギー条件下で作動する化学的水素発生・貯蔵法の開発

遷移金属と典型元素の協働作用を活用した高機能性クラスター開発

教授 砂田 祐輔
遷移金属化合物において,典型元素化合物を配位子として導入することで,通常では実現困難な様々な触媒機能を付与できるなど,特異な機能を発現できることを最近当研究室では見出している.本研究では,多数の遷移金属と典型元素から構成されるクラスターを開発し,元素間協働作用に基づく特異な反応性や新規物性の発現を指向した研究を行う.

高機能性ベースメタル触媒開発

教授 砂田 祐輔
有機化合物の合成・変換における多くの場合において,貴金属化合物が触媒として用いられている.近年,貴金属の枯渇や価格の高騰から,貴金属を用いない触媒の開発が望まれており,当研究室では,鉄などの安価なベースメタル触媒の開発を行っている.

亜鉛族元素を中心金属に有する複核錯体の可視光機能開拓

助教(砂田研) 和田 啓幹

非鉄金属製錬プロセスの最適化

特任教授 黒川 晴正
銅,鉛,亜鉛などのベースメタルに加え,レアメタル,レアアース,貴金属を含む多岐にわたる金属は,現代社会の発展に必要不可欠な素材であり,今後もますますその重要性は増していく. 一方,優良な資源は枯渇してきているため,従来では経済合理性の無かった難処理・低品位資源,およびリサイクル原料を有効活用する製錬プロセスの改良・開発が急務になってきている.生産プロセスにおける消費エネルギーの最小化,および目的元素を最大限回収することによる廃棄物の発生量低減を通じて,低消費エネルギー・低環境負荷・低コストのプロセススキームを実現することを目指して研究している.

薄膜の脱濡れ現象による自己組織化機能性ナノ材料の創製

助教(八木研) 神子 公男
特異な形状や良質な結晶構造(配向性)を有することで,光学特性や磁気特性といった機能性の向上が期待されるナノ材料を,脱濡れ(熱凝集)現象を用いた自己組織化により作製する.本研究において,目的とする機能層と基板との間に,シード層と呼ばれる薄膜層を挿入することで自己組織化やエピタキシャル成長を促進させ,余分な蝕刻工程等を必要としない,ボトムアップ型のナノ材料創製技術の確立を目指す.

分子認識能を賦与した有機薄膜トランジスタ型化学センサの創製

准教授 南 豪
有機薄膜トランジスタは,軽量性,柔軟性,低環境負荷,大面積デバイス化が可能などの特徴を有していることから,センサデバイス開発において魅力的なプラットフォームである.しかし,センサとしての応用研究は萌芽段階にあり,とりわけ分子認識化学的視点からの研究展開はこれまでにおこなわれていない.そこで本研究では,有機合成化学に立脚して合目的に創製した分子認識材料を有機薄膜トランジスタに組み込むことにより,新たな化学センサデバイスの提案を目指している.

超分子センサアレイによるハイスループット分析手法の開発

准教授 南 豪
ホスト−ゲスト化学に基づいて開発される分子センサは,比較的高い選択性を有する一方で,多成分を迅速かつ同時に検出することは得意ではない.本研究では,あえて標的化学種に対して“低選択性”を有する分子センサ群を“可能な限り簡易に”合成し,これをマイクロアレイ上に並べて,体液などに含まれる多成分をハイスループットに分析する手法を開発する.低選択性分子センサ群のアレイ化により得られる種々の信号応答について,統計学・機械学習に基づくケモメトリックスを用いて解析をおこない,複数種の同時定性・半定量・定量分析を試みている.

メカノクロミックポリマーを用いたセンサ開発

准教授 杉原 加織

異種の抗菌ペプチド混合により発現するコオペラティブ効果を用いた新抗菌薬開発

准教授 杉原 加織

トポロジカル絶縁体のバルク絶縁性向上

講師 徳本 有紀
トポロジカル絶縁体の特殊な表面状態に起因する表面伝導,量子振動を検出するためには,バルクの絶縁性を向上させることが不可欠である.表面および転位物性を評価することを念頭に置き,Pb系カルコゲナイドトポロジカル絶縁体を対象とし,バルク絶縁性向上の研究に取り組んでいる.

トポロジカル絶縁体の塑性変形による転位導入

講師 徳本 有紀
トポロジカル絶縁体中の転位においてヘリカルにスピン偏極した金属状態が生じ得ることが理論的に予測されている.この金属状態の実験的な検証を目指し,転位において特殊な金属状態が発現し得るトポロジカル絶縁体の作製,塑性変形による転位の導入,転位の構造解析を行っている.

ファンデルワールス層状準結晶の合成および物性評価

講師 徳本 有紀
遷移金属カルコゲナイド系ファンデルワールス層状準結晶の合成と超伝導物性に関する研究を行っている.

サブナノ物質元素ライブラリの構築

講師 塚本 孝政

ユビキタス無機材料の1 nmスケーリングによる新奇電子物性の創出

講師 塚本 孝政

低温駆動型温室効果ガス変換反応を目指した原子クラスター触媒の開発

講師 塚本 孝政

樹状高分子カプセルを基盤材料とする液相アトムマニピュレーティング技術の開拓

講師 塚本 孝政

特異的原子配列が創るエキゾチッククラスターの開拓

講師 塚本 孝政

トポロジー変換可能な均一高分子網目からなるエラストマーの創製

講師 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子,大学院学生(吉江研) 佐々木 怜南
均一な高分子網目構造による高強度と,結合交換反応による網目トポロジー変換機能を兼ね備えたエラストマー材料を開発している.開発した材料は優れた弾性およびトポロジー変換機能による再成形性を有し,また結合交換を利用して容易に未架橋高分子への分解が可能であることが分かった.

巨大なひずみ硬化能を示す高強度エラストマーの創製

講師 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子
従来のエラストマー(ゴム)材料において不均一であった高分子網目の構造を均一化することにより,高強度なエラストマーを開発している.開発したエラストマーは,伸長により見かけの剛性率(硬さ)が2,000倍以上にも増大する顕著なひずみ硬化能を示すことを明らかにしている.この材料をロボティクス等に応用するための基礎的検討も行っている.

易分解性樹脂の構造・物性解析

講師 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子,特任研究員(吉江研) 周 健,特任研究員(中川研) Nontarin Roopsung
プラスチック材料のリサイクルを推進する上で,高分子の「分解化学」の発展は不可欠である.我々はJST ERATO野崎樹脂分解プロジェクト(研究総括:東京大学 野崎 京子 教授)のメンバーとして,プロジェクト内で開発された新規易分解性樹脂や樹脂分解物の構造・物性解析を担当している.具体的には,プラスチック材料の物性や分解性に強く影響する相分離や結晶化による構造形成過程,および実用性を左右する力学特性の解析を行っている.

高分子鎖間に働く「摩擦」の制御による架橋高分子の強靭化

講師 中川 慎太郎,教授 吉江 尚子
高分子鎖間に普遍的に働く分子レベルの摩擦力をエネルギー散逸機構として利用することで架橋高分子材料を強靭化する,新しい材料設計原理の確立を目指している.具体的には,我々が開発した均一架橋エラストマーを構成する高分子鎖の摩擦力を共重合により調節し,それによる力学特性への影響を調べている.

防災ビジネスの創造と育成に関する研究

教授 目黒 公郎,特任助教(目黒研) 山本 憲二郎
防災における「自助・共助・公助」の中で,従来は行政が公的な資金を用いて主導する「公助」が大きな割合を占めてきた.しかし,現在の少子高齢人口減少や財政的な制約を考えると,今後は「公助」の割合は減少する.その不足分は「自助と共助」で補う必要があるが,これを実現する上でのキーワードは,防災の「コストからバリュー」と「フェーズフリー」である.従来は行政も民間も防災対策を「コスト」とみなしていた.コスト型の防災は,継続性が難しく,対策の効果は災害発生時にのみ発現すると考えられてきた.しかしバリュー型の防災対策は継続性が担保され,災害の有無に関わらず常に対策を実施した組織や地域に価値(バリュー)をもたらす.一方フェーズフリーは,発生の有無や時期が不確定な災害に対する対策にお金をかけることは難しいことから,災害時と平時のようにフェーズを分けるのではなく,日常の生活の質を向上させる商品やサービスがそのまま災害時にも有効に活用できるようにしようという考え方である.これらはいずれも,自助や共助の担い手である個人や法人の「良心」に訴えかける防災がもはや限界で,防災対策の自主的な推進を後押しする仕組みとしての「防災ビジネス」の必要性に基づいている.

シェルターのイノベーションに関する研究

教授 川口 健一,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
日本における避難所とは一般に学校体育館などの施設を示す場合が多いが,これらは鉄骨バラック建築に近い.一方,地下シェルターは様々な非常時に人命保護としての優れた点が多い.現在,多くの人が集まる場所には地下街を含む地下施設が発達しているが,これらはシェルターとして機能するようには全く考えられていない.本研究では,極限的な災害時にも利用できる地下シェルターの理想的な形態と,都心に存在する地下施設をシェルターとして利用するために改修するロードマップ等に関して研究を行っている.近年は地下施設の浸水について調査するために,ポンド法やMPS法を用いたシミュレーションの研究を行っている.2021年7月3日に発生した熱海における土砂災害のシミュレーションやハザードマップ上で危険とされる老人ホームの改良案の提案なども行っている.さらに,空気膜構造を用いたシェルターやステージを支える構造の開発なども行っている.

テンセグリティ構造物の応力測定システム【柏地区利用研究課題】

教授 川口 健一,教授 今井 公太郎,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
張力型空間構造実挙動観測システムであるホワイトライノIIを用い,様々な気象群に露されたテンセグリティ膜構造システムの応力測定調査研究を継続的に行っている.

天井等の非構造材の落下事故防止に関わる研究

教授 川口 健一,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,大学院学生(川口(健)研) 幸田 雄太,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
天井等,建築内部空間の高所に設置した非構造材は,様々な理由で落下し内部空間の安全性を著しく損なう.本研究では,軽量な天井材の利用や落下防止ネット,重量天井の落下を防止する方法や被害を軽減する方法,さらにはAIを用いた天井の安全性判定プログラムの開発などを行っている.東京大学施設部における保存カルテ作業における実装研究,2022年3月16日に福島県で発生した地震の被害調査なども行っている.

宇宙構造物及び可動式,展開型構造物に関する研究

教授 川口 健一,教授(東京都市大) 宮坂 明宏,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,大学院学生(川口(健)研) 樋端 玲矢,大学院学生(東京都市大) 土屋 亮太,学部学生(東京都市大) 小室 敦史
宇宙展開構造物や開閉式屋根,展開型パーソナルシェルターや可動式構造物など,3次元的な部材配置により高度な機能を実現する構造に関する研究を行っている.東京都市大学の宇宙システム研究室とは継続的に宇宙展開構造物に関する情報交換と研究交流を行っている.

建築構造物の力学特性に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 川口 健一
振動台,反力壁,アクチュエータ等の設備を用い,各種建築構造物の実大実験による力学特性に関する研究を行っている.

新しい住宅用耐震及び制振部材の開発

教授 川口 健一,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 高橋 祐貴
折り紙による自由度制御などの新しい発想を導入し,従来にない性能を付与した耐震および制震部材の開発を行っている.

新しい軽量空間構造物の開発及び歴史的な空間構造物の調査

教授 川口 健一,元特任講師 中楚 洋介,助教(川口(健)研) 張 天昊,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,大学院学生(川口(健)研) 李 陽洋,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝
構造部材の三次元的な配置を利用した新しい軽量空間構造システムの開発提案を継続的に行っている.微分幾何学に立脚した曲面構造の解析や新しいグリッドパターンの探求,また,日本における初期の鉄骨ドームや鉄筋コンクリートシェルなどの空間構造に関する調査,デジタルアーカイブ化などの研究も行っている.空気膜構造を圧縮材として用いた足場構造の開発や,高所からの落下時に有効な空気膜の応用に関する考察など,軽量化による低炭素社会への貢献の模索も行っている.

歴史的空間構造物の3次元デジタルアーカイブに関する研究

教授 川口 健一,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 李 陽洋
シェル構造などに代表される空間構造物は,構造材がそのまま外観として利用されることが多いため,構造が一致している場合が多い.鉄筋コンクリートシェル構造はその出現から100年以上が経過し,当初の物は残っているものが少ない.また残っていても老朽化が進行しているものが多い.これらの保存保全は,今日大きな課題となっており,結果的に壊されるものも多い.これらの貴重なデータを3次元のデータとして取得し,デジタルアーカイブを行うという研究である.建築的な構成を考え,理解することにより,巨大なポイントクラウドデータを画期的にスリム化する技術についても研究している.

生きた植物の建築への利用に関する実験的研究【柏地区利用研究課題】

教授 川口 健一,技術専門職員(川口(健)研) 倉田 眞秀,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 武藤 宝,大学院学生(東大) 今枝 颯一,教授(早稲田大) 吉中 進
生長する植物の発揮する力,呑み込み挙動,癒合などを利用し,建築構造へ応用する実験的研究を柏地区圃場にて行っている.

画像比較による建築物の変化抽出法に関する研究

教授 川口 健一,助教(川口(健)研) 張 天昊,大学院学生(川口(健)研) 幸田 雄太
大面積を有する屋根や天井などの大規模施設に対し,目視等では見落としてしまう変化を手持ちカメラで撮影した画像データ等をもとに抽出する方法の研究を行っている.多段階ホモグラフィー変換などを提案している.

ひび割れ自己治癒コンクリートの実環境暴露試験に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 岸 利治

大規模展示場における空調制御・最適化システムの開発

教授 大岡 龍三
負荷変動の大きい大規模展示場において,複数の熱源を最適に運転制御し,省エネ・コストの効果を予測可能なシステムを開発する.

学習的探索手法を応用した建築・都市エネルギーシステム最適化手法の開発

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀
エネルギーの需給バランス制御と省エネルギー・コスト削減の同時達成を目的とした,1)実建物の計測データ収集,需要・発電量予測に関する既存技術の調査・比較,2)単体建物におけるエネルギーシステムの詳細な最適化計算の手法確立,3)街区モデルへの拡張,4)1および3による不確実性を考慮した最適化シミュレーション手法の開発およびデータ解析による定量的な評価,これら4つを軸とする包括的な最適建築・都市エネルギーマネジメントシステムの方法論を開発している.

ネットワーク交通マネジメント施策評価手法の開発

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,大学院学生(大口研) 服部 充宏,大学院学生(大口研) カラ ジャヤ・バルシニ,大学院学生(大口研) シン ゼレン,大学院学生(大口研) 劉 浩然
ネットワーク交通シミュレーションの開発,周辺技術検討,さらに高度化に継続的に取組んでいる.交差点周辺,都市レベル,日本全国レベルの様々な空間範囲やシミュレーション記述の粒度の異なるシミュレーションをシームレスに接続するハイブリッドシミュレーション,リアルタイムにセンサやプローブデータと連動させるナウキャストシミュレーション,首都圏3環状道路を対象とした交通施策評価シミュレーションなどを開発している.シミュレーション・パラメータとして,ボトルネック交通容量や自由流速度を設定する必要があるが,これらのパラメータは降雨量や路面状況にも影響を受けることが知られており,交通および気象データを用いたモデル化を進めている.さらに,首都圏3環状道路の効率的な利用を促すための交通マネジメント方策の評価について,交通需要等の変動特性に関する基礎的な分析を行うとともに,交通事故発生前後でのネットワーク品質管理手法の検討や,オリ・パラ等の大規模イベント開催時におけるマネジメント施策に関するケーススタディを進めている.

交通信号の路線系統制御に関する理論的研究

教授 大口 敬,住友電工システムソリューション(株) 榊原 肇
複数の交差点の信号タイミングを調整する系統制御について,サイクル長,青時間スプリット,交差点間距離,系統速度,および交通需要条件によってその系統効果を最大化または最小化するオフセット(隣接交差点間の青時間のずれ)は異なる.隣接した2つの交差点を対象として,前述の各種条件に対して一般的な関係性を理論的に体系化することを試みている.さらに,もう1つ隣接交差点が存在する3交差点にすることで,必ずしも2交差点における最適なオフセットが3交差点に対して最適になるとは限らない.その場合の最適特性を理論解析するとともに,両側に1つずつ隣接交差点があるような4交差点に拡張して理論解析することで,多数交差点からなる一般的な路線系統制御における一般解の特徴について理論解析を行っている.

交通信号機および交通信号制御に係わる実証的研究【柏地区利用研究課題】

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,シニア協力員(大口研) 新倉 聡,大学院学生(大口研) 白畑 健,大学院学生(大口研) サハチャイセーリー ソンポン,大学院学生(大口研) 中川 北勝
交通安全上も円滑上も最も重要な平面交差点における交通信号制御について,多角的な研究を推進している.観測旅行速度データを活用した信号制御パラメータの変更と評価,単路部歩行者横断施設による歩行者・車両双方に最適な横断施設運用,左折車と直進車による混用車線によるランダム性の影響評価,信号灯器設置位置による運転挙動への影響分析,さらに最新のセンシング技術および通信技術を用いた自律分散型信号システムの開発などに,柏キャンパス ITS R&R フィールドも活用しながら,実証的に取組んでいる.また強化学習を信号制御に反映することで信号制御の高度化,維持管理の自動化へ向けた検討にも取組んでいる.

交通性能照査型道路計画設計

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,大学院学生(大口研) 小川 泰斗,(株)道路計画 石田 貴志
道路の計画・設計段階で,目標とする交通性能を設定し,この性能を実現するかどうかを逐次照査しながら計画・設計を進める手法を提案し,これを実務で適用する方策を実務技術者と一緒に検討し,交通工学研究会におけるweb上で公開したガイドラインの更新に向けた検討を進めるとともに,道路の交通容量や交通量−速度曲線に関する最新データを整理し,マニュアルの編纂を行っている.また,交通性能の経年変化傾向とその要因分析も進めている.さらに,自動車だけでなく歩行者,公共交通といった多様な交通参加者を考慮した道路ネットワーク計画・設計・運用とその評価手法について検討を行っている.

道路交通安全に係る技術・制度・文化における国際比較研究

助教(大口研) 鳥海 梓,教授(名古屋大) 中村 英樹,准教授(立命館大) 塩見 康博
世界各国におけるインフラや車両の整備水準,交通安全教育と文化,各種制度と取締り等が,交通安全意識や交通事故死亡率に及ぼす影響を多角的に検証することを目的としている.10か国を対象にアンケート調査や道路交通行政・学識者へのヒアリング,統計データ等の収集を行い比較分析を行っている.

木質構造物の崩壊挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 腰原 幹雄

煉瓦造構造物の崩壊挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 腰原 幹雄

3Dプリンタ等の次世代技術を用いたローコスト住宅のプロトタイピング【柏地区利用研究課題】

教授 今井 公太郎,助教(今井研) 山口 大翔,特任助教(今井研) 久保田 愛
デジタル技術を用いて建築の新たな構法開発を行う研究である.今年度は,3軸CNCと付加製造技術を組み合わせて,新たな木造ジョイントの仕組みを考案し,それに基づいて新たな架構を建造・評価した.

レトロフィット建築の方法論的研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 裕大,准教授 本間 健太郎,助教(今井研) 山口 大翔,特任助教(今井研) 久保田 愛
本研究は,建物改修時における改変,即ちレトロフィットにおいて,意匠・構造・環境・法規といった多変量の余条件に有効に解答する手法について,既存の方法を整理,分析し,建築計画学的側面から考察を加え,最終的には最適な計画手法の提案を試みるものである.本年度は,イタリアの改修事例のデータベース化を通じて比較研究を行い,設備設計における新旧の関係性を体系的に整理した.また世界における大規模改修の事例について,増改築の平面的なレイアウトの変化を分析するためのツールを開発した.さらに,日本のレンガ造の改修事例について分析を行った.

地域分析の手法に関する研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 裕大,准教授 本間 健太郎,助教(今井研) 山口 大翔,特任助教(今井研) 久保田 愛
地域空間の構造を数理的に把握するための手法論について継続して研究している.本年度は,TVドラマに登場する観光地の資源を対象とし地域の特性分析を行った.

数理的アプローチによる設計手法に関する実践的研究

教授 今井 公太郎,准教授 本間 裕大,准教授 本間 健太郎,特任講師 新井 崇俊
空間設計の下敷きになる数理解析手法の研究及び開発した手法に基づく空間設計の実践を継続して行っている.

空間システムの計画手法の研究と建築設計

教授 今井 公太郎,教授 加藤 孝明,特任研究員(今井研) 国枝 歓
新しい空間のシステムを効果的に計画するための手法を考案・研究している.本年度は,防災施設と観光施設の融合した新たな建築タイプとして,伊豆市において地域の防災計画の主幹をなす津波避難複合施設の建造の現場監修を行った.

