特集 マイクロ・ナノメカトロニクス
特集に際して
マイクロ・ナノメカトロニクス特集号の編集に当たって
藤田博之
研究解説
マイクロEDM旋盤の開発
増沢隆久
厚いレジストを用いたマイクロ加工法(英文)
Beomjoon KIM,Gyuman Kim and Juergen BRUGGER
MEMS光ファイバスイッチのデバイス設計小論
年吉 洋
Microsystem for Telecommunication(英文)
Dominique COLLARD and Lionel BUCHAILLOT
PDMS(Polydimethylsiloxane)を用いた電気泳動デバイスによるDNAの分離
金田祥平・藤井輝夫
マイクロ電極を用いたバイオテレメトリー
竹内昌治
プローブ顕微法へのナノマシーニングの応用
川勝英樹
一般投稿
研究速報
有機溶媒を用いたSn2+イオンのNaY型ゼオライトヘのイオン交換
山川 哲・松井良隆・篠田純雄
アブストラクト
特集 マイクロ・ナノメカトロニクス
特集に際して
マイクロ・ナノメカトロニクス特集号の編集に当たって
藤田博之
研究解説
マイクロEDM旋盤の開発
増沢隆久
放電加工機は種々のタイプのものが使われるようになっているが,未だ旋盤タイプの中ぐりまで可能なものは市場に現れていない.マイクロ部品等の加工において,切削による中ぐり加工は困難なため,放電加工の適用が一つの打開策となる.本稿ではマイクロ加工用の旋盤型放電加工装置の開発について解説する.
厚いレジストを用いたマイクロ加工法(英文)
Beomjoon KIM,Gyuman Kim and Juergen BRUGGER
MEMS光ファイバスイッチのデバイス設計小論
年吉 洋
MEMS(Microelectromechanical Systems)技術によるスキャニングミラーを光ファイバスイッチに応用することで,現在の光ファイバネットワークに必要とされているall-optical型のスイッチを構築することができる.本論文では,光スイッチの仕様(スイッチ速度,光ビーム偏向角,入出カポート数)等を満たすための合理的な設計方法を提案する.光スイッチが2次の機械的共振系であるために,スイッチ速度とビーム偏向角のあいだにはトレードオフの関係があるため,スイッチを駆動するアクチュエータの発生力が特性を左右することを示した.
Microsystem for Telecommunication(英文)
Dominique COLLARD and Lionel BUCHAILLOT
PDMS(Polydimethylsiloxane)を用いた電気泳動デバイスによるDNAの分離
金田祥平・藤井輝夫
泳動用の微小流路構造をもつポリジメチルシロキサン(Polydimethylsiloxane
: PDMS)製のマイクロチップと,電極構造をもつガラス基板からなる電気泳動デバイスを開発した.マイクロチップはPDMSの型成形により製作されており,従来のガラスやシリコンを材料としたマイクロチップに比較して,より簡便かつ,低コストでチップを製作できる.評価実験では,100および25
bpのDNA ruler を2分半程度で分離し,従来のスラブゲル電気泳動に比べて約10程度高速に分離可能であることを確認した.
マイクロ電極を用いたバイオテレメトリー
竹内昌治
自由行動中の昆虫の神経電位を計測するための微小電極について解説する.電極の材質として形状記憶合金薄膜を用いた.通電加熱によって神経への固定操作を電気的に制御できる.また,成膜条件を変化させ,加熱による熱的なダメージを与えない温度に変態点を制御した.さらに本稿では,この電極からの信号を無線伝送するテレメータについて解説する.試作したテレメータのサイズは15
mm x 8 mmで約0.1 gである.これを昆虫の背部に取り付け,行動下での神経電位計測を実現することができた.
プローブ顕微法へのナノマシーニングの応用
川勝英樹
シリコンをKOHを用いてエッチングすると,エッチングの異方性により,<111>面からなる3次元構造物を作製することができる.本解説では,この特性を用いて,走査型力顕微鏡の力検出素子として用いられるナノカンチレバーの作製方法と得られたカンチレバーの機械特性,並びに応用例について述べる.
一般投稿
研究速報
有機溶媒を用いたSn2+イオンのNaY型ゼオライトヘのイオン交換
山川 哲・松井良隆・篠田純雄
有機溶媒を用いたSn種のゼオライトヘの陽イオン交換導入を試みた.無水SnCl2のアセトニトリル溶液にNaY型ゼオライトを分散させた後にゼオライトの元素分析を行ったところ,Naの減少・Snの増加がみられた.Na2原子に対して,Snが1原子導入されたことから,[Sn(CH3CN)n]2+が取り込まれたことが示唆された.イオン交換の前後でXRDスペクトルに変化がみられなかったことから,酸性水溶液中でのイオン交換と異なり,構造破壊は起こっていないと考えられる.