はじめに

工学技術のバイオ分野への応用とバイオに特化した新技術の創成

 工学とバイオ研究グループは、1999 年(平成11年)本所名誉教授榊裕之先生のご発案のもと発足しました。その趣意は、「工学はそのエッセンスをバイオに学ぶことが多く、一方でバイオの分野では工学がますます必要になる。次世代の研究の方向性を考えたとき、総合工学研究所である生研は今後バイオとの関わりをより密にしていく必要がある。それには"バイオ"というキーワードでつながった教員グループの存在が不可欠である。」というものでした。
 結成当初は、いわゆる従来型の分子生物学や放射線医学などの研究が中心でしたが、今や工学技術をバイオ関連の課題に応用する研究テーマが次々と確立されています。一例として、バイオミメティックなアプローチによる物質合成やバイオハイブリッド組織構築に関する研究をはじめとして、マイクロマシン技術、デバイス技術、計算流体力学、定量生物学などのバイオ分野への応用を目指した研究テーマが挙げられます。本研究グループでは、バイオ分野におけるニーズに合わせた工学技術の応用と、生体の機能性に学ぶ新たな工学技術の探求との両面を念頭におきながら、30 を超す研究室が本グループに参画して工学とバイオ技術との接点を広く探るための活動を展開しています。

グループの主な活動

 本研究グループは、融合型研究グループとして活動を推進しており、主に、本所が発行する雑誌「生産研究」-工学とバイオ研究-特集号の刊行、他研究機関との見学交流会、講演会、研究交流会などを通して外部への情報発信と研究交流を行っています。

近年の活動

 近年では、平成26年度に仏リール市にバイオMEMSの医療応用を目指す日仏共同研究拠点SMMIL-Eが発足、平成27年度には、疾病分子工学ユニットが発展を遂げ東京大学Max Planck統合炎症学国際連携研究センターが始動し、所内のバイオ関連研究室により構成された統合バイオ・メデイカルシステム国際研究センターが本グループに関与しています。さらに統合自然科学研究科との連携教育拠点「複雑生命システム動態研究教育拠点」などの活動にも関与し、生研におけるバイオ研究の窓口としても機能しています。