奨励会 特別研究会 平成30年度特別研究会


平成30年度特別研究会

参加のご案内

※特別研究会のテーマ番号RC-xxは、esearch Committee-xxの略です。

 特別研究会は、東京大学生産技術研究所を中心とする大学教員(または教員グループ)が主宰し、
特定のテーマについて産業界との共同研究の企画や調査を通じ、大学と産業界とのより深化した
研究連携を行うものです。
 企業・団体・個人の方々は、ご関心のあるテーマについての特別研究会の活動に参加することが
できます。
 特別研究会の運営は、画一的なものではなく、それぞれの特別研究会に相応しい独自の方式で
行われます。

 特別研究会は、
   
技術・市場動向調査
   
最新の研究成果・技術の産学相互の情報交換
   
研究開発課題の探査および設定
   
共同調査を通じた共同研究の企画
 など幅広い活動をしています。

 この特別研究会での議論や調査成果に基づいて、より具体的な契約型の共同研究に発展させる
ことも念頭においています。

 産学の有機的連携を重視する「特別研究会」への参加をお待ちしています。


特別研究会パンフレット(平成30年度特別研究会がすべてご覧いただけます。)

「平成30年度特別研究会申込書」(WORD.doc版)(PDF版)※継続参加の場合も、年度毎に申込書をご提出ください。

     ※をクリックしてください。パンフレット&申込書が表示されます。
研究会No パンフレット&申込書
■特 別 研 究 会 名
RC-18 ■「射出成形現象の可視化」特別研究会 横井 秀俊
RC-19 ■光応用工学特別研究会 志村 努
RC-24 ■ITS(Intelligent Transport Systems)に関する研究懇談会 大口 敬
RC-27 ■「“超”を極める射出成形」特別研究会 横井 秀俊
RC-36 ■FrontCOMPユーザー会 吉川 暢宏
RC-40 ■レアメタル研究会 岡部 徹
RC-52 ■バイオ・マイクロ・ナノテク研究会 竹内 昌治
RC-54 ■極小レオロジー研究会 酒井 啓司
RC-59 ■オーガニック・ビークルダイナミクス研究会  須田 義大
RC-65 ■スマートエネルギーネットワーク研究会  荻本 和彦
RC-66 ■駐車場ITSに関する特別研究会 坂井 康一
RC-68 ■次世代モビリティ研究会 須田 義大
RC-70 ■水・地球環境問題特別研究会 沖 大幹
RC-73 ■コンクリートのバリア性能研究会 岸 利治
RC-77 ■防災ビジネス市場の体系化に関する研究会 目黒 公郎
RC-79 ■ハードとソフトから交通信号制御を見直す研究懇談会 大口 敬
RC-80 ■建設分野におけるユーザーレビューシステム研究懇談会 岸 利治
RC-82 ■エネルギーシステムインテグレーション研究会  荻本 和彦
RC-83 ■次世代育成のための教育・アウトリーチ活動特別研究会 大島 まり
RC-86 ■都市環境災害に関する風洞活用研究会 大岡 龍三
RC-88 loT特別研究会 荻本 和彦
RC-90 ■BIMによる建築生産イノベーションに関する特別研究会 野城 智也
RC-91 ■先端深海観測技術研究会 藤井 輝夫
RC-93 ■食料生産技術特別研究会 沖 一雄
RC-94 ■分散台帳とその応用技術特別研究会 松浦 幹太
RC-95 ■災害対応トレーニングセンターの建設・運営に向けた研究会 沼田 宗純
RC-96 ■技術人材のタレントマネジメント特別研究会 吉川 暢宏
RC-97 マイクロニードル研究会 金 範埈

特別研究会申込方法
「平成30年度特別研究会申込書」(WORD.doc版)(PDF版)に必要事項をご記入の上、
電子メールでお申し込みください。
※3月までのお申し込みについては、4月1日に、参加費・会費の請求をいたします。

※不課税:セミナ-や講座などの会費のような、講義や講演の役務の提供などに対する 対価ではないため、課税仕入対象とならないためです。


継続参加の場合も、年度毎に申込書をご提出ください。

E-mail: renhisho@iis.u-tokyo.ac.jp


♦特別研究会会員規則


平成30年度特別研究会申込書
下記をダウンロードの上、お申し込みください。

※特別研究会のご参加は年度更新制となっております。引き続き参加される場合にも改めてお手続きが必要です。

 ● WORD.doc版
 ● PDF版


特別研究会 事務担当連絡先・参加者 変更について

特別研究会「事務担当連絡先・参加者」の変更・追加があった方は、
下記をダウンロードの上、送付ください。

 ● WORD.doc版(事務担当連絡先・参加者 変更届)


特別研究会会員退会届



★賛助員名簿★
(月1回更新 4月除く)



153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所内 DW405 一般財団法人生産技術研究奨励会


ホームページTOPに戻る特別研究会TOPに戻るページTOPに戻る



RC-18 「射出成形現象の可視化」特別研究会 横井秀俊 RC18
1989年度から99年度までの10年間に渡り、文部科学省の民間等との共同研究制度に基づき射出成形現象
の可視化研究プロジェクト-Vプロジェクト-を、延べ27社の参加企業を得て継続実施してきた。この間に計
測・記録された膨大なビデオ画像は、本プロジェクトの最も重要な研究成果で、まさに「百考は一見に如かず」
の神髄を体現したものと言える。しかしながら、契約により、Vプロジェクト参加企業以外にはこれまで一度
もテープとして手渡されることはなかった。
 同プロジェクトを終えるにともない、これらの貴重なビデオ画像を社会に還元する機会と方法を模索してい
たが、特別研究会を通して、専門の業者に編集制作を委託し、世の中に公開する事業を2000年度に開始し、
順次編集作業を進めて来ている。完成したDVDは、各巻の完成後、一定の期間が経過した後に広く一般にも頒
布が開始されている。本研究会では、(1)貴重な学術ビデオの公開を通した研究成果の社会、後世への還元、
(2)Vプロジェクトに代わる可視化研究の新たなネットワーク機能の構築を目指している。

