活性制御可能なバイオキャタリスト

 環境・状況などに応じて適切な生化学的挙動をとるバイオキャタリスト(生化学触媒:酵素や人工酵素など)のことです。例えば、ある物質の濃度が上昇したら、それを分解するように作用するような触媒で、インテリジェントデバイスの一種です。

 「インテリジェント」と呼ばれるのは、そのデバイスがあたかも状況を「判断」して適切な行動をとっているかのように見えるためです。

 私たちは、そのようなデバイスを開発するため、まず外部刺激によって活性を制御することのできるバイオキャタリストの開発を行っています。

 特に、酵素モデル物質に対する阻害作用を制御することにより、活性の制御を試みています。

 その例を次に示します。他にも、光による活性制御も試みています。

1.温度変化に伴って相転移を起こすゲル(ゼリー状の物質)の内部に酵素モデル系を構築し、その活性中心構造の可逆な制御に基づく活性の制御を可能にした。

図
Tatsuma, Watanabe, and Oyama, Electrochem. Solid-State Lett., 1998.
Tatsuma, Fujimoto, and Oyama, Electrochem. Solid-State Lett., 2000.

2.温度変化に伴って溶解度が大きく変化する相転移ポリマーを阻害剤で修飾し、これを用いて酵素モデル系の活性を制御する系を構築した。
図
Tatsuma, Mori, Takahashi, and Fujishima, Electrochem. Solid-State Lett., 2001.


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