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【共同発表】地方公共団体が保有する都市計画基礎調査(土地・建物)のゾーン集計データのオープン化および オリジナルデータの借用申請手続きのWeb化を開始 ~G空間情報センターで先行的に86市町分のデータをオープン化~(発表主体:社会基盤情報流通推進協議会)

 東京大学 生産技術研究所 関本 義秀 准教授及び一般社団法人 社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)は、都市計画基礎調査(注1)データのオープン化を進めるため、都市計画基礎調査データ流通研究会を開催し、実際に地方公共団体の保有する都市計画基礎調査データやそれらの現状の管理方法を踏まえた、持続安定的なデータ流通のあり方を検討し、オープンデータの作成の迅速化や公開に関する実証実験を行ってきました。
 今回、研究会に参加する地方公共団体から提供を受けた、計86市町分の都市計画基礎調査データを、国土交通省都市局にて平成31年3月に策定された「利用・提供ガイドライン」等(注2)に準拠する形で、G空間情報センター(注3)のWeb上で公開しました。また、そのオリジナルデータに関して、標準的な申請フォーマットを準備し、借用手続きもWeb上で可能にしました。
 今後は、国土交通省都市局と連携し、担当者会議等での説明や国土交通省HP等での周知・情報提供(地方公共団体、G空間情報センターへのリンク等)を行い、地方公共団体の保有データのオープン化を促進するとともに、新たな利活用ニーズの把握にも努めていきます。

◇並行して、国土交通省都市局でもプレスリリースをおこなっております。こちらをご覧ください。
URL:http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000134.html

1.都市計画基礎調査データ流通研究会の概要(メンバー一覧:別紙参照)
 2015-2016年度に、東京大学 生産技術研究所 関本准教授および一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が主催となり、地方公共団体が所有する都市計画情報(基礎調査、航空写真等)をオープンデータとして公開するための課題・方策を検討するための勉強会として、都市計画基礎調査データ流通研究会を開催しました。その中で、地方公共団体が都市計画情報をオープンデータとして公開するための課題のアンケート調査やG空間情報センターへ試験的登録を行い、センター側の機能等の確認を行いました。2017年からは、国土交通省都市局主催の検討会となり、都市計画基礎調査データのオープンデータ化に向けた検討を行っています。都市計画基礎調査データは、複数の地方公共団体のデータを集約した方が、データ利用者等にとって利便性が高いと検討会で整理されており、これまで様々な情報のオープンデータ化の実績があるG空間情報センターとの連携を視野に検討がなされています。
 都市計画基礎調査データのオープン化を進めるため、今年度も研究会を開催し、実際に地方公共団体の保有する都市計画基礎調査データやそれらの現状の管理方法を踏まえた、持続安定的なデータ流通のあり方を検討し、オープンデータの作成の迅速化や公開に関する実証実験を行ってきました。

2.オープン化を促進するデータ
 都市計画基礎調査で収集され地方公共団体が保有している人口、産業、土地利用、建物、都市施設等都市に関する情報のオープン化を促進します。
 そのうち、特に有用性の高い、土地利用、建物のデータのオープン化を重点的に促進します。
○土地利用(土地利用の用途の現況)
○建物(建物の用途、階数、構造、建築面積、延床面積、耐火構造別)

3.G空間情報センターにおける先行的なオープン化
 都市計画基礎調査データ流通研究会に参加している7地方公共団体(下記)の土地利用及び建物現況のデータをガイドラインに準拠して地区(町丁・字)単位で集計し、G空間情報センターにおいて公開しました。
 地方公共団体の担当者、まちづくり活動団体、研究者、民間事業者など多くの利用者に実際のデータに触れデータへの理解を深めていただき、データの利用・提供の促進や新たなデータの使い方の例(ユースケース)の提案にもつながることを期待しています。

○公開ページURL:
 https://www.geospatial.jp/gp_front/basic-survey-of-city-planning-original

○データをオープン化した地方公共団体:山形県(16市町)、兵庫県(30市町)、高知県(20市町)、熊本県(17市町)、横浜市、名古屋市、広島市




4.オリジナルデータの借用申請手続きのWeb化
 地方公共団体が保有している都市計画基礎調査データ(土地・建物)のオリジナルデータに関して標準的な申請フォーマットを準備して、オープンデータ化サイトと連携してオリジナルデータの借用手続きも可能としました。今までは地方公共団体の担当部署窓口等で申請手続きを行っていましたが、オープンデータ化サイトのオリジナルデータ利用申請画面より手続きが可能となりました。
(ただし、審査に関しては地方公共団体のデータ管理部署で判断を行い承認が得られた場合に限ります。)

5.想定ユースケース(例)
(1)コンパクト・プラス・ネットワークの取組みを進めるため市町村間の横並びでの都市構造の比較
  ○コンパクトなまちづくり(都市の機能分担)や公共交通網の分析・検討
(2)民間による新サービス企画立案のための基礎的分析
  ○地区別地域危険度(火災危険度)の分析に基づくリスク計量分析
  ○鉄道沿線地域の将来予測、住民向けの極め細やかなサービス提供の分析・検討等      

<問い合わせ先>
一般社団法人 社会基盤情報流通推進協議会 
Tel:03-6455-1845 Fax:03-6455-1846
E-mail:office(末尾に@aigid.jpをつけてください)

東京大学 生産技術研究所
准教授 関本 義秀(せきもと よしひで)
Tel:03-5452-6406
URL:http://sekilab.iis.u-tokyo.ac.jp/

<用語解説>
注1)都市計画基礎調査
 都市計画基礎調査は、都市計画法に基づき全国の都市計画区域を対象に都道府県が概ね5年ごとに実施しているものです。土地や建物の現況等都市に関する豊富なデータが蓄積されています。
 こうしたデータは地方公共団体の内部で都市計画の策定に役立てられていますが、さらに、コンパクト・プラス・ネットワークの取組みを進めるため市町村間の横並びでの都市構造の比較や民間利用による地域課題の解決への活用が期待されます。
 しかしながら、個人情報保護との関係が未整理等の課題があり、オープン化はほとんど進んでいない、また、情報のフォーマット等が揃っておらず全国的な利用がしにくい、という課題がありました。
 政府の「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成29年5月30日閣議決定、平成30年6月15日改定)においても、重点的に講ずべき施策の1つとして「都市計画に関するデータの利用環境の充実」が位置づけられています。
 国土交通省では、平成29年度から有識者、業界関係者、地方公共団体から構成される検討会で都市計画基礎調査情報の利活用及び調査のあり方を検討し、今般、その結果を踏まえ、ガイドライン等を策定したものです。

注2)「利用・提供ガイドライン」等:
 都市計画基礎調査実施要領、都市計画基礎調査情報の利用・提供ガイドライン、利用・提供の観点を踏まえた都市計画基礎調査実施要領及び都市計画基礎調査情報の利用・提供ガイドラインに係る技術資料の3つを指します。
 参照:国土交通省URL http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_tk_000049.html

注3)G空間情報センター:
 官民問わず様々な主体により整備・提供される多様な地理空間情報を集約し、利用者がワンストップで検索・ダウンロードし利用できる、産学官の地理空間情報を扱うプラットフォーム。平成28年11月24日運用開始。

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