RC-19 光応用工学特別研究会 志村努 RC19
 現代は光の時代とも言われ、光技術は幅広い分野に使われている。しかし光の持つ高速性、空間並列性はま
だまだその能力を十分に活用されているとは言いがたい。
 本特別研究会では、専門分野・応用分野にとらわれず、広く光の工学応用研究に関する話題に関して、毎回2
名の講演者による発表と議論を行い、参加者の相互啓発を通して新たな光の工学応用の可能性を探る。発表内
容は基礎から応用分野まで多岐にわたる。革新的かつ実用的な応用技術の多くは、当初は応用を意識していな
い基礎研究から生まれている。この観点から、講演者は企業のみならず大学(大学院生を含む)・公的研究機関
の研究者にも多く依頼する予定である。現在予定している講演テーマの例を以下に示す。
●ホログラフィー応用
 ・ホログラフィック光メモリー
 ・偏光ホログラフィー
 ・フォトポリマー記録材料
 ・ホログラフィック光学素子
 ・DH、CGH、HUD、HMD
●ナノ光学
 ・金属ナノ構造による光波制御
 ・光波による金属ナノ構造の駆動
 ・プラズモニクス
 ・メタマテリアル
●超高速光科学
 ・超短パルスレーザー
 ・超高速分光、コヒーレント制御
●スピン波光学
●シミュレーション光学
●イメージング光学

RC-24 ITS(Intelligent Transport Systems)に関する研究懇談会 大口敬 RC24
 東京大学生産技術研究所・次世代モビリティ研究センターでは、2018年度も引き続きITSに関する研究懇
談会を開催します。本研究会では、幅広く各界でご活躍の産学官の講演者から興味深い話題提供をして頂き、
将来の次世代モビリティ社会のデザインに関連して自由に議論・懇談を行っていきます。本研究会は、参加登
録者と関係者のみが集う場として、本音で率直な意見交換をして頂くことを意図しています。 
 今年度も引き続き、幅広い分野の方々にぜひご参加頂きたく、ご案内申し上げます。
●昨年度のトピック例●
ITSに関する最近の動向
国土交通省道路局ITS推進室長 西尾崇
JARIにおける自動運転評価拠点Jtownについて
一般財団法人日本自動車研究所 代表理事 研究所長 永井正夫
東京都市圏大規模ネットワーク交通流シミュレーションの開発 ~物流施設立地と貨物車挙動モデルとの統合~
東京大学生産技術研究所 教授 大口敬、広島大学大学院国際橋梁研究科 准教授 力石真、ほか
自動運転をめぐる最近の動向と警察庁の取組について
警察庁長官官房参事官(高度道路交通政策担当) 佐野裕子
東急電鉄の街づくり
東急電鉄(株)・都市創造本部開発事業部副事業部長 太田雅文
自動運転システムの経済的性質と普及政策
同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センター長 教授 三好博昭

RC-27 「“超”を極める射出成形」特別研究会 横井秀俊RC27
 今日、射出成形技術はプラスチックの汎用成形加工法として確固たる地位を築き、さらに高度化がはかられ
ている。一方で、ものづくりを基盤に発展してきた我が国において、多くの国内企業がすでに生産拠点を海外
へ移転させ、製造業の空洞化が後戻りできない状況になっている。こうした中で、プラスチック成形加工にお
いても、日本の将来を支える高付加価値化、高機能化成形品と、それらを支える新たな成形加工技術の確立が
急務となっている。
 本研究会では、第Ⅰ期U'00 & U'01から第Ⅸ期U'16 & U'17プロジェクトまでに開発された新規計測技術
群に基づき、多種多様な成形不良現象や超高速の射出成形現象について多面的な実験解析を行い、高機能・高
付加価値を新規に創成し得る成形品の実現に向けて、以下の6つの研究テーマを中心に重点的に取り組むこと
とする。
 すなわち、①可視化加熱シリンダによる可塑化過程、繊維折損現象等の可視化解析、②炭素長繊維・ガラス
長繊維の流動・配向解析および外観不良との相関解析、③ホットランナー金型における各種成形不良現象の可
視化解析、④転写と離型過程の可視化解析と離型抵抗の計測、⑤各種成形不良現象の可視化実験解析、⑥金属
と樹脂との接合加工と評価技術の確立、以上である。これら6つを柱に、新規に開発された可視化・計測ツー
ルを最大限に活用し、プロジェクトを実施する。

RC-36 FrontCOMPユーザー会 吉川暢宏 RC36
 燃料電池自動車の普及を起爆剤とした水素社会実現のための動きが加速しつつあり、2020年の東京オリン
ピックでの普及実現性の実証を目指して、産官学が協力して研究開発を推進している。安全性と経済性の高度
なトレードオフを求められている主要部品が高圧水素容器である。軽量化が必要なため、炭素繊維束をフィラ
メントワインディング製法にて内槽容器に巻きつけ補強する複合容器となっている。容器に限らず、炭素繊維
強化プラスチック製品の設計は、試作と破壊試験を繰り返す試行錯誤的手法に陥っている。その原因は、炭素
繊維束と樹脂が形成するメゾ構造により生じる局所的応力集中を適確に評価し得なかったことにある。その解
決のためには、「京」に代表される超並列計算機を活用し、炭素繊維束と樹脂を明確に区分するメゾスケール
シミュレーションを実施し、局所的応力集中を適確に評価し、強度を正確に予測する手法が有効である。その
方法論を具現化するため、文部科学省およびNEDO事業の助成を受けて、複合材料強度信頼性評価シミュレー
ター「FrontCOMPシリーズ」を開発した。
 • FrontCOMP_FW        単給糸フィラメントワインディングモデル作成
 • FrontCOMP_FW_multi   多給糸フィラメントワインディングモデル作成
 • FrontCOMP_tank      複合容器の軸対称直交異方性積層モデル作成
 • FrontCOMP_tank_multi   多給糸複合容器軸対称直交異方性積層モデル作成
 • FrontCOMP_cure       熱硬化樹脂成形
 • FrontCOMP_TP      熱可塑樹脂成形
 • FrontCOMP_damage   損傷解析
 • FrontCOMP_FWCAM_multi 多給糸対応CAMデータ作成 
 また、NEDOの助成を受けて東京大学生産技術研究所内に多給糸フィラメントワインディング装置も導入し
ている。これらのソフトウェアと装置を連携させたテストベッドの活用事例を紹介するとともに、多給糸フィ
ラメントワインディング手法の展開を検討するためFrontCOMPユーザー会を設置する。

