Top | メンバー | 研究機器 | 講義関連 | アクセス | リンク |
1. 触媒機能をもつペプチド1. 触媒機能をもつペプチド -a,b,g,d-不飽和アルデヒドに対する位置選択的およびエナンチオ選択的反応 (Angew. Chem. Int. Ed., 2013, 52, 11585) 反応点を複数持つ基質の反応において,ペプチド触媒によって反応位置をコントロールすることに成功しました。ペプチド分子のサイズの大きさが有効に作用したためと考えています。-ペプチド触媒によるエナンチオ選択的な全炭素置換第四級不斉中心の構築 (Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 12786) b-二置換-a,b-不飽和アルデヒドに対するニトロメタンの共役付加によって,他の触媒では効率よく得られない標題の化合物を得ることに成功しました。生成物は神経伝達物質であるGABAと同じ骨格をもつ光学活性g-アミノ酸に誘導でき,創薬などへの応用が期待されます。-環状ジペプチド誘導体を配位子とする触媒的不斉Diels-Alder反応(Heterocycles, 2009, 78, 1171) 剛直な骨格をもつ環状ジペプチドを配位子とする銅触媒を用いたDiels-Alder反応が,中程度のエナンチオ選択性で進行することを見出しました。 -ポリロイシン鎖をもつ固相担持ペプチド触媒による水系溶媒中での不斉水素移動反応 (Org. Lett., 2008, 10, 2035; Tetrahedron: Asymmetry, 2009, 20, 461) ペプチド有機触媒を用いることで,水系溶媒中での触媒的不斉水素移動反応を初めて達成しました。α-ヘリックス構造をとるポリロイシン鎖が活性中心の高次構造の安定化に寄与していることを明らかにしました。-2種の固相担持触媒を同一反応系内で用いたエナンチオ選択的ステップを含む酸触媒・塩基触媒連続反応 (Tetrahedron Lett. 2007, 48, 985-987) 同一容器中に共存させた酸性のイオン交換樹脂と樹脂固定化ペプチド(不斉塩基触媒)が互いに失活することなく,酸触媒のアセタール加水分解反応と塩基触媒の不斉アルドール反応が連続的に起こることを見出しました。- 溶媒に誘起される構造変化によるペプチド‐ヘム複合体の触媒反応性の制御 (Chem. Lett. 2006, 35, 584) 適切な位置に鉄に配位可能なヒスチジンをもったヘリカルペプチドが2分子ヘムに結合したキメラ分子を設計・合成し,その酸化触媒能を検討しました。溶媒中のトリフルオロエタノールの割合に依存してヘリックス性が変化し,それに応じて触媒能も変化する現象が見られました。 - 固相上に担持されたペプチド触媒による水系溶媒中での不斉アルドール反応 (Tetrahedron Lett. 2005, 46, 8185) 樹脂固定化したN末端プロリルトリペプチドを触媒として,水系溶媒中で交差不斉アルドール反応が進行することを見出しました。反応後ろ過によって容易に生成物と触媒を分離でき,触媒は少なくとも5回は再利用できました。 2. テンプレート機能をもつペプチド -ナノチューブ形性能のあるD,L-交互環状オクタペプチドの配向制御 (Chem. Lett., 2007, 36, 1070) 1993年にGhadiriらにより報告されたナノチューブ形性能のあるD,L-交互環状オクタペプチドにおいて,ペプチド配列に工夫を施して,静電相互作用により向きをそろえることに成功しました。 -DNA結合性ペプチドを用いた金ナノ粒子の一次元配列制御 (生産研究 2007, 59,128) DNA,ペプチド,金ナノ粒子の三元系を用い,ストレプトアビジンとビオチンの特異的相互作用を利用して,2本鎖DNAテンプレート上に金ナノ粒子を一次元整列させることに成功しました. 3. ペプチド同士あるいはペプチドと他分子の相互作用の利用 -DNA結合性ペプチド部位をもつ人工ミオグロビンの構築 (Bull. Chem. Soc. Jpn. 2005, 78, 1749) タンパク質―補因子複合化ペプチド―DNAの三元系において,ペプチドとDNAの相互作用が再構成ミオグロビンのペルオキシダーゼ様活性に影響を及ぼすことを見出しました。(日本化学会欧文誌論文賞受賞)- コンビナトリアル化学的手法によるFAD結合性ペプチドの探索 固相上に固定されたライブラリのスクリーニングにより,FAD結合性を持つペプチドを効率的に探し出すことに成功しました。 |