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液体・液体転移過程の分子ダイナミクスの変化に迫る
液体・液体転移過程の分子ダイナミクスの変化に迫る

田中 肇 教授、村田 憲一郎 元特任研究員(現北海道大学・低温科学研究所・助教)の研究グループは、分子性液体における液体・液体転移に伴う分子の運動性(ダイナミクス)の変化と微視的な液体構造の変化の関係を初めて実験的に明らかにした。液体・液体転移の存在の有無を巡ってはこれまで長年議論になっていたが、液体・液体転移を支配する局所的な構造の変化とそれに伴う分子の運動性の変化の関係を直接捉えることで、転移の機構に迫るとともに、その存在を実証することに成功した。液体は固体、気体と並び物質の三態の1つであり、幅広い物質群に存在する最も基本的かつ普遍的な物質の存在様式である。本研究は、液体・液体転移の基礎的な理解に資するのみならず、液体の最も基本的な性質である分子の運動性が、液体・液体転移の過程によりどのような影響を受けるかについて新しい知見を提供した点に大きな意義がある。