RC-40 レアメタル研究会 岡部徹 RC40
 100年前、アルミニウムは稀少で非常に高価なレアメタルであったが、革新的な製錬技術が開発された結果
コモンメタルに変身し、いまでは日常に欠かすことのできない金属素材となっている。本研究会では、チタン、
タンタル、ニオブ、レアアース、リチウムなど、現在の技術では効率良くメタルを製造することが困難な活性
金属の還元プロセスに関する理解を深め、各プロセスの特徴やその問題点を議論し、新しい生産技術について
多角的に検討し開発指針を検討する。また、白金族金属やインジウム、ガリウム、タングステン、レニウムな
ど、最近話題となっているレアメタルについても研究討議を行う。さらに、過去に行われた研究や製錬手法の
特徴と問題点について勉強し、新しいレアメタル製造技術、リサイクル技術の開発指針について掘り下げた議
論を行う。

RC-52 バイオ・マイクロ・ナノテク研究会 竹内昌治 RC52
 昨今騒がれているナノバイオとはいったい何か。マイクロ流体デバイスを用いるとなぜ高速、高感度な検出
ができるのか。今、マイクロ・ナノの世界でバイオ・化学技術が激変している。
 本研究会では、生産技術研究所でこの分野の最新研究に携わる教員らが周辺分野の研究者・企業関係者を招
き、医療、創薬、IT、環境、安心・安全などへの発展性を議論する。また、関連分野の最新の学会やジャー
ナルの報告を行なう。
キーワード:マイクロ流体デバイス、人工臓器、神経インターフェース、創薬スクリーニング、ヘルスケア、コスメトロジー、
  再生医療、生体保存、システムバイオ、遺伝子治療、超高感度バイオ・環境センサ、バイオセンサーネットワーク、
分子通信、ナノ材料、バイオハイブリッド、分子機械・ナノマシン、自己組織化、バイオミメティクス、
  生体分子モータ、生体数値シミュレーション、膜タンパク質など
関 連 技 術:マイクロ・ナノファブリケーション、細胞培養、タンパク質精製、遺伝子操作、一分子観察、非接触観察、
  生体信号計測、電気化学計測、免疫検査、数値計算等
関 連 学 会:microTAS、MEMS、Transducers、IEEE EMBS、生物物理学会、電気学会、
  化学とマイクロ・ナノシステム研究会

RC-54 極小レオロジー研究会 酒井 啓司RC54
 ミクロン程度の微小な液滴や液体薄膜を制御する技術は、従来の印刷・コーティングといった工業プロセス
に加え、有機デバイス作製のための微細パターニングや細胞・生体物質のマイクロマニピュレーションなど
様々な分野に応用され、今や工学における重要な要素技術となりつつあります。ここで鍵となるのは流体プロ
セスの微細化・高速化ですが、一方現在でも流体の運動を記述する方程式に登場する物理量は粘弾性と表面張
力程度のもので、μm以下の微小で高速な世界で実際に起こる流体現象を記述することはなかなかに困難です。
例えば微小流体粒では帯電による静電エネルギーが容易に表面エネルギーを超えることによって不安定な自励
発振が生じ、高速の変形は表面への分子吸着の非平衡状態を生じて予測不可能な挙動の原因となります。
 本研究会では、これら現在の技術では「測りようのない」μm以下の微小な流体の挙動や物性を調べる新し
い手法や1,000,000s-1を超える超高速変形下におけるレオロジー計測法についての最新の技術紹介や情報
交換、討論を通してナノレオロジーを扱う新たな技術の枠組みを作り上げていきたいと考えています。
 研究会では実際の装置の運用、結果の解析を通して新しいレオロジー現象に関する知識を蓄積し理解を深め
るための活動を進めていきます。
活動内容
・研究室が独自に開発したナノレオロジー・高速レオロジー計測技術の提供、および測定結果の解析に対する支援
(例)非接触表面張力・粘弾性測定装置、
    顕微レオロジー測定システム、
    歪速度106s-1を超える高速レオロジー計測法、
    高速フォノンスペクトロメータ、
    リプロンスペクトロメータ 他
・新規の流体物性測定法開発に向けた技術相談
・未知のレオロジー現象に関する情報交換