室内音響に関する研究

教授 坂本 慎一,助教(坂本研) 中 貴一
ホール・劇場や各種空間の室内音響に関する研究を継続的に行っている.今年度は,鉄道駅の音響改善に関する研究として,鉄道駅における実測調査と音源サンプル収集および3次元音場シミュレーションを用いた聴感評価実験を行った.また,ホール形状データを基に,幾何音響解析に基づく音場シミュレーションを行った.

環境騒音の予測・評価に関する研究

教授 坂本 慎一,大学院学生(坂本研) 王 麒源,大学院学生(坂本研) 永田 茉莉咲,大学院学生(坂本研) 章 心怡
環境騒音の伝搬予測法および対策法に関する研究を継続的に進めている.今年度は,近年入手することが容易になってきた広域航空写真のデータを基に道路の交通量を推定し,それを基に広域道路交通騒音マップを作成する方法の応用に関する研究を行った.この提案手法を用いて,東京都内および関東圏における実在地域の環境基準達成率の推定を行い,環境省が公開しているデータとの比較検討を行った.また,建物群内の騒音予測に関して,多様な音源の周波数特性に対応できる予測計算方法を構築することを目的に,縮尺模型実験を用いた検討を行った.

音場の数値解析に関する研究

教授 坂本 慎一,大学院学生(坂本研) 永田 茉莉咲
各種空間における音響・振動現象を対象とした数値解析手法の開発を目的として,有限要素法,境界要素法,差分法等に関する研究を進めている.今年度は,楽器の発音機構に関する詳細な数値シミュレーションに関する研究として,スネアドラムの発音機構に関する検討を行った.

音場シミュレーション手法の開発と応用に関する研究

教授 坂本 慎一,助教(坂本研) 中 貴一,大学院学生(坂本研) 秋山 あさひ,大学院学生(坂本研) 小田切 彩夏
室内音場における聴感印象の評価,各種環境騒音の評価等を目的とした3次元音場シミュレーションシステムの開発と応用,3次元音場再生システムに視覚刺激呈示用のドームスクリーンを組み合わせた評価実験システムの開発と応用に関して研究を行っている.今年度は,環境騒音の大きさ感,うるささ感に及ぼす視覚情報の影響に関して,道路交通騒音と航空機騒音の比較に関する検討を行った.航空機騒音の試験刺激に関して,新たに現場実測を行い,刺激のバリエーションを増やして評価実験を行った.また,視覚影響を詳細に調べるため,被験者に音源の視覚情報からイメージする音のうるささを答えさせる主観評価実験を実施した.

リモートセンシングとIoTを活用した乾燥交互灌漑法(AWD)による水田からのメタン削減の実現

教授 竹内 渉,Associate Professor (PUST, Bangladesh) Isram Md. Rahedul,Senior researcher (BRIN, Indonesia) Parwati Sofan,Senior researcher (GISTDA, Thailand) Nuntikorn Kitratporn
本研究は,気候変動対応策において複数の成果を同時に達成することを目的とする.第一に,衛星と現場データを活用し,CH4 MRV技術を通じて炭素クレジットを創出することにより,気候変動の緩和を行うこと,第二に,持続可能な農業に不可欠な,水田におけるCH4排出をよりよく管理するための知識,技術,研究能力の向上を実施すること,第三に,効率的な灌漑方法による水管理方法を改善し,乾燥交互灌漑法(AWD)技術を用いてメタン排出量を削減する.アジア地域でこれを実施することで,地域的・世界的な持続可能な農業のイニシアティブを促進し,より強靭な未来に向けた協力を促進することを目指している.

空から地表からインフラを診る

教授 竹内 渉,教授 桑野 玲子,准教授 水谷 司,助教(竹内(渉)研) キン ミャット キャウ
日本のインフラの多くが1960年代の高度経済成長期に集中的に整備されているため,およそ半世紀を経た現在,その老朽化が問題となっている.国土規模の道路・地下・橋梁・トンネル・鉄道のインフラストックに対して,点検と診断方法の多くは目視点検や打音調査が基本であり,熟練点検員の減少による人員不足は深刻な問題となっている.これらの問題を改善するために,産学官挙げてインフラ維持・管理に対して IoT 技術の有効活用が期待されている.このような背景の中,生産技術研究所では「災害・環境リモートセンシング」「リアルタイム空間解析工学」「地盤機能保全工学」を専門とする研究者が連携し,「空から地表からインフラを診る」活動を開始した.具体的には,1) 宇宙からのリモートセンシングや空からのドローン撮影,地上・地中レーダー,モバイルマッピングレーザー,高解像度カメラなどの最先端の計測技術,2) AI・機械学習,ディジタル信号処理による超高速解析・検知技術,3) 土質力学や地盤材料の力学特性に基づいた地中構造物や土構造物の長期挙動の診断技術,を複合的に組み合わせ,真に実務的な利用に資する研究を展開し,最新の情報提供を行う.

海草の分布とブルーカーボンモニタリング

特任研究員(竹内(渉)研) Trinh Xuan TRUONG,教授 竹内 渉
ベトナム沿岸域のブルーカーボン生態系の気候変動影響評価に関する研究で,過去40年程度に取得された種々の衛星画像解析,UAV画像解析,現地踏査による海藻の分布調査,バイオマス調査などを主に行っている.

レジリエントな都市・地域づくりに向けた研究と社会実装

教授 加藤 孝明
都市・地域づくりにおける持続性の維持と自然災害リスクの低減の両立を図る計画論を構築する.防災都市づくりの理念・理論に関する研究,復興の事前準備に関する理論研究の他,復興まちづくりイメージトレーニングを実践し,復興準備の方法論を確立する.

先端技術による都市機能の高度化とレジリエンス技術に関する研究

教授 加藤 孝明
情報技術や多様な要素技術のパッケージング技術を開発し,地域防災活動の高度化や地域防災拠点機能の高度化に資する研究を行う.防災を主軸としたスマートシティを構想,提案する.

先駆的都市・地域づくりモデルの実践的構築

教授 加藤 孝明
時代の最先端地域として,大都市と過疎集落を対象として,都市・地域づくりの新しいモデルを実践的に構築する.人口減社会・過疎社会における先進的まちづくり・地域づくりに関する研究,商業・業務地区の計画技術・エリアマネジメント技術の技術パッケージの高度化,気候変動への適応策としてのまちづくり・地域づくりに関する研究を進めている.

都市・地域の安全性評価技術の開発

教授 加藤 孝明
大都市等の複雑な災害現象を工学的に解明し,災害リスクや脆弱性の評価方法を構築する.併せて,構築された評価方法を逆関数の解を得て,災害リスクの低減に必要とされる地域の条件を明らかにする.大都市地震災害,津波災害,および,気候変動に伴う気象災害を対象として研究をすすめている.

統合陸域シミュレータの開発及び検証

教授 芳村 圭,特任講師 新田 友子,准教授 山崎 大
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルである統合陸域シミュレータ(ILS)の開発を行っている.

スマートエネルギーネットワーク研究会RC-65

教授 岩船 由美子
低炭素社会の実現に向けて,従来型の大容量集中発電と再生可能エネルギー等の分散型電源,さらには蓄電池や電気自動車などの需要端の電力貯蔵機能との共存を可能とし,供給と需要の双方向通信による負荷の平準化や省エネルギーを実現する新しいエネルギーシステムの構築が求められている.また,これまで所与のものとされてきた需要を見直し,エネルギーサービスの質を維持しつつも,エネルギー消費量を抑制していく方策について取り組みが進められている.欧米では「スマートグリッド」,「インテリジェントグリッド」等の電力供給ネットワークや,「デマンドレスポンス(需要反応)」などの考え方が提案され,再生可能エネルギーの導入,送配電網の柔軟性・信頼性を向上するための諸技術およびそれらの技術基準の検討が始まっている.本研究会では,「エネルギーマネジメント」,「再生可能エネルギー」,「スマートメータ」,「デマンドレスポンス(需要反応)」,「電力貯蔵機能」,「スマートグリッド」,「熱電供給」,「電気自動車」,「IT活用」などをキーワードに,新しいエネルギーシステムを考えるための活動を進め,欧米における先進事例や国内外の研究状況に関する情報を共有し,我が国における新しいエネルギー供給システムの在り方について議論を深めて検討する.

デマンドレスポンスに関する研究

教授 岩船 由美子
持続可能な社会システム構築のためには,再生可能エネルギーの活用,さらなるエネルギー効率向上が重要である.再生可能エネルギーの中で大きな導入量が期待される太陽光発電と風力発電は,その発電出力が天候や時間によって変動するため,これらの電源の導入割合の増加に伴い,電力システム全体の需給調整力をより一層確保する必要がある.需給調整力の一つが需要家サイドのデマンドレスポンス(DR)である.本研究室では,DRを評価するためのツールを構築し,系統全体への影響評価,需要家サイドの経済性評価を行っている.

高齢世帯のエネルギー利用に関する研究

教授 岩船 由美子
我が国の高齢化率は2005年に世界最高水準となり,今後も高水準を維持していくことが見込まれている.近年の高齢世帯は,単身もしくは夫婦のみ世帯がほとんどで,世帯規模小さい,住宅は古く大きい,在宅率高い,家電が古く多い等,エネルギー多消費傾向が確認されている.増加を続ける高齢世帯の省エネは重要であるが,加齢に伴う身体の衰えや疾病などを抱える高齢者に,省エネのための我慢や努力を期待することは難しく,QOL高く快適かつ安全な生活が優先する.高齢世帯のエネルギー利用についてスマートメータデータなどを継続的に収集し実態把握を行うとともに,その対策について検討を行う.

フィリピン共和国における気候変動を考慮した水災害リスク評価の研究

教授 大原 美保

地域の災害レジリエンスの向上に関する研究

教授 大原 美保

災害ヒヤリ・ハット事例を活用した災害対応力の向上

教授 大原 美保

デジタルスマートシティイニシアティブ

元教授 野城 智也,教授 関本 義秀,教授 腰原 幹雄
近年のビッグデータ,オープンデータ,AI等,多くの情報関係の技術が加速して進む中で,世界最先端の都市管理に関する様々な情報技術を磨きつつも,各地域が特定の主体等に依存し過ぎないデータ管理技術や,草の根の人的ネットワークの構築等,自律したスマートシティの技術基盤の涵養を行っていく事も重要である.そうした活動をより体系的に行っていくために,防災,交通,建物,インフラ構造物,地域経済等,都市運営の各分野を見据えつつ,都市情報基盤のグランドデザイン・コンセプトを描き,そのためのデータやソフトウェア等から構成されるデジタルシティを構築し,社会実証を行っていく.

人々の流動を計測し,行動モデルと組合せて全体流動を推定するデータ同化技術の開発

教授 関本 義秀
多様な観測方法に基づく性質の異なる移動データを,均質なデータとして整理すると共に,特に災害を中心とする平常時とは異なる人の流動について,行動モデルを適用させ推定する人流データ同化技術の開発を行う.

商業,交通,観光,災害等のコンテクストにおける人々の流動の生態の解明

教授 関本 義秀
人々の流動を様々な分野に適用するために,災害時のみならず観光行動や交通モードの推定によるモビリティ分析を行う.

国や地域のサステナブルな情報流通を支える基盤技術の開発

教授 関本 義秀
官民が保有するさまざまな社会基盤情報をワンストップで入手できるようなオープンなプラットフォームを開発するとともに,データを利用した視覚化・地図アプリなどの機能を提供し,データのショーケース化を図る.

国内外の地域の課題をデータと結びつけることによる実証研究的アプローチの開発

教授 関本 義秀
国内の社会基盤情報の整備を進めるとともに,国外においても簡易で継続的なデータ収集手法を構築し,データの質を評価するとともに,交通渋滞の解決や都市計画等の基礎データとしての活用を目指す.

空間AIのスマートシティへの応用

特任教授 三宅 陽一郎
空間AIとは空間そのものにAIを内在させたものである.スマートシティの最小単位として空間AIを限定した領域に構築し,それらを接続することで,都市におけるカバレージを上げていく.現在は設計の拡張,シミュレーションの精緻化,実装実験の段階である.

遺伝子組換え麻疹ウイルスを用いた抗がんウイルス療法の臨床研究

特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子,特任准教授 藤幸 知子,特任准教授 佐藤 宏樹

麻疹ウイルスベクターを用いたニパウイルス感染症ワクチンの開発

特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子,特任准教授 藤幸 知子
日本医療研究開発機構:ワクチン・新規モダリティ研究開発事業,2022-2026年度

人を健康にする建築のあり方

准教授 川添 善行

建築の時間論

准教授 川添 善行

然形学の体系

准教授 川添 善行

非都市域における都市的地域の空間構造およびネットワーク構造に関する研究

助教(川添研) 小南 弘季

トレンド情報を活用したユーザ行動解析に関する数理研究

准教授 本間 裕大
日本で有数のファッションポータルサイトである「FASHION PRESS」を運営・管理する「(株) カーリン」と共同で,最先端デザインのトレンド傾向を分析すべく,新たなる数理技術の開発ならびにデータ解析を行う.

ネットワーク型点過程解析に基づくインターネット市場メカニズムの数理的研究

准教授 本間 裕大
インターネット市場,特にメルカリにおける取引に着目し,出品等のイベントのタイムスタンプで構成される点過程時系列を分析対象とする.この点過程時系列にHawkes過程解析を適用し,イベントを引き起こす内生・外生要因の時間変化を推定する.

地域力創発デザインに向けた産学連携研究

准教授 本間 裕大
地域社会のそれまでの文脈,地域資源を最大限,活かしつつ,新たな地域資源や担い手を創出し,空間・機能・社会システムを地域の実情に即して再デザインを行い,地域の持続性を高められる地域の未来像を描くことを目的とする.

大学機関における資源配分効果の定量的分析

准教授 本間 裕大
本研究では,高校卒業者の大学進学・就職に着目し,高校卒業者の人口移動における地域内での定着傾向を定量的に評価する.まず,高校卒業者の就職と大学進学とを比較することで地域定着の要因分析を行う.次に,大学進学者については「実家から通うことのできる地域内にある進学先の選択しやすさ」を地域定着力と定義し,大学進学に伴う人口移動における地域定着力の推定を行う.

数理最適化に基づく建築空間設計の支援に関するシステム開発

准教授 本間 裕大
建築空間設計では,多様な人と利用目的が空間上で複雑に絡み合うゆえに,人手による再帰的な検討が日常的に生じており,迅速な設計の妨げとなっている.本研究では,数理最適化手法の一つである混合整数計画法を活用し,建築空間設計の定量的評価とその最適化を支援するシステム開発を目指す.

数理最適化に基づく物流施設の自動設計に関する研究

准教授 本間 裕大
設計業務におけるプラン検討の負荷を軽減するための数理最適化手法を,定式化およびソルバ実装の両面から追求し,その実用可能性を探る.

経路情報データを活用した空間移動嗜好の逆推定

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 羽佐田 紘之
空間移動嗜好の把握は,実際の移動経路情報を活用して実現する.空間移動嗜好として,人々の実際の移動を決定づける合成コストと,それを共有する主集団やそれ以外それぞれの移動特性を把握する.経路情報データから空間各所のリンクコストを逆推定する数理最適化モデルを構築し,構築したモデルを利用して,共通のコストを有さない経路情報データを検出する手法を提案する.

電気自動車における将来充電方式の経済合理性に関する研究

准教授 本間 裕大
低炭素社会の実現に向け,代替燃料車の社会的普及が求められている.電気自動車は,その有力な候補となるが,一方で連続航行距離など現状では課題も多い.そこで,本研究では,従来とは異なる将来充電方式を前提としたとき,どの程度の経済合理性が担保されるか,数理的検討を行う.

BLEビーコンデータを用いた建築空間内におけるシークエンスの推定

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 丸山 純矢
建物内における人間の移動行動と建物の関係であるシークエンスに着目し,BLEビーコンデータを用いて建物内のシークエンスを推定する数理最適化モデルを提案する.本年度は本大学工学部の建物ネットワークデータを構築し,本モデルの有効性を検証する.

ファッションポータルサイトから収集した商業・文化活動の時空間データに基づく「街のリズム」の抽出

准教授 本間 裕大,大学院学生(本間(裕)研) 山崎 友暉
街におけるイベントのコンテンツが時空間で連続的に変化する様子を「街のリズム」として捉え,定量的な分析を行う.ファッションポータルサイトに集積されたイベント情報から得た時間的密度の高い時空間データをもとに,イベント同士のつながりの可視化や街のリズムの抽出をする.

複数主体を前提とした建築保存における文化的価値の交換スキームに関する数理的研究

准教授 本間 裕大,東京大学特別研究員(本間(裕)研) 井澤 佳織
本研究では,歴史建築物の保存を過去と現在とで生じる「時を超えた価値交換」と捉える.建築保存の観点から,「金銭的に測れる価値観と測れない価値観」という両側面の乖離とその交換可能性を追求する.

超高層建築物の日影が街区の日照環境に与える複合的影響

准教授 本間 裕大,特任助教(本間(裕)研) 渡部 宇子
超高層建築物と周辺建築物との複合日影に着目し,超高層建築物による日影が街区の日照環境に与える影響を定量的に示す.具体的には,超高層建築物による日影の影響を,日影時間そのものの増加だけでなく,周辺建築物による日影との重複時間の増加という側面からも分析することによって,都市部における日照環境の特徴を明らかにする.

データ同化を用いた洪水予測シミュレーションの精度向上

准教授 山崎 大
従来の広域洪水予測シミュレーションでは,気象予測のみを外力としており,その誤差が洪水予測の精度に大きく影響していた.本研究では,衛星観測等による地表水の現状を河川モデルに同化することで,短期〜中期の洪水予測の大幅な精度向上を目指す.

全球河川モデルの社会実装に関する研究

准教授 山崎 大
全球河川モデルは地球システム科学の研究ツールとして開発されてきたが,精度向上と社会からの要請によって,リスク管理や気候変動対策など民間での利用が検討されるようになった.そこで,全球河川モデルの精度検証および社会実装における障壁を明らかにするための研究を行っている.

衛星ビッグデータを用いた地球環境変動の解析とモニタリング

准教授 山崎 大,特任教授 沖 一雄
数ペタバイトにおよぶ長期間・高解像度の衛星観測データを用いて,地球規模での水域分布図の構築や,河川水温の長期トレンド検出など,大規模データ解析にもとづく地球環境変動の新たな知見を創出する.

次世代陸域水文モデルの開発

特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大,教授 芳村 圭,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,室長(気象研究所) 仲江川 敏之,特任研究員(芳村研) 大沼 友貴彦
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルの開発を行っている.陸域の水・エネルギー収支と水循環とを大陸規模・日単位のスケールで精度良く推計でき,大気・海洋・生物圏などからなる地球システムモデルとも結合可能な陸域水循環の物理的側面に関する高精度で高計算効率の陸域水文シミュレーションを実施する.また,超高解像度の水文地理データや水利用データの整備,一貫性の長期気象外力データの整備を行い,全球1km 解像度での高解像度陸域水循環シミュレーションや全大陸50km 解像度での250 年分の長期アンサンブルシミュレーションの実現を目指している.

ワークライフ・インテグレーションに適した住環境の構築

准教授 本間 健太郎,特任研究員(ペニントン研) Hyunjung Kim,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人
コロナ禍をきっかけに在宅ワークが普及する中,スペースや間取りが限られた住空間に勤務機能が無秩序に流れ込むことで,生活や仕事に支障が出るケースが増えている.そうした課題を解決しようと,「ワークライフ・インテグレーション」をコンセプトに,家事や子育てをしながらでも働きやすく,生産性や創造性を高めることができる住空間の設計・実証を行っている.

建築・都市計画におけるデザインとエンジニアリングの融合【柏地区利用研究課題】

准教授 本間 健太郎,教授 今井 公太郎,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人,大学院学生(本間(健)研) HALL Nikki,大学院学生(本間(健)研) 倉知 直生,大学院学生(本間(健)研) 渡辺 大介
建築設計や都市計画に役立つ新たなツールを開発するとともに,それを用いた計画と設計を行っている.今年度は,VRアイトラッカーを用いた建築空間が視覚体験に与える影響の分析,移動履歴を考慮した散策時の視覚体験のシミュレーション,鉄道に携行可能なモビリティの導入が移動圏域に与える影響の分析,都市公園の画像分類と到達圏解析によるパンデミック時のソーシャルギャザリング機会の評価を行った.

コンクリートがれきからの炭酸塩の回収

准教授 酒井 雄也
コンクリートがれきからカルシウム分に富む粉末や成分を選別することで,セメント原料などとして活用することを目指している.

