3. 令和5年度の主な活動内容
3. 令和5年度の主な活動内容
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため令和2年4月から活動に制限が生じていたが,令和5年5月に本学の活動制限指針がレベルSに引き下げられたことから,令和5年度は対面もしくはハイブリッド形式でのイベントが増えるなど,新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の状況に概ね戻った一年であった.例えば,キャンパス公開は4年ぶりに人数制限のない実施となり,対面とオンラインのハイブリッド形式で実施することができ,対面では2日間で6,700名を超える来場者を迎えることができた.本所構成員の交流を促すために令和4年度から実施しているIIS BREAK TIMEについても,先端科学技術研究センターとの共催企画として対象を駒場リサーチキャンパス構成員に広げたKOMANI BREAK TIMEに進化したほか,コーヒーサーバーの設置やピロティへのテーブルおよび椅子の増設を行うなど,新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって分断された人と人とのつながりを復活させるための活動を続けている.
研究組織については,令和4年度末に時限を迎えた革新的シミュレーション研究センターおよび価値創造デザイン推進基盤の設置期間が延長され,ともに令和5年度も引き続き活動している.また,所内センターとして令和5年4月に,デジタル化に伴う様々な社会課題を解決するとともに,デジタル化のメリットを最大限高めることによって多様なステークホルダーに支持されるディペンダブルな社会情報プラットフォームを創出し活用する研究の推進を目的としたディペンダブル社会情報プラットフォーム研究センターおよび,予防医療を目指して,社会のQOLを向上させるライフサイエンス分野の研究を中心に,分子設計技術,有機合成技術,デバイス設計・製作技術,生体数理技術,薬理動態に熟知した研究者が集って,社会的な課題の解決に直結する成果の創出が可能になる連携研究に取り組み,健康社会に貢献するための環境・基盤構築を目的とした工学とバイオ研究センターが設置された.その他,複雑系社会システム研究センターについては,令和6年1月に複雑社会システム研究センターに名称が変更された.寄付研究部門ならびに社会連携研究部門については,産業に直結する光学の教育を通して,光の先端技術がどのようなものであるか,光が世の中でどのように生かされているかをプロフェッショナルな環境によるレンズ設計実習を通じて大学院学生に伝えるほか,産学連携を通して,高度化する科学技術と多様化する社会的ニーズをマクロな視点でみることのできる人材の育成と,光・精密技術の立場から中長期的な未来の価値につながるテーマの創出に取り組むためにニコン 光・精密フロンティア寄付研究部門が令和5年4月に設置された.一方,令和6年3月末にウイルス医療学寄付研究部門,デジタルスマートシティイニシアティブ社会連研究部門が時限を迎えた.
海外との連携の推進としては,令和5年6月に鉱物資源に含まれるレアアースをはじめとする様々な有価金属資源の識別,特性評価,処理,抽出などの技術に関する研究者の間の協働関係を確立し,資源供給および新材料開発に資するほか,同技術を発展させ,資源循環の実現も目指してチリ大学物理数理科学部と部局間交流協定を締結したほか,11月には機械構造物や土木構造物を中心とした工学系の分野全般を対象にミラノ工科大学産業情報工学部と研究交流推進確認書に調印した.国内における連携の推進については,令和5年5月に本所の高度な教育力および研究力を活用した様々な教育連携事業を実施し,東京都立高等学校等の生徒一人ひとりの個性や能力に応じた最適な学びの実現を図るため,東京都教育委員会と連携協力協定を締結した.7月には逗子海岸における美化活動を推進し,将来にわたって豊かな環境の維持と魅力を高めることを目的とし,逗子市と連携協力協定を締結したほか,海洋観測分野に係る相互の連携を強化し,協力した取組を進めるため,令和6年2月に紋別市,オホーツク・ガリンコタワー株式会社と連携協力協定を締結した.
組織の運営に関する事項としては,事務部門のさらなるデジタル化やシステムの高度化による効率化を図り,業務のスマート化,ワークライフバランスの向上および創造的業務への注力を通じて構成員の意識の変革および新しい価値を創造し,ひいては本所全体のパフォーマンスの向上に資することを目的として,生研事務DX・業務効率化検討ワーキング・グループを設置した.その他,自己点検・評価関連については,教員レビュー制度によって8名のレビューを実施した.