RC-59 オーガニック・ビークルダイナミクス研究会 須田義大 RC59
 機械を評価するのは、人間である。自動車の操安性、乗り心地の解析を目的に展開されてきたビークルダイ
ナミクスも、より深く人間に入りこまなければ、その発展は期待できず、ただ発展に対する飽和感だけが残る
ことになる。また、ビークルとは、船舶、自動車、自転車、飛行機などの全ての移動体を指すものであるが、
個人の移動手段となることを目的としたPersonal Mobile Vehicleなど高度な電気電子制御技術などを利用し
た今までにない新しいビークルも提案され始めてきている。これらに共通する特徴は、機械系に対して人間系
の割合が大きく、その性能を評価するためには、人間の要素を考慮することが不可欠なことである。
 人間と機械との関係を考慮したダイナミクスはかねてより機械系技術者によって議論されてきたテーマであ
るが、人間の挙動を機械の動特性の記述法にはめ込むような手法が一般的であり、近年のダイナミクスにおい
て最も重視しなければならないと言える、感性活動などの人間の高次的挙動を扱うことは苦手である。そのよ
うな活動は、芸術、感性工学分野で議論されているが、そのアウトプットは、機械系技術者にとっては必ずし
も、扱いやすいものではない。また、ビークルダイナミクスは、サスペンション、タイヤ、ステアリング、ブ
レーキ、パワートレイン等の多数の要素のダイナミクスに加え、近年では、ETC、ナビゲーションシステム、
および自動運転に代表されるITS(Intelligent Transport Systems)関連の制御等が関わるシステムの結集
となっている。
 以上の背景より、ビークルダイナミクスに関わる様々な企業から広く参加者を集め、各要素固有の問題は
個々に議論を行い、普遍化できそうな結果については、全体で共有する形式で、主に以下のテーマについて討
論を行う。より良いビークルの開発と新しいビークルの創出につながるような、ビークルダイナミクスの新し
い展開を検討する。
・官能評価との融合を目指したマルチボディダイナミクス
・ドライビングシミュレータ技術を用いた生理および心理
評価
・操縦性、乗り心地などにおいて人間の感性に適うビーク
ルの設計法
・人間の動きを考慮したビークルダイナミクス

RC-65 スマートエネルギーネットワーク研究会 荻本和彦 RC65
 低炭素社会の実現に向けて、従来型の大容量集中発電と再生可能エネルギー等の分散型電源、さらには蓄電池
や電気自動車などの需要端の電力貯蔵機能との共存を可能とし、供給と需要の双方向通信による負荷の平準化や
省エネルギーを実現する新しいエネルギーシステムの構築が求められている。また、これまで所与のものとされ
てきた需要を見直し、エネルギーサービスの質を維持しつつも、エネルギー消費量を抑制していく方策について
取り組みが進められている。
 欧米では「スマートグリッド」、「インテリジェントグリッド」等の電力供給ネットワークや、「デマンドレス
ポンス(需要反応)」などの考え方が提案され、再生可能エネルギーの導入、送配電網の柔軟性・信頼性を向上
するための諸技術およびそれらの技術基準の検討が始まっている。
 本研究会では、「エネルギーマネジメント」、「再生可能エネルギー」、「スマートメータ」、「デマンドレスポン
ス(需要反応)」、「電力貯蔵機能」、「スマートグリッド」、「熱電供給」、「電気自動車」、「IT活用」などをキーワ
ードに、新しいエネルギーシステムを考えるための活動を進めていきます。欧米における先進事例や国内外の研
究状況に関する情報を共有し、我が国における新しいエネルギー供給システムの在り方について議論を深めたい
と思います。
 
RC-66 駐車場ITSに関する特別研究会 坂井康一 RC66
 「駐車」は自動車の走行に伴って必ず発生する行為であり、ITSにおいても走行時と同じくらいの重要性をも
つべきものといえます。しかし、一部の都市で駐車場案内システムが稼働していることを除けば、他の走行支
援システムと比較するとITSサービスが十分に実用化されているとはいえない状況にあります。したがって、
駐車場および駐車行動を対象としたITS技術開発は今後大きな発展の可能性がある分野であり、これを高度化
することは自動車交通、さらには他の交通機関との連携も含めた包括的な交通システムの確立に大きく役立つ
ものと考えられるとともに新たなビジネス創出も期待できます。本研究会では、駐車場予約・駐車場内の運転
支援のようなドライバーにとってより実用的なサービス、パーク&ライド・カーシェアリング等のビジネスへ
の展開、次世代自動車・自動駐車等に対応する次世代の駐車場の研究・技術開発といった幅広い視点から、実
現可能性を検討します。

RC-68 次世代モビリティ研究会 須田義大 RC68
 本研究会は、「国際・産学共同研究センターCCRパーソナルモビリティ研究コミュニティ」(2006~2007)、
生産技術研究所「パーソナルモビリティ研究コミュニティ」(2008)の活動を発展的に引き継ぎ、主として都
市生活者にとって持続可能なモビリティを実現するために、乗り物とインフラのデザインと、それらの利用形
態を見つめ直し、人にも環境にもやさしい、21世紀らしい空間として再構築することで、豊かな楽しい生活を
もたらすことを理念とした研究活動である。従来からの研究課題である、高齢者や障害者などの交通弱者にも
安全で快適な移動手段を提供するための「乗り物~パーソナルモバイルビークル」が備える資質の提案、「イン
フラ~パーソナルモバイルビークル」と歩行者が共生可能なデザイン、「人間~パーソナルモバイルビークル」
への受容性に加えて、ITS化された自動車交通、LRTなどの公共交通による融合システムについての研究を行
う。また、東京大学で独自に進めている新たな形態のパーソナルモビリティビークルの研究開発についても進
めていく。

RC-70 水・地球環境問題特別研究会 沖大幹 RC70
 2015年1月、潜在的な影響が最も大きいと懸念されるグローバルリスクは水危機であるとダボス会議で知
られる世界経済フォーラムが発表しました。2017年版でも、生じた場合の影響度では大量破壊兵器、極端な
気象についで3番目に位置付けられています。
 2015年9月には国連の持続可能な開発目標(SDGs)が全会一致で採択され、12月には気候変動に関す
る国際連合枠組条約(UNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)で法的拘束力を持つパリ協定が採択され
ましたが、どちらの達成にも水リスクの適切な管理がその鍵です。
 さらに2015年12月、アメリカ合衆国ホワイトハウスは、技術革新、社会インフラ整備、観測データ収
集、水共有の合意、水の再生利用や保全技術の発明などにより、気候変動に伴い切迫している水供給をより適
切に管理しようという取り組み、"moonshot for water" を打ち出しました。アポロ計画による人類の月着陸
と同様の挑戦を水に対して行わねばならない、というアメリカにおける水への危機感とオバマ大統領の強い意
思の反映です。
 このように、世界では重大なグローバルリスクであると認識されている水危機について、何がどう問題で国
際社会はどのように解決しようとしているのか、貧困撲滅や持続可能性の構築とどう関係するのか、そして日
本の経済活動や企業、外交にとって水への取り組みがなぜどのように大事なのかを解き明かし、水分野でも各
企業が主体的に環境マネジメントに取り組める具体的な方策を探り、そのために必要な技術開発と共有を展開
します。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

