最新の研究
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電子状態が変化する前の姿から、変化後の姿をAIが正確に予想~電子の励起状態を高速で計算、構造解析のアクセルに~
電子状態が変化する前の姿から、変化後の姿をAIが正確に予想~電子の励起状態を高速で計算、構造解析のアクセルに~

物質の構造を調べる方法の1つに、X線や電子線を照射して物質中の電子を励起し、その際に測定されるスペクトルを用いる方法があります。しかし、測定されたスペクトルの意味を理解するためには、数時間から数日を要する励起状態の理論計算が必要でした。また、その重要性に反して励起状態は複雑で、明らかにされていないことがありました。今回、溝口 照康 教授、清原 慎 大学院生(研究当時)、産業技術総合研究所の椿 真史 研究員らの研究グループは、人工知能技術を利用し、電子が励起していない「基底状態」の情報をもとに「励起状態」の電子構造を、高速かつ高精度に予測する手法を開発しました。これにより、わずか数秒から数分の計算で、スペクトルを計算できるようになりました。さらに、人工知能技術によって、これまで明らかにされてこなかった励起状態に関する重要な知見も得ることができました。本手法を発展させることで、さまざまな物質開発での検査手法の開発が加速できると期待されます。