金属ナノ粒子は、そのサイズ、形状に応じて、さまざまな色の光をプラズモン共鳴によって吸収します。私たちは、金ナノ粒子を酸化チタンなどの半導体と組み合わせると、可視光を吸収して正電荷と負電荷を分離する「光誘起電荷分離」が可能になることを見出しました (Chem Commun 2004, J Am Chem Soc 2005)。

金属ナノ粒子のサイズ・形状と共鳴波長(模式図)
この現象を利用すれば、光エネルギーの電気エネルギーへの変換(太陽電池や光センサへの応用が可能です)や、光エネルギーによる化学反応の駆動(光触媒への応用が可能です)などが可能になります。

金ナノ粒子−酸化チタン系における電荷分離(模式図)
これまで、光誘起電荷分離の多くは、半導体(シリコン太陽電池や酸化チタン光触媒などの場合)や有機/無機色素(色素増感太陽電池などの場合)を光吸収材料としてきましたが、新たに金属ナノ粒子・ナノ構造を利用できることが明らかになったわけです。粒子・構造のサイズや形状を変えることで、吸収波長などの光学特性を容易に制御できるのが特徴です。
私たちは、まだ完全には明らかになっていない電荷分離機構の解明などの基礎研究から、デバイスなどへの応用、新しい機能の開発など、幅広く研究を進めています。
金-酸化チタンナノコンポジット系を用いた小型試作セル
研究内容へ戻る