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酒井 雄也 准教授、塚本 孝政 講師、松久 直司 准教授が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を、簗場 豊 技術専門員が文部科学大臣表彰 研究支援賞を受賞

下記の通り本所の4名の教職員が令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました。

<若手科学者賞>

氏名所属・役職業績名
酒井 雄也東京大学 生産技術研究所 准教授コンクリートがれきの循環活用のための研究
塚本 孝政東京大学 生産技術研究所 講師クラスター物質の新規合成技術および新規設計理論の研究
松久 直司東京大学 先端科学技術研究センター/生産技術研究所 准教授伸縮性電子材料とデバイス応用に関する研究

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<研究支援賞>

氏名所属・役職業績名
簗場 豊東京大学 生産技術研究所 技術専門員固体核磁気共鳴法による材料の局所構造解析への貢献


受賞した4名の業績内容は以下の通りです。

酒井 雄也 准教授
コンクリートがれきの循環活用のための研究

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○研究内容:
 コンクリートはセメント、水、砂および砂利を混合して硬化させた材料であり、世界的に最も大量に使用されている建設材料です。しかし、セメントの製造における大量のCO2の発生、コンクリート用の良質な砂の世界的な不足、循環利用のための実用的な方法の未確立、などの課題を有しています。本研究では上記の課題を解決するため、コンクリートがれきを粉砕して得られる粉を常温で圧縮成形する手法および廃木材粉と混合して加熱圧縮成形する手法により、建設材料として再生する技術を開発するとともに、その硬化メカニズムを提唱しました。

○コメント:
 本研究は多くの先生方や学生の皆さんにサポートいただいて遂行したものです。この場をお借りしまして深く御礼を申し上げます。今後は本技術を用いて、コンクリートがれきを原料とした製品の実用化などを通じて社会に還元できるよう、引き続き研究に励んでまいります。今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

塚本 孝政 講師
クラスター物質の新規合成技術および新規設計理論の研究

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○研究内容:
 少数の金属原子から成るクラスター物質は、「無機の分子」とも呼べる興味深い物質群で、私たちは実験・理論の両面から当分野の開拓を目指しています。実験的な検討では、カプセル型高分子材料を用いたクラスターの基盤的合成手法を新たに開発し、その物理的・化学的性質の解明を実現しました。また、独自の理論モデルに基づいて、元素周期表と同様にクラスターを分類・探索できる「クラスターの周期表」の提唱や、球を超える対称性を持つ「超縮退クラスター」の理論的発見にも世界で初めて成功しています。本研究は、ナノ物質化学における新しい切り口での学理構築、ひいては既存の延長にない化学領域の確立に貢献すると期待されます。

○コメント:
 このような栄誉ある賞を賜り大変光栄に存じます。共同研究者の皆様、学生の皆様、これまで研究活動を支えてくださった方々に心より感謝申し上げます。本所に研究室を立ち上げてからまだ間もないですが、今後も独自の技術と理論を軸として新奇なナノ物質の研究を推進し、より革新的で社会に貢献できる物質化学の開拓に尽力して参ります。

松久 直司 准教授
伸縮性電子材料とデバイス応用に関する研究

松久先生.jpg

○研究内容:
 ゴムのような柔らかい材料のほとんどは電気をあまりよく流しませんでした。受賞研究では、柔らかく伸び縮みする電子材料を様々に開発し、それらを集積化することで伸び縮みするセンサやディスプレイなどの電子デバイスを実現してきました。柔らかい肌にも違和感なく装着できる次世代ウェアラブルデバイスや、人と一体化するようなヒューマンコンピュータインターフェース、ロボットの電子人工皮膚などへの応用が期待されます。

○コメント:
 このような素晴らしい賞を頂くことができ、大変嬉しく思っております。これまでにご推薦・サポート下さった先生方やスタッフの皆様に誠に御礼申し上げます。生研の先輩方が築き上げてくださった素晴らしい研究環境を活かして、基礎から応用までどこを切り取っても面白いと思ってもらえるような、欲張りでワクワクする研究を推進して行きたいと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

簗場 豊 技術専門員
固体核磁気共鳴法による材料の局所構造解析への貢献

簗場豊様.jpg

○研究内容:
 固体核磁気共鳴法は、様々な固体材料に対して、対象元素と周囲との原子核スピン相互作用に注目して、短距離・中距離秩序の結合状態を調べる手法である。
氏は、本法により多結晶・非晶質・高分子材料などの構造解析を行い、多くの先駆的研究に貢献した。従来測定・解析が困難であった材料に対しても、試料や測定法の改善を行い良好な局所構造解析に成功した。
 本研究は、本法の応用範囲を大きく広げ、材料工学の学術的社会的価値を高める意義を持つ。

○コメント:
 この度は名誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。1992年より本所へ奉職、2009年より該当研究に携わってきました。多くの本所諸先生に尽力をいただき、装置の導入、立上げより安定稼働までできるようになりました。物質・環境系部門(4部)だけでなく、学内外の共同研究先に恵まれ、優秀な大学院学生また研究者の皆さまと協同できた賜物です。ご恩返しできるよう、心新たにして、技術職員の任に専心してまいります。

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