- AN UPRIGHT SINGLE BEAM EQUIVALENT TO
GROUPED PILES
(群杭と等価な直立単純梁について)
小長井一男
群杭と地盤の動的相互作用解析において、群杭を等価な直立単純梁に置き換える手法を示す。この近似手法によって求められた杭頭インピーダンス、あるいは有効入力地震動は杭間隔が地盤内のせん断波長にくらべて短いほど、厳密解と極めてよい一致を示す。この手法は群杭周辺の地盤の非線型性を解析に取り込むことを大幅に容易にするものである。
- 電場による落下液膜の不安定挙動
儲仁才・棚澤一郎・西尾茂文・高野清
・白樫了
本研究では,スリットノズルから落下する液膜の電場による不安定挙動について実験的に調べた。電圧の印加は液膜の流れ方向と平行にした。ある臨界値以上の電圧を印加すると,液膜はある間隔の複数本の液柱に変化していく現象は観察された。そして,液膜の流速と電極間距離をパラメータとして,液膜から液柱に変化する臨界印加電圧を測定した。さらに,積分平均モデルを用いて,線形不安定理論により,液膜から液柱に変化する臨界印加電圧を予測した。結果として,計算値と実験値はほぼ一致した。
- 蛇行閉ループ式熱輸送デバイスの熱輸送特性
永田真一・瀧田義治・西尾茂文・白樫了 本研究は、蛇行した閉ループに一定の割合で液体と蒸気とを封入した熱輸送デバイスMCL-HTDについて、最小ユニットと考えられる2ターン系について実験的検討を加えたものである。報告では、ある封入率において液柱の規則的自励振動が発生し、この現象により強制振動制御型デバイスの加振装置を除去できる可能性を示し、また2ターン系において銅の100倍以上の実効熱伝導率が実現され、2ターン系が10ターン系に比べて高い熱輸送特性を有することを示している。
- スカイフックスプリングによる吸引式磁気浮上系の振動制御
荘 志忠・須田 義大・中代 重幸・大野 進一
本研究は、浮上体の絶対変位に作用する等価ばねと等価減衰を配置するスカイフックスプリング概念を導入することにより、浮上ための電流零収束制御と振動制御を結合した制御手法を提案する。これにより低周波領域では電磁石電流を零に収束させながら、浮上体の運動特性に関して軌道に追従させることが可能であり、高周波領域では防振制御が実現する。実験では実用性を考慮して、加速度計を用いったスカイフックスプリングを実現し、提案する制御手法の有用性を示した。
- コルゲーションが発生したレールを走行する車輪の運動解析
堀江昭秀・生田敏・曄道佳明・須田義大・大野進一
複数の走行車輪の運動とレールの振動が連成する系を,集中質量系の移動と接触問題を伴うフレキシブルマルチボディシステムとして捉える.まず,車輪・接触ばね系を1自由度の集中質量系,レールを分布定数系とした解析モデルを構築した.次に,これを用いて車輪・レール間の接触力変動が波状摩耗発生・成長の支配的要因の1つであるという観点から,車輪走行時のレールの振動および車輪の運動の相互作用を検討した.
- 床材からの化学物質放散と室内空気質汚染の数値解析
加藤信介・村上周三・伊藤一秀
近年、住宅・オフィスにおいて微量化学物質による空気汚染の問題が顕在化している。本報ではこの問題に関連して建材からの室内化学物質の放散・拡散現象のモデル化、並びにCFD(数値流体力学)による解析法に関して検討する。特に総揮発性有機化合物(TVOC)に着目し、人体呼吸域汚染に大きな影響を与えると思われる床材からのTVOC放散及び室内拡散に関して、換気及び材料温度の観点から検討する。
- コンクリートのひび割れが中性化深さに及ぼす影響
伊代田岳史・魚本健人
コンクリート構造物の早期劣化の原因の一つに中性化があげられる。中性化の進行にはコンクリート表面に存在するひび割れが大きく影響すると考えられる。しかし,これに対する実験的な検討例が少ないために,ひび割れの存在するコンクリート供試体における中性化促進試験を実施した。その結果,コンクリートに存在するひび割れは,鉄筋に到達していない限り構造物の劣化には大きく影響しないことが分かった。
- 高性能AE減水剤の化学構造と流動作用効果の基礎的研究 その(2)
各種結合材粒子に対するポリカルボン酸系分散剤の分散効果
太田晃・魚本健人
高流動コンクリートや高強度コンクリートを製造するためには,普通ポルトランドセメントやビーライトセメント等と共に,高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカフューム等の各種結合材や石灰石微粉末等の様な無機微粉体を併用することが必要不可欠である。本研究では、各種結合材に対するポリカルボン酸系高性能AE減水剤中の分散成分と分散保持成分の吸着特性,結合材ペーストの流動特性を検討し,コンクリートに於ける使用量変化の関係を検討した。
- プレストレストコンクリート用FRP緊張材の特性(16)
FRPロッドの複合材料としての紫外線劣化モデル
山口明伸・西村次男・魚本健人
著者らはこれまでに、各種FRPロッド・繊維・マトリックス樹脂の耐紫外線性についての実験的検討を行い、その結果を報告している。また特に劣化の著しいアラミド繊維については、繊維単独の場合における劣化現象の定量化を試み、その妥当性を示している。しかし、FRPのような複数の構成材料から成る複合材料の劣化を考える場合、構成材料ごとの単独劣化とそれに伴う相互劣化を考慮する必要があると考えられる。
そこで本研究では、FRPロッドの紫外線による強度低下を、マトリックス樹脂および繊維のそれぞれの劣化特性を考慮した複合劣化モデルとして表現することを試みた。
- Comparative study of freeway incident
detection algorithms using real-life incident data
(車両感知器データを用いた異常事象自動検出手法の比較分析)
エドワード チャン・桑原雅夫・吉井稔雄
本研究は、カリフォルニア法、バークレー法、首都高速道路公団法、ニューラルネットワーク法という4つの異常事象自動検出手法を、首都高速道路上の車両感知器データを用いて実証的に比較分析したものである。まず、これら4つの方法に含まれる各種のパラメータを、感知器データを用いてキャリブレーションした。そして、検出率、誤検出率、検出時間遅れという3つの評価指標に基づいて、これらの手法を相互評価した。その結果、カリフォルニア法がもっとも高い検出率を上げたこと、首都高速道路公団法の誤検出率がもっとも低かったこと、またニューラルネットワーク法はカリフォルニア法に比べて検出率は低く誤検出率が高かったものの、今後の改善の余地があることなどがわかった。
- 光ビーコンで収集されるアップリンク情報の活用法について
(予測旅行時間の精度向上)
榊原肇・桑原雅夫・宇佐美勤・横井昭
本研究は,アップリンク情報を活用して予測旅行時間の精度を向上させることを目的とし,第1段階として旅行時間の推定精度の現状について検証した.目的地までの経路選択を支援するVICSシステムが1996年に運用を開始した。このシステムでは,車載機は既に走行した経路の旅行時間をアップリンク情報として光ビーコンに送信し,光ビーコンは進行方向周辺の渋滞状況などを車載機に送信する.ドライバーとって重要な情報として,目的地までの最適経路と到着までの予測時間が挙げられるが,これらを計算するための基となる各リンクの旅行時間情報は,路上に設置された各種車両感知器によって推定あるいは計測されている.