コンクリートの完全なリサイクル

准教授 酒井 雄也
粉砕および圧縮成形によりコンクリートがれきを再生することで,副産物が発生せず,新たな材料の投入を必要としないリサイクルを試みている.

廃棄食材を用いた素材の開発

准教授 酒井 雄也
廃棄食材を乾燥して粉砕して得られる粉体を熱プレスすることで製造する,新たな材料の開発を進めている.

植物性コンクリート(生分解性コンクリート)の開発

准教授 酒井 雄也
CO2排出などの環境負荷の大きいセメントの代わりに,植物を用いて砂や砂利を接着したコンクリートの開発を進めている.

気体や液状水のコンクリートへの侵入挙動の評価

准教授 酒井 雄也
水銀圧入法により得られるコンクリート空隙構造といった実測値や,水セメント比や養生条件といった作製条件から,コンクリート中の気体や液状水移動を予測する手法を提案している.

建築室内熱環境・空気環境に関する実験【柏地区利用研究課題】

准教授 菊本 英紀

環境中の流体・拡散現象の解析・予測・制御技術の開発

准教授 菊本 英紀
都市空間内や建物周辺・内部に形成される気流や空気汚染物質の拡散現象に関して,観測的手法や風洞実験,計算流体力学(CFD)を用いた解析や予測技術の開発を行っている.また,環境中の空気流動や空気汚染物質量を効率的に制御するための理論・実証的研究を行っている.

計測と数値予測を融合した環境解析・制御技術の開発

准教授 菊本 英紀
数理・統計的手法によって計測と数値予測を融合した環境解析・制御技術を開発している.その一つとして,物理モデルや統計モデルを用いて,未知の空気質汚染源などの環境因子を確率的に逆解析する手法を研究している.また,有限の計測データに統計モデルまたは機械学習技術を適用し,環境情報を詳細化・高精度化する技術を研究している.

都市熱環境のモニタリングとその影響評価・予測技術の開発

准教授 菊本 英紀
気候変動や都市化の進展は,都市環境の暑熱化をもたらし,建物のエネルギー負荷の増大や熱中症等の健康被害の深刻化をもたらす.気象観測データやリモートセンシングデータなどを活用し,都市の気候変化をモニタリングするとともに,都市居住者の環境や健康への影響を評価・予測する技術を開発している.

哲学対話を基にした倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)抽出手法の開発

准教授 松山 桃世
新技術が社会実装される際には,技術的課題以外にもさまざまな課題が生じうる.そのため,技術の開発段階の早い時期から,人々が対話を重ね,生じうる論点を提示し,それらへの対処を検討することが望ましい.本研究では,公共交通の自動運転化や台風制御技術を主題に設定し,問いを重ねて対象の理解を深める「哲学対話」の手法を改変し,倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)の論点を抽出する手法の開発を進めている.

科学コミュニケーションツール「ひみつの研究道具箱」開発:市民・専門家・異分野間の「知の創出・融合」支援

准教授 松山 桃世
本所の設立70周年記念事業の一環として開発した「生研道具箱カードゲーム」を更新し,パッケージ化およびウェブ化した.市民が先進技術を自分ごとと捉え,技術で課題解決方法を自ら考えるという「工学思考の疑似体験」を提供すると同時に,さまざまな背景を持った参加者の対話により課題を多角的にとらえて解決方法を探る「総合知の醸成」の場を創生するワークショップの開発を進めている.本年度は特に,学内外のURAと連携し,工学知と人文知を融合して社会課題を解決するプロセスを可視化するワークショップの開発・実践を進めた.

百年カンポンに関する研究

准教授 林 憲吾,講師(インドネシア大) Evawani Ellisa

長屋門ステイ

准教授 林 憲吾
宮城県栗原市に現存する長屋門の保全再生プロジェクト

オマーンの伝統的集落の保全に関する研究

准教授 林 憲吾,准教授(総合地球環境学研究所) 近藤 康久,教授 腰原 幹雄

「横山特別研究顧問を囲む会」の実施

准教授 戸矢 理衣奈
横山禎徳特別研究顧問を囲む談話会を有志により不定期に開催し,大学運営はじめ多岐にわたるテーマにおいて議論を行うとともにご知見を頂いてきた.

「駒Ⅱ音楽祭」の開催

准教授 戸矢 理衣奈
東京大学生産技術研究所および先端科学技術研究センター有志(生研:今井公太郎教授,戸矢理衣奈准教授,先端研:近藤薫特任教授,松口直樹特任専門員)の企画による「駒Ⅱ音楽祭」を生研・先端研の共催として開催した.先端研に特任教授として着任されている東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターの近藤薫氏が,生研にて戸矢が約4年にわたり人文学やアート,実務の第一線でご活躍されている方々を招聘して開催してきた文化×工学研究会にご参加されたことを契機に企画が発展した.2月5日に設立記念公演として,山田和樹氏の指揮により東京混声合唱団16名による「邦人作曲家による戦前・戦後の合唱曲〜人声の集としての音楽芸術〜」を開催した. 科学と芸術が近くにある環境を実現するため,今後も駒場第2キャンパスにて年3-4回,音楽家を招聘しての演奏会の実施を検討している.真理の探究の面では科学と芸術は目指すところは同じであり,科学者と芸術家の出会いの場とするとともに,異分野間の研究者や実務家の交流の場とすることを目指している.

文化×工学研究会の実施,コーディネート

准教授 戸矢 理衣奈
学内外の研究者,実務家,アーティストの方々を講師に迎え,本質的に工学と関連するテーマについてご講演を頂くとともにディスカッションを行っている.東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)修了生有志主宰,生産技術研究所の協力のもとで実施しており,全学の教職員とEMP修了生を対象としている.これにより文理融合と社会連携を同時に推進しており,有機的なネットワークの構築を図っている.将来的には領域を超えた共同研究や文系も含めた社会連携の促進を想定している. ※2023年度の開催実績 中島 隆博(東京大学東洋文化研究所所長/教授) 「哲学×イノベーション」 納富 信留(東京大学人文社会系研究科教授/東京大学文学部長) 「原子論の哲学的起源 ―古代ギリシア哲学における存在と生成変化―」 横山 禎徳(東京大学生産技術研究所特別研究顧問) 「文化,工学を融合するヴァーナキュラーな『社会システムデザイン』」

東京大学と金融庁における包括連携協定締結に関連する業務

准教授 戸矢 理衣奈
文化×工学研究会における山本修氏(EMP修了生/EMP講師)の講演を契機に,市場変動分析に合原一幸教授の点過程分析を応用する研究会が経済学研究科・渡辺努教授のご協力も得て立ち上がり,2021年4月より継続的に研究会を行った.東大基金への寄付金をもとに,チューリヒ工科大学ディディエ・ソネット教授を招聘しての講演をはじめ,学内外の講師を招聘した.こうした活動を経て,2022年4月の複雑系社会システム研究センターの発足へとつながった.センター発足後も,EMP修了生の協力体制の構築及び寄付金獲得やその方法の協議をすすめた(未公開株等の新たな寄付方法に関して本部との協議等も推進した.EMP関係者による本プロジェクトへの個人による寄付金は累計約3千万円となった).加えて金融庁等の外部機関との提携協議をはじめ,東京大学としても新機軸となる取り組みの実現に向けて調整を継続的に行った.

鏡の流通に関する研究の継続

准教授 戸矢 理衣奈
鏡の流通に伴う人間心理の変化に関して,その過渡期である明治末から大正,昭和初期を中心に研究を継続した.

Biosphere and Land Use Exchanges with Groundwater and soils in Earth system Models

特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大
地下水と土壌水分の相互作用は,土壌,水資源,生態系,地表近くの気候,社会システムを含む臨界領域(CZ)を形成する重要な役割を担っている.土壌水分,地下水,灌漑は,平均的な気候と異常気象(干ばつ,熱波,洪水),生態系生産性(湿地,農地),土壌炭素に影響を与えるが,それに対する応答もまた同様である.これらの結合プロセスは時空間的に対照的な現れ方を示し,観測結果からその相対的な影響を理解することは困難である.そこで我々は高度な数値モデリングを用いて人新世(1900-2100)におけるこれらのプロセスの長期的進化を,地球規模および地域規模(フランス大都市圏とメコン川流域の2つ)において探求する.

水共生学の創生に向けた水とその周辺環境情報の創出と展開

特任准教授 金 炯俊,准教授(九州大) 渡部 哲史,准教授(東京工業大) 内海 信幸,特任研究員(金(炯)研) 豊嶋 紘一,特任研究員(金研) Marvin SEOW,特任研究員(金研) Suyeon MOON
本研究では,領域目標である水共生学の創生に向け水とその周辺環境情報の創出に取り組む.これは地球圏―生物圏―人間圏の相互作用により成立する水循環システムのゆらぎを社会文化の観点から動態的に明らかにするための基礎情報となる.具体的には,1)水文気候シミュレーションによる過去300年を対象とした長期水文気候再現および将来100年を対象とした将来水文気候予測,2)リモートセンシング等による水を取り巻く周辺環境の計測,3) 観測および数値モデリングによる流域スケールでの水と環境物質動態解明を行い,過去―現在―未来における水とその周辺環境の変化を明らかにする.また,地球科学分野におけるデータが有する時空間解像度や確率的な特徴を,生物圏および人間圏における研究に活用しやすい形に変換する,情報翻訳のアプローチについての開拓にも取り組む.

衛星観測を活用したデータ駆動型の水文季節予報手法の開発

特任准教授 金 炯俊,准教授(九州大) 渡部 哲史,准教授(東京工業大) 内海 信幸
衛星観測を含む様々なデータを活用してデータ駆動型の水文季節予報手法の開発を行うための国際共同研究枠組みを構築する.米国側カウンターパートはジェット推進研究所であり,主に陸域貯水量変動が河川水位に与える影響についての専門的知見を提供する.一方,日本側は海面温度など全球スケールの様々な変数と流域スケールでの水文量の関係についての知見を提供する.両者を統合し,データ駆動型の水文季節予報手法の開発を行う.

DER テスターの開発

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝,受託研究員(馬場研) 海原 拓朗
ECHONET Liteなどを使用してインターネット経由で分散エネルギー資源(DER)を遠方操作する仕組みは,円滑に作業が進むことが少なく多くの関係者の悩みとなっている.本テスターは,ステップバイステップでコマンドを送り,対象DERがどのように動作しているのかを見える化するツールである.

EV充電テストベッドの開発

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝
脱炭素社会構築を目指した多様なEV充電サービスを創出するには,技術的実現可能性やユーザー受容性を確認するテストベッドがあると効率的であるため,本研究は先進的な技術によるテストベッドの構築を目指すものである.

変調充電電流

特任准教授 馬場 博幸,准教授 本間 裕大,特任講師 今中 政輝
Mode3普通充電器とEV間はその規格上,個体識別(紐づけ)ができず,多様な充電サービスの創出の妨げとなっている.本技術は充電電流本体を変調し,情報伝送の役割も担わせその問題を解決する技術である.

需要側電力システム研究会

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝,特任教授 荻本 和彦
様々な課題が山積の需要側電力システムの実現に向けた現実解を収集・共有する関係企業30~40社からなる研究会を主宰

遺伝子組換え麻疹ウイルスの抗腫瘍能増強

特任准教授 佐藤 宏樹,特任教授 甲斐 知惠子,特任准教授 藤幸 知子,特任教授 米田 美佐子
研究室で開発した腫瘍溶解性遺伝子組換え麻疹ウイルスに免疫増強遺伝子を搭載し,抗腫瘍能の増強を評価した.

ニパウイルスの野外迅速診断法確立とこれを用いた流行地域におけるウイルス性状の解析

特任教授 米田 美佐子,特任准教授 藤幸 知子
日本学術振興会:科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)),2020-2024年度

ウイルスを用いた新規癌治療法における癌細胞の応答機構解析

特任准教授 藤幸 知子
内藤記念財団:女性研究者研究助成金,2021-2023年度

癌治療用組換え麻疹ウイルスによる細胞死メカニズムと免疫誘導性の解析

特任准教授 藤幸 知子,特任准教授 佐藤 宏樹,特任研究員(甲斐研) 森藤 可南子
日本学術新興会:科学研究費補助金 基盤研究(B),2022-2025年度

情報指向空間デザインのための手法開発

特任講師 新井 崇俊
ある場所がどこにあり,どれ位広く,どの様な形状で,そこから何が見えるかといった空間情報は,その場所で行われる活動と密接な関係にある.例え同じ部屋の中でも場所によってそれらの空間情報は異なるため,適切な情報把握が空間の分析や設計には不可欠になる.私たちは,点群を空間に満遍なく散りばめ互いに接続することで,空間を綿密に“はかる”ための表記法を開発し,建築空間を空間情報の分布と捉えることで何が可能かについて研究している.

Decoding of reproduced images of complex-encoded holographic memory using convolutional neural networks

教授 志村 努,研究実習生(志村研) Jianying Hao,客員准教授 藤村 隆史,特任助教(志村研) 平山 颯紀,元助教(志村研) 田中 嘉人
Holographic memory has a higher storage capacity and data transfer rate than conventional bit-by-bit storage techniques due to its 2-dimensional recording and 3-dimensional volume storage. However, conventional holographic memory only uses amplitude to encode information and does not take advantage of the high capacity of holographic memory. With the progress of research, it has become possible to realize complex-encoded holographic memory using both amplitude and phase encoding. Introducing phase to encode information enables higher encoding efficiency and signal-to-noise ratio than traditional amplitude modulation. However, since the phase cannot be detected directly, it must be demodulated from the intensity image. A direct complex amplitude demodulation method from a near-field diffraction image based on deep learning is proposed. By propagating the reconstructed beam for a short distance, the intensity image containing diffraction features related to both amplitude and phase can be obtained. The inverse process from the near-field diffraction intensity image to the complex amplitude light field is divided into intensity-amplitude and intensity-phase inverse problems separately and represented by two convolutional neural networks (CNNs). After training the CNNs with the training dataset (intensity as input and amplitude/phase as outputs), both the amplitude and phase data pages can be retrieved directly from a single diffraction intensity image simultaneously. The verification of the experiment involving the demodulation of 16-level complex amplitude from a single diffraction image during the decoding process of holographic memory has been conducted.

シリコンメタサーフェスにおける第二高調波発生の研究

教授 志村 努,大学院学生(志村研) 上田 康太郎,元助教(志村研) 田中 嘉人,客員准教授 藤村 隆史,特任助教(志村研) 平山 颯紀
シリコンは通常,その結晶構造の空間対称性のために二次非線形感受率がゼロとなり,したがってシリコン内部で二次非線形光学効果を起こすことはできない.しかしシリコンであっても,表面においては鉛直方向に空間反転対称性が破れ,表面に局在する二次非線形分極が誘起される.その分極による第二高調波発生(SHG)は表面SHGと呼ばれている.本研究では,この表面SHGを利用し,非線形光学材料を用いずシリコンだけでSHGを起こすことを目標にしている.そのために,本来非常に弱い表面SHGを増強する工夫が必要となり,そこでメタサーフェスを利用する.メタサーフェスはメタアトムと呼ばれる光の波長以下の構造を周期的に表面に配列したものである.メタサーフェスにおける表面SHGは配列された各メタアトム表面で発生し,いくつかのメリットがある.まず,微細な凹凸を表面に作るため表面積が増大し,表面でのみ発生する表面SHGも増加すると考えられる.また,メタアトムの構造と配列を設計できるため,表面SHGが増強されるメタサーフェスを人工的に作ることができる.最適な構造を見つけるため,表面SHGをシミュレーションして構造ごとの表面SHGのふるまいを調べている.

メタサーフェスを記録媒体とする多次元光変調ホログラフィックメモリー

教授 志村 努,特任助教(志村研) 平山 颯紀,客員准教授 藤村 隆史,元助教(志村研) 田中 嘉人
表面型ホログラムを記録媒体として利用すると,情報の「高速読み出し・超長期保存・容易な複製」といった特徴をもつユニークな光メモリーが実現できる.サブ波長スケールで適切に微細加工された人工表面構造(メタサーフェス)は,光の位相・振幅・偏光などのさまざまな特性の空間変調が可能であることが知られており,この多次元的な光変調自由度を利用することで記録密度の向上が期待できる.本研究ではシステムの検討・設計理論の構築・メモリー特性の評価を目指して研究を行っており,現段階ではメタサーフェスの光変調特性を定量的に評価可能なシステムの構築を目指している.

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究を進めている.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性といった課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験および数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

スマートエネルギーネットワーク研究会RC-65

教授 岩船 由美子
低炭素社会の実現に向けて,従来型の大容量集中発電と再生可能エネルギー等の分散型電源,さらには蓄電池や電気自動車などの需要端の電力貯蔵機能との共存を可能とし,供給と需要の双方向通信による負荷の平準化や省エネルギーを実現する新しいエネルギーシステムの構築が求められている.また,これまで所与のものとされてきた需要を見直し,エネルギーサービスの質を維持しつつも,エネルギー消費量を抑制していく方策について取り組みが進められている.欧米では「スマートグリッド」,「インテリジェントグリッド」等の電力供給ネットワークや,「デマンドレスポンス(需要反応)」などの考え方が提案され,再生可能エネルギーの導入,送配電網の柔軟性・信頼性を向上するための諸技術およびそれらの技術基準の検討が始まっている.本研究会では,「エネルギーマネジメント」,「再生可能エネルギー」,「スマートメータ」,「デマンドレスポンス(需要反応)」,「電力貯蔵機能」,「スマートグリッド」,「熱電供給」,「電気自動車」,「IT活用」などをキーワードに,新しいエネルギーシステムを考えるための活動を進め,欧米における先進事例や国内外の研究状況に関する情報を共有し,我が国における新しいエネルギー供給システムの在り方について議論を深めて検討する.

デマンドレスポンスに関する研究

教授 岩船 由美子
持続可能な社会システム構築のためには,再生可能エネルギーの活用,さらなるエネルギー効率向上が重要である.再生可能エネルギーの中で大きな導入量が期待される太陽光発電と風力発電は,その発電出力が天候や時間によって変動するため,これらの電源の導入割合の増加に伴い,電力システム全体の需給調整力をより一層確保する必要がある.需給調整力の一つが需要家サイドのデマンドレスポンス(DR)である.本研究室では,DRを評価するためのツールを構築し,系統全体への影響評価,需要家サイドの経済性評価を行っている.

高齢世帯のエネルギー利用に関する研究

教授 岩船 由美子
我が国の高齢化率は2005年に世界最高水準となり,今後も高水準を維持していくことが見込まれている.近年の高齢世帯は,単身もしくは夫婦のみ世帯がほとんどで,世帯規模小さい,住宅は古く大きい,在宅率高い,家電が古く多い等,エネルギー多消費傾向が確認されている.増加を続ける高齢世帯の省エネは重要であるが,加齢に伴う身体の衰えや疾病などを抱える高齢者に,省エネのための我慢や努力を期待することは難しく,QOL高く快適かつ安全な生活が優先する.高齢世帯のエネルギー利用についてスマートメータデータなどを継続的に収集し実態把握を行うとともに,その対策について検討を行う.

DER テスターの開発

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝,受託研究員(馬場研) 海原 拓朗
ECHONET Liteなどを使用してインターネット経由で分散エネルギー資源(DER)を遠方操作する仕組みは,円滑に作業が進むことが少なく多くの関係者の悩みとなっている.本テスターは,ステップバイステップでコマンドを送り,対象DERがどのように動作しているのかを見える化するツールである.

EV充電テストベッドの開発

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝
脱炭素社会構築を目指した多様なEV充電サービスを創出するには,技術的実現可能性やユーザー受容性を確認するテストベッドがあると効率的であるため,本研究は先進的な技術によるテストベッドの構築を目指すものである.

需要側電力システム研究会

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝,特任教授 荻本 和彦
様々な課題が山積の需要側電力システムの実現に向けた現実解を収集・共有する関係企業30~40社からなる研究会を主宰

未来志向射出成形技術

教授 梶原 優介,特任講師 龍野 道宏,助教(梶原研) 木村 文信,特任研究員(梶原研) 加藤 秀昭,シニア協力員 石田 和美
主要なプラスチック成形加工技術の射出成形は,広範な成形工業界を擁し国民生活および産業界の発展を下支えしている.近年では,炭素長繊維等の難成形性・難制御性の材料が出現し,超臨界流体応用微細転写・発泡成形,型内異材成形・接合・組み立て等が求められ,複雑化する成形現象の解明が追い付かず材料特性を十分に引き出せなくなっている.本部門では,技術的にも学問的にも未開拓なこれら領域に道筋をつけ,来るべき射出成形技術を先導することを目指し研究を進めている.

