生産研究 1999年9月号

第51巻第9号
(生産研究は、生産技術研究所の研究紹介誌として、毎月1回発行する)

目次

学術講演会

民間企業のITS開発及び実用化への取り組み
―自動車メーカーの取り組み―

保坂明夫

研究速報

A Note on Possible Natural Frequencies of In-plane Swing of a Hanging Chain
Shigeru NAKAGIRI

CGTを用いた自動車用ハイブリッドシステムの走行性能評価
荒木智彦・吉識晴夫  

大型三次元可視化金型による段差キャビティ樹脂流動挙動の解析
松田 元・横井秀俊

道路と車両を連携させた運動制御に関する研究
須田義大・小峰久直・椎葉太一・吉田 寛


A Note on Possible Natural Frequencies of In-plane Swing of a Hanging Chain
Shigeru NAKAGIRI

 本報は,線形で無減衰の振動固有値問題で取り扱われる固有振動数の概念が懸垂する鎖の揺動曲げに適用できるか否かを検討したものである.その鎖は,多数の剛体リンクが摩擦のない回転ジョイントで結合された多数の剛体リンクの集合としてモデル化するので引張には剛性を有するが,曲げと圧縮に対する剛性は零である.このとき,従来の振動理論によれば曲げの固有振動数は零となる.多体問題に関するラグランジュ方程式に基づいて,本報では非零の固有振動数が存在し得ることを示す.

CGTを用いた自動車用ハイブリッドシステムの走行性能評価
荒木智彦・吉識晴夫

 地球環境問題に自動車が与える影響が深刻化している。特に路線バスは燃費及び排ガスが著しく悪い。そこで高効率、低排気レベルのCGT(セラミックガスタービン)を用いたハイブリッドシステムの路線バスへの適応を提案する。2つのCGT運転制御方式と2つの蓄電装置タイプ(鉛蓄電池のみ、鉛蓄電池とフライホイール蓄電装置の併用型)を組み合わせたシステムを構築し、それぞれについてシミュレーションにより走行性能評価を行った。その結果、CGTハイブリッドシステムは燃費、NOx排出量ともディーゼルエンジンより優れていることがわかった.

道路と車両を連携させた運動制御に関する研究
須田義大・小峰久直・椎葉太一・吉田 寛

 現在、高度道路交通システム(ITS)において、従来車両の重量を支えるだけの 役割であった道路に、路車間通信や経路誘導情報提供などの機能を持たせた、 いわゆる「ITS仕様」の道路が提案されている。本研究では、道路側から車両に 対して情報のみならず、力やエネルギを作用させるという新たなコンセプトに 基づき、車両のタイヤに対して制動力を与えるような路面構造物を考案し、 シミュレーションおよび実験によりその性能を評価した。また、そのような 路面構造物により実現しうる車両運動制御の可能性について検討を加えた。


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