2024.01.11 プレスリリース 【記者発表】痛みなく皮膚に文字や数字を表示させ、簡便に個体を識別 ――自由自在な文字パターンを生成できるマイクロニードルパッチを開発―― #東大生研 の朴 鍾淏 助教と金 範埈 教授は、文字や数字のパターンを施した「マイクロニードルパッチ」の作製方法を開発しました。パッチ上の針構造体が皮膚内に溶けだすと同時に、内部の不溶性インクがパターンの形で溶け出し、残存するようにしました。パッチを貼付するだけで、動物の皮膚上に標識付けが可能なバイオタギングを実現しました。別途の標識用タグや施術用道具、獣医師による麻酔や施術を必要とせず、簡便かつ痛みを伴わない標識付け方法として今後、動物管理を要する分野にて幅広く活用できると期待されます。
2023.12.07 プレスリリース 【共同発表】大気の水循環を追跡する高解像度シミュレーション ―次世代の水同位体・大気大循環モデルの開発―(発表主体:国立環境研究所) 国立研究開発法人 国立環境研究所、気象庁気象研究所、国立大学法人 #東大生研 、国立研究開発法人 海洋研究開発機構、国立大学法人 東京大学 大気海洋研究所の研究グループは、湿潤大気の対流を表現できる水同位体・全球高解像度大気モデル(NICAM-WISO)を開発し、これまでの水平解像度を遥かに超える現在気候の再現シミュレーションを実施しました。モデルは水同位体比の地理的な分布だけでなく、水同位体比と降水量や気温といった気象学的な関係性も良くシミュレートすることができました。NICAM-WISOによる高解像度のシミュレーションは、幅広い目的に対応した代替データとしての利用可能性、過去の気候への理解・復元、気候モデルの高度化、気象予測への応用といった価値があります。
2023.12.05 プレスリリース 【記者発表】人のように一人称視点から実世界を理解する AIの実現に向けて ――大規模一人称視点・外部視点映像データセットEgo-Exo4Dを公開―― #東大生研 の佐藤 洋一 教授の研究グループは、Ego4Dコンソーシアムに参画する米国Meta社FAIRと世界各国の大学とともに、一人称視点映像と外部視点映像を組み合わせた大規模データセットEgo-Exo4Dを構築し、研究開発コミュニティに広く公開しました。人の様々な行動を一人称視点映像と複数の外部視点映像で捉えたデータセットとして世界最大規模です。1400時間を超える映像データに加えて、人の行動に関するアノテーション、人物行動理解における主要タスクのベースラインモデルが提供されており、映像から人の複雑な行動を理解するAIの開発に大きく資することが期待されます。
2023.12.01 プレスリリース 【共同発表】単一コロイド量子ドットで電気伝導の評価と制御に成功~「人工原子」デバイスの応用に前進~(発表主体:東北工業大学) 東北工業大学工学部電気電子工学科の柴田 憲治 教授は、#東大生研 の平川 一彦 教授、東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の大塚 朋廣 准教授(同大学電気通信研究所兼務)、東京農工大学 大学院工学研究院のサトリア・ビスリ 准教授、理化学研究所創発物性科学研究センターの岩佐 義宏 チームリーダーらと共同で、1個の半導体コロイド量子ドットを用いた単一電子トランジスタで室温動作を実現し、従来、困難だったコロイド量子ドット1個の電気伝導の評価と制御に成功しました。コロイド量子ドットの光電デバイスや量子情報デバイスへの応用に大きく前進しました。
2023.11.27 プレスリリース 【記者発表】人間活動による温暖化が東アジアの夏季 前線性豪雨を激甚化 ――地球温暖化と前線性豪雨の強度の関係を初めて証明―― #東大生研 の金 炯俊特任准教授らと、東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 内海 信幸准教授らの研究グループは、過去60年間に観測された東アジア地域の前線性豪雨の強度増加に、人間活動による温室効果ガス濃度増加の影響があることを、気候シミュレーションを活用して初めて証明しました。前線性豪雨の影響を大きく受ける東アジアの大都市などにおいて、近い将来の気候変動への効率的な対応に必要な情報を提供しています。
2023.11.24 プレスリリース 【共同発表】宇宙線測位の世界記録を大幅に更新(発表主体:国際ミュオグラフィ連携研究機構) 東京大学 国際ミュオグラフィ連携研究機構は、同大学 #東大生研 、同大学 大学院新領域創成科学研究科、国際ミュオグラフィ研究所と共同で、GPSが使えない屋内等におけるセンチメートルナビゲーションに成功しました。GPSが使えない屋内等における無線高精度時刻同期範囲を1桁以上向上し、宇宙線測位の実用化に向けて大きく前進しました。
2023.11.06 プレスリリース 【記者発表】ナノ構造中のテラヘルツ電磁波と電子の超強結合状態の高感度電気的検出に成功――量子制御技術への応用に期待―― #東大生研 の黒山 和幸 助教、平川 一彦 教授、および東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川 泰彦 特任教授、權 晋寛 特任准教授は、テラヘルツ電磁波と電子を半導体ナノ構造中に閉じ込めることにより、非常に強く相互作用させ、光と粒子の両方の性質を併せ持ったハイブリッドな量子状態を実現しました。量子ポイントコンタクトと呼ばれるナノ構造を導入することによって、単一の光共振器中のハイブリッドな量子状態を電気信号として高感度に取り出す技術を確立しました。ハイブリッド量子状態を用いることにより、電子が持つ量子情報を、テラヘルツ電磁波を介して遠方に運ぶことができ、量子情報処理技術への応用に向けた重要な要素技術となると期待されます。
2023.10.31 プレスリリース 【記者発表】誘電体の熱励起表面波の分光測定に成功 ――パワー半導体素子の最適設計に期待―― 東京大学 大学院工学系研究科 博士課程の佐久間 涼子 大学院生(研究当時)、#東大生研 の林 冠廷 特任助教(研究当時)、梶原 優介 教授は、物質が自ら発する表面電磁波を分光測定する技術を開発しました。これにより、物質表面の熱の詳細情報をナノスケール分解能で評価することが可能になりました。誘電体(AlN、GaN)の格子振動共鳴波長近傍における熱励起エバネッセント波分光は、世界初です。表面フォノン共鳴近傍波長における分光結果から、熱励起エバネッセント波に関する基礎理論と異なる新しい知見が得られました。ナノスケールでの熱情報を得られることから、パワー半導体素子の最適設計への適用が期待されます。
2023.10.11 プレスリリース 【記者発表】鮮やかに色づく亜鉛(Zn)化合物の合成に成功――安価・低毒性なZnを用いた可視光機能材料開発へ―― #東大生研 の砂田 祐輔 教授、和田 啓幹 助教らの研究グループは、2つの亜鉛イオン(Zn2+)を1つの分子内に有する「Zn二核錯体」おいて、Zn-Zn距離を短く制御するシンプルな設計により、可視光吸収が可能となり、鮮やかな黄色に色づくZn錯体の創出に成功しました。本研究の成果は、Znを用いた可視光機能材料の設計指針を与えるものであり、可視光機能性Zn錯体の創出およびその材料応用(例えば、有機材料を合成するための光触媒や、照明やディスプレイにおける発光材料としての利用など)に貢献すると期待されます。