デジタルスマートシティイニシアティブ

元教授 野城 智也,教授 関本 義秀,教授 腰原 幹雄
近年のビッグデータ,オープンデータ,AI等,多くの情報関係の技術が加速して進む中で,世界最先端の都市管理に関する様々な情報技術を磨きつつも,各地域が特定の主体等に依存し過ぎないデータ管理技術や,草の根の人的ネットワークの構築等,自律したスマートシティの技術基盤の涵養を行っていく事も重要である.そうした活動をより体系的に行っていくために,防災,交通,建物,インフラ構造物,地域経済等,都市運営の各分野を見据えつつ,都市情報基盤のグランドデザイン・コンセプトを描き,そのためのデータやソフトウェア等から構成されるデジタルシティを構築し,社会実証を行っていく.

着霜制御サイエンス─ 霜のつかない表面を設計する物理的指針

特任教授 ビルデ マーカス,教授 福谷 克之,特任講師 高江 恭平,特任研究員(福谷研) 越田 裕之
水蒸気が氷となって凝結する着霜現象は,工学的・社会的に極めて重要な現象である.例えば,透明なガラスの光学的な透過度の低下を招く,熱交換機の熱効率の著しい低下をもたらす,コンクリートにダメージを与える,航空機の安定な飛行を困難にするなど,着霜は様々な深刻な問題を引き起こすことが知られている.しかしながら,着霜現象に対する物理的な理解は十分とは言えず,これまで着霜の阻害のための明確な物理的指針は存在していなかった. そこで,本社会連携研究部門では,この状況を打破すべく,理論・シミュレーション・実験を融合することにより,ミクロからマクロにわたる新たな階層的な視点から,着霜という非平衡現象の物理的な機構に迫ることで,この現象の基礎的な解明をはかるとともに,上記のような深刻な社会的問題の解決のための基本的な物理的指針を確立することを目指す.

非順序型実行原理に基づく高速データベースエンジンの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登,特任研究員(合田研) 川道 亮治,特任研究員(合田研) 小沢 健史

エビ養殖場の環境シミュレーション

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫
エビ養殖内で用いられている攪拌パドルの設置台数や位置を最適化するために,エビ養殖場の環境シミュレーションツールの開発を行った.

養殖海域の持続可能性評価のための指標の開発

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,大学院学生(北澤研) 高 紅霞
海域で環境容量の範囲内で持続可能な養殖を行うために,持続可能性を評価するための簡易的な指標を提案し,養殖および陸上からの負荷や海域の地形と赤潮発生状況の相関を調べた.

琵琶湖における2種の淡水種の環境DNA調査と数値シミュレーションによる温暖化影響の予測

学術研究員(神戸大) 邬 倩倩,教授(神戸大) 源 利文,教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,教授(滋賀大) 石川 俊之,教授(滋賀県立大) 後藤 直成,助教(北海道大) 坂田 雅之,学部学生(神戸大) 河本 達也
琵琶湖における淡水魚類が,今後の温暖化によってどのような影響を受けるかを調べるために,環境DNA調査結果と水質調査結果との相関を調べ,数値シミュレーションによる水質の将来予測結果を用いて淡水魚類の温暖化影響を予測した.

量子熱力学および量子統計力学に関する理論研究および数値研究【柏地区利用研究課題】

教授 羽田野 直道

弱測定の精密測定への応用に向けた理論解析

助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子測定において有用な測定値を選別する手法としての弱測定法が,測定精度の向上をもたらし得る機構を解析し,既存の実験のデータの分析・検証を通したその有用性の実証や,今後の幅広い応用へ向けた検討を行う.

量子化・擬測定の双対理論に基づく局所実在性の研究

大学院学生(名古屋大) 野神 亮介,助教(羽田野研) 李 宰河
量子化・擬測定の双対構造に基づくことで,量子論と局所実在論の含意を体系的に分析し,とりわけそれらの統計的構造の特徴付けを幾何学的な観点から調査する.

量子化・擬測定の双対理論に基づく擬確率分布の特徴付け

学生(東大) 梅川 舜,助教(羽田野研) 李 宰河
量子化・擬測定の双対構造に基づくことで,量子系上の一般の擬確率分布の分類と特徴付けを行い,量子論の基礎の問題に対する擬確率分布の応用へ向けた基盤作りを目的とする.

量子論における不確定性原理の普遍的定式化

助教(羽田野研) 李 宰河
不確定性原理の普遍的な定式化を通して,量子論における不確定性の多彩な顕現様式を融合し,またこれに起因する各種の量子現象を解析することで,その包括的理解に資することを目的とする.

Maximum Power of Quantum Otto Engine

大学院学生(羽田野研) 高 静儀,教授 羽田野 直道
We put forward four schemes of coupled-qubit quantum Otto machine, a generalization of the single-qubit quantum Otto machine, based on work and heat transfer between an internal system consisting of a coupled pair of qubits and an external environment consisting of two heat baths and two work storages. The four schemes of our model are defined by the positions of attaching the heat baths, which play a key role in the power of the coupled-qubit engine. Firstly, for the single-qubit heat engine, we find a maximum-power relation, and the fact that its efficiency at the maximum power is equal to the Otto efficiency, which is greater than the Curzon-Ahlborn efficiency. Second, we compare the coupled-qubit engines to the single-qubit one from the point of view of achieving the maximum power based on the same energy-level change for work production, and find that the coupling between the two qubits can lead to greater powers but the system efficiency at the maximum power is lower than the single-qubit system's efficiency and the Curzon-Ahlborn efficiency.

Statistical Physics and Mathematical Physics

大学院学生(羽田野研) 童 心海
Bounds of correlation function and spectral perturbation in stochastic thermodynamics. Mathematical physics of the Gibbs state and KMS condition with locality. Thermodynamic bounds on local boson model. Interplay between quantum Lindbladian/non-Markovian dynamics and thermodynamics bounds.

ネットワークの頂点順序推定によるコミュニティ検出

大学院学生(羽田野研) 越智 昌毅,(国研)産業技術総合研究所 川本 達郎
複雑ネットワークにおいてコミュニティ構造の検出は重要な課題である.我々は,コミュニティ構造が隣接行列プロットを通して可視化されることに着目し,そのために不可欠な頂点順序推定を行う手法を提案した.Ordered random graph model という統計モデルを用いて最尤推定を行なった.

ホップフィールドモデルにおけるエントロピーの生成

大学院学生(羽田野研) 王 鑫,教授 羽田野 直道
連想記憶の生成過程に伴うエントロピー生成を確率熱力学で理解しようとしている.

羽田野ネルソン型非エルミート系における量子伝導の研究

特任研究員(羽田野研) 井村 健一郎,教授(広島大) 高根 美武
羽田野ネルソン型非エルミート量子1次元系にエルミートなリード線をつなげた系の散乱問題を検討した.非エルミート部分では通常の確率密度の保存則が成り立たない.確率密度の流れを適切に定義すると,非エルミート版確率密度の保存則が成り立つことを示した.

量子アクティブ粒子:古典極限と多体系への拡張

大学院学生(羽田野研) 山岸 愛
非ユニタリ量子ウォークを用いて定義された量子アクティブ粒子 (Yamagishi et al., 2023) の数値的古典極限を調べた.また,その量子アクティブ粒子のモデルを多体系に拡張する第一歩として,近藤模型のような相互作用をする二体量子ウォークを提案した.

量子系に対する温度勾配の導入方法の構築

大学院学生(羽田野研) 牧口 乃大,助教(東京理科大) 豆田 和也
温度勾配の効果を重力場の効果と近似し,曲がった時空の場の理論を用いて量子系への温度勾配導入方法を構築する.

開放量子系のパスの可逆性と不可逆性の研究

大学院学生(羽田野研) 石崎 未来,助教(羽田野研) 李 宰河
開放量子系のダイナミクスの可逆性と不可逆性を,注目系の各初期状態から始まるパスの交わりの観点から研究する.

開放量子系の作用素解析

大学院学生(羽田野研) 尚 程,教授 羽田野 直道

開放量子系の有効リウビリアンを用いたGKSL方程式の導出

大学院学生(羽田野研) 金川 隼人,教授 羽田野 直道
開放量子系の解析に有用な射影演算子を新たに定義して,開放量子系の時間発展を有効リウビリアンの方法で解析した.その結果,開放量子系の時間発展をGKSL方程式で記述されるマルコフ的時間発展とそれ以外の非マルコフ的時間発展を司る部分に分割することができた.この結果は多くの場合マルコフ的領域に留まっていた開放量子系の研究を,非マルコフ的領域にまで系統的に拡張する際に有力な方法となることが期待される.

非エルミート系における量子もつれのダイナミクス

PD(東大) 折戸 隆寛,特任研究員(羽田野研) 井村 健一郎
非エルミート量子力学系では固有状態の性質が通常のエルミート系の場合と大きく異なることが盛んに議論されているが,波束のダイナミクスもまたエルミート系の場合と定性的に異なる.羽田野ネルソン模型の清浄極限では量子干渉が抑えられて古典的な拡散現象が見られ,不純物強度の増加と共に量子干渉が回復する.本研究では,多体効果も取り入れて,量子もつれのダイナミクスを調べた.

非エルミート重い電子系超伝導体の例外点の物理

日本学術振興会PD(羽田野研) 平良 敬乃
重い電子系に現れる非エルミートな有効模型に特有の例外点付近での超伝導状態の変化を明らかにする.

水同位体情報を用いた気候と水循環に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 芳村 圭
柏地区に設置した水同位体分析・観測装置を,水同位体を組み込んだ気候モデルと合わせて利用することで,全球規模の気候システムと水循環過程の関わりに関する最先端研究を実施する.

統合陸域シミュレータの開発及び検証

教授 芳村 圭,特任講師 新田 友子,准教授 山崎 大
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルである統合陸域シミュレータ(ILS)の開発を行っている.

次世代陸域水文モデルの開発

特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大,教授 芳村 圭,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,室長(気象研究所) 仲江川 敏之,特任研究員(芳村研) 大沼 友貴彦
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルの開発を行っている.陸域の水・エネルギー収支と水循環とを大陸規模・日単位のスケールで精度良く推計でき,大気・海洋・生物圏などからなる地球システムモデルとも結合可能な陸域水循環の物理的側面に関する高精度で高計算効率の陸域水文シミュレーションを実施する.また,超高解像度の水文地理データや水利用データの整備,一貫性の長期気象外力データの整備を行い,全球1km 解像度での高解像度陸域水循環シミュレーションや全大陸50km 解像度での250 年分の長期アンサンブルシミュレーションの実現を目指している.

環境評価AIの構築に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 井上 純哉

鉄鋼冶金インフォマティクスに関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 井上 純哉

鉄鋼材料の疲労挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 井上 純哉

高強度アルミニウム合金の再結晶挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 井上 純哉

3Dプリンタ等の次世代技術を用いたローコスト住宅のプロトタイピング【柏地区利用研究課題】

教授 今井 公太郎,助教(今井研) 山口 大翔,特任助教(今井研) 久保田 愛
デジタル技術を用いて建築の新たな構法開発を行う研究である.今年度は,3軸CNCと付加製造技術を組み合わせて,新たな木造ジョイントの仕組みを考案し,それに基づいて新たな架構を建造・評価した.

ProteinDF/QCLObotの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算エンジンであるProteinDFの研究開発を実装,毎年度性能をアップデートしている.今年度はAnderson法を中心にSCF計算の二次収束法を再整備した.任意のフラグメントが定義でき,フレキシブルな計算分子構造拡張シナリオが利用できる自動計算プログラムQCLO法を中心に,関連する様々なツールを搭載したQCLObotを引き続き整備した.また,エネルギー密度解析の主成分解析法を開発した.

SARS-CoV-2タンパク質の電子状態解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
SARS-CoV-2ウイルスの感染は,ACE2にスパイクタンパク質が結合することで始まる.そのため,スパイクタンパク質の阻害剤はCOVID-19の治療薬やウイルス検出剤の候補となりうる.本研究では,ACE2タンパク質のスパイクタンパク質に隣接する領域において正準分子軌道(CMO)計算を行った.60個のアミノ酸残基からなるACE2の計算モデルでCMO計算に基づき,正確な静電ポテンシャルを得ることができた.

がん抑制因子p53の転写活性化ドメイン由来ペプチドとMDM2タンパク質複合体の電子構造解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
がん抑制タンパク質p53は細胞ストレスに応じて活性化され下流遺伝子の転写を促しがんを抑制する役割を有する.MDM2は通常p53に結合し不要な細胞死を防いでいるが,がん細胞においては過剰発現しp53の働きを妨げることがある.そこでp53とMDM2の結合を阻害しp53を活性化することでがんを抑制する薬剤の研究開発が行われている.本研究ではMDM2に結合する部位のp53由来ペプチドを変異させた阻害剤に着目し,正準分子軌道計算によりMDM2との複合体の電子構造を解析した.その結果,複合体形成に伴う電荷の再配置や,変異ペプチドでは主にクーロン相互作用エネルギーで損得が生じていることを発見した.

アミロイド線維を形成する異常型およびその正常型ヒトプリオンの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
プリオン病は致命的な神経変性疾患であり,正常型プリオンタンパク質がミスフォールディングした異常型プリオンタンパク質の凝集体によって引き起こされる.1次構造が同じであるプリオンタンパク質において,正常型が異常型に構造変化する原因は未だ不明である.本研究では,ヒト正常型プリオンタンパク質と異常型プリオンタンパク質の正準分子軌道計算を行った.正常型と異常型の電子構造は大きく変わっており,単体では正常型が安定して存在することを確認した.異常型プリオンの電子状態計算結果から層形成の相互作用エネルギーを見積もった結果,異常型プリオンは安定して層構造を形成することが明らかとなり,アミロイド線維化が進行しやすくなることが示唆された.

正準分子軌道法によるIGF-1受容体に結合したインスリン及びアナログの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 鄭 浩 傑
インスリンアナログは,血糖コントロールの改善を図るために開発されたが,インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)への親和性が高いため,潜在的な発ガン性に関する懸念が指摘されている.アナログに導入された変異の発ガン性に対する影響は不明であり,アナログの使用に伴うガンのリスクを確定または除外することは難しい.本研究では,正準分子軌道法により,インスリンアナログの単体構造とIGF-1RのL1ドメインとの複合体構造の計算を行った.その結果,変異した残基がインスリンの電子構造を大きく変化させ,L1ドメインのAspL38との相互作用によって親和性が変化する可能性が示唆された.IGF-1RのL1ドメインとの相互作用に重要な役割を果たす残基が同定され,アナログの設計に役立つ情報が提供された.

量子コンピュータによる化学反応シミュレータの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII: https://qii.jp/)に参画し,量子コンピュータによる量子化学計算について日立製作所と共同研究を実施している.本研究では,量子・古典ハイブリッドとは異なるフル量子コンピューティングアルゴリズムとそのプログラムを研究開発した.

海洋センシング

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

CFRP用工具ベンチマーク

准教授 土屋 健介
CFRP用工具について,市場調査と過去の切削試験の知見に基づいて切削試験の評価基準を提案する.

無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の構造性能に関する実験的研究

教授 中埜 良昭,助教(中埜研) 松川 和人,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治,大学院学生(中埜研) Adnan S.M. Naheed
途上国でみられる無補強組積造壁を含むRC造脆弱架構の破壊メカニズムと構造性能の検討を目的として,比較的知見が蓄積されているバングラデシュ国での事例を参考に,無補強組積造壁の有無をパラメータとした2層2スパンの骨組試験体を2体作製し加力実験を2018年度に行った.2019~2020年度には無補強組積造壁付き試験体の挙動を再現でき,さまざまな破壊モードに適用可能なマクロモデルの開発を実施してきた.2021~2023年度は,事前に与える面内加力による経験層間変形角をパラメータとした面外振動実験を計画・実施し,無補強組積造壁が面外転倒する現象の支配要因の分析を進めている.

Is値が著しく低い旧基準鉄骨造建築物の耐震性能の実力評価と耐震診断への展開

助教(中埜研) 松川 和人,教授 中埜 良昭,シニア協力員(中埜研) 芳賀 勇治
旧基準で建設された建築物が地震に対してより脆弱であることは一般にも知られてきているが,なかでも民間の鉄骨造(S造)建築物について,学術的な検討はほとんど行われてきていない.こうした建築物を耐震診断すると,多くの場合,非常に低い数字が算定されるが,地震を受けて崩壊したという報告は少ない.本研究は,そうした「脆弱」と評価される旧基準S造建築物の「実力」を実験実測的に明らかにし,木造やRC造と同様,被害や実性能と対応する性能評価の実現を最終目標としている.2023年度には梁端隅肉溶接接合部の溶接サイズをパラメータとして柱梁接合部架構の加力実験を行い,耐震診断で一般に使われている強度式による評価結果の2倍以上の強度があることを確認した.

ワークライフ・インテグレーションに適した住環境の構築

准教授 本間 健太郎,特任研究員(ペニントン研) Hyunjung Kim,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人
コロナ禍をきっかけに在宅ワークが普及する中,スペースや間取りが限られた住空間に勤務機能が無秩序に流れ込むことで,生活や仕事に支障が出るケースが増えている.そうした課題を解決しようと,「ワークライフ・インテグレーション」をコンセプトに,家事や子育てをしながらでも働きやすく,生産性や創造性を高めることができる住空間の設計・実証を行っている.

建築・都市計画におけるデザインとエンジニアリングの融合【柏地区利用研究課題】

准教授 本間 健太郎,教授 今井 公太郎,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人,大学院学生(本間(健)研) HALL Nikki,大学院学生(本間(健)研) 倉知 直生,大学院学生(本間(健)研) 渡辺 大介
建築設計や都市計画に役立つ新たなツールを開発するとともに,それを用いた計画と設計を行っている.今年度は,VRアイトラッカーを用いた建築空間が視覚体験に与える影響の分析,移動履歴を考慮した散策時の視覚体験のシミュレーション,鉄道に携行可能なモビリティの導入が移動圏域に与える影響の分析,都市公園の画像分類と到達圏解析によるパンデミック時のソーシャルギャザリング機会の評価を行った.

マイクロ波後方散乱計を用いた海面観測に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎
マイクロ波パルスドップラーレーダを用いる海面観測システムの開発を行っている.海面から散乱するマイクロ波は,海面付近水粒子の運動特性によって周波数が変化し,海面から散乱するマイクロ波の強度には使用するアンテナの特性が含まれる.その特性を解析することで,海洋波浪の進行方向,波高,周期及び位相,海上風の風速と風向,海面高さの情報を得ることができる.相模湾平塚沖での海面観測を行っている.

再生可能エネルギー開発に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎
波力及び潮流のエネルギーを利用する発電システムの開発を行っている.宮城県・松島湾の浦戸諸島において垂直軸型の潮流発電装置のプロトタイプ(5kW)を,岩手県久慈市において振り子式の波力発電装置のプロトタイプ(43kW)を,神奈川県平塚市において高効率波力発電装置(45kW)を開発し,海域実証試験(試験送電)を実施した.実用化を目指した研究開発を続けている.

大型浮体構造物の挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
波浪に起因する浮体式海洋構造物の動揺,弾性変形,波漂流力などを,海洋波浪レーダによるリアルタイム波浪観測技術とエアクッションを用いた浮力制御技術により,制御する方法について研究を行っている.

水槽設備を利用した研究開発【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授 北澤 大輔,准教授 巻 俊宏,准教授 横田 裕輔
海洋工学水槽及び風路付き造波回流水槽において,海洋環境計測,海洋空間利用,海洋再生可能エネルギー開発,海底資源開発などに必要な要素技術の開発に関連する実験・観測を行っている.

流れ中で回転する水中線状構造物の挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
海洋掘削用ドリルパイプは比較的単純な構造物であるにもかかわらず,作用する流体外力,構造自体の応答特性も一般に非線形である.また,海流など流れを有する海域で作業するドリルパイプには,回転による振動に流れによる振動が加わり,より複雑な応答を示す.これらの問題は,対象となる水深が深くなりパイプが長大になるに従い,強度が相対的に低下したり,水深ごとの流れの流速が変化したりすると,強度設計,安全性確保の観点からより重要になる.

量子乱数の真性の検証

三菱電機 鶴丸 豊広,特任准教授(大阪大) 市川 翼,講師(高エネルギー加速器研究機構) 田窪 洋介,講師(東大) 佐々木 寿彦,助教(羽田野研) 李 宰河,准教授(高エネルギー加速器研究機構) 筒井 泉
量子暗号理論をはじめとした現代量子技術の基本的な前提とされる量子乱数の真性について,量子乱数と古典的な疑似乱数との弁別可能性を各種の乱数性の尺度から論じ,その基礎付けを検証する.

