金属をナノ以下のサイズにし、原子数個〜数十個ほどの「金属クラスター」(あるいは、金属量子ドット)にすると、普通のサイズの金属や、金属ナノ粒子(数nm−数百nm)とも違う性質を示します。分子や半導体に似た振る舞いをするようになり、可視光や近赤外光を吸収します。

サイズの異なる金クラスターの水溶液
私たちは、これを酸化チタンなどの半導体と組み合わせると、クラスターの占有軌道から非占有軌道へ光励起された電子が酸化チタンの伝道帯へと移動し、正と負の電荷が分離することを明らかにしました (Adv Mater 2010)。
この現象を、太陽電池や光触媒などに応用するための研究をしています。

金属クラスターの光誘起電荷分離(模式図)
光を電気に変える(光電変換)
金、銀、銅などのクラスターを利用し、可視光や近赤外光を電気エネルギーに変える金属クラスター太陽電池を開発します。
光で物質を変える(光触媒)
金クラスターなどを用い、可視光や近赤外光で酸化・還元反応を引き起こす金属クラスター光触媒を開発します。
その他
金属クラスターの電荷分離は、クラスターサイズの光制御などにも利用できます。
これらは、当研究室の助教を務めていた坂井博士(現・物材機構研究員)が中心になって始めた研究です。
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