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科目の目的・ 到達目標 |
有機化学の基礎的な知識を持ち、有機化学品の機能をその分子構造と関連付けて理解できるようになること、ならびに日常生活における諸事物を有機化学的視点で眺められるようになることを目標とする。 |
授業の概要 | 有機化学は基礎・応用の両面を併せもった化学の一分野である。我々の生活に利便性を提供している有機化学品を眺めてみると、繊維、プラスチック、洗剤、化粧品、塗料、接着剤、液晶、薬など枚挙にいとまがない。それぞれの有機化学品の機能は、それを構成する有機分子の性質によって説明することができる。本講義では、有機化合物の分子構造と物性の関係を中心に、有機化学を概説する。 |
評価方法 | 講義期間中複数回行う小テスト(クイズ)を20点,学期末試験の成績を80点として評価する。出席はとらない。 小テスト(クイズ)の採点ポリシー:1回分の得点を5点満点として採点。各回の点数のうち,高いものから4回分を合計したものを小テストの点数とする。(例:5点が4回であとは全部0点→20点,全ての回とも4点→16点) |
テキスト | 荒木・工藤,「有機化学 -基礎化合物から機能材料まで-」(東京化学同人) |
9/25 | 原子の構造からはじめ,軌道の形,エネルギー準位,混成軌道について解説した。また,有機物の構造や性質は電子の居心地で説明できることを解説した。メタンの構造について述べた。(教科書2章) |
10/2 |
分子内の電子の軌道について,原子価結合法と分子軌道法の双方について説明した。分子軌道のエネルギー準位,電気陰性度,双極子モーメントについて解説した。分子間相互作用について説明した(教科書2章・3章)。 - Qiuzの問題は「メタンが正四面体構造をとる理由を書け」 5点満点は4名。 分子軌道計算ソフトwinmoster(最初だけ登録必要。学生は無料) は下記から入手可能 http://winmostar.com/jp/ |
10/9 |
πーπスタッキング,多点分子間相互作用について解説した後,3章のアルカンに入り,命名,沸点と構造の関係,シクロアルカンのひずみ,燃焼反応について説明した。また,石油をどのようにして用いているかについて解説した。 - Qiuzの問題は「分子間相互作用であるファンデルワールス力について説明せよ」 双極子という単語を使ってなくても概念として理解していると認められればOK。教科書の一部を写したような記述は3点。5点満点は4名。2回連続5点は2名。 |
10/16 | 3章のアルカンの続きとして燃焼熱と結合エネルギーの説明を行い,ついでアルケン・アルキン,そして官能基をもった化合物の説明をした。(ハロゲン化アルキルまで) - Qiuzの問題は「我々は掘ってきた石油(原油)をどのようにして何につかっているか説明せよ。」キーワードは蒸留・燃料・化学品(概念としてあっていればコトバがちがっても可)。 5点満点は5名。3回連続5点は2名。 |
10/23 | 3章の官能基をもった化合物の説明の続きを行った(アルコールからカルボン酸の途中まで)。 - Qiuzの問題は「石油からとったナフサはそのままでは化学工業の原料には使えない。ナフサをどのように変換して利用しているか?理由も述べよ。」キーワードはエチレン・プロピレン・熱分解・混合物・アルカンとアルケンの反応性の違い。今回は難しかったようなので採点甘め。5点満点は1名。20点満点到達者(上記”評価方法”の項参照)は15D5101017Cの1名。 |
10/30 | 3章の官能基をもった化合物の説明の続きを行った。キーワードはカルボン酸,アミン,界面活性剤,ミセル。4章のπ共役系の導入の説明を行った。 - Qiuzの問題は「カルボン酸がアルコールよりも酸性が強い理由について説明せよ。」キーワードは,酸解離してできたアニオンの安定化。誘起効果。共鳴効果。5点満点は2名。新たな20点到達者はなし。 |
11/6 | 4章の続きとして,π共役系を持つ化合物の光の吸収,芳香族化合物の説明を行った。 - Qiuzの問題は「-----○ という分子構造(左側疎水・右側親水)の界面活性剤のはたらきを,具体例を挙げて図を描いて説明せよ。」キーワードは,分散・乳化・洗浄・撥水など。今回は採点甘め。5点満点は5名。新たな20点到達者は15D5101011D の1名。 |
