NExT教育プログラム
「研究コース」

「研究コース」は、新しい分野の知識、技術シーズの修得、異分野技術に関する洞察力の涵養など、企業のエンジニアが新たな知識や能力を構築するための支援を行う研修プログラムです。

すべての研修生は東京大学生産技術研究所における指導教員の研究室に所属し、主にその中での活動を通じて研修が実施されます。研修内容は、企業やエンジニアの皆さまからのご要望に応じて新入社員向け・中堅社員向けなどフレキシブルに対応することが可能です。


1. 設立の背景と目的

産業構造やビジネスモデルが急激に変化しているなか、単一企業の中でこれまでに培ってきた技術だけでは対応できない状況が生まれつつあり、社会状況や最新技術動向を俯瞰的に把握し、様々な技術を統合して新たな事業を創り出せる人材が求められています。このような社会情勢の中、我が国では、定式なき時代に自ら問題・課題を定義し、解決策を見いだしていくための訓練と勉学の機会が必ずしも十分とは言えません。新しい事業展開や融合的事業のスタートに向けて、新しい分野の知識、技術シーズの習得、異分野技術に関する洞察力の涵養など、企業のエンジニアが新たな知識や能力を構築するための教育的支援が喫緊の課題です。

東京大学生産技術研究所(以下「東大生研」という)は、工学の全分野を包括するとともに、学問分野間の垣根を取り払い、分野横断的な連携研究を推進しているユニークな研究所です。このような東大生研の特長を活かし、上述のような社会的要請に応えるため、「社会人新能力構築支援(New Expertise Training)教育プログラム「研究コース」を開講しています。

「研究コース」では、新たな能力を構築したいという意欲をもった企業のエンジニアの皆様に門戸を開放し、その能力構築を支援することにより、我が国の新産業分野創成を担う人材を育成します。企業で人材育成を担当されている方々におかれましても、新人教育や社員教育の一環としてのご利用をご検討いただければ幸いです。


2.育成する人材のイメージ

新入社員

  • 最先端技術を駆使して、新規・複合分野等で活躍できる人材
  • 新規技術シーズを自律的に学び、幅広い視野で企業内での業務をこなせる人材

中堅社員

  • 社会的・産業的課題を解決する広範囲の最先端技術を習得し、研究リーダーとなる人材
  • 第二の専門分野を構築し、異分野融合イノベーションを提案・牽引する人材
  • 最先端プロジェクトの基本を学び、研究の統括ができる人材

3. 期待できる効果

これまでの専門とは異なる分野での研修を通じて、新たな工学分野における最先端の知識の学習と、新分野創成に通じる研究開発の手法や複数分野を有効に組み合わせる手法を身につけていただきます。具体的には、以下のような効果が期待できます。

新入社員

  • 企業の中だけでは得ることができないシーズ技術に関する知識を得ることができます。
  • 新規で異分野の技術シーズに触れることにより、エンジニアとして活躍するための研究人脈と視野が広がります。
  • 入社前に学んだ知識に本研修で得た知識が加わることで、自律的に幅広い視野で企業内での業務をこなすための方法論が身につきます。

中堅社員

  • 企業における新規挑戦分野を技術的に統括できるような基礎と最先端の知識が身につきます。
  • 新分野創成に向けた多様な技術シーズに触れることにより、エンジニアの皆様の研究人脈と視野が広がり、新規分野に挑戦するきっかけとなります。
  • 従来とは異なる専門に関する研究プロジェクトの調査・立案を通じて、独創的に新分野を開拓するための方法論が身につきます。
  • 工学における異分野の学習とそれらの融合により、イノベーションを起こすようなプロジェクトリーダーとしての能力が向上します。

4. 研修できる技術シーズの例

研修テーマは、以下に示すような東大生研における様々な技術シーズの中から選択していただきます。東大生研ウェブサイト内の「ポスターギャラリー」にさらに詳しい紹介がありますので、ご参照ください。

様々なスケールでのメカニクスや加工技術

ナノスケールから巨大構造まで

  • 切削加工、射出成形、塑性加工、ラピッドプロトタイピング
  • 微細・マイクロ加工、マイクロマシン

生命・バイオ

遺伝子・タンパク質レベルから個体・生態系までを対象とした機械工学・情報工学・化学によるアプローチ

  • バイオ分子設計・改変、バイオMEMS、幹細胞と組織工学、微細観察・計測
  • マルチフィジックスシミュレーション

材料科学

金属・ガラスから生体関連材料までの新しい物質科学

  • レアメタル、鉄鋼、シリコン、ガラス、ダイヤモンド、プラスチック
  • 有機、機能材料、プラズモニック材料、糖鎖工学、光機能薄膜、環境触媒

都市環境

持続可能で快適な未来の都市の姿

  • Quality of Life、Zero Energy Building、サステイナブル都市、スマートグリッド
  • 大気環境制御、騒音環境制御、水質制御、都市再生、都市の保全・保存
  • 知的生産性向上、ヒートアイランド、BEMS(Building Energy Management System)
  • 都市情報・都市解析

