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平川 一彦 教授が江崎玲於奈賞を受賞

平成30年9月3日 (月) 、茨城県科学技術振興財団(江崎 玲於奈 理事長)から「第15回江崎玲於奈賞」の受賞者が発表され、東京大学 生産技術研究所の平川 一彦 教授が受賞しました。授賞式と記念講演会は、11月につくば国際会議場(つくば市)で開かれる予定です。

○江崎玲於奈賞とは
江崎 玲於奈 氏が理事長を務める茨城県科学技術振興財団が、科学技術の振興と産業の活性化に寄与することを目的として、創設しました。日本国内の研究機関においてナノサイエンスあるいはナノテクノロジーに関する研究に携わり、世界的に評価を受ける顕著な研究業績を挙げた研究者が対象とされ、毎年原則1名選ばれます。審査は、江崎 玲於奈 氏、白川 英樹 氏、野依 良治 氏、小林 誠 氏、天野 浩 氏らノーベル賞受賞者などが含まれる委員会で行われます。

○受賞情報
テーマ:
テラヘルツ技術の開拓によるナノ構造の電子物性解明の先導的研究

研究成果:
現代のエレクトロニクスにおいて、ナノメートル(10-9メートル)オーダーの寸法に加工されたナノ構造が非常に大きな役割を演じています。平川 一彦 教授は、ナノ構造の中で電子が伝導する現象を明らかにするために、テラヘルツ電磁波(周波数が1012ヘルツ程度)とよばれる超高周波の電磁波に注目した数々の研究成果を挙げ、「テラヘルツナノ科学」という新しい分野を牽引してきました。
一般に、ナノ構造中の電子が持っている量子化エネルギーなどの特徴的なエネルギーは、数~百meV(ミリ電子ボルト)程度です。このエネルギーは、電磁波のスペクトルではテラヘルツ領域の光子エネルギーに相当します。そこで、エネルギーにも対応する電磁波の周波数を、電子の振る舞いをとらえる新しい評価軸として注目したのです。テラヘルツ電磁波を用いて、半導体超薄膜積層構造や原子レベルの極微なナノ構造中の電子伝導の様子を明らかにし、さらに、電子工学への応用も目指しています。

○受賞コメント
この度、江崎玲於奈賞という身に余る賞を頂くことになり、大変恐縮しています。1980年代中頃、私がまだ生産技術研究所の大学院生であったときに、ちょうど江崎玲於奈先生が研究所の研究顧問に就任なさいました。ある日、江崎先生が生研に来られた折りに、江崎先生の前で自分の研究内容の説明をさせて頂いたことなど、懐かしく思い出します。このようなことを思うにつけ、生研の諸先輩の先生方にいつもご指導を頂いていたことをしみじみと感じます。また、今回の研究を支えてくれたOB/OGも含めた研究室のメンバー諸君に厚く御礼申し上げます。

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