「1a. 金ナノ粒子・ナノ構造の利用」で述べたように、私たちは、金属ナノ粒子・ナノ構造のプラズモン共鳴を利用した電荷分離を、新しい材料やデバイスに応用しようとしています。
金属としては、金だけでなく、銀も利用します。銀−酸化チタン複合系の場合、可視光を照射して電荷分離を誘起すると、銀が銀イオンに酸化されます。しかし紫外光を照射すると、酸化チタンが励起され、銀イオンは銀ナノ粒子に還元されます。この光誘起酸化還元反応は全く新しい反応であり、様々な応用が期待されます。

銀ナノ粒子−酸化チタン系における光誘起酸化還元反応(模式図)
そのひとつが多色フォトクロミズムです。上記の反応を使えば、光によって銀ナノ粒子のサイズや形状を制御できます。サイズや形状が変われば色が変わりますので、光によって色を制御できます。銀ナノ粒子−酸化チタン複合系の場合、あてた光と同様の色に変化します。紫外光を照射すれば、もとの色(褐色)に戻ります (Nature Mater 2003, J Am Chem Soc 2004, Chem Commun 2005, Adv Mater 2007)。

多色フォトクロミック材料
また、ある種のゲルと組み合わせれば、紫外光で膨潤、可視光で収縮させることもできます(光ソフトアクチュエータの項参照) (Adv Mater 2007)。

光電気化学ソフトアクチュエータ
いずれも、これまでにない新しい機能をもつ材料です。ほかにも種々の新しい機能が期待されます。
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