社会システム

社会現象のモニタリングと制御

  • ITS(先進モビリティ)、画像処理、情報通信、交通流シミュレーション
  • 防災、地震対策、地盤工学、構造学、都市工学、リモートセンシング、生活行動情報

環境科学技術

環境評価から環境管理改善・予測まで

  • 新エネルギー技術とシステム化、エコマテリアル、リモートセンシング
  • 食料、資源、水、大気シミュレーション

コンピュータサイエンス、データベース工学、情報通信技術

爆発的に増大する情報をどう扱うのか

  • 超高性能ストレージ、超大規模ウェブマイニング、コンピュータビジョン
  • 超低消費電力プロセッサ、センサネットワーク、時空間メディア

数理解析モデリング

生命現象から社会現象にいたる様々な対象のモデリング

  • 生命情報システム解析、複雑現象の非線形システム解析、定量生物学
  • 社会・疾患システムの数理モデリング

ナノ科学・技術

化学、エレクトロニクス、フォトニクス

  • 機能性分子、光機能性材料、ナノ粒子、ナノ評価技術
  • 量子ナノ構造、量子情報処理技術、高性能レーザ・光デバイス、テラヘルツ
  • 超低消費電力デバイス、有機トランジスタ、ユビキタスデバイス

5. 募集要項・申請方法

1) 受入期間

原則として受入から6ヶ月以上1年以内(研修を延長する必要がある場合には、延長することが可能)

2) 研修料

長期[6ヶ月を超えて1年以内] 200万円(税込)
短期[6ヶ月] 100万円(税込)

・年度を跨いだ研修や研修料の納入方法、分割払いなどを希望する場合はご相談ください。
・実験を希望する場合、実験にかかる経費は負担していただくことがあります。

3) 会場

東京大学生産技術研究所内の研究室

4) 受講対象者

あらゆる年代に対応可能。主体的に学習できる技術者・研究者等。

5) 申請書類

研究コースでの研修希望者は、以下の申請書類6点を作成・用意(一部、受入予定の指導教員が記入する必要あり)の上、電子ファイル(PDF形式)で「9) 申請書類提出先・問合せ先」へ提出してください。

(1) 東京大学生産技術研究所NExT教育プログラム研究コース受入申請書(別紙様式1) Word
(2) 東京大学生産技術研究所NExT教育プログラム研究コース受入申請報告書(別紙様式2)※受入予定の指導教員が記入 Word
(3) 履歴書(申請様式1-1) Word
(4) 本プログラムを志望する動機、本プログラムに期待することとこれまでの業務、研究内容(申請様式2-1) Word
(5) 守秘義務誓約書(申請様式3) Word
(6) 事務連絡通知書(申請様式4) Word

6) 選考方法

研修希望研究室及び教育・学務委員会による審査

7) 申請期限

研修開始希望日2月前まで(当該日が休日・祝祭日にあたる場合にはその前日まで)
※申請の秘密は厳守し、申請書類はNExT教育プログラムの審査の目的以外には使用しません。また、原則として申請書類は返却しませんのでご了承ください。

8) 審査結果発表

申請書類の提出から14日以内に通知。研修希望研究室教員による面接等審査に進む方には、合わせて審査の詳細を連絡。

9) 申請書類提出先・問合せ先

東京大学生産技術研究所 NExT教育プログラム事務局(総務課広報チーム)
〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1
電話 03-5452-6024
Eメール next@iis.u-tokyo.ac.jp

※特記事項

  • すべての研修生は指導教員の研究室に所属し、研修を受けていただきます。
  • 実験・設計・計算など実習の希望がある場合は、指導教員と相談のうえ、認められる場合があります。ただし、実習にかかる経費については、負担していただく場合があります。
  • 受入期間修了時に修了審査を行い、合格者には修了証を発行します。
  • 本プログラムは、研修生が主体的に工学に関する幅広い知識を習得し、イノベーションにつながる統合的な研究開発能力の向上を目指す教育プログラムであり、共同研究や委託研究とは趣旨が異なります。本プログラム修了後、博士課程への進学希望や、共同研究として研究の継続希望などがある場合、別途ご相談に乗ることができます。

6. 関連規定