- 弾性波によるコンクリートの裏面ひび割れの検出
福島謙一・魚本健人
床版及び梁等鉄筋コンクリートの裏面ひび割れの程度を弾性波により、非破壊試験によって推定することを検討した。本研究ではその第一段階として、コンクリートを２次元ＦＥＭによる解析と、ジュラルミン製の供試体を用いた超音波測定実験を行った。適切なモデルサイズ、周波数を用いて解析することにより、表面、裏面から比較的精度良くひび割れ深さを求めることができた。
- サーモグラフィーを用いた吹付けコンクリートの施工管理
塚原絵万・魚本健人
吹付けコンクリートは施工方法が特殊であるため、その施工および品質管理は経験的な要素に頼らざるをえない部分が大きい。本研究では、コンクリートの発熱による温度変化をサーモグラフィーによって撮影することで、人為的および機械等の施工条件により発生する吹付けコンクリート構造物の品質のばらつきを、定量的に管理する手法を提案した。結果として、サーモグラフィーの利用により、施工順序の確認、また吹付け厚さの不均一性を評価することが可能であり、また内部空隙の有無を精度良く判断できることが明らかになった。
- コンクリートのひび割れが塩分浸透深さに及ぼす影響
伊代田岳史・魚本健人 コンクリート構造物の早期劣化の原因の一つである塩害のうち，外部から塩分が侵入してくる場合，コンクリートに存在するひび割れが大きく影響すると考えられる．しかしこれに対する実験的に検討した例が少ないため，ひび割れの存在するコンクリートの供試体における塩分浸透の過程を検討した．その結果，コンクリートに存在するひび割れは，ひび割れが鉄筋に到達しない限り構造物の劣化には大きく影響しないことが分かった．また，塩分浸透深さに与えるひび割れの影響は，ひび割れの深さに依存しており表面のひび割れ幅には依存しないことが分かった．
- アップリンク情報収集とOD推定
増山義人・桑原雅夫・吉井稔雄
一般街路には感知手段の１つである光ビーコンが設置されてきており，交通量や占有率など，従来感知器の機能に加え，路車間の双方向通信機能も備えている．この双方向通信により，車載機を搭載している個別の車両の動きを把握することができるため，車載車両の旅行時間情報，経路情報，車種情報などの詳細な情報が収集可能である．本研究では，光ビーコンの特徴をまとめ，光ビーコンの情報を分析をすることにより，今後の交通渋滞の削減や，経路誘導に有効なOD推定や到着交通流推定をするための課題を整理した．
- 吹付けコンクリートの特性に関する基礎的研究（６）
―EPMAを用いた吹付けコンクリート中における急結剤の濃度分布（その１）―
荒木昭俊・田沢雄二郎・西村次男・魚本健人
吹付けコンクリート中の急結剤の濃度分布をEPMA（Electron
Probe Micro Analyzer）により評価した。その結果、アルミニウムとカルシウムのＸ線強度比（Al/Ca比）でマッピングすることで骨材部分を除いたセメント水和物中における急結剤の濃度及び分布状態を把握することができた。従って、吹付けコンクリート中における急結剤添加率の推定が可能と考えられる。
- 一般座標系による燃焼器内流れの数値解析（第2報）
高相吉吉・小林敏雄・谷口伸行・大塚雅哉・池川昌弘
本研究はLESによる燃焼流れの有効性をより詳細に検討する目的で行った複雑形状を持つ燃焼器内乱流のラージ・エディ・シミュレーションに関するものである。計算は一般座標系格子と円筒座標系格子を併用した複合座標系格子を用いて行われ、その手法の特徴は速度成分を計算する際には一般座標系格子、渦粘性を求める際には円筒座標系を用いる方法である。本計算のレイノルズ数は5000であり、スマゴリンスキーモデルを用いて計算を行った。計算結果は平均速度分布に対しては実験結果との比較によって評価を行った。また、瞬時値に対しては可視化手法を用いて燃焼器内乱流挙動に対する体系的な検討を行った。
生産研究 1998年10月号