量子系におけるエントロピー生成とスペクトル摂動の関係の分析

大学院学生(羽田野研) 童 心海,助教(羽田野研) 李 宰河
量子系におけるエントロピー生成とスペクトル摂動との関係を分析し,古典系における結果との比較を通じて,量子系の特質に対する知見を深める.

量子論における Schrödinger の不確定性関係と Böttcher-Wenzel 不等式の拡張

学部学生(芝浦工業大) 真弓 愛菜,助教(羽田野研) 李 宰河,教授(芝浦工業大) 木村 元
量子論における Schrödinger 不等式と Böttcher-Wenzel 不等式の拡張を提唱し,とりわけ量子ゆらぎの不確定性関係における物理量の非可換性の意義の一層の明確化を図る.

3Dプリンタ等の次世代技術を用いたローコスト住宅のプロトタイピング【柏地区利用研究課題】

教授 今井 公太郎,助教(今井研) 山口 大翔,特任助教(今井研) 久保田 愛
デジタル技術を用いて建築の新たな構法開発を行う研究である.今年度は,3軸CNCと付加製造技術を組み合わせて,新たな木造ジョイントの仕組みを考案し,それに基づいて新たな架構を建造・評価した.

空間システムの計画手法の研究と建築設計

教授 今井 公太郎,教授 加藤 孝明,特任研究員(今井研) 国枝 歓
新しい空間のシステムを効果的に計画するための手法を考案・研究している.本年度は,防災施設と観光施設の融合した新たな建築タイプとして,伊豆市において地域の防災計画の主幹をなす津波避難複合施設の建造の現場監修を行った.

市民参加型人工知能研究のためのゲーム化データ収集システム開発

准教授 菅野 裕介,教授 ペニントン マイルス
近年の機械学習・人工知能研究において,多様な訓練データの獲得はモデルの性能や評価の本質に関わる重要な課題になっている.しかしながら,研究コミュニティ外の様々な人々からデータを収集し,より社会にひらかれた人工知能開発を行うのは容易な課題ではない.本研究ではアピアランスベース視線推定を例に取りながら,非専門家である一般の参加者が楽しみながら訓練データの収集に参加し,機械学習・視線推定技術の基礎的なコンセプトに触れる機会を創出するためのゲーム化システムの設計に取り組む.

ワークライフ・インテグレーションに適した住環境の構築

准教授 本間 健太郎,特任研究員(ペニントン研) Hyunjung Kim,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人
コロナ禍をきっかけに在宅ワークが普及する中,スペースや間取りが限られた住空間に勤務機能が無秩序に流れ込むことで,生活や仕事に支障が出るケースが増えている.そうした課題を解決しようと,「ワークライフ・インテグレーション」をコンセプトに,家事や子育てをしながらでも働きやすく,生産性や創造性を高めることができる住空間の設計・実証を行っている.

建築・都市計画におけるデザインとエンジニアリングの融合【柏地区利用研究課題】

准教授 本間 健太郎,教授 今井 公太郎,大学院学生(本間(健)研) 松井 研人,大学院学生(本間(健)研) HALL Nikki,大学院学生(本間(健)研) 倉知 直生,大学院学生(本間(健)研) 渡辺 大介
建築設計や都市計画に役立つ新たなツールを開発するとともに,それを用いた計画と設計を行っている.今年度は,VRアイトラッカーを用いた建築空間が視覚体験に与える影響の分析,移動履歴を考慮した散策時の視覚体験のシミュレーション,鉄道に携行可能なモビリティの導入が移動圏域に与える影響の分析,都市公園の画像分類と到達圏解析によるパンデミック時のソーシャルギャザリング機会の評価を行った.

マイクロ2相流の基礎研究

教授 鹿園 直毅
将来のエネルギー問題を解決する上で,エクセルギー損失の小さい低温度差の熱機関であるヒートポンプや蒸気エンジンへの期待は非常に大きい.一方で,競合技術である燃焼式の給湯器やエンジンに比べ大型・高価であることが課題である.極めて細い冷媒流路を用いることで,ヒートポンプや蒸気エンジン用熱交換器の大幅な小型軽量化が実現できるが,本研究では,そのために必要となる超薄液膜二相流の基礎的な現象理解を進めている.具体的には,共焦点レーザー変位計を用いたマイクロチャネル内の薄液膜厚さの測定およびそのモデリング,マイクロチャネルを利用した高性能蒸発器の限界熱流束の研究等を行っている.

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実験および数値シミュレーション

教授 鹿園 直毅
エクセルギー有効利用の重要性から,700~1000度で作動する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)に注目が集まっている.SOFCは単体での高い発電効率に加え,様々な炭化水素燃料に対応できること,熱機関や内部改質による排熱利用が可能である等,様々なメリットを有する.しかしながら,SOFCの実用化のためにはコストや耐久性といった課題を克服する必要があり,そのためにはシステムとそれを構成するセルや電極の階層的な設計技術を高度化する必要がある.本研究では,SOFCの高信頼性,高効率化に向けて,実験および数値計算手法を開発し,発電システムから電極レベルに至る広い時空間スケールの現象を予測,制御するための研究を行っている.特に,電極微細構造が発電性能に与える影響に注目し,微細構造を制御したSOFCの性能を実験により計測するとともに,収束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた3次元電極微細構造の直接計測,ミクロな実構造における拡散と電気化学反応を連成させた格子ボルツマン法による数値シミュレーションを行っている.

次世代熱機関用要素技術の研究

教授 鹿園 直毅
低温度差で作動するヒートポンプや蒸気エンジンはエクセルギー損失が非常に小さく,将来のエネルギー問題の解決に不可欠な技術である.一方で,競合する燃焼式給湯器等に比べ大型で高価であることが課題であり,従来の延長線上にない画期的な要素技術が求められている.本研究では,基礎的な研究に基づいて,より高性能,高信頼性,小型,安価を実現する新たな機構を提案し実証している.

マグネシウム蓄電池用正極活物質の開発

准教授 八木 俊介
マグネシウム蓄電池用正極活物質としてスピネル型酸化物に注目し研究を行った.スピネル型酸化物の構成元素や酸素欠損量によって,その酸化還元挙動や電解液の酸化・還元分解反応に対する触媒活性が大きく異なることを発見し,電子状態に注目してそのメカニズムを明らかにした.

リチウムイオン電池用固体電解質の研究

准教授 八木 俊介
リチウムイオン電池用固体電解質Li7La3Zr2O12について,元素ドープによるリチウムイオン伝導度の向上を試みるとともに,ペレッタイズ・焼結条件と限界電流値との関係を明らかにした.

高活性な酸素の電気化学反応触媒の開発

准教授 八木 俊介
酸素の電気化学反応を促進する触媒として主に酸化物,硫化物に注目し,活性や安定性の起源に関する研究を行った.

Ta-Te系正12角形準結晶の作製

教授 枝川 圭一
2次元層状物質の一種であるTa-Te系正12角形準結晶は,現在のところ唯一の遷移金属−カルコゲン系の準結晶であり,単位層がファンデルワールス力を介して12回軸方向に積層した構造をもつ.この物質は機械的剥離による薄片化が可能で,純粋2次元系準結晶として興味深い研究対象となり得る. しかしながら,試料作製が比較的困難なため,物性測定が可能な単相かつ十分なサイズの試料の作製方法が確立されていない.本研究では物性測定を行うための良質なTa-Te系準結晶を得ることを目的に,焼結法によるTa-Te系準結晶の作製方法を探索している.

トポロジカル絶縁体中転位を利用した新規高性能熱電変換材料の開発

教授 枝川 圭一
近年,エネルギー問題解決のため,高性能熱電変換材料の開発に対する社会的要請は,益々強くなってきている.ここ数年来「トポロジカル絶縁体」とよばれる新しいタイプの物質が物性物理分野で大きな注目を集めている.これはバルク内部では絶縁体であるのに対し,表面が極めて高い伝導度の金属状態となるものである.最近,このような金属状態は表面だけではなく内部の転位に沿っても生じ得ることが理論的に示された.これを使えば熱電変換材料の性能指数(ZT値)を飛躍的に上げることができる可能性がある.本研究は,この理論を世界で初めて実験的に検証し,従来材料の性能をはるかに上回る性能指数ZT=4の熱電変換材料を実現することを目的としている.

準結晶のフォノンーフェイゾン結合

教授 枝川 圭一
準結晶には,その構造秩序の高次元性を反映して,通常の変位(フォノン変位)の自由度の他にフェイゾン変位の自由度が存在する.準結晶の弾性論はそれら両方の自由度を組み入れた形で定式化される.そこで導かれるフォノン−フェイゾン結合弾性については研究例が非常に少ない.以前,我々は近似結晶を用いて結合定数を見積もったが,その値が準結晶でも正しいという保証はなかった.本研究は,準結晶に圧縮応力を負荷してフォノン歪を与え,自発的に導入されるフェイゾン歪を測ることにより,結合弾性定数を評価することを試みた.

準結晶の特異な高温比熱

教授 枝川 圭一
結晶とは異なる特異な秩序構造をもった「準結晶」の比熱が高温域において通常の物質が従うデュロン=プティ則に従わないことが実験的に示されている.この事実が準結晶の高次元性を反映したものであるか否かについては議論が分かれている.我々は,実験・計算の両面から準結晶の特異な高温比熱の起源を解明することをめざしている.

再生可能エネルギーを活用した建築エネルギー設備の性能実験・制御実験【柏地区利用研究課題】

教授 大岡 龍三

建築室内熱環境・空気環境に関する実験【柏地区利用研究課題】

教授 大岡 龍三,准教授 菊本 英紀

物理選別を利用した貴金属の高効率回収法の開発

教授 岡部 徹,講師 大内 隆成,大学院学生(岡部(徹)研) Sukho Kang
経済的価値の高い金属である貴金属(金,銀,白金族金属)は,その鉱石品位が非常に低い.したがって,触媒や電子機器などの各種スクラップから貴金属をリサイクルすることが重要となるが,現時点ではスクラップから貴金属を濃縮する効率の良いプロセスが開発されていない.本研究では,無電解めっきなどの表面処理と磁力選別などの物理選別を組み合わせ,貴金属を低コストかつ高効率で濃縮する新規プロセスの開発を行っている.

貴金属およびレアメタルの高効率回収法の開発【柏地区利用研究課題】

教授 岡部 徹

酸化チタンの直接還元法による金属チタン新規製造技術の開発

教授 岡部 徹,講師 大内 隆成
チタンは,軽量,高強度かつ高い耐腐食性を持つ金属材料として知られる.さらに,チタンは地殻存在率が全元素中9位と資源的には無尽蔵である.しかしながら,従来のチタン製造プロセスは非効率で高コストであるため,金属チタンは高価格である.そのため,チタンの利用は航空機や化学プラントなど高付加価値の特殊な用途に限られる.本研究では,鉱石の主成分である酸化チタンをそのまま原料として,化学熱還元および電気化学還元プロセスを用いて金属チタンを製造する,高効率の金属チタン製造プロセスに関する研究を行っている.

MOFを金属分散のための前駆体として用いる炭素系金属触媒調製とCO2水素化への適用

教授 小倉 賢

シリカ系メソ多孔空間内に固定された酵素による化学反応設計

教授 小倉 賢

ゼオライト触媒を用いたオレフィン合成において骨格構造がプロピレン選択性に及ぼす影響

教授 小倉 賢

マテリアル・インフォマティクスならびにマテリアル・デジタル・トランスフォーメーションのためのゼオライト・データセットの構築

教授 小倉 賢
DXおよびMXに関わる技術革新のためのデータセットを,ゼオライト系多孔質物質をきっかけとして無機物質や触媒材料へと応用展開する.その第一歩目のトライアル研究.

二酸化炭素からの有価物合成:炭化水素燃料への転換に資する触媒に関する研究

教授 小倉 賢
内燃機関から排出される二酸化炭素を原料に転換し,有価物を得る資源循環プロジェクトの一環.環境負荷のないプロセスで製造されたグリーン水素を利用し,MTOやFTにより燃料に資する高級炭化水素合成を目指す.

排ガス処理触媒系の探索,特にN2O,メタンの排出抑制に資するゼオライト系触媒の設計

教授 小倉 賢

数理モデルシミュレーション構築によるハニカムローター触媒システム設計

教授 小倉 賢
2 step NTA用に前段のNO吸着・濃縮プロセスと後段のNTA無酸素触媒プロセスをシームレスに繋ぐため,ハニカムローター型NOx吸着濃縮装置を構築する.基礎設計に用いるための実験データを習得し,シミュレーション解析を可能とする数理モデルを構築することを目指す.

燃焼排ガス中の一酸化窒素NOの吸着濃縮とマイクロ波急速加熱による直接分解の2ステップ非定常触媒システム開拓

教授 小倉 賢
燃焼排ガスに含まれる一酸化窒素NOを吸着阻害性物質共存下において選択的に吸着・濃縮する.この濃縮NO種を還元剤を用いず直接分解する.その反応に必要な熱エネルギーをマイクロ波加熱によって瞬時に行うことで,吸着濃縮されたNOをそのまま脱離させることなく窒素,酸素に直接分解させる.この一連の2ステップ非定常触媒反応システムを設計する.

燃焼排ガス中の一酸化窒素NOの選択吸着材の調製とアンモニアへの転換触媒システム開拓

教授 小倉 賢
燃焼排ガスに含まれる一酸化窒素NOを吸着阻害性物質共存下において選択的に吸着・濃縮する.この濃縮NO種を還元剤を用いてアンモニアへと転換する触媒システムの構築・設計研究.PdゼオライトおよびZIF, ZIF由来炭素系多孔質材が有効であることを見出し,そのNO吸着特性を評価することを目的とする.

多数の金属種の配列の精密制御と機能発現

教授 砂田 祐輔
多数の金属種を平面状や立方体状など構造を精密に規定しながら配列し,それらの特異な化学的・物理的機能を開拓する.

発光性金属クラスター材料の開発

教授 砂田 祐輔
複数の金属種を精緻に配列することで可視光吸収および発光特性を有する材料開発を行う.

省エネルギーで作動する安全性の高い化学的水素貯蔵・運搬法の開発

教授 砂田 祐輔
安全・低毒性な水素キャリアの開発,および高活性触媒の開発により,省エネルギー条件下で作動する化学的水素発生・貯蔵法の開発

遷移金属と典型元素の協働作用を活用した高機能性クラスター開発

教授 砂田 祐輔
遷移金属化合物において,典型元素化合物を配位子として導入することで,通常では実現困難な様々な触媒機能を付与できるなど,特異な機能を発現できることを最近当研究室では見出している.本研究では,多数の遷移金属と典型元素から構成されるクラスターを開発し,元素間協働作用に基づく特異な反応性や新規物性の発現を指向した研究を行う.

高機能性ベースメタル触媒開発

教授 砂田 祐輔
有機化合物の合成・変換における多くの場合において,貴金属化合物が触媒として用いられている.近年,貴金属の枯渇や価格の高騰から,貴金属を用いない触媒の開発が望まれており,当研究室では,鉄などの安価なベースメタル触媒の開発を行っている.

デマンドレスポンスに関する研究

教授 岩船 由美子
持続可能な社会システム構築のためには,再生可能エネルギーの活用,さらなるエネルギー効率向上が重要である.再生可能エネルギーの中で大きな導入量が期待される太陽光発電と風力発電は,その発電出力が天候や時間によって変動するため,これらの電源の導入割合の増加に伴い,電力システム全体の需給調整力をより一層確保する必要がある.需給調整力の一つが需要家サイドのデマンドレスポンス(DR)である.本研究室では,DRを評価するためのツールを構築し,系統全体への影響評価,需要家サイドの経済性評価を行っている.

需要側電力システム研究会

特任准教授 馬場 博幸,特任講師 今中 政輝,特任教授 荻本 和彦
様々な課題が山積の需要側電力システムの実現に向けた現実解を収集・共有する関係企業30~40社からなる研究会を主宰

チタン合金の新規リサイクルプロセスの開発

講師 大内 隆成,教授 岡部 徹,大学院学生(大内研) 山﨑 智揮,大学院学生(大内研) Cenyang Wu
チタン製品の製造過程で多量に発生するスクラップは主に鉄と酸素に汚染されている.鉄はスクラップ管理や表面洗浄により除去可能であるが,チタンやチタン合金のスクラップからスポンジチタン(バージン材料)と同程度の酸素濃度(500 mass ppm 以下)まで酸素を効率的に取り除く実用プロセスが存在していない.本研究では,希土類金属のオキシハライドの生成反応をチタン合金スクラップの脱酸に応用することで,チタン合金スクラップをスポンジチタンより低酸素濃度化してリサイクルする技術を開発している.希土類金属のオキシハライド生成反応,およびチタン合金中に含まれる酸素や鉄,アルミニウム,バナジウムなどの元素の脱酸反応中の挙動を解明することで,500 mass ppm 以下の低酸素濃度のチタン合金を製造可能なプロセスの実現を目標としている.

チタン製品の革新的高効率製造技術の開発

教授 岡部 徹,講師 大内 隆成
最先端のチタンの脱酸技術である“極低酸素ポテンシャル(極低pO2)制御技術”をチタン粉末の焼結法に応用し,安価なチタン粉末から高品質なチタン製品を効率良く製造する革新的な手法を開発する.

溶融塩電解を用いる革新的貴金属およびレアメタル回収プロセスの開発

講師 大内 隆成,教授 岡部 徹,大学院学生(大内研) 鯨岡 由夏,大学院学生(大内研) Chunhao Ding
溶融塩電解技術を用いて,ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),白金(Pt)といった白金族金属(Platinum group metals, PGMs)を含むスクラップの高効率リサイクルを可能とする,新規プロセスを開発する.

貴金属の新規な高効率溶解法の開発

教授 岡部 徹,講師 大内 隆成
自動車排ガスの世界的な規制強化により白金族金属を含む排ガス触媒の需要が急増している.白金族金属を含む貴金属は,原料となる鉱石の品位が非常に低いため,金属生産には大きなコストがかかるだけでなく,地球環境に多大な負荷を与える.このため,触媒などのスクラップから高い収率で貴金属を回収することは重要な課題であるが,現時点では効率の良いプロセスは開発されていない.本研究室では,合金化処理と塩化処理を組み合わせることにより,強力な酸化剤を含まない溶液を用いて貴金属を溶解・回収する環境調和型の新プロセスを開発している.

金属カルシウムの新製造法の開発に関する基礎研究

講師 大内 隆成,教授 岡部 徹,大学院学生(大内研) 脇山 知也
金属カルシウムは,希土類金属(レアアース)やチタンなどレアメタルの製錬・精錬プロセス,およびリサイクルプロセスにおいて重要な役割を果たしている.本研究では「高純度金属カルシウムの高効率・低環境負荷・低コスト製造」を可能とする技術の開発を行っている.

CFRP製ジェットエンジンファンブレードの開発

教授 吉川 暢宏,大学院学生(東大) 寺尾 望
CFRP製ファンブレードの長期信頼性を確保するためCFRP材料の疲労強度評価手法を開発している.樹脂と炭素繊維を区分するミクロスケールシミュレーションにより,樹脂の局所的応力上昇を的確に評価することで疲労寿命が予測できることを,積層CFRP試験片を用いた疲労試験により確認した.本年度は特に低サイクル疲労を支配する樹脂の材料モデルに関する検討を行った.

宇宙輸送機用低温液化燃料タンクの開発

教授 吉川 暢宏,特任研究員(吉川(暢)研) 小笠原 朋隆
CFRP製極低温液化燃料タンクの実用化のため,マイクロクラック発生メカニズムをミクロスケール有限要素解析により解明する.正確な樹脂物性を入力して極低温により発生する熱負荷を与えて,炭素繊維間の樹脂に発生する力学場を解析する.実験との照合によりシミュレーションの妥当性を検証する.

機械学習を利用した高圧水素容器の最適設計

教授 吉川 暢宏,特任教授 竹本 真一郎
設計変数が膨大な炭素繊維強化プラスチック製の高圧水素容器について,最適設計を効率よく探索するための機械学習の活用法を検討している.炭素繊維強化プラスチック層の積層構成や容器の形状を適切にパラメータ表記し,パラメータをランダムに変動させて機械学習用の有限要素モデルデータを生成する.メゾスケール有限要素解析と高精度化した軸対称モデル有限要素解析を用い,個々の容器設計パラメータと正確に予測した破裂圧力を蓄積した機械学習データにより,軽量最適設計を探索するアルゴリズムを開発した.

デバイス信頼性評価のための拡張型原子間ポテンシャルの開発

教授 梅野 宜崇
デバイス材料の信頼性評価のための高精度な原子モデリング手法の確立を目的として,電子状態の影響などを考慮し環境非依存性に優れた拡張型原子間ポテンシャルの開発に取り組んでいる.