11/13 | 4章の芳香族化合物の説明の続きを行い,次いで5章の複素環化合物の説明を行った。さらに6章の立体化学の導入的説明も行った。 - Qiuzの問題は「ベンゼンまたは芳香族化合物について知るところを書け。」キーワードは,平面構造,正六角形,芳香族安定化エネルギー,置換反応,π電子,ヒュッケル則,溶媒,工業原料,など。今回も採点甘め。5点満点は4名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在6名。 |
11/20 | 6章の説明の続きを行い,立体化学について解説した。鏡像異性体間で生理作用が異なることを,匂い分子を用いて体験した。 - Qiuzの問題は「機能性有機材料を1つ挙げ,分子構造と機能の関連性について説明せよ。」機能性有機材料として酸化防止剤・紫外線吸収剤・酸塩基指示薬・液晶・洗剤・着色料・蛍光像白剤・漆などがあることを示した上で,その中から選んでも,その他のものでもよいとした。5点満点は1名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在9名。 |
11/27 | 6章の説明の続きとして,生体分子関連のアミノ酸・ペプチド・タンパク質・糖の説明を行った。 - Qiuzの問題は「次のアミノ酸は(R)体か(S)体か,理由をつけて答えよ。」として,アラニンとシステインの分子構造を与えて考えさせる問題。5点満点はおらず,このため新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在10名。 |
12/4 | 6章の説明の続きを行った。 - Qiuzの問題は「タンパク質の分子構造について説明せよ。」アミノ酸の構造,ペプチド結合,一次構造,二次構造,三次構造,四次構造といったキーワードを期待しての出題。5点満点は2名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在11名。 |
12/11 | 6章のまとめを行って,生体での有機化合物の振る舞いの全体像を見た。また,7章に関して,酸塩基反応を説明した。 *演習問題を配布し,12/18までに解いて提出するよう指示した。詳しくはこちらを参照のこと。 - Qiuzの問題は「糖・脂質・核酸のどれか一つを選び,分子構造を一つ以上描いた上で説明せよ。」 これは,基本的な生体分子の構造ぐらい知っている,というのがcosmopolitanとしてのcommon senseと思い出題した。採点は甘くした。5点満点は5名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在12名。 |
12/18 | 工藤が国際学会出席のため休講。指示のあった演習問題答案の提出期限。提出場所は理工学部事務室のレポート回収ボックス。 |
12/25 | 冬季休業 |
1/1 | 冬季休業 |
1/8 | 7章のつづきと8章の説明を途中(高分子)まで行った。12/18に提出された答案を返却した。 - Qiuzの問題は「炭素―炭素結合を形成する反応を,具体例を1つ挙げて説明せよ。」 これは,(高校でなく)大学で有機化学の講義を聴いたならば,炭素―炭素結合生成反応の1つくらいは知っておきたいものだという思いから出題した。極めて不出来。5点満点は1名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者,現在12名。 |
1/15 | 8章の説明の続きを行い,特に,有機分子が生体に及ぼす影響をどのように考えたらよいか,また環境中に拡散した有機分子の宿命について,重点的に解説した。 - Qiuzの問題は,「高分子化合物に特徴的な性質をひとつ挙げ,なぜそのような性質を示すのかを簡単に説明せよ。」 これは,高分子というものの基本的な性質について,分子レベルでイメージを持っていてほしいという思いから出題した。5点満点は4名。新たな20点到達者はなし。15-19点の者13名。 |
1/29 | 2限に試験を行う。試験は持ち込み不可である。 |