RC-73 コンクリートのバリア性能研究会 岸利治 RC73
 社会基盤として未来に渡って社会の営みを支え続ける鉄筋コンクリート構造物にとって、長期的な機能保持
性能、すなわち耐久性は、今後益々重要視される性能である。かぶりコンクリートの中性化・塩分浸透抵抗性、
トンネル覆工や地下構造物躯体に求められる止水性能、数千年・数万年オーダーの核種閉じ込め性能が期待さ
れる地層処分施設など、全てのコンクリートに期待される長期的な機能保持性能は、バリア性能と換言できよ
う。しかし、鋼材の腐食にとって重要な水の侵入を考慮しない耐久設計、圧縮強度以外のコンクリート品質を
確認しない検査体系など、耐久性を定量的かつ合理的に扱う上での課題は多い。また、コンクリート中の物質
の移動場でありながら、複雑な連結性のために実態の解明が進んでいないnmオーダーからμmオーダーの空隙
構造や、構造物に生じる巨視的なひび割れが、バリア性能の定量評価を困難としている。
 本研究会では、コンクリート中の物質移動現象と抑止機構を本質的に理解することに努め、必要にして十分
なバリア性能を実現するための合理的な耐久設計と検査体系の整備およびバリア性能の定量評価の実現に向け
た意見交換を行う。また、バリア性能を著しく損なう粗大な空隙やひび割れを改善する表層改質・自己治癒・
補修技術に関する情報交換を行う。社会基盤ストックの質の充足を確実なものとすべく、従来とは一線を画す
価値の創造に向けた技術の深化・集約・差別化を意識した議論を行う。

RC-77 防災ビジネス市場の体系化に関する研究会 目黒公郎 RC77
 東日本大震災の影響は未だに続き、特に福島県の復興には、多くの課題の解決と時間をかけた取り組みが必
要です。この大震災からの復興を、日本全体の問題として真摯に取り組むことが、被災地はもちろん、首都直下
地震や南海トラフの巨大地震などの被害軽減に重要です。この震災以来、従来の細分化が進んだ特定の学問分
野や少数の関連分野の連携だけでは解決できない問題が多いことを痛感するとともに、防災研究者として自然
の驚異と研究者が忘れてはいけない自然に対する敬意や謙虚な姿勢の重要性を再認識しています。
 ところで、現在の我が国の財政状況や少子高齢人口減少を考えれば、今後の巨大地震災害への取り組みは
「貧乏になっていく中での総力戦」と言えます。しかも事後対応のみによる復旧・復興が難しいことから、脆弱
な建物や施設の強化とともに、災害リスクの高い地域から低い地域への人口誘導など、発災までの時間を有効
活用したリスク軽減対策が不可欠です。また「自助・共助・公助」の中で、今後益々不足する「公助」を補う「自
助」と「共助」の確保とその継続がポイントになります。これらの課題への対応は、研究的には理工学と人文社
会学や医学を含む関連分野を融合した研究成果に基づくハードとソフトの組み合わせ、さらに産官学に金融とマ
スコミを合わせた総合的災害マネジメントが、社会環境としては、防災対策の「コストからバリューへ」の意識改
革とそれを推進する防災ビジネスが重要です。従来のコストと考える防災対策は「一回やれば終わり、継続性が
ない、効果は災害が起こらないとわからない」ものになりますが、バリュー(価値)型の防災対策は「災害の有無
にかかわらず、平時から組織や地域に価値やブランド力をもたらし、これが継続される」ものになります。
 そこで東京大学生産技術研究所の目黒研究室(都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)の災害安全社
会実現学部門)は(一財)生産技術研究奨励会の特別研究会として、「防災ビジネス市場の体系化に関する研究
会」を東日本大震災の発生した平成23年度に設立しました。本研究会では、現在の限られた防災市場を対象と
するのではなく、この市場を大きく拡大するとともに、地域貢献ではなく現業のビジネスとして関係者が取り組
むことのできる市場の創造と体系化を実現する技術やサービスを検討します。具体的には、①東日本大震災から
の復興に貢献する「防災ビジネス」、②今後予想される首都直下地震や南海トラフの巨大地震による災害の備え
を促進する「防災ビジネス」、③東京オリンピック・パラリンピック(平成32年)の安全な開催のための防災や危
機管理上の課題を抽出し、この解決に貢献する「防災・危機管理ビジネス」などを検討するとともに、具体的な
提案を行っていきます。
 参加企業の皆さまの希望に応え、活動期間を平成32年3月末までに延長することにしました。これまでの活
動を踏まえ、より一層、大学と産業界の知恵と資源を有効活用し、わが国を襲う様々な災害から市民の生命と財
産を守り、発生する障害の最小化に貢献するための国内外の防災ビジネス市場を体系化し、俯瞰的な視点から
必要な技術や知恵を社会に提供する新しい仕組みを構築していきたいと考えています。多くの企業の皆さまの
参加をお待ちしています。

