Hideki Kikumoto
and Lab.

Research 研究

For students

菊本研究室は東京大学生産技術研究所に所属していますが、当研究室で学ぶには東京大学大学院工学系研究科建築学専攻に入学する必要があります。

自ら考え、自ら手を動かす熱意のある学生を募集しています。

研究に興味のある方は、お気軽に菊本までお問い合わせください。

IISからの風景

Research subjects

都市・建築環境を理解し、予測し、制御することを目的とした研究を行っています。
環境情報のモニタリング(計測)およびシミュレーション(数値予測)技術を開発しています。
また、数理・統計的手法によって計測と数値予測を統合した環境解析技術を研究しています。

主たる研究対象は、風環境・空気環境・熱環境です。
現在は主に以下のテーマに関して研究を行っています。

環境中の空気流動および物質・熱の拡散現象
 空気の流れはときに風と呼ばれ、物質や熱を運びます。私たちを取り巻き、私たちが常に呼吸する空気とその流れは、私たちの生活環境の質を大きく左右しています。観測的手法や風洞実験、数値流体力学(CFD)を用いて都市や建物周辺・内部に形成される気流と、気流による物質や熱の拡散現象などの研究を行っています。 [詳細はこちら]

 ・建物周辺での気流および汚染物質拡散に関する数値流体力学モデル
 ・都市大気境界層流の観測・計測とモデリング
 ・建物内での換気や汚染物質輸送に関する理論構築と応用   など

都市環境のモニタリング手法の開発と応用
 都市化およびその高密度化がますます進んでいます。従来の限られた位置での観測では、都市環境の全体像やその影響を捉えることに限界があります。そこで、都市大気・温熱環境を高解像度で計測する技術や、計測データを物理モデルや統計モデルで拡張し、環境情報を詳細化する技術を開発しています。また、これらの技術を応用し、都市環境が人々の健康や生活空間の質に与える影響を定量化する研究を行っています。 [詳細はこちら]

 ・センサーネットワークと数値流体解析モデルを融合した都市風況推定手法
 ・移動計測による市街地空間の空気・温熱環境の高解像度な計測と分析
 ・都市内での熱中症発症の時空間的な傾向分析と予測モデル   など

環境パラメータの逆解析手法
 都市・建築空間では常に計画された通りの環境が形成されているとは限りません。また、ストックの時代には、すでにある都市や建築を記述するパラメータを、現実の状況に基づき把握することも重要です。そこで、計測と数値予測、統計分析などを総動員し、未知の環境パラメータを逆解析する手法を研究しています。 [詳細はこちら]

 ・空気汚染物質の未知発生源の同定手法   など

Research motive

 菊本研究室では、都市および建築環境に関する研究を行っています。建築環境はさらに、光、空気、熱、音などの分野で構成されますが、菊本研ではその中でも特に空気および熱環境を研究対象としています。より一般的には、環境中の空気の流れ(いわゆる風)とそれに伴う物質やエネルギーの輸送現象を中心としてその計測、予測および制御手法を研究しています。
 空気をはじめとする環境形成因子の多くは、目に見えないがゆえにその性質を直感的に理解することが難しいかもしれません。しかし、それらの環境因子は、わたしたちの身体に直接的に働きかけ、意識的あるいは無意識的にわたしたちの生活空間の質や印象に影響を与えています。
 不可視な環境因子も科学や技術の発展により、物理的な量として計測したり、コンピュータによって予測したりすることが可能となってきました。しかし、空気の流れは非線形現象の代表例であり、また環境はさまざまな物理現象が混在して形成され、そしてその知覚や制御には人間というきわめて複雑な存在が関わっています。したがって、環境の計測・予測・制御には常に原理的な不確実性が伴っています。計測や予測の個別技術のさらなる高度化や高精度化も必要とされると同時に、さまざまな技術の可能性や限界を見極め、適切に統合する視点もまた重要となっています。
 現在、都市化および都市人口の増加が世界的に進んでいます。また、気候や社会構造の変化のスピードが高まっています。それに伴って、人々が都市・建築環境に期待する性能や価値も急速に変化しています。人と人工物と自然とが接する都市・建築環境は、本質的に確率的な振る舞いをみせ、またさまざまな価値観のもとで形成されていく、複雑な時空間プロセスです。
 菊本研では、都市・建築空間で形成される環境を主な対象として、わたしたちはどこまでを知り、どこまでを制御できるのか、という問いに向き合いながら、環境を定量化し、人々をより合理的な判断に導く技法を考えていきます。

Funded projects

  • スパースなセンサーネットワークに基づく都市風況推定手法の開発, 2020-2022年度, 科学研究費補助金 基盤研究(B), 研究代表者
  • ベイズ統計による環境汚染物質の確率的濃度解析手法の開発, 2017-2019年度, 科学研究費補助金 若手研究(A), 研究代表者
  • 粒子画像を用いた風速・濃度の高解像度同時測定手法の開発, 2016-2018年度, 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究, 研究代表者
  • 都市空間の微気象予測と分散センシングを融合した大気環境解析システムの開発, 2014-2016年度, 科学研究費補助金 若手研究(A), 研究代表者
  • 都市環境防災のための高解像度気象情報予測プラットフォームの構築, 2013-2016年度, 科学研究費補助金 基盤研究(S), 研究分担者
  • 化学反応を伴う都市大気汚染現象の構造解明及び予測手法の開発に関する研究, 2011 - 2012年度, 科学研究費補助金 特別研究員奨励費, 研究代表者