5b. アクチュエータ


電子とイオンの作用により、電気や光のエネルギーを動きのエネルギー(力学的エネルギー)に変える材料やデバイス(電気化学アクチュエータ、光電気化学アクチュエータ)を開発しています。


電気を動きに変える(電気化学アクチュエータ)

カルボキシル基などを含む有機ゲルと銅イオンまたは銀イオンなどを組み合わせ、曲がりやすい電極の上に載せます。ゲル中の金属イオンを酸化・還元させると、有機ゲルのポリマー鎖どうしがイオンを介して引きつけ合ったり、反発したりするため、ゲルが水を吸って膨らんだり、吐きだして縮んだりします。その結果、電極が曲がったり伸びたりします (J Electroanal Chem 2005)。


ゲルを利用した電気化学アクチュエータの機構(模式図)


ゲルを利用した電気化学アクチュエータ

将来的には、能動カテーテルや小型ロボットの駆動、マイクロバルブ等への応用が期待されます。


光を動きに変える(光電気化学アクチュエータ)

電気化学アクチュエータと、光触媒を組み合わせることで、光によって膨らんだり縮んだりする新しい材料です。
たとえば、銅/銅イオン酸化還元系を利用すると、紫外光をあてたところだけ水を吸って膨らみ、紫外光の照射を止めると水を吐きだして縮むという材料ができました (Chem Commun 2006)。


銅/銅イオン系を利用した光電気化学アクチュエータ

また、銀/銀イオン酸化還元系の場合、「1. 金属ナノ材料による光機能」で述べたように、可視光で酸化、紫外光で還元反応が促進されます。したがって、紫外光をあてたところだけ膨らみ、可視光をあてたところだけ縮むという全く新しい材料をつくることができます (Adv Mater 2007)。


銀/銀イオン系を利用した光電気化学アクチュエータ

応答速度を改善することによって、触覚ディスプレイや能動カテーテルなどに応用できる可能性があります。



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