RC-79 ハードとソフトから交通信号制御を見直す研究懇談会 大口敬 RC79
 都市街路の平面交差点は、利害対立が頻発する“都市”生活の縮図です。
 一方向の交通が自己主張すれば交差方向は危なくて通れないし全体の効率も低下する。ここに全体を調整す
る“システム”としての「交通信号制御」の必要性があります。したがって制御の目的は利害対立の調整=す
なわち信号待ちによる遅れの最適化にあります。ここで“交通安全”の確保は制御の「目的」ではなく制約と
しての「必要条件」です。
 こうした基本認識に立ち返り、純粋に技術的あるいは科学的な観点から「交通信号制御」のあり方を改めて
問い直すとともに、LED信号灯、交通センサ、制御機器、路車協調通信、自動運転などシーズ技術の進歩と、
交通渋滞対策、高齢社会の交通対策、歩転車交通マネジメントなど技術ニーズの動向を踏まえて、多角的な観
点から多様な技術者、実務者、研究者が集い、自由な発想、斬新な提案などを積極的に取り入れて自由闊達に
討議する研究懇談会の場を設け、将来の展望、夢を提示していきたいと考えています。
 ぜひ、引き続き、興味のある方に積極的にご参加頂ければ幸いです。

RC-80 建設分野におけるユーザーレビューシステム研究懇談会 岸利治 RC80
 インフラの維持管理には、米国に続いて日本も多大な授業料を払ってきた。苦く貴重な経験であり、教訓を
財産として今後の維持管理に活かさなければならない。日本全国にコンクリート構造物は無数にあり、維持管
理の裾野は広い。その末端にまで合理的な維持管理を展開するには、時間をかけて蓄積された情報の一層の知
識化と共有化に加えて、情報を有効に活用する方策の導入が必要ではなかろうか。
 データベースは情報の蓄積と共有に有効なツールであるが、入力の手間が掛かる割に情報を有効に活用する
のが難しい。カタログは様々な技術を横並びに眺めるには便利であるが、どの材料/工法が、よりニーズに適
しているのかまでは教えてくれない。貴重な情報は目に付きやすく、取り出しやすく、有効に活かさなければ
ならない。昨今、ランキングばやりであるが、電化製品や宿泊施設の選定において、ユーザーレビューとラン
キングは消費者の貴重な情報源となっている。信頼に値する評価情報が簡単に入手できるという点で魅力は大
きい。建設分野における技術評価に同様のシステムが馴染むのか、有益であるのかは定かでないが、その効用
の大きさからして、食わず嫌いではもったいない。
 建設分野において、パンフレットやカタログ、既存のデータベースの枠を超えて、ユーザーレビュー/ラン
キングシステムの活用への途は啓けるのか、構造物の延命化技術を対象として議論する。

RC-82 エネルギーシステムインテグレーション研究会 荻本和彦 RC82
 地球温暖化問題やエネルギー資源枯渇への対策としての持続的エネルギー需給の実現、東日本大震災後の我
が国のエネルギー需給に関する様々な議論が行われる中、従来型の大容量集中発電と再生可能エネルギー等の
分散型電源、さらには蓄電池や電気自動車などの需要端の電力貯蔵機能などの新しい需給技術要素を取り入れ
た、将来のエネルギー需給に関する検討、研究のニーズが高まっている。
 出力の変動する風力、太陽光発電の導入の大量導入が先行した欧州では、電力システムの需給調整力確保の
課題が顕在化し、将来の「スマートグリッド」に加え、既存および新設可能な火力、水力、揚水の最大活用、
電力システムの運用を含めた総合的な対応策の検討が行われている。我が国でも複数の電力システムの一体運
用による再生可能エネルギー発電の導入量拡大の検討も行われている。
 本研究会では、需要、供給の新しい技術要素、集中システムと分散システムの協調、再生可能エネルギーの
出力変動特性、安定供給、経済性、環境性、安全性などの指標のもとでのエネルギー需給のベストミックスな
どをキーワードに、日本を中心とした新しいエネルギー需給システムの運用・設備形成の両面を、シミュレーシ
ョン解析を含めて具体的に議論・検討する活動を進めていきます。欧米における先進事例や国内外の研究状況に
関する情報を共有し、我が国における新しいエネルギー需給システムの在り方について議論を深めたいと思い
ます。

RC-83 次世代育成のための教育・アウトリーチ活動特別研究会 大島まり RC83
 近年、グローバル化による国際競争が激化し、科学技術や産業の進歩が加速しています。今後は、産業を支
えるとともに経済にインパクトをもたらす技術革新(イノベーション)を推進していくことが重要と考えられ
ます。東京大学生産技術研究所では、工学分野全般にわたる様々な学際的研究を包括的に展開し、また長年に
わたり中学生・高校生を対象にアウトリーチ活動を行ってきました。本研究会では、このような特長を生か
し、産学協働によりイノベーション人材を育成するための新しい教育活動・アウトリーチ活動を検討します。

RC-86 都市環境災害に関する風洞活用研究会 大岡龍三 RC86
 都市化や地球温暖化に伴う気候変化により、台風や竜巻、大気汚染など、建築や都市を取り巻く環境災害の
悪化が懸念される。近年の計算技術の進展によって、数値流体解析は建築や都市の環境設計においても実用レ
ベルまで普及が進んでいる。解析コストの低さ、制御の簡便さによって、数値解析はかつて風工学の中心的手法
であった風洞実験に取って代わりつつある。
 しかし、依然として風洞実験を実施する意義は大きい。例えば、 ①数値解析では剥離流背後の流れの再現性
が悪く、しばしば実用上の精度を確保できていない。 ②建物に働く変動圧力や汚染物質の変動濃度などは、十分
な精度を数値解析で確保するのが難しく、場合によっては風洞実験の方が高精度な解析を低コストで実現でき
る。 ③これらの変動特性に関しては、形状や条件の個別性が高く、現在も十分な検討がなされていない。 ④弱風
で浮力が影響する場合の地表近くの風環境や汚染拡散に関しても未だ検討が十分でなく、汚染制御や暑熱環境
制御での検討余地が大きい。そして、 ⑤火災や風飛散物など、複雑な事象に関しては特に数値解析よりも実験
的手法の信頼性が極めて高い、といった状況にある。
 そこで本研究会では、最新の風洞実験技術に関する情報交換を行うとともに、上記のような課題に対し、実際
に風洞を用いたスタディによって数値計算のための検証データを作成する。また、それぞれの長所・短所をもつ
数値的手法と風洞実験を組み合わせた(相互補完した)新たな評価システムの構築を目指す

