準教科書的書籍:ウォーレン「有機化学第2版」(東京化学同人)本講義で主に扱うのは上巻の2,3,4,7,8,13,14,16章。5,6章も多少触れます。
(参考:ウォーレン「有機化学」初版では,対応する章は上巻の2,3,4,7,8,11,16,18章となります。)
大きな主題は”有機化合物の構造決定”,”酸と塩基”,”立体化学”の3つ。
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工藤からのメッセージ:
有機化学は他人に教わるものではありません。自分で会得するものです。教科書の読破(できれば原書)と自ら手を動かすこと,これがなによりの勉強法です。
本講義関連の質問はこちらまで(講義期間中でなくとも歓迎します)。
9/27 | 講義開始時点での有機化学の理解度を調査する目的でquizを行った。quizの解答例はこちら(その1,その2)。問題別正答率はこちら。重要な置換基名と略称についての解説,有機化学における構造決定法についての導入的説明を行った(2,
3章)。 IRのピーク位置と官能基の関係がわかり易く解説されているサイト:https://www2.chemistry.msu.edu/faculty/reusch/virttxtjml/spectrpy/infrared/irspec1.htm |
10/01 | 有機化学における構造決定法の続きを解説した(3章)。使用したpptの写しはこちら。スペクトル演習問題についてのヒント:最初の3問は全て分子量73,後ろの5問は全て分子量88です。 解答はこちら。章末問題解答例はこちら。質問のあった,不飽和数の式でN#/2を足す理由についてはこちら。 |
10/04 | 有機化学における構造決定法についてやや踏み込んだ解説をした後,結合論の復習を行い,さらに反応の駆動力・反応の記述について話した。また,カルボニル基の結合について話した(3章,4章,5章,6章)。使用したpptの写しはこちら(その1("結合"のエネルギー),その2(原子価結合法と分子軌道法))。
章末問題の解答例はこちら(4章,5章,6章) 講義内容のフォロー: 1)結合エネルギー CH3CH2-H 410, CH3NH-H 431, CH3O-H 437 (kJ/mol) 出典:Lange's Handbook of Chemistry (fifth ed.) 2)Paulingによる電気陰性度の算出法 ΔE(X-Y) = E(X-Y)-1/2{E(X-X)+E(Y-Y)}として,これをΔE(X-Y) = K{c(X)-c(Y)}2とおく。基準元素Yの電気陰性度c(Y)をある値に設定した上でc(X)を求める。同様にして他の原子にも拡張していく。Kは適当な係数。 |
10/11 | まず,2018ノーベル化学賞の解説を行った。講義で示した日本科学未来館の解説HPはこちら。次いで,前回のフォローとして,イオン化エネルギー,水和を題材に説明した。使用したpptの写しはこちら,その後,配布したプリントに添って,非局在化と共役,芳香族性の解説を行った。7章章末問題の解答例はこちら。 |
10/15 | 非局在化と共役の説明の続きを行った。また,Hammett則についても紹介した(7章)。石油工業化学のアウトラインの説明を行った。講義で使用したpptの写しはこちら。配布演習問題の解答例(一部)はこちら。 |
10/18 | 最初に石油工業化学について補足的な話をした。次いで,酸・塩基について解説した(8章)。講義で使用したpptの写しは,こちらとこちら。8章章末問題の解答例はこちら。 |
10/22 | 最初に酸・塩基についての補足的説明を行い,その後1H NMRについて解説した(13章)。超強酸・超強塩基のpptの写しはこちら。1H NMRのpptのうつしはこちら。13章の章末問題ですが,3,6,7,8,9はadvancedなので省いて結構です。他の問題の解答例はこちら。 |
10/25 | 1H NMRについて補足的説明を行い,その後,分子間相互作用について概説した。勉強に役立つweb siteを紹介した。1H NMRのppt(続き)のうつしはこちら。講義中に行った演習の問題はこちら。(正解は1がacetoin, 2がp-chlorobenzaldehyde。 ) |
10/29 | 前回の続きの説明を行い,その後,立体配置(14章)について解説した。 講義内容のフォロー:命名を間違えました。訂正願います。 誤)(E)-3-methylpent-3-ene 正)(E)-2-methylpent-3-ene とんでもないことに,上記訂正の内容が間違っていました。お詫びします。正しくは(E)-3-methylpent-2-eneです。 |
11/1 | 立体配置(14章)について前回の続きの説明後,立体配座(16章)の解説を途中まで行った。14章章末問題の解答例はこちら。8番はジアステレオマー8種,うちメソ体は7種。 絶対立体配置決定についてのpptのうつしはこちら。 |
11/5 | 立体配座(16章)の続きの解説を行った。分子のコンホメーションに関するpptのうつしはこちら。化学研究におけるNMRの利用についてのpptのうつしはこちら。16章章末問題の解答例はこちら。 |
11/8 | 演習を行った。 |
11/12 | 試験を行った。 |
【参考1】副読本 一口に有機反応化学既修と言っても,その理解度には個人差があると思います。基礎の部分で不安がある場合は,拙著「化学はじめの一歩シリーズ4 有機化学」(工藤・渡辺共著,化学同人2500円+税)をお薦めします。 【参考2】有機化学関連の有用なサイト 1) 有機化合物命名法に関して 有機化学 plus on web (PDF, 33 pages)。 このサイトは命名以外にもスペクトルの説明(含・演習),小テストなどもあって,初学者にはかなりよい。 http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/yuki_shohan/web/index.html (左フレームの「有機化合物命名法」や「スペクトルによる分子構造の決定法」をクリック ) Wikipedia IUPAC命名法 http://ja.wikipedia.org/wiki/IUPAC%E5%91%BD%E5%90%8D%E6%B3%95 2) 有機化合物のpKa一覧 Bordwell pKa table http://www.chem.wisc.edu/areas/reich/pkatable/index.htm 3) 芳香族化合物などの電子分布(静電ポテンシャル)図 Phil Baran lab’s HP http://www.scripps.edu/baran/heterocycles/ の中から“•Patrick Lam's Electrostatic Potential Maps”を選ぶ 4) 分子軌道計算(主として半経験的分子軌道法) winmoster 無償版(max 30原子)が入手できる http://winmostar.com/jp/ Avogadro(英語) https://avogadro.cc/ 5) 分子モデル表示 rasmol (英語) http://www.bernstein-plus-sons.com/software/rasmol/ 6) 構造式描画 Chemsketch(英語) http://www.acdlabs.com/resources/freeware/chemsketch/ 7) タンパク質構造データベース Protein data bank http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do 8) 化学データベース(学内のみ) Scifinder https://scifinder.cas.org/ 詳しくは東大図書館のHPに情報あり http://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/manual/SFS/sfw_usreg.html 9) 有機化合物のスペクトルデータベース ただいろいろな化合物のスペクトルを見るだけでも大変勉強になります。 http://sdbs.riodb.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/cre_index.cgi?lang=jp 10) スペクトルによる有機化合物同定の演習 UCLAのサイトですが,英語できなくても大丈夫です。 https://webspectra.chem.ucla.edu/ 上記は一例で,他にもいろいろあります。Web上で検索してみるとよいでしょう。 [番外編](有機)化学にまつわる最新情報など 化学者のつぶやき http://www.chem-station.com/blog/ |