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虫明 功臣 名誉教授が令和5年秋叙勲 瑞宝中綬章を受章

 本学 名誉教授・福島大学名誉教授の虫明 功臣 先生が令和5年秋の瑞宝中綬章を受章されました。

 虫明先生の専門分野は、「水文・水資源工学」、すなわち、地球上の様々なスケールの水循環と人間を含むあらゆる生物との相互関係を明らかにする水文学を基盤として、人間と生態系にとって好ましい水循環系を構築する科学技術分野です。水文学は、20世紀中ごろまでは概念的、記述的な学問分野であり、「みず文学」と揶揄されていましたが、観測技術とコンピュータによるシミュレーション技術の進歩、そして国際的な研究協力体制が構築されたことにより、20世紀後半から目覚ましい発展を遂げました。虫明先生は、都市化が水循環系に及ぼす影響の評価とオンサイト型雨水浸透貯留浸透技術による水循環系保全対策や、マイクロ波リモートセンシングによる表層土壌水分の計測、アジア太平洋地域の水文特性と水資源管理、流域水マネジメントの社会実装といったご研究を通じて、日本及びアジアでの水文学の発展に大きくご貢献されました。学会活動においては、設立準備委員としてご尽力された水文・水資源学会の第7代会長に選任されたほか、「アジア太平洋水文水資源協会」を創設され、アジア太平洋地域におけるこの分野の科学技術の交流と日本からの発信にご尽力されました。また、本所においては、平成3年から退職まで千葉実験所長を務め、新研究実験棟の建設など、実験所の施設と研究環境の維持・更新にご尽力いただきました。

 虫明先生は現在もお元気で、近年上梓された「ダムと緑のダム~狂暴化する水災害に挑む流域マネジメント~」で土木学会出版文化賞受賞を受賞されるなどご活躍されています。また、本学柏キャンパスの近くにお住まいのこともあり、千葉実験所の移転後にも度々訪れてくださり、私達、後進を優しく導いてくださっています。このたびの虫明先生の受章を心よりお慶び申し上げます。先生のご健勝と益々のご活躍を祈念致します。

(人間・社会系部門 教授 芳村 圭)

虫明 功臣 名誉教授のコメント

mushiakisensei.jpg まず、実学重視、新分野の開拓、異分野連携、成果の社会実装などを推奨する生産技術研究所の研究風土の中で、良き師、先輩、仲間、優秀な学生達に恵まれて、充実した研究生活を送れたことに感謝します。
 私の専門、水文・水資源工学は、わが国では高度経済成長に伴う水不足、水環境の劣悪化、都市水害の激化などへの対応を背景として、前世紀後半から新たな発展が始まり、特にここ20年国内外で目覚ましい進展を見せている分野です。草分け時代からこの分野を専攻に選んだこと、実に幸運だったと思っています。
 退職して20年、「生研スピリット」を全学に波及させる時代を迎えたことを誇りに思い、生産技術研究所の皆様のますますのご発展を祈念いたします。

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