RC-88 loT特別研究会 荻本和彦 RC88
 ビッグデータ活用、AI応用の急速な進展、自動車の電動化 / Autonomous化など、新しいパラダイムが現
実のものとなりつつある。それを支える基盤となるIoT(Internet of Things)の具体化に向けて、ICT領域
のみならず、多様なThings領域からの参入や事業化検討が国内外で進んでいる。
 現在、多くの関係者が、IoTは如何なる付加価値を創出し得るのか、という普遍的なテーマに悩んでいる。
更に、多種多様なIoT Deviceを総合的に動作可能とするクラウド間連携に関わる方策は、まだ、各事業者が
手探りで進めている段階にあり、付加価値創出の担い手を期待されるサードパーティーが、容易にアプリケー
ションを製作できる環境には至っていない。また、付加価値サービスが引き起こす「IoT由来の脅威」への対
処策など、我々が今まで経験していないIoT特有の課題などについても、解決方法の検討が必要である。
 そこで、本研究会では、生産技術研究所のCOMMAハウス等を活用したテストベッドでの付加価値アプリ
ケーション創出トライアルや、Inter-Cloud peeringやApplication / Cloud peeringなどのクラウド間連携
に必要なインフラの在り方検討などの知見を共有して、IoT社会の早期実現に向けた具体的方策を検討・発信
する。さらに、それらを構成するソフトウェアや、事業者間関係を考慮した“相互接続フレームワーク”の全
体構造についても幅広く研究し、産業界に広く便益を提供する中間組織として機能することを目的とする。
 本研究会は、広くThingsサイドの方々の参加を歓迎するとともに、他のIoT関係団体とも協業しながら研究
を推進する。

RC-90 BIMによる建築生産イノベーションに関する特別研究会 野城智也 RC90
 従前より、BIM(Building Information Modeling)を導入することによって、建築設計を含む建築生産プ
ロセスを変革する期待が高まっている。特に、従来の人の暗黙知に付随して蓄積されてきた異業種間相互調整
プロセスから、建物の情報のみならず、建築生産に必要な当事者間調整情報(設計情報・生産情報・運用情
報)を統合的にマネジメントしていくプロセスに変革していく期待は高い。
 しかしながら、我が国における現況として、設計のBIM、生産のBIM、運用のBIMと言われるように、各業
務・プロセスごとにバラバラにBIMが適用されてしまっている。建築生産の各プロセス間の連携と相互調整に
ついては、いまだに多くの課題があり、BIMを利活用するメリットを最大限に活かしきれていない状況であ
る。すなわち、当事者間において、「つなぐ」ことを目的とした、異業種間相互調整プロセスを支援する仕組
みを欠いている状況である。
 過去三年間にわたる研究会からは、現況の産業の強みをのばし、課題を明らかにすべく、「つなぐ10の言
葉」として参加者間の共通の課題をまとめた。過年度の成果を踏まえ、本年度は産業にオープンに共有し、議
論のたたき台となりうる情報のプロトタイピングを進め、課題を解いていくための手がかり、特に建築生産に
おけるそれぞれの立場を超えて「つなぐ」ための具体的な仕組みについて検討していく。
 
RC-91 先端深海観測技術研究会 藤井輝夫 RC91
 深海における物理・化学・生物パラメータの計測技術は、現場型センサーなどの開発により時空間的な測
定限界を克服しつつあり、長期広域計測が実現可能なレベルになってきた。これらの深海計測技術は海底下
も含めた海底熱水活動の科学的根拠に基づく大規模調査に有用であり、新しい海底鉱物資源の探査に不可欠
な要素となりつつある。また、各パラメータの統合解析は海底熱水活動の成因論分析、環境影響評価など海
洋の全容を把握するためのツールとして、今後発展が予想される研究分野であり、また国際的な競争も激し
くなると予想される。
 本研究会では、深海調査技術のフロンティアについて情報交換するフォーラムを開催し、研究開発のトレ
ンド・市場ニーズ・共同研究のあり方、などのトピックについて多角的に議論を行う。これらの議論に基づ
き、民間企業への技術移転を見据えた次世代の深海調査を強力に推進するためのロードマップを提案する。

RC-93 食料生産技術特別研究会 沖一雄 RC93
 世界的な人口増加と共に食料生産の需要は年々拡大しつつある一方、海外の大規模な食料生産企業に国内市
場が奪われる危険性が叫ばれている。
 本研究会では、最先端の工学と農学の融合により、我が国の農業を世界的な市場に打って出られる産業とし
て確立するための食料生産技術を展望したい。特に、乾燥地、砂漠地などに展開可能な作物、病気に強い食料
生産技術開発は喫緊な課題と考えている。
 期待される技術としては、高速育種、革新的種苗生産技術、環境センサとネットワーク、画像による作物管
理、自律移動ロボット、作物の栄養と付随効果、食物による医療、高付加価値作物の開発などがある。
 参加を期待している業界は、ゲノム解析技術会社、細胞育成会社、ネットワークベンダー、画像解析企業、
食品会社、医薬業企業、商社、農業会社ほか、食料生産に興味のある全ての企業である。

