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何が合金をガラスになりやすくしているのか
何が合金をガラスになりやすくしているのか

液体を冷却すると結晶化するかガラス化する。合金のように複数の原子種の混合物がガラスになりやすいか否かは実用上極めて重要であるにもかかわらず、それを支配する物理的機構は未解明であった。今回、田中 肇 教授(研究当時、現:名誉教授/シニア協力員)、フ― ユアンチャオ 特任研究員の研究グループは、複原子混合系のガラス形成能を決定している物理的な因子の解明に成功した。原子混合系のガラス形成能を支配している主因子が、液体と結晶の界面張力であり、さらに、界面張力が、液体中に過渡的に形成される構造的な秩序(結晶前駆体)とその構造を形成する原子の組成によって決定されていることを明らかにした点に新規性がある。この成果は、これまで経験に頼って行われてきた、合金のガラス形成能の向上や、相変化メモリーのスイッチング速度の制御などに、物理的な指針を与えるとともに、結晶化という普遍的な現象の基礎的理解にも貢献すると期待される。