ポリマー変形および破壊のマルチスケールモデリング

教授 梅野 宜崇
ポリマーの変形・破壊に及ぼす分子構造の影響を明らかにするための粗視化分子動力学モデリング,粘弾性体に特徴的な破壊挙動の解明のための有限要素モデリング法の研究を行っている.

固体結晶の理想強度に関する第一原理および原子モデル解析

教授 梅野 宜崇
材料強度の本質に迫るため,原子間結合の特性が支配する固体結晶の理想強度(理論強度)について密度汎関数理論第一原理計算および原子モデル解析(分子動力学法)による評価を行っている.

材料の原子レベル構造不安定性の研究

教授 梅野 宜崇
特にナノレベルにおける構造不安定現象を本質的に理解することを目的として,原子レベル構造不安定モード解析法を提唱し,様々なナノ構造体の変形・破壊現象の解明に取り組んでいる.

深層学習によるマルチフィジックス原子モデリング法の開発

教授 梅野 宜崇
深層学習を応用した,原子構造の変化による電子状態変化を高速に求めるためのシミュレーション法の開発を行っている.

小型ファンの性能および騒音計測【柏地区利用研究課題】

教授 加藤 千幸

CT画像からの3次元血管形状自動抽出手法,血管形状編集手法の開発

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,講師(東大) 保科 克行,大学院学生(大島研) 陳 琰
CTのスライス画像を重ねて3次元血管形状を構築する際には,近接血管がくっついて認識してしまうことがあるほか,CT解像度程度の細い血管が分岐することに起因する血管の突起など,セグメンテーション処理において医学的知見に基づいて手動で補正しなければならない.また,動脈瘤が出現する過程を考察するため,動脈瘤を除去した血管形状をセグメンテーション領域に対して手動で編集する必要がある.本研究ではそれらの作業を自動で行うことのできるアルゴリズムの開発を目指す.

Image-Based Simulationにおける脳血管形状の血行力学に与える影響の考察

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,受託研究員(大島研) 小林 匡治,リサーチフェロー(大島研) 庄島 正明,リサーチフェロー(大島研) 高木 清,リサーチフェロー(大島研) 早川 基治,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹
重大な脳血管疾患であるクモ膜下出血に対して,その主要因の脳動脈瘤の破裂に関連する手術ガイドライン作成が求められている.そこで,本研究では脳血管の血流を数値シミュレーションし,動脈瘤の発生,破裂のメカニズムの解明を目指している.シミュレーションに用いる3次元血管モデルについて,医用画像から血管抽出および,3次元構築の手法の問題点と解決法を検討する.さらに,モデルの中心線を抽出することにより形状をパラメータ化し,モデルをパラメトリックに変形して血管形状の血行力学に与える影響を考察する.

Willis動脈輪における血管形状のパラメータ化と形状分析

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰
血管内の壁面せん断応力(WSS)は,血管内皮細胞に直接作用を及ぼし,血管疾患の発生に関係する血行力的因子である.WSSは,血管形状に大きく影響される.本研究は,61例のMRA画像(Brain Vasculature database, BraVa)と9例のCT画像から抽出した脳部動脈血管スケルトンデータを対象とし,曲率とねじれ率からなる3次元形状パラメータを用いて血管形状の特徴を分析する.また,データ駆動型のアプローチにより,動脈瘤・狭窄症が起こりやすい脳主幹動脈形状の主成分分析を行う.

上顎骨の後上方移動術前後における鼻呼吸機能の流体解析

教授 大島 まり,研究実習生(大島研) 青柳 美咲
不正咬合や咀嚼機能の改善に顎顔面領域の外科治療が多く行われており,主として咬合関係や顔貌形態を基準に手術計画が作られる.しかし,術後に気道形態が変化することが指摘され,睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害が生じるおそれがある.上顎骨の移動が呼吸に与える影響は大きく機能的評価が必要であるが,上顎骨後上方移動に伴う鼻腔,咽頭部の変化に関する報告は認められない.そこで,医用画像から気道の3次元モデルを構築し,上顎骨後上方移動を伴う顎矯正手術が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすることを目的に解析を行っている.

機械学習による脳過灌流リスク予測に向けた医用画像における不確かさの定量評価

教授 大島 まり,リサーチフェロー(大島研) 山田 茂樹,大学院学生(大島研) 亀田 俊太郎
医療計測データに基づく不確かさを含めた血流シミュレーションは,過灌流リスクを非侵襲的に評価することが可能であるが,不確かさの設定方法が解析実行者で異なる場合,結果に差異が生じてしまう.本研究では血管領域分割に関するガイドラインを策定し,解析におけるパラメータの不確かさを定量化することで,不確かさ解析の実行者に依らない再現性の評価を行う.

深層学習を用いたMRA画像におけるウィリス動脈輪の中心線の自動抽出

教授 大島 まり,大学院学生(大島研) 陳 琰,大学院学生(大島研) 趙 子萱
This research explores the use of 3D Convolutional Neural Networks (CNNs) in automating the extraction of the Circle of Willis centerline from Magnetic Resonance Angiography (MRA) images. It develops three models: MRA-Centerline Model, MRA-Standard Centerline Model, and MRA-Standard Displacement Model, each aims at enhancing precision and reliability in MRA images analysis. These models are evaluated based on their learning progression, generalization capabilities, and predictive accuracy, using techniques such as loss curves, deformation histograms, and error boxplots.

腹部大動脈瘤におけるステントグラフトの3次元形状の経時変化の定量化

教授 大島 まり,受託研究員(大島研) 小林 匡治,教授(東大) 高木 周,大学院学生(東大) 根元 洋光,講師(東大) 保科 克行
腹部大動脈瘤におけるステントグラフトを用いた血管内治療は,開腹手術に比べて患者への負担が小さいため広まっている.一方で,ステントグラフトのマイグレーションに起因した有害事象が発生しており,原因調査や対策が研究されている.本研究は,医用画像から得られたステントグラフトの中心線を抽出し,曲率や捩れ率等の形状パラメータとして定量化することで,ステントグラフトのマイグレーションによる有害事象の予兆を定量的に把握するための手法を開発する.医用画像から得られた中心線は画像ノイズを持つため,ペナルティ項付のスプラインフィッティング手法を適用することで,曲線の特徴を消さない平滑化を行う.

血流解析のための血管中心線を用いた血管モデル変形手法の開発

教授 大島 まり,(株)カイ 小林 匡治,大学院学生(大島研) 今井 直哉
動脈瘤や動脈硬化などの循環器系疾患は自覚症状はないが深刻な病気につながる.そのため予防や発症の予測がきわめて重要である.これらの疾患は壁面せん断応力(WSS)によって発症することがわかっている.WSSは血管形状に大きく影響を受けるため,血管形状とWSSの関係を解明することが必要である.しかし従来の研究では模擬的な形状や,実形状でも数十例のケーススタディを用いた研究にとどまっている.これは何百,何千例もの血流解析のための血管解析モデルの作成が困難であることが一つの要因である.また異なる形状の各解析結果間でのWSSの定量的評価が困難であることも一因である.そこで本研究では,解析モデル作成の時間を大幅に短縮し,かつ解析モデル間での表面位置対応を明確にすることでWSSの定量的評価を可能にする,血管中心線を用いた血管モデルの変形手法の開発を目的とする.

ProteinDF/QCLObotの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算エンジンであるProteinDFの研究開発を実装,毎年度性能をアップデートしている.今年度はAnderson法を中心にSCF計算の二次収束法を再整備した.任意のフラグメントが定義でき,フレキシブルな計算分子構造拡張シナリオが利用できる自動計算プログラムQCLO法を中心に,関連する様々なツールを搭載したQCLObotを引き続き整備した.また,エネルギー密度解析の主成分解析法を開発した.

SARS-CoV-2タンパク質の電子状態解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
SARS-CoV-2ウイルスの感染は,ACE2にスパイクタンパク質が結合することで始まる.そのため,スパイクタンパク質の阻害剤はCOVID-19の治療薬やウイルス検出剤の候補となりうる.本研究では,ACE2タンパク質のスパイクタンパク質に隣接する領域において正準分子軌道(CMO)計算を行った.60個のアミノ酸残基からなるACE2の計算モデルでCMO計算に基づき,正確な静電ポテンシャルを得ることができた.

がん抑制因子p53の転写活性化ドメイン由来ペプチドとMDM2タンパク質複合体の電子構造解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
がん抑制タンパク質p53は細胞ストレスに応じて活性化され下流遺伝子の転写を促しがんを抑制する役割を有する.MDM2は通常p53に結合し不要な細胞死を防いでいるが,がん細胞においては過剰発現しp53の働きを妨げることがある.そこでp53とMDM2の結合を阻害しp53を活性化することでがんを抑制する薬剤の研究開発が行われている.本研究ではMDM2に結合する部位のp53由来ペプチドを変異させた阻害剤に着目し,正準分子軌道計算によりMDM2との複合体の電子構造を解析した.その結果,複合体形成に伴う電荷の再配置や,変異ペプチドでは主にクーロン相互作用エネルギーで損得が生じていることを発見した.

アミロイド線維を形成する異常型およびその正常型ヒトプリオンの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
プリオン病は致命的な神経変性疾患であり,正常型プリオンタンパク質がミスフォールディングした異常型プリオンタンパク質の凝集体によって引き起こされる.1次構造が同じであるプリオンタンパク質において,正常型が異常型に構造変化する原因は未だ不明である.本研究では,ヒト正常型プリオンタンパク質と異常型プリオンタンパク質の正準分子軌道計算を行った.正常型と異常型の電子構造は大きく変わっており,単体では正常型が安定して存在することを確認した.異常型プリオンの電子状態計算結果から層形成の相互作用エネルギーを見積もった結果,異常型プリオンは安定して層構造を形成することが明らかとなり,アミロイド線維化が進行しやすくなることが示唆された.

正準分子軌道法によるIGF-1受容体に結合したインスリン及びアナログの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 鄭 浩 傑
インスリンアナログは,血糖コントロールの改善を図るために開発されたが,インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)への親和性が高いため,潜在的な発ガン性に関する懸念が指摘されている.アナログに導入された変異の発ガン性に対する影響は不明であり,アナログの使用に伴うガンのリスクを確定または除外することは難しい.本研究では,正準分子軌道法により,インスリンアナログの単体構造とIGF-1RのL1ドメインとの複合体構造の計算を行った.その結果,変異した残基がインスリンの電子構造を大きく変化させ,L1ドメインのAspL38との相互作用によって親和性が変化する可能性が示唆された.IGF-1RのL1ドメインとの相互作用に重要な役割を果たす残基が同定され,アナログの設計に役立つ情報が提供された.

量子コンピュータによる化学反応シミュレータの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII: https://qii.jp/)に参画し,量子コンピュータによる量子化学計算について日立製作所と共同研究を実施している.本研究では,量子・古典ハイブリッドとは異なるフル量子コンピューティングアルゴリズムとそのプログラムを研究開発した.

乱流輸送現象の最適制御に関する研究

教授 長谷川 洋介

毛細血管網リモデリングの機構解明に関する研究

教授 長谷川 洋介

熱流体システムにおける形状/トポロジー最適化に関する研究

教授 長谷川 洋介

生産技術における液滴,液膜の予測と制御に関する研究

教授 長谷川 洋介

限られた計測情報に基づく熱流動場推定に関する研究

教授 長谷川 洋介

交通信号機および交通信号制御に係わる実証的研究【柏地区利用研究課題】

教授 大口 敬,助教(大口研) 鳥海 梓,シニア協力員(大口研) 新倉 聡,大学院学生(大口研) 白畑 健,大学院学生(大口研) サハチャイセーリー ソンポン,大学院学生(大口研) 中川 北勝
交通安全上も円滑上も最も重要な平面交差点における交通信号制御について,多角的な研究を推進している.観測旅行速度データを活用した信号制御パラメータの変更と評価,単路部歩行者横断施設による歩行者・車両双方に最適な横断施設運用,左折車と直進車による混用車線によるランダム性の影響評価,信号灯器設置位置による運転挙動への影響分析,さらに最新のセンシング技術および通信技術を用いた自律分散型信号システムの開発などに,柏キャンパス ITS R&R フィールドも活用しながら,実証的に取組んでいる.また強化学習を信号制御に反映することで信号制御の高度化,維持管理の自動化へ向けた検討にも取組んでいる.

データ同化を用いた洪水予測シミュレーションの精度向上

准教授 山崎 大
従来の広域洪水予測シミュレーションでは,気象予測のみを外力としており,その誤差が洪水予測の精度に大きく影響していた.本研究では,衛星観測等による地表水の現状を河川モデルに同化することで,短期〜中期の洪水予測の大幅な精度向上を目指す.

衛星ビッグデータを用いた地球環境変動の解析とモニタリング

准教授 山崎 大,特任教授 沖 一雄
数ペタバイトにおよぶ長期間・高解像度の衛星観測データを用いて,地球規模での水域分布図の構築や,河川水温の長期トレンド検出など,大規模データ解析にもとづく地球環境変動の新たな知見を創出する.

次世代陸域水文モデルの開発

特任准教授 金 炯俊,准教授 山崎 大,教授 芳村 圭,教授(東京工業大) 鼎 信次郎,室長(国立環境研究所) 花崎 直太,室長(気象研究所) 仲江川 敏之,特任研究員(芳村研) 大沼 友貴彦
これまで大気モデルに従属して開発されてきた陸面モデルをベースにして,土地利用や植生変化・人間活動・湖沼や河川の水動態や水温変化・斜面水文過程と地表水−地下水相互作用など多様な時空間スケールの陸域水文過程を包括的に表現可能な次世代陸域モデルの開発を行っている.陸域の水・エネルギー収支と水循環とを大陸規模・日単位のスケールで精度良く推計でき,大気・海洋・生物圏などからなる地球システムモデルとも結合可能な陸域水循環の物理的側面に関する高精度で高計算効率の陸域水文シミュレーションを実施する.また,超高解像度の水文地理データや水利用データの整備,一貫性の長期気象外力データの整備を行い,全球1km 解像度での高解像度陸域水循環シミュレーションや全大陸50km 解像度での250 年分の長期アンサンブルシミュレーションの実現を目指している.

養殖海域の持続可能性評価のための指標の開発

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,大学院学生(北澤研) 高 紅霞
海域で環境容量の範囲内で持続可能な養殖を行うために,持続可能性を評価するための簡易的な指標を提案し,養殖および陸上からの負荷や海域の地形と赤潮発生状況の相関を調べた.

琵琶湖における2種の淡水種の環境DNA調査と数値シミュレーションによる温暖化影響の予測

学術研究員(神戸大) 邬 倩倩,教授(神戸大) 源 利文,教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,教授(滋賀大) 石川 俊之,教授(滋賀県立大) 後藤 直成,助教(北海道大) 坂田 雅之,学部学生(神戸大) 河本 達也
琵琶湖における淡水魚類が,今後の温暖化によってどのような影響を受けるかを調べるために,環境DNA調査結果と水質調査結果との相関を調べ,数値シミュレーションによる水質の将来予測結果を用いて淡水魚類の温暖化影響を予測した.

ポンプ─プローブ法を用いた静電引力顕微鏡による時間分解計測手法の開発

教授 髙橋 琢二,大学院学生(髙橋研) 竹本 開太
ポンプ─プローブ法を用いた静電引力顕微鏡(EFM)によって静電引力信号の時間分解計測を実現する手法を提案し,その実験系を構築するとともに基本性能を実証するための実験を進めている.

二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)の開発と表面空乏層容量の可変周波数計測への応用

教授 髙橋 琢二,教授(大阪市立大) 重川 直輝,大学院学生(髙橋研) 文 思翰
可変周波数での表面空乏層容量計測を実現するための二重バイアス印加モード静電引力顕微鏡(DEFM)を提案し,直接貼り合わせGaN/GaN基板断面での計測を通じて,同手法の有効性に関する実証実験を進めた.

二重バイアス変調を利用した新しい走査トンネル分光法の開発

教授 髙橋 琢二,技術専門職員(髙橋研) 島田 祐二
走査トンネル顕微鏡によるトンネル分光計測において問題となるいくつかの不安定要素を効果的に取り除き,安定した計測を可能とする手法として,二重バイアス変調を用いた微分コンダクタンス分光法を新しく提案するとともに,自己形成InAs量子ドットに対する分光測定を行って,その有効性を確認している.

時間分解光照射ケルビンプローブフォース顕微鏡の開発と同手法を用いた太陽電池材料上局所的光起電力特性の評価

教授 髙橋 琢二,教授(立命館大) 峯元 高志,大学院学生(髙橋研) 李 慎為
光照射下での動作が可能なケルビンプローブフォース顕微鏡に間欠バイアス印加法を導入するとともに,同バイアスパルスと励起光パルスとの時間差をスイープすることによって,光起電力の時間分解計測を行う手法を新たに開発している.また,同手法をCIGS系化合物半導体太陽電池材料に適用し,光励起キャリアのダイナミクスなどを明らかにすることを目指している.

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

受精プロセスの力学計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
受精には化学的機序と,力学的機序があるが,本研究は後者を高感度多自由度力計測機構を用いて実現している.光学顕微鏡,流路,ピペット,力計測機構を組み合わせている.

子宮蠕動運動のリアルタイム計測と着床不全との関連の解明

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
低侵襲で高分解能の子宮蠕動運動のリアルタイム可視化装置をデバイスレベルから開発している.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林 光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

生体シュリーレン顕微法

教授 川勝 英樹
濃度差のある溶液中での走流性,化走流等を可視化するためにシュリーレン顕微鏡で,配偶子の観察に適したものを実現している.

生殖細胞の力学的計測

教授 川勝 英樹
配偶子の力学的計測を行うために,力や水中の音に対して感度の高い検出方法を開発している.

空調パイプを用いた除湿・湿度制御に関する研究

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林 光
空調に広く用いられているパイプやダクトを湿度制御のために用いる研究

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

溶解性マイクロニードル式低侵襲経皮ワクチンデリバリーパッチの新規開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏
生体分解性マイクロニードルのパッチ型無痛ドラッグデリバリーシステムの実用化を目指す.近年の薬剤学・高分子材料工学・マイクロ加工技術のさらなる進歩に伴い,美容分野において既に実用化しているヒアルロン酸やコラーゲンなどのマイクロニードルパッチに関して,新たなマイクロモールド製造技術を開発し,より安価・迅速・安定的な加工プロセスで高機能性パッチの大量生産が実現できるシステムを開発する.一方,インスリンや経皮ワクチンパッチ,ペプチド・タンパク性医薬品を含む難吸収性薬物の経皮パッチ等の開発と臨床実験を進めて,近い将来,医療の現場で既存の注射製剤や経皮吸収製剤と並ぶような,マイクロニードルを用いた革新的ドラッグデリバリーシステムの実現を図る.

生体分解性・多孔質マイクロニードルとペーパーベースの無痛・迅速診断チップの開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏,特任教授 甲斐 知惠子,特任教授 米田 美佐子
本研究は,“生体分解性多孔質マイクロニードルを用いた医療用パッチ”の新たな応用として,新型コロナウイルス感染症の低侵襲(無痛)自己診断チップの開発に関するものである. 専門的な医療従事者を要しないかつ簡便で迅速な感染症の診断を実現できるため,まず診断対象である血清又は間質液からの無痛かつ適量の抽出が可能な新規マイクロニードルの構造設計及び製作に関する研究を進めている.

エネルギーハーベスト用MEMSデバイス

教授 年吉 洋,教授(静岡大) 橋口 原,共同研究員(鷺宮製作所) 三屋 裕幸,主任研究員(電力中央研究所) 小野 新平,教授(群馬大) 鈴木 孝明,准教授(神戸大) 本間 浩章
MEMS微細加工や高機能エレクトレットを利用した次世代エネルギーハーベスト(環境発電)用デバイスを研究している.

ゲートドライバICによるパワーデバイスの過電流検出

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスの動作状態を監視する手法として,従来は温度センサを用いた接合温度測定や電流センサを用いた負荷電流測定などが行われるが,これらのセンサを使った手法はコストやサイズが増大してしまう.本研究では,ゲートドライバの出力電圧からパワーデバイスの動作状態を推定する手法を提案し,ゲートドライバICに集積可能にすることでコストやサイズの低減を実現する.

ゲート電圧波形の機械学習を用いたパワーデバイスの劣化推定

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーデバイスのゲート電圧波形から機械学習を用いて,パワーデバイス故障の一要因であるボンディングワイヤ剥がれを検出する手法を提案する.従来のボンディングワイヤ剥がれ検出手法と比較して検出回路に絶縁の必要がなく,ゲート電圧波形から抽出されるパラメータを用いて,負荷電流変動と温度変動にロバストなボンディングワイヤ剥がれ検出手法を構築する.

パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を解決するデジタルゲート駆動技術

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術を確立し,パワーエレクトロニクスにおけるEMI問題を簡単・迅速・低コストに解決することを目指す.EMI規格を満たしつつスイッチング損失を最小化するデジタルゲート駆動技術の提案およびデジタルゲートドライバICの設計・試作・評価を行う.

パワートランジスタ駆動用の波形制御プログラマブルゲートドライバIC

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワーエレクトロニクスとLSIの異分野連携により,パワートランジスタのゲート駆動電流をデジタルインターフェースで変えられるプログラマブルゲートドライバICを開発した.AIを使った自動最適制御によって,スイッチング時の損失低減とノイズ低減を両立するとともに,動作条件に応じた最適化手法の更なる高度化に取り組んでいる.

パワー半導体を省エネに操る自動波形変化ゲート駆動ICの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
パワー半導体のゲート端子を駆動する電流波形を自動で制御するため,ゲート駆動回路・センサ回路・制御回路をまとめて1チップ化し,省スペースかつ低コストで誰でも使うことができるゲートドライバICを開発する.従来のゲート駆動ICチップと置き換えるだけで,パワー半導体のスイッチング損失を低減でき,パワーエレクトロニクス機器が大量普及した社会の脱炭素化に貢献する.

小型・高効率を実現するハイブリッドDC-DCコンバータの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
従来の電源回路における効率と体積のトレードオフを克服するハイブリッドDC-DCコンバータの研究開発に取り組んでいる.特に,高入力電圧および高降圧比のアプリケーションに着目し,新しい回路トポロジーの提案と回路設計技術の開発に取り組んでいる.

絶縁型ハイブリッドDC-DCコンバータに関する研究開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
効率と体積のトレードオフを克服できる非絶縁型ハイブリッドDC-DCコンバータの回路トポロジーを参考にして,絶縁型DC-DCコンバータの同期整流回路に応用するための回路設計技術と新しい回路トポロジーの提案に向けた研究開発に取り組んでいる.

高エネルギー効率のピクセル近傍2次元CNNアクセラレータ

教授 高宮 真
画像認識を高エネルギー効率で行うことを目的として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズムの本来の特徴である注目ピクセルの近傍に対してのみ畳み込み演算を行う点を利用し,ピクセル近傍に集積されたデジタル回路を用いて外部メモリへのデータ書き込みなしでCNN演算を2次元的に実現する.

高耐圧IGBT向けデジタルゲートドライバの開発

教授 高宮 真,助教(高宮研) 畑 勝裕
デジタルゲート駆動技術を高耐圧IGBTに利用するため,ゲート駆動の大電流化を実現するデジタルゲートドライバの開発・実証を行う.

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

Bio-Sensing platform for neuro-cardiac axis investigation

准教授 ティクシエ 三田 アニエス,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,教授(The University of Bordeaux) Timothee Levi,特任准教授(東大) 藤生 克仁,准教授 池内 与志穂,教授 年吉 洋,博士(The University of Bordeaux) Pierre-Marie Faure
In the body, heart and brain interact continuously through various electrical and biomolecule signals to maintain heart homeostasis. But how equilibrium is maintained when a disequilibrium occurs, and how disruption happens in the case of disease, like heart stroke, it is still not well understood. If we can understand it, it will be possible to intervene artificially and reestablish homeostasis. For investigation, it is essential to study the neuro-cardiac axis outside of the body in in-vitro. In this research, a bio-sensing platform is developed to investigate the interactions between heart cells and neurons. This platform contains an array of a multitude of sensors for electrophysiology and bio-chemical sensing, and electrodes for stimulation and artificial control of the activity. In addition, neuromorphic devices providing sensing and biomimetic stimulation of heart cells or neurons, are also created to control the biological system, through the bio-sensing platform, in a close-loop, as it happens in the body. The technology for the bio-sensing platform is based on thin-film-transistor technology, and for the neuromorphic device on FPGA circuits.

Bio-sensing array platform for pancreatic Beta-cell investigation

准教授 ティクシエ 三田 アニエス,教授 年吉 洋,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,博士(東大) Dongchen Zhu,教授(東大) 酒井 康行,准教授(近畿大) 小森 喜久夫,助教(東大) Mathieu Danoy
Diabetes is a chronic disease which can provoke blindness, heart attack, stroke and so on when not treated. It occurs when the pancreas does not use well enough or produces enough insulin hormone to regulate the concentration of glucose in blood. It is the Beta-cells which can be found in the islets of Langerhans that secrete insulin: a deficiency in the functioning of Beta-cells perturbs glucose homeostasis and can provoke diabetes. To elucidate the pathophysiology of islet-related diseases, a bio-sensing platform able to study islets at the level of Beta-cell have to be developed. The bio-sensing platform is made of an array of sensors to sense the electrophysiology activity of a Beta-cell culture during stimulation with glucose. Insulin sensor will be integrated too on the platform to monitor insulin secretion. Various experimental conditions are tested to reproduce disease in an in-vitro environment. The bio-sensing platform is based on thin-film-transistor technology thanks to which a large array with multiple sensors can be fabricated.

伸縮性半導体デバイス

准教授 松久 直司,教授 髙橋 琢二

マイクロ波後方散乱計を用いた海面観測に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎
マイクロ波パルスドップラーレーダを用いる海面観測システムの開発を行っている.海面から散乱するマイクロ波は,海面付近水粒子の運動特性によって周波数が変化し,海面から散乱するマイクロ波の強度には使用するアンテナの特性が含まれる.その特性を解析することで,海洋波浪の進行方向,波高,周期及び位相,海上風の風速と風向,海面高さの情報を得ることができる.相模湾平塚沖での海面観測を行っている.

再生可能エネルギー開発に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎
波力及び潮流のエネルギーを利用する発電システムの開発を行っている.宮城県・松島湾の浦戸諸島において垂直軸型の潮流発電装置のプロトタイプ(5kW)を,岩手県久慈市において振り子式の波力発電装置のプロトタイプ(43kW)を,神奈川県平塚市において高効率波力発電装置(45kW)を開発し,海域実証試験(試験送電)を実施した.実用化を目指した研究開発を続けている.

大型浮体構造物の挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
波浪に起因する浮体式海洋構造物の動揺,弾性変形,波漂流力などを,海洋波浪レーダによるリアルタイム波浪観測技術とエアクッションを用いた浮力制御技術により,制御する方法について研究を行っている.

水槽設備を利用した研究開発【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授 北澤 大輔,准教授 巻 俊宏,准教授 横田 裕輔
海洋工学水槽及び風路付き造波回流水槽において,海洋環境計測,海洋空間利用,海洋再生可能エネルギー開発,海底資源開発などに必要な要素技術の開発に関連する実験・観測を行っている.

流れ中で回転する水中線状構造物の挙動に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 林 昌奎,教授(日本大) 居駒 知樹,准教授(日本大) 惠藤 浩朗
海洋掘削用ドリルパイプは比較的単純な構造物であるにもかかわらず,作用する流体外力,構造自体の応答特性も一般に非線形である.また,海流など流れを有する海域で作業するドリルパイプには,回転による振動に流れによる振動が加わり,より複雑な応答を示す.これらの問題は,対象となる水深が深くなりパイプが長大になるに従い,強度が相対的に低下したり,水深ごとの流れの流速が変化したりすると,強度設計,安全性確保の観点からより重要になる.

平塚市・東大生研連携協力

教授 林 昌奎
この協定は,東京大学 生産技術研究所および平塚市の密接な連携と協力の下,海洋活用技術の研究開発を推進するとともに,新産業創出,人材育成等に寄与することを目的とする.

エビ養殖場の環境シミュレーション

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫
エビ養殖内で用いられている攪拌パドルの設置台数や位置を最適化するために,エビ養殖場の環境シミュレーションツールの開発を行った.

養殖海域の持続可能性評価のための指標の開発

教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,大学院学生(北澤研) 高 紅霞
海域で環境容量の範囲内で持続可能な養殖を行うために,持続可能性を評価するための簡易的な指標を提案し,養殖および陸上からの負荷や海域の地形と赤潮発生状況の相関を調べた.

琵琶湖における2種の淡水種の環境DNA調査と数値シミュレーションによる温暖化影響の予測

学術研究員(神戸大) 邬 倩倩,教授(神戸大) 源 利文,教授 北澤 大輔,特任研究員(北澤研) 周 金鑫,教授(滋賀大) 石川 俊之,教授(滋賀県立大) 後藤 直成,助教(北海道大) 坂田 雅之,学部学生(神戸大) 河本 達也
琵琶湖における淡水魚類が,今後の温暖化によってどのような影響を受けるかを調べるために,環境DNA調査結果と水質調査結果との相関を調べ,数値シミュレーションによる水質の将来予測結果を用いて淡水魚類の温暖化影響を予測した.

リアルタイム海底観測に関する研究

客員教授 川口 勝義
地震・津波観測監視システム(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis; DONET)に展開された水圧計の高精度校正手法の開発,DONET1号機,2号機システムと海底下孔内観測システムの運用及び機能向上を中心とした研究を継続するとともに,当該技術の商用展開に係る技術検討,海底光ファイバセンシングに係る技術検討を実施している.また,海中観測実装工学研究センター主催のワークショップ:海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望(https://seasat.iis.u-tokyo.ac.jp/CableWS/WS20231208/index.html)を開催している.

AUVによる海中遊泳生物の探知追跡手法

准教授 巻 俊宏
ウミガメのような遊泳生物について調査を進めるため,ソーナーと機械学習によって全自動で探知,追跡するためのアルゴリズムを開発する.

自律システムの連携による海中観測手法【柏地区利用研究課題】

准教授 巻 俊宏

海洋センシング

准教授 ソーントン ブレア
Underwater sensing is the raw material of how we perceive the ocean. We aim to improve how the ocean can be observed by investigating the interactions of photons in underwater environments, integrating advanced instrumentation on robotic platforms, and combining this with methods for automated data interpretation. Our group collaborates closely with institutes in the UK, Australia and the USA, and participates in international programs to maximise the global impact of our research and ensure our members can conduct research effectively in an international environment.

海底探索ソナーの技術検証【柏地区利用研究課題】

准教授 横田 裕輔

海底測地システムの技術検証【柏地区利用研究課題】

准教授 横田 裕輔

地震動と地盤ひずみの観測【柏地区利用研究課題】

教授 目黒 公郎

組積造構造物の地震被害に関する研究【柏地区利用研究課題】

教授 目黒 公郎

地方公共団体の災害時の電源確保と情報受発信体制に関する基礎調査

准教授 沼田 宗純

災害対応の標準化に関する研究

准教授 沼田 宗純

災害対応工程管理システムの研究開発

准教授 沼田 宗純

空間AIのスマートシティへの応用

特任教授 三宅 陽一郎
空間AIとは空間そのものにAIを内在させたものである.スマートシティの最小単位として空間AIを限定した領域に構築し,それらを接続することで,都市におけるカバレージを上げていく.現在は設計の拡張,シミュレーションの精緻化,実装実験の段階である.

複雑系社会システムとしての金融市場データ解析

准教授 本間 裕大,特任助教(本間(裕)研) 伊藤 真利子
社会システムを非線形の「複雑系」として捉え,背後にある数理的構造の解明と産官学共創の推進を狙いとしている.金融市場の構造解明は特に重点的な研究ターゲットである.市場が不安定化し混乱に陥る事態が頻発すると,あらゆる社会的プロジェクトへの影響が避けられない.時系列解析やネットワーク解析に関する最先端手法に基づき,金融危機に関する「予測と制御」を効果的に行うための科学的根拠を研究する.

DAGに基づく分散タイムスタンプ方式に関する研究

NTT社会情報研究所 大橋 盛徳,NTT社会情報研究所 張 一凡,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗,教授 松浦 幹太
データ活用のニーズの高まりに伴い,データの存在証明は金融取引の台帳管理と同様に重要となっている.昨今存在証明に使われることが多くなったブロックチェーンは,仮想通貨を起点とした技術であり,コンセンサスなどのセキュリティ対策や台帳の保存に多くの計算資源が必要である.ブロックチェーンを活用した存在証明の利用者は,これらのリソースに対して手数料を支払い利用する.しかしながら,データ操作ごとに手数料を支払い,存在証明を取得することは現実的ではない.そこで,我々はDirected Acyclic Graphs(DAG) と呼ばれる2次元のグラフ構造の台帳を利用した分散タイムスタンプ手法を考案した.本手法は,ブロックチェーンのような統一的な状態生成を廃し,ネイティブトークンを用いたインセンティブではなく自身のデータの存在証明確保自体をモチベーションとして,ユーザ自身が提供する計算資源で動作することを目指している.

LWE問題に基づく耐量子計算機暗号の高速化技術に関する研究

大学院学生(松浦研) 廣澤 佑亮,教授 松浦 幹太
量子計算機が実用化されると,現在利用されている公開鍵暗号の安全性が崩れ,耐量子計算機暗号と呼ばれている暗号技術へ移行する必要がある.中でも,LWE(Learning With Errors)問題という問題の困難性に基づいた暗号が有力視されているが,多項式乗算が処理のボトルネックとなることが知られている.実際,この処理を愚直に行うと,多項式の次数nに対してnの二乗のオーダーの計算量を要する.この多項式乗算を高速化する技法としてNTT(Number Theoretic Transform)という変換が知られている.本研究では,NTTで用いられる剰余パラメータの値に着目し,その値に応じて計算領域を効率的に利用することによるさらなる高速化手法を提案し,その検証を行っている.

Tor Hidden Serviceに対するTraffic Confirmation攻撃のためのオーバーレイ通信システム

助教授(警察大学校) 島田 要,教授 松浦 幹太
Tor Hidden Serviceは,匿名通信システムTorを使用したいわゆるダークネットの一部である.具体的には,Torネットワーク上でサーバのIPアドレスを秘匿しながら,そのサーバをホストとするサービスが提供される.一般に,Torやその応用システムで匿名性を低下させる攻撃の種類の一つとして,ある特徴を持つ通信(信号)が攻撃者の観測点で検出されたことを確認することによって通信経路を特定する攻撃(Traffic confirmation攻撃)がある.本研究では,Tor Hidden Serviceに対するTraffic confirmation攻撃において信号の発信者を確認可能とする技術を提案し,同攻撃の強度を高めることに成功した.さらに,最新のTor運用方針を踏まえた適用可能性について,分析を行った.

ブロックチェーンの安全性を強化し環境負荷を低減する検証証明技術

教授 松浦 幹太,技術専門職員(松浦研) 細井 琢朗
ブロックチェーンのネットワークでは,追記する取引情報の正しさを検証する同じ作業を,多くのノードが様々なフェーズで繰り返し実施する.検証を省略することによって利益を得る確率が高まるため,ノードが検証を省略するインセンティブが生じる.省略を許さない制約を加えると,全体として極めて環境負荷が高くなり,ビットコイン型の実装では欧州の中規模国1国に相当する電力消費にまでなるという試算もあるほどである.本研究では,各取引情報を少なくとも一つのノードが必ず検証し,しかも他のノードが低消費電力でその事実を確認できるメカニズムを提案している.これにより,ブロックチェーンの安全性強化と環境負荷低減を両立することができる.これまでに,実験的評価では,隔離されたノードでの有効性検証に成功し,副作用が無視できることを明らかにした.また,理論的評価では,とくに電子署名の安全性強化に関する新たな知見を得た.

動的に不正署名を生成するデバイスを追跡可能な集約署名とその応用

大学院学生(松浦研) 石井 龍,(国研)産業技術総合研究所 照屋 唯紀,(国研)産業技術総合研究所 坂井 祐介,(国研)産業技術総合研究所 松田 隆宏,大学院学生(松浦研) 林 リウヤ,教授 松浦 幹太,(国研)産業技術総合研究所/横浜国立大 松本 勉
集約署名は,複数の署名を1 つの署名に集約でき,全体署名長および署名検証時間の短縮という効率性を持つため,センサーネットワークなど多数のユーザやデバイスが署名を送信するシステムでの活用が期待されている.しかし,不正署名を1 つでも含んで集約すると集約署名は不正となり,検証者はどのユーザやデバイスが不正署名を生成したかを特定できない.さらに,上記のセンサーネットワーク等の応用では,多数のデバイスが定期的にデータと署名を送信し,かつ(故障などにより) 不正署名を生成するデバイスが時々刻々と変わることが自然に想定される.本研究では,そのような状況を捉えた追跡可能集約署名のモデルを導入し,その機能的要件と安全性要件の定義を行った.さらに,通常の集約署名とDynamic Traitor Tracing を用いた一般的構成を提案した.また,実応用のパフォーマンス評価を実験的に行い,既知の攻撃者が存在する環境の典型的なIOTシステムで活用するための条件を明らかにした.

悪性なスマート契約の分類とその検知技術に関する研究

大学院学生(松浦研) 五十嵐 太一,教授 松浦 幹太
ブロックチェーンシステムの中で実行されるコンピュータプログラムであるスマート契約は,暗号資産に関する取引を行う際に重要な役割を担うだけでなく,ブロックチェーンの応用を広げる際の安全性維持に大きな影響を与える技術となっている.だからこそ,スマート契約は,しばしば不正なユーザによる攻撃の対象となり,犯罪に利用される事例が発生している.本研究では,攻撃や犯罪に利用される悪性なスマート契約を体系的に分析した.そして,従来知られていた二種類ではなく,新たに詐欺行為を含む三種類に分類すれば攻撃の検知や対策技術の評価に有益であることを示した.その分類に基づき,スマート契約をネットワークに取り込んで実行する前に不正を検知する技術を開発した.

更新可能暗号と公開鍵系の暗号要素技術の関係について

大学院学生(松浦研) 谷下 友一,大学院学生(松浦研) 林 リウヤ,(国研)産業技術総合研究所 松田 隆宏,教授 松浦 幹太
更新可能暗号(UE)は,第三者に平文を秘匿しながら暗号文の更新を委託できる共通鍵系の暗号技術である.Alamatiら(CRYPTO 2019)は,UEから公開鍵暗号を構成できることを示した.Alamatiらの結果により,UE を構成するためには,少なくとも公開鍵暗号を構成するために必要な仮定と同等以上の仮定が必要となることが明らかとなった.本研究では,UEを実現するために必要な仮定に関して更なる知見を得るために,UEと他の暗号要素技術の関係を調べ,次の2つの構成可能性に関する含意関係を新たに明らかにした.(1)暗号化処理によって生成された暗号文と更新トークンがOblivious Samplability(OS)と呼ばれる自然な性質を満たすUEから2ラウンドの紛失通信が構成可能である.(2)暗号文更新処理によって生成された暗号文がOSを満たすUEから3ラウンドの紛失通信が構成可能である.

一般化ミリ波フェージングチャネルにおけるワイヤレス通信秘匿性能の解析

特任助教(杉浦研) チン ヴィエット フック,准教授 杉浦 慎哉
ワイヤレス通信の分野では利用しやすい周波数帯域が枯渇していることから,より高い周波数の有効活用が望まれている.本研究では,ミリ波帯の物理層セキュリティシナリオについて性能解析手法を提案した.特に,基地局が盗聴者の存在下でユーザーと通信するケースを考え,秘匿性能の解析フレームワークを開発した.一般化されたミリ波チャネル(fluctuating two-ray: FTR)フェージング分布を活用し,正確な近似閉形式を導出した.そこから得られた性能上限についてモンテカルロシミュレーションによって妥当性を検証した.

知的反射板制御アルゴリズムの開発

准教授 杉浦 慎哉
ミリ波やテラヘルツ波などによるワイヤレス通信では広帯域が利用可能である一方,電波の距離減衰や直進性が高く障害物による遮蔽に弱いため,見通し外通信に不向きであるという欠点がある.反射波の特性を柔軟に制御可能な知的反射板によりこの欠点を克服することが期待されている.本研究では,アップリンクシナリオに有効とされる広帯域シングルキャリア通信において知的反射板パラメータ最適化について検討を行い,伝搬路インパルス応答の時間局所性に着目した軽量制御手法を提案した.

高効率な無線物理層グループ鍵共有方式の開発

特任助教(杉浦研) 小島 駿,准教授 杉浦 慎哉
IoT 技術の著しい発展に伴い,グループ端末間通信におけるセキュリティの重要性が増している.無線伝搬路を情報源とする物理層秘密鍵生成(SKG: secret key generation)は,軽量かつ高い安全性を有する.しかしながら,従来のSKGは2つの端末間のみの鍵共有がベースであり,グループ端末全体で鍵を共有する場合,計算量の増加と潜在的な情報漏洩の課題が存在する.そこで,非直交多元接続方式(NOMA: non-orthogonal multiple access)を用いた安全かつ効率的なグループ鍵共有手法を提案した.提案法の有効性をグループ鍵誤り率の観点から定量的に明らかにした.

