東京大学生産技術研究所 物質・環境系部門 工藤研究室 東京大学生産技術研究所 物質・環境系部門 工藤研究室
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大学院受験を考えている方へ

*大学院の研究室選択では,個人と研究室とのマッチングが非常に大事です。当研究室志望の人は,院試申し込み前に必ず研究室訪問を行って下さい。

 こんにちは,工藤です。

 当研究室に来た人には,ぜひとも化学(科学)を共に楽しんでもらいたいと思います。そのためには,24時間365日化学に向き合う必要があります。
 化学を楽しむ,というのは,実験で色が変わって面白いとか,反応の収率が上がってうれしいとか,その程度の話ではありません。もっと大きな,深い楽しみのことです。また,24時間365日化学に向き合う,というのは,単に「早朝から深夜まで研究室にいる」のとは意味が違います。
 
 以下に説明します。

 化学に限らず,研究の発展は木の成長に例えられると思います。各研究室では最先端の研究を行っており,それは枝の一番先の成長点です。しかし,その成長のためにはしっかりした根をはって,丈夫な幹をもっていなければいけません。
 根は教科書で勉強した化学の基本知識のことで,これを読んでいる皆さんは根はもう大体できていると思います。そして研究室に入れば必ず成長点の部分を任され,がんばって実験をすることになります。
 ところで,根から直接成長点につながっている木というものはありません。つまり,
教科書で学んだ化学と最先端研究の間には距離があるのです。それをつなぐのが幹や枝です。
 幹や枝がどうやってできたかを考えてみましょう。はじめはそれら自身が成長点(=最先端研究)だったはずで,それは最初のうちは細くて頼りないものだったかもしれません。木が育つ(=関連研究が進む)につれて,少しずつ着実に太くなってきたはずです。幹や枝とは,これまでに蓄積されてきた先人の研究成果のことです。
あなたの行う最先端研究とあなたの化学の基礎知識をつなげているもの,それは,先人の研究成果なのです。それらを知らずに実験をすすめることもできることはできますが,それは「根から成長点に直接つながった状態」であり,とても木とはいえない下草のようなもので,脆弱で環境の変化に耐えることはできません。
 と,こんな比喩を使うまでもなく,先人の成果を知らずに研究のまねごとをしてみても,何の意味があって実験をするのか自分自身が理解できていないので,はっきりいって面白くないし,実験結果を受けて次にどうしたらいいかも何も考えつかない。これでは化学を楽しんでいるとはとうてい言えませんね。
化学を楽しむには,楽しむための準備をしておかなければなりません。これは,スポーツの試合で勝つためには相応の練習を積まなければならないことと似ています。
 研究の世界では,その練習とは,先人の足跡をたどること,より分かりやすくいえば,関連論文を古いものから最近のものまで読破することです。時空を超え,先達の声を聴くということです。それを行って初めて,本当の化学の楽しさが分かるようになります。ただし,そのために実験の時間を削ることはできません。
なので,それは実験以外の時間にやります。行き返りの電車の中,ベッドの中などどこでもできます。慣れると,実験のすきま時間にもできます。「24時間365日化学に向き合う」といったのはまさにこのことです。なお,”関連”論文とは,最初のうちは研究に直接関係あるものを指しますが,その範囲は自然に広がっていきます。また,新しい論文が現在進行形で出続けています。このため,ここまで読めば終わり,ということはありません。
 また比喩に戻ります。幹や枝がしっかりしていれば,高い視点から全体が見渡せるし,環境の変化に揺らぐこともありません。大学(院)を出て新しい世界に入るとき,会社で異動があったときなどは大きな環境の変化といえますが,そのときに幹があれば,そこから新しい枝を張り出せばいいので,すぐに対応できます。が,幹をもっていないとまたゼロからのスタートになって,大きく差がつき,また残念ながら,その差は,社会に出た後ではそう簡単には縮まりません。
「幹のある人になってもらう」ことが当研究室の目標です。

最後にもう一度。Let's enjoy chemistry with us!

当研究室は,東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻に所属しており大学院生として当研究室に所属するためには,この専攻の実施する大学院入学試験に合格する必要があります。
化生(化学生命工学専攻)では,入学試験の英語ではTOEFLのスコアの提出は求めません。化生独自の科学英語の問題が出題されます。
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当研究室を考えている方は,お気軽に工藤まで連絡の上,研究室見学に来て下さい。