RC-94 分散台帳とその応用技術特別研究会 松浦幹太 RC94
 2009年に発明されたBitcoinとその基盤技術であるブロックチェーン技術は、インターネットが通信と情
報流通のあり方を大きく変えたのと同じように、価値、権利など様々な状態に関する情報の管理と利活用のあ
り方を変える技術として、近年大きく注目されている。米国を中心として、ブロックチェーンの応用が活発に
提案され始め、国内外でブロックチェーンの応用を検討する取り組みが、金融業界、産業界などで始まってい
る。
 一方で、ブロックチェーン技術は、社会基盤となるために必要な学術的検証がなされる前にビジネス適用が
始まっている。そのため、安全性検証、スケーラビリティの確保、プライバシ保護などに関して、学術的に信
頼できる研究と検証を行うことが喫緊の課題である。
 そこで、本特別研究会では、大学などの研究機関と産業界の研究者の参画により、ブロックチェーンの活用
が有効な領域を検討した上で、ブロックチェーン技術を新たな社会基盤とするための技術的要件の検討と、そ
の技術的要件を満たす技術に関する研究を行い、研究成果の共有と議論、今後の研究課題の洗い出しを行う。
研究の実施においては、米国をはじめとした海外の研究動向の共有と、国際的なプロジェクトとの連携も行
う。活動の一部はBASE(Blockchain Academic Synergized Environment)アライアンスの活動として
認定され、国際的な研究ネットワークへ貢献できる。

RC-95 災害対応トレーニングセンターの建設・運営に向けた研究会 沼田宗純 RC95
「背景」
 日本は毎年多くの災害に苦しんでいるが、米国のように、「標準システム(ICS)」と「災害対応トレーニングセン
ター」が無いために、効率的な災害対応の向上が難しい。 結果として、2016年熊本地震を例示するまでもなく、
災害発生後の混乱状況の中で、多くの行政職員は何をやったらよいのかが分からない状況に陥ってしまう。一般的に
この状況は被災市町村で最も顕著であるが、都道府県や国家中央政府であっても、改善の余地は大きい。
 
「狙い」
 大きな災害が頻発する我が国において、今の状況では、効率的な災害対応は望めない。また、現在の我が国の少子
高齢人口減少や財政的な制約を考えれば、防災における「自助・共助・公助」の中で、今後の「公助」の不足は
「自助と共助」で補う必要がある。そのためには安定的な雇用と優秀な人材の参画による国際競争力の高い防災産業
の発展が重要である。
 そこで本研究会では、市町村、都道府県、国の行政職員をはじめ、地域の自治組織、災害ボランティア等の災害対
応能力を高めるために、恒常的な教育訓練施設の構築を目指し、教育・訓練カリキュラムの体系化、施設の建設、管
理運用について検討を深め、その実現に向けた具体的な可能性を探る。
 
「計画概要」
 本研究会では、我が国の経験・教訓に基づく「行政機関及び地域における災害対応の基本原則の確認」及びこれを
踏まえた「災害対応標準化システムの構築」、「災害対応トレーニングセンターの建設」による実践的な訓練のあり方
を探り、①具体的な災害対応訓練及び教育システムの標準化、②我が国に適した災害対応トレーニングセンターを
建設・運用するために必要な構成要素の抽出を図り、災害対応トレーニングセンターの建設・運営を実現するための
実施計画を策定する。

RC-96 技術人材のタレントマネジメント特別研究会 吉川暢宏 RC96
 これまで日本が得意としてきた生産技術の成熟度が増し、また科学技術のグローバル化に伴い新興国の技術
力が強化され、日本の製造業の技術的優位性を堅持することが難しい状況となっている。このような状況の変
化に伴い、技術の専門性を高めて先進技術にキャッチアップするスキルだけではなく、(1)製品価値、(2)市
場性、(3)技術的許容性にまで視野を拡げて製品開発をマネジメントできる人材、アナリシス能力だけではな
くシンセシスの結果を製品開発に反映できる人材が求められている。大学においても、専門分野を深く極める
能力に加えて、周辺分野の要素技術を理解して、製品開発志向で技術を統合できる能力を涵養する教育が必要
である。本研究会では、今後ますます重要となる、製品開発志向人材の育成に関して、企業、大学および学生
が共通の理解を持つ場を提供するとともに、大学において実施すべき製品開発志向人材の育成プログラムの検
討を行う。

RC-97 マイクロニードル研究会 金範埈 RC97
 この研究会は、マイクロニードル研究に携わる各分野の研究者が情報を交換し、討議する場の提供を行い、
マイクロニードルに関するより広範な基礎研究の活性化及び先端技術応用成果の確認、整理、応用開発の検
討、生物学的実証実験、臨床試験を目指した研究を推進するとともに、各関連分野において国際的に評価され
る研究成果を総括し、人々の健康と美の予防医学に貢献するための事業を行い、もって広く国民の健康に寄与
することを目的とする。
 特に、主な研究テーマの内容として、生分解性マイクロニードルのパッチ型無痛症ドラッグデリバリーシス
テムの実用化を目指す。美容分野において既に実用化になっているヒアルロン酸マイクロニードルのパッチ等
に関しては、新たなマイクロモールド製造技術の開発及び近年の薬剤学・高分子材料工学・マイクロナノ加工
技術のさらなる進歩に伴い、より安価で高機能性のパッチの大量生産が実現できるシステムを開発している。
 マイクロニードル製剤は、従来の注射剤や貼付剤などの剤型にはない利点を有しており、本研究会に、多く
の関連企業が参入し、産学官の連携研究と医療・製薬や工学分野との異分野融合を通して、より良い薬や製剤
を提供する側の製薬企業にとっては新たな事業展開の可能性が広がり、医療への貢献へもつながる。また、医
療の提供を受ける側の医療従事者や患者にとっても、痛みの少ない簡便な治療方法・投与方法という新たな選
択肢が増えることが期待される。


153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所内 DW405 一般財団法人生産技術研究奨励会


ホームページTOPに戻る特別研究会TOPに戻るページTOPに戻る