MaaS時代における安心・安全なモビリティ環境実現に向けた利用状況分析・コンテキスト推定基盤

教授 瀬崎 薫,講師(東大) 西山 勇毅,助教(瀬崎研) 田谷 昭仁,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫,大学院学生(瀬崎研) 彭 何林訳,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 徐 立強,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 松野 有弥,大学院学生(瀬崎研) 大塚 理恵子,大学院学生(瀬崎研) 細沼 恵里,大学院学生(瀬崎研) 諸 震,大学院学生(瀬崎研) 荘 昊昱,大学院学生(瀬崎研) 石岡 陸,大学院学生(瀬崎研) 小野寺 文香,大学院学生(瀬崎研) 馮 愚桐,大学院学生(瀬崎研) 楊 闖,大学院学生(瀬崎研) 徐 小航,大学院学生(瀬崎研) 厚見 昴,大学院学生(瀬崎研) 顧 修聞,大学院学生(瀬崎研) 王 振博,大学院学生(瀬崎研) 伊藤 愛香,大学院学生(瀬崎研) 幸 童,大学院学生(瀬崎研) 高 天
MaaSにおいてはサービスの利用者属性,目的地のような従来用いられてきた利用状況に加え,利用者の身体状況など高度のコンテキストを考慮した最適化が求められている.本研究ではセンサを利用し,高度のコンテキストを推定する手法を開発すると共にその応用手法についても包括的に検討を行った.

無線センサネットワークにおける分散機械学習とセマンティック通信

教授 瀬崎 薫,助教(瀬崎研) 田谷 昭仁,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 細沼 恵里

モバイル・ウェアラブルデバイスを用いたコンテキスト認識と人・集団の行動変容促進

講師(東大) 西山 勇毅,教授 瀬崎 薫,大学院学生(瀬崎研) 小野 翔多,大学院学生(瀬崎研) 徐 立強,大学院学生(瀬崎研) 牛島 秀暢,大学院学生(瀬崎研) 董 学甫,大学院学生(瀬崎研) 小野寺 文香,大学院学生(瀬崎研) 荘 昊昱,大学院学生(瀬崎研) 諸 震,大学院学生(瀬崎研) 厚見 昴,大学院学生(瀬崎研) 王 振博,大学院学生(瀬崎研) 伊藤 愛香,大学院学生(瀬崎研) 顧 修聞
最新のモバイル・ウェアラブルデバイスには複数のハード・ソフトウェアセンサが搭載されている.本研究では,それら複数センサデータの収集・分析基盤の開発と,機械学習等を用いた人・環境のコンテキスト認識技術の研究・開発を行う.さらに,人々のWell-Being実現に向けた,抽出コンテキストの人・集団への情報還元基盤に関する研究も行う.

実社会ビッグデータ利活用のためのデータ統合・解析技術の研究開発

教授 豊田 正史,准教授 吉永 直樹,准教授 合田 和生
実社会ビッグデータの様々な利活用を図るべく,実社会から生成されるリアルタイムデータを含む異種データを連携利用するための共通的なデータ統合・解析技術として,インタラクティブな大規模情報の可視化技術と大容量データ格納手法を高度に連携させたデータ格納・可視化技術の研究開発を実施する.

レセプト情報・特定健診等情報データベースを利用した医療需要の把握・整理・予測分析および超高速レセプトビッグデータ解析基盤の整備

准教授 合田 和生,協力研究員(合田研) 佐藤 淳平,特任研究員(合田研) 服部 純子,特任研究員(合田研) 賀好 昭仁,特任研究員(合田研) 山田 浩之
これまで構築してきた高速レセプト・ビッグデータ解析基盤を更に発展させることにより,医療の需要・供給,質,コストが国・地域・医療機関レベルで即座に解析・可視化できる技術を開発する.

動的対故障性を備えたデータベースシステムの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登
問合せ実行時に一部のハードウェアに於いて故障が生じた場合に,それまでの実行結果と新たな実行計画に基づき,当該問合せ実行を継続することを可能とする動的対故障性を備えたデータベースシステムを実現する.

非順序型実行原理に基づく高速データベースエンジンの構成法に関する研究

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登,特任研究員(合田研) 川道 亮治,特任研究員(合田研) 小沢 健史

高エネルギー効率型データベースエンジンの研究開発

准教授 合田 和生,特任助教(合田研) 早水 悠登

高機能ストレージシステムの研究

准教授 合田 和生
ストレージシステムに於いて従来の入出力処理に留まらない高水準のデータ管理機能を実行するためのソフトウェア構成法とその有効性を明らかにする.

健康・医療情報等ビッグデータのための解析基盤の開発と当該基盤を用いた調査分析

准教授 合田 和生
多種多様な医療ビッグデータを集約し解析可能とするデータプラットフォームを開発する.

ユーザに開かれたAI設計のためのインタラクティブ機械学習

准教授 菅野 裕介
ユーザが実際に必要とする認識タスクは多種多様であり,事前に学習した認識モデルを適用するだけでは不十分な場合が多い.ユーザ自身が自らの認識タスクを定義・学習し,ユーザに適応したモデルを利用できるようなアプリケーション設計は重要な課題となる.本研究ではこのようなユーザ参加型インタラクティブ機械学習のためのGUI・可視化手法設計,およびアルゴリズム開発を行う.さらに,非専門家向けのワークショップ等の機会を通して,AI技術や機械学習応用研究そのものをより開かれたものにすることを目指す.

未知の環境に適応するためのアピアランスベース視線推定モデル学習

准教授 菅野 裕介
機械学習アプローチに基づくアピアランスベース視線手法には,特殊なデバイスを利用する従来手法とは異なり,通常のカメラ画像のみを用いた推定が可能になるという大きな利点がある.本研究では,学習データに含まれない未知の頭部姿勢に対応するための学習手法やデータ生成手法,ドメイン適応手法の開発を通して,多様な環境下で頑健に動作する視線推定モデル学習手法の確立を目指す.

Webマイニングに関する研究

教授 豊田 正史,准教授 吉永 直樹,大学院学生(吉永研) 根石 将人,大学院学生(豊田(正)研) 張 翔,大学院学生(豊田(正)研) 清水 洸希,大学院学生(吉永研) 遠田 哲史,大学院学生(吉永研) 北林 遼大
Web情報は大規模かつ多様な情報源であり,ネットワーク分析,自然言語処理を用いた多様なアプリケーションのための解析手法の研究開発を行っている.本研究では,ソーシャルネットワークサービス等のWebメディアにおける情報伝搬分析,新固有表現抽出,対話分析,ソーシャルネットワークにおけるA/Bテスト手法など,様々なWebメディア解析手法を提案した.

自然言語処理による,ことばを介した情報の高度利活用

准教授 吉永 直樹,教授 豊田 正史,大学院学生(吉永研) 根石 将人,東京大学特別研究員(豊田(正)研) 大葉 大輔,大学院学生(豊田(正)研) 土屋 潤一郎,大学院学生(吉永研) 蔦 侑磨,大学院学生(吉永研) 王 子晗,大学院学生(吉永研) 中村 朝陽,大学院学生(吉永研) 姚 望,大学院学生(吉永研) 京野 長彦,大学院学生(吉永研) ティヤジャーモン ナッタポン,大学院学生(吉永研) 髙﨑 環,大学院学生(吉永研) 余 练昊,大学院学生(吉永研) 田村 鴻希,大学院学生(吉永研) 李 聖民,大学院学生(豊田(正)研) 苏 为文,大学院学生(吉永研) 遠田 哲史
ソーシャルメディアとスマートフォンの普及により,誰もがいつでもどこでも情報を発信し共有する時代が訪れている.人々が発信する情報には,これまで記録・公開されることが少なかった個人的な体験や,直接観測することが難しい個人の内面の表出(意見)が含まれ,社会把握や世論分析等への利活用が期待されている.しかしことばで書かれた情報は構造化されておらず,同じ意味内容を記述するのに多様な表現が可能であることから,多くの価値ある情報はテキスト中に「隠れた」状態にある.そこで本研究室では,テキストの内容を理解するための基礎技術や,書かれた情報を実世界と紐付けて構造化する方法論を研究し,その成果を元に文字通り「社会の動きを読む」システムの構築を進めている.

溶解性マイクロニードル式低侵襲経皮ワクチンデリバリーパッチの新規開発

教授 金 範埈,助教(金(範)研) 朴 鍾淏
生体分解性マイクロニードルのパッチ型無痛ドラッグデリバリーシステムの実用化を目指す.近年の薬剤学・高分子材料工学・マイクロ加工技術のさらなる進歩に伴い,美容分野において既に実用化しているヒアルロン酸やコラーゲンなどのマイクロニードルパッチに関して,新たなマイクロモールド製造技術を開発し,より安価・迅速・安定的な加工プロセスで高機能性パッチの大量生産が実現できるシステムを開発する.一方,インスリンや経皮ワクチンパッチ,ペプチド・タンパク性医薬品を含む難吸収性薬物の経皮パッチ等の開発と臨床実験を進めて,近い将来,医療の現場で既存の注射製剤や経皮吸収製剤と並ぶような,マイクロニードルを用いた革新的ドラッグデリバリーシステムの実現を図る.

ProteinDF/QCLObotの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
密度汎関数法に基づく正準分子軌道計算エンジンであるProteinDFの研究開発を実装,毎年度性能をアップデートしている.今年度はAnderson法を中心にSCF計算の二次収束法を再整備した.任意のフラグメントが定義でき,フレキシブルな計算分子構造拡張シナリオが利用できる自動計算プログラムQCLO法を中心に,関連する様々なツールを搭載したQCLObotを引き続き整備した.また,エネルギー密度解析の主成分解析法を開発した.

SARS-CoV-2タンパク質の電子状態解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行
SARS-CoV-2ウイルスの感染は,ACE2にスパイクタンパク質が結合することで始まる.そのため,スパイクタンパク質の阻害剤はCOVID-19の治療薬やウイルス検出剤の候補となりうる.本研究では,ACE2タンパク質のスパイクタンパク質に隣接する領域において正準分子軌道(CMO)計算を行った.60個のアミノ酸残基からなるACE2の計算モデルでCMO計算に基づき,正確な静電ポテンシャルを得ることができた.

がん抑制因子p53の転写活性化ドメイン由来ペプチドとMDM2タンパク質複合体の電子構造解析

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
がん抑制タンパク質p53は細胞ストレスに応じて活性化され下流遺伝子の転写を促しがんを抑制する役割を有する.MDM2は通常p53に結合し不要な細胞死を防いでいるが,がん細胞においては過剰発現しp53の働きを妨げることがある.そこでp53とMDM2の結合を阻害しp53を活性化することでがんを抑制する薬剤の研究開発が行われている.本研究ではMDM2に結合する部位のp53由来ペプチドを変異させた阻害剤に着目し,正準分子軌道計算によりMDM2との複合体の電子構造を解析した.その結果,複合体形成に伴う電荷の再配置や,変異ペプチドでは主にクーロン相互作用エネルギーで損得が生じていることを発見した.

アミロイド線維を形成する異常型およびその正常型ヒトプリオンの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
プリオン病は致命的な神経変性疾患であり,正常型プリオンタンパク質がミスフォールディングした異常型プリオンタンパク質の凝集体によって引き起こされる.1次構造が同じであるプリオンタンパク質において,正常型が異常型に構造変化する原因は未だ不明である.本研究では,ヒト正常型プリオンタンパク質と異常型プリオンタンパク質の正準分子軌道計算を行った.正常型と異常型の電子構造は大きく変わっており,単体では正常型が安定して存在することを確認した.異常型プリオンの電子状態計算結果から層形成の相互作用エネルギーを見積もった結果,異常型プリオンは安定して層構造を形成することが明らかとなり,アミロイド線維化が進行しやすくなることが示唆された.

正準分子軌道法によるIGF-1受容体に結合したインスリン及びアナログの電子構造の研究

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 鄭 浩 傑
インスリンアナログは,血糖コントロールの改善を図るために開発されたが,インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)への親和性が高いため,潜在的な発ガン性に関する懸念が指摘されている.アナログに導入された変異の発ガン性に対する影響は不明であり,アナログの使用に伴うガンのリスクを確定または除外することは難しい.本研究では,正準分子軌道法により,インスリンアナログの単体構造とIGF-1RのL1ドメインとの複合体構造の計算を行った.その結果,変異した残基がインスリンの電子構造を大きく変化させ,L1ドメインのAspL38との相互作用によって親和性が変化する可能性が示唆された.IGF-1RのL1ドメインとの相互作用に重要な役割を果たす残基が同定され,アナログの設計に役立つ情報が提供された.

量子コンピュータによる化学反応シミュレータの研究開発

教授 佐藤 文俊,助教(佐藤(文)研) 平野 敏行,学術専門職員(佐藤(文)研) 田原 才静,大学院学生(佐藤(文)研) 高橋 英男
量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII: https://qii.jp/)に参画し,量子コンピュータによる量子化学計算について日立製作所と共同研究を実施している.本研究では,量子・古典ハイブリッドとは異なるフル量子コンピューティングアルゴリズムとそのプログラムを研究開発した.

3 omega法による超精密熱伝導率測定系の構築

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

SiNおよびSiC薄膜における表面フォノンポラリトンによる熱伝導

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) ウ ユンフィ

SiおよびSiGe薄膜ペルチェ素子を用いた局所冷却

教授 野村 政宏,教授 金 範埈,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人
本研究室では,シリコン薄膜を用いた熱電変換デバイス開発を進めているが,ゼーベック効果とペルチェ効果が表裏一体であるため,電流を流すことで局所冷却デバイスも実現できる.本研究では,シリコン薄膜にペルチェ素子を形成し,世界最小サイズのペルチェ素子を実現することを目指す.

グラフェンによる誘電体薄膜の光学応答制御

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,教授 平川 一彦,特任助教(野村研) ウ ユンフィ,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda

グラフェンを用いたプラズモンによる高速熱伝導

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda

ナノギャップ熱伝導に関する研究

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) 立川 冴子,国際研究員(野村研) Jalabert Laurent,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda
物体表面からの熱放射はプランクの法則に従うが,異なる二物体表面が近接すると,プランクの法則を遥かに超える熱伝導が生じる.本研究では,ナノ・マイクロ構造形成技術により,高い熱絶縁性を持ったマイクロ構造中にナノギャップを挟んで向かい合う二平面を形成し,ギャップ幅を変えながら熱輸送の変化を観測する.

ナノスケール熱伝導の物理

教授 野村 政宏,教授(東大) 塩見 淳一郎,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン,特任助教(野村研) 柳澤 亮人

フォノニクスによる熱伝導制御

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン
本研究では,周期が数百ナノメートルのシリコンフォノニック結晶ナノ構造を用いて,コヒーレントなフォノン伝導制御による熱伝導制御を目指し,理論・実験の両面から研究を進めている.エアブリッジ状のフォノニック結晶ナノ構造およびナノワイヤー構造を作製し,熱フォノンの波動性に基づいた熱伝導制御に成功している.

フォノニック結晶中の熱フォノン輸送シミュレーションに関する研究

教授 野村 政宏,特任准教授 アヌフリエフ ロマン
フォノンの平均自由行程よりも短い周期のフォノニック結晶中では,弾道的輸送特性およびバンドフォールディング効果により,バルクとは大きく異なるフォノン輸送が起こる.本研究では,モンテ・カルロ法によるフォノン輸送シミュレーションおよび有限要素法を用いた線形弾性論によるフォノンバンド解析を行い,フォノニック結晶中の熱輸送シミュレーションを行う.

フォノンのコヒーレンスを含む熱輸送理論

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) Zhongwei Zhang,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノンの消滅生成過程に関するシミュレーション

教授 野村 政宏,協力研究員(野村研) Zhongwei Zhang,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

フォノン流体力学に基づく熱伝導

教授 野村 政宏,リサーチフェロー(野村研) Yangyu Guo,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,教授 町田 友樹,特任助教(野村研) コウ シン

半導体薄膜における熱フォノン平均自由行程測定

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Jose Ordonez-Miranda,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任准教授 アヌフリエフ ロマン

数学的構造を用いた炭素系材料における熱伝導制御

教授 野村 政宏,国際協力研究員(野村研) Xin Wu,特任助教(野村研) コウ シン,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

熱放射スペクトル制御による放射冷却構造開発

教授 野村 政宏,国際研究員(野村研) Sebastian Volz,特任助教(野村研) ウ ユンフィ

非平衡グリーン関数法を用いた熱伝導率シミュレーション

教授 野村 政宏,リサーチフェロー(野村研) Yangyu Guo,国際研究員(野村研) Sebastian Volz

半導体量子構造を用いた固体冷却素子の開発

教授 平川 一彦,研究員(LIMMS) BESCOND Marc,大学院学生(平川研) 朱 翔宇,大学院学生(エックス・マルセイユ大) ETESSE Gueric,特任研究員(平川研) 長井 奈緒美
現代のLSIに代表されるエレクトロニクスの進歩を大きく阻んでいるのが発熱による問題であり,冷却技術は将来のエレクトロニクスの発展の鍵を握る技術と言っても過言ではない.我々は半導体へテロ構造のバンドを適切に設計し,熱電子放出と共鳴トンネル効果を同時に制御して実現できるサーミオニッククーリング技術に注目している.本サーミオニッククーリングにおいては,トンネル障壁を介して量子井戸に低エネルギーの電子が共鳴的に注入され,量子井戸を出るときには低くて厚い障壁を高エネルギーの熱電子が熱的に越えていく過程を用いる素子であり,電流を流すにつれて量子井戸層が冷却されていくデバイスである. 本年度は,高効率な冷却を目指して,量子井戸を複数個直列に接合した冷却素子構造を提案し,量子井戸内の電子温度を評価した.その結果,室温において80 K程度の電子温度の低下が観測されるとともに,光学フォノンのエネルギーに関連して,電子温度がバイアス電圧の掃引に対して振動的に変化することがわかった.

オペランド環境走査型プローブ顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
探針や表面の修飾や改変のインプロセス観察を目的とした,環境可変,雰囲気可変走査型プローブ顕微鏡の開発を行なっている.

カラー原子間力顕微鏡の理論考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
カラー原子間力の像解釈と理想的探針についての理想的考察

コンタクトモード原子分解能走査型力顕微鏡

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
単原子架橋時に得られる可能性のある接触モード原子分解能撮像の研究.ナノトライボロジー応用と試料観察新手法の実現を目指している.

受精プロセスの力学計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
受精には化学的機序と,力学的機序があるが,本研究は後者を高感度多自由度力計測機構を用いて実現している.光学顕微鏡,流路,ピペット,力計測機構を組み合わせている.

導電性ポリマーによる吸湿過程の微視的考察

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,准教授(東北大) 小林 光
導電性ポリマーによる吸湿性を,微小質量計測,顕微鏡観察,微視的粘弾性計測などを用いて明らかにする.社会実装の空調装置としては,東北大学小林光准教授が研究代表者を務めている.

探針のフォーススペクトロスコピー

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大,教授(三重大) 北川 敏一,教授(電気通信大) 佐々木 成朗
分子修飾法,背景力評価等をFIMAFMFIMAFM等で評価.小型の走査型プローブ顕微鏡で,修飾分子を含む気体を還流し表面や探針の修飾の可能なものの研究を行なっている.

踏力のリアルタイム計測

教授 川勝 英樹,助教(川勝研) 小林 大
スポーツにおけるトレーニングや戦略への応用として,IOT技術や通信技術を応用して,多チャンネルの情報取得を構築している.

Bio-Sensing platform for neuro-cardiac axis investigation

准教授 ティクシエ 三田 アニエス,共同研究員(年吉研) 井樋田 悟史,教授(The University of Bordeaux) Timothee Levi,特任准教授(東大) 藤生 克仁,准教授 池内 与志穂,教授 年吉 洋,博士(The University of Bordeaux) Pierre-Marie Faure
In the body, heart and brain interact continuously through various electrical and biomolecule signals to maintain heart homeostasis. But how equilibrium is maintained when a disequilibrium occurs, and how disruption happens in the case of disease, like heart stroke, it is still not well understood. If we can understand it, it will be possible to intervene artificially and reestablish homeostasis. For investigation, it is essential to study the neuro-cardiac axis outside of the body in in-vitro. In this research, a bio-sensing platform is developed to investigate the interactions between heart cells and neurons. This platform contains an array of a multitude of sensors for electrophysiology and bio-chemical sensing, and electrodes for stimulation and artificial control of the activity. In addition, neuromorphic devices providing sensing and biomimetic stimulation of heart cells or neurons, are also created to control the biological system, through the bio-sensing platform, in a close-loop, as it happens in the body. The technology for the bio-sensing platform is based on thin-film-transistor technology, and for the neuromorphic device on FPGA circuits.